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ウルトラマンギンガ序盤評 ~低予算を逆手に取る良質ジュブナイルだが、それゆえの危惧もアリ!?

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ウルトラマンギンガ』序盤評 ~低予算を逆手に取る良質ジュブナイルだが、それゆえの危惧もアリ!?

(文・久保達也)
(2013年7月26日脱稿)


 はるか遠い昔、M78星雲・光の国を、怪獣軍団が襲撃したことから勃発(ぼっぱつ)した「ウルトラ大戦争」!


 厳密(げんみつ)に云えば、『ウルトラマンギンガ』(13年)第1話『星の降る町』冒頭で描かれたのは、ウルトラシリーズのファンには広く知られている暗黒宇宙大皇帝エンペラ星人が率いる怪獣軍団が光の国に攻めてきた3万年前の「ウルトラ大戦争」=「ウルティメイトウォーズ」ではない。「ダークスパークウォーズ」というらしい。
 3万年前の「ウルトラ大戦争」は宇宙警備隊大隊長ウルトラの父が若かったころの話であり、年齢が2万歳の初代ウルトラマンさえもまだ生まれてはいなかった時代である(笑)。
 もっともウラ設定にふれずに完成映像だけを観ていれば、宇宙恐竜ゼットンと戦っていたのは初代マンの父か祖父であるなどと解釈すれば、今回描かれたのはまさしくあの3万年前の「ウルトラ大戦争」であるという見方も可能ではある。が、それもまたややこしくなりそうなので、今回描かれた「ウルトラ大戦争」はせいぜい数千年前に起きた別の戦争であり、戦っていたのはあくまで本人たちであると認定した方がよさそうだ。


 初代ウルトラマンVS宇宙恐竜ゼットン
 ウルトラセブンVS双頭怪獣キングパンドン
 そして、極悪宇宙人テンペラー星人と戦っていたのは、ウルトラマンタロウ
 そして、ウルトラマンティガ


 えっ!? ウソだろ! マジかよ!(爆)


 昭和ウルトラシリーズとは世界観が異なるハズのティガが、はるか遠い昔に「光の国」で起きた「ウルトラ大戦争」に参戦していた!?
 見間違いと思って何度繰り返して観ても、たしかにあれはティガの姿だ! しかも、声までもが『ウルトラマンティガ』(96年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19961201/p1)と同一のものを使っている。


 しかしながら、この数年東映が製作・公開している映画『オーズ・電王・オールライダー レッツゴー仮面ライダー』(11年)や『仮面ライダー×スーパー戦隊×宇宙刑事 スーパーヒーロー大戦Z(ゼット)』(13年)などのヒーロー大集合映画において、昭和の仮面ライダー平成ライダーがいつの間にか作品世界を共有しているのをはじめ(笑)、スーパー戦隊宇宙刑事、そして故・石ノ森章太郎(いしのもり・しょうたろう)が「昭和」の時代に生み出した数々の変身ヒーローまでもが次々と共演するのが当然になってしまっている。
 であるならば、細(こま)かな設定はなかったことにするか忘れてしまったフリをして、ドサクサにまぎれてティガを「ウルトラ兄弟」の一員にしてしまうのも、今後の商業展開を展望した上での戦略としてはむしろ歓迎すべきなのかもしれない!?


 数多くのウルトラマンと怪獣たちが画面を埋めつくすほどに繰り広げられる「ウルトラ大戦争」!
 トータルすれば数十秒程度の描写ではあるが、エンディングには「スーツアクター」として十数人もの名前がクレジットされており、しかもその中には女性の名前が数名含まれている。
 ということは作品には使われていない部分も含め数多くのカットが撮影されているはずであり、その中では『ウルトラマン80(エイティ)』(80年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971121/p1)で初登場したウルトラの星の王女・ユリアンや、アメリカとの合作アニメ映画『ウルトラマンUSA』(89年・東宝http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100821/p1)に登場したウルトラウーマンベスなども戦っていたのかもしれない。


 この「大戦争」の背景に浮かび上がった巨大な悪霊(あくりょう)のような黒い影。それが発動させたダークスパークによりウルトラマンたちも怪獣軍団も一瞬のうちに白熱して姿を消してしまう!
 この一連のシーンではウルトラマンレオウルトラマンメビウスの姿も確認できるが――『ウルトラマンメビウス』(06年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070506/p1)でヒビノ・ミライ=ウルトラマンメビウス役で主演した五十嵐隼士(いがらし・しゅんじ)の掛け声を加工したメビウスの悲鳴のような声をしっかりと使っている・笑――、なんせ数秒の描写なので筆者にはそれだけを追うのが精一杯(せいいっぱい)だった。
 ググってみると、ウルトラマンダイナや平成ウルトラ怪獣である超古代怪獣ゴルザなどもいたらしい。


 そして、ウルトラマンたちも怪獣軍団もそのすべてが「人形」と化してしまい、地球の日本、それも今回の高校生主人公・礼堂ヒカル(らいどう・ひかる)の故郷にある降星山(ふるほしやま)に降り注(そそ)ぎ、長年のあいだ眠り続けることとなった……というのが本作の基本設定である。


 したがって今回の舞台は「過去にウルトラマンも怪獣も出現したことがない」世界であり、映画『ウルトラマンサーガ』(12年・松竹・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20140113/p1)の舞台のような「アナザーアース」としての並行宇宙の地球なのである。
 しかし、数万年~数千年のむかしにウルトラの一族たちがすべて「人形」と化してしまって、いかに並行宇宙の地球とはいえ西暦2013年の現在へと至ったとなると、20世紀後半~21世紀初頭を舞台とした昭和ウルトラの時点でもまだウルトラ兄弟たちは「人形」のままだったことになってしまい、昭和ウルトラの歴史もなかったことになりかねない!?
 そうなると、昭和ウルトラ直系の正統続編として登場した『ウルトラマンメビウス』(06年)に始まり、その100年後だか1000年後だかの宇宙に進出した未来の人類を描いた『ウルトラギャラクシー大怪獣バトル』(07年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20080427/p1)シリーズや、映画『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE(ザ・ムービー)』(09年・ワーナー・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20101224/p1)以降のウルトラマンゼロを主人公とした連作の数々もなかったことになってしまう!?


 昭和ウルトラやウルトラマンゼロの物語をなかったことにしないためには、本作冒頭の「ウルトラ大戦争」とは『ウルトラゼロファイト』第2部『輝きのゼロ』(12年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200314/p1)の直後の時系列に起こった事件とし(!)、その際に「人形」化されてしまったウルトラ一族と怪獣たちは、光の国がある宇宙の地球ではなく、光の国がない並行宇宙の地球へと飛ばされてしまい、そこから「はるか遠い未来」(笑)の時代が本作『ギンガ』の西暦2013年の日本になっている……ということにでもしないかぎりは、整合性が取れないことだろう。


 今回のこの舞台設定だけを見ると、本来なら「またリセットかい!?」と個人的には批判したくなるところではある。
 だが、「人形」化されたウルトラマンの中で唯一(ゆいいつ)意識を残していて言葉も話し、「ウルトラ念力」も使えるウルトラマンタロウの口からヒカルに「ウルトラ大戦争」の逸話(いつわ)が話されることにより、少なくとも「M78星雲・光の国」の物語とだけは地続きとなっていることはたしかだろう。
――「ウルトラ念力」とは『ウルトラマンレオ』(74年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090405/p1)で変身能力を失ったウルトラセブン=防衛組織MAC(マック)のモロボシ・ダン隊長も使用した念力。その能力を発揮する際には『ミラーマン』(71年・円谷プロ フジテレビ)のオープニングでもおなじみとなっていた幾何学的(きかがくてき)な光学映像が半透明で合成されるが、本作でも同一の映像素材を使用! 効果音まで同じである!――


