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ウルトラマントリガー前半総括 ~「ティガ」らしさは看板だけ!? 後日談かつリメイク! 昭和・Z・ギャラファイともリンク!

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ウルトラマントリガー NEW GENERATION TIGA』前半総括 ~『ティガ』らしさは看板だけ!? 後日談かつリメイク! 昭和・Z・ギャラファイともリンク!



ウルトラマントリガー』前半評1 ~『ティガ』らしさは看板だけ!? 後日談かつリメイク! 昭和・Z・ギャラファイともリンク!

(文・T.SATO)
(2021年10月20日脱稿)


 対外的・パブリシティ的には、往年の90年代後半にTV放映された平成ウルトラ3部作のトップバッターである『ウルトラマンティガ』(96年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19961201/p1)にリスペクト(尊敬)を捧げる……と謳(うた)われている本作『ウルトラマントリガー』(21年)。
 本作にかぎった話ではないのだが、往年の作品にリスペクトを捧げるために新作を製作する場合に、それは往年の作品の続編・後日談とするのか? リメイクとするのか? の二択となる。
 55年もの歴史を持つ長大なウルトラシリーズにおいても、その始原である1966年にスタートした『ウルトラQ』およびその後日談世界でもある初代『ウルトラマン』~『ウルトラマン80(エイティ)』(80年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20210315/p1)までの同一世界を舞台とする通称「昭和ウルトラ」世界の四半世紀後の正統続編として製作された『ウルトラマンメビウス』(06年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060625/p1)の例があった。よって、コレに準じて本作『トリガー』もまた「平成ウルトラ」こと『ウルトラマンティガ』世界の四半世紀後の正統続編とする可能性が高いと予想した特撮マニア諸氏は多かったことだろう。


 本作『トリガー』#1の冒頭は地球ではない。火星である。主人公青年が火星の大地で花を咲かせる植物を育てている光景だ。火星。それは『ウルトラマンティガ』の7年後の世界を描いた『ティガ』の次作『ウルトラマンダイナ』(97年)#1(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971201/p1)ほかの舞台にもなっており、ウルトラマンダイナもまた火星の大地で初登場を遂げていた。そして、その『ダイナ』終盤では、前作『ティガ』の主人公とヒロイン隊員が火星に移民しており、花を咲かせる植物を育てていることが明かされていた。つまり、この#1冒頭は『ダイナ』#1やその終盤へのオマージュでもあり、よって『ティガ』世界でもある『ダイナ』よりも未来の時間を舞台にしたという意味での『ティガ』後日談なのだろうとも思わせたのだった――実はソレはミスリード演出だったのだが――。


 しかし、『ダイナ』よりもさらにあとの時代の『ティガ』世界が点描された映画『ウルトラマンサーガ』(12年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20140113/p1)という作品も存在し、そこではウルトラマンダイナことアスカ青年が地球を救った「英雄」とされて「記念日」まで設けられるほどの有名人となっていたことが明かされた。
 本作『トリガー』では、今となってはベテラン俳優・宅間伸(たくま・しん)が演じる大財閥の会長がウルトラマンティガにだけ言及してウルトラマンダイナには一言も言及しなかったり英雄・アスカのことも言及していない。コレは幼児はともかく怪獣博士タイプの児童や我々のような「大きなお友達」にとっては少々違和感の募るものともなる。
 むろんこのテの変身ヒーロー番組にはよくあるラフさやポカ・ケアレスミスだとして笑って流してもイイものだし、子供向け番組としては致命的な弱点だとまではいえないのかもしれないが、とはいえ欠点や弱点には違いないので、そこは出来ればキチンとていねいに整合性を確保して作劇してほしいところではあったのだ――むろんソレもまたミスリード演出だったのだが――。


 よって、本作『トリガー』序盤では、『ティガ』アフターの物語世界なのか? 『ティガ』リメイクの物語世界なのか? そのあたりが判然とはしなかった。しかし、その「すぐには判然とはさせなかった」あたりもまた、作り手の高等戦術・引っかけ・ミスリード演出でもあったのだ。
 本作は「アフター」ではなく「リメイク」でもなく、しかして広義での「アフター」ではあり広義での「リメイク」でもあった。それを2009年末に公開された映画『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20101224/p1)にて導入された物理やSFにおける「並行宇宙」の概念の導入で、異なる作品世界であるハズだった「昭和ウルトラ」と「平成ウルトラ」が次元の壁を越境できるようになったことで両者の共演も可能となったことを、本作『トリガー』の作品世界の設定それ自体にもまた応用してみせるのだ。
 つまりは、『ティガ』世界に出自を持つ大財閥の会長がワームホール=次元の壁を越境してきて、3000万年前の超古代文明以来の歴史を持つ『ティガ』世界に酷似するも似て非なる歴史をたどっている本作『トリガー』世界で、来たるべき超古代文明由来の脅威に備えていたことが#9にて明かされるのだ!


 なるほど! ポッと出のゲストキャラとのウダウダ愁嘆場な人間ドラマなぞではなく、幼児にはともかく小学校中高学年以上の怪獣博士タイプの子供や大きなお友達にアピールする、「ヒーローや怪獣の属性や特殊能力それ自体」や「作品の世界観」それ自体で擬似SF的な興味関心を惹起・ナゾ解きともしてみせるコレらのストーリー展開はカンゲイすべき趣向ですらある。
 エッ、幼児には理解ができない手法だって? ソレはまぁそーなのだけど、幼児には意味不明でタイクツまでしそうな延々とした会話劇でのナゾ解きなどにはなっていない。大財閥の会長による作品世界のヒミツの開陳内容に合わせて、ごていねいにも原典『ティガ』に登場した戦闘機・ガッツウイングが飛行・落下する新撮の特撮シーンまでもが回想として挿入されることで、幼児であっても画面に惹きつけられるだろうから大丈夫。
 「昭和ウルトラ」の時代だって、児童の年齢に上がればともかく、幼児などは人間ドラマ部分やオトナ同士の会話なんぞはロクに理解もしておらず、奇抜な特撮映像の羅列やヒーローによる悪の成敗で発生するカタルシスの部分しか認知していなかったハズであるから、ソレらと同じことでもあるので、そーであるならばこーいった要素もドシドシと投入すべきであるだろう。


 もちろんこのナゾ解きについては、最終回間際まで引っ張ってしまうと、逆に大きなお友達であっても飽きてきてインパクトにも欠けてしまった『仮面ライダーアギト』(01年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20011108/p1)における「あかつき号事件」のような事態になってしまう可能性はある(笑)。よって、適度なところで打ち切って、シリーズの1/3程度の話数を消化したこのタイミングで明かしたこともまたウマかったとも思うのだ。


「定番セリフ・変身ポーズ」と「ウルトラマンシリーズ」 ~その長き抗争関係&歴史的な変遷!


「スマイル、スマイル!」


 #1では早々に、主人公青年・ケンゴにリアルでナチュラルなセリフではなく、前述のような楽天的でマンガ・アニメ的な定番とするのであろうセリフを吐かせている時点で、スレた特撮マニア的には、


「あぁもう、ちっとも『ティガ』っぽくはないじゃん……」


とも気が付いたことだろう。……コ、コレは昭和ウルトラシリーズ直系の続編だと謳(うた)いながらも、東映特撮などと比すればやや重厚で写実的なドラマ・演出・作風であった「昭和ウルトラ」とは真逆な、非リアルかつマンガ・アニメ的に誇張・極端化された登場人物たちが大声で絶叫しあってコミカルなギャグも披露していた『ウルトラマンメビウス』のパターンではないか!?(……良い意味で・笑)


 そして、主人公青年・ケンゴがウルトラマンに変身するシーンでも、バンク映像でコレ見よがしに各種属性を意味する小型パーツを変身アイテムにカチッとセットする玩具的なプレイバリューも延々と見せつけて、


「未来を築く、希望の光! ウルトラマン、トリガーーー!!!」


なぞとイチイチ定番セリフを叫んでみせて変身を遂げている。『仮面ライダーカブト』(06年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070211/p1)や『仮面ライダー電王』(07年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20080217/p1)から始まって平成ライダーシリーズではもはや定着した、当時からでも「非リアルだ!」なぞと反発されることなく「非リアルで半分笑ってしまうけど、それでも半分はカッコいい!」といったニュアンスで、特撮マニア間での全員とはいわずともほとんどに好意的に受容されることになった、変身直前や変身直後の半分ネタ・半分カッコいい的な定番名乗り。それらは2010年代のウルトラシリーズにもパクリ……もとい導入されて久しいけど、本作『トリガー』でも踏襲しているのだ。


 こーいう歌舞伎や定番時代劇『水戸黄門』の印籠や『遠山の金さん』の桜吹雪の入れ墨などの定型的な披露などは、「特撮ジャンルを大人の観賞にも堪えうるモノにしよう!」なぞと必死であったマニア社会草創期の70年代末期~90年代においては、非リアルだから否定・唾棄されるべき要素なのだ! などと、かつては全面的な否定をされていた時代もあったのだ。
 そのようなマニア言説によって、主人公青年がほとんど無言やちょっとした掛け声だけでウルトラマンに変身する初代『ウルトラマン』(66年)や『ウルトラセブン』(67年)や『帰ってきたウルトラマン』(71年)の変身シーンは高尚なモノとされてきた。
 そして、同時期の昭和の『仮面ライダー』(71年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20140407/p1)の変身ポーズの子供間での大流行を受けて、変身時にイチイチ大きく腕をふってみせるポーズを取って「ウルトラ、タッッチッッッ!」「タロウ~~~!!」「レオ~~~!!!」などと絶叫してみせる、『ウルトラマンエース』(72年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070429/p1)や『ウルトラマンタロウ』(73年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20071202/p1)に『ウルトラマンレオ』(74年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090405/p1)などの変身ポーズは幼稚で低劣で非リアルなモノとして、糾弾なりやや揶揄的に言及されていた時代も20世紀のむかしにはホントウにあったのだ(汗)。


 ゆえに、90年代後半の平成ウルトラ3部作でも、『ウルトラマンダイナ』(97年)と『ウルトラマンガイア』(98年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19981206/p1)は変身時に自身のヒーロー名を絶叫するものの『ウルトラマンティガ』(96年)においては、もっと云うなら原点回帰が至上とされていた時代の『ウルトラマングレート』(90年)と『ウルトラマンパワード』(93年)においても、変身時の変身ポーズや掛け声は基本的には廃されたのだった。よって、このあたりも『ティガ』っぽくは決してナイのだ。


 今や還暦に達した1960年前後生まれで、60年代後半に放映された初代『マン』や『セブン』の直撃を受けた、いわゆるオタク第1世代。彼らの一部が中高生になっても完全なる卒業ができずに『エース』や『タロウ』や『レオ』をヨコ目でチラ見していて、自身が学校や若者文化の中でうまく生きていけない不遇をカコつ心境とも無自覚に混交して(?)、それら70年代前半の第2期ウルトラシリーズに対して過剰に憎しみをブツけてしまって、その見解が70年代末期の本邦初の特撮マニア向け書籍で披瀝されてしまったのだという側面もあっただろう。まだまだジャンルの市民権も獲得されておらず、彼らも当時はほとんどが未成年の身であったことを思えば、そう思ってしまったことにもムリからぬところはあるとも思うので、ソレを過剰に責めようとも思わない。
 しかし、そこには新たなる別の問題もまた生じてしまっていた。本来ならば、それらの上の世代の見解に対して即座に真っ先に反発すべきであった、筆者のようなリアルタイムで『エース』や『タロウ』や『レオ』の変身シーンにまったく疑念を抱かずにスナオに「カッコいい!」と幼少期に楽しんでマネまでしていたハズのオタク第2世代のマニアたちのほとんども、先人による70年代末期のマニア向け書籍で陰に陽に披露されたソレらの見解に影響されて、第2期ウルトラシリーズを人身御供・足切り・売り渡しにするような否定的な見解を口マネにしてしまっていたからだ。ある意味ではオタク第1世代以上に罪が重たい唾棄すべき態度を70~80年代いっぱいは、あるいは20世紀いっぱいまで我らは採り続けていたのであった(爆)。


――70年代第2期ウルトラシリーズ擁護派の一部には、「自分たちは純真無垢なる被害者だ!(……ウラの声:必然的に自分は絶対正義となるから、論敵をその人格も含めていかに口汚く罵倒しようとも構わない! それは反体制・反権力でもあるから革命的正義なのだ!)」、「自分の内部に『悪』などない!(……ウラの声:自分の外側にだけ第1期ウルトラ至上主義者・安倍ちゃん・トランプ(笑)のような、ギロチン首チョンパで抹殺してもイイ『悪』がいるだけだ!)」ばりの主張をしていた、自省力・内省力にはいささか欠けていた御仁もいたけれど、「正義(?)の殺し屋」を描いていた往年のTV時代劇の前期『必殺』シリーズ風に云うならば、「いかに一理や理由があったとしても、我々オタク第2世代=第2期ウルトラ世代もまた口汚い批判に組したことがあって、その手を血で汚している以上は決して『無罪』ではアリエない。永遠に『原罪性』を抱えて『贖罪』しながら、完全には許されることがない一生を、今後も慎みながら生きていかねばならない」のだ(汗)――


2010年代以降の多士済々なウルトラマンシリーズの中での差別化としての「平成ウルトラ」の登用!


