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超・電王トリロジー EPISODE RED ゼロのスタートウィンクル 〜&レッツゴー仮面ライダー!

仮面ライダー×仮面ライダー×仮面ライダーTHE MOVIE 超・電王トリロジー EPISODE BLUE 派遣イマジンはNEWトラル
仮面ライダー×仮面ライダー×仮面ライダーTHE MOVIE 超・電王トリロジー EPISODE YELLOW お宝DEエンド・パイレーツ
『仮面ライダー』シリーズ評 〜全記事見出し一覧


 映画『オーズ・電王・オールライダー レッツゴー仮面ライダー』公開記念!
 4月3日は、1971年4月3日(土)の『仮面ライダー』初作#1、2011年4月3日(日)の『仮面ライダーオーズ』#28でTVシリーズ通算1000話、兼40周年のメモリアル・ハッピーバースデー!! ……とカコつけて(汗)、
 昨年の映画『仮面ライダー×仮面ライダー×仮面ライダーTHE MOVIE 超・電王トリロジー EPISODE RED ゼロのスタートウィンクル』評をUP!
 (『EPISODE BLUE』『EPISODE YELLOW』評も、『仮面ライダーW』のVシネマ合わせか何かで、誰も待ってなくてもUP予定・笑)



 映画『オーズ・電王・オールライダー レッツゴー仮面ライダー』(11年)は、ただ戦ってるだけの内容だろう……そしてそれでもイイだろう……と思っていたのだが!
 弊ブログ主宰者のような平成ライダー肯定派の当方でも、根は昭和ライダーで産湯をつかったオッサン的には、オッサンホイホイについついひっかかってしまい、心の琴線をくすぐられてしまう大ケッサク映画!
 映画『仮面ライダーW FOREVER AtoZ/運命のガイアメモリ』(10年)につづいて、またも平成ライダー劇場版の最高ケッサクが観られてしまった幸福に打ち震えるのであった(両作の方向性は全然ちがうけど・笑)。


 子役ゾロゾロ登場の少年仮面ライダー隊、『仮面ライダー』初作(71年)での新1号編(#52〜)の終盤から最終回(#98・厳密には71年ではなく72〜73年の出来事のハズだが、細かいことは気にするナ)のリメイクというかトレース・なぞり(笑)で、それにNEW電王とモモタロスが加勢しているだけの展開、ロートルマニアには衆知である最終回のショッカー大首領の正体明かしになっていない正体の再現(笑)。
 果ては『仮面ライダーストロンガー』(75年)後半のデルザー軍団編〜栄光の最終回のリメイクでもあるとゆー。
 コレのドコが平成ライダー映画なんだよ!? オッサン転がしの度合いがすぎる退嬰的(?)な、とはいえ誰が観ても内容は理解できる強敵を一致協力して撃破する映画だゾ!


 一昨年の『オールライダー対大ショッカー』(09年)はまぁお祭り映画だからあのスカスカな内容でもイイんだけれども、客観的には散漫な出来であったのは否めないと思うし、そのときの鬱憤・フラストレーションのリベンジは本作にて早くも果たされたのであった……。
 同伴していたオタ友は、一度観れば充分な映画であったとイマイチ・イマニなご様子でしたので、この感想はあくまで一主観の表明として好事家の方々はその眼でぜひともご確認を(笑)。


仮面ライダー×仮面ライダー×仮面ライダーTHE MOVIE 超・電王トリロジー EPISODE RED ゼロのスタートウィンクル

(10年05月22日封切)
(脚本・小林靖子 監督・金田治 アクション監督・村上潤 特撮監督・佛田洋

速報! これが『仮面ライダー×仮面ライダー×仮面ライダー THE MOVIE 超・電王トリロジー』だ! 三作連続クライマックスレビュー

(文・森川由浩)
(昨2010年06月執筆)


 昨年こと2009年、即(すなわ)ち平成21年は、平成仮面ライダー10周年記念のアニバーサリーイヤーに相応(ふさわ)しい一年であった。


 10周年記念作品のテレビシリーズ『仮面ライダーディケイド』(09年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090308/p1)のヒット、
 続く後番組『仮面ライダーW(ダブル)』(09年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100809/p1)のヒット、
 歴代仮面ライダー映画史上最高の興行収入新記録を更新した『劇場版 仮面ライダーディケイド オールライダー対大ショッカー』(09年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20091213/p1)、
 『仮面ライダーディケイド』の完結編と『仮面ライダーW』の誕生編、その両作品のジョイントバトルを描くこれぞ超・娯楽大作に相応(ふさわ)しい、メモリアルイヤーを締め括る映画『仮面ライダー×仮面ライダーW&ディケイド MOVIE大戦2010(ムービーたいせん にせんじゅう)』(09年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20101220/p1)の連続大入り興行達成。
 またジャニーズ事務所の人気アイドルグループ・SMAP(スマップ)の稲垣吾郎(いながき ごろう)を主役に招き、特番の1プログラムとはいえ、単なるバラエティー番組とは思えない力の入り具合で多くの視聴者より喝采を浴び、1月に高視聴率を獲得、11月にアンコール放送まで実現した『仮面ライダーGジー)』(09年)の登場。


