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ウルトラマンギンガ最終回 ~タロウ復活! 津川雅彦もキングに変身すべきだ! ウルトラ怪獣500ソフビを売るためには!?

『ウルトラマンギンガ』序盤評 ~低予算を逆手に取る良質ジュブナイルだが、それゆえの危惧もアリ!?
『ウルトラマンギンガ』番外編「残された仲間」傑作! ~『ギンガ』総論・マイナスエネルギーを材とした『80』『ギンガ』比較
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 ウルトラマンギンガも客演する映画『劇場版ウルトラマンタイガ ニュージェネクライマックス』(20年)が公開中記念! とカコつけて……。『ウルトラマンギンガ』(13年)最終回評を発掘アップ!


ウルトラマンギンガ』最終回 ~タロウ復活! 津川雅彦もキングに変身すべきだ! ウルトラ怪獣500ソフビを売るためには!?

(文・久保達也)
(2014年3月30日脱稿)

ウルトラマンタロウ復活! 月面でのド迫力・最終決戦!


 『ウルトラマンギンガ』最終回(第11話)『きみの未来』では、本作のメインの舞台となっていた山あいに近い降星(ふるほし)小学校の卒業生たちが校歌を歌うことによって発せられた「光」が結集し、卒業生たちの「タロウ~~~~!!!」の叫びとともに、スパークドールズ(ソフトビニール人形)化しているタロウの足のウラに膨大な数の変身アイテム・ギンガスパークを次々と接触させることによるエネルギー注入によりウルトラマンタロウが遂に元の巨大ヒーローの姿へ、いや超巨大化した宿敵に対峙するために超巨大サイズで復活!
 『ウルトラマンメビウス』(06年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070506/p1)でのタロウ客演前後編(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061203/p1)でさえJASRACジャスラック日本音楽著作権協会)への高額支払(汗)のために遂に実現しなかった『タロウ』のオリジナル主題歌が流れる中、『ウルトラマンタロウ』(73年)第1話『ウルトラの母は太陽のように』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20071202/p1)において、初変身で宇宙大怪獣アストロモンスに対して変身前の東光太郎(ひがし・こうたろう)がそうであったごとくボクサーのように連続で繰り出したのが印象的なアトミックパンチを、タロウが本作『ギンガ』のラスボスであり漆黒の人型巨人である闇の支配者・ダークルギエルを相手に披露する場面はマジで感涙(かんるい)した!


 ギンガとダークルギエルのラストバトルは、最終回後の後日談である番外編『残された仲間』同様、月面で描かれた。
 ミニチュアを用意しなくてもよいという消極的な理由ではあろうものの、それが逆にバトルを宇宙的な規模にまで広げることになるという利点もある。まぁ、リアルに考えれば地球で街をブッ壊しながら戦うのは人類にとって大迷惑なワケであり(笑)、ウルトラマン的にも当然といえば当然の措置ではある。
 もっとも、「特撮」ジャンルというのは、壮大なる都市破壊描写を無責任に楽しんでしまうような本質的に不謹慎なジャンルでもあるので(爆)、毎回月面バトルをやられるのはカンベンしてほしいけど(笑)。


 その月面バトルも第1話『星の降る町』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200819/p1)におけるギンガ初登場場面でも使用された、アベユーイチ監督お気に入りの回転台に乗せて撮影したと思われる、ギンガVSダークルギエルを360度グルグルとコマのようにその場で高速回転させながら、歩行や走行せずにスベるように横移動もしていく槍術合戦(そうじゅつがっせん・ヤリによる打ち合い)は絶品である!
 激闘の末に吹っ飛んだ両者の三叉(さんさ)のヤリが画面手前に突き刺さり、その奥にロング(引き)でギンガとダークルギエルが戦うさまを描く演出もまた然(しか)り!
 ダークルギエルが敗れるとともに画面中央に刺さった赤い三叉のヤリが消滅し、画面奥に輝く青い地球を画面手前のギンガが振り返って見つめる描写も実にセンスがいい!


 特撮演出・アクション演出に関しては申し分のない出来であったと思える。だが……(汗)


商業面を考えても、最終決戦はヒーローvs怪獣軍団の集団総力戦にしてほしかった!


