(2025年7月11日(金)UP)
『ウルトラマンギンガ』序盤評 ~低予算を逆手に取る良質ジュブナイルだが、それゆえの危惧もアリ!?
『ウルトラマンギンガ』最終回 ~タロウ復活! 津川雅彦もキングに変身すべきだ! ウルトラ怪獣500ソフビを売るためには!?
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『ウルトラマンギンガS(エス)』序盤合評 ~レギュラー悪・女幹部・敵戦闘員! 変身前の本編でもアクションあり! 地底人のウルトラマンビクトリーも登場!
『ウルトラマンギンガS』序盤合評1 ~ウルトラマンVSウルトラマン!
(文・J.SATAKE)
(2014年7月26日脱稿)
『ウルトラマンギンガ』(13)の第2期として『ウルトラマンギンガS(エス)』(14)がスタート!
シリーズ構成(メイン脚本)・小林雄次氏、メイン監督・坂本浩一氏で、他に小中和哉氏が監督につくという新たな布陣で『ギンガを』描く。
1)怪獣攻撃隊の防衛チームが登場!
前作から2年。世界中をめぐって、たくましくなった礼堂ヒカル(らいどう・ひかる)青年は、防衛チーム・ウルトラ・パーティ・ガーディアンズ=「UPG」にスカウトされる! 初代『ウルトラマン』(66)の防衛チーム・科学特捜隊と同じく、「流星」がトレードマークだ!
紅茶を愛でる隊長・陣野義昭(演・大浦龍宇一氏)、熱血漢・松本ゴウキ(演・加藤貴宏氏)、クールビューティ・杉田アリサ(演・滝裕可里嬢)、そして情報研究担当は前作『ウルトラマンギンガ』でヒカルとともに戦った一条寺友也(いちじょうじ・ともや)だ!
2)侵略者たち
突如、地上に突出してきた巨大クリスタルを集める美女ことアンドロイド・ワンゼロ役は、アニメ畑の脚本家・吉田玲子氏と坂本監督が手がけた東映の美少女アクション映画『白魔女学園』(13・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20220227/p1)でも主演した、アイドルグループ・でんぱ組.inc(インク)の最上もが(もがみ・もが)嬢だ。
『ウルトラセブン』(67)の登場したチブル星人が製造した多数の戦闘員・チブロイドを使役し、本作でも自らアクションもこなす! さらに、スパークドール(怪獣の人形)を使って、「モンスライブ」こと怪獣に変身して、初代『ウルトラマン』以来、歴代ウルトラシリーズに登場してきた「どくろ怪獣レッドキング」の強化形態である、『ウルトラギャラクシー大怪獣バトル NEVER ENDING ODYSSSEY』(08年)最終回が初出である「EX(イーエックス)レッドキング」をその体内から操縦するように操る!
彼女に指令を与えて、ゲーム感覚でクリスタルを収集するのは、強化スーツに身を包んだチブル星人エクセラー! 果たして、その真の目的とは?
3)地下世界と謎のクリスタル
クリスタルはビクトリウムと呼ばれており、地下世界の住人・ビクトリアンが代々守ってきたものであった! 奪われていくビクトリウムを守るため、キサラ女王(演・山本未來氏)から伝説のアイテム・ビクトリーランサーを授かった青年・ショウ(演・宇治清高氏)が地上に赴く!
その彼を見守っている官人カムシン(演・斉藤洋介氏)、女官サクヤ(演・小池里奈嬢)とその弟・レピなど、地底人にも優しい面々がいるが、ショウは光あふれる地上の人々を快くは思っていない。前作での友也青年に対する接し方と同じように、ショウに屈託なく接してくるヒカルに対して苛立ちを隠せないショウ! 良い意味でのアリがちな設定ではる。この2人の対立と融和のドラマを説得力を持って描いてくれれば、この作品は成功するということだ!
4)新ヒーロー・ウルトラマンビクトリー!
角張ったデザインの頭部、銀をメインに黒と赤のカラーリングも挑戦的だ! 各部に配されたクリア素材の「V」字型のマークが光る! 銃にも変形するアイテム・ビクトリーランスで、ショウがウルトラマンビクトリーのスパークドールズ(人形)の足裏をリードすることで「ウルトライブ」して、ウルトラマンビクトリーへと変身する!!
