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仮面ライダー ビヨンド・ジェネレーションズ賛否合評 ~やや地味な佳品。大集合連発も飽きられるならば、アニバーサリー先輩ヒーローを順繰りで出すべきだ!

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仮面ライダー ビヨンド・ジェネレーションズ』賛否合評 ~やや地味な佳品。大集合連発も飽きられるならば、アニバーサリー先輩ヒーローを順繰りで出すべきだ!


仮面ライダー ビヨンド・ジェネレーションズ』賛否合評1

(文・T.SATO)
(2021年12月29日脱稿)


 恒例の新旧2大ライダー共演映画。本作は現行作『仮面ライダーバイス』(21年)と直前作『仮面ライダーセイバー』(20年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20220116/p1)との共演がお題となる。
 加えて、2021年が『仮面ライダー』生誕50周年でもあって、その記念作だとも謳(うた)うので、『仮面ライダー』初作(71年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20140407/p1)とも接点を持たせている。


 というワケで、物語は映画公開の50年後であり、『仮面ライダー』初作の100年後である2071年からスタート!


 『リバイス』における敵怪人種族である人間の心の中に潜んでいるという悪魔怪人。それともまた似て非なる悪魔怪人たちに支配された未来世界。その怪人たちから逃れた壮年男性が地下に潜んでいた老科学者に助けられる。
 老科学者はこの悲惨な世界を変えるために、変身ベルト型のタイムマシンで精神だけ50年前の2021年へと飛んでいって、そこで血縁者に憑依合体して元凶である強敵悪魔怪人・ディアブロを倒して歴史を変えてくれと、壮年男性に依頼する。


 2021年に出現した彼は、自分よりもすでに年上の50代の年齢(爆)に達している息子さんと悶着の末に強制憑依し、仮面ライダーセンチュリーに変身して悪魔ディアブロを倒そうとする。
 しかしこの異変を察知して、『仮面ライダーバイス』勢&『仮面ライダーセイバー』勢も駆けつけて、初戦が勃発! 悪魔怪人ディアブロは配下の幹部怪人数体も誕生させて、『リバイス』の悪の3幹部とも組んで、地球大の五芒星の突端位置であるエジプトやアラスカなどに怪しい光の巨柱を立てて、世界制服を企まんとする……。



 やや地味な作風であり、「イベント性」よりかは「ドラマ性」の方を重視したといった内容である――近年の東映特撮としては……という話で、世間一般・他社特撮と比すれば「ドラマ性」はやはり低い方だろうが(汗)――。
 個人的にはコレでもOKで、父子のドラマなども泣きながら観てはいた(笑)。しかし、フツーの男児は泣きのドラマは好きではないだろうし、あるいはその意味合いが判っても照れクサく感じるモノだろうから諸刃の剣の作劇ではある。
――やや不人気だそうである『仮面ライダーセイバー』を個人的には高く評価する筆者なぞは、同作のテーマのひとつでもあり主人公青年の少年期の体験から来る行動原理でもあった「約束を守る」うんぬんの涙目での力説などにも、ウルッと来るものがあったのだけど――


 50周年記念作なのだから先輩ライダーを大量に、あるいはライダー俳優OBを若干名は出演させればイイのに……などとは思うものの、もちろん素人が考えるようなことはプロも絶対に脳裏に浮かべてはいるだろう。
 まぁ、健全経営を旨とする東映としては、安く作るための消去法を取っていくと、一番金銭がかかるのはベテラン役者へのギャラであろうから、そこから消去法で削っていくといったところだろう。
 加えて、コロナ禍での撮影で製作にはやや時間を要するようにはなっているとか、大勢の出演で集団感染が発生してしまうと公開前にミソもついてしまうとか、半年前の夏休みにライダー&戦隊の大集合映画をやったばかりでもあるので、同作との差別化がやや困難だといった考え方もあるのだろう。


