假面特攻隊の一寸先は闇!読みにくいブログ(笑)

★★★特撮・アニメ・時代劇・サブカル思想をフォロー!(予定・汗)★★★ ~身辺雑記・小ネタ・ニュース速報の類いはありませんので、悪しからず!(笑)

劇場版 超・仮面ライダー電王&ディケイド NEOジェネレーションズ 鬼ヶ島の戦艦


劇場版 仮面ライダーディケイド オールライダー対大ショッカー
仮面ライダーディケイド最終回「世界の破壊者」!
仮面ライダー電王 〜後半評 複数時間線・連結切替え!
『仮面ライダー』シリーズ評 〜全記事見出し一覧


 映画『仮面ライダー×仮面ライダー×仮面ライダー THE MOVIE 超・電王トリロジー』「EPISODE RED ゼロのスタートウィンクル」
 公開記念! ……とカコつけて(汗)、『劇場版 超・仮面ライダー電王&ディケイド NEO(ネオ)ジェネレーションズ 鬼ヶ島(おにがしま)の戦艦』評をUP!

劇場版 超・仮面ライダー電王&ディケイド NEOジェネレーションズ 鬼ヶ島の戦艦

(09年5月1日封切)
(脚本・小林靖子 監督・田崎竜太 アクション監督・宮崎剛 特撮監督・佛田洋

今度は君の番!?

(文・森川由浩)
(09年6月執筆・10年5月加筆)
 映画「超・電王」シリーズと銘打たれ、帰ってきた『仮面ライダー電王』(07・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20080217/p1)。


 ある程度の予想は付いていたが、こんなに早く登場するとは思わなかった。
 「電王」シリーズの特色として、人間に憑依(ひょうい)することにより実体化したりヒーローに変身することのできるイマジンと呼ばれるモンスター(怪人)の存在を軸にして、物語を自在に操ることができるというのが最大の特色だろう。それを自在に生かして、テレビシリーズ終了後も続編を製作してきた。
 だが2008年10月公開の『劇場版 さらば仮面ライダー電王 ファイナルカウントダウン』(08)にて明確な完結をアナウンス、一応のピリオドを打ったような印象はあった。



 そして2008年の12月になり、翌年の新作テレビシリーズ『仮面ライダーディケイド』(09・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090308/p1)が平成ライダー10周年記念作であり、過去の平成ライダーとの共演を描くと知った時、胸中に一つの予感を抱いたファンは多かったと思う。


 「なら『電王』も出るよな。まさか『新・電王』なんてやったりして……。」


 その妄想レベルの予感は見事に的中する。
 年が明け、2009年1月29日に都内で開催された日本映画製作者連盟による全国映画概況発表会見にて、東映社長・岡田裕介による衝撃の発言があった。

 
 「去年の秋の『さらば仮面ライダー電王』で、電王は終わらせるつもりだったが、もう一本映画を製作することにした。目下撮影中で、公開は4月頃の予定だ。東映がピンチに陥ると、ライダー、プリキュア、戦隊はいつでも駆けつけてくれます」


 新作テレビ『ディケイド』の情報以上に話題を集めたこの情報にファンは狂喜した。
 そして同年2月9日に記者会見が行われ、『仮面ライダー電王』の新作映画が発表された。
 その席にはお馴染み鈴木武幸(すずき たけゆき)、白倉伸一郎(しらくら しんいちろう)、梶淳(かじ あつし)といったプロデューサー三人に加え、ヒロインを演じる女優・南明奈(みなみ あきな)と、ヒーローである仮面ライダー電王・超クライマックスフォームが姿を現すが、もう一人のヒーローである仮面ライダーディケイドは顔を見せなかった。


 白倉は、
 「われわれも“さらば”の気分だったし、ウソをついたつもりは毛頭ない。お客さんからのアンコールが止まらない状態で、その声を無視するわけにはいかなかった」
 と発言した。
 続いて
 「『スター・ウォーズ』と同じこと。9部作かと思って楽しみにしていたら、6作で落ち着いてしまっている。オレの青春を返せ! と30年もトラウマを抱える人が増えないようにするためにも、今は何も答えられない」
 と『電王』新シリーズを何作つくるか明言せずに意味深長に語った。


