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劇場版 仮面ライダー電王&キバ クライマックス刑事

『仮面ライダー電王』 〜後半評 複数時間線・連結切替え!
『仮面ライダーキバ』 〜序盤評 時に戦隊を凌駕するポケモンサンデーの脅威!
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『劇場版 仮面ライダー電王&キバ クライマックス刑事(デカ)』

(2008年4月12日封切)
(脚本・小林靖子 監督・金田治 アクション監督・宮崎剛&竹田道弘 特撮監督・佛田洋


(文・T.SATO)
(2008年4月執筆)


 「オイ、良太郎!」「僕に釣られてみる?」「泣けるでえ〜!」「モモタロスのバーカ!」(笑)


 主人公・野上良太郎(のがみ・りょうたろう)に憑依(ひょうい)して仮面ライダー電王の各フォームに変身する、ユカイな漫才を繰り拡げた正義のイマジン怪人4人たち。TVシリーズ終盤では、コミカルなままテンションも上げて、良太郎との別れと消滅の悲哀を漂わせたあの4人。


 TVシリーズ最終回ラストの別れの場面で、時の列車に乗車したツンデレな赤鬼モモタロスが、良太郎に眼も合わせず、最後の最後になってようやっと声をかける。


 「また、会おうぜ!!」


 チャリンコで時の列車と並走して追っかける良太郎。


 「いつか、未来で……」


 ……って、3ヶ月も経たないうちに帰ってきましたョ!


 良太郎と赤鬼さんモモタロスたちとの感動の再会の場面すらなく、余韻も何もない! あの最終回の激情はドコに行った!? オレのあのときの涙を返してくれ!(笑)


 いやまぁサブタイが、「クライマックス刑事(デカ)」だと雑誌やCMで知ったときから、ファンや視聴者全員が「刑事」かよ! とツッコミを入れまくってたことは間違いないですが。とはいえ、大元の作品の作風自体がコミカルだから、マジ否定した御仁も少なかろうけれど……。


 そんなワケで心の準備はできている。何でも来やがれ!


 で、実際に映画本編でも、冒頭から何の説明もなく、時の列車・デンライナーデンライナー署を名乗り、食堂車は捜査一課と化し、スチール製のデスクと椅子が並んでいて、良太郎もモモタロスたちイマジン怪人たちと行動をともにして、説明もなしになぜだか生き残っている悪いイマジン怪人たちを追い、自身らも明言するように捜査令状もなしに横暴のかぎり(笑)、もといカーチェイスをくりひろげて!


 「Vシネマ」(ビデオ販売作品)として発表されていた「番外続編企画」が、年末年始のTV版主題歌セカンドバージョンがチャート2位にランクされたほどの大ヒットを受けて、さらに東映白倉伸一郎プロデューサーの辣腕(らつわん)もあってか、映画公開作品に昇格したのであろう本作。毎年夏の『戦隊』&『ライダー』映画ほどの興行収入は見込めなくても、ソフト化に際してハクを付けるため(?)極少館でレイトショー公開された程度の『仮面ライダーTHE FIRST』(05年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060316/p1)や『仮面ライダーTHE NEXT(ネクスト)』(07年)よりも、確実に興行は上を行くだろう(笑)。


 日本最古のシネコンもある我が地元でも(諸説あります・笑)、今ではワーナーとTOHOの2つあるシネコンで、共に一番デカい小屋での、朝から晩までくりかえしベスト待遇での上映! 平成ウルトラ映画なんか公開がなかったり、あっても片方だけで午前中のみだったりしてたのになぁ(汗)。
 ビデオのみの収益ではなく、映画の入場料と公開後のソフト化でもダブルで収益が見込めるワケであり、白倉P(プロデューサー)の二段構えでの「機を見て変に応ず」のフットワークのカルさ! 映像制作会社・TYOに買収された円谷プロほかの関係各社もマジで見習ってほしいものである(爆)。


 本作TV版の視聴率は残念ながら、ウラの『ポケモン☆サンデー』(04年)のワク拡大(06年)の影響で低めであったことは否めないし、それはまた軽視できない事態ではある。とはいえ、今はそのことは忘れて、若いマニア・オタク層への人気浸透も含めて関連商品の売上的には本作は大ヒットを達成できていることは間違いがない。


 とにかく、公開2日目・日曜午後のシネコンロビーに、本作入場者の行列ができて盛況であるあたり何よりでもあって(もちろん基本は幼児・小学校低学年連れのファミリー層ではあるけれど、若い女性オタの2人組もチラホラと……)、オッサン特撮者としてはうれしいかぎりである。