 と、枠に収まらない活発な展開で、多くのファンに平成仮面ライダーの存在と印象を強く刻印することに成功した。


 これだけの目白押し展開の中に、番組終了後も新作映画の継続で多数のファンからの人気を継続、平成仮面ライダーの人気を延命した『仮面ライダー電王』(07年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20080217/p1)の新作映画『劇場版 超・仮面ライダー電王&ディケイド NEO(ネオ)ジェネレーションズ 鬼ヶ島の戦艦』(09年)の存在も2009年にはあったのだが、前述の諸作品の強烈な印象に掻き消され、地味に映ってしまった印象を抱いた。
 『仮面ライダー電王』は、大々的な新シリーズ化を公言したものの、事実『仮面ライダーディケイド』もヒットして、ポスト『電王』化してしまった現状の最中(さなか)、明確な完結編を作らずに自然消滅したかのような錯覚を与えつつあった。


 しかし、2010年度に入り、忘れ去られようとしていた『電王』の新作映画の情報がファンの耳に入る。
 2009年度開始時期とは違い、『ディケイド』のヒット、続く『W』の好評は、一時期低下気味の傾向を見せていた平成仮面ライダーの視聴率と人気浮上に見事成功した。
 夏に『W』の新作映画『仮面ライダーW FOREVER AtoZ/運命のガイアメモリ』(10年)公開、秋に『W』の後番組にあたる新作テレビシリーズ『仮面ライダーオーズ』(10年)を控え、その嚆矢(こうし)となるべき使命を受け、初夏に向けて『仮面ライダー×仮面ライダー×仮面ライダー THE MOVIE(ザ ムービー) 超・電王トリロジー』(10年)と題し、しかも全三部作を二週間交代で連続上映するシステムの作品を公開することになった。


 ちなみに現在放送中の『仮面ライダーW』は、ご存知の通り「二人で一人の仮面ライダー」の決め口上がキャッチコピーであり、セールスポイントになっている。
 だが『仮面ライダー電王』こそ、まさに「二人で一人の仮面ライダー」の先駆けであった。憑依型(ひょういがた)モンスターのイマジン、そのイマジンと人間の二人による契約が成立することにより、変身できる仮面ライダーだ。
 現行の『仮面ライダーW』がリアルタイムで放送中の昨今だから、『電王』の先進性を再確認させられる。
 常に野心的な試みをふんだんに盛り込んだ平成仮面ライダーシリーズに『電王』は帰ってきた、いや「俺、再び参上!」したのだ。


 この映画の主人公は三作ともに異なり、
 第一部『EPISODE RED(エピソード レッド) ゼロのスタートウィンクル』(10年)は、野上良太郎(演・溝口琢也(みぞぐち たくや))の姉・愛理(あいり 演・松本若菜(まつもと わかな))と仮面ライダーゼロノス・桜井侑斗(さくらい ゆうと(演・中村優一))の愛のドラマを描き、
 第二部『EPISODE BLUE(エピソード ブルー) 派遣イマジンはNEW(ニュー)トラル』(10年)では、良太郎の孫・幸太郎(演・桜田通(さくらだ どうり))とイマジン・テディの契約終了という危機を迎えての戦いを描き、
 第三部『EPISODE YELLOW(エピソード イエロー) お宝DE(デ)エンド・パイレーツ』(10年)では、『仮面ライダーディケイド』のサブライダー・仮面ライダーディエンド・海東大樹(かいとう だいき 演・戸谷公人(とたに きみと))を主役に、時空警察の黒崎レイジ(演・古川雄大(ふるかわ ゆうた))が変身する仮面ライダーG電王(ジーでんおう)との対決を描く。


 佐藤健(さとう たける)演じる野上良太郎はもう登場しないが、それ以外のキャラクターと自由自在な設定でこれからも観客、いや乗客の予想を超える作品世界を展開する『電王』シリーズ、「まだまだ“最終電車”ではありませんよ〜!」といった意欲が濃厚だ。


 そして監督も三作品とも別の人物が競い合うようにして担当している。


 『EPISODE RED』は金田治(かねだ おさむ)、
 『EPISODE BLUE』は舞原賢三(まいはら けんぞう)、
 『EPISODE YELLOW』は柴崎貴行(しばざき たかゆき)


 と、見事に三世代に分かれ、独自のカラーを醸し出している。


 白倉のコメントを引用するなら、


 「今回は監督も、ベテラン、中堅、若手と揃ってるんですよ。」
 (出典・「東映ヒーローMAXSPECIAL 超・電王トリロジー COMPLETE BOOK」 辰巳出版刊・ISBN:4777807908


 三世代の監督の演出観は勿論(もちろん)、そこに違った形で反映される作風により、一作一作が独自のコントラストで際立つことを狙ってのコメントであろう。
 テレビシリーズ連続物ドラマでも、一人の人物が全話を通して演出することはたまにあるが、たいていのテレビドラマやこうした特撮作品は何名かの監督のローテーションで持ちまわることで一年の長丁場をこなす。
 その別人の感性による作風の違いや色合いを比較するのも楽しみ方の一つだ。