 今度はテレビシリーズ『仮面ライダーディケイド』とのジョイントによる劇場新作映画だけでなく、しかも「超・電王シリーズ第一弾」と銘打ったからには、以後もこの「超・電王」を平成ライダー10周年記念イヤーの柱に据えての展開だなと思わされた。
 『電王』の今尚衰えない人気を痛感する次第である。視聴率の絶対値こそ振るわなかったとはいえ、DVDやCDといった映像ソフトを筆頭に、玩具など関連アイテム類の売り上げは高く、三作製作された劇場映画の観客動員は累計240万人、興行収入約30億円を記録した。
 そして『電王』でライダーファンになった新たなるファン層を獲得した事実からも、『仮面ライダー電王』は平成ライダーシリーズの中枢に位置する作品へと成長したのだ。
 平成ライダー10周年は、『電王』と『ディケイド』が両輪として展開することにより、その成果を更に大きくするキラーコンテンツであることが立証されているからだ。
 


 映画『超・電王』一番の焦点は、本来の主人公である野上良太郎(のがみ りょうたろう)を演じた佐藤健(さとう たける)を出演させないで、『電王』の新作に挑んだ点である。
 『電王』以後、テレビドラマ『ROOKIES(ルーキーズ)』(08 TBS)では『ウルトラマンメビウス』(06・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070506/p1)こと五十嵐隼士(いがらし しゅんじ)と共演、文字通りの“ウルトラマンVS仮面ライダー”を実現。
 テレビドラマ『メイちゃんの執事』(09 フジテレビ)では平成ライダー先輩の『仮面ライダーカブト』(06・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070211/p1)こと水嶋ヒロと共演。
 今やライダーOB俳優を代表する顔にまで成長した彼を再度キャスティングするのはさすがに難しかった。


 しかしこの『電王』はテレビシリーズの時代に、ヒロイン・ハナ役の白鳥百合子(しらとり ゆりこ)の降板を逆手に取り、ハナを外見のみが子ども化した設定に変更。別人の子役・松元環季(まつもと たまき)に演じさせることで切り抜けたという実績がある。
 ならば良太郎の方も設定を変更し、別人配役でも問題が生じないようにすれば良いわけだ。
 そこで一昨年公開の『劇場版 仮面ライダー電王 俺、誕生!』(07)で小学生時代の良太郎を演じた溝口琢矢(みぞぐち たくや)が再度登板、時空の歪(ひず)みのショックで子ども化したという設定を導入して佐藤不在の境遇を切り抜けることとなった。これなら敵との戦いの目的もより明確になる。


 そして本シリーズのもう一人の主役であるイマジンの存在も大きい。
 イマジンが色々な人間に憑依することにより、無限の『電王』ワールドが展開できるのだ。どんなキャラだろうがどんな人間だろうが。
 実際『ディケイド』のテレビシリーズの『電王』編にあたる第14話「超・電王ビギニング」、15話「超モモタロス、参上!」(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090503/p1)では仮面ライダーディケイドこと門矢士(かどや つかさ)や仮面ライダークウガこと小野寺ユウスケにまで憑依して、すさまじい個性を発揮。
 イマジン役の声優とボディージャックされた顔出しの俳優とのコンビネーションが見せるコントラストの妙味を堪能(たんのう)させてくれたのだから。
 


 そしてもう一つの特色は本来の主役であるユウの存在である。
 ネタバレとして公開から既に月日が経っているため、文章展開の都合上先に言及するが、実はユウは仮面ライダーゼロノスこと桜井侑斗(さくらい ゆうと)の少年時代である。
 大地震が発生し、過去と現在が一時的に繋がってしまい、その時空の歪みの影響で野上良太郎が子どもになってしまい、桜井侑斗は行方不明に、侑斗の契約イマジン・デネブも実体化できなくなってしまった。
 その折いじめられっ子だったユウを良太郎やデネブが助け、時の列車デンライナーのチケットを渡して、時空の歪みを正すこととオニ一族の退治のために戦いに出る。ユウは過去の世界にいた小学生の頃の侑斗だ。

 
 この子ども時代の侑斗を演じるのは女性の子役・沢木ルイである。
 アニメでは男子の声を女性の声優が演じることの方が多く、実写とは正反対のケースとして取り上げられるが、この沢木が実際に男の子を演じることにより、子ども時代の侑斗に“男装の麗人”的なイメージも加えることができる。
 独自の華やかさ、それは単なる子ども向け映画における子役の存在だけではないプラスアルファの魅力を得ることができたことは大きい。