 で、そんな屈折した「原罪性」を抱えつつ(笑)、『ウルトラマントリガー』を観賞していると、『トリガー』も表層面では「スマイル、スマイル!」に象徴される2010年代のウルトラシリーズに特徴的な、子供番組としても実にふさわしい楽天的なイメージでパッケージはされている。しかし、それだけではなくイヤミやハナにつかないさりげない範疇でカナリ「屈折」させた作品構造・作品ギミックを持った作品であることもわかってくる――先に挙げた、本作が『ティガ』アフターであってアフターではなく、『ティガ』リメイクではなくてリメイクでもある、といったあたりもその象徴!――。


 まずは、ほとんどパーマネント(永久)キャラクターのシリーズと化した『仮面ライダー』シリーズや『戦隊』シリーズなども同様なのだが、シリーズである以上は何らかの大ワクでの「統一性」は必要。しかし、それだけでも子供たちには早々に飽きられてしまうので、各作ごとにキョーレツな「看板」「目印」ともなる小手先ではない「差別化」も必要となる。つまり「統一性」&「差別化」の相矛盾する要素を各作に投入することが必須となるのだ。


 ウルトラシリーズの場合は、銀色の鉄仮面マスクの巨大超人が登場して巨大怪獣と戦って腕から必殺光線を発射して撃破さえしてくれれば、シリーズとしての「統一性」はとりあえずは担保される。そして「差別化」の部分でも、


・山あいに近いローカルな校舎の周辺を舞台に、少人数の私服姿で牧歌的な男女高校生たちがミクロな怪獣事件を解決していく『ウルトラマンギンガ』(13年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200819/p1
・『ギンガ』の世界観での数年後に、地底の特殊鉱石をねらってきた宇宙人の侵略に対抗して、地底人種族の青年がウルトラマンビクトリーへと変身。怪獣攻撃隊に入隊したウルトラマンギンガに変身する主人公青年とも対立から和解・共闘へと至っていく『ウルトラマンギンガS(エス)』(14年)
・歴代ウルトラ怪獣の属性パワーを実体化して、さまざまな怪獣の鎧(よろい)を脱着しつつ、ウルトラマンゼロウルトラマンマックスウルトラマンビクトリー・ウルトラマンギンガ・ウルトラマンネクサスといった先輩ウルトラマンとの共演イベント目白押しであった『ウルトラマンX(エックス)』(15年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200405/p1
・さすらいの風来坊青年が「魔王獣」なる怪獣種族の一群やナゾのライバル青年を相手に、貧乏所帯な怪奇現象探索チームのメンバーと交わりつつ、歴代ウルトラマンの属性カードを収集。それを2枚ずつ混交させることでのタイプチェンジで戦う『ウルトラマンオーブ』(16年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20170415/p1
・悪の黒いウルトラマンことウルトラマンベリアルに造られた人造ウルトラマンである無邪気な主人公青年。6年前には劇中世界の大宇宙自体が崩壊。しかし、ウルトラ一族の長老・ウルトラマンキングが宇宙そのものと合体して修復、キングが「幼年期放射」なる周波数の電波となって拡散している世界で、闇落ちせずに正義に目覚めていく人造ウルトラマンを描いた『ウルトラマンジード』(17年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20170819/p1
・兄弟の青年がふたりのウルトラマンに変身して活躍し、妹や行方不明の母のナゾ解きもタテ糸に据えて、宿敵と闘う『ウルトラマンR/B(ルーブ)』(18年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20180826/p1
・M78星雲やU40(ユーフォーティ)にO50(オーフィフティ)といった出自の異なる3人のウルトラマンがひとりの地球人青年と合体。メイン格のウルトラマンは昭和の時代のウルトラマンタロウの息子でもあるとした『ウルトラマンタイガ』(19年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190811/p1
・地球人の怪獣攻撃隊がついに巨大ロボットを建造して、未熟な新人ウルトラマンとも共闘してみせる『ウルトラマンZ(ゼット)』(20年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200723/p1


といった作品群が製作されつづけており、似通った作品が1作たりともナイのだ。昭和の時代に4年間もシリーズが継続した70年代前半の第2期ウルトラシリーズもカナリ振り幅が広くて、各作が個性豊かなシリーズであったとは思うものの、2010年代のウルトラシリーズ8作品の方が今となってははるかに振り幅が広いだろう。正直、コレらの8作品とも明らかな差別化を果たせる魅力ある新作を思案するのは至難のワザだとも思うのだ。


 もちろんお題・企画の方は今どきは東映作品も含めて製作会社が単独で考案しているワケがなく、玩具会社の玩具コンセプトが主導であって、そこに各作の物語を後付けで合わせていくといった側面も強いだろう。
 ところで、2009年の映画『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説』にて「並行宇宙」を越境可能とするSF概念を導入したことで、「昭和ウルトラマン」と「平成ウルトラマン」の両者の共演が可能になった。コレに先立つ2006年の『ウルトラマンメビウス』からウルトラシリーズはその作品世界の主軸を再度「昭和ウルトラ」としたことで、「平成ウルトラ」が否定されたワケでは決してなくウルトラマンダイナ・ウルトラマンコスモスウルトラマンガイア・ウルトラマンアグルといった90年代後半~00年前後の平成ウルトラマンたちが『ウルトラ銀河伝説』・『ウルトラマンサーガ』・『劇場版ウルトラマンギンガS 決戦!ウルトラ10勇士!!』(15年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200404/p1)・ネット配信作品『ウルトラマンオーブ THE ORIGIN SAGA(ジ・オリジン・サーガ)』(16年)といった作品に主要ゲストやレギュラー格として再登場はしつづけてはいたものの、2010年代の新世代ウルトラシリースが最新ヒーローとして勃興してきたこととも相まって、


「新世代 > 昭和 > 平成」


といった大小関係での比率・配合成分での注目度合いとなるのもまた必然であり、90年代後半の「平成ウルトラ」3部作の影がややウスくなっていたのも事実なのだ。


 そうなると、たしかにこの90年代後半の「平成ウルトラ」にそろそろスポットを当ててみせることこそが、現在2021年時点では一番斬新かつフレッシュな感じもしてくるのだ。むろんメインターゲットである子供たちにとっては、「平成ウルトラ」なぞ自身が生まれるよりもはるか前の作品であるから、そのへんの事情なぞはドーでもイイことではあるだろう。しかし、それを云い出したら、2006年当時の子供たちにとっては特別に思い入れがあるワケでもなかった「昭和ウルトラ」を復活させた『ウルトラマンメビウス』だって同罪なのである(汗)。
 まぁもっと無限背進して云ってしまえば、小さな子供たちには「昭和ウルトラ」と「平成ウルトラ」の区別すら付いてはいないであろうから、そのへんでのマウント取りを10代の少年マニアあたりが「赤勝て、白勝て」レベルで云う程度であれば「その稚気は愛すべし」ではあっても、成人マニアがムキになって優劣を付けようとしだしたならば、あまりに小人物に過ぎて見苦しいことこの上ないであろう(笑)――むろん個人の好みといったモノが生じてしまうのは仕方がないことでもあるのだが、それを無自覚・無防備に発露してしまって、「平成ウルトラ」ヘイトだから『トリガー』もまたキライである……なぞというお友達内閣・お仲間擁護の意識の反転でしかない感情論的な物の見方は、フェアネス・公平さとは程遠いモノなのである――。


 それはともかく、スタッフ自身もマンネリには陥らないために、各作ごとに新鮮なお題や目先の設定の変化を与えることでの作劇モチベーションを上げることを求めていたりもするのだろう(笑)。そして、むろんメインターゲットは子供であるにしても、少子化の時代とはいえ数百万人はいる子供たちと比すれば、数万人程度しかいないであろうから比率としては小さいにしても、我々のような「大きなお友達」に高額玩具や映像ソフトなどを購入させることで少しでも売上額を向上させたり、子供たちのパパ・ママ層にも好意的に感じてもらって財布のヒモを少しでもユルめさせるためにも、四半世紀前に放映された「平成ウルトラ」に白羽の矢を立ててみせるのはビジネス的には正解ですらあると思うのだ――今のパパ・ママ層はもはや「昭和ウルトラ」世代ではナイので――


 そう。そろそろ今年あたりに、「平成ウルトラ」をお題に据えて、特にそのトップバッターであった『ウルトラマンティガ』を材に据えた新作『ウルトラマン』を作ってみよう! しかも、今年はちょうど『ウルトラマンティガ』25周年のアニバーサリー・イヤーでもあるのだし! といったところが、本作の企画の発端なのであろう。
――もちろん純粋なる作品愛ではない以上は不純といえば不純な動機である。加えて、時代の変化が早すぎて人々もますます飽きっぽくなっている時代なので、そのまた来年には「平成ウルトラ」ともまるで無関係な新作ウルトラが、「差別化」ビジネスとして登場するであろうことも、スレたご同輩たちにはアリアリと見えていることではあろうけど(笑)――


『ティガ』リメイクたりうるウルトラマン・戦闘機・空中母艦! リメイクたりえない変身道具&カートリッジ!


 そんなこんなで看板的には往年の『ウルトラマンティガ』を前面に押し出してはいる。しかし、主役ウルトラマンには商品点数を増やす意味でも往年のウルトラマンティガをそのままの姿で「帰ってきた」ことにさせるワケにもいかない以上は、そのネーミングは「ティガ」――ティガのタイプチェンジの3形態こと「3」を意味するマレー語・インドネシア語――とも語感が似た新たなウルトラマンとしての「トリガー」――拳銃の引きガネなどを意味する英語――として、ルックスも往年のティガの体色模様を二重線ならぬ微妙にアレンジした新ヒーローだとしてみせる。このへんの経緯はもちろん筆者個人の憶測でしかないけれど、特撮マニア間での最大公約数的な憶測でもあって、当たらじといえども遠からずな見立てでもあるだろう。


 とはいえ、1996年の『ウルトラマンティガ』という作品の体裁そのままでは、2021年においては復活させられない箇所も相応にはある。それは特に玩具コンセプトの部分においてでだ。
 昭和というか戦後の高度経済成長期~平成初頭のバブル期にかけては、今のようにマイクロチップブラックボックスナノテクノロジーな「目で見てわかならい科学」ではなく、「目で見てわかる科学」の成果である重厚長大産業で金属の銀色の輝きを放っているロケットなりコンビナートなり乗用車の普及などの延長・派生形として、「モービル(乗り物)幻想」なり「科学的SF志向」が大人たちにも子供たちにも強くあったものだ。おそらくそーいう時代の空気・気分とも無意識にマッチ・後押しされるかたちで、我々は怪獣攻撃隊の戦闘機や特殊メカ、あるいは合体ロボットアニメや宇宙SFなどにワクワクして執着していたのだとも思うのだ。


 しかしご承知の通り、近年ではウルトラシリーズに登場する怪獣攻撃隊の戦闘機の売上がよくないことは知られている。戦隊シリーズの巨大ロボも人型の姿をしているからかまだ辛うじて売れてはいるが、かつてほどの勢いはない。
 この現象の理由は、一般家庭の中に電子レンジ・エアコン・炊飯器にまで電子パネルのインジケーターが普及、スマホの画面に色とりどりのアプリ(ケーション)のアイコンが並んでいるのが日常となった現在では、「昭和の土俗的な日常」と「TVの中における科学的な計器や電飾が満載のコクピットや司令室」といった落差の大きさから来る「憧れ」が、ゼロにはなっていないにしても大幅に減じてしまったからだとも見る。つまり、作品自体の罪ではなく、作品の外側にある条件・環境の方が変わってしまったのだ。


 よって、本作『トリガー』でも、怪獣攻撃隊の戦闘機としては1種類の1機だけしか登場していない。そして、原典『ティガ』における怪獣攻撃隊の戦闘機・ガッツウイングが、現実世界の戦闘機にも近いややリアル寄りなフォルムを持っていたのと比すれば、『トリガー』における戦闘機・ガッツファルコンがロボットアニメ『超時空要塞マクロス』(82年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19990901/p1)シリーズに登場する可変戦闘機のように側後部が下部に回転して両脚のようになるあたりは実にカッコよくはあるものの、それは『ティガ』的なリアリズム寄りの方向性をねらったモノでは決してナイのだ。
 『ティガ』に登場した怪獣攻撃隊の宇宙戦艦アートデッセイ号とは似ても似つかぬ、往年の『ウルトラセブン』#11に登場したロボット東洋竜こと宇宙竜ナース型のメカ竜にも変型できるらしいメカメカしい空飛ぶ母艦・ナースデッセイ号に至っては、もう似通ったネーミングだけで原典『ティガ』との接点を持たせているだけに過ぎない(笑)。


 もちろんガッツファルコンやナースデッセイ号の存在をもってして『ティガ』の再生だ! あるいはその逆に『ティガ』とは異なる要素、フリだけのニセもの要素であるからリメイク・リマジン(リ・イマジン)たりえない! なぞという相反する2種の論法は論理的にはあってもイイ。
 しかし『ティガ』アンチが、ナースデッセイ号ごときを『ティガ』とも共通する要素(爆)だからこそ気に食わない! なぞという論法で批判をするのであれは、ソレはあまりに的ハズレな「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」といった、意図はしていなくとも「排他的ナショナリズム」にも通じている言動でもあるだろう。それでは「ナショナリズム」の部分に「昭和ウルトラ」「AKB48」「ラブライブ」を代入して、「平成ウルトラ」「モー娘」「アイドルマスター」を侮蔑するような、自分は排他的な右翼でないつもりでも実はメタレベルで精神の型としては排他的右翼とまったく変わらない、品性下劣な精神性とも同じになってしまう(笑)。


 2010年代においてよく売れているヒーロー系玩具は、2009年の『仮面ライダーW(ダブル)』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100809/p1)で始まった、カードやカプセルやメダルなどの収集型のサブアイテム多数と、それを開閉や音声などのプレイバリューもあるギミックを備えた変身アイテムにセット挿入する類いの玩具であった。コレが2016年の『ウルトラマンオーブ』以降にウルトラシリーズでも導入されて、様式美的な定番セリフとともに玩具のギミックを延々と見せつつ変身してみせるパターンが一般化している。
――そして、20世紀までとは異なり、メインターゲットの子供たちが喜ぶのであれば、我々大きなお友達もヤボを云うのはよそう! むしろソコで楽しまずにわざわざケチをつけてみせるのは子供番組卒業期の中二病的なメンタルだ! なぞと小バカにしてみせる、20世紀までとは真逆な風潮すら一般化するほどにマニア諸氏も成熟しているのだ――


 よって、本作『ウルトラマントリガー』でも主役ウルトラマンことトリガーは、変身アイテムの底部にカートリッジ(劇中ではハイパーキーと呼称)を差し込むことで変身することが商業的宿命ともなっている。体色が変わるタイプチェンジにあたっても、ティガのように自力で変転するのではなく、トリガーのインナースペース(体内・精神世界)にいる顔出しの主人公青年が、変身アイテムにそれ専用のカートリッジを差し込むことで、トリガーは赤色や紫色主体のモードにタイプチェンジを遂げている。


 こーいうあたりもまた、マニア上がりのスタッフたちが撮影現場で仕方なくノルマとして玩具的な変身アイテムを描写して、しかして変身ポーズは基本は取らせずに無言で変身させることで、第1期ウルトラシリーズへの回帰を図っている! なぞと当時の年長マニアたちの好評を博することができていた『ウルトラマンティガ』における変身シーンとは、まるで真逆で相反する様相を呈してもいるのだ。


『ティガ』的ではない玩具まるだし銃器にも変型する変身アイテムの疑似SF的な正当化の巧妙さ!


