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超・電王トリロジー EPISODE BLUE 派遣イマジンはNEWトラル

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仮面ライダー×仮面ライダー×仮面ライダーTHE MOVIE 超・電王トリロジー EPISODE YELLOW お宝DEエンド・パイレーツ
『仮面ライダー』シリーズ評 〜全記事見出し一覧


 坂本浩一カントク作品のVシネマ『仮面ライダーW(ダブル)リターンズ 仮面ライダーアクセル』が発売記念!
 ……って、レンタル開始から1ヶ月以上、販売開始からも1ヶ月近くが経っておりますが。
 (『仮面ライダーアクセル』には、ゲストで『ウルトラギャラクシー 大怪獣バトル』(07年)のクマさんや、『ウルトラマンメビウス』(06年)のサコミズ隊長も出ていたというのに。サコミズ隊長役の田中実氏のご冥福を謹んでお祈り申し上げます)


 本家(?)の『仮面ライダーオーズ』(10年)の方は少なくとも、ここ4本はメインライター小林靖子脚本ではない模様。
 夏休みの劇場版の執筆にでも専念されているところと見るのが妥当なんでしょうネ。
 #21「バッタと親子と正義の味方」〜#22「チョコと信念と正義の力」で斯界(しかい)を、もとい井戸の中の特撮オタの世界(笑)を騒がせた毛利亘宏脚本が5月の#33〜36を担当中。


 先の#21〜22の前後編は、行き過ぎた正義心のダークサイドを描いていて(コレはコレで、ヒーローものにかぎらず敗戦国・日本(笑)の戦後65年間のエンタメ作品にはけっこうあったようなテーマの作品だという気もするが)、身の丈の、手に届くところだけでせめて正義を行なおうという節度ある行動原理・倫理に落とし込む結論には一理も二理もあったとはもちろん思う。
 ただそれもそれで、自分には縁もゆかりもない外部の世界の不幸や苦悩に手を差し伸べないことを正当化しかねない、ミーイズムなり内輪に閉じちゃうかもしれない危険性については盲目になってネ?
 という、毛利脚本にかぎらず、靖子たん脚本でも敏樹脚本でも白倉P・高寺P作品にもあったような、このテの独善的な正義への警鐘エピソードに、一理を認めつつも、どこかで食い足りなさというか、漏れや取りこぼしもあるのでは? 的な溜飲も残って、手放しで絶賛する気にはなれないので、その違和感をいずれ文章化してみたいとは思うけれども(笑)、佳作であったとは思います。


 と、カコつけて(汗)、『超・電王トリロジー EPISODE BLUE 派遣イマジンはNEW(ニュー)トラル』評をUP!


仮面ライダー×仮面ライダー×仮面ライダーTHE MOVIE 超・電王トリロジー EPISODE BLUE 派遣イマジンはNEWトラル

(10年06月05日封切)
(脚本・小林靖子 監督・舞原賢三 アクション監督・村上潤 特撮監督・佛田洋

速報! これが『仮面ライダー×仮面ライダー×仮面ライダー THE MOVIE 超・電王トリロジー』だ! 三作連続クライマックスレビュー

(文・森川由浩)
(昨2010年06月執筆)


 「時を越えたフリーマーケット」の開催中にターミナル(駅)内で、イマジン怪人による時の列車デンライナーのチケット盗難事件が発生した。
 良太郎とモモタロスが犯人であるマンティスイマジンに立ち向かうが、敵の色目仕掛けを武器とした強力な戦法に敗北する。


 そのためオーナー(演・石丸謙二郎)が助っ人として呼び寄せたのは、良太郎の孫・野上幸太郎こと仮面ライダーNEW(ニュー)電王と、そのパートナーのイマジン怪人・テディだった。


 だがオーナーは幸太郎とテディの契約はすでに「終了」したと宣言する。テディは期限付きで契約者を渡り歩く「派遣イマジン」だというのだ。
 テディは新たにオーナーと契約し、彼との同行任務を命じられ幸太郎の元を去る。パートナーを失った幸太郎はキンタロスやウラタロスとコンビを組むが、そのためテディと組んでいた時ほどの戦力を出せない。