 が、それにしてもである。せっかく降星小学校の卒業生たちがあれだけ多く集まったのである。
 彼らの光が結集したのなら、タロウばかりではなく降星山に眠るほかのウルトラ戦士の人形たちも全員とはいわずとも相応数を復活・巨大化させてもよかったのではあるまいか!?


 いや、狙いはわかるのだが、そもそもあんなに数十人もエキストラを集める必要はなかったような気もするのだ(汗)。
 第1話に登場した悪徳産廃業者(あくとく・さんぱいぎょうしゃ)とか、第2話『夏の夜の夢』に登場したバイクでの追跡魔、第3話『双頭の火炎獣』に登場した連続放火魔の女性――放火って罪重いから、そう簡単にシャバに出ては来られないハズでは? あっ、このテの特撮ヒーローものはリアリズムで観るような作品群ではなかったですね・笑――、第7話『閉ざされた世界』&第8話『奪われたギンガスパーク』に登場した賭博(とばく)事件に関わった元ボクサーなど、ゲスト主役たちだけでも成り立ったような気もするのである。


 自身が犯してしまった罪のつぐないだとばかりに、彼らが昭和のウルトラ兄弟や平成ウルトラマンたちにウルトライブ(巨大化変身)して悪の怪獣軍団と戦ったら、それはそれで彼らのやや重苦しかったドラマもオセロゲーム的に帳消しになって、燃える展開になったのでは!?


 ダークルギエル側にしてもまた然り。
 それこそ映画『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE(ザ・ムービー)』(09年・ワーナー・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20101224/p1)で悪のウルトラマンことウルトラマンベリアルが怪獣召喚アイテム・ギガバトルナイザーで百体の怪獣を怪獣墓場から復活させて操ったように、人形状態の怪獣たちを悪人たちのダークライブ(合体変身)抜きでの巨大怪獣軍団として復活させて操り、ウルトラ兄弟たちと集団バトルを演じさせるべきではなかったか!?


 円谷プロに着ぐるみが現存しバンダイから『ウルトラ怪獣500』として発売されている怪獣たちとしては、宇宙怪獣エレキング・宇宙ロボットキングジョー・一角超獣バキシム・異次元超人巨大ヤプール・再生怪獣サラマンドラ・超古代怪獣ゴルザ・円盤生物ロベルガーなどがいる。超メジャー級の奴らばかりだが、これらの怪獣こそ『ギンガ』最終回にせめて登場させるべきだったのでは?
 撮影現場にまる1日拘束するのだから、ひとりあたり1万円くらいはかかっているであろうエキストラを数十人も雇うくらいなら、その分の金額でスーツアクターなりそのサポートスタッフを雇うことで、これらヒーロー&怪獣の着ぐるみキャラクターの終盤での登場を拡充させるべきだったと考えるのである。


 『ギンガ』最終回が放映されたのは2013年12月18日、まさにクリスマス商戦の真っ直中(まっただなか)であった。
 そんなときにウルトラマンVS大怪獣軍団の総力戦を描くことで、『ウルトラヒーロー500』や『ウルトラ怪獣500』をガンガン売りまくろう! という発想にナゼ至らないのであろうか?


 同じころに放映された『獣電戦隊キョウリュウジャー』(13年)ブレイブ41『ヤナサンタ! デーボスせかいけっせん』&ブレイブ42『ワンダホー! せいぎのクリスマス』では、10人のキョウリュウジャーと10大獣電竜と夏休みの映画版に登場した獣電竜第0号こと古代獣電竜トバスピノまでもが勢ぞろい! 「かみつき合体」のバリエーションによってさまざまな戦隊巨大ロボットも登場! 東京・ニューヨーク・ロンドン・ハワイ・中国と世界を股(また)にかけた総力戦を繰り広げていたのである!
 スーパー戦隊シリーズでは少なくともここ15年ほど、クリスマス商戦の時期になるとそうした総力戦が描かれてきた。そうすることによって、年明けには関連玩具の主力商品が店頭からほぼ姿を消してしまうほどの好成績をおさめてきたのである!