 とはいえ『トリガー』も、単に『ティガ』のリスペクトのようでも各要素を180度真逆にしただけだという、それはそれで芸のナイことをしているワケでも決してない。厳密には90度なり270度といった角度でヒネったアレンジにしてみせてもいるのだ。ソレが変身アイテムにいかにも玩具的なウルトラマンや怪獣の絵柄がプリントされた多数のカートリッジをハメることを、一応の『ティガ』的な『トリガー』世界の中で可能とするためのエクスキューズで擬似SF的な設定群のことである。
 ソレすなわち、ウルトラマントリガーに変身するためのアイテム自体は、劇中内でも超古代文明の遺物をモチーフにしたことが説明されている。しかし、ウルトラマンや怪獣の属性パワーを持ったカートリッジの方は遺物のレリーフだけでなく、地球怪獣や宇宙怪獣のデータなども基に怪獣攻撃隊の科学の力で製造したのだとするのだ!
 しかして、それだけだと怪獣攻撃隊にはヒーローの正体がバレていることにもなってしまう。『ウルトラマン』作品のみならず、邦洋も含めた変身ヒーローもの一般のアイデンティティだともいえる、一般人や怪獣攻撃隊がヒーローに安易に依存や依頼をしてこないようにするための作劇的直観的でもあった「ヒーローは正体を隠匿している」といったテーゼや「ヒーローの孤高さから来るヒロイズム」といった魅力には抵触してしまうことにもなるのだ。


 そこで『トリガー』が採った方策は……。劇中世界の大財閥の会長がその持てる資力と科学力で、内々に超古代文明由来の変身アイテムを製造したとする! そして、会長に養育されていた天才科学少年でもある隊員クンがあまたのカートリッジを製造したとする! そしてダメ押しで、主人公青年の秘めたる素質&運命を直観した会長が、#1中盤にて彼に変身アイテム&カートリッジを授与するのだ!
 つまりは、世人や怪獣攻撃隊の隊長や隊員たちは主人公青年がトリガーであることは知らない。しかし、会長と天才少年隊員クンだけはその正体を知っていて、そのサポートもすることで、「多数のサブアイテムを人間の科学技術での製造」としつつも「ヒーローの正体の隠匿」を両立させることが一応はできているのだ!


 ウルトラマントリガーのタイプチェンジにすら無関係な、怪獣属性のカートリッジの位置付けについてはドーするか? それについても、この変身アイテムを量産化した怪獣攻撃隊の一般装備(!)として、しかして変身には用いさせずに、銃型に変型させて怪獣カートリッジを差し込んだ銃器として使用することにしたのだ!


・古代怪獣ゴモラのカートリッジであれば、1966年の初代『ウルトラマン』初登場時の能力ではなく、はるか後年である2007年の『ウルトラギャラクシー大怪獣バトル』にて主役ヒーロー怪獣として登場したときの追加能力ではあるけれども「超振動波」を銃撃!
・宇宙怪獣エレキングのカートリッジであれば「電撃光線」を銃撃!
・宇宙恐竜ゼットンのカートリッジであれば「火球」を銃撃!
・潮吹き怪獣ガマクジラのカートリッジであれば「水流」を銃撃!


 こうすることによって、怪獣カートリッジの存在にも一応の理を持たせることができているのだ――まぁ本作にかぎった話ではないけど、近未来科学というよりかは遠未来科学、ほとんど魔法の域にも達しているのだが(笑)――。


 近年では仮面ライダーも主役ライダーは昭和以来の変身ベルトを常用するも、2号や3号ライダー以降の脇役ライダーたちは、あるいは戦隊ヒーローたちも、銃器にも変型が可能なプレイバリューのあるアイテムを変身道具として用いることが増えている。オトナや年長マニア目線で見れば非リアルでバカバカしいともいえる趣向なのだが、その価値観を背伸び盛りの小学校中高学年にはともかくメインターゲットである幼児層に適用してはゆめゆめならない。用意周到なマーケティング・リサーチや販売結果に伴なう幼児たちの趣味嗜好に応えたモノだからこそ、近年では変型ギミックが装備された変身アイテムが連発されているのであろうから。


前作ヒーロー&ライバルキャラもが同型変身アイテムを使用することで、商業性&SFドラマ性も両立!


 加えて、このカートリッジには前作ヒーロー・ウルトラマンゼットのタイプチェンジ各種までもが、あとで知ったことだが商品としてラインナップされていた(ナンでやねん!?・爆)。……そうか。それで本作『トリガー』でも早々にウルトラマンゼットが前後編で客演することにもなったのか!?(笑)
 もちろん近年のウルトラシリーズの中では子供間でも好評だった『ウルトラマンZ』人気にあやかった商品ラインナップであることは明白だ。このへんも玩具会社・バンダイ側の主導であって、コレによってウルトラマンゼットの客演を『トリガー』製作である円谷プロにも要求。今や円谷側のスタッフもそのへんでヘンに潔癖になって反発することなどもなく実にサバけたものである。
 科学少年隊員クンがウルトラマンゼットへの変身アイテムでもある故障したウルトラゼットライザーを解析して、ゼットのタイプチェンジ属性までをも秘めている各種カートリッジを製造! さらに、ゲストで登場した前作主人公・ハルキ青年もまた、トリガーへの変身アイテムの同型版を貸与どころか譲渡されて、それを使用してウルトラマンゼットへと変身! そして、その変身アイテムをもらって、『トリガー』世界の地球を去っていく!
 オオッ! なるほど! そう来たか! コレであれば、前作『Z』がスキでも『トリガー』はソレほどでもない……なぞという小ナマイキ、もとい気ムズカしいガキもゲットできて、彼らも本作の変身アイテムを購入して「変身ごっこ遊び」をしたくなるやもしれない!?


 かてて加えて、半年放映シリーズの折り返し地点でもある、2010年代のウルトラシリーズでは製作予算節減のための総集編回でありながら、単なる番外編ではなくメインストリームにも接点を持たせることが毎作恒例ともなっている#13(笑)では、本作のレギュラー悪でもある悪のウルトラマンこと「闇の3巨人」ともまた別の第3勢力として登場していた宇宙のお宝ハンター青年・イグニスが、ナースデッセイ号内にある科学少年隊員クンの研究室に無造作に置かれていた変身アイテムの製造途中の予備を失敬してしまう(汗)。
 その1話前の#12ラストでも、「闇の3巨人」とも別の「闇の巨人」であり、ウルトラマントリガーの3000万年前における姿でもあったトリガーダークをようやく撃破した際に爆発四散した残滓のエネルギーを、イグニスはその体内に吸収している光景が描かれた。今度はこのイグニスが予備の変身アイテムを使って新たなるトリガーダークへと変身して、トリガーに立ち向かってくるのだろう! たしかに強敵キャラクター・トリガーダークが2話ぽっきりしか登場しないのであれば、あまりにもモッタイないので、コレもまたカンゲイすべき趣向ではある!


――往年の『百獣戦隊ガオレンジャー』(01年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20011113/p1)でも、シリーズ途中で参加のスマートでカッコいい敵幹部・狼鬼(ロウキ)の中の人が改心して6人目の追加戦士・ガオシルバーへと転生を遂げている。しかし、狼鬼が退場したことで作品の活劇度・熱血度がややウスれてしまったのも事実だったので、個人的にはガオシルバーとはまた別に狼鬼は狼鬼として単独で残留思念が自我&実体を持ったことにでもして、シリーズを通じて今度はガオシルバーとの因縁・鏡像バトルを繰り広げてほしかったことのリベンジの実現がココに!?(笑)――


 玩具性のイイ意味での強調。しかして、理屈ヌキでのムリくりな割り込みでもなく、一応の児童レベルでの知的好奇心を惹起する擬似科学・擬似SF的なエクスキューズは付けることで、ウルトラマントリガーへの変身アイテムを使用したのにウルトラマンゼットへ変身できたことの説明&正当化までもができていたのだ。
 むろんヒーロー活劇とはヒーローが悪党をやっつける「肉体的カタルシス」を擬似体験することが主眼のジャンルではある。しかし、それと比すれば二次的なモノではあっても、こーいう虚構性や玩具性の高い要素にパズルのピースをハメるように擬似SF的な言い訳を付けることで、そしてソレがまたピタッとハマったときの一応の「知的カタルシス」もまた2番目として、幼児はともかく児童たちにはアピールするものでもあるだろう。だから、今後とも子供たちのジャンク知識収集癖、怪獣博士的な「知的快感」を惹起するためにも、このような趣向は大いに導入すべきだろう!――もちろん3番目としてならば濃厚な人間ドラマやテーマ主義作品もあってイイ――


――前作『ウルトラマンZ』でも宿敵キャラや第3勢力キャラが変身アイテムをコピーして怪獣に変身したり、近作『ウルトラマンR/B』でもヒーローが所有するのと同型の変身アイテムを使用してライバルキャラたちがダークヒーローや怪獣に変身している、やはり子供もマニアも喜びそうなカンゲイすべき趣向があったことを、ここでホメたたえてもおきたいが――


闇の3巨人の原典、映画『ウルトラマンティガ THE FINAL ODYSSEY』の当時におけるビミョーな評価(汗)


 話は戻るが、前作ヒーロー・ウルトラマンゼットとの早々の共演! このあたりもまた、「昭和ウルトラマン」の世界観とは決別して、執拗なまでに昭和のウルトラ兄弟とは共演させようとはしなかった『ウルトラマンティガ』とはやはり別モノの趣向であった――『ティガ』終盤における初代ウルトラマンとの客演編は、円谷プロ草創期を描くことを主眼とした番外編に過ぎないので正編とは云いがたい――。


 先に本作『トリガー』は、「昭和ウルトラ」世界の後日談でありつつもその作風や作劇自体は真逆であった『ウルトラマンメビウス』の方法論に近いと述べた。しかし、それもまた「ニア・イコール(近似値)」の意味ではあって、『メビウス』の手法とは「イコール」そのものでもなかった。
 つまり、フタを開けてみれば、「平成ウルトラ」や『ティガ』要素はさほどに強くなく、「昭和ウルトラ」世界出自のメトロン星人が怪獣攻撃隊の少年隊員として参画していたり、「昭和ウルトラ」世界出自の怪獣ギマイラまでもが早々に登場を果たしていたのだ。


 そして、「闇の3巨人」の存在である。ご承知の通り、この悪のウルトラマン3人衆は96年に放映が開始された原典『ティガ』に登場したキャラクターですらない。次作『ダイナ』も終了して2年ほどが経ってからの西暦2000年に公開された、『ティガ』と『ダイナ』の間の7年間の空白の時代を描いた映画『ウルトラマンティガ THE FINAL ODYSSEY』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19961209/p1)が初出である闇の3巨人をリメイクしたキャラクターなのである。


 当時を知らない年若い特撮マニア諸氏が、原典たるTV版『ティガ』とその後日談たる映画版『ティガ』をワンセットで同質なモノとして捉えて認識するのは仕方がないしムリからぬところもあるのだろう。しかし、当時の時代の空気を知っているロートル特撮オタクたちは覚えているハズだ。この映画版『ティガ』はその設定や内容が小出しに公表された時点で、そしてまた同作が公開後にも、特に熱烈なTV版『ティガ』ファンからは冷ややかな反応やプチ反発が上がっていたことを……。


 まず、TV版『ティガ』においてはカナリ不充分ではあっても終盤の#45「永遠の命」(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19961207/p1)にて、超古代文明が滅亡した理由が一応は明かされていた。そこでは超古代人類が快楽&怠惰に溺れたゆえに滅亡したとされたのだ。しかし、映画版『ティガ』ではその真相とはまったく直結してこないまるで別モノな設定、すなわち超古代文明を襲撃してきた超古代怪獣軍団を撃退した超古代ウルトラマン軍団の内部においても、闇に落ちた者がいて内紛劇が勃発したのだとされたのだ……。
 もちろんコレについても、知られざる秘史があったのだとして好意的に脳内解釈してあげることも可能だ。しかし、それはTV正編にもあった何らかの点描を後付けでも「伏線」として改めて見立て直すことによって、パズルのピースがピタリとハマった! というような「知的快感」などもまるでない、#45「永遠の命」で明かされた超古代人類が滅亡した一件よりも以前のことなのか? 以降のことなのか? それすらもが歴史年表的にも判然としてこない、ホントウにあまりにも取って付けた感が強くて、どころか不整合が生じたとすら感じられる描写であったあたりでプチ反発が広まったのだ。
 そして、『ティガ』世界におけるウルトラマンティガウルトラマンダイナといった、素体としては「光の巨人」としての属性しか持っていなかったハズである平成ウルトラマン像とも大幅にズレがあったことにも、当時のマニア諸氏は引っかかりを覚えていた。加えて、肝心のティガ自身も超古代においては「闇の巨人」であったという、やはりあまりにあんまりな追加設定にもプチ失望が広まった。
 コレはもう昭和の1970年代の「ウルトラ兄弟」の設定を「原点たる初代ウルトラマンウルトラセブンの神秘性を毀損するものだ」として、第1期ウルトラシリーズ至上主義者たちが批判していたことをも、はるかに超えてしまうくらいに振り幅がある平成ウルトラマン像の改変でもあったのだ(汗)。


 TV正編ではカルく一言で言及された程度で、詳細には説明されることがなかったが、超古代怪獣や宇宙人に襲撃されていた太古の地球における超古代文明を救った超古代のウルトラマンたちは、その後にその身体だけは巨石像として地球に残して、その本体である魂・精神・意識としての「光」は、「星の雲」という表現がなされた宇宙の彼方の星雲へと帰っていったとされていた――当時のマニア向け商業誌の各誌でも作品紹介的に説明されていた事項なので、TV正編での不明瞭な説明よりかは商業誌での説明のイメージが当時もう年長マニアであった世代人たちには強いかもしれない――。
 つまり、3000万年前のウルトラマンティガ自身の本体・意識はすでに宇宙の彼方へと去っており、その抜け殻であるティガの巨石像自体にティガ本人の意識はもうすでにないハズであるのだ。ティガという存在はある意味では巨大ロボットのようなモノであり、それに主人公青年たるダイゴ隊員が搭乗して操縦しているだけのモノであったハズなのだ。


 それが! 映画版『ティガ』における悪の女ウルトラマンことカミーラは、ティガをかつての恋人・ティガダーク本人だとして執拗にストーカーのようにして執着してみせる。……いや、現代のティガは抜け殻であって、その意識は現代人の主人公青年たるダイゴ隊員そのものなのであるから、そーいう不整合な描写はさすがにちょっと……(汗)。


 そーいう妄執的な恋情ドラマを展開するのだとしても、


①ティガ本来の本人である魂・意識でもある「光」がティガの身体に帰還してきて、無言でカミーラとも対峙なり拒絶(!)をしてみせる!
②カミーラは妄執で精神に異常を来しているので、ティガとダイゴが別人格であることがわからないほどに病んでいる!