 一方同時期に、誕生日を迎えた上原美来(うえはら みく)(演・高山侑子(たかやま ゆうこ))という少女(学生)の前に、もう一人の自分が出現する。その背景にイマジンの存在が絡んでいた……。


 今度の映画は親と孫の関係がテーマでもある。
 親子、父と息子、母と娘はよくあるが、今回はその隔世(かくせい)家族間のドラマになった。


 このエピソードでの主人公である仮面ライダーNEW電王・野上幸太郎の存在が筆頭に上げられる。
 幸太郎は仮面ライダー電王野上良太郎の孫である。
 彼を主人公に配するなら、そこに祖父である良太郎(演・溝口琢也(みぞぐち たくや))も出てくるのだが、幸太郎が生まれてからずっと見てきた老人良太郎ではなく、この作品では見かけは自分よりも幼い、若い頃の祖父とのコンビネーションから来る常識はずれな親孫の取り合わせになる。


 とはいえ、既に孫の存在が突如沸いて出たようなものでなく、肉親としての存在で長年可愛がってきたかのように、自分より年上の孫の身を思い良太郎は幸太郎へ、オーナーにテディとの再契約を提案するようにアドバイスした。


 溝口琢也が


 「幸太郎が加わっておじいちゃんになっている部分など、そういう新しい面での良太郎像を作ることなのかと考えました。」
 (出典・本作劇場内販売パンフレット)


 とコメントしたように、役者(子役)自身がその状況を明確に意識して芝居をしているのが顕著に現れていた。


 そして親孫の関係を強調、比較して物語で描くため、もう一組の親孫の存在がキーポイントとなる。
 上原早苗、美来の二人である。
 美来は18歳、遊び盛りの年齢で今日も友人と共に朝帰り。そんな孫を叱り飛ばしたりするわけでもなく、優しく見守る祖母・早苗(さなえ 演・草村礼子)の存在。


 それが当たり前のように青春を謳歌する美来の前に、もう一人の美来が出現した。
 お互いが本物だと言い張る中、早苗は料理対決やテニス決戦でどちらが本物かを決めることに。
 よくある偽者ネタで、別人が変装しているものではなく、実際二人とも本物である。その概念のミスマッチも本作の独自性を強調している。


 孫が突如二人になっても動じない。早苗から見れば、二人とも本物ということがわかりきっているのだから。それゆえにどちらかを排除するのではなく、公平に見る祖母の視点がひときわ光る。
 だが、この二人の孫の存在にイマジンが絡んでいたのだ。


 祖母の命が余命いくばくもないと知った中、マンティスイマジンとの契約に挑もうとした者が美来だった。彼女は祖母との永遠の別れが辛いから悪魔に魂を売るような契約に踏み切ったのか……。
 もし、今生きている肉親との別れが突如訪れようとし、イマジンとの契約でそれが回避できるならばと、観ている側にも感情移入させられるコンセプトはわかりやすく、実にストレートである。



 親孫のテーマとともに、本作では普段何気なく暮らしている仲間や家族の存在と絆もテーマに描いている。
 その存在の有り難さの対象として、幸太郎とテディの関係がクローズアップされる。
 テディはその出会いから契約者である不運な幸太郎の陽(ひ)となり影(かげ)となり、些細(ささい)なピンチから大きなアクシデントまで彼を常にガードしてきたことが理解できるだろう。
 フリマ会場を行く幸太郎の前に様々な障害(小さな不幸・不運)が待ち構えるかのように次々と襲いかかるが、それをテディは安全且つ確実にガードしてきた。


 だがオーナーの命(めい)により、そのコンビネーションも一旦解消となる。
 ここで明かされた「派遣イマジン」であるテディの素性にも、本作のテーマが存在するのだ。


 このタイトルにもある派遣イマジンについてだが、これは現実社会の派遣切りなどに見られる、現在問題となっている派遣社員を代表とする非正規社員との対比、格差が投影されているのも特色である。
 例えればモモタロスキンタロスたちは正社員、テディは非正規社員に相当するのだ。
 世間を騒がして久しい派遣法などの派遣社員を中心にアルバイト、パートタイマーといった非正規社員を取り巻く社会問題を、派遣イマジンの設定を用い、雇用や保証、待遇への問題提起を代表とする会社社会の現状に異議を唱えてもいる。
 脚本の小林靖子の実生活、OL時代の体験でまがりなりにも社会を知っていることも、この作品に裏打ちを与えているかもしれない。
 そして、契約によるドライな人間関係と、契約によらない情実のある人間関係との対比に最終的には到達する。