 今の時代、読者の方がスレているので、内情への斟酌(しんしゃく)を無視して、ただ単に芸もなく「レジェンドを出せ!」などとガナっていても、ナメられてしまうのは目に見えている(笑)。
 しかしその上で、100かゼロかではなく、いかにも取って付けたような「点描」、「ワンシーン」だけの登場でもイイので、やはりひとりといわず数人程度は昭和ライダー平成ライダーからレジェンドライダー役者さんを登場させた方がイイとは思うのだ。
 仮にドラマ性・テーマ性の面では、彼らを客演させようが同一であって何ら差異は生じないのだとしても、人類は万人平等だとの近代の理念には明らかに反してはいるものの(汗)、ソコでもまた作品自体に「華(はな)」や「オーラ」が出てくるのもまた事実なのであるからして……。


 「新旧2大スーパー戦隊共演映画」や「新旧2大ライダー共演映画」は、2010年前後の開始当初はその「夢の企画」だけで「驚き」や「華(はな)」を人々にもたらすことができていた。
 しかし、作品自体の「罪」ではないものの、観客・マニア側でもソレに慣れてしまえば、「驚き」はウスれてしまうのだ――もちろん、そういった共演作品自体を人生途上で初体験する、常に新たに参入してくる幼児たちにとってはソレはやはり「驚き」ではある。しかし同時に、小学校低学年にもなればソレもまた定型の年に1回の「日常」として、「驚き」は減じていってしまうものだろう――。


 だからこそ、常に「オールスター映画」を作るべきなのだ! というようなことは単純には云えない。「オールスター映画」を連発して製作してしまっても、「驚き」や「有難み」といったモノがウスれてしまうからだ。だから、100かゼロかではないのだ。
 そこで、作品や年度ごとにその「オールスター映画」の濃度・成分を30にすべきか60にすべきか80にすべきなどを慎重に検討して、変化を付けていく必要も生じる。その「投入頻度」「配合」のサジ加減もまた、やはり人々を「飽き」させないためには重要だからだ。


 そこで今、求めれている「投入頻度」とは、「新旧2大ヒーロー共演映画」と「オールスター映画」のその「中間」、ある程度の「グラデーション」としての「幅」という広がりを持った「分布範囲」の中にこそあるのだ! とすべきではなかろうか? といった興味関心なども惹起する。
 ここ数年の近作のヒーローを変身前の役者さんも込みで3~5人。あるいは、昭和の時代の変身前のOB役者さんなども1~2人。ソレらの御仁を毎年各作でメンツを少々変えていくことで小出しに登場させていくのだ!


 今年はどの先輩ヒーローが客演するのだろうか? 来年はどの先輩ヒーローがその他大勢の変身後としての登場ではなく、人格&ドラマ性を持った変身前の役者さんも込みでの存在として活躍するのであろうか?
 もちろん、昭和のレジェンド登場だけではなく、近作の「5 YEARS AFTER」や「10 YEARS AFTER」などの後日談としての要素も兼ねている「作り」であってもイイ!


 そのような処置を施すことができれば、絵面的には同系の先行作とも差別化が付けづらくなってしまって、「またまた、オールヒーロー大集合映画かよ!?」などといった「飽き」や「慣れ」を感じさせてしまうことが徐々に宿命化しつつある「オールスター大集合映画」とも差別化ができて、各作に「新鮮味」&「驚き」を維持することもできるだろう。そして、それは「客寄せ」「集客」方面でも充分に現実的な方策ではなかろうか!?



 もう早くも5年近くも前の作品になってしまうのだけど、基本の作りは「新旧2大ライダー共演映画」ではあっても、ソコにさらに数名の近作先輩ヒーローを客演させていた映画『仮面ライダー平成ジェネレーションズ』シリーズ3作品(16年・17年:http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20171229/p1・18年:https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190128/p1)の流れは、マニア間でも話題沸騰! 長期低落傾向にあった「新旧2大ライダー共演映画」の興収を再び上昇に転じさせることができていた。