などといったエクスキューズ描写が必要ではあっただろう――しかし、それであってもムリは生じてしまう。「闇の3巨人」自身も元は人間じみた卑小な感情からは解脱している「光の巨人」であったハズなのだ(多分)。実は太古において地球の超古代人類の人々と合体して、カミーラもティガダークもその人間の劣情や恋情によって悪影響を受けてしまったのだ! などといった、さらなる追加設定でもなければ言い訳がつかないモノなのだが、超古代のウルトラマンたちが人間と合体して地上に滞在していたというウラ設定もなかった以上は、この解釈もまたキビしいモノなのだ――


 そーいうワケで、清冽な雰囲気だったTV版『ティガ』正編とは空気感も含めてまるで別モノのややドロドロとしたものであり、超古代文明時代の歴史設定面では矛盾すらをも来たしてしまったビミョーなる評価を頂戴してしまったのが、当時の映画版『ティガ』であったのだ。
 なので、TV版『ティガ』と映画版『ティガ』をまとめて一枚岩のように『ティガ』的なるモノとして捉えている御仁も一部にはいるようだが、それもまた的ハズレではあるだろう。それは「平成ウルトラ」&「昭和ウルトラ」といった「東京」&「大阪」程度の相違でしかないモノを、地球の「北極」&「南極」や「極右」&「極左」のような二項対立・敵対図式で極端に捉えて、その片方を徹底的に撲滅せんとしてムダに戦いだしてしまうような(笑)、心理学でいうところの「認知の歪み」というモノだ。評論オタクを自認しないのだとしても未開の原始人ではないのだから、「昭和ウルトラ」・TV版『ティガ』・映画版『ティガ』といった3作品を直線上の両極端ではなく東京・名古屋・大阪の3地点に相当するモノとして測定したり、あるいは東経・北緯・西経・南緯のいずれの地点にマッピングするのが妥当であるのか? といったかたちで物事を認識できないようではマズいだろう(汗)。


 ただまぁ、映画版『ティガ』以前に、TV版『ティガ』単独だけで観た場合であっても問題がなくはなかった。そもそも超古代文明の実態やその滅亡の理由を小出しに明かしていくようなタテ糸・シリーズ構成が『ティガ』本編には存在しなかったからである。
 よって、#1で落下してきた隕石内から回収されて、超古代の巫女・ユザレからのメッセージを立体映像で投影する円錐型でハイテク金属製の「タイムカプセル」といったシリーズを通じたキーアイテムたりうる存在も忘れ去られて――マニア上がりの川崎郷太が脚本&監督を務めた#28「うたかたの…」(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19961204/p1)でだけ復習的に現物映像ヌキ(汗)でのセリフのみにて言及――、終盤では「タイムカプセル」もヌキにしてユザレの霊体だけが単独で出現してしまうなどで、統一感がないところもあったのだ。


原典たるTV版『ウルトラマンティガ』再論! 超古代怪獣と超古代文明は劇中で有効に活用されていたか!?


 四半世紀前に感じていた『ティガ』に対する少々の不満を愚痴ってみせるのも実に見苦しいことではあろうが(汗)、せっかくの機会なので少々語ってみせたい。『ティガ』において、作品の看板の一角を占めなければならなかったハズである「超古代怪獣」たちのことである。
 #1(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19961201/p1)では一挙に2種もが出現した「超古代怪獣」は、明らかにティガこと「光の巨人」像の破壊を意図的に目論んで日本に襲来していた。であれば、『ティガ』世界における「超古代怪獣」にカテゴライズされる怪獣たちは、通常の野良怪獣とは異なる独特の意図や特性を持った存在として描くべきであった。そして、#1以降も「超古代怪獣」種族を時折りは登場させて、それらには野良怪獣たちとは明瞭に異なる行動を取らせて、ネルフ本部の地下深くにある「リリス」を目指して襲撃してくる「使徒」怪獣よろしく、「タイムカプセル」や「光の巨人」目当てで防衛軍基地を目指して襲撃するパターンなどに統一する! そして、その行動パターンの徐々なる認知や「タイムカプセル」解読なども契機にして、「超古代文明」の実態や滅亡の真相も我らが「現代文明」が抱えている数々の難問との類似などでも風刺性を出しながら小出しにしていくべきだったのであり、そのようなストーリーであった方が『ティガ』という作品はもっと盛り上がったのではなかろうか?


 『ティガ』#23「恐竜たちの星」では、サイボーグとして改造された恐竜が登場した。太古の恐竜に対する人為的な改造の形跡! すわ3000万年前の超古代文明ネタとも関連させるエピソードが登場か!? と思いきや、かの超古代文明とはまったくの無縁の出来事として描かれてしまうどころか、たとえ結果的には無関係であっても、その可能性すら想起もされずに終わってしまうのだ……(遠い目・笑)。
 #23に先立つ#18「ゴルザの逆襲」では、#1で取り逃した超古代怪獣ゴルザが再登場を果たした回であった。が、ゴルザとの対決は同話でアッサリ決着してしまう……。ウ~ム。ゴルザを『ティガ』における特別格の怪獣扱いとして、このリベンジ戦でも「引き分け」で終わらせて、さらに幾度かの再戦を演じさせてあげてもよかったのではなかろうか? 2度目で決着が付いてしまうようではやや物足りないのだ。
――シリーズを通じて最低3度は対決してイイ勝負も演じてくれないと、強敵感なり好敵手感がイマイチ出せないという意味では、後年の『ウルトラマンメビウス』に登場した宇宙剣豪ザムシャー(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060928/p1)、あるいは『ティガ』以前に放映された『仮面ライダーブラックRX』(88年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20001016/p1)における前作『仮面ライダーブラック』(87年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20001015/p2)での悪の宿敵ライダー・シャドームーン復活編にも同じ問題点があるのだが(もちろん1回戦だけで終わってしまった場合と比すれば、2回戦でもやってくれた方がマシですよ。トリガーダークもコレに同じ)――


 そして、都合3種目の「超古代怪獣」が登場したのは、ズッとはるかに飛んでシリーズも3/4を消化してしまった#39「拝啓ウルトラマン様」に至ってのことだった。しかし、この回はゲストキャラによる人間ドラマ主導回であって、それはそれでイイとしても、そこに登場するのが「超古代怪獣」である必然性はない回であったのであり、その怪獣の特性や由来が主眼となることもなかったのであった(笑)。
 #44「影を継ぐもの」に登場した超古代狛犬怪獣ガーディーはいわゆる超古代怪獣ではなく、「光の巨人」に列する「光の巨犬」であろうからコレは除外とする――ティガやイーヴィルティガなどの巨人像とは異なり、巨犬像ことガーディーに超古代時代の意識が残っているあたりは設定的には不整合だが……カワイイから許す(笑)――。すると、あとは最終章3部作に登場した超古代尖兵怪獣ゾイガーのみとなる。そう、『ティガ』においては「超古代怪獣」というカテゴリーに当てはまる怪獣はたったの4種しか登場していなかったのだった(汗)。


 コレは次作『ダイナ』における#1~2のあとは第3クール後半にならないと登場しない「スフィア怪獣」や、「根源的破滅招来体怪獣」が結局あまり登場しない次々作『ガイア』にもいえる欠点である。むろんのこと全話に登場する全怪獣を「超古代怪獣」などに統一すべきだった! なぞという単調な主張をしているのではない。「魔王獣」というその作品独自の怪獣カテゴリーを登場させた『オーブ』や、宿敵が変身アイテムで怪獣に変身するのが基本であった『ルーブ』では、官僚主義的に硬直化したパターン化をさせずに時折りは野良怪獣も出現させていた。シリーズの「主敵」を異次元人ヤプールが繰り出す「超獣」としていた『ウルトラマンエース』における#7「怪獣対超獣対宇宙人」(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060618/p1)よろしく、ストーリーや登場怪獣のバリエーションにも変化を付けており、そういったパターン破り・柔軟さはむしろ子供の方こそ喜ぶようなモノだろう。
 しかし、シリーズの1/3くらいの話数は、その作品独自の「主敵」となるカテゴリーに含まれる怪獣を登場させることで、「超古代文明とは何か?」「人類の宇宙進出を妨害する銀球スフィアとは何か?」「根源的破滅招来体とは何か?」といった議題を小出しに並走させていくようなシリーズ構成にはなっていないことに対する批判は、特撮評論同人界などでは当時も少数ながらあったことは記録に残しておきたい。


 『ティガ』と同一世界の後日談作品である次作『ウルトラマンダイナ』でも、#10「禁断の地上絵」(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971201/p1)では南米にある超古代文明遺跡ネタ、#14「月に眠る覇王」(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971202/p1)でも月面上の超古代文明遺跡ネタが登場している。作品の世界観的にもソレらは前作『ティガ』に登場した3000万年前の超古代文明とも接点があるとして描いてあげた方が、当時の子供やマニア諸氏こそ狂喜したのではなかろうか?
 その意味で、地球ならぬ火星の大地にも3000万年前の超古代文明の遺跡があったとして描いた『トリガー』は、本来かくあるべき『ティガ』ならぬ『ダイナ』もココにある!(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971204/p1) といった感もあるのだ(笑)。


――その伝で、本作『トリガー』では「超古代怪獣」ならぬ「~闇(やみ)怪獣」という、怪獣たちの「別名」によって本作独自の怪獣カテゴリーを作っているけど、シリーズも半分を消化した#13の時点で、原典『ティガ』とは異なりすでに4種もの「闇怪獣」が登場しているあたりもまた、児童レベルでの怪獣博士的な知的好奇心(笑)もくすぐってくるので好印象である――


 ……いやまぁ、超古代に飛来したウルトラマンたちが超古代怪獣&宇宙人の猛攻から辛うじて防衛を果たすも、甚大なる被害を受けた超古代文明は衰退していった……というような活劇チックでスケールのデカい真相が明かされるのかと思いきや、超古代怪獣や宇宙人の襲撃にはまったくふれずに、単に超古代の麻薬植物の快楽に溺れて超古代人類は自滅していった……なぞといった、TV版『ティガ』において明かされた真相もまたあまりに卑小で片手落ちに過ぎて、その時点ですでに落胆の念を覚えていたマニア諸氏もいたことも、歴史の片スミにひとつの証言として残させてもらいたい。


 そう。TV版『ティガ』本編にもその後日談たる映画版『ティガ』にも相応にスキや粗があるという評価は当時も少数ながらあるにはあったのだ。しかし、たしかに全員とはいわず当時の特撮マニアの大勢は、TV版『ティガ』本編については筆者が指摘してきたようなことどもは些事にすぎないとも見たようで、熱烈な絶賛を送っていたというのは事実ではある。
 けれど、映画版『ティガ』に対しては、酷評という域ではないにせよ冷ややかな評価を与えていたというのが、その当時にすでに子供ではなく成人マニアの年齢に達していたロートルな筆者による歴史証言となる。


『ティガ』の時代! 『激走戦隊カーレンジャー』『電磁戦隊メガレンジャー』『ビーファイターカブト』!


 付言させてもらえば、『ティガ』が放映された96~97年には、東映でもオタク第1世代が初めてメインプロデューサー&メインスタッフの中核を占めることができた時代で、東映の高寺成紀(たかてら・しげのり)プロデューサーによる『激走戦隊カーレンジャー』(96年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20110521/p1)や、脚本家・荒川稔久(あらかわ・なるひさ)&小林靖子(こばやし・やすこ)も頭角を現してくる『電磁戦隊メガレンジャー』(97年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20111121/p1)、メタルヒーローシリーズでも『重甲ビーファイター』(95年)の続編『ビーファイターカブト』(96年)などが放映されていた。そして、CG・デジタル合成の投入も本格的に始まったことによる斬新な特撮映像、脇役やゲストキャラの再登場またはイレギュラーキャラ化、シリーズ前作の舞台設定をも包含した超古代(!)から続いているスケールの大きな因縁劇といった、タテ糸・連続ドラマ性なども『ティガ』以上に高い精度で達成されていた。
 当時の筆者個人の評価も、『ティガ』も悪くはないけど、それよりかは『カーレン』『メガレン』『BFカブト』の方が完成度は高いというモノであった。しかし、当時はまだまだ東映特撮は一切観賞しない東宝・円谷至上主義者が多数派の時代であったので、特撮評論同人界などではともかく商業誌レベルでは『ティガ』賛辞だけが幅を効かせており、『カーレン』『メガレン』『BFカブト』などの東映作品に対しては、論評・読者投稿などでも批評的・好意的な言辞が大々的に表明されることはなく、複雑な気持ちにさせられたモノであった。


 幾人かのゲストキャラが話数をまたいで再登場したことをもって、『ティガ』にはそれまでの日本特撮にはなかった「連続性」がある! なぞという論法も当時は流通していた。しかし、担当脚本家は異なっていても怪獣攻撃隊の隊長の幼い娘や(『帰ってきたウルトラマン』)、隊員の母君が(『ウルトラマンタロウ』)、話数をまたいで再登場する作劇などは、合体ロボットアニメの元祖『ゲッターロボ』(74年)なども含めて70年代前半からあった趣向ではあり、80年代にも『宇宙刑事シャリバン』(83年)やスーパー戦隊超電子バイオマン』(84年)に『電撃戦隊チェンジマン』(85年)といった作品群では、『ティガ』以上の連続大河ドラマをすでに達成すらしていた。
 その逆に、少数ながらいた『ティガ』批判派も絶賛派による論法自体をヘンに内面化して評価基準としてしまっており、「『ティガ』はハードでシリアスでリアルな作風だから子供向け作品としてはダメだ」とか「連続性があるから子供向け作品としてはダメだ」などという論陣なども張っていた――いやそんなに精巧な作りでもなく連続性にも欠如していた『ティガ』に対して、それもまた的ハズレな批判であるとしか思えなかったモノだけど――。
 そんな両極端な反応も見るにつけ、当時の「特撮評論」の未成熟、東宝&円谷と東映、60年代作品と70年代作品に対する論評の分断・亀裂を嘆いたモノである。……ひょっとすると、今でもあまり状況は変わっていないのかもしれないが(笑)。


ウルトラマントリガー』とは、本来かくあるべき『ウルトラマンティガ』だった!?


・火星にもあった超古代文明の遺跡や光の巨人像!
・昭和ウルトラ、もしくは平成ウルトラ3部作的な1話完結形式ではなく、キチンとしたタテ糸やシリーズ構成!
・ゲスト怪獣とは別のレギュラー悪の設定(悪の3大ウルトラマン!)
・レギュラー悪ともまた別の第3勢力キャラも配置!
・いかにも玩具的な変身サブアイテムや銃器を、劇中でムリなく登場させるためのエクスキューズ設定!
・タテ糸要素は映画版『ティガ』の反復だが、同作の弱点やツッコミどころに対する巧妙なるアレンジ!
・「超古代のティガダーク」と「現代人の主人公青年」とは別人だというある意味では致命的な弱点を、「超古代のトリガーダーク」の内面に生じた良心(魂)が輪廻転生した存在として「現代人の主人公青年」を設定したことでの回避!
・「超古代のトリガーダーク」の良心を呼び覚ました御仁自体が、超古代にタイムリープした「現代人の主人公青年」、つまりは「トリガーダークが転生した自分自身」だったとすることで、タイムパラドックスは発生せず、むしろタイムリープそれ自体が運命・必然だったようにも描いてみせるアクロバティックなSF作劇!