さらに、倒した怪獣を変身アイテムでリードして、ウルトラマンビクトリーの右腕にその能力を宿すことができるという「ウルトランス」もインパクト大だ!
野太いEXレッドキングの腕でマグマアタック!
エレキングの尻尾で電撃ムチ!
そのマンガチックなビジュアルと派手な技! 大いに良し!!
5)ウルトラマンギンガも、ウルトラマンギンガ・ストリウムへと強化変身!
ウルトラマンギンガも昭和のウルトラマンタロウからストリウムブレスなるブレスレットを授かってパワーアップ! ギンガの胸から肩にかけてのプロテクターに、ウルトラマンタロウの意匠を取り入れたウルトラマンギンガストリウムヘとなった!
昭和のウルトラマンたちことウルトラ6兄弟である、
●長兄・ゾフィー
●次男・初代ウルトラマン
●三男・ウルトラセブン
●四男・ウルトラマンジャック(帰ってきたウルトラマン)
●五男・ウルトラマンエース
●六男・ウルトラマンタロウ
ウルトラ兄弟の個々人の姿も、ウルトラマンギンガの真横に出現して、昭和のウルトラ兄弟が必殺光線を発射する際のポーズと、完全に同一の型を構えをとってみせるウルトラマンギンガ!
ウルトラマンタロウがその両腕を逆「L」字型に組んで発射する必殺技・ストリウム光線が! 初代ウルトラマンのその両腕を「十字」に組んで発射する必殺技・スペシウム光線が! ロボット怪獣たちであるインペライザー軍団を撃退してみせる!! ウルトラセブンのその両腕を「L」字型に組んで発射するワイドショットが! ガッツ星人ボルストの操るロボット怪獣キングジョーを打ちのめした!!
前作とは打って変わって、バトルアクションでグイグイ引っ張ってゆく展開はやはり坂本監督ならでは。
●奥手に回収される、ビクトリウム
●組み合う、ウルトラマンビクトリーとEXレッドキング
●手前にショウが使役する正義の怪獣・シェパードン
奥行きを感じさせる画面ではある!
舞い上がる土煙と仰ぎみる角度から捉えた迫力の格闘シーン!
ウルトラマンギンガがその両腕を「L」字型に組んで発射する必殺技・ギンガクロスシュートを浴びて、CGではなくガソリン系の燃料によるいわゆるナパーム爆破で大爆発する怪獣レッドキングのカットは、オープンセットだからこそできる巨大なオレンジの「爆炎」と「煙」の共演だ!!
青年とウルトラマンとの邂逅を経て、異星人とも戦う防衛チームが登場! 立場の違うふたりのウルトラマン同士の確執! と、平成ウルトラ的な要素も取り入れた『ギンガ』第2期こと『ウルトラマンギンガS』! ここ20年ほどではウルトラマンシリーズ定番ともなった展開を坂本監督がどう見せてくれるのか?
重いテーマに呑み込まれず、素面とスーツアクターによる激しいバトルアクション、昭和のウルトラ6兄弟から受け継いだヒカルたちや人類の友情! コミカルな笑い! そして、ちょっぴりセクシー! を織り交ぜて『ギンガS』を盛り上げていってほしい。
『ウルトラマンギンガS』序盤合評2
(文・T.SATO)
1990年代後半の『ポケットモンスター』(96年)・『遊★戯★王』(97年)以降の子供向け作品に登場するモンスターたちが、種々の属性をまとってタイプチェンジやパワーアップを遂げて久しい現在、老害マニア連中が激怒しようが、『ウルトラ』シリーズもそーいう稚気満々なことをすべきだよナ、と個人的には長年考えてきた(いや、ホントに・笑)。
そんな身からすれば、コレはスゴい! 新ウルトラマンことウルトラマンビクトリーの右腕が、怪獣「EX(イーエックス)レッドキング」の太っとい右腕に変化! どころか、怪獣「エレキング」のシッポに早変わり! 超絶なるインパクトであった!(笑)
『仮面ライダーディケイド』(09年)や『海賊戦隊ゴーカイジャー』(11年)も先輩ヒーローたちに変身できて、なおかつその超能力をも駆使できていた。しかし、今度のウルトラマンギンガの強化形態・ウルトラマンギンガストリウムは、ついに昭和のウルトラ6兄弟の必殺光線をも駆使できるようになっている! カッチョええ~~!