 しかし、作品のドラマ的な質は特に低くはないものの、『仮面ライダーゼロワン』(19年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200518/p1)と『仮面ライダージオウ』(18年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20191020/p1)の共演を描いた映画『仮面ライダー 令和 ザ・ファースト・ジェネレーション』(19年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200112/p1)にて、その流れが途切れてしまったのは実に残念であった。
 この映画こそは、良くも悪くもドーとでも内容や細部をイジれてしまう「余白」は多い作品であった。歴史改変世界レジスタンス活動をしているメンツの中に、ライダーOB役者やレジェンド役者さんを数名程度は登場させて、彼らはなぜだかインチキにも平成ライダー昭和ライダーにも変身ができることにして――歴史改変による影響だとして、観客も好意的に脳内SF解釈をしてくれることだろう(笑)――、映画限定のゲスト悪役ともバトルをさせるような試みも容易だったのではなかろうか? そういった「イベント要素」の欠如が少々物足りなくはあったのだ。


 映画『平成ライダー昭和ライダー 仮面ライダー大戦 feat.(フィーチャリング)スーパー戦隊』(14年)では、昭和の仮面ライダー1号を変身前の役者・藤岡弘(ふじおか・ひろし)も込みで登場させていた。
 そうであれば、翌年度のヒーロー大集合映画でも、仮面ライダー2号とその変身前である佐々木剛(ささき・たけし)、仮面ライダーV3(ブイスリー・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20140901/p1)とその変身前である宮内洋(みやうち・ひろし)なども順繰りで登場させてほしい! などと、ほとんど全員の特撮マニア諸氏が望みを掛けていただろう!?(笑)
 00年代の平成ライダーシリーズを隆盛には導いたものの、10年代の担当ライダー映画ではややハズしている感もある、東映の白倉プロデューサーは、たとえアリがちでベタな企画であったとしても、ドーしてそーいう企画を実現させてくれないのであろうか?(汗)


 もちろんソコをヒネって、コチラの期待をはるかに上回る傑作や高興収作品を提示してくれるのであれば不満もないのだ。しかし、現実にはそーはなってはいないのだ。むしろ氏が担当してきた東映ヒーローの映画作品については、凡作が連打されてきた感すらあるのだ(爆)。
 であれば、ヘンにヒネらずに、昭和のレジェンドライダーを変身前も込みで順繰りに登場させたり、40周年や30周年に20周年や10周年などのアニバーサリーイヤーの先輩ライダーたちにも、毎年の各作ごとに客演させてほしいではないか!?



 とはいえ、「新旧2大ライダー共演映画」にはアニバーサリーイヤーのOBライダーたちにも必ず出演をさせるべし! などという、マニアに成りたての青年オタクがヤリそうな、ドグマ的・教条主義的な先入観バリバリの観点から本作を観賞していたワケでは毛頭ない。事前に公表されている通りであって、ソレらが果たされないことはわかりきってはいるので、ソコはもちろん頭を切り替えて鑑賞してはいて、まぁまぁ楽しめてもいるのも事実なのだ。
 そして、「イベント性」はともかく「ドラマ性」それ自体をモノサシに公平・客観的に見てみれば、初期の「新旧2大ライダー共演映画」の出来自体はやはり悪かったとも思うのだ(笑)。しかし、作品の出来自体はイマイチでも高い興行収入を達成できていた理由は、やはり「物珍しさ」「レア価値」といった要素が大いに観客にも訴求をしていたからでもある。
 逆に云うならば、これは作品自体の罪やクオリティーのせいではないのだけど、同工異曲の「新旧2大ヒーロー共演作品」や「ヒーロー大集合映画」を作れば作るほど、「物珍しさ」「レア価値」といった価値が次第に減じていく悲しい「運命」「宿命」「必然」を、ソレは意味していたりもするのだけど――。



 一応、本作の50周年映画としての意味合いは、元祖・仮面ライダー1号こと藤岡弘のご子息の出演である。彼が演じた50年前の1971年の時代に存在していた本郷猛(ほんごう・たけし)こと仮面ライダー1号が登場するのだ――喋り方も藤岡弘に似せていた(笑)――。


 そして、『リバイス』&『セイバー』の6大ライダーが2071年の時代に「精神」「魂」だけを飛ばすことで、次々に憑依合体していく「クローンライダー」こと歴代ライダーたち。
 加えて、ゲストの悪魔怪人たちが変身した「デビルライダー」ことショッカーライダーや仮面ライダー王蛇などの悪のライダー軍団!