 その派遣イマジンの非情の掟の前に、一人になった幸太郎は、祖父譲りの極端に不幸な運命の渦中に巻き込まれる。
 普通に歩いていて、障害物にぶつかりそうになっても自分自身でそれを跳ね除けられない。
 そのとき、当たり前のように幸太郎をガードしていたテディの心遣いによる加護の大きさと存在を痛感。家族や友人などに見られる、いなくなってわかる隣人のありがたさに気づくのであった。


 これはテレビ版『仮面ライダー電王』(07年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20080217/p1)第8話「哀メロディ・愛メモリー」(脚本・小林靖子 監督・石田秀範)で、クロウイマジンとの戦いで満身創痍(まんしんそうい)の苦境に陥った良太郎が、通りがかった河原で野球やテニス、サッカーやアメフトのボールに相次いで襲われる不運のオンパレードというコミカル描写へのオマージュも多大に感じ取れる。
 主人公は実際に変わっても、オリジナルの『電王』のムードを色濃く描いているのが特徴である。


 白倉伸一郎は『EPISODE YELLOW』パンフレットでも、


 「『電王』に“戻る”ことが、今回のテーマでした。」


 とコメントしているが、
 それゆえ前述の侑斗と愛理の愛のドラマなど、テレビシリーズの作劇に立ち返ったムードは至極当然なのであろう。


 だがオーナーの下で働くテディは、自分以外のイマジンとのコンビネーションで戦うものの、敵であるマンティスイマジンの“女の武器”に勝てない幸太郎を救うため、自ら契約を破棄、彼の元に急行したのだった。


 テディと幸太郎のコンビ復活でNEW電王がようやく登場、マンティスイマジンを倒した。


 だが戦い終わり、恐れていた時がやってきた。
 名コンビ復活と相成ったものの、それは契約に従わないスタンドプレーによるものであった。
 そのためか、テディは砂になり、幸太郎の目前から消えてしまう。
 テディは自らの命を引き換えに、幸太郎を救い、敵を倒したのであった。



 オーナーは良太郎たちの願いも聞き入れず、一見融通の効かない堅物振りを発揮したが、映画『劇場版 仮面ライダー電王 俺、誕生』(07年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20080215/p1)同様、最終的には無言実行振りを今回も発揮となる。
 デンライナーに一人帰還した幸太郎に、オーナーは消えたテディに代わる新しいイマジンを新パートナーとして紹介した。
 その名はアレクサンドロビッチ、つまりテディであった。


 派遣イマジンとしてオーナーへの「時を越えたフリーマケット」の同行業務が終了したため、テディはオーナーの配慮により再度幸太郎との契約による任務を命じられた。



 このテディの復活したシチュエーションに、古い世代である筆者は過去に見たとある作品を思い出した。
 それは『スケバン刑事II(デカ ツー) 少女鉄仮面伝説』(85年)最終回(第42話「少女鉄仮面伝説完 さらば2代目サキ」)のことだ。
 宿敵・信楽老(しがらきろう 演・森塚敏(もりつか びん))と闘い、生死不明になった主人公・二代目麻宮サキ(あさみや さき (演・南野陽子(みなみの ようこ)))だが、その後担任の教師であり暗闇機関のエージェントとしてサキを監視する西脇(演・蟹江敬三(かにえ けいぞう))が、サキがいなくなり悲しみにくれる梁山高校(りょうざんこうこう)2年B組の教室に転校生を同伴する。


 「早乙女詩織(さおとめ しおり)くん!」


 西脇の紹介を受け教室に入るのは死んだと思ったが生きていた麻宮サキであった。
 そして早乙女詩織という名は、彼女の本名である。
 もう死んだと思い、永遠の別れを覚悟していた友との思わぬ再会に狂喜するシチュエーションに共通したモチーフを見出したのだ。


 その後流れた本作のタイトルロールに、『スケバン刑事II』のプロデューサーである東映の中曽根千治(なかそね ちはる)(*4)の名があったのには(『超・電王トリロジー』の脚本面にタッチしているかは断言できないものの)頷(うなず)けるものがあった。


