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ウルトラマン80 42話「さすが! 観音さまは強かった!」 〜児童編終了

(「さすが!観音様は強かった!」という表記は間違い。「様」ではなく「さま」ですよ・笑)
ファミリー劇場ウルトラマンエイティ』放映記念「全話評」連動連載!)


『ウルトラマン80』全話評 〜全記事見出し一覧

第42話『さすが! 観音さまは強かった!』 〜観音像に宿る信仰エネルギー照射! 児童編終了!

ムチ腕怪獣ズラスイマー登場

(作・石堂淑朗 監督・東條昭平 特撮監督・佐川和夫 放映日・81年1月28日)
(視聴率:関東8.6% 中部12.0% 関西12.5%)


(文・久保達也)
(2010年11月執筆)


 江戸時代に地震で埋もれた千両箱を入手しようとする二人連れが、特定した場所にそびえる観音像もろともダイナマイトで爆破したところ、封印されていたムチ腕怪獣ズラスイマーが出現、苦戦したエイティは観音さまの力を借りてズラスイマーを再び封印する。


 たったこれだけの話である。正直テーマもドラマらしいドラマもほとんどない。第1期ウルトラ至上主義者であれば目もくれない話であろう(笑)。
 しかしながら、あまたの変身ヒーロー作品の大半の話は、「たったそれだけの話」を、いかに魅力的な絵で視聴者をひきつけるかを命題にしているのだ。なにもウルトラだけを特別視する必要はないのである。


 ナレーションで説明される「人相の悪い二人連れ」(笑)である武田と大林が狙うのは、江戸時代の大泥棒・浜野真砂衛門(はまの・まさごえもん)が逃走中に栃木県の大谷町(おおやまち)で穴に投げこんだとされる千両箱なのだが、わざわざこれの回想場面が撮られているのである!
 真砂衛門という名が示す通り、モデルになったと思われる戦国時代末期の豊臣秀吉の時代の大泥棒・石川五右衛門(いしかわ・ごえもん)そのままの風体(ふうてい)で描かれている(『ルパン三世』(71年)の方の五右衛門の風体じゃないよ)。
 その着物がラメが入った銀地に黒のストライプという、泥棒にしては実に派手な衣装(笑・背中にも赤い字で何やら書かれているのだが、映像では識別不能)。ナイトシーンに映(は)えるためなのだろうけど。


 「御用だ! 御用だ!」なんて捕物(とりもの)のあと、真砂衛門は大谷町で採掘される大谷石を膝の上に積み重ねられるという過酷な取り調べを受けるのだが、そのとき巨大な地震が発生!
 幕末の1855年(安政2年)10月2日、関東地方を襲った安政の大地震のために、真砂衛門が穴に投げこんだ千両箱は地底深く埋もれてしまったという。
 こうした史実を大胆に組みこんだ虚実ごちゃ混ぜの世界観こそ、かつて講談社少年マガジン』巻頭のカラーグラビアにおいて、故・大伴昌司(おおとも・しょうじ)が展開した手法であり、少年たちの胸を最もときめかす手法であるのだ!


 その安政の大地震の特撮場面はオープンセットに組まれた見上げるような巨大な岩山が切り崩され(植えられた樹木も抜け、バサバサと落ちていく!)、大谷石のミニチュアが積まれた地面が陥没する一連の場面など、迫力満点の本物にしか見えないような巨大感あふれる見事な映像に仕上がり、この伝説に説得力を増大させている!
 セリフやナレーションのみで終わらせず、導入部でちゃんと映像で解説したことは敬服に値する!


 今回の柱となる巨大観音が、大谷町に実際にそびえる平和観音像であることも、安政の大地震同様に物語に説得力を与えている(そもそもこの手の作品では東京やタイアップの遠方ロケ以外は架空の町が設定されることが多いものだ)。
 実物の観音像をロングで撮らえ、その手前で武田や大林、ゲスト主役の岩水信夫(いわみず・のぶお)少年を演技させることで、観音像の巨大感が的確に表現されている。


 それにしても、今回のゲスト主役が毎日観音像に願掛けをする信心深い少年だから信夫、前回の第41話『君はゼロ戦怪鳥を見たくないかい?』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20110205/p1)のゲスト主役がゼロ戦おたく少年だから武夫とは、あまりにもキャラに忠実なネーミングである! さすがは石堂大先生である!