 “東京坊主”と称され、時代が昭和で止まったような昔ながらの田舎町でいじめられっ子だった侑斗が戦いを通じて成長し、戦いを終えて本来の世界に帰還して、いじめっ子に反論するシーンを迎える。
 ここまで侑斗は終始“ユウ”の名前でしか呼ばれず、ここで


 「俺は東京坊主じゃない! 桜井侑斗だ!」


 と発言するシーンで、観客にはユウが桜井侑斗の子ども時代であったことを確認させる手法による意表を突いた展開で、観た者に“予想外”の結末で得した気分にさせる。


 が、ある程度映画を長く多く観てきた者なら、この“ユウ”と“侑斗”のネーミングの共通項や、何より侑斗(成人した大人の侑斗の意味)が劇中戦列に参戦しないことに、過去に映画『劇場版 仮面ライダー電王 俺、誕生!』に子ども時代の良太郎を登場させているケースからも、“ひょっとしたらユウは侑斗では?”と展開を読めるとは思う。事前に情報を入手しなくても。


 本作はユウの戦いの中での精神的成長を核(コア)に、これが彼の戦士としての基盤を築き、のちに桜井侑斗が仮面ライダーゼロノスになる前のプロセスを見せる映画であり、この戦いがあるからこそのちの戦士としての活躍があるという意味合いを描いている。


 これには今後、この『超・電王』シリーズは主人公・野上良太郎以外のキャラクターも、テレビシリーズで描けなかった側面を肉付けする要素も持ち合わせて展開するのかな? とも感じ取ることができた。
 今回デンライナーのオーナーと駅長が石丸謙二郎の二役で演じられ、その正体が明確にされなかった(例えば兄弟や親類であるやらクローンだとかコピー人間などの素性)のも、今後の展開の伏線であり、次回作への布石なのでは? と穿(うが)った見方をしてしまう。
 “なるほど、こう来るか? なら次はこんなこともできるな”とだ。



 ヒロインであるトキの存在は、これもある程度予測し得た結末だが、ユウの家に先祖代々伝わる石の存在が鍵になっていた。そう、トキはユウの先祖であったのだ。
 ユウの回想シーンの母親の姿で、顔にぼかしがかかっていたのは、ネタバレ防止のためである。ユウの母親も南明奈が演じているからだ。
 ここで強引を承知の上カテゴリ分けするならば、良太郎&孫の幸太郎(こうたろう)の電王一族、トキ&ユウ(侑斗)のゼロノス一族の二つの一族によるコンビ戦とも呼べるわけである。


 実際過去の世界での“鬼退治”での、トキがユウを見守る姿がどこか母親の視線になっているのも見逃せない。
 そしてユウの素性に目を向けると、両親が亡くなり、田舎の祖母の家に預けられるような形になるが、祖母は勿論(もちろん)、田舎町と学校の級友にも馴染めず、東京で両親とともに暮らしていた時代のことばかり思い出していた“望郷坊主”の側面を醸(かも)し出していた。
 そんな中、母に似た女性に出会い、戦いの中で成長、“望郷の思い”を断ち切り、亡き母の幻影の呪縛を乗り越えるという成長が本作のテーマでもある。


 敵の攻撃よりわが身を挺(てい)して、ユウを庇(かば)い負傷したトキに対し、ユウは自責の念に駆られる中、トキは未来からやってきたユウに我が村のその後を聞く。
 ユウは自分の今生きている村が嫌いだと語り、母親の生きていた時間に行きたいからデンライナーに乗ったという本音を吐露した。
 トキは村が好きだと言ったものの、戦国時代の生死を賭けた争いの最中(さなか)での苦しい現状から、ユウの住む平和な時代を羨(うらや)ましがる。
 そこでデンライナーで未来の世界に行くことを勧めるユウだが、トキはその誘いを断る。


 「でもどの時代に行っても、結局自分の今や過去は変わらない」


 と返し、村に残ることを意思表示した。
 この“時(トキ)を超えた一族の会話”は、のちにユウの自立心を大いに奮起させるのであった。


 ユウはオーナーの計らいで、本来の時代に帰る前に、自分の行きたい時代への“寄り道”を許可されるが、彼は“亡き母への思い”を断ち切るかのようにそれを却下した。
 母に似たトキと出会い、自分本来の目的と存在価値を戦いの中で確認したユウには、もう母親に再会する必要は無くなったと自覚したのである。