『ウルトラ』シリーズは「SF」であって、単なる「勧善懲悪」なぞではない! といった、はるけきむかしの理論武装が災いして、「組織化された悪なぞは不要!」「ドラマがなければイケナイ!」などといったテーゼが誠しやかに連綿とささやかれてきた。そういったテーゼが年長になってからの再視聴にも堪えうる内容をもたらしたことも重々認めはする。
しかし、それゆえに子供ウケする軽快な娯楽活劇性を『ウルトラ』から奪ってしまって、30分ワク前半のAパート・後半のBパートで2回は変身&バトルをしてみせる東映特撮ヒーロー作品の後塵を拝することにもなってきたのだとも私見する――昭和の第2期ウルトラシリーズ支持派としては残念だけれども、1970年代前半の変身ブーム時代から実はそうであったのだ(汗)――。
ところがドッコイ、本作『ウルトラマンギンガS』では、Aパートの冒頭から人間サイズの敵の戦闘員(!)まで登場してきてバトルはするわ、時に巨大特撮バトルも始まるわ、ウルトラマンVSウルトラマンのバトルまでもがあるわ!
歴代ウルトラシリーズのなかでも特撮セットは最も手狭なのではあろうが、何もなかった前作『ウルトラマンギンガ』第1期とは異なり(汗)、「岩山」と「街並」などの美術セットを確保! セットと質感を合わせたゴツゴツとした岩山のCGをバックに、ヨコ方向に高速突進・逆進、タテ方向にも高速跳躍・着陸、斜め上空からはウルトラマンのキレイなキックまでをも披露!
重厚なスローモーション映像ばかりでなくって、俊敏たる肉体を持った超人ヒーローはこーじゃなくっちゃ!! #3までの印象は良なのだ。
『ウルトラマンギンガS』序盤合評3 ~超絶のカッコよさ! ギンガストリウム&ウルトラマンビクトリー!
(文・久保達也)
(2014年8月1日脱稿)
ウルトラマンギンガ・ストリウム!
ウルトラマンタロウ「我々ウルトラの意志を受け継ぐ者には、すばらしい仲間がいる。我々はどんなときでも、仲間とともに、力を合わせて戦ってきた。だからヒカル、おまえにもウルトラの仲間がついている。我々といっしょに戦うんだ!」
第3話『孤高の戦士』のクライマックスで響きわたる、ウルトラマンタロウの声!
主人公青年・礼堂ヒカル(らいどう・ひかる)の左手首に、タロウの顔を象(かたど)ったブレスレット・ストリウムブレスが装着される!
ヒカルはまず、ウルトラマンギンガに変身する。そして、左手首のブレスレットのタロウの顔を右へ回すや、往年のウルトラマンタロウが変身するときの効果音が鳴り響く!(感涙) まさに、タロウと「合体」をとげるイメージで、ウルトラマンギンガストリウムへと強化変身する!
もちろん、ストリウムとは、ウルトラマンタロウの必殺技・ストリウム光線からの引用だ。もっとも、デザイン的にはギンガにタロウの体の白いラインが入って、タロウの胸のプロテクターが部分的に装着される程度のマイナーチェンジ程度であるのは個人的には惜しい。いっそのこと、タロウのように側頭部に巨大なツノをはやしてもよかったのでは?(笑)
ヒカルがブレスレット下部のダイヤルを回すや、タロウの姿が表示され、なんと、ストリウム光線の合成素材のイメージを背景に、ギンガストリウムとタロウとの左右に並んだツーショットの映像となる!
さらに、ギンガストリウムとタロウの全身が、原典でのタロウと同様にストリウム光線の色に染まって、さらにはギンガストリウムとタロウが左右から合体して、ウルトラマンタロウの必殺技であったストリウム光線を、ウルトラマンギンガストリウムが発射する!!
本作でもタロウの声を演じているのは、映画『ウルトラマン物語(ストーリー)』(84年)、飛んで『ウルトラマンメビウス』(06年)以降の作品でもタロウを演じてきたベテラン声優・石丸博也(いしまる・ひろや)である。しかし、ストリウム光線を発射する際には、原典の『ウルトラマンタロウ』(73年)で主人公・東光太郎(ひがし・こうたろう)を演じた篠田三郎(しのだ・さぶろう)の声を加工した「トァ~っ!」の叫びを流用して、ここで流すのだ!(感涙!)
