『ウルトラマンギンガ』序盤評 ~低予算を逆手に取る良質ジュブナイルだが、それゆえの危惧もアリ!?
『ウルトラマンギンガ』後半評 ~悪のウルトラ兄弟&ラスボス級怪獣グランドキング登場! だけれども!?
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ウルトラマンギンガも客演する映画『劇場版ウルトラマンタイガ ニュージェネクライマックス』(20年)が公開中記念! とカコつけて……。映画『ウルトラマンギンガ 劇場スペシャル』(13年)評を発掘アップ!
『ウルトラマンギンガ 劇場スペシャル』 ~ジュブナイルじゃない!? アイテム争奪コント劇で「見せ場」重視!
(文・久保達也)
(2013年9月15日脱稿)
筆者が近年在住する静岡県では上映がないので(爆)、公開初日の2013年9月7日(土)、JR桜木町駅前の横浜ブルク13(サーティーン)まで早朝から東海道線で足を延ばして、初回9時30分の回を鑑賞。
主人公の礼堂ヒカル(らいどう・ひかる)ら、幼なじみの仲良し高校生4人組が、なんと降星山(ふるほしやま)でスパークドールズ=怪獣人形探しに没頭(ぼっとう)!
メインヒロイン・石動美鈴(いするぎ・みすず)とレギュラー少年・渡会健太(わたらい・けんた)が見つけたのは大蟹(おおがに)超獣キングクラブ(!)の人形!
その写真を携帯電話で見せられたサブヒロイン・久野千草(くの・ちぐさ)は、
「この怪獣マジでキモい」
などとヌカす……(爆)
人形化してしまったウルトラマンタロウがヒカルと千草のチームにいたら、
「これは怪獣ではない。超獣だ!」
とフォローしてくれたであろうが(笑)。
ヒカルとタロウが存在を関知していた6体の怪獣人形を無事集める一同だが、そこに人間大サイズの異次元宇宙人イカルス星人が出現!
美鈴を人質に6体の怪獣人形をヒカルから奪い取ったイカルス星人は、それらの怪獣人形の足のウラの模様を悪の変身アイテム・ダークスパークで読み込みして、次々とダークライブ!(=巨大怪獣へと変身!)
さらに、自身の身体をもダークスパークでリードすることで、イカルス星人は6体の怪獣と合体し、暴君怪獣タイラントが誕生する!!(感涙!)
ジュブナイルですらない! 「気張り」のないアイテム争奪戦のコント劇! 「見せ場」重視のバトル!
オイオイ、いつものテレビシリーズのジュブナイルな青春ドラマはいったいどこへ行ってしもたんや!? つーか、ドラマなんか全然あらへんやないか! 毎週こんな調子でサクサクやったらええやないか!(笑)
『ウルトラマンギンガ』(13年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200819/p1)前半シリーズの最終回にあたる第6話『夢を懸(か)けた戦い』において、ヒカルたちのライバル美青年・一条寺友也(いちじょうじ・ともや)が、
「『僕の夢』は、ウルトラマンギンガを倒すこと!」
と発言したことに対してヒカルは、
「そんなことは気張らずに、笑顔で云うもんだぜ!」
と返していたが、そのセリフ、そっくりそのままテレビシリーズの『ギンガ』にお返ししたい気分である(笑)。
合体怪獣タイラントに魅(み)せられた者なら子供でも思いついてしまうような、これまでアリそうで実はなかったネタをそのまま絵にしただけの今回の映画の方が、少々肩に力が入っているような感があるテレビシリーズの『ギンガ』よりもよほど面白いということをあたらめて実感してしまったのである。
昭和ウルトラの世界観に直結した『ウルトラマンメビウス』(06年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070506/p1)のシリーズ構成・メインライターを担当しただけあって、「ウルトラの父」や「ウルトラの母」にとどまらず、映画『ウルトラマン物語(ストーリー)』(84年・松竹)に登場したタロウの幼年期の姿、通称・コタロウを登場させてみたり、「ギンガ&ジャンナイン VS 闇の巨人ティガダーク&宇宙海人バルキー星人」のタッグマッチまでをも描いた赤星政尚(あかほし・まさなお)の脚本回である先に挙げた第6話ですらも、コタロウやタッグマッチよりも友也のダークな内面の方が印象に残ってしまうほど、『ギンガ』の作風は「ドラマ主導」の面が強いように感じられる。