 
 ほんの僅かな時ではあったが、イマジン・デネブはユウのパートナーであった。
 デネブはユウに別れの言葉を発した。


 「いつか会えたら、俺はきっと君を助ける。これは契約でなくて約束だ!」

 
 そして現在2009年に帰ったデネブの前に成長した桜井侑斗の声が。
 侑斗はこう言う。


 「デネブ、忘れんなよ。契約じゃなくて、約束だったな!」


 デネブの何やらありそうな素振りに子ども時代を思い出した侑斗は、あの別れの言葉を思い出し、そう返すのであった。


 「やっぱ俺は強い!」とはしゃぎ、デネブとじゃれあう侑斗。


 弱さを克服した強さの裏打ちを感じる“はしゃぎ”であった。
 そのきっかけをつくってくれたデネブへの感謝の意味もあるのだ。



 ヒーロー側だけでなく、悪役側にも目を向けると有名タレントの柳沢慎吾(やなぎさわ しんご)がオニ一族の弟戦士・ミミヒコを演じている。
 変身ブーム世代の柳沢はこの映画出演に際し、各所で子ども時代に観た『仮面ライダー』の思い出を語っている。
 1号、2号時代の一作目『仮面ライダー』(71〜73)に対する思い入れが強く、ショッカーとゲルショッカーの戦闘員の声の違いや、ライダーごっこでも悪役を好んで演じた思い出を披露している。
 だがディープなファンならあの話題が出るのを楽しみにしていた人もいるだろう。少なくとも自分はそうだ。

 
 「おいおい、本物の本郷猛と共演した思い出は話さないのかな?」

 
 そう、彼は藤岡弘、と共演しているのだ*1
 それは何か?
 東映製作の刑事ドラマ『特捜最前線』(77〜87)である。

 
 ここまでくれば何が言いたいかお分かりの方も増えてくるだろう。
 あのエピソードである。
 そのエピソードは何か?
 第355話「トルコ嬢の幸せ芝居」である。
 今や欠番扱いとなり、東映ビデオのDVD化エピソード投票コンテンツリストには「欠番」表記が明示されている。勿論近年の地上波再放送でも未放映に終わっている。


 理由は知ってのとおり、この『特捜』第355話は現在のソープランドと称される風俗営業の店が「トルコ風呂」*2と呼ばれていた時代(1984年3月14日放映)に製作されたエピソードだが、現在40代(でもきついか?)以上の方ならお分かりのように、外国のトルコ共和国出身の日本への留学生が、母国の名前が日本では風俗営業の店の名称として使われていることを情けなく、悲しく思って1984年10月に名称変更を要求、現在使用されている「ソープランド」の名称に変わったことがあった。
 これは1984年12月頃の出来事、既に26年も前である。


 以後有名どころでは今でも地上波再放送の多い(2009年4月より関西テレビ(フジテレビ系)にて水曜深夜で再放送開始)、故・松田優作(まつだ ゆうさく)の当たり役『探偵物語』(79 日本テレビ)でも、水谷豊ゲストの第5話「夜汽車で来たあいつ」ではやたら音声カットや画面上のネオンにぼかしがかかっているシーンがあるが、それはこの「トルコ」の描写やセリフである。
 昔の映画やドラマでも「トルコ」の扱いや描写のあるものはこうした処理が行われたり、『特捜』の該当話のように欠番扱いにされているものも多々存在する。


 やたら前置きが長いが、このトルコ嬢(佳村萌、かむら もえ)の恋人のラーメン屋店員役で柳沢が出演している。彼の前に取り調べに現れるのが藤岡演じる桜井刑事だ。


 「昔藤岡さんと共演したことあるんですよ。『特捜』で。あの時は嬉しかったなぁ。だって『仮面ライダー』の本郷猛ですよ!」


 みたいなことを話してくれるのを期待していたが……。
 それとももう忘れてしまったのだろうか?
 実は話してくれたが欠番エピソードの話題で割愛して発表したのか。


 ついそうしたことが気になる自分であった。
 それとも劇場内で発売のパンフレットには藤岡との共演話を語っているのだろうか? と思いきや、パンフには柳沢のインタビューは掲載されていなかった。