 映画『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』以来、総集編や旧作を再放送する番組『ウルトラマン列伝』(11~13年)の枠内で放映された短編シリーズ『ウルトラゼロファイト』(12年)に至るまで、さまざまな媒体(ばいたい)でイレギュラーに描かれつつも、見事に世界観の統一を保ち続け、そのすべてが前作の続編となっていたウルトラマンゼロが主役の物語。
 それらとの直接的な関連がない本作『ウルトラマンギンガ』に、子供たちやマニアたちへの強烈なヒキが欠けてしまう一点でけっこうな危惧(きぐ)をおぼえている筆者ではあるが、今回は物語の大前提としてM78星雲・光の国とウルトラ一族が描かれているだけに、やや苦しいけれども一応の納得はせざるを得ないところではある。


 メタ的な擁護になってしまうが、『ウルトラマンギンガ』自体が放映されている番組枠でもあり、『ギンガ』第1話が放映される1週前に放映された『新ウルトラマン列伝』(13年)の記念すべき第1回の冒頭で、ウルトラマンゼロの父・ウルトラセブンが天を仰(あお)いでゼロの名を呼び、初代マンとゼロについて語るという、一応のフォローもされていたし(笑)。


 ただ第2話『夏の夜の夢』にて、「光の国の歴史」にも確認されていないウルトラマンであるギンガの存在を不思議に思った「人形」状態のウルトラマンタロウに、ヒカルが「そもそもウルトラマンって何?」と尋(たず)ねて、「我々の故郷のM78星雲は……」などとタロウがせっかく話し出したのを、尺の都合だろうがすぐに画面がフェードアウトしてシーン転換しまうというのはどうもなぁ。


 我々古い世代の特撮マニアには既知のことでも、『ギンガ』が初の「ウルトラ」体験である現役幼児は当然として、現在はその親の世代もまたリアルタイムでウルトラを体験していない人々が大多数にのぼることを忘れてはいないだろうか?


「パパ、『ファイヤーマン』(73年・円谷プロ 日本テレビ)って知ってる?」
「知らないなぁ」
「『ジャンボーグA(エース)』(73年・円谷プロ 毎日放送)は?」
「知らないなぁ。観たことないのばっかだなぁ」


 「円谷プロ創立50周年」である2013年、東映ビデオから円谷プロの過去の作品がDVDとして続々発売されている――この動きは11年末発売の『ミラーマン』から始まっている――。これらの広告が東映が公開するヒーロー作品の劇場版のパンフにも掲載されているが、先にあげたのはそれを見ながらの観客の親子の会話である。


戦隊シリーズには詳しいのに、『仮面ライダーBLACK(ブラック)』(87年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090802/p1)に登場する悪の仮面ライダー・シャドームーンのことを一切知らない若い特撮マニアたち。
・あらゆる媒体で露出が高いにもかかわらず、元祖『仮面ライダー』(71年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20140407/p1)の敵組織・ショッカーの戦闘員のことを「まったく知らない」若い父親。


 平成ライダーがこの十数年間継続して放映され好評を博しているにもかかわらず、その劇場版を観に行くとそうした人々の存在を目にして驚かされることがある。


 昭和の仮面ライダーを「全然知らない」人々が存在するのだから、昭和から平成にかけて何度も放映に長いブランクが生じていたウルトラマンのことを「全然知らない」人々がこの国にも少なからず存在すると考える方が自然である。


 また、基本的には「再放送」作品であるということで、これまで『列伝』のことをチェックしてこなかった現役東映ヒーロー主体の特撮マニアやライト層でも、何年かぶりの30分丸々の新作「ウルトラ」である『ウルトラマンギンガ』の放映を機に、この際「ウルトラ」とはいったいどんなものなのか? と「お試し」として視聴するという「初心者」の存在もあるかもしれない。
 なので、今回そうした層に向け、あらためて「ウルトラマンのこと」について「いささか長い話」(笑)ではなく、簡単でいいからタロウの声を演じる石丸博也(いしまる・ひろや)の優しくも説得力のある語り口で聞かせてほしかったように思えるのである。


主人公がまずは怪獣に変身! さらにウルトラマンへと二段変身!!


 長くなってしまったが、『ギンガ』の方に話を戻そう。


 降星山のふもとにあり一ヶ月ほど前に隕石が落下したことによる火事で焼失した銀河神社は――これまた数秒とはいえ、リアルなミニチュアの神社が焼失するカットは絶品である――、ヒカルたちの母校で廃校となった降星小学校の音楽室にその場所を暫定的に移していた。
 神社の神主(かんぬし)=ヒカルの祖父に津川雅彦(つがわ・まさひこ)、校長先生に木野花(きの・はな)って、超低予算なのによくギャラが出たなぁ(笑)。


 そこに「御神体(ごしんたい)」として安置されていた「光の国の言い伝え」にあるギンガスパークこそ、今回の変身アイテムである。
 そして、それを発見したヒカルの右手の甲に紋章(もんしょう)が浮かび上がってきたことが、ヒカルが劇中内での「選ばれし者」であることを証明しているのだ――銀河神社の社(やしろ)にも、同じ紋章がしっかりとモールドされている・笑――。


 「人形」状態のタロウは自分の足の裏にもヒカルの手に表れたのと同じような紋章があり、ギンガスパークの先端でそれをなぞることにより、自分を元の姿に戻してくれるように依頼する。
 だが何も起きることはなく、ギンガスパークが探知して発見した用心棒怪獣ブラックキングの人形で、ヒカルが同じことを試してみるや、


「ウルトライブ! ブラックキング!」


とギンガスパークからガイダンス音声が発せられ、ヒカルとブラックキングの人形が一体化!
 まさに歴代ウルトラマンの各話でのバンクフィルムによる変身巨大化パターンのパロディのごとく、右手のこぶしを大きく前に突き出し、画面奥の「選ばれし者」の紋章から画面手前に飛び出してくるブラックキング!! 効果音までもが初代ウルトラマンマンやウルトラマンジャックウルトラマンエースたちの変身音と同一だ!(笑)


 筆者は今回登場する過去作品の人気怪獣たちは、『ウルトラセブン』(67年)のカプセル怪獣や『ウルトラマンメビウス』のマケット怪獣、『ウルトラギャラクシー大怪獣バトル』シリーズで主人公の怪獣使いの青年・レイが怪獣召喚アイテム・バトルナイザーで操った怪獣たちのように、ヒカルがギンガスパークで人形を巨大化させ「操る」ものだとばかり思いこんでいた。
 だが、まさかヒカル本人が直々に巨大怪獣に「変身!」するとは!


 第1話の敵怪獣、『ウルトラマンダイナ』(97年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971215/p1)第1~2話(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971201/p1)にも登場した怪獣ダランビアやネオダランビアの系列にある超合成獣サンダーダランビアの電撃攻撃を受けて、ブラックキングがヒカルの声で「うわぁ~~!!」と苦しんだり、ダランビアの攻撃を背中で受けとめて本作の女子高生メインヒロイン・石動美鈴(いするぎ・みすず)に「早く逃げろ!」などとブラックキングがヒカルの声で叫ぶ描写は、正直云うとおもわず笑いがこみあげてしまう。
 しかしながら、筆者のように長年、特撮マニアを続けている者でさえも想像だにしなかったような今回の「掟(おきて)破り」の設定には、まさしく「やられた!」と感服(かんぷく)せずにはいられないものがあるのだ。


 ヒカルから怪獣へ、そして怪獣からウルトラマンギンガへという「二段変身」! そうした稚気満々(ちきまんまん)な要素こそが大事なのだ!


 『仮面ライダー』の爆発的人気で巻き起こった70年代前半の「変身ブーム」。両腕を大きく振るって特定のポーズを取ることで超人ヒーローへと「変身」するシーンに、子供たちは身体拡張・身体強化の全能感・万能感を刺激されておおいに夢中となっていた。
 その機微に目ざとく気づいた各製作会社は乱立する変身ヒーロー作品の中で他作品と少しでも差をつけようと「変身」そのものにも創意工夫を凝(こ)らし、カッコいい変身ポーズを考案し、男女合体変身やら少年ふたりが合体変身するなどのバリエーションも産み出して、そこに派手派手な特殊映像効果もかぶせていた。


・『イナズマン』(73年・東映 NET→現テレビ朝日)では、主人公青年の渡五郎(わたり・ごろう)がまずサナギマンに、そしてイナズマンへと「二段変身」!
・『サンダーマスク』(72年・ひろみプロ 日本テレビ)では、主人公青年の命光一(いのち・こういち)がまず人間大サイズのサンダーマスクに変身し、「サンダ~~! にだ~ん! へ~ん、し~~ん!!」(笑)という長~い掛け声によって「二段変身」(単なる巨大化・笑)も披露した!