 筆者はある意味で、本来かくあるべきだった『ティガ』がここにある! という気もしているのだ(笑)


 いや、『ティガ』本編を否定したり傷つけたりもせず、オトナの態度でリメイクするのであれば、コレはもう原典ともパラレルワールドのかたちで接点を持たせた「後日談」であり「リメイク」でもあるとしてみせた『トリガー』の作り方には唸らせられるしかない。
 そして、単なるリメイクかと思わせてパラレルワールドな後日談でもあったという作りは、往年の名作深夜アニメ『ひぐらしのなく頃に』(06年)の完全リメイクかと思わせてパラレルワールドとしてのメタ後日談でもあり同作第5期(?)でもあった昨秋の深夜アニメ『ひぐらしのなく頃に 業』(20年)とも実は同じ作品構造になっているではないか!? ……と思ったら、同作も『トリガー』でメインライターを務めているハヤシナオキがシリーズ構成を務めていた(爆)。しかも、氏の正体は90年代末期~00年代にかけて「(美少女)泣きゲー(ム)」ジャンルを大いに勃興させた立役者のあの御仁であるらしい!?――「えいえんはあるよ。ここにあるよ」の作者さん!?――


――氏については『トリガー』のメイン監督も務める坂本カントクが招聘したそうだ。各種インタビューも閲覧するに、坂本カントクは自身の大好物だけを摂取している狭い御仁ではなく、アニメなどの隣接ジャンルのヒット作も意図的にお勉強として観賞するようにしているようだ。その万分の一にも満たない筆者ごときも、加齢に伴ないハシゴを徐々に外されていっている感があって(爆)、ある時期から意図的に隣接ジャンルも観賞するようにしているのだが、たしかにそこで得られた物の見方や批評尺度が、特撮作品批評のさらなる深掘りにも大いに重宝していたりもする――


 もちろん1996~97年時点における『ティガ』の視聴率・玩具売上高・マニア間での反響といった次元では、本作『トリガー』はそれらを超えることはできないであろう。しかし個人的には、純・作劇の技巧面だけで云ってしまえば、序盤こそ近作『ウルトラ』との比較でいえばややオトナしかったものの、本作『トリガー』はすでに原典『ティガ』を超えているどころかはるかに陵駕しているようにすら、少なくともシリーズの前半折り返し地点を終了した現段階では思うのだ。


『ティガ』をも超えて、星辰の世界で展開される『ウルトラギャラクシーファイト』ともリンケージ!


 そして、シリーズ後半戦の一発目となる#14は、予告編によるとナンと! 今や少数派の還暦前後の第1期ウルトラ世代などはともかくとしても、筆者なども含む現今の特撮マニア諸氏には熱烈なる賞賛を巻き起こしているネット配信作品『ウルトラギャラクシーファイト』シリーズ(19年~・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200110/p1)とも連動!
 同作における敵種族である黄金色の悪のヒーロー集団こと究極生命体=アブソリューティアンのひとりで、来年2022年に配信される同作の第3作目こと『ウルトラギャクシーファイト 運命の衝突』に登場することがすでに告知されていた、両耳から反り上がった猛牛のようなツノが生えているアブソリュートディアボロが先行して登場! 『トリガー』世界の地球に侵攻してきて、トリガーとも戦うというのだ!
 そして、その『ウルトラギャラクシーファイト』シリーズで大活躍している東南アジアのマレーシア向けの新ウルトラマンことウルトラマンリブットまでもが助っ人参戦! 映画『ウルトラマンゼロ THE MOVIE 決戦!ベリアル銀河帝国』(10年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20111204/p1)ではメインヒロイン・エメラナ姫を演じた今をときめく土屋太鳳(つちた・たお)ちゃんの弟で、近年の深夜アニメ『荒ぶる季節の乙女どもよ。』(19年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20210411/p1)や『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。完』(20年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20150403/p1)に『さよなら私のクラマー』や『白い砂のアクアトープ』(共に21年)などではメイン格のレギュラー声優としてもその名をチョクチョクと見かける土屋神葉(つちや・しんば)クンが顔出し出演(!)して、リブットの人間態を演じるのだともいうのだ!


 こ、こ、こ、こんな個別単独の作品世界を越境して、並走して展開中のほかの現役シリーズとも関係性を持たせて、作品自体やシリーズ全体の世界観をもスケール雄大に拡大させてワクワクさせてくれるエピソードや特撮ジャンル作品を観られる日が現実に来ようとは!
 たしかにマニア諸氏も明瞭に言語化して意識できているかはともかくとしても、以前からぜひとも観てみたかった、各作が連結された作り方の趣向だけれども、まさかそれがよりにもよって、『ティガ』リスペクトを謳っている本作『トリガー』にて実現しようとは!


 本作『トリガー』はホントにどのへんが『ティガ』リスペクトなのであろうか? 『ティガ』リスペクトって営業的売り文句・タテマエでしかないのではなかろうか? カナリ突き放したクールな目線からの実にクレバーな再構築・プラス・アルファな作品だとしか思えないのだけれども(笑)。


 2020年代のウルトラシリーズのみならず日本の特撮ジャンルは、例えればアメコミ(アメリカンコミックス)ヒーローにおける、主役級のヒーローが個々に看板作品を持ちつつも巨悪に対しては結集して立ち向かう、マーベル社の映画『アベンジャーズ』(12年~・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190617/p1)やDC社の映画『ジャスティス・リーグ』(17年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20171125/p1)路線を目指すべきである!――DC社の悪党キャラが大集合してさらなる巨悪(笑)に立ち向かう映画『スーサイド・スクワッド』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20160912/p1)などでも可―― それこそが「日本特撮の復興」もとい、さらなる「興隆」にもつながっていくのだ! といったことを微力ながらも主張していこうと考えていたのだが、現実の作品に先を越されてしまったではないか!?


――まぁ坂本カントクが関わった東映の新旧ヒーロー共演チーム名『スペース・スクワッド』(17年)は『スーサイド・スクワッド』(16年)、円谷の新旧ヒーロー共演チーム名「ウルトラ・リーグ」(20年)も『ジャスティス・リーグ』(17年)で、万人にミエミエのネーミングの引用だったけれどもネ(笑)――


 ホントは2010年代初頭に、歴代仮面ライダーと歴代スーパー戦隊を映画『仮面ライダー×スーパー戦隊 スーパーヒーロー大戦』(12年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20201115/p1)で共闘させて、その翌年には映画『宇宙刑事ギャバン THE MOVIE』(12年)において登場させた2代目宇宙刑事たち3人とも連結させるかたちで、映画『仮面ライダー×スーパー戦隊×宇宙刑事 スーパーヒーロー大戦Z(ゼット)』(13年)までをも実現させていた東映ヒーロー作品でこそ、『ライダー』『戦隊』各作のプロデューサーレベルではなく、その上位に立つ東映白倉伸一郎プロデューサーや塚田英明プロデューサーあたりがもっと計画的・総合的に仕切って『ライダー』『戦隊』各作の1クールに1回くらいは、70年代東映特撮におけるクールの変わり目にあったような再生怪人軍団が登場するイベント編の現代的アレンジとして2代目宇宙刑事が宇宙から、作品によっては並行宇宙を超えてくるかたちで客演!
 地球はライダーやスーパー戦隊が守っているが、宇宙では宇宙刑事たちがまた別の敵軍団とも戦っているのだ! などといった2層・3層・多層構造を持った数年長レベルでの「連続性」「シリーズ構成」によるヒキ・興味関心も作っていき、年1で公開される映画などではTVでも小出しに顔見せしていた巨悪の本格的な襲来に対して、すでに面識もあるライダー・戦隊・宇宙刑事たちが一致団結して立ち向かう! などといったフォーマットにして、大いに盛り上げてほしかったモノだったのだけど……。
――あまりにもその場かぎりで、先輩ヒーロー・リスペクトの欠如、TVとの連動性もないラフでテキトーな作りの東映ヒーロー大集合映画や、それとも真逆なヒーロー大集合要素がない映画『仮面ライダー1号』(16年)のような作品が無計画に乱発されたこともあってか、夏休み映画と正月映画はともかく、毎年春休み~ゴールデンウィークの時期に公開されていた白倉プロデュースのライダー×戦隊のヒーロー大集合映画路線だけは興行収入激減の末に消滅してしまったのはご承知の通りである(涙)――


 ここ10年ほど、2010年代のウルトラシリーズにおける中盤の総集編回の脚本を担当し、マニア諸氏も絶賛してきた『ウルトラゼロファイト』(12年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200314/p1)・『ウルトラファイトビクトリー』(15年)・『ウルトラファイトオーブ』(17年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20170603/p1)・『ウルトラギャラクシーファイト』シリーズ(19年~)や、『ウルトラマンタイガ』(19年)以降にTV本編と連動して無料動画配信サイト・YouTubeにて配信されるようになった、ウルトラシリーズ最新作をウルトラ一族の側から見たウラ側や番外編に前日談などを描いた「ボイスドラマ」でも脚本を担当している足木淳一郎。
 本作『トリガー』では先のハヤシナオキと連名で、ついに「シリーズ構成」の役職にまで昇格している。経歴を調べてみると82年生まれの円谷プロ所属で、毎年の年末年始に開催される「ウルトラヒーローズEXPO(エキスポ)」内にて上演されているTV正編の「前日談」や「後日談」に「秘史」といった位置付けのアトラクショーを「脚本」のみならず、その「演出」までをも手掛けているそうだ!――アトラクでの「前日談」や「後日談」なども明らかな矛盾が発生しないものはすべて、先の『ウルトラギャラクシーファイト』では正史として全肯定されて劇中のセリフでもその旨が言及されているそうナ――。よって、我々モノ書きオタクのような単なる文弱の輩(汗)とは異なり、ヒトさまにも号令できるコミュ力・胆力・交渉力などもあるのだろう。
 この世は結局は社風などではなく個人としての人間力・人格力がモノを云う。そうであれば、氏は今後は円谷プロ社内でもお偉いさんなりプロデューサー職などにも出世ができそうである。当時の現役ウルトラマンであったU40出身のウルトラマンタイタスやO50出身のウルトラマンフーマとは同族の先輩であるのに、世代人のみならず子供たちでも喜びそうなU40出身のウルトラマンジョーニアスやO50出身のウルトラマンルーブたちといった先輩戦士たちが助っ人参戦するイベント編が存在しなかった! などという『ウルトラマンタイガ』のような、いささかサービス精神には欠ける愚劣な作りの新作などは今度こそは回避して(笑)――同作をその一点をもって全否定をしているワケではないので念のため――、TVシリーズをネット配信作品やアトラクショーともどもヒーロー競演の『アベンジャーズ』的に連動させて盛り上げていくような作品を作っていくだけの才覚や手腕についても期待が持てそうだ。


 『ウルトラマン』TV最新作と続行中のネット配信作品『ウルトラギャラクシーファイト』とのあまりに理想的なスケール感もあふれるワクワクとさせる連動! ソコにこそ2020年代のウルトラの鉱脈があるようにも思うのだ。ウルトラシリーズの物語・人気・商業性のさらなる拡大と発展を祈念して、コレからもオタクの世界の片スミでひっそりと提言&論評をさせていただきたい。


(了)
(初出・当該ブログ記事)


ウルトラマントリガー』前半評2 『ティガ』回顧&『トリガー』#1~7評!

(文・中村達彦)

ウルトラマントリガー NEW GENERATION TIGA』視聴前の感慨 ~『ウルトラマンティガ』の時代

(2021年6月19日脱稿)


 2021年7月10日(土)、新しいウルトラマンストーリー、『ウルトラマントリガー』の物語が始まるという。1996年に放送された『ウルトラマンティガ』の続編なのか、スパークレンス(変身アイテム)やGUTS(ガッツ・防衛隊)やアートデッセイ号(戦闘母艦)など、『ウルトラマンティガ』から引用したネーミングの設定が公表されている。
 新しいウルトラマンのデザインとタイプチェンジの名前や色彩も、紫・赤・銀色のマルチタイプをはじめ、紫と銀色のスカイタイプ、赤と銀色のパワータイプとウルトラマンティガのデザイン・タイプチェンジ名を踏襲している。強いて言うなら胸部のアーマーのラインに金の模様が施されているのが大きな違いだ。
 『ティガ』の世界の未来ということだと、『ティガ』の次作『ウルトラマンダイナ』(1997年)の続きの時代ということにもなるのだが。


 前作『ウルトラマンZ(ゼット)』(2020年)に続いて坂本浩一監督らが今度はメインスタッフとして参加し、防衛チーム・GUTS-SELECT(ガッツ・セレクト)が活躍するとか、昭和ウルトラシリーズに登場したメトロン星人が隊員で加わるとか、『ウルトラセブン』(1967年)第11話に登場した悪の竜型メカこと宇宙竜ナースと『ティガ』の防衛隊の母艦アートデッセイ号を意識した巨大戦闘艇・ナースデッセイ号が登場するとの情報も伝えられてくる。
(かつては悪役として登場したメトロン星人だが、『ウルトラマンX(エックス)』(2015年)のファントン星人グルマン博士、『ウルトラマンジード』(2017年)のペガッサ星人ベガなど、近年のウルトラシリーズでも主人公をサポートしたり防衛隊の隊員となったレギュラー宇宙人は存在しており、このメトロン星人も同族別個体で、2014年の『ウルトラマンギンガS』では美少女アイドルの追っかけ(笑)をやっていたメトロン星人ジェイスが描かれている)


 それらを見聞きして「『ティガ』とはちょっと違うな」とも思う。『ウルトラマンティガ』にはそれまでのウルトラシリーズとは刷新された世界観でオリジナルの怪獣だけが登場する作品だった。それに今の時代に新しい『ウルトラマン』を作るにしても、前作『ウルトラマンZ』のような豪快なストーリーを想像していたのだが……。



 25年前に、『ウルトラマン80(エイティ)』(1980年)以来15年ぶりのTVで放映される新作『ウルトラマンティガ』がスタートすると聞いた時(その1996年は初代『ウルトラマン』誕生の30年周年でもあった)、筆者は半信半疑ではっきり言って期待していなかった。それまでにも新作『ウルトラマン』が作られるという話はあったが実現せず、1990年・93年に海外との合作で作られたビデオ作品の『ウルトラマングレート』や『ウルトラマンパワード』も個人的には面白くなかったからだ。
 この90年代前中盤当時でも、初期ウルトラシリーズの脚本家を論評した名著『怪獣使いと少年』(JICC出版局(現・宝島社)・93年・切通理作ISBN:4796606718)や、歴代ウルトラシリーズを等しく再評価した『ウルトラマン99の謎』(二見文庫・93年・青柳宇井郎・赤星政尚・ISBN:4576931180)などで、かつてのウルトラシリーズの面白さを再認識させられ、新作『ウルトラマン』を観たいという気持ちもあったのだが。