 
 オニ一族の秘密兵器と呼ぶべき巨大戦艦だが、見てのとおり『宇宙戦艦ヤマト』(74)を意識したスタイルである。これは只単に戦艦を出しただけでなく、「完結編」を銘打っても、以後新作を公開し続けたこの『ヤマト』シリーズを意識して、一旦完結したシリーズの再開という共通項を象徴する意味合いで登場したのだと思われる。
 このオニ一族の退治、すなわち鬼退治。日本の民話の主人公・桃太郎や金太郎や浦島太郎に範を得たイマジンたちの活躍に相応(ふさわ)しいバトルフィールドである。


 
 またスーツアクターのキャスティングにも10周年に相応しいサプライズが用意されていた。
 丁度10年前に、平成ライダーシリーズの口火を切った『仮面ライダークウガ』(00・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090907/p1)でヒーロー・仮面ライダークウガを演じた富永研司(とみなが けんじ)が、その10年後、平成仮面ライダー10周年に再び『仮面ライダー』へと帰ってきたことである。
 本作ではスーアクではなく室町時代の侍の役であるが、ミスター平成ライダー・岡元次郎(おかもと じろう)との素顔での共演は、やはりファンなら喜ばずにいられない。


 『仮面ライダーBLACK(ブラック)』(87・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090802/p1)以来ライダーのスーツアクターとして活躍、以後平成テレビシリーズが軌道に乗ってからもサブライダーのスーツアクターでその円熟味溢れるアクションを披露、四半世紀近くに渡り「ミスター平成ライダー」に相応しい活躍を続ける岡元。
 『クウガ』終了とともにヒーローものからは全く遠ざかり、舞台、映画、テレビと幅広く俳優として活躍する富永。
 二人は実に対照的ではあるが、富永がこのアニバーサリーイヤーに古巣へと帰ってきたのは実に嬉しい。出来れば今後再度ライダーに入ってもらいたいとも思うのだが。


 (編註:なんと、『仮面ライダーディケイド』25話「シンケンジャーの世界」編後編、26話「RXの世界」編で、クウガを再演! 『劇場版 仮面ライダーディケイド オールライダー対大(だい)ショッカー』でもクウガの新形態ライジングアルティメットを演じたことが判明!)
 


 本作は『仮面ライダー電王』の続編でもあり、テレビシリーズ『仮面ライダーディケイド』のエピソードにも位置するのだが、本作での主従関係を軸に論じれば、『電王』が“主”で『ディケイド』が“従”に位置する。
 そのためディケイドメンバーの活躍が添えものにしか見えないとの印象もあるが、その分テレビ『ディケイド』の第14話、15話ではディケイドメンバーが『電王』世界での大暴れを見せている。
 歴代平成ライダーのオリジナル世界そのものではなく役者陣が異なるパラレルワールド世界での共演を描く『ディケイド』には珍しい、オリジナルの『電王』の続編世界そのものへのジョイントであるのも見所であり、その相互関係とともに独自性を強めている。


 
 作品周辺事情だけでなく、ドラマのコンセプトに言及すれば、“ライダー版『オール怪獣大進撃』(69)かな?”と感じた。
 ご存知の通り、歴代のゴジラ映画の中でもこの『オール怪獣大進撃』は、今でこそ良質のジュブナイル作品として評価されているが、一昔も二昔も前は『ゴジラ』シリーズ内でも駄作扱いされ、最低の評価しかされていなかった。
 だが平成に入り、作品評価の視点の多様化によりそれなりの賞賛を受け、今では異色の名作的に褒(ほ)め称(たた)えるファンも多い。
 作品の本質が“反戦”“反核”といった元祖ゴジラのテーマではなくても、ファンタジー世界(少年の夢の中の世界)を織り交ぜて少年の自立心と自己との戦いを描いたということからそれ相当の評価を受けるようになったのだ。


 この本作の主人公・ユウは東京から田舎町に転校してきたいじめられっ子で、両親は既に亡くなり祖母に育てられている境遇で、“東京坊主”とガキ大将たちに蔑(さげす)み称されていたが、運命の巡り会わせか良太郎、デネブらデンライナーの仲間たちと出会い、オニとの戦いの中で成長する物語である。
 ここにどこかしら『オール怪獣』の面影を感じることができた。とはいえ決してヒーローと怪人との戦いが夢の中の世界の出来事ではなく、もう一人のヒーローの過去話であるというのが前提であるから、決して『オール怪獣』の模倣ではないことは先刻承知である。

