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ウルトラマン80 27話「白い悪魔の恐怖」 フジモリ・イケダ隊員登場〜怪奇編!

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『ウルトラマン80』全話評 〜全記事見出し一覧


第27話『白い悪魔の恐怖』

泡星人アルゴ星人登場

(作・南川竜 監督・外山徹 特撮監督・高野宏一 放映日・80年10月1日)
(視聴率:関東6.4% 中部13.1% 関西12.0%)


(文・内山和正)
(1999年執筆)


 以前、『ウルトラマンダイナ』24話「湖の吸血鬼」評(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971208/p1)で記した通り、『ウルトラセブン』(67年)2話「緑の恐怖」のワイアール星人や7話「宇宙囚人303」のキュラソ星人が深夜の街や家屋に侵入してきて人々を襲ったように、第1期ウルトラシリーズは子供時代の筆者に、怪獣ものとしてだけでなくホラー(恐怖)もの的な印象も時折与えていた。


 深夜の住宅街にナゾのうごめく白い大きな泡(あわ)がマンホールや側溝から出現して地を這って、酔っ払いで千鳥足のサラリーマンや車でのデート帰りのカップルを襲い、服を残して溶かしてしまうところから始まるこの回は、第1期ウルトラシリーズのある種の回を思わせる怖(こわ)いムードがある。
 ただこの泡が整髪用の泡などを露骨に思わせるものであることが恐さを弱めている。(整髪料自体は80年代を通じて普及したものであり、80年当時だとあまり一般的ではなかったとも記憶するが……)


 高等知能を持つ生物の精神(知性)を食べる宇宙人という設定も怖い。
 夜間に住宅地をセンサーを持ってパトロールに出た防衛組織・UGMの城野エミ(じょうの・えみ)隊員が、住人が泡によってすでに溶かされていた家に入ってしまい、カーテンのうしろや勝手口に隠れていた泡に襲(おそ)われて、庭や玄関にまで泡が出現して逃げ場を失うところもスリリング。


 第1期ウルトラの脚本を意外と多く手がけている南川竜氏ひさびさの脚本である。


・『ウルトラQ』20話(66年)「海底原人ラゴン」、
・初代『ウルトラマン』(66年)4話「大爆発五秒前」(ラゴンの逆襲編)、7話「バラージの青い石」、18話「遊星から来た兄弟」、19話「悪魔はふたたび」、29話「地底への挑戦」、
・『ウルトラセブン』(67年)19話「プロジェクト・ブルー」、23話「明日を捜せ」


を、脚本や共同脚本で参画。その正体は東宝野長瀬三摩地(のながせ・さまじ)監督。


・『ウルトラQ』5話「ペギラが来た!」、11話「バルンガ」、14話「東京氷河期」、16話「ガラモンの逆襲」、20話「海底原人ラゴン」、23話「南海の怒り」、24話「ゴーガの像」、
・『ウルトラマン』4話「大爆発五秒前」、6話「沿岸警備命令」、7話「バラージの青い石」、9話「電光石火作戦」、18話「遊星から来た兄弟」、19話「悪魔はふたたび」、28話「人間標本5・6」、29話「地底への挑戦」、
・『ウルトラセブン』2話「緑の恐怖」、3話「湖のひみつ」、19話「プロジェクト・ブルー」、20話「地震源X(エックス)を倒せ」、23話「明日を捜せ」、32話「散歩する惑星」、36話「必殺の0.1秒」を担当。


 従来の作家性・テーマ至上主義的な特撮評論ではあまり語られてこなかった御仁であるが、監督としてはドロくさい人間ドラマよりも怪奇事件の不可思議や攻防劇をカラリと乾いた筆致で描くエンターテイメント志向やホラー志向の作品を手懸けている。


 そのせいか、木星近辺に3年間いて宇宙人とも遭遇してその宇宙人から各種の宇宙人のデータを得ていたこともある(!?)という、地球防衛軍の宇宙艇で1週間前に地球へ帰還したばかりだという科学者・アオヤマ博士に宇宙人が乗り移っていたという“身近な侵略者”ものである。


 円谷プロの巨大ヒーロー『ファイヤーマン』(73年)の防衛組織・SAF(エス・エー・エフ)のクールで無骨な頼れる海野軍八(うんの・ぐんぱち)隊長役でもおなじみ、今でもご活躍されている俳優・睦五郎(むつ・ごろう)が演じる、宇宙生物学でノーベル賞も受賞したというアオヤマ博士が無表情であり露骨に怪しくとも、その怪しさも含めて恐い気がする(が、このあたりは子供時代に何か類似した作品を見せられて恐かった記憶がオーバーラップしており、筆者個人が過剰に怖がっているだけかもしれない)。