信夫「観音さま、ぼくは倉田まり子ちゃんと結婚したいのです」


 ランドセル(なにやらステッカーらしきものが貼られている・笑)を背負う小学生ながら、信夫はアイドル歌手の倉田まり子の大ファンであり、彼女との結婚を果たせるよう、観音様に毎日ひたすら願い続けていたのである(笑)。
 私事で恐縮だが、筆者も小学4年生のころ、当時『木綿のハンカチーフ』や『九月の雨』をヒットさせていた歌手の太田裕美(おおた・ひろみ)と結婚したいと思っていたが(笑)、そういう高望みばかりしているから、いまだに独身だったりする(爆)。
 ちなみに若い人は知らないだろうが、倉田まり子は当時実在していた「本物の」アイドルである。安政の大地震に大谷町の平和観音に倉田まり子と、ここまで虚実ごちゃ混ぜが徹底しているのも珍しい!


 倉田まり子が微笑むポスターの前にミニチュアの白い観音像が飾られている(前回の武夫と両極端だが、本当に変なガキどもだ・笑)ほど、信心深い信夫であったが、眠っている彼の耳にお経(きょう)を唱えるような声が聞こえてくる……
 同じ石堂大先生の作品である『ウルトラマンタロウ』(73年)第14話『タロウの首がすっ飛んだ!』(タイトルが問題視されたのか、90年のTBS土曜早朝6時の再放送ではこの回は飛ばされていた)を思わせる演出だが、岩水家の飼い猫なのか、階段の途中でたたずむ猫が経の合間に鳴き声をあげるのも実にいい雰囲気を醸(かも)し出している!(個人的に猫好きなこともあるが)。


 信夫は観音様の夢を見ていた(前回の武夫は「ブルンブルン」というゼロ戦のプロペラ音を寝言にしていたっけ・笑)。
 そのイメージは赤い背景の前で、ミニチュアで再現された観音像が信夫になにやら訴えかけているというものであった!
 おもわず観音像のもとへと走る信夫。
 この場面、ミニチュアの平和観音の足元に信夫を合成している。ロケで済ませられそうなものなのだが、ナイトシーンのため、子役を深夜に労働させられない労働基準法かライティング(照明)などの問題からのやむなくの処理なのであろう。観音像の出来のよさもあり、これも味わい深い演出である!


 千両箱のありかを調査し続ける武田と大林。カラスの鳴き声が響き渡る荒涼とした石切場でたき火をし、インスタントラーメンを食べていた。
 前話で「♪カ〜ラ〜ス〜、なぜ鳴くの〜、カラスの勝手でしょ〜」と歌われたことにより、こんな殺風景な場所で、あるかどうかもわからない千両箱を捜し続ける武田と大林が、まるで「俺たちの勝手だろ!」とでも云っているようであり、カラスの鳴き声の使用は実に効果的である(笑)。


大林「あ〜あ、体じゅうインスタントラーメンでいっぱいだ……」(笑)


武田「うるせえっ! そのうちビフテキでいっぱいにしてやる!」(笑)


 その会話に続き、岩水家の食卓に大谷町名物の山菜丼(さんさいどんぶり)とかんぴょう汁(地元の特産物まで登場! 虚実ごちゃ混ぜを徹底!)があがるという演出が、武田と大林の粗末な食事風景とあまりに対極的でなんとも素敵!


 ちなみに武田と大林が信夫と出会う場面では二人はみかんを食べており(ホントにまともな食事をしていない・笑)、武田がみかんの皮を地面に捨てたことで、


信夫「おじさん、公衆道徳守らなきゃダメじゃないか!」


 と信夫に注意されてしまうのだが、今回はやたらと食う場面が多い。
 前回の第41話でも、UGMの作戦室で一同が菓子を食べながら武夫のことを話していたが、ホームドラマで視聴者が最も好んで見るのは食事の場面であると何かで読んだことがある。ひょっとして低迷していた視聴率対策だったのか?(笑)