 また三作ごとのコンセプトの差異を公式サイトにて公言しているのも特徴といえるだろう。


 『EPISODE RED』は「TVシリーズ」としての『電王』のこれから、
 『EPISODE BLUE』は「劇場版シリーズ」としての『電王』のこれから、
 『EPISODE YELLOW』は「仮面ライダーシリーズ」としての『電王』のこれから、
 を描いております。
 (公式サイト「NEWS」2010年5月20日分(http://www.den-o-3.com/news/20.html)より)


 前述の内容からも顕著だが、平成仮面ライダー誕生10周年を経て、今年2010年は11周年、来年2011年は昭和ライダーからの誕生40周年という節目を控え、次なる発展と飛躍を目指す製作者の意図が明確な宣言である。


 今では大昔に見える昭和30年代の邦画黄金期は、一週間単位で上映プログラムが交代というのが当たり前だったが、今や映画の製作本数もそう多くなく、中には当たれば一本の作品を延長公開と称して、だらだら引っ張り次回作までの時間稼ぎを行うケースも時折見られる。
 更に家庭へのビデオ機器の普及以後、レンタルビデオや今ならDVDメディアでの発売を前提とした「Vシネマ」に代表されるオリジナルビデオ作品などの登場もあり、劇場で映画を観る習慣が昔に比べて根付いていないといった時代背景もあってだろう(シネコンの普及で映画人口がまた増えているとはいえ)。


 そこにGW(ゴールデンウィーク)や夏休み、冬休みといった長期間休暇にも当たらない、祝日もない5月後半から6月にかけて、明らかに“苦戦”を強いられそうなこの時期に、公開期間を縮めることで観客の熱の冷めないうちに新作を連打、長期休暇から外れた時期でも映画をヒットさせようとするスタッフの意欲と野心を強く感じる。
 やはり『電王』は終わってはいなかったのだ。


 『電王』にも何かしら影響を与えたことが如実なタイムスリップ映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(アメリカ 85年)も合計3作が製作されたことから、『バック・トゥ・ザ・フューチャー・トリロジー(三部作)』とも呼ばれ、映画の三部作の代表例にあげられることがある。
 このネーミングも時間を駆け抜けるコンセプトの共通点に起因して、『電王』はライダーにおける『バック・トゥ・ザ・フューチャー』という比喩もあってだと思われる。


 この三部作実現には、然るべき人物が仕掛け人として存在した。
 今や日本のロジャー・コーマンとすら一部のマニア間では呼ばれ、平成仮面ライダーシリーズを単なる“ジャリ番”といった概念から解き放つだけのムーブメントに高めたあの男・白倉伸一郎(しらくら しんいちろう)。
 ロジャー・コーマンとはアメリカのB級映画の王様的なプロデューサー。予算・人的資源・技術的資源の限界にシビアであり、身の丈を超えた映画は作らない人物である。多くの映画人が超大作の製作に手を出して失敗することが多い中、コーマンは現在に至るまで大きな失敗なく生き残っている。まさに白倉は和製コーマンと呼ぶべきだろう。


 上司の鈴木武幸(すずき たけゆき)は語る。


 「どうしてもイベント性が必要かなということで、私どもの白倉伸一郎プロデューサー(東映東京撮影所所長代理兼東映テレビプロダクション社長)の発案で、日本初の、2週間おきに3作品連続上映という、今まで過去になかったイベント性の強いことをやってみようじゃないかと始めるわけです。「電王」は2007年にスタートしたものですが、普通は1年放送すれば終わってしまうのですが、これが出来るのも、猛烈な「電王ファン」がいるからでしょう。他の作品では考えられません。今回、この「電王」人気に支えられ、シリーズ第5弾・6弾・7弾の3作品を連続上映しますが、一つのタイトルでこんなに短期間に7本も上映するというのは、たぶん日本の映画史の中でもなかったんじゃないかと思います。」
 (出典・「文化通信ジャーナル」(文化通信社刊)2010年4月号)


 10周年を超え、11周年に向けての和製コーマン・白倉伸一郎の次なる飛躍が始まった。
 テレビシリーズ『仮面ライダー電王』で本来の主人公・野上良太郎(のがみ りょうたろう)を演じた佐藤健(さとう たける)は承知の通り、本作には一切登場しない。
 だが既にアニバーサリーイヤーを飾る記念作『仮面ライダーディケイド』にて、明らかにライバルであるウルトラマンの映画『大決戦! 超ウルトラ8兄弟』(08年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20101223/p1)にインスパイアされたかの如く、別世界パラレルワールドに存在するヒーロー設定を導入した。
 しかし、先人の完全な真似はせずか、オリジナルキャストではない別人にヒーローを演じさせることを原則(*1)とした“反則技”で見事に作品世界を活性化。
 視聴率や関連商品売上、興行成績も上昇させ、“結果良ければ全て良し”的な成果を上げたヒットメーカー・白倉伸一郎の手による作品だ。