 
 本作監督の田崎竜太(たさき りゅうた)は三年前に映画『小さき勇者たち〜ガメラ〜』(06・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060714/p1)を手掛け、前作である伊藤和典(いとう かずのり)脚本・金子修介監督・樋口慎嗣特技監督のトリオで送り出した平成ガメラシリーズ三部作(95〜99 *3)とは正反対の作風で『ガメラ』を料理したが、新時代に相応しい怪獣映画を製作してマニア間の高い評価を受けた平成三部作に比しては高い人気を得ることができず、また興行的にも成功とはいえない結果に終わった。
 だがジュブナイル的世界でのガメラワールドは児童向け映画としての完成度は評価に値し、東映育ちの田崎が大映で挑んだ“他流試合”は彼の演出的な力の成長の証しとなった。


 そこで今回のこの『超電王』での抜擢になったのであろう。
 パンフレットでの田崎のインタビュー記事での発言にも出る洋画『スタンド・バイ・ミー』(86)には、この作品が少年の自立心を描く映画のスタンダードとしての存在の大きさとなった事実を今になって感じることができる。
 既に20年以上前の映画だが、こうして引き合いに出される点に「ジュブナイル」映画のスタンダードとしての存在を確認できる。


 このインタビューでも田崎は「ジュブナイル」の語句を口にしているが、歴代の『仮面ライダー』シリーズの映画版には珍しいジュブナイル的作風の味付けの本作は、正に平成ライダー10周年記念を彩るに相応しいともいえるだろう。これまでの歴代ライダー映画、特に平成シリーズには余り見られなかっただけに。
 “子ども番組”という視点に立っての“平成仮面ライダー”の位置決めからすれば、こうした志向性も一つの路線として評価すべきだと思う。
 特に前年の『仮面ライダーキバ』(08・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090215/p1)が“不倫”を作劇に取り入れ、確かに斬新さを醸し出すことはできたが、決して好評を博したとはいえないだけに。
 その反省もあって児童向けプログラムムービーの視点に立ち返る本作が誕生したのかも知れない。


 
 今後『超・電王』シリーズはこの一作で終了ではなく、また新展開が予定されているそうだ。だがその前に夏休み公開の新作『劇場版 仮面ライダーディケイド オールライダー対大ショッカー』(09・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20091213/p1)が待ち構えている。
 『超・電王』終了後の予告編や各マスコミにて既報の通り、1号ライダーから始まる昭和時代のライダーも含めた全仮面ライダーの共演を描く、平成ライダー10周年最大イベント的存在の新作映画である。
 このあとに『超・電王』の新作を製作するのは、前作品の存在が大き過ぎるという不安もなくはないが、平成ライダー10周年イヤーに相応しい話題作の目白押しでこの2009年を乗り切ってもらいたい。


2010年・後日付記

 アニバーサリーイヤー記念番組『仮面ライダーディケイド』のヒットと、その夏の劇場映画『劇場版 仮面ライダーディケイド オールライダー対大ショッカー』(09)、年末の『仮面ライダー仮面ライダー W(ダブル)&ディケイド MOVIE大戦2010(ムービーたいせん にせんじゅう)』(09)の大ヒットや、新作テレビシリーズ『仮面ライダーW(ダブル)』(09)の登場もあり、『電王』はこれら諸作品の陰に忘れ去られてしまったような印象を与えた。


 だが2010年に入り、夏休みよりも一足も二足も早い初夏興行に向けて、『超・電王』シリーズの新作公開がアナウンスされる。
 『仮面ライダー×仮面ライダー×仮面ライダー THE MOVIE 超・電王トリロジー』(10)である。
 既に各方面で報じられているように、今回は全三部作となっており、


仮面ライダーゼロノス・桜井侑斗主人公の第一部『EPISODE RED(エピソード レッド) ゼロのスタートウィンクル』、


仮面ライダーNEW(ニュー)電王・野上幸太郎(のがみ・こうたろう)が主人公の第二部『EPISODE BLUE(エピソード ブルー) 派遣イマジンはNEW(ニュー)トラル』、


・『仮面ライダーディケイド』のサブライダーである仮面ライダーディエンド・海東大樹(かいとう だいき)を主人公に置いた第三部『EPISODE YELLOW(エピソード イエロー) お宝DE(デ)エンド・パイレーツ』