「円谷プロの夢」が平成ライダーとスーパー戦隊を倒すことであるならば(爆)、やはりあまり気張ることなく、もっと気楽に笑顔で主張できるような作品づくりをするべきだと考える。そのための第1段階として捉えるなら、今回の『ギンガ劇場スペシャル』は結構イイ線をいっていると個人的には思えるのだ。
その意味では、今回『劇場スペシャル』とばかりに大掛かりなミニチュアセットが組まれたり、ギンガの新たな必殺技が派手にCGで描かれるということもなく、テレビシリーズ並みの予算と規模でアクションや特撮が済まされているのも単に予算がなかったからだろうが(爆)、結果的に良い意味での「気張り」のなさの象徴として捉えてもいいかもしれない――ちなみに、オープニング映像や主題歌すらも、テレビとまったく同じである・笑――。
しかし、それでも「見せ場」はかなり充実しているように感じられるのだ。ウルトラマン映画としては前作にあたる『ウルトラマンサーガ』(12年・松竹・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20140113/p1)ももちろん悪くはないのだが、バトル・シチュエーションや特撮演出面では必ずしも負けてはいないと個人的には感じるくらいである。これはやはりドラマの流れに押しつぶされることなく、「見せ場」が「見せ場」として立派に機能していたからでもある。
そして、いつものテレビシリーズの『ギンガ』並みの特撮セットだからこそ、そこにイカルス星人(60年代)・暴君怪獣タイラント(70年代)、ウルトラマンティガ(90年代)・暗黒破壊神ダークザギ(00年代)と、まさに各世代にアピールするかのような人気キャラが続々登場することにより、相対的(笑)にスペシャルな印象が醸(かも)し出されるという側面もある。
・等身大のイカルス星人が右手からおなじみのアロー光線を発射したり!
・タイラントの猛攻にピンチに陥ったウルトラマンティガをジャンナインが救い、切断したタイラントの右腕のカマをティガがタイラント目掛けて空中高くから蹴りこんだり!
・ダークザギがあいかわらず宙に向けて吠えるようなポージングのあと、そのままラリったアクションを展開したり!
・ヒカルがティガへ、そしてギンガへと、ウルトラマンへの「二段変身」を披露したり!
さらには、いつもの降星山の周辺を飛び出して、ダークザギとギンガの超高速スピーディーな空中戦が、砂漠や溶岩が流れる火山地帯で展開されたり!――日本じゃないよな。どこまで行っとんのや・笑―― 特撮側のヒーローや怪獣キャラそれぞれに実に華(はな)が感じられる演出が用意されていたこともまた大きいのである。
ヒーローや怪獣が派手に活躍する特撮キャラと連動するように、今回の本編キャラはまるで童心に帰ったかのように怪獣人形探しに精を出し、発見してはハシャいでみたり、バトルに一喜一憂(いっきいちゆう)したりに徹しており、いわゆる「人間ドラマ」はほとんど演じてはいないのだ。そして、このことこそが変身ヒーロー作品「本来の魅力」を充実させることに大きく貢献(こうけん)していると思えるのである。
いや、今回は本編部分でさえ、イカルス星人が化けた美鈴が両腕を前に突き出しブラブラさせる独特のポージングで、いちいち語尾にベタベタな「~イカ」をつけて話してみたり、正体がバレそうになってあわてるや、まるでネコ耳コスプレのようにニセの美鈴の頭からイカルス星人の巨大な耳が露出したり、ネコ耳もといイカルス耳でバレバレなのにもかかわらずホンモノの美鈴を指して、
「こっちがニセモノ!」
とヌカすなど、深刻な人間ドラマなどで見せるのではなく、そうしたコミカルな演技で見せていく演出がなされているのである! 美鈴ちゃん、また株が大幅に上がったぞ(笑)。
合体怪獣タイラントを構成する怪獣! 初登場時はブラックキングもその一体だったのだ!?