 常に柔軟且つ奇抜な発想で作品をヒットさせる。これが大事なのだ。
 最後の切り札であるウルトラファミリーの再導入以後、結局型にはまって新しいことが出来なくなり、その割に興行配収や視聴率では報われない結果が続く円谷プロの『ウルトラマンシリーズ』との違いが顕著である。


第一部『EPISODE RED ゼロのスタートウィンクル』

(2010年5月22日公開)


 このシリーズのトップを飾るのは、前作の『超・電王』こと『劇場版 超・仮面ライダー電王&ディケイド NEOジェネレーションズ 鬼ヶ島の戦艦』の事実上の主役(*2)であった桜井侑斗(さくらい ゆうと)=『電王』での2号ライダー・仮面ライダーゼロノスの物語である。
 しかもテレビシリーズでも描写のあった、野上良太郎の姉・愛理(あいり)との恋の行方を追う作品であり、ラブロマンスの要素でトップバッターを飾る。


 女性ファンの多い『電王』、手堅く観客にアピールできるラブロマンスで女性をキャッチすることでスタートを飾った。
 今度は侑斗が主役ではあるが、既にテレビシリーズにて侑斗と愛理の間に生まれた娘がヒロイン・ハナであることが明かされており、今回はそこへの更に明確な言及や描写もあるのでは? といった期待をいつしか観客に抱かせる。


 この映画はベッドの上で誰か男の手を握り何かを託す愛理の描写から始まる。
 男は桜井侑斗、しかも見慣れた青年侑斗ではなく少し年齢を経ているようだ。


 この中年侑斗は、若い頃の自分に、同じく若き日の愛理の護衛を命じた。
 なにやら訳ありの状況下、テレビシリーズでも描写されたことがあるシチュエーションに、『電王』のエピソードの後日談であると気付いたファンも多いだろう。


 ここで話題を振ったテレビシリーズ『電王』の第31話「愛・ニード・侑(アイ・ニード・ユウ)」では、愛理が借金の保証人になったために彼女が切り盛りする喫茶店・ミルクディッパーが差し押さえになる状況下、金融会社の社長・藤代(青木伸輔)が突如現れ、愛理に借金を帳消しにする代わり、自分との結婚を条件として突きつけるが、愛理はそれを当然断る。
 続く第32話「終電カード・ゼロ」では藤城の愛理への執念に目を付けたアントホッパーイマジンが彼に詰め寄り、藤代は愛理を我が者にするために契約を承諾した。一方桜井侑斗はゼロノスに変身するカードがあと一枚しかない状況であるが、愛理を守るために最後のカードを使って変身、仮面ライダーゼロノスとなり電王と協力して強力なアントホッパーイマジンを倒した。
 その最後のカードを使い切ると、自分に関する記憶を周囲の人たちが失うこととなり、最愛の愛理も自分のことを思い出しかけていたにもかかわらず、結局侑斗の存在を忘れてしまうのであった。


 この31〜32話のゲスト主役である藤代だが、金と地位と名誉に物を言わせ、一方的な横恋慕(よこれんぼう)もさることながら、心惹かれる女性を強引に物にしようとする人物像には、小林が先に手掛けた『仮面ライダー龍騎』(02年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20021102/p1)の敏腕弁護士・北岡修一(演・涼平(りょうへい))こと仮面ライダーゾルダを想起させるものを感じ取れる。
 このシチュエーションに懐かしさを感じた平成ライダーファンもいただろう。


 この作品は脚本・小林靖子、監督・金田治のコンビによるエピソードといったことも手伝い、ヒロインとその婚約者と二人の恋を阻む者の三角関係の図式からも、『EPISODE RED』の原型であり、かつ続編的存在であることが明確である。
 第32話で囚われの身となった愛理を助けに来た侑斗にゆっくりと手を差し出す愛理の描写は、この映画の冒頭でオマージュとして存在し、回想シーンにも該当エピソードのアントホッパーイマジンの活躍が挿入されている要素もそれを強調、視聴者も気になっていたテレビシリーズで明確な結末の描かれなかった侑斗と愛理のロマンスのNEXT(ネクスト)を呈示する映画となった。


 とはいえ、金田は本作パンフレット上にて、この31話と32話について


 「TVなので、「ここでお終(しま)い」的に終わってるんです(笑)。」


 と発言している。


 だがこうした発言があっても、のちに侑斗と愛理が結婚するという未来が設定されている。
 類似例を出すなら、『ウルトラマンティガ』(96年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19961201/p1)の主人公であるマドカ・ダイゴ(演・長野博)とヤナセ・レナ(吉本多香美)とのロマンスがシリーズを追う中徐々に形になり、次回作『ウルトラマンダイナ』(97年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971213/p1)では、二人が結婚、その後娘が生まれた愛の進行が明確に描かれているが、その中間のプロセスである結婚に至る前の“愛の進展”を描いた映画『ウルトラマンティガ THE FINAL ODYSSEY(ザ ファイナル オデッセイ)』(00年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19961209/p1)が製作公開されたかの如く、『ティガ』に於ける『FINAL ODYSSEY』的存在で、侑斗と愛理の愛の行方を描いた作品が、この『EPISODE RED』だろう。
 そんな下地が作品背景に存在する中、物語は進行する。


 愛理が営む喫茶店・ミルクディッパーはリニューアル中で新装開店を目前に控える。その準備で忙しい愛理が突如現れた暴漢にからまれる。
 間一髪モモタロスが憑依した状態の良太郎が姉の窮地を救う。暴漢は男に頼まれたと白状した。その男は菊地宏(演・中泉英雄)といい、一方的な恋心を愛理に抱いた哀れな男で、その裏には予想通りイマジンが裏に存在した。
 だがその様子を密かに伺う桜井侑斗の影があった。何故侑斗が……?