 いや、単なる巨大化を「二段変身」と言い切ってしまうようなハッタリ(笑)こそが大事なのである。
 権利関係の諸問題から放映や映像ソフト化はほぼ絶望的かと思われる『サンダーマスク』ではあるものの、そのハッタリもあったからこそ、「世代人」の心にいつまでも残る存在となり得ているのではなかろうか?


 今回『ギンガ』で描かれる「二段変身」は、初心者にも長年のファンにとっても画面から受けるインパクトはあまりに絶大なものがある。
 ヒカルが変身したブラックキングの登場場面は着地した瞬間に土煙があがる瞬間がローアングルで捉えられ、オープンセットで樹木の間からあおりで捉えられたあと、「スッゲェ~!」と得意になったヒカル=ブラックキングが振り回した尾を、画面手前に合成された美鈴があわててよけるなど、その巨大感や臨場感が絶妙に表現されている。


悪人も怪獣に変身! 前座バトルが怪獣vs怪獣!!


 一方、今回はタロウが云うところの「命ある者の時間をとめる」アイテム・ダークスパークも登場し、人間大サイズで暗躍している宇宙海人バルキー星人が見つけた粗大ゴミの不法投棄をやらかす産廃業者(さんぱいぎょうしゃ)とか、迷彩服姿でバイクで人々を追っかけ回して楽しむ追跡魔などの小悪党(笑)たちが「怪獣人形」と一体化することで、こちらもまた巨大怪獣に「変身!」するのである!
――実はバルキー星人は『ウルトラマンタロウ』(73年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20071202/p1)最終回(第53話)『さらばタロウよ! ウルトラの母よ!』に登場したタロウの因縁(いんねん)の敵である。いや今回のバルキー星人は同族の別個体にすぎないが(笑)。タロウがヒカルを「みどころある若者」として選んだのと対(つい)を成し、「みどころある悪人(笑)」を次々とスカウトする役目を演じさせるには実は適役かもしれない。最終回で人形から元の巨大な姿に戻ったタロウと巨大化したバルキー星人との因縁バトルを演じるのを観てみたい。ただ、闇の支配者の前で軽快なダンスを繰り出すような今回の憎めない軽妙なキャラ設定からすると、そこまでの宿敵には昇華しそうもないが・笑――


 変身アイテムという子供向け玩具を目立たせるために、そのネガである同型・色違いの悪の変身アイテム・ダークスパークも登場させ、悪役側も「怪獣人形」で「巨大怪獣」に変身させるという、おそらく玩具会社側からの要望ありきとはいえ、90年代後半の平成ウルトラ3部作では人間のダークサイドにスポットを当てることもままあった、本作『ギンガ』のシリーズ構成・脚本も担当する長谷川圭一(はせがわ・けいいち)の過去の幾作との作風ともコジツケができるかもしれない。
 だが、『ウルトラマン80』初期編の設定にあったマイナスエネルギー=「人々の悪い心が怪獣を生み出したり、怪獣に力を与える」が、いささか抽象的でドラマ的にはやや陰鬱(いんうつ)な概念(がいねん)になってしまったことを思えば、本作のそれは内面・心よりも外面・形として現れる「悪事」であって、視覚的・即物的にもはるかにわかりやすく、「悪」であっても過度に「陰鬱」にはならないことから、楽しく観られることが第一である娯楽活劇作品としてはダークな色合いも薄まってバランスが取れているように感じられる。


 本作『ギンガ』のように、昭和ウルトラにも人間がそのまま怪獣化した例は少数ながら存在する。


・『ウルトラQ』(66年)第16話『カネゴンの繭(まゆ)』に登場した、金にガメついゲスト少年・加根田金男(かねだ・かねお・笑)が変身したコイン怪獣カネゴン
・同じく『ウルトラQ』第22話『変身』に登場した、巨大モルファ蝶の鱗粉を浴びてゲスト昆虫学者が巨大化した変身人間・巨人。
・『ウルトラマン』(66年)第23話『故郷は地球』に登場した、某国の宇宙飛行士が宇宙で漂着した星で怪獣化した棲星怪獣ジャミラ
・『ウルトラセブン』(67年)第2話『緑の恐怖』に登場した、ゲストの人々が同化液で植物宇宙人ワイアール星人と同じ姿にされた姿である人間生物X(エックス)。
・『帰ってきたウルトラマン』(71年)第47話『狙われた女』に登場した、防衛組織MAT(マット)のレギュラー女性隊員・丘が人魂(ひとだま)型の宇宙生命に乗り移られて怪獣化した人魂怪獣フェミゴン。
・『ウルトラマンA(エース)』(72年)第16話『夏の怪奇シリーズ 怪談・牛神男(うしがみおとこ)』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060903/p1)に登場した、食肉牛の霊を鎮(しず)める鼻ぐり塚から鼻ぐりを盗んだゲスト青年・高井が異次元人ヤプールに変身させられた牛神超獣カウラ――高井演じる若かりしころの蟹江敬三(かにえ・けいぞう)による滑稽(こっけい)さと恐怖感が渾然(こんぜん)一体となった見事な演技は必見!――。
・同じく『ウルトラマンA』第41話『冬の怪奇シリーズ 怪談! 獅子太鼓』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070209/p1)に登場した、獅子舞の面をかぶったゲスト少年が邪神カイマに変身させられた獅子舞超獣シシゴラン。
・『ウルトラマンタロウ』(73年)第31話『あぶない! 嘘つき毒きのこ』に登場した、お化けキノコを食べた人間たちが変身したキノコ人間。
・『ウルトラマン80』(80年)第39話『ボクは怪獣だーい』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20110122/p1)に登場した、ゲスト少年・テツオが変身した少年怪獣テツオン。
・『ウルトラマンティガ』(96年)第11話『闇へのレクイエム』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19961201/p1)に登場した、エボリュウ細胞を自らに移植した科学者が変身した異形進化怪獣エボリュウや、第47話『闇にさようなら』に登場した同じく第エボリュウ細胞で猿が怪獣化した異形進化怪獣メタモルガ。
・『ウルトラマンダイナ』(97年)第39話『青春の光と影』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971208/p1)に登場した、やはりエボリュウ細胞で科学者が変身した超異形進化怪獣ゾンボーグ。
・映画『ULTRAMAN(ウルトラマン)』(04年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060305/p1)に登場した、海上自衛官がナゾの生命体にその身体を乗っ取られて怪獣化したザ・ワン
・悪役たちが変身した偽ウルトラマンである、イーヴィルティガ・ダークファウスト・ダークメフィスト・ダークメフィストツヴァイ・ダークザギ。


 人間の悪い心がやや陰鬱な苦悩ドラマのようなワンクッションをふんでから怪獣に乗り移ったり怪獣を操ったりするよりも、そのまま怪獣やダークヒーローに「変身」して動いてくれた方が、子供やライト層や一般大衆が観た場合にははるかにわかりやすいのは自明だろう。


 往年の大人気女児向けアニメ『美少女戦士セーラームーン』(92年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20041105/p1)もそのシリーズ第1作目の第3クールから各話のゲストキャラがゲスト怪人に「変身」してしまうパターンが採用され、これは今に至る女児向けアニメ『プリキュア』シリーズ(04年~・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20191107/p1)にも延々と採用され続けている手法だが、近年の平成ライダーシリーズでも『仮面ライダーフォーゼ』(11年)のゾディアーツ、『仮面ライダーウィザード』(12年)のファントムなど、各話に登場するゲスト怪人には必ず人間体の姿も描かれており、ライダー同様に「変身!」するのである。
 それを思えば、毎回ゲストの悪人が怪獣や怪人に「変身」する場面があるというのは古い世代の特撮マニアたちにはやや違和感があるかもしれないが、その回のゲストキャラが異形(いぎょう)の敵怪人に変身してヒーローともバトルを繰り広げることで、ジャンル作品にありがちなバトルとドラマが分離してしまう問題も回避ができ、むしろバトルとドラマが一体化する効用をもたらしてさえいるのである!
 よって、「ウルトラ」においてもこのような作劇は積極的に採用してもよいのではないかと考える。


 そのようなワケで、ヒカルがウルトラマンギンガに変身する直前に「ウルトライブ!」で一体化した怪獣と、悪人たちが「ダークライブ!」で一体化した怪獣が、毎回繰り広げてくれる前座バトル!