これは「セリフ」ではなく「掛け声」の引用であれば、版権的にも流用はOKということなのだろうか? それとも、篠田三郎の事務所と「掛け声」の流用を永続的に許可してもらうように、新たに契約をしてじゃっかんの金銭なども支払したのであろうか?(汗)
続いて、ブレスのダイヤルを回すと、今度は初代ウルトラマンのイメージが現れる!
ヒカル「ドリャ!(掛け声)」
おなじみの初代ウルトラマンの「シュワッ!」の掛け声とともに、初代マンとギンガストリウムのツーショットが合体し、空中から初代マンの必殺技であるスペシウム光線をギンガストリウムが発射!!
『ウルトラマンメビウス』が初出である巨大ロボット・無双鉄神インペライザーの十数体にもおよぶ軍団が燃え上がり、その炎を背景に、華麗に着地するギンガストリウム! マジでカッコよすぎ!!
そして、『ウルトラセブン』(67年)が初出である宇宙ロボット・キンングジョーのマイナーチェンジ版である、キンングジョーカスタム――『ウルトラギャラクシー大怪獣バトル』(07年)以来、活躍してきたキングジョーブラックの着ぐるみを、金色に塗り直しただけのもの(笑)――に対して、飛びひざ蹴り・胸部への連続パンチ・ジャンピングキックを立て続けに見舞うギンガストリウム!
キングジョーカスタムの銃撃をかわしながら、燃えさかる炎の中を高速飛行するギンガストリウム!
「デュア~ッ!」の掛け声とともに、ウルトラセブンと合体したギンガストリウムは両腕を「L」字型に組んで、ウルトラセブン最強の光線技・ワイドショットをキングジョーカスタムに放った!!
その大爆発を背景に、画面手前の方へと超高速で飛び出してくるギンガストリウムのまたあまりものカッコよさ!!
もちろん、昭和のウルトラ6兄弟の必殺技をギンガストリウムが使用可能になったことは、今年度の『ウルトラ』の主力商品であるストリウムブレスに、そういった回転ギミックを設けてあり、そこに昭和のウルトラ6兄弟の個々人の顔面を表示させつつ、映像作品においても、そういった連動要素を設定したからではある。
しかし、そう云ってしまってはミもフタもないのだ(笑)。そこで、少しでも、劇中内でもドラマ的・テーマ的にも意味を持たせようと、文芸陣もがんばっている。
ショウ「俺には、ともに戦う仲間なんて必要ない!」
対比として、地底人のショウ=ウルトラマンビクトリーは、仲間や先輩ヒーローの助力などは不要だと、彼の理念を語らせる。
しかし、ヒカル=ウルトラマンギンガの方には、「仲間」の大切さ・素晴らしさを主張させる役回りを、対比として与えることで、単なる玩具の販促ではあっても(笑)、そこに少しでものテーマ的な意味を与えて、作品を一応のドラマ・道徳説話っぽく有機的に仕上げようとはしているのだ!
ウルトラマンビクトリー!
そして、新登場となったウルトラマンビクトリーも、ギンガストリウムに負けてはいない! ビクトリーは自身が倒した怪獣の強力な部位を、その怪獣のスパークドールズ(人形)経由で、その右腕に装着することで、武器として使用するのである!
どくろ怪獣EXレッドキングのゴツい腕を装着して大地を叩きつけ、地割れを起こして溶岩(笑)を噴出させる!
宇宙怪獣エレキングの長いシッポを右腕に装着して、電磁ムチとして敵怪獣をしばきまくる!
キングジョーカスタムの右腕のミサイルランチャー!
岩石怪獣サドラのハサミ状の右手!
地底怪獣グドンのムチ状の右手!
こうなったら、深海怪獣グビラのドリルや、八つ切り怪獣グロンケンの回転ノコギリ、殺し屋超獣バラバのカマとムチも奪い取って、もっと派手に暴れてもらいたいものである(笑)
だが、ビクトリーのインパクトの強さは、決してそれだけにはとどまらなかった。まず、変身パターンがいきなり変身アイテムでの銃撃なのである(笑)。
ショウが変身アイテム・ビクトリーランサーを宙にかかげるや、そこから高速でウルトラマンビクトリーのスパークドールズ(人形)が飛び出す! それをショウが高々とジャンプしてツカみあげて、人形の足底を変身アイテムにリードさせることで、ウルトラマンビクトリーに変身するのだ!