 1995年初夏には新作『ウルトラマンネオス』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20210530/p1)の制作が進んでいるという発表が商業誌などでなされた。しかし当時、特撮ファンの心は3月に公開された平成『ガメラ』や10月からスタートした巨大ロボットアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』(共に1995年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20110827/p1)に行っており、新作『ウルトラマン』がTVでスタートすると聞いても「何を今さら」「どうせ路線変更とか打ち切りになるんだろう」と当時は思っていたのだ。


 翌1996年初夏。新作『ウルトラマン』は先の『ネオス』95年版とは異なり、ウルトラ一族の故郷・光の国やウルトラ兄弟が出てこないファーストコンタクトの話になることや、ティガという名前になることが公表された。しかし、ウルトラマンが用途に応じて色が変わること、ジャニーズのアイドルグループ・V6(ブイシックス)が主題歌を歌い、V6のメンバーの一人が主演すると聞いて、期待できない気持ちの方が後押しされた。


 それでも96年9月にスタートした第1話の土曜夕方6時からの本放映はリアルタイムでTVの前で視聴した。何だかんだで捨てきれない。心のどこかで子供の頃に見た初代『ウルトラマン』(1966年)や『ウルトラセブン』(1967年)の疑似SF的な面白さをまた見せてもらえるかもと思っていたからだ。
 超古代の巨大石像から目覚めるウルトラマンティガ。だが、久しぶりに観たウルトラマンストーリーの第1話は世界観やストーリーが説明不足でやはり期待外れだった。私事で恐縮だが翌日、都内で開催されたSFサークルの例会で、筆者を含めゴジラウルトラシリーズで産湯をつかって大人になってもそれらを横目で見てきたはずの誰もが『ティガ』について議題にしなかった。1時間経っても話が出ないから、サークル年長者のS氏が「どうして誰も『ウルトラマンティガ』の話をしないのかなー?」と話題を振っていた思い出がある。


 続いて第2話を観たが、第1話で出現した怪獣に備えるため武装が施されるようになる飛行メカ・ガッツウイングや、ティガに変身できる力に当惑する主人公・ダイゴ隊員の姿などが丁寧に描かれていた。
 次の第3話では、ティガが人類の味方か確言できない状況で「人類の味方だ」と言い切る、ウルトラシリーズ初の女性隊長イルマらの活躍が描かれる。
 またティガよりも優位な立場を主張する、ティガよりも太古から地球に先住していたらしい宇宙人・キリエル人(びと)が登場することで、ヒーローの正義がやや相対化される伝奇SF性が強調されていて、夜景のビル街でのキリエル人が変身巨大化した白黒モノトーンのキリエロイドとティガとのスマートな人間体型のキャラクター同士が敵味方で戦いあうさまが、この回から『ウルトラマンレオ』(1974年)でレオのスーツアクターを務めた二家本辰巳(にかもと・たつみ)がアクション監督に入ったこともあってか独特でカッコよかった。まさしく「こんなウルトラマンが観たかった!」が実現されたのだ。


(ちなみにイルマ隊長役の高樹澪(たかぎ・みお)は、1982年から数年間、NHK教育テレビで放送された土曜深夜の若者向け番組『YOU』に司会者のひとりとして出演していたことでも世代人には有名。同じくその番組の司会者であった河合美智子は、『ウルトラマンティガ』と同時期にスタートしたNHK朝の連続テレビ小説ふたりっ子』(1996年)にオーロラ輝子(てるこ)役で出演してブレイクしている)


 主人公ダイゴ役・長野博(ながの・ひろし)はV6での芸能活動のため、『ウルトラマンティガ』の序盤では出番が非常に少なかったが、その分イルマをはじめGUTSの隊員たちのドラマや世界観が深く掘り下げられた。ところどころで「?」の描写もあったが、回を重ねるごとにだんだんと面白くなっていった。
 スタッフは70年代からウルトラシリーズに関わった人から90年代に円谷プロ作品に参加した人まで玉石混交。『ウルトラマングレート』の企画や脚本に関わり、アメリカの作家・ラブクラフトが考案して後代のあまたのジャンル作品にも引用され続けている架空の体系・クトゥルフ神話やホラー・SFなどにもくわしい脚本家・小中千昭(こなか・ちあき)、独特の凝った映像センスを持っていてアメリカ留学の経験を持つ川崎郷太(かわさき・きょうた)監督などの名を意識するようになっていった。
 筆者は当時、先述したS氏とよく『ウルトラマンティガ』の話をしていたが、#22の脚本を執筆した人物にも注目した。その話では有名モダンホラー作家スティーブン・キングの作品を下敷きにしており、脇役メカや以前のエピソードのキャラクターの再使用、人間の闇や光をテーマにしていた。その脚本を執筆したのは長谷川圭一(はせがわ・けいいち)。#22のあとも『ティガ』で脚本を書き続けた。『ティガ』の撮影現場の美術班・装飾出身で、特撮やアニメのファンでもあるオタク上がりであった。脚本を執筆して円谷プロにも持ち込みを続けたが、撮影現場に新しい『ウルトラマン』の方向性を訴え、影のプロデューサーとも称されていたという。長谷川は以後も長く平成ウルトラシリーズを支え、TVアニメや平成仮面ライダーシリーズの脚本も手がけるようになる。


 97年2月、『ウルトラマンティガ』は半年ではなく1年間の放送となることが明らかになり、筆者は作品にいよいよハマった。いつしかV6の主題歌『TAKE ME HIGHER』も口ずさむようになっていた。
 その頃に放映されたシリーズの折り返し地点である#25は、半年で放映が終了すれば最終回になるエピソードであったと数年後の書籍で明かされているが、#3に登場したキリエロイドとの再対決の話となった。夜の都市でキリエロイドに苦戦するティガ。イルマ隊長は通信回線を開いて市民にティガに光を与えるように協力を呼びかける。人々からの電灯や乗用車のランプや懐中電灯などの光のエネルギーを得て復活、勝利を果たしたティガ。それをたたえる人々。
 同年3月、映画で『ウルトラマンゼアス2 超人大戦・光と影』が上映された。劇中ラスト、ゼアスと親しくなった少年や市民がゼアスに声援を送り、奮起したゼアスが勝利する。その時、『帰ってきたウルトラマン』(1971年)でウルトラマンこと郷秀樹(ごう・ひでき)隊員を演じた団次朗(だん・じろう)演じるニュースキャスターが「ウルトラマンが帰ってきました!」と言う台詞があったが、筆者は『ティガ』のことも指しているように思われた。


(ちなみに『ティガ』#25の脚本を執筆した小中千昭と、『ウルトラマンゼアス2』の小中和哉(こなか・かずや)監督は兄と弟で実の兄弟である。兄はシャープでクールなハイセンス志向、弟はマイルドで子役重視や美少女アイドル志向で、両者の芸風は真逆だった)


 『ティガ』のシリーズ後半では、昭和ウルトラでは考えられなかったアイデアが次々に映像化された。かつて初期ウルトラシリーズに参加した実相寺昭雄監督や脚本家・上原正三が参加したことも話題になった。そして、ティガを巡る様々な人々の思惑も映像化されて、過去のシリーズに劣らぬドラマを見せてくれた。
 ダイゴの同僚ヒロイン・レナ隊員とのドラマも、『ウルトラセブン』のダン隊員とアンヌ隊員を彷彿とさせるように描かれた。2人は序盤から友人であったが、ストーリーを重ねるごとに仲が進展していき、最終章3部作の1本目である第50話(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19961207/p1)では、空飛ぶ怪獣ゾイガーを追跡しながらレナはダイゴがティガであることを知っていることを打ち明ける姿も、屈指の名シーンであった。


 最終回も実写ウルトラシリーズで初めての3話構成となり、強敵怪獣ゾイガーとラスボス怪獣ガダノゾーアのために地球規模での大ピンチとなり、ティガも敗北して一度は石像と化す。GUTSをはじめ、今までティガに関わったゲストキャラたちが集まってティガを復活させようとするが、あと一歩で失敗。だが、その様子をTV中継で見守っていた世界中の子供たちの光でティガは復活、ガタノゾーアを打ち破る。
 当時、この終わらせ方にマニア間では賛辞とともに批判の声も相応にあった(批判の筆頭が怪獣絵師こと開田祐治画伯だ)。子供たちの力で復活させるより、頑張った大人たちの活躍でティガが復活するのが正しいのではというものだ。筆者個人は当時、子供たちによる復活でも良いと思った。しかし、何年かしてから大人たちの作戦による復活の方が良かったかもと考え直している(そういえば、昨2020年の『ウルトラマンZ』最終回(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20210905/p1)でのハルキとヨウコの空中での自由落下中のドラマ会話とウルトラマンZへの変身シーンも、観ている最中はカッコ良かったが、あとで考えてみるとおかしいところが幾つもあった)。


 『ウルトラマンティガ』は1年の放送をまっとうした。視聴率は2桁に行かず、キャラクター商品も思ったほどには売れず、予算はオーバーしがちであったが、路線変更もなく、『ウルトラマン』や『ウルトラセブン』の香りがするSFドラマを見せてくれた。翌年の日本SF大会では星雲賞を受賞した(実は受賞自体やそのSFドラマの内実のSF性に対して整然と厳しい批判を唱えた人たちもいるにはいたのだが)。


 後年の小中千昭による脚本集『光を継ぐために ウルトラマンティガ』(洋泉社・2015年・ISBN:4800305896)や、自作を小説化した『ウルトラマンティガ 輝けるものたちヘ』(早川書房・2019年・ISBN:4152098686)もお薦めしたい。
 『ウルトラマンティガ』終了後、続編『ウルトラマンダイナ』が作られた。平成ウルトラシリーズは当時の特撮再ブームの一翼を担ったことは明らかである。2000年には平成ライダー第1作『仮面ライダークウガ』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20001111/p1)が放送されたが、超古代の遺跡から超人ヒーローが誕生するなど『ウルトラマンティガ』とも相通じている。


 V6解散のニュースも伝わる中、新たなるウルトラマンの物語のスタートが迫ってきている。『ウルトラマンティガ』同様の秀作となるかどうかだが、『ウルトラマントリガー』の物語をまずは観てみたい。


ウルトラマントリガー NEW GENERATION TIGA』#1~3 『ウルトラマンティガ』とも異なるストーリー展開。

(2021年8月14日脱稿)

1話「光を繋ぐもの」


 スタートした『ウルトラマントリガー』。その第1話「光を繋ぐもの」は、本作がオマージュを公言している『ウルトラマンティガ』(1996年)ではなく、その次作『ウルトラマンダイナ』(1997年)第1話がそうであったことを意識したのか火星を舞台にして始まる(『ダイナ』終盤でもティガことダイゴ隊員は火星に移住して植物を育てていることが明かされていた)。
 脚本は本作がウルトラシリーズ初参加でメインライターを務めるハヤシナオキ、監督は2009年からウルトラシリーズに参加し、本作には企画段階から関わった坂本浩一


 宇宙で長い眠りから目覚めた悪の女ウルトラマンである妖麗戦士カルミラ。かつて自分と戦ったウルトラマントリガーを求めて火星へと飛来。
 その火星は植民都市が建設され、若き植物学者マナカ・ケンゴが重金属成分の多い火星の土に合った花を育てるのに余念がなかった。彼は謎の巫女や巨人が現われる夢に悩まされていたが、良質の土を求めて超古代文明の遺跡がある場所へ向かった。


 奇しくもTPU(地球平和同盟)総監シズマ・ミツクニやケンゴの母親らも遺跡を訪れており、そこへ超古代闇怪獣ゴルバーが出現。攻撃を受けた際にケンゴはシールドを発生させて落石から自身を守る。その姿をシズマに見られて彼に自らの夢を語ったことから、アイテム・GUTSスパークレンスを託される。ケンゴは遺跡の下層に降りると、夢の中で見た巨人・ウルトラマンの石像があった。続いて人間サイズのカルミラが現われ、謎の巫女・ユザレも出現。
 ケンゴはカルミラの攻撃に晒されながら、脳裏に浮かんだイメージに導かれ、GUTSスパークレンスで巨人の石像と合体してウルトラマントリガーに変身!
 地上へと飛び出し、怪獣ゴルバーとカルミラに2対1で羽交い絞めにされるも、遺跡にあった巨大な剣・サークルアームズでゴルバーを倒して勝利する。戦いを終えたケンゴはシズマと共に地球へ行くことになった。



 第1話では火星に植民都市があると描写されて、人工雨を降らせるアナウンスが流れる。その人工雨は第1話後半のトリガーとカルミラの巨大超人同士の戦いでも降っていて、物語が「未来社会」であることを示しつつ、戦いを泥だらけで繰り広げることでの特別感もある特撮演出としても有効に機能していた。前作『ウルトラマンZ』(2020年)第1話(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200723/p1)でも、「巨大怪獣が以前から存在していた作品世界」を示すものとして、人々の携帯に一斉に「怪獣襲来」を報せる警報が鳴り響くシーンがあったが、『トリガー』でも第2話以降も「人類が火星にまで進出した未来社会」であることを示すようなSF的な台詞やシーンもあってほしい。
 地面に置いて上方を見上げるように広角で撮影できる超小型カメラの登場もあって、坂本監督は特撮アクションでもいろいろな角度から撮影している。CG合成で撮影スタジオの天井も大空に変えて、ミニチュアのビルもデジタル合成で大幅に数を増やしてカメラ手前を高速でヨコ移動させることで、スピード感と戦場の広大感を両立させており、長く特撮ヒーローアクションものを手がけてきた経験を活かしている。
 6年前に地球は怪獣に初めて襲われ、それに対抗するために対怪獣部隊・GUTS-SELECT(ガッツ・セレクト)が組織されたと説明されている。6年前に怪獣に襲われて『ティガ』の防衛隊・GUTSが設立されたというのならばまだわかるのだが、GUTSならぬGUTS-SELECTが設立されたとはどういうことなのか? この世界にGUTSは存在しなかったのか? それにしてはシズマ総監はウルトラマントリガーとウルトラマンティガとの姿の酷似の旨を口にしている。これはスタッフの単なるケアレスミスによるチョンボなのか? あるいは何らかのSF的な伏線なのか?
 作品の世界観を見せると共に、主人公以外のレギュラーの主要人物たちの性格も見せなければならないのが、連続TVドラマの第1話というものだが、この第1話は詰め込みすぎな感がある。