 いや、スーパー戦隊に比べ、若干(じゃっかん)アダルトな作風の平成ライダーの年末放映作品でさえも同様である。
 『仮面ライダーカブト』(06年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070211/p1)終盤の12月放映分には、すでに退場していたハズの仮面ライダーザビー仮面ライダードレイクを再登場させたり――かつてとは異なる別人が変身しているのだろうとの解釈が可能な範囲で!――、1~2月スタートから9~10月スタートに変わって以降の『仮面ライダーウィザード』(12年)第52話『仮面ライダーの指輪』&最終回(第53話)『終わらない物語』の番外前後編においても、新番組を控えての在庫処分一掃セールとばかりに平成全15人ライダーVS大怪人軍団との集団バトルを描いていたのである!


 昭和の第2期ウルトラシリーズ擁護派としては残念なことだけど、重傷でウルトラセブンに変身できなくなってしまったモロボシ・ダン隊長はいずれは回復して再変身が可能になって大活躍するのだろうと当時の子供たちの誰もが期待をしていたのにもかかわらず、遂に再変身させずに終わってしまった往年の『ウルトラマンレオ』(74年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090405/p1)とは異なり(汗)、ソフビ人形の姿にされていたウルトラマンタロウを遂に復活させて敵とのバトルまで実現させたことは実に喜ばしいし賞賛にも値する。
 そのことは充二分に強調しておきたいが、その後に主人公ウルトラマンであるギンガを立てるためとはいえ、タロウをまた元の人形の姿に戻してしまうのでは……
 タロウが少々弱く見えてしまうのであって、やはり残念なのだ。


 ラスボスである悪の超人・ダークルギエルとの決着は主役ヒーロー・ギンガに譲るにしても、タロウも超巨大サイズから通常の巨大サイズに戻ったことにしてギンガと同時並行で雑魚(ざこ)怪獣たちと戦っていた方が有用感も出せるし、画面的にも賑やかになったのではあるまいか!?


「ドラマ性」>「娯楽活劇性」の構図自体を疑え!

「今回劇場スペシャルなんだから、物語っていう考え方ではなく、目で見る怪獣図鑑にしたらどうですか」

(『ウルトラマンギンガ 劇場スペシャル ウルトラ怪獣☆ヒーロー大乱戦!』劇場売りパンフレット(14年3月15日発行・松竹株式会社事業部)・原口智生監督インタビュー)



 この言葉に『ギンガ』スタッフたちの考えが逆説的に象徴されているように思える。
 この2014年3月公開の『劇場スペシャル』第2弾『ウルトラマンギンガ 劇場スペシャル ウルトラ怪獣☆ヒーロー大乱戦!』(14年・松竹)、そして昨13年9月に公開された『ウルトラマンギンガ 劇場スペシャル』(13年・松竹・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200820/p1)第1弾も、そうした趣向が凝(こ)らされた娯楽活劇性の高い作品に仕上がったとは思える。


 だが、先の原口監督の発言は裏を返すなら、その分テレビシリーズでは「物語」をしっかりとやろうというスタッフたちの意向の発露と思えてしまうのである。
 「物語」をしっかりやる、つまり「ドラマ性」を高めるためには「娯楽活劇性」は削(そ)ぎ落とさねばならない、などという古クサい考え方をどこかに残しているのではないのか? 『ギンガ』全11話を視聴し終えて感じるのは、やはりそういうことなのである。


 先に挙げた『キョウリュウジャー』ブレイブ41&42にしろ『ウィザード』第52話&最終回にしろ、たしかに「特撮演出」「アクション演出」が主体の話ではあった。
 しかしながら、だからといって決して「物語」がおざなりになっていたワケではなく、「特撮」「アクション」から自立した「ドラマ」はきちんと描かれてはいたのである。
 「ドラマ性」と「娯楽活劇性」はきちんと両立する! ということは、スーパー戦隊平成ライダーが立派に証明してくれているのである。


 にもかかわらず、悪のウルトラ兄弟ことウルトラマンダークやウルトラセブンダークが登場し、ラスボス級怪獣グランドキングも登場、少年少女たちが初代ウルトラマンウルトラセブンウルトラマンティガに変身して巨悪に立ち向かうようなイベント性がそれまでにもあったのに、せっかく復活させたタロウを活躍はさせたことはよいけれど、早々に退場させてしまうのは爽快感に欠けるというもの。
 もしも仮にギンガとタロウを共闘させたら「ドラマ性」が低くなってしまうなどと考えているくらいに円谷プロ側に旧態依然な考え方が残っているのならば、いっそのこと「ドラマ性」なんかこの際、潔(いさぎよ)く捨ててしまうべきだとさえ思えるほどである。


 それが円谷プロの「未来」のためなのである。


ギンガ「未来は変えることができる。良いようにも、悪いようにも。それを成(な)すのはきみたちだ」


 ギンガからヒカルたちに託(たく)された最後のメッセージは、そっくりそのまま円谷プロにお返ししたいほどだ(笑)。


超低予算作品でもスケール感や視覚的インパクトを!