タイラントは周知のとおり、ウルトラ兄弟に倒された怪獣たちの怨念(おんねん)が合体して誕生した怪獣である。
『ウルトラマンタロウ』(73年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20071202/p1)第40話『ウルトラ兄弟を超えてゆけ!』での初登場以来、小学館の学年誌や怪獣図鑑の類(たぐ)いにおいて、
・頭は竜巻怪獣シーゴラス
・耳は異次元宇宙人イカルス星人
・腹は宇宙大怪獣ベムスター
・腕は殺し屋怪獣バラバ
・足はどくろ怪獣レッドキング
・背中は液汁超獣ハンザギラン
・尾は大蟹超獣キングクラブ
などと、タイラントの各部を構成する怪獣たちについては、現在に至るまでこのように紹介されてきた。
しかし、いつの間にか、肝心なことが忘れ去られてしまっている。タイラントの後頭部にある巨大なツノは、用心棒怪獣ブラックキングのものではなかったのか!?
今回登場した着ぐるみにしろ、バンダイから発売されていた『ウルトラ怪獣シリーズ』のソフビ(ソフトビニール人形)にしろ、このブラックキングのツノはしっかりと造形されているのである! にもかかわらず、いつしかこれが完全に無視されるようになり、誰も語ろうとはしないのである!(笑)
本作の劇場売りパンフレットにも掲載されているように、初登場時は小学館の学年誌においても、
「角(つの)はブラックキングのものだ」
とたしかに紹介されていたのである!
だが、この記事をしっかり再録しているにもかかわらず、パンフの本文ではこの設定になんら触れておらず、本編でもブラックキングは合体はおろか、登場すらしていないのだ。リアルタイムでタイラントに出会えた世代としては、いったいいつからこうなってしまったのか、不思議でしかたがなかったのだが……
アレっ!? 先にあげた当時の学年誌の記事。よく見ると、「角はブラックキングのものだ」と紹介しているにもかかわらず、そこに掲載されている写真は「宇宙大怪獣アストロモンス」じゃねぇか!(爆)
ひょっとしたら、この学年誌編集部の凡(ぼん)ミスが原因で、タイラントの後頭部のツノはブラックキングのものであるという設定が定着しなかったのではなかろうか!?(笑)
こんな40年も前の当時の設定を克明(こくめい)に記憶している筆者からすれば、この設定が改変、というかスッカリ忘却(ぼうきゃく)されてしまっていることが残念でならない。
ちなみに、『帰ってきたウルトラマン』(71年)終盤か『ウルトラマンA(エース)』(72年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070430/p1)序盤が放映されていた当時、小学館の学年誌に、
・頭がブラックキング
・胴体がベムスター
・腕が岩石怪獣サドラ
・足が古代怪獣ツインテール
という合体怪獣が、それぞれのスチール写真をコラージュして掲載されたことがあるのだ!――着ぐるみではスーツアクターの頭が入っている、逆立ち体型のツインテールの両脚である部分が、この合体怪獣の両脚を構成しており、千草ではないがマジでキモかった(笑)――
これなぞはまさにタイラントの「原案」とも呼ぶべきものであり、やはりこうした発想は「ドラマ性」や「テーマ性」を脚本家たちに要求したTBS側の橋本洋二プロデューサーや円谷プロ側のスタッフよりも、子供たちに日々直接向かい合っていた小学館側の稚気満々(ちきまんまん)な童心を残した編集者たちのものであったのかと、今日(こんにち)の観点からしても誠に興味深く感じられる。
その小学館のオリジナル合体怪獣の中でも、重要な頭部に位置していたブラックキングが、タイラントのツノを構成する重要な要素であるのにもかかわらず、忘れ去られてしまうとは……
筆者は『ギンガ』第1話でヒカルが最初に発見したスパークドールズがブラックキングであったことを、今回の『劇場スペシャル』の伏線だとばかり思いこんでいたのに……(笑)
6体の怪獣人形を手にして得意げのイカルス星人に対し、
「おい、イカルス星人! 肝心なヤツを忘れてんじゃないのか!?」
と、ヒカルが得意げにブラックキングの人形をイカルス星人に見せびらかす!