 愛理に一目ぼれした菊池宏という青年が、「彼女のピンチを救うヒーローになりたい」という願いで、ピギーズイマジンと契約したのだ。
 見るからに女性には無縁といったムードを色濃く演出した男が通りすがりの美女に恋をし、他力本願ではあるが、同じくふと出会ったイマジンの力を借り、いいところを見せて愛理の心を惹きつけようとする。
 この菊地には、神頼み人頼みの不甲斐ない近年の男性像が投影され、それをより強調するため、侑斗が若き日の妻を若き日の自分に守らせるというシチュエーションが生きてくる。
 また愛する女性を我が物にしたいが故にイマジンに魂を売る菊地だが、前述のテレビシリーズ第31話、第32話に登場した藤城とは正反対で、金も地位もないひたすら“だめんず”の見本みたいな素性であるのが特徴だ。
 それでも男性である限り女性に心惹かれ、恋心を抱くのである。そうした人生の矛盾や哀愁も本作は無言で語っている。


 ピギーズイマジンは、童話『三匹の子豚』をモチーフにしたスタイルで、一人の怪人の両肩に頭部を配した、一人で三人の意志を持つ怪人である。
 それは複数の顔とゴールドの金属感溢れるテイストの仕上げも手伝って、先に『仮面ライダーディケイド』第28話「アマゾン、トモダチ」、第29話「強くてハダカで強い奴」の「アマゾンの世界」編(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090809/p1)に登場した大ショッカー版の十面鬼(じゅうめんき 『仮面ライダーアマゾン』(74年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20001008/p2)前半の敵首領)を想起させるイメージを打ち出すビジュアルのモンスターだ。
 言わば“紅の豚”(くれないのぶた)ならぬ“黄金の豚”(おうごんのぶた)とでも称するイマジンだろう。


 戦い終わって、菊地により捕らわれの身となった愛理を救出、彼女を店に送るための侑斗とのタンデム(バイク二人乗り)が物語のフィナーレを飾る。

 満天の星の元、侑斗が駆るバイク・ゼロホーンが愛理を乗せ夜道を走る。
 子どもには退屈なシーンではあるが、本作のメインディッシュである、正に「本当のクライマックスだぜ!」とでも表現すれば良いだろう。
 侑斗と愛理がやっと二人きりになり、それこそ“デートムービーの模範的シーン”と言わんばかりに、ムーディーな、そして静かな場面が銀幕に映し出される。


 結局、この映画で多くのファンが期待した愛のドラマの描写は、その本格的な結末としての表現、例えばプロポーズなどに見られる具体的なものがなかったので、そういった明確な回答を求める向きには不完全燃焼的な印象を抱くかも知れない。
 だがまだまだ早い、“恋する内が華(はな)”のような観点で見る向きには、このタンデムシーンこそがクライマックスだぜとも受け取れる。


 結局“出し惜しみ”じゃないかの声もあり、最終的にはいま一つの印象がなくもないが、今後次回作の『超・電王』シリーズで更に踏み込んだ具体的な愛の描写があるのではと、密かに期待をしている。


 脚本は『電王』シリーズの要である小林靖子が今回も担当してはいるが、一作目と二作目は脚本自体の執筆で、三作目は脚本監修としての参加になっている。


 本作は知っての通り、愛の描写が中心だが、勿論アクションの存在も忘れられない。
 アクション監督(または殺陣師(たてし))はスーツアクター出身で、ミドレンジャー(『秘密戦隊ゴレンジャー』(75〜77年))、メガロマン(『炎の超人メガロマン』(79年・東宝))、デンジグリーン(『電子戦隊デンジマン』(80年))、ギャバン(『宇宙刑事ギャバン』(82年))等のヒーローを演じ、『仮面ライダーBLACK(ブラック)』(87年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20001015/p2)より金田のあとを受けてアクション監督になった村上潤(むらかみ じゅん 一時期J・ムラカミの名義で活躍)がこの映画三部作全てを担当している。
 尚村上は、昨年放映された『仮面ライダーG』でアクション監督を担当しており、一年振りのライダー参加となった。


 本作の監督は前述のように、殺陣師あがりで、現在JAE(ジャパン・アクション・エンタープライズ)社長である金田治だ。
 平成仮面ライダーシリーズでは監督、しかもアクション監督だけではなく、本編の監督としても名を上げ、年間のローテーションに入り、平成ライダー演出の要としてもその存在を知らしめる人物である。