 「娯楽活劇性」の観点からすれば、ラスボスであるダークルギエルがたかが郊外の小学校をひとつ破壊するだけというのも、超低予算作品の都合とはいえ残念ではある。
 「この星のすべての人間の時間をとめてやる!」と宣言したところで、視覚的なインパクトはあまりにも弱すぎる。


 せめて最終回くらい特撮ミニチュアを用意するくらいはできなかったものか? だからエキストラの人件費なんか削(けず)ってミニチュアのレンタルや製造費用に回せ! と云いたくもなるのだ(笑)。
 最終回後に追加で製作された『ウルトラマンギンガ』の『番外編』であるハズの『残された仲間』の方ではそのあたりがうまくクリアできていたのだから、ミニチュアに代わるようなスケール感の拡大や視覚的にインパクトを与えることは、たとえ低予算でも工夫すればいくらでもやり方はあったハズである。


 特撮映像や商業性のことをさらに云うなら、ラストで光となり降星山から宇宙へと帰っていく怪獣やウルトラマンたちも、光ではなく第1話で描かれた「ウルトラ大戦争」でダークルギエルにスパークドールズ人形にされてしまい宇宙空間をさまよう場面の反転描写として、スパークドールズ人形の姿で宇宙に帰っていく描写にした方が、幼児たちはソフビ人形がほしくなったのではあるまいか?
 まぁ、そーなると撮影や合成はいっそう手間がかかりそうだし、怪獣はともかくウルトラマンたちを人形の姿のままで宇宙に帰してしまってよいのかという問題も生じてくるが(笑)。


 ウルトラの父や母や兄さんたちなどのいわば肉親よりも、ギンガを復活させることを優先させ、ギンガにパワーを与えて再び人形に戻った自己犠牲的な姿は、タロウらしいと云えばたしかにそうとも云えはする。
 映画『ウルトラ銀河伝説』でも、悪のウルトラマンことウルトラマンベリアルによって輝きを消されそうになった光の国の人工太陽・プラズマスパークの光を最後まで守り通す姿が描かれていたから、そうしたキャラクターを継承するのもたしかに悪いことではないのかもしれない。
 『ウルトラマンA(エース)』(72年)第27話『奇跡! ウルトラの父』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061105/p1)において、タロウの実の父であるウルトラの父が最後のエネルギーをウルトラマンエースに分け与えて復活させ、自身は死してしまった姿をも彷彿とさせる……


 しかし、これは痛し痒しなのである。これではウルトラマンタロウウルトラの父が弱く見えてしまうのである。
 やはり、当時の子供たちもゲストとして初登場したウルトラの父には、圧倒的に強くて終始優勢にバトルも進めて、最後に敵を必殺技でトドメを刺してみせるくらいの壮快な大活躍で魅せてほしかったのである!


全特撮マニアの願望! 津川雅彦ウルトラマンキングに変身すべきだった!(笑)


 それはそうと、第9話『漆黒のウルトラ兄弟』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200825/p1)でタロウの存在を以前から知っていたことが発覚し、主人公青年・ヒカルと同様に「選ばれし者」の紋章が腕に浮かびあがるのをタロウに目撃されたことで、ヒカルの祖父で銀河神社の神主(かんぬし)である礼堂ホツマもまたヒカルと同様「選ばれし者」であり、ウルトラマンギンガと合体する資格もあったことが示されるというオイシい場面があった!
 そればかりでなく、美鈴・健太・千草に「これを使いなさい!」と宇宙三面魔像ジャシュラインの人形を差し出してもみせている!