「おっと、こりゃイカん! そんなイカしたヤツを忘れていたとは! まっ、イッカ。そいつなしでもタイラントは充分強イカも」(笑)
と、イカルス星人はそれでも6体の怪獣と合体、不完全な状態でタイラントが登場!
ブラックキングのツノがないことで、タイラントは後頭部が弱点となり、そこをヒカルが変身したウルトラマンティガがハイキックで攻めまくり、切断したカマを後頭部めがけて強烈に蹴りこむことでタイラントに勝利する!
あるいは、タイラントの弱点という観点からすれば、ティガとタイラントのバトルの最中に、
・初代ウルトラマンがレッドキング
・ウルトラセブンがイカルス星人
・ウルトラマンジャックがシーゴラス・ベムスター・ブラックキング
・ウルトラマンエースがバラバ・キングクラブ・ハンザギラン
それぞれのウルトラマンがかつての対戦相手に限定して、かつてウルトラ4兄弟がエースに超獣ブロッケンを倒す方法を伝授したように、怪獣たちの弱点をウルトラサイン(!)でヒカルに教えるのだ!
たとえ人形状態でウルトラマンたちにふだんは意識はなかろうとも、その瞬間だけは目覚めたことにすればよい。もちろんヒカルにウルトラサインは読めるはずもないから、タロウがそれらを解読してヒカルに伝える! ギンガスパークを片手に握ってさえいれば、ヒカルでもウルトラサインが解読可能になるという設定でもよい! タロウもまた「兄さんたち、無事だったんですね!」と安心する(笑)。
タイラントの弱点に次々に攻めこむことでティガが勝利する!
あの栄光のウルトラ兄弟たちがいささか変則的なかたちであっても助勢さえすれば、超低予算作品でも一点豪華主義的なスペシャル感、作品自体にサラブレッドな血統感を醸し出すこともできただろう。
まぁ、レッドキングやベムスターは着ぐるみがあるのだから、合体する前に少し暴れてほしかったような気もするのだが、キングクラブやハンザギランを新造する予算はなかっただろうから(笑)、統一をはかるためにあえて暴れなかったのだろうと好意的に解釈しておくこととする。
身体の各所に強敵怪獣たちの特徴的なパーツをまとうことで、合体怪獣にそれらの怪獣たちのパワーも宿したように我々が感じてしまうのは、冷静に考えてみれば非科学的な心理ではある。むしろ、各々(おのおの)の怪獣たちのパーツや文様などの「意匠(いしょう)」に何らかの霊的・神的・超常的なパワーを感じてしまう心性は、古代や中世ですらなくもっとはるかに古い時代の未開の原始的で呪術的な感性ですらある。しかし、人間とは良くも悪くもそのような原始人のごとき感性を失うこともまた永遠にないのだろう。
それが証拠にこの合体怪獣タイラントと同じ発想で、映画『大決戦! 超ウルトラ8兄弟』(08年・松竹・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20101223/p1)には究極合体怪獣ギガキマイラが、映画『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE(ザ・ムービー)』(09年・ワーナー・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20101224/p1)にも百体怪獣ベリュドラが登場している。
『ウルトラQ』(66年)・『ウルトラマン』(66年)・『ウルトラセブン』(67年)といった第1期ウルトラシリーズの本編美術・特撮美術・怪獣デザインなどを手掛けたことで、第1期ウルトラシリーズ至上主義者たちに神格化されてきた故・成田亨(なりた・とおる)は、ハッキリとした名指しこそ避けたものの合体怪獣タイラントのことを指したとおぼしき、既存の怪獣のパーツ・パーツが合体したようなギリシャ神話の神獣キマイラのような合体怪獣の存在は、デザインとしては邪道であるとして大いに批判をしていたものだ。