 主人公・ケンゴは「スマイル、スマイル」を口癖に、皆を笑顔にしたいという気持ちも語られた。その仕草やひたすら前向きで楽天的な気持ちは、近年のジャンル作品ではよくあるものであり、少年漫画も含めれば昔からあったものだが、前向きになれない我々オタクのような陰気な性格類型の人間や子供たちにとっては、押し付けっぽく感じられて苦手だったり反発を生むかも?(汗)


 シズマ役には俳優歴40年になり、往年の1984年版『ゴジラ』にも主要人物として出演し、近年では深夜ドラマ『勇者ヨシヒコ』(2011年~)シリーズのダンジョー役でも知られる宅麻伸(たくま・しん)。
 会ったばかりのケンゴにGUTSスパークレンスを渡すのは早すぎるとも思うが、ウルトラマンティガについて知っているなど謎が多い人物。謎はこれから明かされるのだろうか? 物穏やかな様子だが、怪獣メルバーに対してGUTSスパークレンスを銃器に変型させて戦う、いざとなれば勇敢な方である。しかしGUTSスパークレンスを変身アイテムでなく防衛隊の銃器としても使うとは。


 ケンゴの母・レイナ。演じる横山めぐみは大正時代の菊池寛の人気小説の映像化である大ヒット昼ドラ(マ)『真珠夫人』(2002年)の主人公役が有名だが、彼女も超古代文明の遺跡の発見者であり、ケンゴやシズマと交わす台詞でも何か秘密を匂わせているような……。


 悪の女ウルトラマンであるカルミラも、レギュラーとして今後もトリガーの敵役として立ち塞がる。このキャラクターは、『ティガ』と『ダイナ』の間の時代をあとから描いた映画『ウルトラマンティガ THE FINAL ODYSSEY』(2000年)における超古代の闇の3巨人のひとりであるカミーラのリメイクキャラであるが、これからトリガーとの超古代における因縁も描かれるのであろう。カルミラの声を演じる上坂すみれは声優歴がもう10年近くになり、大学のオタクサークルを描いた深夜アニメ『げんしけん二代目』(2013年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20160623/p1)では声の出演とともに主題歌を担当したり、女児向けアニメ『プリキュア』シリーズ(2004年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20040406/p1)でも『スター☆トゥインクル プリキュア』(2019年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20191107/p1)で追加戦士・キュアコスモなども演じた人気声優。色っぽさと悪っぽさを出している(上坂は自身が演じた役を「さん付け」しているが、カルミラさんと呼んでいるのだろうか?)。


 今回登場した怪獣ゴルバーは『ティガ』第1話に登場した超古代怪獣ゴルザと超古代怪獣メルバの2体を掛け合わせた新怪獣だが、最初にオエライさんとはいえ人間に過ぎないミツクニに撃退されたり、トリガーとの再戦ではカルミラのキャラを立てるためだろうが、カルミラに盾にされてトリガーに倒されるなどパッとしないのは残念。


第2話「未来への飛翔」


 いつものアバンタイトルなしにOP(オープニング)から主題歌「Trigger」でスタート。ケンゴを含む隊員たちがパンチの強い主題歌に合わせて並列して歩いてくるシーンは、往年の人気刑事ドラマ『Gメン75』(1975年)などのOP映像を彷彿させる。


 冒頭、火星や母と離れてシズマと地球へ来たケンゴ。自らも入隊するGUTS-SELECTの面々に引き合わされる。
 隊長のタツミセイヤ、空飛ぶ母艦ナースデッセイ号のパイロット・サクマテッシン、無線戦闘機の女性パイロット・ナナセヒマリ、技術オペレーターのメトロン星人マルゥル、そしてシズマの娘であるユナ、技術開発担当のヒジリアキト。
 ユナのルックスに夢で見た巫女・ユザレをダブらせるケンゴ。そんなユナへの態度を苦々しく見つめ、彼を「ウザい」と言い放つアキト青年。


 そこに巨大怪獣が出現。暴れ回る吸血怪獣ギマイラ。ケンゴ・アキト・ユナは空中母艦ナースデッセイ号から地上に降りて市民の避難誘導を、ヒマリはナースデッセイ下部に吊るしてある飛行メカ・GUTSファルコンを遠隔操作して、ギマイラを迎撃する。
 ケンゴは隙を見て、GUTSスパークレンスでトリガーに変身! ゼベリオン光線でギマイラを仕留めるが、その後にカルミラ同様の闇の巨人である剛力闘士ダーゴンの攻撃を受けて敗北してしまう。
 トリガーから人間の姿に戻ったケンゴを叱責するアキト。実は彼がGUTSスパークレンスを造ったのであり、ケンゴがウルトラマントリガーであることも知っていたのだ。幼い頃にアキトを引き取り育てたシズマは、アキトにケンゴの力になってやってくれと頼む。


 その夜、ダーゴンとの再戦に挑もうとするケンゴに、GUTSスパークレンスの底の部分に挿入するGUTSハイパーキーを渡すアキト。その力でウルトラマントリガーは赤いパワータイプにタイプチェンジ! 力vs力! 戦いは街、水中と転じていくが、トリガーが持つ大型武器・サークルアームズはカギ爪に変化してダーゴンを締めあげる。爆発の中に消えていくダーゴン。
 戦いが終わったあと、大空へ飛び立っていくナースデッセイ号、そしてそれを見上げている謎の男……。



 第1話同様、脚本はハヤシナオキ、監督は坂本浩一。GUTS-SELECTの隊員たちの面々、それぞれの個性が描かれていた。
 GUTS-SELECTのメカの開発にあたっては天才的な才能を持つも、ユナやトリガーを巡ってはケンゴに敵愾心を持ってしまう精神年齢は10代後半の年齢相応であるアキト。第2話のラストではケンゴに笑みで応え、以後も彼には親しい同僚として接しているが、「自分はウルトラマンになれない」「何でケンゴが?」といった気持ちから、シリーズ途中で敵対したりするのだろうか? 地上ではギマイラをGUTSスパークレンスを銃形態に変型させて攻撃する勇敢な姿を見せているが。
(その姿や性格に立ち位置は、『ウルトラマンギンガ』(2013年)のライバル青年・一条寺友也(いちじょうじ・ともや)も彷彿とさせる。そういえばダーゴンも、友也が操縦していた巨大ロボット・ジャンナインに似ているような……)


 ヒロイン・ユナ隊員を巫女・ユザレとダブらせるケンゴだが、ユザレの髪や瞳の色は白なので、同じ役者が演じているとはいえ、いささか強引には思える。


 ヒマリ隊員はふだんは口数が少ないクールな女性だが、GUTSファルコンを操縦する時は性格が変わってしまう変わり種。
 初対面でケンゴに可愛いと言われてしまうメトロン星人の少年隊員であるマルゥル(声はM・A・O(マオ)こと市道真央。『海賊戦隊ゴーカイジャー』(2011年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20111107/p1)のゴーカイイエロー(顔出し)や、『宇宙戦隊キュウレンジャー』(2017年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20180310/p1)のワシピンク(声のみ)でおなじみ)。
 体を鍛えることを好むテッシン隊員。
 ヒマリやテッシンを演じる俳優さんは、以前にもウルトラシリーズにゲスト出演したことがある人たちである。


 そして、闇の巨人・ダーゴン。カルミラに逆さまの姿で眠っていたのを目覚めさせられたが、3000万年からずっとその逆さまの姿でいたのだろうか?(笑)


 ケンゴは火星から地球へ来た時、重力や大気が違うはずだが何ともなかったのか? それとも火星はテラフォーミング(人工的な地球化)や人工重力などで、地球と同じ大気組成や重力になっていたのか?
 ケンゴが火星で育てていた花・ルルイエも地球の日本上空で浮遊しているナースデッセイ号の艦内にまで持ってきている。このルルイエもまた映画『ウルトラマンティガ THE FINAL ODYSSEY』に登場した超古代文明の遺跡の名前であり、クトゥルフ神話を引用したホラーSF小説群や日本の漫画アニメなどにも登場する超古代都市の名前でもある。このルルイエも今後の伏線や最終展開での重要アイテムとなるのだろう。


 今までは有人飛行であったウルトラシリーズの飛行メカも、人力による遠隔操作で操られているとはいえナンと無人戦闘機であり、時代の流れを感じさせる。GUTSファルコンが任務を終えて帰還・収容されるシーンはこれまでのウルトラシリーズの防衛メカ同様、描かれていないのが残念(ウルトラマンが人間に逆変身するなど、そういうものこそ子供もマニアたちも見たがるシーンだと思うのだが)。GUTSファルコン発進時、BGMで昭和の第2期ウルトラシリーズのようなワンダバマーチが流れたのもカッコよかった。


 今回のゲスト怪獣ギマイラは、『ウルトラマン80』(1980年)や『ウルトラマンタイガ』(2019年)に登場した時には強敵怪獣だったが、悪のレギュラーキャラとなるダーゴンを立てるためとはいえ、ゴルバー同様にあっさりやられてダーゴンの引き立て役になったのは惜しい。


第3話「超古代の光と闇」


 ユナはケンゴの教育係になる。GUTS-SELECT隊員であると同時に高校へも通っているユナ。その着替えを取りにシズマ邸に降りてケンゴとアキトも同行するが、ユナをねらう謎の青年の出迎えを受ける。
 空中母艦ナースデッセイ号に帰還後、その正体は闇の戦士・ヒュドラムだとシズマ総監は推測するが、次にユナが高校へ通学した際、今度はそのヒュドラムが人間サイズのの姿で現われ、ユナを拘束して「エタニティコア」なるものがある場所を案内するように迫ってきた。
 だがユナを捕らえたヒュドラムは、そこへ駆けつけてきた先の謎の青年とは別人であった。誤解して謎の青年を撃つアキトからかばうためにユナは巫女・ユザレに無意識に変身して超能力を発揮する。謎の青年も宇宙一のトレジャーハンター・イグニスを名乗った。
 ヒュドラムは変形闇怪獣ガゾートを投入し、戦闘機・GUTSファルコンが迎え撃つ。ケンゴもウルトラマントリガーに変身するが、イグニスに変身する瞬間を見られて正体がバレてしまう。
 戦いの中でタツミ隊長はトリガーを味方と判断し、GUTS-SELECTによるトリガー援護を決断する。戦いの中でトリガーはスカイタイプに、サークルアームズも弓矢に変形し、放たれた光の矢はガゾートを撃破する!
 だがその直後、巨大化した闇の超人・ヒュドラムが襲いかかった。トリガーを救ったのはナースデッセイ号から放たれた砲撃・ナースキャノンであった。邪魔されたヒュドラムは激昂するが、カルミラやダーゴンに抑えられて退散する。シズマ総監はケンゴやアキトにユナを任せて、エタニティコア調査のために地上に降りるのであった。



 トレジャーハンターのイグニスは実は宇宙人で、闇の巨人・ヒュドラムとも因縁があった。最初はイグニスがヒュドラムの人間体かとミスリードさせられた人も多かったのでは? 西洋の海賊のようなコスチュームで軽いしゃべり方をしているし。演じる細貝圭は『海賊戦隊ゴーカイジャー』でも宇宙帝国ザンギャック公認の私掠船(海賊船)に乗るレギュラー敵であるバスコ・タ・ジョロキア役でシリーズ中盤から登場していた。イグニスとバスコは相通じるところが多い。バスコは軽口ながら最後まで悪役に徹したが、果たしてイグニスは?
 第3話も脚本はハヤシナオキ、監督は坂本浩一。序盤3話までは基本設定紹介編なので、今回も闇の3巨人のひとりにスポットが当てられている。ヒュドラムは普段は知的だが、陰険で様々な戦いを得意とし、実は怒らせると手がつけられない。カルミラやダーゴンより先に目が覚めていたというが……(ふたりを起こしてやれよ・笑)。


 また、カルミラ・ダーゴン・ヒュドラムとトリガーの超古代での関係も気になる。映画『ウルトラマンティガ THE FINAL ODYSSEY』では太古にティガは闇の3巨人の仲間であったとされたが、巫女・ユザレにより光落ちしたと語られていたので、本作でもそれに類似した展開となるのが妥当だろうが。
 GUTS-SELECTはトリガーを人類の味方と認識して援護したが、前もってタツミたちがトリガーの正体や行動動機を巡って話し合うなどの前段シーンがないために唐突で、同様のシークエンスであった『ウルトラマンティガ』#3のイルマ隊長による同様の発言と比べたら盛り上がっていないし、ドラマ的クライマクッスにはならずにサラッと流されて演出されている。
 サークルアームズを持って夕陽をバックにしたトリガースカイタイプ! GUTSファルコンの側部が両脚に変型して滑走するハイパーモードになってガゾートを攻撃! ナースキャノンを発射するナースデッセイ! とカッコいいシーンが相次いで撮られているのに、タツミ隊長が発言もヤマ場になっていなかったのは惜しい。今回登場した怪獣ガゾートも闇の巨人の引き立て役で、『ウルトラマンティガ』(1996年)でのガゾート登場回のように本来は成層圏で生息している特殊な生態も少しは描いてほしかった。
 あとケンゴは故郷の火星でも植物学者だったが、ユナは高校生でアキトも同年齢。互いにタメ口で話し合っているが、実はケンゴの方が年上だった(汗)。


 基本設定編が3話続いて、主要キャラや世界観が紹介されたが、これからどういうストーリーを見せてくれるのか? 既にシズマ総監やアキト隊員、闇の巨人の陣営とも異なる第3勢力となるお宝ハンター・イグニスもケンゴの正体がトリガーだと知ってしまったわけだ(同時にユナに巫女ユザレが憑依していることも)。『ウルトラマンティガ』は終盤までティガの正体がダイゴ隊員であることが周囲に知られていなかったこととは大違いであり、対外的には『ティガ』をリスペクト(尊敬)すると言いながら、実は『ティガ』とは異なるストーリー展開に持っていくことが明示された3本だった。


ウルトラマントリガー NEW GENERATION TIGA』#4~7 掘り下げられるキャラクター、そしてウルトラマンZとの共闘。

(2021年9月19日脱稿)

第4話「笑顔のために」


 第4話「笑顔のために」では、空中母艦・ナースデッセイ号内で居眠りをしてしまうコミカルなケンゴも描かれる。彼は地上に降りて超古代遺跡の発掘調査に携わるが、発掘作業員に交じって遺跡をまさぐるイグニスと出会う。その後、ナースデッセイに戻ったケンゴらを追ってイグニスも出現。ナースデッセイ内でGUTS-SELECT隊員たちを翻弄し、出土品を奪って逃亡するイグナスだが、出土品が発光して地底から怪獣が導かれてくる。
 実は古代地底獣オカグビラが出土品を追いかけていたのだ。ナースデッセイを出たイグ二スは、オカグビラに襲われる。その後、ケンゴがウルトラマントリガーに変身してオカグビラを牽制する。アキトはイグニスが混乱して手放してしまった出土品を発見して回収し、安全な場所へとオカグビラを誘導する。そしてトリガーはパワータイプに変身してオカグビラを倒した。