 などといったところでも、50周年映画としての風味は出してはいた――本来の本人が変身しないライダーたちなので、パチモン臭は強いのだけど(笑)――。


 ただまぁ、鑑賞している最中に思ったことではないものの、後出しジャンケンで云えば、本映画には時間跳躍要素があったのだし、今やベテラン俳優・古田新太(ふるた・しんた)が演じていた「新幹線の整備士」つながりで、伏線もナシで本作終盤にまさに取って付けたように、「時を駆ける列車・デンライナー」に乗って仮面ライダー電王あたりが出現! 未来に行っていた6人を現代の「新幹線の整備場」へと連れて帰ってきてもよかったのではなかろうか!?
 平行宇宙を跳躍できる仮面ライダーディケイド仮面ライダーディエンドに、時間を跳躍できる仮面ライダージオウ仮面ライダーゲイツなどが変身前の役者さんも含めて、1シーンだけでも未来世界で本作の主人公ライダーたちが大ピンチに陥(おちい)った際に助っ人(すけっと)参戦でもしてくれたならば、もっと盛り上がったのではなかろうか!?
 そして、そーいう「イベント要素」が一点だけでもあれば、筆者もすべてを許して、手のひら返しで本作のことを「大傑作」だと認定していたのかもしれないのだ(笑)。



・毎年8~9月に終了する前作「ライダー」の後日談でもある「新旧2大ライダー正月映画」
・そのさらなる後日談でもあったハズの消滅してしまった春休みかゴールデンウイークの「ヒーロー大集合映画」


 コレらの2大映画も単発作品では終わらせずに、ユルやかな「連続性」も作って、子供たちやマニアたちの興味関心を中長期にわたって持続をさせていくべきなのだ!


 前作「ライダー」の物語も、年末の「新旧2大ライダー映画」だけで一応の完結を与えてしまってはツマラない。何らかの未解決要素を残したり、因縁の宿敵を生存させることで、その「つづき」として翌春の「ヒーロー大集合映画」にも、取って付けた要素だけでもイイので「コンティニュイティー・継続性・流れ」を作っていくべきではなかっただろうか?


 さらに云わせてもらえば、翌春の「ヒーロー大集合映画」にも一応の完結を与えてしまってはイケナイのだ(笑)。そのエンディングのあとには、東映本社ではなく東映ビデオが製作しているビデオ販売作品でもある前作「ライダー」後日談の作品群の「予告編」なども流して、さらに「つづく」といった感じとして、それらの後日談作品も実は本質的には「春休み映画」の「つづき」などではさらさらなくて、「個別単独作品」としての作りでしかなかったのだとしても、一応の営業的(笑)なユルやかな連続性も作って、子供たちや特撮マニアたちの興味関心をも惹起して売上も上げていくべきではなかろうか!?


 まさにその手法で、DC社とマーベル社のアメコミ洋画シリーズ(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190617/p1)は2010年代に世界中で大ヒットを飛ばすこともできていたのだから――などと云いつつ、日本では国産アニメの方が大ヒットしていたりもしたけれど(笑)――。
 東映製作の仮面ライダーシリーズや戦隊シリーズ円谷プロ製作のウルトラマンシリーズも、2010年代初頭にはそーい方向性の作り方に舵を切れる可能性もあったハズなのだ。しかし、いまだにそーはなっていないどころか、部分的には散発的な「単独作品」を連発しているような「退行現象」まで生じてしまっていて、そのことが実に歯ガユくも思うのだ。
 そのへんに対するセンス&プロデュース能力もあるのは、新旧2大ヒーロー共演ビデオ作品をもTVシリーズ本編のエピソードに組み込んだり、歴代戦隊レッドを総登場させたり(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20080518/p1)、別番組の『マスクド・ライダー』(95年。『仮面ライダーBLACK RX』(88年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20001016/p1)の翻案)なども番組を越境して客演させていた『パワーレンジャー』シリーズ(93年~・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20170715/p1)を監督兼、監督よりもはるかにエラいエグゼクティブ・プロデューサーの役職にまで昇格して作品内容まで統括していたような、かの坂本浩一カントクあたりが適任であり、氏の各所でのインタビューも読むにそのような提言も散々にしてきたようではある。
 このあたりで、坂本に対する前近代的で人治主義的な個人崇拝という意味ではさらさらなくって、坂本理論を法治主義的に精緻化・合理化して万人が使用可能とするかたちで、アマチュア側でも理論武装をして世間に啓蒙していく必要があるようには思うのだ。