 多くの特撮マニアがそう思ったであろうが、「選ばれし者」であり事情通でもあるのならば、いっそのことホツマがウルトラ一族の長老・ウルトラマンキングにウルトライブ(巨大化変身)すればよかったのに!(笑)
 津川雅彦(つがわ・まさひこ)などというおもいっきりのメジャー俳優をせっかく起用しているのだから、彼がキングに変身するのであれば、スポーツ新聞各紙の芸能トップ記事を飾るだろうし、各紙の紙面を取り上げる朝のワイドショーなどでも取り上げられたであろうから、インパクト絶大ともなる!
 これは先の映画『ウルトラ銀河伝説』でウルトラマンキングの声を小泉純一郎・元首相が務めた際のスポーツ新聞各紙やそれを取り上げた朝のワイドショーに匹敵するだけのインパクトとなっただろう!


 かつては青春スターだった山下真司(やました・しんじ)が『キョウリュウジャー』終盤でキョウリュウシルバーに「キョウリュウチェンジ!」(変身)してくれて、それがスポーツ新聞各紙の紙面を飾るご時世なのである!――山下氏にはあらためて敬意を表します!――


 あるいは、『ギンガ』のテレビシリーズではホツマの正体を明かさないでおき、


ヒカル「今度の『劇場スペシャル』で、遂にオレのじいちゃんの正体が明らかになるんだ。みんな見逃すなよ!」


などと正体バレバレでも(笑)、『ギンガ』も放映されてきた『新ウルトラマン列伝』枠で再三告知することで視聴者を映画『劇場スペシャル2』に誘導し、そこでウルトラマンキングとしての正体を明かす! なんていうアザトい商売もアリだったと思えるのである。


 ついでに、たとえばギンガは「未来から来たウルトラマン」という設定があるけど、実はキングの「未来の息子」か「孫」か「子孫」である! などというコジツケの追加設定でもつくって、子供たちやマニア向けの話題性をつくってもよかったのでは? ……エッ、ウルトラマンキングの孫は、ウルトラ兄弟の長男・ゾフィー兄さんだって!? そーいや、そーいうウラ設定もあったっけ?(笑)


 ウルトラマンメビウスウルトラマンタロウウルトラマンエイティの教え子であるとか、ウルトラマンゼロの父がウルトラセブンで師匠(ししょう)はウルトラマンレオであるとか、そうした過去の人気ヒーローと現役ヒーローに関連性を持たせた1970年代前半の第2期ウルトラシリーズの「ウルトラ兄弟」の設定を援用・拡張するかたちで、かつて夢中になった世代の心の琴線(きんせん)を揺り動かしたり、子供たちの関心を旧作にも向ける工夫が、近年のウルトラシリーズではなされてきた。
 なのに、ギンガが単に未来からやってきたというだけで出自がハッキリしないというのでは、商業展開上でも不利になると思えてならない。
 ヤンチャで不良っぽくて人間クサかった直近の主人公ヒーロー・ウルトラマンゼロとの差別化でなまじっかなキャラ付けではゼロに負けてしまうからと、6年ぶりのテレビシリーズ再開にあたってはあえて「原点回帰」とし、初代ウルトラマン的に「無個性」にして「超越性」や「神秘性」を前面に押し出したことも理解はできる。
 しかし、少なくとも近年では人間クサい、あるいは漫画アニメ的に性格が誇張されたウルトラマン像の方が勝算があったのではなかろうか?


 映画『ウルトラマンギンガ 劇場スペシャル ウルトラ怪獣☆ヒーロー大乱戦!』ではラストでほんのわずかに登場したホツマであったが、あれだけでも莫大(ばくだい)なギャラが吹っ飛ぶのであろうから(笑)、それならそこまでの営業効果をもたらすほどのなんらかの戦略――もちろん、氏がウルトラマンキングに変身することを大々的にフィーチャー!――が、フツーはあって然るべきだったと考えるのだ…… それについては非常に残念!

2014.3.30


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2014年GW号』(14年4月27日発行)~『仮面特攻隊2015年号』(14年12月28日発行)所収『ウルトラマンギンガ』最終回評より抜粋)


『假面特攻隊2015年号』「ウルトラマンギンガ」最終回・関係記事の縮小コピー収録一覧
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日刊ゲンダイ 2014年3月13日(木) 懐かしのアイドル秘話(中森明夫)第8話 ひし美ゆり子 アンヌ隊員、脱ぐ!!(今は亡き青年誌「平凡パンチ」や70年代出演作品、80年代イベントの思い出)


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