そのことで、自分のアタマで物事を考えずに先人の意見にただ屈服してそれのウケウリを繰り返すような一部の特撮マニアたちによって、このタイラントもまた実は酷評の憂き目にさらされていた時代もあったのだ(汗)。
しかし、1988年12月26日(月)から30日(金)までの冬休み期間中の5日間、TBSローカルで朝10時からの90分枠の特番で、初代『ウルトラマン』再放送2本立てプラス各種トリビア情報の特別番組『おまたせ! 一挙大公開ウルトラマン大全集』なる特別番組が放映された折り、その1コーナーで当時の平日夕方の帯番組『ウルトラ怪獣大百科』(88年・テレビ東京)の影響だろう、ロケ先の幼稚園の園庭で園児たちが「好きな怪獣は何か?」というインタビューに答えて「タイラント!」と口々に絶叫していたことがあったのだ!
これを観て、筆者がタイラントにリアルタイム(74年1月4日)で遭遇した際と今現在(88年)とでも、合体怪獣に呪術的な強敵感といったオーラを感じてしまうような感性は変わらないのだな……と強く実感したものであった。
それからでも20年もの歳月が過ぎてしまった。しかし、『ウルトラギャラクシー大怪獣バトル NEVER ENDING ODYSSEY(ネバー・エンディング・オデッセイ)』(08年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100211/p1)でライバル青年が使役(しえき)する強敵怪獣として復活を果たしたタイラントは、今度は特撮マニアたちに特に反発を受けることもなく熱烈に好意的な歓迎まで受けて(!)、その後は幾度も再登場を繰り返してみせる人気怪獣として復権を果たしたのであった!
巻末にはいつもの『スパークドールズ劇場』も! 短編映画『劇場スペシャル』の可能性!
なんと、巻末には『ギンガ』テレビシリーズ本編でもおなじみの人形劇『スパークドールズ劇場』までもが用意されていた。
そして、『ウルトラマンギンガ』放映中断ブランク後の第7話からの後半シリーズの放映が2013年11月20日に再開することや、映画『ウルトラマンギンガ 劇場スペシャル』第2弾が来年2014年3月に公開されることを、タロウや怪獣人形たちがしっかりと宣伝していたのであった(笑)。
しかし、クリスマス商戦合わせの12月いっぱいでの後半シリーズ終了後、『劇場スペシャル』第2弾の公開まで3ヶ月近くもブランクがあるというのはどうなのか? 『新ウルトラマン列伝』での『ギンガ』総集編の放映程度では世間や子供たちの関心を持続させるには弱いと思えてならない。
今回の『劇場スペシャル』第1弾のような映画が超低予算で時間をかけなくとも製作可能であることが判明した以上は、近年の平成ライダーシリーズの劇場版のように数ヶ月に1本のペースで短編映画を公開するようなことはできないものなのか? 幼児たちの集中力の限界という観点からしてもそうだが、ブランクを空けて大作長編をつくるよりも、今回のような短編映画を定期的に連打していった方が世間や子供たちの注目度も高いだろう。
もっとも、『列伝』放送局の少なさと同様に、映画を流してくれる劇場の少なさという問題もあるのだが(汗)、それが改善されるのもまた今回の興行成績次第といったところか?
『ギンガ』前半おさらいと、ソフビ人形ラインナップに見る『ギンガ』後半への期待!