 本話はレギュラーや世界観を紹介する基本設定編ではなく、悪側のレギュラーである闇の3巨人とのドラマもなく、その分、怪獣の存在がじっくりと描かれていた。脚本は根元歳三、監督は武居正能。共に前作『ウルトラマンZ』(2020年)にも参加していた。
 初代『ウルトラマン』(1966年)に登場した深海怪獣グビラ。2012年の映画『ウルトラマンサーガ』での再登場以来、ウルトラシリーズには度々再登場しているが、今回のオカグビラは見た目はグビラと同じでも、地底でも生きられる亜種だと設定されている。空高くトリガーを放り投げて自らも空へと飛び、先端の回転ドリルのツノでトリガーを攻撃する特撮シーンは印象深い。
 ヒマリ隊員が操縦する戦闘機・GUTSファルコンで地底のオカグビラを地上に吊り上げる特撮シーンがあるが、ここにカブる人間ドラマ部分に対する演出は、オカグビラに引っかったイグニスにケンゴが「スマイル、スマイル」と呼びかけたり、ユナが前話で自分を「ゴクジョー(極上)」だとねらってくれたのに今回は出土品目当てで自身には目もくれないイグニスを睨みつけていたりするコミカル風味となっていて、思わず笑ってしまう。困難な状況に陥っても、余裕の笑みを失わない悪役のイグニス。GUTS-SELECTを翻弄したが、愛嬌もある憎めないキャラとなっている。
 注目すべきはアキト隊員で、ナースデッセイ号内で研究ばかりしているのではなく、地上でケンゴやユナと市民の避難や怪獣攻撃に力を尽くしていた。今回もオカグビラがねらう出土品の発見で頑張る姿が眼につく。あとナースデッセイには、GUTS-SELECTのメンバー以外に乗組員はいないようだ。


「特別総集編」2本


 続いて「特別総集編」が2本。シリーズ序盤に今時、レギュラーキャラが登場してメインストーリーとリンクする新撮シーンすらない総集編が続けて2本も放映されるとは、例年よりも製作が遅延しているのだろう(汗)。
 『ティガ』第21話に登場したマスコット小怪獣デバンをゲスト司会に、これまでの『トリガー』のストーリーを解説するパターン。ウルトラマントリガー以外の近年のウルトラマンや防衛チームも紹介しており、今後の『トリガー』の紹介や、ネット配信作品『ウルトラギャラクシーファイト 大いなる陰謀』(2020年)についてもふれられており、ただの総集編ではないので飽きさせない。


第5話「アキトの約束」


 破壊暴竜デスドラゴが出現、暴れ回る。実はデスドラゴは6年前にも現われた怪獣であった。アキトはケンゴらと市民を避難させるためにナースデッセイ号から地上に降りるが、命令を無視してデスドラゴを攻撃する。ケンゴはウルトラマントリガーに変身して怪獣の攻撃からアキトを守るが、デスドラゴには逃げられてしまう。
 タツミ隊長はアキトに謹慎を命じるが、ユナはケンゴに、6年前のデスドラゴ襲来でアキトはシズマに協力していた科学者であった両親を失ったことを語る。ケンゴはミツクニ邸で謹慎するアキトを訪ねるが、そこにデスドラゴが再び現われたとの報が。
 ケンゴとアキトは一足先に怪獣と向かい合っているユナと合流するが、ユナをねらって人間サイズにミクロ化した闇の巨人・ダーゴンが出現する。アキトはデスドラゴをケンゴに任せ、自分はユナを守るために走る。彼の脳裏には両親を亡くしてふさぐ自分に声をかけ手を差し伸べたユナとの初対面があった。
 ユナを追い詰めたダーゴンに、駆けつけたアキトが立ち向かう。ダーゴンはアキトを吹っ飛ばすが、直後にユナの平手打ち(!)を受ける。ダーゴンはその勇気に免じて引き上げていく。デスドラゴもトリガーのスカイタイプが放つ光の矢・ランバルトアローストライクで撃破された。



 第4話と同様、脚本は根元歳三、監督は武居正能。アキトの両親を亡くした過去やユナとの出会いが明かされた。しかし、あちこちで「?」な部分がある。
 まず、両親を殺した怪獣への復讐から我を失うアキトがケンゴに慰められ、その後、再戦で自らの復讐よりユナを守ることを選択したが、それが彼の成長を示すことになるのか? と問われれば今一ピンと来ない。アキトを慰める時、ケンゴは尊敬を表わす白いバラを示したが、普段のケンゴからは考えられない仕草でアキトも当惑している。当然、「ウザいんだよ」とも言われていたが(アマチュア同人誌で「ボーイズ・ラブ」のネタに使われそうだ)。
 ユナを追い詰めたダーゴンが引っぱたかれてその勇気に免じて退散した。一発殴られたぐらいで退散するとは「そんなアホな」。カルミラやヒュドラムだったらこうはいかなかっただろう。第一、なぜダーゴンだけが来たのだ。
 デスドラゴは6年前にも現われた地底怪獣で、堅実なデザインで青い稲妻を放つ頭部のツノが鹿のツノみたいで個性的。6年前の戦闘で片耳を失ったが、ずっと治らなかったのか? 初戦でトリガーに撃退された後、地底でカルミラにエネルギーを注がれ目が赤くなったが、再戦で具体的にどう強くなったかが描かれなかった(6年前の回想シーンで戦闘機・ガッツウイングがデスドラゴを攻撃するシーンがあったが、搭乗していたのはミツクニ?)。


第6話「一時間の悪魔」


 突然現れた巨大ロボット・惑星破壊神サタンデロス。そのバリヤーをウルトラマントリガーは突破できず、敗北を繰り返す。幸い動くのは1時間に限られているが、トリガーやGUTS-SELECTの攻撃を3度も弾き返す。
 そこへナースデッセイ号内に入って来たイグニスが協力を申し出る。その計画はバリヤーをナースデッセイの主砲で一時的に破ったところへ、GUTSファルコンに搭乗した自身が突入、バリヤー発生装置を爆破するというもの。タツミ隊長はその作戦を容れて、GUTS-SELECTは一丸となって準備する。
 その最中、イグニスはケンゴに彼がトリガーであることを知っていると告げる。作戦は順調に進むが、サタンデロスに止めを刺す前にヒュドラムが出現する。ユナは巫女・ユザレに変身して対する。
 ユナをねらうヒュドラムにトリガーが当たり、トリガースカイタイプのランバルト光弾が炸裂する。サタンデロスはナースデッセイとファルコンが撃破する。戦いが終わってGUTS-SELECTはイグニスを仲間と認めるが、実はイグニスはリシュリア星人であり、彼の同族はヒュドラムに殺されていたことが判明する。


 今回も脚本は根元歳三、監督は武居正能。
 強敵怪獣に第三勢力であるイグニスの協力を得て勝利する話だが、シリーズ全体の構成から言って少し早いような気もする。自分の住居のように#4同様、ナースデッセイに入ってくるイグニス。作戦途中に寝返るとか戦いが終わってから見返りを要求するのがこの手のキャラクターのパターンだが、意外にも味方のままで終わった。
 イグニスが宇宙人でヒュドラムに滅ぼされた種族の生き残り。そしてトリガーも、かつては闇の3巨人の仲間であったことが明かされた。今後どういうふうにドラマは動くだろうか?
 今回は巨大超人であるトリガーは勝機を与えるだけでトドメを刺さず、人間であるGUTS-SELECT隊員たちが自身たちの兵器の一斉照射だけで強敵サタンデロスを倒すパターン破りが気持ちよい。主役はウルトラマンだが、防衛隊がいつも単なる前座で戦闘機も撃墜されているだけでは子供にとっても残念なのだ。たまには防衛隊の強さ・有能さを見せて子供や視聴者も喜ばせるべきなのだ。チームが一丸となって作戦準備を進める姿もあり、強敵を倒した直後、手を取って喜ぶアキトとマルゥルの姿も爽やかである。
 イグニスにトリガーとしての正体を知っていると告げられたケンゴが、その会話で近くにいたユナにごまかすため、空を指さし「鳥が!」と言うシーンにも笑ってしまう。
 サタンデロスは『ウルトラマンタイガ』(2019年)に登場したロボット怪獣ギガデロスの量産化された機体をヒュドラムが改造したというウラ設定。でも前回も緒戦で怪獣デスドラゴを倒せず、今回に至っては3回戦もあったのに3戦とも勝てないとは、どうなっているんだトリガー!?


第7話「インター・ユニバース」


 突然、前作『ウルトラマンZ』に登場した防衛隊の巨大ロボット・キングジョーストレイジカスタムが都心に落下してくる。調査に赴いたケンゴ・アキト・ユナはその内部でウルトラマンZと合体しているナツカワハルキ青年と出会う。ハルキはキングジョーストレイジカスタムを奪って逃亡した宇宙海賊バロッサ星人4代目を追跡中、四次元怪獣プルトンの超能力に巻き込まれてこの並行世界の地球に来たのであった。
 ケンゴがウルトラマンであることに気付いたハルキは、ウルトラマンZに変身する時の異空間・インナースペースへケンゴとアキトを連れていき、Zと引き合わせる。変身アイテム・ゼットライザーは破壊されていたが、アキトがハルキ専用のGUTSスパークレンスとGUTSハイパーキーを作ってZに変身できるようにしてくれる。
 一方、バロッサ星人は海賊雛怪獣ベビーザンドリアス・ケダミャーを通訳兼相棒として彷徨(さまよ)うが、そこへハルキやアキトの会話を盗み聞きして事情を察したイグニスが絡み、その後バロッサ星人は巨大化。この騒動にケンゴはトリガーに、ハルキもGUTSスパークレンスの力でZに変身して、バロッサ星人に立ち向かう。共にこの世界へ来ていたZの武器であり自我を持っておしゃべりもする短剣・べリアロクも加勢して、2大ウルトラマンは星人を撃破した。



 脚本は小柳啓伍、監督は田口清隆。前作『ウルトラマンZ』にも関わったお二方である。
 ウルトラマントリガーとウルトラマンZが共闘する話で、1年前の『Z』では数作前のウルトラマンジードが先輩としてゲスト出演して、今回のウルトラマンZやハルキが新人だったので、その成長が感慨深い(『ウルトラマンZ』は毎年恒例の『劇場版』映画は今回作られなかったが、今年2021年の「日本SF大会」では「星雲賞メディア部門」を受賞した!)。


 ハルキはキングジョーストレイジカスタムを奪ったバロッサ星人を追っていたが、あれっ? ハルキは最終回ラストでZとともに地球を離れて宇宙へ旅立ったんじゃあなかったっけ? この話の冒頭では『Z』のヨウコ隊員が防衛隊の巨大ロボット・セブンガーでZと共に追いかけていたが、セブンガーは宇宙へ行けるようになったのか?
 怪獣プルトンの能力でトリガーがいる並行世界へ跳ばされてしまったハルキがケンゴと出会い、彼もウルトラマンだと直感するが、ハルキとケンゴも髪型も直情径行な性格も似ている(笑)。ウルトラマンZはハルキとZが別々の人格であり、ウルトラマントリガーはトリガー自体に人格はなくケンゴの人格そのものであるところは違うが、意気投合するのは微笑ましい。ケンゴはインナースペースでZとも会話する(ところでハルキはヨウコをインナースペースへと連れていき、Zと対面させたのだろうか?)。
 アキトの協力でハルキもGUTSスパークレンスで変身できることに。だが、GUTS-SELECTの超装備のみならず、故障した変身アイテム・セットライザーからウルトラ一族の超科学力も解析してしまうアキトはスゴすぎる。マルゥルも前話でイグニスの正体を知っていたり、キングジョーストレイジカスタムの基となったロボット怪獣キングジョーがペダン星人に造られているのを知っている。


 2大ヒーローの共闘話ながら、相変わらずヘンなしゃべり方をするZ(「ナイス・ツウー・ミー・ツウ」という英語も・笑)。アキトがハルキとケンゴに挟まれ2人の会話にうるさそうにしながら質問に答えるツンデレぶり。ケダミャーとイグニス、宇宙海賊とトレジャーハンターの口論。『ウルトラマンメビウス』(2006年)に登場した恵比須(えびす)さまの木像が巨大化しただけの怪獣コダイゴンジアザーが抱えていた「鯛(タイ)の木像」など、怪獣にまつわる様々な小道具。「鯛の木像」も原典同様「商売繁盛!」を連呼しながらトリガーを苦しめていた。バロッサ星人の戦い方も2大ウルトラマンを相手に早足で逃げ回っているように見えるなどいろいろと笑わせてくれる。


 今回、闇の巨人たちは遠くから静観するだけ。カルミラは前回の戦いで傷ついたヒュドラムをからかい、ダーゴンは何かブツブツ言っている。何か往年のTVアニメ『タイムボカン』(1975年)シリーズの3悪人である「悪玉トリオ」を連想してしまいそうだ。
 ケダミャーこと駄々っ子怪獣ザンドリアスは『ウルトラマン80』第4話(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100523/p1)で初登場。『ウルトラマンジード』以降は何度かウルトラシリーズに同族別個体という設定で登場している。声は声優の湯浅かえで。アニメ『怪獣娘(かいじゅうガールズ)~ウルトラ怪獣擬人化計画~』(2016年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20210919/p1)でもザンドリアスの声を演じ、『ウルトラマンR/B(ルーブ)』(2018年)では宿敵であるウルトラマンオーブダークに変身する愛染マコト社長のドローン型秘書ロボット・ダーリンの声も演じていた。『ウルトラマンオーブ』(2016年)や『ウルトラマンZ』(2020年)でジャグラスジャグラーを演じた青柳尊哉(あおやぎ・たかや)と今年2021年に結婚したばかりである。


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2021年秋分号』(21年9月26日発行)所収『ウルトラマントリガー』前半合評より抜粋)


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ウルトラマンティガ』(96年)#1「光を継ぐもの」~#15「幻の疾走」

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19961201/p1

ウルトラマン80(エイティ)』(80年)#1「ウルトラマン先生」 ~矢的猛先生!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100502/p1

『ザ☆ウルトラマン』(79年)#1「新しいヒーローの誕生!!」

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090505/p1

ウルトラマンタロウ』(73年)#1「ウルトラの母は太陽のように」

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20071202/p1