 友情を描くには、もう二度と会えない、しかも死のシチュエーションを匂わせながらも、実は生きていたといったパターンの方が観る側をより驚かせ、反面喜びを大きく感じさせることが出来るだろう。
 そしてそれは、次に描かれる本来の映画の結末とのコントラストをより強調することになる。幸太郎とテディの再会のあと、エンドロールを挟んで衝撃の真実が観客を待ち構えていた。


 本来の時間に帰った美来だが、そこには仏壇に祖母の写真と“遺言状”でもある置手紙。
 現実との直面、縁側には祖母より誕生日プレゼントとして贈られた風鈴の音(ね)が悲しく響いていた。
 結局祖母との別れからは逃れられない。現実の冷酷さ、そして人の生死という感情論を抜きにした悲しい真実によるピリオドで映画は幕を閉じた。


 イマジンに頼ろうとしてもその宿命からは逃れられなかった。
 時間を遡(さかのぼ)っても出来ないことはあり、最後にはその宿命に飲まれるしかないのだ。
 亡くして判る周囲の人の有り難さを痛感した末に、テディと再会できた幸太郎とは違い、祖母の死を受け入れてからそれに気付く美来であった。
 もう取り戻せないのだ。祖母の存在も楽しかった日々も……。


 幸太郎と正反対の結末を迎えた美来の宿命に涙した観客は多いだろう。


 当たり前のことだろうが、今生きている人なら、自分も含めて生命ある者、いつかは死による全ての別れを迎えなければならない。
 それを念押しし、だからこそ観客に今生きている人との思い出を大切に、というテーマが感じ取れる。



 本作でのヒール(悪役)として存在するマンティスイマジンについても言及しよう。 
 『電王』シリーズでは初の女性イマジンで、CV(キャラクター・ボイス)はTVアニメ版『美少女戦士セーラームーン』シリーズ(全五作・92〜97年)のセーラーマーズ・火野レイ役で高名な人気声優・富沢美智恵(とみざわ みちえ)が演じる。
 この女性イマジンは、女性ではあっても若い娘ではなく、妖艶でなまめかしい熟女のムードで演じているのが特徴である。富沢の現在の実年齢もあり、『セーラームーン』時代のイメージではなく、丸で年下の若い男性のエキスをエネルギーにしている娼婦(しょうふ)のような熟女の色気を濃厚にアピールするのが、何よりの目印となる。


 劇中でのセリフも


 「口ほどにも無いわね、たまには満足させて欲しいわ」


 などと、大人の視点から見れば、情事(じょうじ)のあと、若いのに予想以上に力不足で果ててしまい、自分の性的欲求を満足させてくれなかった相手の男性に対して女性があきれた口調で返すリアクションを思わせた。
 また鞭(むち)で攻撃した後に発した


 「悦(よろこ)ばせちゃったみたいだね」


 には、明らかにSM(エスエム)の女王様のイメージだろうと匂わせるものが見受けられ、児童向けの作品らしからぬ、かなり大人の層を意識した、しかもエロスの強い表現であることが如実に感じられる。
 実際に裸の男女が画面に出たり、濡れ場を演じたりする訳でもないのだが、着ぐるみの怪人とヒーローの戦いでここまでフェロモンを強く感じる演出もそう見かけない。またそれに拍車をかけるピンク色の吐息合成と艶(なまめ)かしい音楽が演出の色気を強調した。


 蟷螂(カマキリ)をモチーフにしたスタイルも、交尾の後にメスがオスを食べてしまうことから来る、男性を食い物にする女性のイメージとして昆虫のカマキリを例えるケースに起因するものだと思われる。
 特にイケメンが変身する平成仮面ライダーのイメージと、対する熟女怪人という対比も、若い男を喰う、男勝りの女性による図式を描く色あいを打ち出し、ライダーである若者、特に美少年を喰う年上の女のコンセプトが感じ取れる怪人である。
 そんな秀逸な、且つ大人にしか判らないディープな隠し味的設定を裏打ちする富沢美智恵の声の艶技(えんぎ)もあり、非常に印象深いイマジンとなった。