 第1話、「全部、黒焦(くろこ)げにしてやるぜ!」と人間の悪党声(笑)でほえるサンダーダランビアが樹木を踏みつぶしながら進撃してきたり、ダランビアの電撃で吹っ飛ばされたブラックキングが大地に転がるさまが、そして木々の間でガッチリと組み合う両者の姿が、美鈴の目線からのあおりでローアングルで捉えられる!


 第2話、「さぁ、ビリビリいきますか!」とヒカルの声で叫ぶサンダーダランビアと、追跡魔がダークライブした誘拐怪人ケムール人とが激突!――よく見ると追跡魔が乗るバイクまるごとケムール人と化していることから、その後に披露する身軽な動きはバイクが理由かも?・笑――
 だが、サンダーダランビアの重厚なスーツに比べてはるかに動きやすいのをいいことに(笑)、ケムール人は瞬間移動でサンダーダランビアを翻弄(ほんろう)するばかりか、背後からキックをかますわ、頭の上で放屁(ほうひ)するわ、口に樹木を突っこむわと、もうおちょくりまくりのやりたい放題!(笑)


 これこそが先述の『ウルトラギャラクシー大怪獣バトル』で味わえた「怪獣VS怪獣」との戦いの再来なのである。
 そのテレビシリーズとアーケードゲームバンダイ発売のソフビ(ソフトビニール人形)『ウルトラ怪獣シリーズ』が連動した「大怪獣バトルプロジェクト」は当初は堅調(けんちょう)な動きを見せていたにもかかわらず、ウルトラマンゼロがデビューして以降、新展開がおろそかになってしまったのか、当初の想定よりも売上がよくなかったのか、ウルトラマンゼロを売ることにシフトしていったのか、2011年春には終了してしまったものであった。
――個人的にはウルトラマンゼロの物語を描きつつも、それと並行して作品内でも『大怪獣バトル』的な「怪獣VS怪獣」のバトルロイヤル要素も残して織りこむべきであったと考えるのだが――


 しかし、2013年9月に『大怪獣ラッシュ ウルトラフロンティア』と題した「怪獣VS怪獣」の要素を前面に押し出した新たなアーケードゲームが新規に稼働(かどう)を開始するそうだ。
 『ウルトラマンギンガ』の放映が夏休み時期に6週6本、クリスマス商戦合わせの年末時期に5週5本と、分割集中放映でブランクが空く時期に奇しくも、おそらく玩具会社・バンダイ主導ではあってもそのような新企画がスタートする以上は、『ギンガ』が放映されているテレビシリーズ『新ウルトラマン列伝』の枠内にて『大怪獣ラッシュ』とも連動した企画をなんらかのかたちで継続させるべきだろう。


明らかに超低予算な特撮でも、努力と工夫とセンスで安っぽくてもカッコいい!(笑)


 怪獣の姿でピンチに陥ったヒカルにウルトラマンギンガへと変身するキッカケを与えるのは、メインヒロインの美鈴である。


 第1話ではサンダーダランビアに首を絞められる中、「和菓子職人になるのが夢」などと健気(けなげ)に語っていた和風少女・美鈴の姿を回想し、


「つぶされてたまるか!」


とヒカルが叫んだ途端(とたん)、ギンガスパークの中からギンガの「人形」が現れてギンガへと「二段変身」する!


 第2話ではケムール人の触覚から消去エネルギー液を浴びせられた際、


「負けないで、ヒカルくん!」


などと美鈴の声援を受けたことから、ヒカルは


「テンションあがったぜ!」


とギンガスパークを満面の笑(え)みでかざし(笑)、ウルトライブでギンガへと「二段変身」するのだ!


 まさに銀河の星屑(ほしくず)のイメージの中から『ウルトラマンA』や『ファイヤーマン』の変身パターンのように高速で回転しながら飛び出してくるウルトラマンギンガ!


 その登場場面の演出にはかなり力が入っている!
 第1話では大地に低姿勢で着地したギンガの周囲で円陣状に土煙が垂直に素早く舞い上がり、洋画『マトリックス』(99年)やそれを早々にパクった『未来戦隊タイムレンジャー』(00年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20001102/p1)パターンで、カメラが被写体を360度周囲から回りこんで捉えて、さらにはその土煙がギンガの周囲を回転しながら銀河の星屑状になる!
 第2話ではバトルシーンが夜間であることから、ギンガの頭部・胸部・両腕・両足にあるクリスタル状の青白く発光した部分が強調して印象づけられる!
 これらの華々(はなばな)しい演出はメチャめちゃカッコいい!


 ギンガのスーツアクターを務める寺井大介(てらい・だいすけ)は、テレビシリーズの前日弾でもある映画『ウルトラマンコスモス THE FIRST CONTACT(ザ・ファースト・コンタクト)』(01年・松竹)で伝説薬使獣・呑龍(ドンロン)を演じたあと、『ウルトラマンコスモス』(01年)テレビ本編、およびその後日談である劇場作品群において、コスモスの青い基本形態・ルナモードと最強形態・エクリプスモードを主に演じていた。
 そして、『ウルトラマンネクサス』(04年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20041108/p1)、『ウルトラマンマックス』(05年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060311/p1)と3作品続けて主役ウルトラマンを演じており、今回『ギンガ』で久々に主役ウルトラマンのアクターに返り咲いたことになる。
 映画『ウルトラマンゼロ THE MOVIE(ザ・ムービー) 超決戦! ベリアル銀河帝国』(10年・松竹・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20111204/p1)では、あのゼロに味方する炎の戦士・グレンファイヤーを演じていた。


 また『メビウス』第21話『虚空(こくう)の呼び声』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061026/p1)では宇宙船アランダス号の船員、ビデオ作品『ウルトラ銀河伝説外伝 ウルトラマンゼロVSダークロプスゼロ』(10年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20111201/p1)では侵略星人サロメ星人の女性・ヘロディアの助手役で顔出し出演していることから、そのうち『ギンガ』でも小悪党役とかでコッソリ出てくるかも(笑)。


 第1話のバトルではサンダーダランビアを怪力で押しまくるギンガや、ギンガに投げ飛ばされたサンダーダランビアをカメラが横移動して追いかけまくる! ブラックキング戦から引き続き、カメラは美鈴目線のローアングルを多用。しかも、終始画面の手前に美鈴の姿が合成される!
 ギンガの身体のクリスタル部分が黄色く光り、発生させた雷を渦(うず)状にして放つ必殺技「ギンガサンダーボルト」を受け、宙に舞い上がって爆発するサンダーダランビア!
――古いタイプのウルトラシリーズマニアだといまだに反発を持つかもしれないが、子供ウケするヒーロー性を高めるためには未知なる超人としての神秘性がたとえ少々ウスれようとも「必殺技の名称」は叫んだ方がよいと思う――


 第2話のバトルでは、ギンガの体内にいるヒカルと、ケムール人の体内にいる追跡魔による会話を、画面2分割で描くという斬新な演出も!
 ギンガに地球の衛星軌道まで放り投げられたケムール人! ヘタな宇宙遊泳のように手足をバタバタさせ、地球の周囲を逃げ回る!
 ギンガは身体のクリスタルを赤く発光させ、宇宙空間でケムール人を追跡するギンガの背面に円陣状に「炎と化した隕石群」を多数発生させる! 画面手前に逃げてくるケムール人、奥に飛行状態のギンガを配し、ケムール人に炎の隕石群を浴びせる第二の必殺技「ギンガファイヤーボール」! 赤熱とともにCG加工で体が熱膨張して宇宙空間であえなく爆発を遂げるケムール人!