 もちろん作品の内容ソレ自体ではなく、ウラ番組に同じく東映製作の人気TVアニメが配されてしまった不運が、ここ数年の現行の東映TV特撮の苦境の根本原因ではあるだろう。そして、ソコの解決はかなり困難ではあるどころか、不可能にも近しいものかもしれない。
 しかしそれはそれとして、個別単独のTV各作を超えた「新旧2大ヒーロー共演」と「ヒーロー大集合」のその「中間」のポジションもねらって、それに伴なう「連続性」&「イベント性」を高めていくこと。しかして、それをもう十年一日でやってきたマンネリだとは人々に感じさせずに、幾人かのアニバーサリー・ヒーローを順繰りで登場させることで、「目先の変化」といった一応の「新鮮み」も付けていくこと。ソレこそが今の日本のTV特撮の集客には必要なことだと信じるのだ。


(了)


仮面ライダー ビヨンド・ジェネレーションズ』賛否合評2

(文・しかせん)


「あの時、俺はただアンタと一緒に新幹線に乗りたかっただけなんだ」


 ということは、『仮面ライダー』(71年)第2話の放映翌日の新幹線に一緒に乗る予定が、仮面ライダーこと本郷猛(ほんごう・たけし)に風力をかけてしまったばかりに失敗を犯し、第1話の直後に宇宙に飛ばされたってことか。しょうがないよね、首領を裏切っちゃったのだから。


 そーいえば、70年代中盤までの父ちゃんは土曜は半ドンで会社に出勤してたのだ。休みは日曜日だけだったのに日帰りで新大阪だなんて、やっぱりショッカーの科学者は高給取りだったってことだ(笑)。


 鉄道マニアとしては、ロケ地的には冒頭の神奈川県の相模川・河川敷、海老名の南の寒川町・倉見の運動場に反応してしまったけれど、西へ向かう新幹線が相模川を通過した厚木側にはメイツ星人の宇宙船が埋もれたままの河川敷。時速210キロでそのまま3分走った場所は、機関車仮面と新幹線が競争した場所。
 東映がちゃんと新幹線と向き合って撮影された(それもJR東海クレジットあり)、和解後初の映画作品でもあったりするんじゃないかしらん。


 しかし、決裂の原因となった東映の名作映画『新幹線大爆破』(75年)のミニチュアがなければ、それを流用した『ウルトラマン80(エイティ)』(80年)7話「東京サイレント作戦」(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100613/p1)の新幹線破壊シーンも作られなかったし、東映のTVドラマ『新幹線公安官』(77・78年)の車内シーンもなかったんじゃないかと思うと、今回の映画は違った意味で感慨深く見させてもらった。


 『仮面ライダーバイス』(21年)の少女敵幹部を演じる浅倉唯の「字幕」が『スケバン刑事Ⅲ』(86年)を演じた80年代アイドル・浅香唯に見えて、どうしようもない老眼おやじになってしまった。「おまんらどうしてくれるかのう!」。
 ちなみに、映画は初日に子供の塾のお迎えついでに相模大野から急行で1駅の海老名まで引き回し、レイトショーで見てきた不良親父でございます。席はそこそこ埋まっていました。


(了)


仮面ライダー ビヨンド・ジェネレーションズ』賛否合評3

(文・戸島竹三)


 私事で恐縮だが、公開初日が父の四十九日。このタイミングで親子にまつわる映画を観ることになるとは。正直、精神的にキツい。一周回って、ならば思いっきり泣かせてほしい。そう開き直ってスクリーンに臨んだが。



(以下、ネタバレあり)


 結論から言えば泣けなかった。一番の泣かせどころたるべき元ショッカーの科学者・百瀬(ももせ 演・中尾明慶)とその息子・秀夫(古田新太)の対峙シーン。過去のわだかまりから亀裂の入った関係だったが、平板な会話のやり取りで和解が成立してしまう。
 本当は「父親のことを許したい」という心情が透けて見えていたとはいえ淡白に過ぎる。重要な小道具である新幹線の切符も今一つ生かせていなかった。