 そこでこの作品でも筆を執った小林靖子は、マンティスイマジンの意表を突くような秘話を明かした。


 「これも舞原さんがちょっと描写を足したりしてるんですよ。私「イヤン」なんて書かないし。」
 (出典・「東映ヒーローMAX SPECIAL 超・電王トリロジー COMPLETE BOOK」 辰巳出版刊・ISBN:4777807908


 映画は最終的に演出の手に左右されることを立証する秘話である。



 この第二部となる『EPISODE BLUE』の監督は舞原賢三で、1990年代後半になってからの各社のテレビ特撮で幅広く活躍している印象がある。
 彼は円谷映像の深夜枠『エコエコアザラク』(96年)『仮面天使ロゼッタ』(97年)『千年王国III(さん)銃士ヴァニーナイツ』(99年)から、21世紀に入ると東宝の『超星艦隊セイザーX(エックス)』(05年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060712/p1)、日活の『トミカヒーロー・レスキューファイアー』(09年)、そして『仮面ライダー電王』を筆頭とした東映の諸作品で知られる。



 その多くの演出作品から舞原の代表作を選ぶなら、実写版『美少女戦士セーラームーン』(03年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20041105/p1)の第33話「亜美ちゃんが転校?」、34話「はなしあう親子」を挙げたい(脚本は実写版全話を小林靖子が担当)。


 このエピソードではセーラーマーズ・火野レイ(演・北川景子)、セーラーマーキュリー水野亜美(演・浜千咲)の親子関係にスポットを当てていた。
 二人に共通する片親である境遇とその親との衝突といった近況、レイは父親(演・升毅(ます たけし))が母親の亡くなった時に病院に来なかったことに今尚憎悪を抱いており、亜美は転校させようとする母親(演・筒井真理子)との衝突があり、その中での親子の雪解けを描く名編である。


 また亜美の子ども時代を演じていたのはご存知『電王』のコハナ役の松元環季(まつもと たまき 〜『セラムン』では“松本環季”表記)であるのも、本作を言及する上では重要なポイントだろう。
 父と娘、母と娘、そしてこの映画での祖母と孫娘、祖父と孫といった違いはあるが、家族関係を軸にしたキャラクターの人間像を描くシチュエーションといった観点から、比較対象として、この『セラムン』を取り上げてみた。



*4
 中曽根千治は『仮面ライダー龍騎』でも活躍したが、その一時間枠によるスペシャル特番『仮面ライダー龍騎スペシャル 13RIDERS(サーティーン ライダーズ)』(02年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20021105/p1)に登場したゲスト主役である高見沢逸郎(たかみさわ いつろう 演・黒田アーサー)・仮面ライダーベルデの武器が、超合金のヨーヨーであった部分に、この『スケバン刑事』へのオマージュやノスタルジーを感じたファンは多いと思う。
 そもそも『スケバン刑事』シリーズ自体、アクションが大野剣友会ということも手伝い、アクション自体初期の『仮面ライダー』(71年)に近いテイストを感じたファンは多かったが、こうして今度は逆に、「平成仮面ライダー」で『スケバン刑事』シリーズを匂わせるオマージュが見受けられるのは小生のように両作のファンとしては嬉しい。


(『EPISODE YELLOW お宝DE(デ)エンド・パイレーツ』評につづく)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2010年初夏号』(10年07月発行)『仮面ライダー×仮面ライダー×仮面ライダーTHE MOVIE 超・電王トリロジー』評より分載抜粋)



(編:弊ブログ主宰者の本作に対する個人的な感慨をチョット挟ませていただくことをお許しを。


 本作を批評オタクとしてイジワルに分析するならば、仮面ライダーNEW電王の幸太郎を演じる桜田通(さくらだ・どおり)クンが演技面ではまだまだだから、彼を主人公としつつも、実質的にはゲストの学生孫娘とお婆ちゃんの演技達者なメンバーの方で、地に足がついた人間ドラマを展開させてみた……といったウラ読みもできなくはない。
 もちろんコレは作品への批判ではない。背伸びしすぎて玉砕するよりも、勝算の見込める範疇にて地道に勝負をした方がイイ。そして本作はそれに成功している。