 そもそもの大前提として超低予算のために、大がかりなビル街のミニチュアセットはまったく用意されていないし、特撮ステージもいかにも手狭そうだし、特撮部分のホリゾント(背景)も単調で安っぽい色彩で、どうしても安っぽさが拭いがたく漂う(汗)。
 しかし、巧(たく)みなカメラアングルや合成・アクション演出によって充分に迫力の感じられるバトルが描かれているし、ギンガの必殺技はネーミングも描写もマジでカッコいい!


 そもそも今回の舞台はヒカルの故郷である降星山周辺が中心なので――エンディングには「協力」として、大きく「多摩市」とクレジットされている・爆――、ビル街のセットを組む必要がそもそもないとも好意的に解釈ができ、このあたりも上手に逃げていると思える――我ながら実に苦しいフォローだ(笑)。舞台となる校舎の全体像のミニチュアさえも準備できないくらいの超低予算作品であることがスレたマニアたちにはアリアリとわかってしまう(汗)――。


 ただし、本編班側の担当となるが、第2話のケムール人の描写についてなどは、たとえばケムール人の初出である『ウルトラQ』以来の独特の跳躍力を表現したスローモーな「ケムール走り」をカメラを傾(かたむ)けたり不安定に揺らしたりしながら再現したり、夜の学校の暗い廊下で美鈴を追うさまをケムール人の光る目だけが強調されるように捉えるなど、アクターの演技や効果音もさることながら、年少の視聴者にはトラウマになると思えるほどの恐怖感が充分に演出されている。


 満月と学校を背景にあおりでケムール人が巨大化するさまを捉えた場面のあと、逃げるヒカルと美鈴を俯瞰(ふかん=高いところから見下ろすこと)して撮った絵にケムール人の巨大な足のみを合成した場面。逆にケムール人の足もとをローアングルで捉えたミニチュアセットの絵にヒカルと美鈴を合成した場面をつなぎ、さらに建設現場の事務所をのぞきこむように姿勢を低くしたケムール人をローアングルで捉えた場面をつなぐという編集の妙は、臨場感と巨大感が絶妙に表現できている!


気怠い夏休みの山あいに近い廃校を舞台としたジュブナイルドラマ&等身大バトル!


 さらにこの第2話では人間サイズのケムール人との等身大バトルも描かれているのだ! ケムール人に襲われている美鈴を助けようとするヒカルが吹っ飛ばされて廃材やロッカーに突っこんだり、散々ケムール人に踏みつけられたりする描写には、マジでヒカル役の根岸拓哉(ねぎし・たくや)に同情してしまう――スタントマンじゃないよね?・汗――。


 ヒカルに何度も助けてもらった場面を回想した美鈴もまた、倒れたロッカーからこぼれ落ちた掃除用のモップを手に「この野郎!」とケムール人に殴りかかる! そのモップ攻撃がケムール人の股間(こかん)を直撃! 「チ~~ン!」というコントのようなお約束の効果音とともにのたうちまわるケムール人(笑)。


 美鈴はバトルのはずみでヒカルからこぼれ落ちたギンガスパークを手に、倒れたロッカーを踏み越えて(!)ヒカルのもとに駆け寄る! 銀河神社で巫女(みこ)のバイトをし和菓子職人になるのが夢という「和風美人」の美鈴を演じる宮武美桜(みやたけ・みお)ちゃん、よくぞここまでアクションをやってくれたものである!
 個人的にはウルトラのヒロインとして久々の大ヒットだな(笑)。第2話でヒカルに送るアイ・コンタクトとか、追跡魔に襲われたあと座りこんで震(ふる)えているときの表情とか、足手まといになるからいっしょにいない方がいいとヒカルに告げたあとのバイト中にため息をつく姿とか……
 「ふたりだけの秘密」を共有できることで、思春期年齢の少年ドラマ的なジュブナイル性も強調。こんなコに「負けないで!」なんて声援をされたら、たいていの男の子であればおもわずニヤけてしまうことだろう。


 ヒカルを演じる根岸は両親がロックミュージシャンであるという設定(笑)もあってか現在(いま)っぽいキャラだけど、下品な域には堕(だ)さない範囲で留めた少々ヤンチャな感じは、どちらかといえばウルトラマンゼロと合体した方が似合いそうではある。
 『新ウルトラマン列伝』の主題歌を担当し、大のウルトラファンであることを公言するTHE ALFEE(ジ・アルフィー)の高見沢俊彦(たかみざわ・としひこ)が、最終回あたりで父親役でゲスト出演しないものかと……。もっとも氏は2014年に「還暦(かんれき)」を迎えるので、ヒカルの祖父に相当しそうな実年齢ではあるのだが(爆)――。


 実はアイドルになるのが夢という、ロリ声で終始笑顔を絶やさないのに、クールな美少年転校生の一条寺友也(いちじょうじ・ともや)の姿を見るや露骨(ろこつ)に表情を変えてくる(笑)サブヒロインのレギュラー少女・久野千草(くの・ちぐさ)を演じる雲母(きらら)ちゃんもなかなかいい――「きらら」は当て読みではなく「雲母」という漢字の正規の読み!――。
 よくもまぁこんなに可愛いコたちばかりを揃えられたものである。


 今回はヒカルと美鈴、そして幼なじみたちによる「ひと夏の思い出」を描いたジュブナイル的な味わいが強い。ダークな心を持つ人間が怪獣化するという設定も含め、これは『ウルトラマン80』第1クールの中学校編の現代風リメイク・リベンジ戦ではないのか? と筆者としては捉えてしまう。
 中年世代の筆者からすれば、舞台が山間に近い地方の町に設定されていることもあり、そこで描かれる「青春」ドラマには実に懐かしい感覚・居心地(いごこち)のよさをおぼえてしまうものがある。


 もっとも彼らと同じ高校2年の夏休みといえば、筆者は購入したばかりのVHSビデオデッキで『ウルトラセブン』の再放送を連日録画し、全国の東宝系劇場にて往年の名作特撮映画10本がリバイバル公開された『復活フェスティバル ゴジラ1983』において、ビデオ機器やビデオソフトがまだ普及していない時代だったので(汗)もう死ぬまで観られないと思っていた映画『ゴジラ』第1作(54年・東宝)を鑑賞できたことに感動し、今後も特撮マニアとして生きていく! という決意を固めた「運命の夏」であった(爆)。とてもではないが「青春」どころの騒ぎではなかったのである(笑)。


 アベユーイチ監督の演技指導も的確なのであろうが役者たちの好演もあり、「ふたりだけの秘密」を共有するヒカルと美鈴の淡い恋愛模様も描いたドラマは個人的には申し分のない出来かと思える。
 ただこれは『80』もそうであったが、現在の観点では実に完成度が高いと思える初期学校編に対して、本放送時には舞台となった桜ヶ岡中学校の生徒と同じ中学1年生であったのにもかかわらず、「学園ドラマとしてはリアルじゃない」などと筆者は反発していたものであった(汗)。
 ヒカルたちと同じ17歳の世代なり歳若い特撮マニアならば『ギンガ』を観てどう思うだろうか? いまどき地方の高校生でさえ校庭でサッカーボールをパスして遊ぶという姿には「ないないない、絶対あり得ない」なんて反応が即座に返ってきそうではあるが(笑)。
 今回描かれている「青春」群像劇は正直「昭和レトロ」的な感覚の古さは多少感じられるのである。


 もちろん「ウルトラマン」という作品は本来は幼児・児童向けであり、中高生をターゲットにしているわけではない――90年代後半に平成ウルトラ3部作を多数手がけた村石宏實(むらいし・ひろちか)監督は、21世紀に至ってもテレビ特撮ヒーロー『超星神(ちょうせいしん)グランセイザー』(03年・東宝http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20041104/p1)を担当時に「中高生にも観てほしい」なんて発言をしていたが、そういう感覚はいかがなものだろうか?・爆――。


 主人公がウルトラマンタロウの人形と会話を交わし、倒した怪獣の「人形」を次々に集めていくという設定上、従来の成人男性の主人公ではやや無理や違和感があるということからか、高校生を主人公にしたという一面もあるのだろう――もちろん超低予算作品なので、未成年の役者さんを使った方がギャラが安くて済むという要素が一番大きいのだろうが――。
 『80』学校編においても、現在の幼児中心の視聴者層とは異なり当時の視聴者層の中心が小学生の児童だったことから、彼らが背伸び盛りの時期であることも考慮して、彼らよりも少しだけ上の中学生たちの物語を描くことで「身近さ」だけでなく少々の「憧憬」も感じてもらうという狙いもあったかと思える――もちろん小学生よりも中学生の子役たちの方が撮影現場でもお芝居がスムーズに進みやすいという製作進行上の都合もあっただろう――。
 だから、まだ成人男性ではない高校生男子とはいっても、子供たちの憧憬の対象にもするためには、怪獣の「人形」で遊んでいる幼い姿ばかりを描くわけにもいかないだろう(笑)。よって、当然のことながらふつうの高校生としての姿も描きこむことになるわけなのである。


良質ジュブナイルだが、それゆえに娯楽活劇性が欠如してしまう危惧もアリ!?