変身シーンは様式美的なバンクフィルムになっている。なぜだが、ショウが異空間の断崖絶壁(だんがい・ぜっぺき)の上で変身するのだ。第2話『ギンガ対ビクトリー』でも、舞台が街の中だったのに、やはり変身は断崖絶壁で行われていた。この手の子供向け番組なので、厳密なリクツなぞはどうでもよいのだが(笑)、好意的に解釈してあげれば、変身の瞬間には異空間へと転移しているのであろう。
本作ではウルトラマンギンガの変身シーンも、前作からマイナーチェンジしているのだが、ビクトリーの変身シーンのインパクトは絶大であった。変身時の音声ガイダンスも、妙にドスが効いたワイルドな声であった(笑)。
ウルトラマンビクトリーが回し蹴りをするや、足の先から光弾が発射される「ビクトリウムスラッシュ!」も、スーツアクターのアクションとデジタル合成の結晶であり、確かにカッコいい!
そして、右腕の「V」の字を象った部分から「V」の字状に発射される「ビクトリウムシュート!」もカッコいい!
第2話では、額の「V」の字の部分からも、ギンガに向けて光線を放っていたが、なんと、カラータイマーまでもが「V」の形であったりする!
坂本浩一監督の特撮アクション演出!
そんなワケで、今回は設定にさまざまな工夫が見られるが、デジタル特撮もまたしかりである。
第1話『切り拓(ひら)く力』では、ヒカルが防衛組織の自動車を運転する郊外の本編場面に、ショウの守護獣シェパードンや吐き出す炎が大胆に合成されている。
第2話でのエレキングが街中で口から光弾を吐いて周囲を炎上させる場面や、第3話のインペライザー大軍団襲撃場面でも、実景との合成がなされているのだ。
それでも一応、ビル街のミニチュアも併用されている。前作『ウルトラマンギンガ』(13年)が降星山(ふるほしやま)周辺だけが舞台で、ビルのミニチュアがなかったことを思えば、今回はかなりの充実感が得られるものとなっている!
ウルトラマンギンガやウルトラマンビクトリーの飛行や、攻撃に吹っ飛ばされる描写では、CGの山々などを背景に、超高速で横移動する映像演出となっており、これによってかなり迫力を増している!
一方、怪獣がウルトラマンたちの必殺技で大爆発する描写は、わざわざ屋外でガソリン(ナパーム)を爆発させており、デジタルだけには頼らない、フィクションなりに「本物」の爆発でしか味わえない良さをも大事にしているのは好感が持てるところである。
また本作では、怪獣の出現場面のみならず、バトルシーンの間にも、やたらとオープン撮影でのローアングルからのあおりカットが多いのが特徴的である。これはこれで古典的な手法ではあって、往年の東映特撮『ジャイアントロボ』(67年)などでも多用されていたものであったが、ウルトラマンと怪獣との間に砂塵(さじん)を巻き上げさせることで、より臨場感を醸(かも)し出してくれているのだ。
そういえば、第2話冒頭で描かれた、夕焼けの中のギンガVSビクトリーの場面ですらも、オープンでのあおりカットが散見されたものであるが、こうした演出は近年ではあまり観た記憶がなく、かなり印象に残るものとなっていた。
夕日をはさんで向かい合った合ったギンガとビクトリーの背景に、ヒカルとショウの横顔を合成したりとか、ビクトリーが空中高くからギンガにキックを浴びせるとか、ギンガとビクトリーがジャンプして夕日の前で空中激突するとか! なかなかにここでの夕焼け特撮もすばらしかった!
ついに、『ウルトラ』のテレビシリーズのメイン監督に抜擢されて、本作の第1話から第3話に連続で手がけて、映画『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE(ザ・ムービー)』(09年)以来、5年ぶりの登板となった坂本浩一(さかもと・こういち)監督。
その5年間のあいだには、「平成仮面ライダー」や「平成スーパー戦隊」にも参加! 『仮面ライダーフォーゼ』(11年)と『獣電戦隊キョウリュウジャー』(13年)のメイン監督も務めて、子供ウケとマニア受けの両立も達成していた。
本作では、エンディングテロップの「絵コンテ」にも連名だが名前が出ている。本作でも「特撮」が「本編」とは別班体制ではないことから、ほとんど着ぐるみキャラクターによる仮面劇であった映画『ウルトラ銀河伝説』とは異なり、坂本監督の大胆でスカッとするアクション演出が、「特撮」場面においても「本編」場面においても、全開になるであろうことは間違いないだろう!(とはいえ、人間ドラマが撮れないようなアクション専任の監督でもないことは、マニア諸氏にもご承知のとおりだ!)