 さらにイジワルに見ていけば、ホントにホントのリアリズムで考えれば、孫娘がふたり出現して、お婆ちゃんが驚かずに老賢者のように達観しているのもアリエナイ話ではある。
 電王こと未婚の良太郎クンが、青年の姿をした孫の幸太郎を爺のように親身に心配するのも、『劇場版 仮面ライダーキバ 魔界城の王』(08年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20081004/p1)における、まだ生まれていない息子・紅渡(くれない・わたる)が2008年世界から突如タイムスリップしてきたのを、愛すべき息子として扱い信じつづける1986年世界の紅音也(くれない・おとや)同様、冷静に考えながら鑑賞していたら紙一重で失笑のキワドイ描写ではある(……冷静に考えればだよ!)。


 ただ、物語というものはリアリズムが必ずしも優先するものではない。
 かくあってほしい、正義が勝ってほしい、愛や希望や善意や叡智が勝利してほしい、たとえ現実はそうではなかったとしても……という願望を体現するものでもある。
 よって、リアルではないから劣っているということにもならない。
 時に逆比例の関係、リアルではないからこそ精神的・道徳的テーマが際立つこともありうるし、逆にテーマ表現のためにこそリアリティの度合いをあえて下げるというクレバーな作劇の方法論もありうる。


 当然のことながら、リアルか否か、テーマがあるか否か、といったことで天と地ほどの優劣を当方は付けたいのではない。
 北海道と九州を取り出して、世界の両極端、2項対立と捉えるような愚を犯す必要もない。
 北海道の北には千島列島があり、九州の南には沖縄があり、北極や南極もあるように、東も西も成層圏も地底も地球のウラ(笑)もあるように、優劣ではなく緯度や経度のゆるやかなグラデーションの違いを言語化して、その作品がどのポジションにマップされるのかを明らかにして、たしかにそーなっていると腑に落とすのも作品批評の役目・機能のひとつかと思われるからだ。


 話を戻せば、70分強の尺の映画で、お婆ちゃんがふたりの孫の出演に驚愕し、不信から信頼に変心する過程を説得力をもって描くことは難しいと思われる。であれば、本作のようにお婆ちゃんの善性・洞察力のみを最初から強調した、演出にて力ワザで押し切る描写・作劇もまちがっているとは思えない。
 そのかぎりでは本作は、本当によくできていたとは思うのだ。


 ただし、個人的にはお婆ちゃんとの孫娘のエピソード自体のことではなく、劇場にかかる映画として「お祭り」感覚、「スペシャル」感、テンションの高まりに若干乏しいのには少しの物足りなさが残る。
 もちろん東映の白倉プロデューサーによる、TV正編の『電王』の通常編のようなノリにしたかった……という趣旨の発言は承知している。
 ただし、それはフィルムの外でのマニアしか眼にしない媒体での発言であって、観客や批評家が奴隷のようにその見解や狙いにナットクしてしまったり、批評において答案の答え合わせをする必要もないだろう。
 もちろん「オールスター」のお祭り映画をここで作れという極論ではない。いつもの白倉Pであれば、コレ見よがしの客引きの要素をもういくつか本作のような映画に入れたであろうとも思うという話である。
 まぁ実際には本作は、興行面でも程々に成功しているので、特にケチを付ける必要がないのも事実だが、もっと興行的には上に行けたのではないのか?(笑)


 思うに、白倉Pにも『超電王』シリーズを続行させるか、あるいは意表外にも『電王』に匹敵する人気を獲得してしまった『仮面ライダーディケイド』(09年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090308/p1)を映画にて続編シリーズとして続行させるか、本作の企画時点においては迷いがあったのではなかろうか?
 東映TV特撮・東映TVアニメ作品としては珍しく、本作の前年末の正月ライダー映画で、いつもならばエンドテロップ後に次作の劇場版の告知を、映像なしのタイトルだけでも打ちそうなものなのだが、それがなく、本作は年明けになってから公開が告知されたことからも、このようなゲスな憶測をしてみたくなった次第である。
 
 
 「お祭り感」に若干乏しいなぞと、ナイものねだりでケチを付けつつも、それをのぞけばいわゆるイイ話ではあった。
 元気でシメっぽい話がキライな男児向けではないのかもしれず、ラストバトルのあとに人間ドラマのクライマックスが長々と来るパターンの作劇ではあるが、すでにオッサンである当方も実はラストでは大いに落涙したのであった……笑)


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