 ただ第1話と第2話だけを観た印象では、先に長々と書いてきたような変身ヒーロー作品本来の「バトル」的な魅力よりも、そうしたジュブナイル的な「ドラマ」の方が主導権を握ってしまっている。


 最近『ウルトラマンメビウス』の初期編(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060625/p1)を再視聴した。M78星雲光の国・宇宙警備隊・ウルトラ兄弟など「昭和」ウルトラの設定を大前提とした正規の続編として鳴りもの入りでスタートし、特撮マニアの期待を集めることとなった『メビウス』ではあった。
 しかしながら、実際には初期編ではそうした部分に関しては映像ではほとんど描かれることはなく、防衛組織GUYS(ガイズ)の各隊員の主役話、あるいは隊員たちが結束を固めていく話が完全に主導するかたちになってしまっていた。
 それも当然な作劇ではあるのだが、バトルや作戦の楽しさや爽快なカッコよさ、宇宙警備隊の隊員ではない青い体色をした同作における2号ウルトラマンであるウルトラマンヒカリのウラ設定やバックボーンなどを描くことよりも、ややドロくさくて暑苦しい防衛隊員たちのドラマを描くことが優先されたつくりにはなっていたかと思えるのだ。


 この『メビウス』が放映されていた00年代中盤あたりから、特撮マニアの大勢の意識も大きく変わっていったように思う。すなわち、いい歳こいて子供向け番組を観ている自分を正当化するために「ドラマ性」や「テーマ性」や「大人の鑑賞にも堪えうる」といったことを過度に強調するのではなく(笑)、それらも大事ではあっても「娯楽活劇性」や「子供の鑑賞にも堪えうる(!)」ことの方を優先するような風潮が急速に台頭していったことだ。
 こうした論法は実は特撮評論同人界では1990年前後に勃興し、90年代にはすでに一般化していたのだが、残念なことに商業誌レベルや一般の特撮マニア(←字義矛盾・汗)の間には広まることはなかったが(爆)。
 しかし、00年代前半に当時隆盛を極めていたネット上の巨大掲示板、草創期の「2ちゃんねる」における、特定個人というのではなく無数のマニア諸氏による論戦の積み重ねゆえだろう。「娯楽活劇性」や「子供の鑑賞にも堪えうる」ことを重視する論法は、「云われてみればごもっとも」「そちらの論法にこそ理があった」と思われるようになったからか、急速に普及して特撮マニアの主流を占める論調になっていくのであった――その過程においては各位の弁舌はかなり攻撃的で口汚かった問題もあるかもしれないが(汗)――。


 それらの風潮も反映してか近年の平成ライダー作品も、00年代初頭の初期シリーズのころから一貫して「ドラマ性」を重視する姿勢自体に変化はないものの、明らかに「見せ場主導」に方向転換をはかり、しかもそれが功を奏(そう)しているように感じられる。
 本稿執筆時に放映中の『仮面ライダーウィザード』にしても、オープニング明け早々に必ず前哨(ぜんしょう)戦としてバトルが描かれたり、毎回のように主人公ライダーがパワーアップすることで新しいスタイルを続々追加、2号ライダーが登場したかと思えばすぐさまパワーアップ編が描かれたり、しまいには遂に女子高生ライダーが登場したり(笑)。


 極端な話、そうした華のある仮面キャラクターや彼らのバトルを目で追っているだけでも、ちっとも飽きることなくカッタルさも皆無であり、毎回いつの間にか放映枠である30分が終わってしまっているという感があるのだ。
 ダークな話・ハートウォーミングな話もあって、それらが印象に残らないわけでは決してないのだが、そうした人間ドラマの流れにバトルが組みこまれているのではなく、むしろテンポのよいバトル演出の流れの中に人間ドラマが巧妙に組みこまれているようにすら思えるのである。


 正直、娯楽活劇作品としては、あるいは娯楽活劇作品に「テーマ」や「ドラマ」も込めるのであれば、近年の平成ライダーの手法の方が子供にも一般層にも退屈させずにサクサクと観させることができて、なおかつ心にも残るようにも思うのだ。


 これと比較すると、やはり『ギンガ』はまだまだ悪い意味で「ドラマ主導」であり、爽快な「娯楽活劇性」は付け足しであるように感じられる。
 70年代末期から00年代初頭のころ、特撮マニアたちが過度に「ドラマ性」や「テーマ性」を重んじて、「特撮」ジャンルの市民権を獲得しようとしていた時代であれば、平成ウルトラ3部作が特撮マニアの大勢に好意的に受け取られたように、『ギンガ』の「ドラマ性」重視の作風も好意的に受け取ってもらえたかもしれない。
 ……いや、そうでもないかな? ややヤボったい「児童ドラマ」や「ホームドラマ」よりも、日常から遊離した「少し不思議」な「怪奇事件性」やらシャープでクールでスマートな「SF性」といったものが求められていた時代だったから、80年代~00年代前半に仮に『ギンガ』がつくられていたとしても、その「高校生ドラマ」がウケることはなかっただろうな(笑)。


 だだ、「ドラマ性」よりも「娯楽活劇性」や「イベント性」を重視して、歴代スーパー戦隊OBが続々ゲスト出演して主役戦隊が歴代戦隊にも毎回変身する「百花繚乱(ひゃっかりょうらん)」的な『海賊戦隊ゴーカイジャー』(11年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20111107/p1)に特撮マニアたちが夢中になり、「リアル志向」で「ドラマ重視」路線である後番組『特命戦隊ゴーバスターズ』(12年)に特撮マニアが総スカンを喰らわすという(汗)、今はそんな反転してしまった時代なのである。


 就学前の幼児どころかマニアたちもまた「ドラマ」や「テーマ」ではなく特撮変身ヒーロー作品の「本来の魅力」=爽快な「娯楽活劇性」を求める傾向が年々強くなってきている。良質な「ジュブナイル」作品を決して否定するわけではないのだが、先述したような状況をふまえて考えても、今日(こんにち)の変身ヒーロー作品においてそうした「ジュブナイル」要素を主眼とするのは、やはり商業展開上、必ずしもプラスには働かないのではなかろうか?


 まぁ長谷川圭一ばかりではなく、文芸陣には赤星政尚(あかほし・まさなお)や荒木憲一(あらき・けんいち)、監督陣もアベ氏以外に梶研吾(かじ・けんご)や石井良和(いしい・よしかず)といった布陣(ふじん)が名を連ねていることから、今後は「見せ場主導」の作品が出てくることを期待している。


第3話「双頭の火炎獣」の陰鬱な作風にやや危惧。……宿敵・ジャンキラー登場!