 1970年に日本アクションクラブ(後にJAC(ジャック=ジャパン・アクション・クラブ)→JAEに改名)へ入団。
 以後『人造人間キカイダー』(72年)にトランポリン担当としてクレジット、ヒーローであるキカイダースーツアクターも務め、やがて『正義のシンボル・コンドールマン』(75年)で殺陣師(この時代は「技斗(ぎとう)」と表記)となり、以後『アクマイザー3(スリー)』(75年)、『超神(ちょうじん)ビビューン』(76年)、『スパイダーマン』(78年)、戦隊シリーズバトルフィーバーJ(ジェイ)』(79年)などの諸作品で活躍する。


 その功績は70年代後半から80年代に続く東映特撮ヒーローアクション、言うならば『柔道一直線』(69〜71年)から昭和の『仮面ライダー』シリーズ(ここでは初代から『仮面ライダーZX(ゼクロス)』(雑誌展開82年、テレビ放映84年)までの時期のライダーを対象とする)へと連なる大野剣友会の殺陣と相対(あいたい)するJACのアクションスタイルを確立。
 1982年にスタートした『宇宙刑事ギャバン』(82年)では、作品世界観にマッチングした未来的且つ斬新なアクションを構築、それにデザイン、造型、ストーリー、ドラマが一体となりヒーローの縦横無尽性を見事に表現したことにより、新時代のヒーローアクションの旗手(きしゅ)として有名になった。
 そして『特捜(とくそう)ロボ・ジャンパーソン』(93年)でアクション監督だけではなく、本編の監督としてもデビュー、二年後のメタルヒーロー『重甲(じゅうこう)ビーファイター』(95年)では遂に劇場映画の監督としても登板、以後アクション監督のみならず、本編の演出でも着実にキャリアを重ねてきた。


 平成仮面ライダーシリーズ第一弾『仮面ライダークウガ』(00年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20001107/p1)では監督初登板の第32話「障害」(脚本・井上敏樹(いのうえ としき))、第33話「連携」(脚本・井上敏樹荒川稔久(あらかわ なるひさ))にて、オートバイのトライアル競技で有名な成田匠(なりた たくみ)によるクウガ愛用のマシン・トライチェイサー2000による華麗なバイクアクションを披露、“仮面ライダー”の面目躍如たる演出を確立、現在に至るまで社長&監督として現役であり続ける大きな存在だ。
 そんな金田の最近のトピックは、昨年夏季休暇興行を代表するビッグヒット映画『オールライダー対大ショッカー』で、ライダー映画史上最大の収益19億円を上げた監督であることだろう。
 それがあってかどうかは定かではないが、『超・電王トリロジー』第1弾はドル箱監督で幸先(さいさき)良い幕開けを飾ろうとしたのかも知れない。

 だがこの本作、今度はラブロマンスとあり、生粋の殺陣師である金田には一瞬ミスマッチングかとマニアには思わせてしまった。
 とはいえ、ここで引き合いに出したいエピソードがある。


 それは過去に金田の手掛けたメタルヒーロービーファイターカブト』(96年)第11話「涙の海を越えて撃て」(脚本・宮下隼一)(*3)だ。
 これは純愛ドラマとは言いがたい部分もあるのは承知の上で言及すれば、ビーファイタークワガー・橘健吾(たちばな けんご)(演・足立直人)と白石エリカ(演・川村ティナ)の恋人同士ではないとはいえ、旧友同士の思わぬ再会と早すぎた別れを描き、ラストでのエリカの亡骸を抱きかかえ波止場に佇(たたず)む健吾の姿に、小山内博士(演・山口良一)が傷心の部下を気遣い、励ます独白が被るが、それが観る者の心に訴える。


 「若者よ、泣くがいい。だが希望を捨てるな! 希望がある限り、戦い続ける限り、君たちに、地球に明日はやってくる。頑張れ若者たち、ヒーローたち……。」


 彼の手によるこうした情感あふれる演出に彩られた良作が存在することからも、決してこうした男女の機微を描く作品が不得意ではないことを立証している。
 劇場販売用パンフでは金田自身の「苦手な恋愛ものですが研究してみました」との発言があっても、脚本の小林靖子は、「アクションだけでなくて、ああいう切なくて、ロマンチックな内容のものも実は得意なんじゃないかなと思うんです。」と評し(出典・「東映ヒーローMAX SPECIAL 超・電王トリロジー COMPLETE BOOK」)、そこは監督生活十数年クラスのベテランだと感心させられた。


 暴走するトラックとゼロノスが駆るマシン・ゼロホーンのカーチェイスに見られるアクション映画の定番的描写も見られ、金田節(かねだ・ぶし)健在を見せてはくれるが、回想シーンの愛理が別の男性と結婚式を挙げるシーンに侑斗が割り込み、彼女を奪還する描写は、往年のラブロマンス映画のスタンダード『卒業』(アメリカ・67年)に範を得たと見られるシチュエーションで、それはセピアトーンで昔の無声映画風に仕上げられたコメディタッチの演出で息抜きのシーンとして存在、作品のメリハリを付けている。