 城野エミ隊員の父・城野博士が15話「悪魔博士の実験室」(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100808/p1)以来ひさしぶりに登場。二本撮りのせいだろう(連続テレビドラマは30分ものでも1時間ものでも、たいてい2話分を1班体制でまとめ撮りする)、次回28話「渡り鳥怪獣の子守歌」にもひきつづいて出演する。


 博士に宇宙人が乗り移っていること自体はパターン的でも、前半の防衛組織UGMの司令室シーンでオオヤマキャップ(隊長)と城野博士との会話で提示された


・被害者の衣服に付着していたシミが地球以外の生物の体液
・体液から見ると、液体と気体の中間のような生物
地球防衛軍以外の宇宙艇が地球に接近した事実はない
地球防衛軍の宇宙艇が帰還した事実はある


 などの超常的な事実が、クールでSF的な合理性で推論されて語られていくのも、それまでのホラーものに加えてSFもの的な興趣も加えていて魅力的だ。 


 “宇宙艇の外壁に取り付いてきたのなら大気圏に突入するときの摩擦の超高熱で、普通の生物であれば溶けぬはずはないのに星人はどうやって侵入したのか?”


 との城野博士の疑問に、青山博士の回想で泡が宇宙艇内の操縦席の床にどういう理屈かその微細な分子の隙間からか入り込み、エイリアン自身にもあの泡は自身にとっての宇宙服のようなものだと発言させて、十全ではなくともSF的な回答を与えていたことには驚いた(考えてみれば当たり前の作劇的配慮だが、このへんをなおざりにしたジャンル作品の方が当時は多かったので)。


 正体不明の存在に対して、マスコミも注目するアオヤマ博士がUGM基地に招聘(しょうへい)されて、彼がおそらくフェイントするため真偽を半々にまじえてだろう、エイリアンの正体だと推測されるアルゴ星人のことを語る。


・アルゴ星は100万年前に死滅して、縮小してブラックホール化したこと
炭酸ガス二酸化炭素)を探して、宇宙をさまよっているということ
・高等生物の進化の終局点は、実体のない想念だけの生物になり、アルゴ星人はその過程にある生物なのだろうということ(名作古典SF『幼年期の終り』(53年)パターンだ!)
・アルゴ星人は平和を愛し、体液とは別に白い泡はまた別ものであり、異なるエイリアンかもしれないこと


 対する正体を隠した宇宙人であるウルトラマン80(エイティ)こと主人公・矢的猛(やまと・たけし)隊員が、本作では頻出するパターンだが、アルゴ星人が平和を愛する宇宙人ではなくエゴイスティックな星人であることを知っていて疑問をいだくあたりも、『80』という作品の基本設定を活かしていてよい。


 このへんにも先のオオヤマと城野博士の議論と同様の味わいがあり、巨大な質量を持つ恒星ならぬ小さな惑星がその死によりブラックホール化するという話だけは科学的ではない点を除けば、充分に古典的なSF風味がある。


 アオヤマ博士の挙動や人柄に疑問をいだいた城野博士やオオヤマキャップ。それにUGM広報班のセラが取ったフラッシュ写真の影が決め手となるなど伏線も活かしつつ、アオヤマ博士の洋館風の邸宅へ矢的が派遣される。
 そこにいた意外な助手やそこで明かされる真実と、矢的の正体を知っているアルゴ星人の人格と、それとは別のアオヤマ博士の人格。


 その後も矢的が機械的な装置で囚われの身となって変身できなくなったり、アルゴ星人が細身で赤身の巨大星人として姿を現し、ひさしぶりにUGMの宇宙戦艦スペースマミーでいつもは司令室に陣取るキャップや城野隊員も出撃したり、マミー内部から戦闘機を出撃させるバンクフィルムを使用したり、戦闘機が撃墜されても脱出ではなく不時着させたり、ラストの被害者たちの予定調和ではない去就など、いちいち展開に変化球を付けて小さな驚きを視聴者に与えて片時も飽きさせない。


 本編班・特撮班ともに、白い泡を用いた恐怖演出は、相当に手間と時間がかかったであろうと思われるが、未明の高層ビルまでもが全面、泡に包まれてしまうシーンなどは凄い。



 今回UGMの3期入隊隊員であるフジモリ(背の高い方)と6期のイケダ(少し愛嬌のある方)が赴任。
 この時点ではふたりとも精悍なイメージ。この段階でキャラクター作りが充分に行なわれていれば、ハラダやタジマと異なり人物像も明確になってよかっただろうが、既存のレギュラーだけいれば充分なドラマ作りとなっており残念。


 もしかすると脚本段階ではまだハラダ・タジマらの登場回で急遽、撮影現場で新人ふたりが廊下でUGM気象班のユリ子と出会うところが付け足されたのかもしれないが。


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2000年号』(99年12月26日発行)『ウルトラマン80』大特集・合評8「ウルトラマン80全話評」より分載抜粋)



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