 が、第3話『双頭の火炎獣』の作風にはやや危惧をおぼえた――『ウルトラマンメビウス』では「設定考証」を担当し、長年ホビー誌でも各種記事を執筆している、先の赤星同様、編集プロダクション・TARKUS(タルカス)に所属しているライター・谷崎あきら(たにさき・あきら)が本話の脚本を担当――。


 ヒカルと仲がよかったハズのレギュラー少年・渡会健太(わたらい・けんた)も実はメインヒロイン・美鈴のことが好きだったらしく、ヒカルと美鈴が常にいっしょであることが内心面白くない。で、それゆえにプロのカメラマンになるという夢も「モチベーションがあがらない」と捨て去ろうとする。


 第3話といえば『ウルトラマン80』の第3話も『泣くな初恋怪獣』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100516/p1)だったよなぁ(笑)。その題材自体はいいのだが、健太が美鈴以外の卒業生の年上の女性に恋するってえのがなぁ。フツーはその年頃であれば、今好きな美鈴以外の女性は一切眼中に入らないと思うんだけれどもなぁ。
 同じく年上の女性に対する少年の恋愛話でも、それこそ『仮面ライダーウィザード』第40話『自転車に乗りたい』の方がよほどドラマチックに描かれていたし、それがバトルのクライマックスともキチンと融合していたんだけどなぁ。


 問題はまさにそこなのである。今回のバトル場面も一応はバトルのクライマックスとドラマのクライマックスが分離しないことを意識して作劇・演出したのであろうと思われる。だが、せっかく双頭怪獣キングパンドンが燃えまくっているのに、肝心のギンガとのバトルが全然燃えない(爆)。民家のミニチュアなんか洗濯物まで飾られているほど、せっかくリアルなのになぁ。それを画面手前に配し、ヒカルがウルトライブしたケムール人がキングパンドンとのバトルで劣勢となり、倒れてそれによっかかることで臨場感も出ているのになぁ。


 でも、肝心の「バトル」が結局「人間ドラマ」そのものなんだもの(笑)。バトルのクライマックスとドラマのクライマックスを融合させるのが娯楽活劇作品の理想的な作劇だとしても、今回みたいな描き方だとやっぱり「違うだろ!」と云いたい。今回のようなバトルとドラマの融合はこれこそ悪い意味での究極の「ドラマ主導」以外の何物でもないのである。


 そして最後にギンガの第三の必殺技「ギンガセイバー」という光の剣でパンドンがいる方向に向かって大地を斬り裂いていくのはいいけれど、その途端にキングパンドンが光となって消滅していくという……
 一応はパンドンダークライブで合体している連続放火犯(!)でもあったゲスト女性の心も浄化されたことを意味させているのだろうが、敵を爽快にやっつけるカタルシスには乏(とぼ)しくなってしまうし、やや明瞭ではない抽象的なオチである。
 それも含め、美鈴に夢中なハズの健太がなぜ卒業生の年上女性に惹(ひ)かれたのか、その女性の「ダーク」な心って結局何であったのか、尺の都合でカットされたのだろうが、いろいろなことが「わかりにくい」(汗)。



 ゲスト女性の着替え場面をタロウが絶対見るまい! と背を向けつつも、顔を赤面させる演出には爆笑した。
 が、そのタロウがラストでヒカルたちのライバルになるらしい一条寺に拉致(らち)された先が、なんと一条寺の相棒ロボット・ジャンキラーの機内である!


 えっ!? ジャンキラーって、オリジナルビデオ作品『ウルトラマンゼロ外伝 キラー ザ ビートスター』(11年・バンダイビジュアル)で改心してジャンナインと名づけられ、その後はウルトラマンゼロが率いるウルティメイトフォースゼロの一員として、宇宙のワルをブッ倒していたのではなかったか!?(笑)


ヒカルの導き役、40年目のウルトラマンタロウ! 来たる映画版『ウルトラマンギンガ 劇場スペシャル』への所見!


 ヒカルの導き役としてウルトラマンタロウが起用された理由は、一般的にも人気・知名度ともに初代マンやセブンに次いで高いからだろう。
 奇しくも「円谷プロ創立50周年」である2013年は、「円谷プロ創立10周年記念作品」として製作された『ウルトラマンタロウ』放映40周年である。
 さらに『ギンガ』放映開始直前の2013年6月21日には、バンダイビジュアルから『ウルトラマンタロウ COMPLETE(コンプリート) DVD-BOX(ボックス)』(ASIN:B00BLWNH5G)が発売されることとなった。
 また、タロウがクローズアップされたことで、近年やたらと円谷プロ作品にかぎらず特撮新作情報が充実している『スポーツ報知』が発行した『円谷プロ50周年特別号』において、『タロウ』で主人公・東光太郎(ひがし・こうたろう)を演じた篠田三郎(しのだ・さぶろう)の独占インタビューが実現している。
 これらは絶妙な相乗効果を発揮し、世間の『ギンガ』への関心を高めるのに貢献(こうけん)するとさえ思える。


 ヒカルに置いてきぼりにされ「お~い、ヒカル~~!」と呼んでみたり、サンダーダランビアの人形が空から落ちてきたはずみでコケてみたり、『ギンガ』巻末のコーナー『スパークドールズ劇場』で「早く大きくなりた~い!」などと往年の名作人気アニメ『妖怪人間ベム』(68年)の名セリフ「早く人間になりたい!」のパロディを叫んだり(笑)。
 今回のタロウはヒカルの導き役としてばかりではなく、芸達者な石丸氏によってコメディリリーフとしての役割も兼ね備えており、タロウ人気をさらに上昇させることとなるであろう。



 2013年9月7日(土)から『ギンガ』の前期放映6話分の総集編に新たなエピソードを追加した映画『ウルトラマンギンガ 劇場スペシャル』が公開される。
 筆者は当初、この映画は『ギンガ』が放映されていない地域向けの措置(そち)であるとばかり思っていた。だが現実はまったく逆であり、この映画は関東・関西のほか、札幌・名古屋・岡山・福岡、つまり『ギンガ』を放映しているテレビ東京系列6局の受信エリアにある劇場にかぎって公開されるのである。その劇場数は全国でたったの19館にすぎない。


 テレビで『ギンガ』を観ることができない地域に住む者は、劇場で『ギンガ』を観ることすらかなわないのだ。
 それに該当する筆者(爆)が2005年から居住している静岡では、『ギンガ』関連玩具で最も高額商品であるバンダイ発売「DX(デラックス)ギンガスパーク」なんぞは実際、売りようがないのである。
 2013年6月28日、その「ギンガスパーク」と組み合わせて遊べる「スパークドールズ」として、従来「ウルトラヒーローシリーズ」と「ウルトラ怪獣シリーズ」の2大ブランド名で30年の長きに渡って発売され続けてきたバンダイのソフビ人形がサイズを縮小、価格も値下げしてリニューアルされた――2013年はバンダイ「ウルトラヒーローシリーズ」と「ウルトラ怪獣シリーズ」発売30周年の年でもある。これまた発売が開始されたのは、筆者の「17歳の夏」のことであった(笑)――。


 が、『ギンガ』が放映されていない静岡の玩具店では当然ながらこれらの商品の動きは鈍い。そして、リニューアル品の発売により従来品は無惨(むざん)にもそのすべてが「半額処分」のワゴンで山積みにされている。
 いまだそこに残っているのは、『ウルトラマンネクサス』後期に登場した青いタイプチェンジ形態・ウルトラマンネクサスジュネッスブルー、同作最終回に登場したネクサスの最強形態・ウルトラマンノア、『ウルトラマンマックス』にチョイ役で登場したウルトラマンゼノン……。つまり初登場以降、ろくに活躍の機会を与えられなかったウルトラマンたちが大半なのである。
 このままでは『ギンガ』直前のヒーロー・ウルトラマンゼロも彼らと同様の運命をたどることになるのではないのか? いや、そもそも今回の「スパークドールズ」ではそのゼロの「人形」自体が発売されていないのである!