 パンフレットなどのインタビューでは、金田は近年女性層に大流行した韓国ドラマを意識したとのコメントがある。
 ちなみに既に白倉伸一郎も、一作目の『仮面ライダー』世界を今の時代にリニューアルして甦らせた映画『仮面ライダーTHE FIRST(ザ ファースト)』(05年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060316/p1)の時点で「ライダーで『冬ソナ』(『冬のソナタ』韓国・02年 日本放映03年)をやりたかった」と日本に「韓国ドラマ」の普及を促(うなが)した作品を引き合いに出した、守旧的なマニアには反発を呼びそうな斬新な発言をしている。


 そして白倉のライダー初担当であるビデオ作品『真・仮面ライダー 序章(プロローグ)』(92年)は、原作者・石ノ森章太郎が常々心に描いていたリアルかつグロテスクな飛蝗男(ばったおとこ)としての仮面ライダーのイメージコンセプトが先行していたように思われているが、実は本作のターゲットとして意識した成年層(当時の旧作昭和ライダー世代)に向けてのセールスポイントは、異形(いぎょう)の改造人間(男性)と人間(女性)とのラブロマンスにもあった。
 その嗜好性、志向性を更に推し進めた『仮面ライダー555ファイズ)』(03年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20031102/p1)では、オルフェノク(怪人)と人間の愛が描かれ、白倉のロマンス志向をより一層色濃く視聴者に刻印している。


 白倉ライダーの観点で俯瞰すると、ラブロマンスの要素こそ“原点回帰”のコンセプトなのでもあるかもしれない。


 鈴木武幸も「最初が「ゼロノス篇」でヒーロー「電王」の姉・愛理と仮面ライダーゼロノスの永遠の愛の物語です。」(出典・「文化通信ジャーナル」2010年4月号)と、「永遠の愛の物語」であることを付け加えてそこを強調していた。



*1
 別人が演じるライダーを原則と記述したが、オリジナルキャストによる再演ライダーも当然存在する。
 「電王の世界」編である第14話「超・電王ビギニング」第15話「超モモタロス、参上!」の映画『超・仮面ライダー電王&ディケイド』とのジョイント編(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090503/p1)は映画版のオリジナルキャストが総登場である。
 また「響鬼の世界」編(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090531/p1)の第18話「サボる響鬼」第19話「終わる旅」では仮面ライダー響鬼こそオリジナル配役の細川茂樹ではなく、有名タレントのデビット伊東が扮したが、ライダー威吹鬼(いぶき)、斬鬼(ざんき)、轟鬼(とどろき)は渋江譲二松田賢二、川口真吾といったオリジナルキャストを配役した。
 他にも続く「ネガの世界」第20話「ネガ世界の闇ライダー」、第21話「歩く完全ライダー図鑑」では『仮面ライダーキバ』(08年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20080225/p1)の仮面ライダーイクサ・紅音也(くれない おとや)(演・武田航平)が、「ディエンドの世界」編である第22話「ディエンド指名手配」、第23話「エンド・オブ・ディエンド」では、映画『仮面ライダー剣ブレイド) MISSING ACE(ミッシング・エース)』(04年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090705/p1)に登場した新世代ライダー・グレイブ(演・黒田勇樹)、ランス(演・杉浦太雄)、ラルク(演・三津谷葉子)が登場した(『剣』ライダーはランスのみ変身前はオリジナルとは名字が異なりディエンドこと海東の兄と設定されている)。
 また第31話(最終回)『世界の破壊者』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090829/p1)では、『ディケイド』版の仮面ライダー剣ブレイド)が消滅するやオジリナルの仮面ライダー剣が出現して、その剣崎一真(けんざき かずま)を椿隆之(つばき たかゆき)が再演している。
 そして何より『ディケイド』シリーズ最大の目玉である「BLACK&RX(ブラック アンド アールエックス)の世界」編(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090802/p1)に該当する第26話「RX! 大ショッカー来襲」第27話「BLACK×BLACK RX」に至っては、仮面ライダーBLACK南光太郎(みなみ こうたろう)役の倉田てつをが二十年ぶりに再演、しかもこれまで実現不可能だった二人の光太郎(BLACK世界とRX世界、それぞれ別世界の光太郎が同時に登場)によるW変身が実現、渋みと力強さの増したヒーロー振りにはリアルタイマーは勿論、幅広い世代より多くの喝采を浴びた。


*2
 確かに桜井侑斗が主役となるのだが、実際は小学生時代の桜井侑斗が主人公であり、青年侑斗はラストシーンのみの登場となる。大人の諸事情を逆手に取りこうした奇抜なアイデアを常に盛り込んでヒットさせるのが白倉ライダーだ。