そのためにも、『ギンガ』後半シリーズには前半シリーズからの大幅な路線変更を望みたいところだ――もう撮影自体は終わっているのだろうが・汗――。
第3話『双頭の火炎獣』もそうだったが、第4話『アイドルはラゴン』もまたバトルの中に悪い意味で「人間ドラマ」を持ちこみすぎてしまっていた。いくら悪意はなかったとはいえ、ドタキャンしたアイドルの代理として美鈴がグラビア撮影に応じたことは、アイドル志望の千草を傷つけるには充分すぎるものであり、それに目をつけたバルキー星人によって千草が海底原人ラゴンと化す流れ自体はアリだとしても――何気にけっこうヘビーで残酷な展開だったとも思うが・汗――、特撮怪獣バトルの方はそれまでの展開を断ち切って一転して壮快にやらないとイケナイのでは? それまでの本編ドラマのノリのままでバトルを展開するなよ(笑)。
どうせなら、『タロウ』第48話『日本の童謡から 怪獣ひなまつり』でタロウが酔っぱらい怪獣ベロンにそうしたように、
「目を覚ませ、千草!」
と、ギンガがラゴンにバケツの水をぶっかけるとか(笑)、コミカルなバトルで中和すればよかったのに……
このあとに、悪のロボット・ジャンキラーがギンガを徹底的に砲撃し、飛行形態に変型する派手な見せ場の場面がなかったら、ちょっと第4話はマジでキツかったぞ。初期編でやや陰鬱な題材を連続で列挙させたら、やはりお客さんが逃げてしまう危険性が高いと思えてならないのだ。
あと、正義の巨大ロボット・ジャンナインが、本作『ギンガ』では当初の悪役姿であるジャンキラーとして再登場したことには、筆者は『ギンガ』序盤評(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200819/p1)の原稿で苦言を呈してしまった。
しかし、ジャンナインが初登場したオリジナルビデオ作品『ウルトラマンゼロ外伝 キラー ザ ビートスター』(11年・バンダイビジュアル)において、ジャンキラーがウルトラマンゼロが率いるウルティメイトフォースゼロのメンバーたちに説得されて改心してジャンナインとなった展開を思えば、『ギンガ』でもそれが踏襲(とうしゅう)されるであろうことは容易に予測されたワケであり……。浅慮を恥じるばかりである(汗)。
当初はイヤなイヤなイヤなヤツであったものの、ヒカルに夢を持つことのすばらしさを教えられ、心が揺れ動くこととなった友也が操るメカとしては、前例踏襲主義からもジャンナインほどふさわしいものはない!(笑)
単純にウルトラマンギンガとジャンナインが揃い踏みする姿を見ても、かねてから防衛組織にもロボットを装備させろと主張していた筆者としてはやはり感慨深いワケだ。
バンダイのソフビ『スパークドールズ ウルトラ怪獣500』では、2013年9月上旬に暗殺宇宙人ナックル星人・グレイが発売されており、『ギンガ』前半レギュラーのバルキー星人と交代して、このナックル星人が後半シリーズに登場するレギュラー悪となるようだ。
また、2013年10月発売分のラインナップの中には、往年の『ウルトラマンタロウ』(73年)に登場したエフェクト宇宙人ミラクル星人(!)や、『ウルトラマンレオ』(74年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090405/p1)に登場した宇宙悪霊アクマニヤ星人(!)など、第1期ウルトラシリーズ至上主義者たちには黙殺されてきたけど、昭和の全ウルトラシリーズを等しく愛してきたマニアたちにとっては中堅どころではあった、驚愕(きょうがく)ものの怪獣キャラクターたちが含まれている。これらの怪獣たちが『ギンガ』後半シリーズにも登場することを期待したいものだ。
さらに、2013年11月には映画『ウルトラマン物語』で宿敵を務めたボリューミーな怪獣・グランドキングの強化形態とおぼしき超合体怪獣スーパーグランドキング(!!)が通常の倍の定価というスペシャル物件扱いで発売されるのだとか!
今回の『劇場スペシャル』の感動ふたたび! となることを期待しつつ、今回はこれにて幕とさせていただく。
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