 地上波テレビ放送の完全デジタル化が完了し、それらを録画した高画質の映像がいつでも家庭で楽しめる時代の「円谷プロ創立50周年記念映画」がこれなのか?……
 本来であれば、最新ヒーローであるギンガとその直前まで活躍していたゼロが共演する劇場作品『ウルトラマンギンガVSウルトラマンゼロ』などを製作し、ウルトラ兄弟のみならずM78星雲・光の国出身ではないウルトラマンたち、そしてギンガつながり(笑)で「銀河連邦」に所属する往年の円谷ヒーローたちも総登場する『仮面ライダー×スーパー戦隊 スーパーヒーロー大戦』(12年)的な百花繚乱映画をつくるべきところではあったろう。
 そうであれば先にあげた東映ビデオ発売の円谷過去作品DVDも少しは売上が増えたかもしれない。


 現在の「ウルトラ」の売上高からすれば、そこまでのものを製作することがかなり困難に近いという事情は充分に承知している。衛星放送・WOWOW(ワウワウ)で『ネオ・ウルトラQ』(13年)なども放映されたが、おそらくこれも円谷プロ主導ではなくWOWOW側主導の企画なのであろう(憶測)。



 ただし、『ウルトラマンギンガ 劇場スペシャル』の新撮部分には、歴代ウルトラ怪獣の怨霊が合体して誕生した暴君怪獣タイラントの「一部」を構成している異次元宇宙人イカルス星人が登場するという情報がある――暴君怪獣タイラントとは往年の『ウルトラマンタロウ』第40話に初登場して、『ウルトラギャラクシー大怪獣バトル NEVER ENDING ODYSSEY(ネバー・エンディング・オデッセイ)』(08年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100211/p1)や『ウルトラゼロファイト』第2部『輝きのゼロ』や『ウルトラマンサーガ』などにも再登場を果たしてきた有名な強敵怪獣である――。
 2013年8月下旬にはバンダイから「スパークドールズ」としてイカルス星人と同じくタイラントの「一部」を構成していた、どくろ怪獣レッドキング・竜巻怪獣シーゴラス・宇宙大怪獣ベムスター・殺し屋超獣バラバ・大蟹超獣キングクラブが発売される。タイラントの後頭部のツノを構成していたブラックキングはすでに発売されており、あとはイカルス星人と液汁超獣ハンザギランが発売されたら「合体」遊びが楽しめる!(笑)


 これらのことから、怪獣や宇宙人が合体してタイラントが誕生する過程を映像で観てみたい! というウルトラシリーズファン長年の願望が遂に『ギンガ』で実現する可能性も出てきた!?
 「ジュブナイルドラマ」もいいのだが、「ドラマ」や「テーマ」ではなく、怪獣や宇宙人が合体してタイラントが誕生する過程を観てみたい! そしてそんな通常編に登場する並みの怪獣とは異なるスペシャル感あふれる強敵合体怪獣が最新ウルトラマンとどのように戦うのかを観てみたい! という稚気満々な願望を、迫力のある特撮映像で実現することこそが「特撮」ジャンルというものの本質・真髄なのである。


 作品自体には好印象を感じるのに、それを取り巻く状況を思うにつけ、前途多難さを感じる『ギンガ』ではあるが、唯一見えてきた「希望」が『ギンガ』にプラスと働くことを願いつつ、幕とさせて頂く。


2013.7.26.
(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2014年準備号』(13年8月11日発行)~特撮同人誌『仮面特攻隊2014年号』(13年12月30日発行)所収『ウルトラマンギンガ』序盤評より抜粋)


『假面特攻隊2014年号』「ウルトラマンギンガ」序盤評・関係記事の縮小コピー収録一覧
・読売新聞 2013年6月12日(水) 「ウルトラマンギンガ」登場 円谷プロ50周年 高校生が主人公(同世代にも見てほしい 根岸拓哉)
・日刊スポーツ 2013年6月23日(日) ウルトラ光栄 津川雅彦初出演 来月放映「ギンガ」主人公の祖父役 「大好き特撮娯楽作」芸歴57年念願叶う
・スポーツ報知 2013年7月6日(土) ウルトラマンギンガ大特集!! タロウ東光太郎も登場!! 「円谷プロ50周年特別号」10日から発売


朝日新聞 2013年3月9日(土) beランキング ぼくらのヒーロー「ウルトラ戦士」(1位・初代マン、2位・セブン、3位・タロウ、4位・ゾフィー、5位・エース、6位・レオ、7位・母、8位・父、9位・ジャック、10位・ティガ、以下略~20位まで)
朝日新聞 2013年3月15日(金)夕刊 円谷プロ創立50周年特別上映会(4/12金午後6時半:前夜祭「快獣ブースカ」「ファイヤーマン」、4/13土と14日の1時と4時「ウルトラマン」ハイビジョンリマスターや「ウルトラゼロファイト第2部」など日替わり上映。招待のみ。読者ペア50組
・スポーツ報知 2013年5月9日(木) カリガリ君がウルトラマンとコラボ
・デイリースポーツ 2013年9月13日(金) 我らのウルトラマン ギネス「最も派生テレビシリーズが作られたテレビ番組」


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ウルトラマンギンガ』番外編「残された仲間」傑作! ~『ギンガ』総論・マイナスエネルギーを材とした『80』『ギンガ』比較

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200829/p1

ウルトラマンギンガ 劇場スペシャル ウルトラ怪獣☆ヒーロー大乱戦!』(14年)

  (近日中にUP予定!)

『劇場版ウルトラマンギンガS 決戦!ウルトラ10勇士!!』(15年) ~第2期ウルトラの「特訓」「ドラマ性」「ヒーロー共演」「連続性」も再考せよ!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200404/p1


[関連記事] ~歴代ウルトラシリーズ序盤評

ウルトラマンZ(ゼット)』(20年)序盤総括 ~セブンガー大活躍! 「手段」ではなく「目的」としての「特撮」!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200723/p1

ウルトラマンタイガ』(19年)序盤総括 ~冒頭から2010年代7大ウルトラマンが宇宙バトルする神話的カッコよさ! 各話のドラマは重めだが豪快な特撮演出が一掃!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190811/p1

ウルトラマンR/B(ルーブ)』(18年)序盤総括 ~ユルい作風。その玩具性・名乗りの是非。ウルトラ史上最強の空中戦特撮!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20180826/p1

ウルトラマンジード』(17年)序盤評 ~クライシス・インパクト! 平行宇宙のひとつが壊滅&修復! その原理とは!?

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20170819/p1

ウルトラマンX(エックス)』(15年)前半評! 5話「イージス光る時」・8話「狙われたX」・9話「われら星雲!」 ~ゼロ・マックス・闇のエージェント客演!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200405/p1

ウルトラマンギンガ』(13年)序盤評 ~低予算を逆手に取る良質ジュブナイルだが、それゆえの危惧もアリ!?

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200819/p1(当該記事)

ウルトラギャラクシー大怪獣バトル NEVER ENDING ODYSSEY』(08年)#1「レイオニクスハンター」

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20091230/p1

ウルトラギャラクシー大怪獣バトル』(07年)#1「レイオニクスハンター」

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20080427/p1

ウルトラマンメビウス』(06年)#1「運命の出逢い」 ~感激!感涙!大傑作!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060625/p1

ウルトラマンネクサス』(04年)#1「Episode.01夜襲 ―ナイトレイド―」

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20041108/p1

ウルトラマンネオス』(00年)#1「ネオス誕生」

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20120226/p2

ウルトラマンダイナ』(97年)#1「新たなる光(前編)」

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971201/p1

ウルトラマンティガ』(96年)#1「光を継ぐもの」

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19961201/p1

ウルトラマン80(エイティ)』(80年)#1「ウルトラマン先生」 ~矢的猛先生!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100502/p1

『ザ☆ウルトラマン』(79年)#1「新しいヒーローの誕生!!」

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090505/p1

ウルトラマンタロウ』(73年)#1「ウルトラの母は太陽のように」

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20071202/p1

ウルトラマンエース』(72年)#1「輝け! ウルトラ五兄弟」

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060514/p1


[関連記事]

今こそ昭和ウルトラの全遺産を活かせ! ~ドラマやテーマよりも、ウルトラ兄弟・歴代怪獣・世界や年表・児童の神話的年代記やジャンク知識収集癖へ訴求せよ! 武器や鎧・テーマパークな未来都市・2回変身や等身大バトルなど身体性の快楽も!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060415/p1

特撮意見⑤ ウルトラも敵味方でカプセル怪獣を召喚、順列組合せバトルせよ!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060412/p1


[関連記事] ~2013年度特撮作品評!

仮面ライダー鎧武/ガイム』(13年)前半総括 ~上級敵怪人は古典SFな高次存在オーバーロード!? 公私の優劣も是々非々で再検討!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20191111/p1



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