*3
 金田が手掛けた『ビーファイターカブト』では、続く第12話「謎?! 化石の夢限迷宮」(脚本・鷺山京子(さぎやま きょうこ))で、ビーファイターたちがメルザードの怪人・ザボデーラの手により異次元世界に幽閉されるストーリーのエピソードが存在する。
 今になれば正に『電王』のプロトタイプ的な印象が見受けられる内容で、映画『仮面ライダー電王 俺、誕生!』(07年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20080215/p1)の“W良太郎”みたいに子どもの手を引いて、戦国時代を髣髴(ほうふつ)させる長屋セット(こちらは東映京都撮影所ではなく日光江戸村だが)の中を忍装束(しのびしょうぞく)姿の追っ手から逃走する鮎川蘭(演・栗栖(くりす)ゆきな)・ビーファイターテントウの描写も、その印象をより強調する。
 尚『宇宙船』Vol.121(ホビージャパン刊 08年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20080525/p1)での小林靖子インタビューにて、彼女が先輩の鷺山京子名義で発表したことがある旨を公表していたが、本作もその一本ではないかとつい余計な推測をしてしまう。今の視点で俯瞰すればここで取り上げた第12話の内容が『電王』の原型的な印象を与えるだけに。
 とはいえ『俺、誕生!』は長石多可男が監督なのだが(長石は当時『ビーファイター』は一本も撮らず『超光戦士シャンゼリオン』(96年)で活躍)。
 最後に本話が本話たる所以(ゆえん)を物語るトリビアを一つ。
 ヒロイン・蘭に手を引かれて逃走する少年・ヒロシを演じるのは内野謙太(うちの けんた)。後に『ウルトラマンメビウス』(06年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070505/p1)で“怪獣博士”ことクゼ・テッペイ隊員役を演じた彼である。しかも劇中「だって俺超ウルトラスーパーヒーローだもん!」といった暗示的(?)な台詞を発するのは更なる驚きである。
 本放送当時は同期の話題作に埋没した印象のある本作ではあったが、今になって見直すと面白いトピックが発見され驚かされた。


(『EPISODE BLUE 派遣イマジンはNEW(ニュー)トラル』評につづく)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2010年初夏号』(10年07月発行)『仮面ライダー×仮面ライダー×仮面ライダーTHE MOVIE 超・電王トリロジー』評より分載抜粋)



(編:弊ブログ主宰者の本作に対する個人的な感慨をチョット挟ませていただくことをお許しを。


 個人的には中年・桜井侑斗が過去に戻って、少年・桜井侑斗に仮面ライダーゼロノスの使命を与えたこと、別の人生を与えたことで、歴史は……そして桜井侑斗もふたつに分岐して、少年・桜井侑斗は別の人生と経験と人格形成をしていったことで、まったくの同一人物ではなく微妙に別人になっていったハズだと考える
 (中年・桜井がたどった方の歴史(未来)・時間軸は消滅したか、Uターンして1回だけ螺旋して別の未来(ゼロノスの使命を負った少年・桜井の未来)の方に伸びていくループとしてしか存在を許されないものになったと推測)。
 そのことを愛理も充分に理解して、自身が愛した中年・桜井とは経験を共有しない別人である少年・桜井の好意をやんわりと拒絶して、彼に元の歴史での人生や縁に捉われずに新たな人生をうながす展開こそが、歴史修復ものはウラを返せば運命論・決定論にもなってしまうので、その欠点を頭ひとつ抜きん出て、SF設定的にも人間ドラマ的にもリアルで斬新なものになっていたと私見する。
 愛理と桜井が結ばれなくても、その娘であるハナは「特異点」でタイムパラドックスの影響を受けないのだから消滅することもないのだし(なんて用意周到な(あるいはご都合な)SF設定なのだ!)。


 良くも悪くも男女の色恋を描くトレンディドラマやフジテレビの月9(げつく)を観たことがない(オタである当方でさえもが幾作かは観てるのに・笑)、そっち方面には疎いらしいサバサバした小林靖子センセらしい卓越したセンスだと思っていたので、本作のコンセプト自体は個人的には多少退嬰的にも思う。


 ……というのは、あまりにSFマニア的な(当方個人はSF至上主義者ではないつもりだけれど)、一般ピープル的ではない観点なのであって、男女の色恋こそ古今東西、普遍のテーマなのだから、東映の白倉Pが本作のテーマを男女の恋愛に選んだことは、ビジネス的にも正解だったともやはり思う。


 とはいえ、女オタク・腐女子の中には、三次元の男女の色恋はスキではない方々もおられるようで……
 って、そこまで行っているその道の豪の者も、女オタク層の中でもきっと少数派だろうから、本作のコンセプト自体へのその層からの反発を心配することもないか・笑)


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仮面ライダー×仮面ライダー W&ディケイド MOVIE大戦2010

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仮面ライダー×仮面ライダー×仮面ライダーTHE MOVIE 超・電王トリロジー EPISODE RED ゼロのスタートウィンクル

  (当該記事)

仮面ライダー×仮面ライダー×仮面ライダーTHE MOVIE 超・電王トリロジー EPISODE BLUE 派遣イマジンはNEWトラル

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仮面ライダー×仮面ライダー×仮面ライダーTHE MOVIE 超・電王トリロジー EPISODE YELLOW お宝DEエンド・パイレーツ

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