 一番まずいと感じたのは「子どものことを大事に思わない親などいない」(大意)というキラーワードを親(百瀬)自身に言わせたこと。こういう場面では、正論でもかえって反発を招くことは必至。
 彼の不器用さを表現するため、あえて言わせたのかもしれない。しかし、どうせ使うならより効果的に使うべきだったのでは? 別の人物から秀夫の耳に入れるとか。


 例えば、詳細なシチュエーションは省くが、仮面ライダーバイスこと一輝(前田拳太郎)の父・元太(戸次重幸)から言われる。あるいは一輝から父親の口癖として告げられるとか。
 心が通わず重苦しい雰囲気の中、今回のラスボスである悪魔・ディアブロが出現。秀夫をビームで攻撃。そこで百瀬が身を呈して守る。その行為に秀夫は、あの言葉を思い出す。これくらいベタな展開がほしかったのだが。


 ショッカー怪人や仮面ライダー1号も生み出した元ショッカーの科学者がゲストだという設定には、「その手があったか!」と感心したし、映画『平成ライダー昭和ライダー 仮面ライダー大戦 feat.スーパー戦隊』(14年)に続いて声優・関智一(せき・ともかず)が声を演じるショッカー大首領(激似)をはじめとする再現クオリティの高さは素晴らしく、記念作品らしい見ごたえはあった。何より筆者と同い年(汗)である古田新太の変身ポーズ。先のシーンで泣けなかった分グッと来た。


 観終わって思い出すのは、筆者の親父のことである。グランバザーミー(『スカイライダー』(79年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20210102/p1)と戦った強敵怪人)役の声優さんに若い頃、役を取られたとまだ子供であった息子に告白した、実に恨みがましい元・演劇畑の親父(汗)。かつては疎(うと)ましく思ってきたものの、結局はあなたをビヨンドすることなどできませんでした。


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2021年師走号』(21年12月30日発行)~『仮面特攻隊2022年1月号』(22年1月16日発行)所収『仮面ライダー ビヨンド・ジェネレージョンズ』合評より抜粋)


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仮面ライダー×仮面ライダー W&ディケイド MOVIE大戦2010』

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20101220/p1

仮面ライダー×仮面ライダー×仮面ライダーTHE MOVIE 超・電王トリロジー EPISODE RED ゼロのスタートウィンクル』

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20110403/p1

仮面ライダー×仮面ライダー×仮面ライダーTHE MOVIE 超・電王トリロジー EPISODE BLUE 派遣イマジンはNEWトラル』

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20110516/p1

仮面ライダー×仮面ライダー×仮面ライダーTHE MOVIE 超・電王トリロジー EPISODE YELLOW お宝DEエンド・パイレーツ』

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20120701/p1

仮面ライダー×スーパー戦隊 スーパーヒーロー大戦』 ~快作!? 怪作!? 圧倒的物量作品を賛否合評!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20201115/p1

仮面ライダー平成ジェネレーションズFINAL ビルド&エグゼイド withレジェンドライダー』 ~ヒーロー大集合映画の教科書がついに降臨か!?

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20171229/p1

仮面ライダー平成ジェネレーションズFOREVER』 ~並行世界・時間跳躍・現実と虚構を重ねるメタフィクション、全部乗せ!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190128/p1

『劇場版 仮面ライダージオウ Over Quartzer』 ~平成ライダー・平成時代・歴史それ自体を相対化しつつも、番外ライダーまで含めて全肯定!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190804/p1

仮面ライダー 令和 ザ・ファースト・ジェネレーション』『ウルトラマンタイガ』『ウルトラギャラクシーファイト』『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』 ~奇しくも「父超え」物語となった各作の成否は!?

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200112/p1

『劇場版 仮面ライダーゼロワン REAL×TIME』 ~公開延期でTVシリーズ群像劇の見事な後日談にも昇華!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20211114/p1

『劇場短編 仮面ライダーセイバー 不死鳥の剣士と破滅の本』 ~短編で戦闘だけ! そもドラマは必須なのか!?

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20220109/p1