 で、内容は……っつーと。


 斜め後ろの席の子供連れファミリーのお母さんいわく、


 「内容が、なかった……」。


 まさに至言(笑)。


 いやまぁそんなに不満があったり退屈したワケでもないけれど。前回上映分が終わって退場してくる観客たちのご尊顔も、筆者が観た上映回でも、平成ライダー映画ではよくある


 「何か悪い夢を……悪いモノを観てしまったような……」


 という顔をしていた観客はいなかった(笑)。


 小林靖子脚本作品としては珍しく、肩の力が抜けまくった作品。やはりこの4月から放映が開始された深夜アニメ『ブラスレイター』(08年)の準備で多忙で……って制作が時期的に並行してたかは判らないよネ(汗)。もちろん映像作品はひとりの力で作るものでなし、番外編でもあるので、おそらく白倉PやJAC社長の金田治監督の意向やオーダーも多分にあったと予想するけれども。


 とにかく、主人公・良太郎にもヒロイン・コハナも正義のイマジン怪人たちも、ドラマ的にはTV版最終回で決着が付いてしまっているので、背負っているものが特にない。キャラは確立しているけれどもドラマはない。よって、人間ドラマ部分は警視庁からなぜかデンライナー署に出向してきた頼りない若手刑事のゲストが担当。ま、たいしたドラマではなく、やはり単なるコメディリリーフに過ぎなかった気もするけれども(笑)。


 敵はイマジン怪人の生き残りの1体であるネガタロス。「史上最強の悪の軍団」を作りたいと云う悪党(笑)と契約し、なぜかそこに仮面ライダーゼロノスこと侑斗(ゆうと)と彼の契約イマジン・デネブの変装がまぎれこんでいても、敵イマジンが気付いたり不審に思ったりしないのはお約束ゥ(笑)。
 デンライナーにも乗れる通行証・パスをTV終盤のイマジン占拠時に列車内から盗んだらしくて、生き残りのイマジン怪人・ネガタロスは本作ラストでは仮面ライダー電王モモタロスフォームならぬソードフォームの赤の部分を紫に塗り替えただけの、良く云えばヒーローと同格ともいえる、別のイミでは製作予算が安くて済む(笑)安直な存在である仮面ライダーネガ電王に変身して対決!


 で、コレはやはり後付けの要素なのであろう(多分)、2008年度の最新ライダー・仮面ライダーキバこと紅渡(くれない・わたる)少年と元セーラールナ(実写版『美少女戦士セーラームーン』(03年)・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20041105/p1)役のお目付け少女は、おなじみバイオリンに塗る発酵させたニスを詰めたビンを地面から掘り出すシーンとラストバトルお2シーンのみに登場。……それだけかい!


 とはいえ、『電王』のキャラたちとは違い、職業転職などのマイナーチェンジはまったくないTV版の『キバ』まんまである彼らのたたずまい。TVの『キバ』のもうひとつの舞台である1986年の世界もチョットだけ登場! 主人公の父ちゃんであるナンパ師・紅音也(くれない・おとや)の若かりしころのお姿ももちろん登場! このシーンもあまりにもTV『キバ』における86年世界そのままなので、出番がそれだけでも少しホッとしてしまう(笑)。


 純ドラマ的に考えれば『キバ』のキャラクターたちは登場しなくてもイイのだけれども、興行的にはキャッチーになるし、見栄え的には仮面ライダー電王仮面ライダーゼロノス仮面ライダーキバによる3大ライダーの変身・勢揃い・必殺キックにやはり興奮!


 心の底から面白かったとは云いがたい、もう少し何とか……とも思うけど(笑)、番外編的なお祭り映画だから眼をつむろう!


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2008年春号』(08年4月20日発行)『劇場版 仮面ライダー電王&キバ』評より抜粋)


『假面特攻隊2009年準備号』「仮面ライダー電王&キバ」関係記事の縮小コピー収録一覧
・「仮面ライダー電王」全話視聴率:関東・中部・関西。各クール平均・全話平均視聴率
・電王映画宣伝特番&『クレヨンしんちゃん』電王編「オラ参上」関東・中部・関西視聴率
スポーツニッポン 2008年2月10日(日) 「仮面ライダー電王」が帰ってくる 要望に応え昨年8月に続く異例の2度目映画化 〜隣接記事で『「ぶいっと出た」“美尻”秋山莉奈DVD発売イベント』も! 9日のDVD「りな☆MOON〜満月のオシリーナ〜」都内発売記念イベント
・日刊スポーツ 2008年4月5日(土) 「仮面ライダー電王」試写会 抱えられて照れ笑い 秋山莉奈 〜劇中で披露したチャイナドレスで登場
スポーツニッポン 2008年4月5日(土) 秋山莉奈 美尻攻撃でヒーローKO!! 映画「仮面ライダー」舞台あいさつ 〜4日、都内で完成披露試写会


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