坂本浩一監督の本編アクション演出!
よって、ヒーローVS怪獣の特撮ではない本編の方でも、もう坂本監督が本領を発揮しまくり!
各話の30分枠の前半のいわゆる「Aパート」から、東映の特撮変身ヒーローもののように、いきなり人間キャラによるバトルが散見されるのだ! 第3話に至るまで、マジメで辛気(しんき)クサい人間ドラマはない(笑)。なんといっても、本作で革新的であるのは、ついにウルトラシリーズにおいても、敵の軍団の戦闘員が登場したことである!
そして、「悪」の「首領」として登場するのは、『ウルトラセブン』が初出であった頭脳宇宙人チブル星人! 怪獣博士の皆さまには1960年代のむかしから「怪獣図鑑」などで知れ渡っているように、その知能指数は「5万」だという、手脚がなくてタコのような足がブラ下がっている、頭脳だけが浮遊している宇宙人だ(笑)。格闘能力などはないために、強化用のメカを装着してのフルCGで描かれている。
それでは足らないとばかりに、チブル星人は原典でのアンドロイド少女ゼロワンならぬワンゼロ(笑)を連れている。そのワンゼロがボール状の金属物体を宙に投げるや、メカ兵士の戦闘員が登場するのだ! おかげでヒカルやショウ、防衛組織の隊員たちが、戦闘員やワンゼロと、本編ドラマ部分でも等身大バトルを繰り出す描写が続出!
さらに、第3話ではワンゼロのふがいなさに怒ったチブル星人が呼び寄せた、客分幹部の分身宇宙人ガッツ星人ボルストとワンゼロの仲間割れバトルまでもが描かれた!
で、案の定、坂本監督はいつものどおり(笑)、ガッツ星人に回し蹴りを喰らわすワンゼロを、フトモモを強調した超フェティッシュなアングルで、下からあおりで撮っていた(笑)。
第3話までの印象では、どうやら坂本監督は単なる雇われ監督ではなく、メイン監督として本作の企画段階から作品の中身や方向性にまで口出しできる立場にあったのだろうと推測する。
そして、『ウルトラ』の未来のためには、こうして子供たちの目を惹(ひ)きつける異形(いぎょう)の着ぐるみキャラクターやアクション要素を優先した作風こそが必要なのである!
どうせそのうちに、また別の脚本家や監督陣による、テーマ至上もどきの辛気クサい異色作や変化球も投入されるのだろうが(笑)、作品の序盤早々で連続してこうした明朗なノリを構築さえしてしまえば、作品の基調トーンそれ自体が明朗になることで、子供たちもそうした異色作や変化球にも付いていけると思えるのだ。
なお、これまで総集編番組『ウルトラマン列伝』(11~13年)や『新ウルトラマン列伝』(13年~)が放映されていなかった筆者が現在、在住している静岡県でも、この『ギンガS』だけは、日本テレビ系列の静岡だいいちテレビで日曜朝5時45分から放映を開始した。
これでやっと静岡県でも、少しは関連玩具が売れることになるかもしれない!(個人的には、売れ残りの半額ワゴンセールが減ってしまうであろうことが痛いところだが・笑)
今のところ気になって仕方がないのは、本作の防衛組織が日産自動車提供(笑)の電気自動車しか、メカを所有していないことである。バンダイ側で戦闘機の玩具を準備しなかったのだろうか? せめて戦闘機1機くらいはなんとかならないものであろうか?(汗)
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#ウルトラマンギンガS #ウルトラマンギンガS11周年 #ウルトラマンギンガ #ウルトラマンビクトリー #ワンゼロ #坂本浩一
『ギンガS』序盤評 ~レギュラー悪・女幹部・敵戦闘員! 変身前の本編もアクション! 地底人のウルトラマンビクトリーも登場
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