 が二週間ごとに連続公開といった野心的な興行形態で送る。


 昨年の「平成仮面ライダー10周年」記念行事として放たれた諸作品はいずれも高視聴率、高配収を記録。それだけに“『仮面ライダー』は東映キラーコンテンツ”として認識されたようで、ヒットが見込めるとなれば既成概念に捉われぬ奔放な作品を送り出せることを立証したことになる。
 この“間口の広さ”を武器に、平成仮面ライダーシリーズますますの発展を祈りたい。

(文中敬称略)


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2010年準備号』(09年8月14日発行)『劇場版 超・仮面ライダー電王&ディケイド』評より抜粋)


仮面ライダーディケイド』はじめ、「スカイライダー」(79)〜「仮面ライダーW」(09)関東・中部・関西の全話視聴率表および、平成ライダーの玩具売上高と劇場版の興行収入を、09年末発行の『假面特攻隊2010年号』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20091201/p1)「平成ライダー東西視聴率10年史」大特集に掲載!
[関連記事] 〜脚本家・小林靖子作品評

仮面ライダー電王』 〜後半評 複数時間線・連結切替え!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20080217/p1

未来戦隊タイムレンジャー』 〜小林靖子メイン脚本! 時間SF成功作!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20001102/p1

侍戦隊シンケンジャー』 〜前半賛否合評2

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100208/p1


[関連記事] 〜『仮面ライダーディケイド』全記事一覧

仮面ライダーディケイド』#12〜13「アギトの世界」編

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090412/p1

仮面ライダーディケイド』#16〜17「カブトの世界」編

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090517/p1

仮面ライダーディケイド』#28〜29「アマゾンの世界」編

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090809/p1

仮面ライダーディケイド』#30〜31(最終回)「ライダー大戦の世界」編

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090829/p1


[関連記事] 〜平成ライダーシリーズ劇場映画評

劇場版 仮面ライダー龍騎 EPISODE FINAL 〜賛否合評

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20021104/p1

劇場版 仮面ライダー555 パラダイス・ロスト 〜賛否合評1

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20031104/p1

劇場版 仮面ライダー555 パラダイス・ロスト 〜賛否合評2

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20031105/p1

劇場版 仮面ライダーヒビキと7人の戦鬼 〜賛否合評

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060314/p1

劇場版 仮面ライダー電王 俺、誕生! 〜合評

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100607/p1

劇場版 仮面ライダー電王&キバ クライマックス刑事

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20080810/p1

劇場版 仮面ライダーキバ 魔界城の王 〜紅音也の真骨頂!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090614/p1

劇場版 超・仮面ライダー電王&ディケイド NEOジェネレーションズ 鬼ヶ島の戦艦

  (当該記事)

劇場版 仮面ライダーディケイド オールライダー対大ショッカー

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20091213/p1

仮面ライダー×仮面ライダー W&ディケイド MOVIE大戦2010

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20101220/p1

*1:今更これを言及するのは蛇足だというのは承知だが、ビデオ作品『ウルトラマンG(グレート)』(90 日本 オーストラリア合作)でも、日本語版のアフレコ時に柳沢慎吾藤岡弘は共演している。ちなみに柳沢は防衛組織・UMA(ユーマ)のチャールズ・モルガン隊員役、藤岡はナレーター(第1話から6話まで)を担当している。

*2:本来「トルコ風呂」という名称の浴場は、トルコ共和国特有の「ハマム」と称される蒸し風呂のシステムを日本にも導入したものが始まりであるが、1958(昭和33)年に売春禁止法が制定され、赤線が廃止されたこともあり、いつのまにやらサービスとして性的なものを加えるようになったら好評を博し、古来のトルコ風呂から逸脱してしまい、その性的サービスが本来の目的になり、いつしか風俗営業店の代名詞的な存在となってしまったことがあった。
 尚『怪奇大作戦』(68 円谷プロ)の第23話「美女と花粉」でも劇中にトルコ風呂が登場するが(90年代前半のNHK衛星放送BS2での再放送では劇中でのセリフが音声カットされている)、これは勿論本来のトルコ風呂としての描写である。

*3:ガメラ 大怪獣空中決戦』(95)・『ガメラ2 レギオン襲来』(96)・『ガメラ3 邪神(イリス)覚醒』(99)の三作品。