 大谷町の地磁気の乱れを感知したUGMはイトウチーフと矢的を現地に派遣、二人は岩水家に泊まりこんで調査をすることになる。


矢的「大谷石っていうのは大昔の火山の爆発で、その灰が何千万年もしているうちに固まってできたものでしょ? そういう灰がどうして地磁気の変化と関係あるのか、わかんないんですよ。地磁気は少なくとも、金属と関係なくっちゃね」


 今回は神がかった話であるため、少しでも疑似科学性を持たせようと語らせたセリフであるようだが(史実、実在の町、当時活躍していたアイドルと、やたらと現実の世界を持ちこんだ理由も、神がかった話とバランスをとるためであろう)、寝床でそんな話を聞かされたイトウチーフは大きなイビキをたてて寝てしまう!(笑)
 やはり今回も、イトウチーフが「ボケ」役であることが徹底されている!(爆)


 そんなイトウチーフにあきれた矢的は自分も眠りにつくが、そこで不思議な夢を見る。なんと平和観音が目から涙を流し、矢的になにかを訴えかけているのだ!
 ミニチュアの観音の目から水滴がしたたり落ちる仕掛けもすごいが、観音の顔の左半分に緑色の照明が照らされるのも神々(こうごう)しさと不気味さを兼ね備え、なんとも深みを増している!


 夢から醒(さ)めた矢的は信夫も同じ夢を見たことを知り、二人で平和観音の様子を見に行く。
 夜空にそびえるミニチュア観音の足元に矢的と信夫が合成されたカットが目をひくが、矢的がウルトラアイで平和観音を透視――『ウルトラセブン』(67年)のセブンこと主人公モロボシ・ダンの透視場面のように、両目に星が光るのを踏襲! ちなみに製作第2話『緑の恐怖』の透視場面では、ダンの白目の部分が発光し、瞳が猫の目のように青く光るという演出であった――するや、武田と大林がダイナマイトを仕掛ける様子が観音像の足元に合成される描写も絶妙である!


 遂にダイナマイトが爆発! 轟音(ごうおん)とともに平和観音は大地に倒れ伏してしまった!
 そしてその跡地の底から、ムチ腕怪獣ズラスイマーが軽快にジャンプ(!)して地上に出現する!



 「やがて怪獣デザインの募集が行われました。募集告知は番組の予告編後に、青地に白文字で宛先を表示とアナウンスという地味なものでした。
 「これだ」と思ったと共に、怪獣好きの自分に対する、あるひと区切りだなと思い、ハガキに30〜40の怪獣の絵を描きなぐっては次々送りました。デザインに関して苦労というのはなくて、ペンを走らせれば自然に怪獣の絵になっていくのです。子供の頃から刷りこまれたものなのでしょう。募集告知期間は1〜2ヶ月くらいだったと思います。


 当選の知らせはある夕方、再放送の『ミラーマン』(71年・円谷プロ フジテレビ)を観ているときでした。プロデューサー・満田かずほさんから直々(じきじき)にお電話を頂き、「今日の『80』の放送で発表がある」とのお言葉を頂戴しました。ウルトラマンのデータベースなどを見れば、必ずその名前を見ることができる、あの満田監督から! 本当に驚きました。なんか嬉し恥ずかしかったことを憶えています。


 実際に着ぐるみとなり、登場したズラスイマーは正直滑稽(こっけい)な印象を覚えました。視聴者でもある僕に気を使ってもらったのか、凄く間抜けなフレンドリーな怪獣で、最後も殺されずに地底に帰っていきました。初代ゴジラの恐怖感が好きだった僕としては、正直少しもの足りなかったですが……でも自分が考えたものが実際にウルトラマンと戦った、というのは凄く嬉しかったです。製作に関わって頂いたスタッフの方々のことを考えると、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。


 ズラスイマーという名前ですが、これは意味は後づけで、〈ズラ〉は「〜ズラ」という聞いたことのあるどこかの方言、それと〈水魔〉を合わせたものです。実際には地底怪獣として登場しましたが……。今パソコンで検索してみると「変な名前の怪獣」ランキングに入ってたりして、複雑な気分です。


 賞品は宇宙船(スペースマミー)の超合金(筆者注・正式な商品名はポピー(現・バンダイ)の「ポピニカ」でマシンやメカ玩具の合金もののブランド。ポピーの「超合金」は人型ロボットの合金玩具にネーミングされたブランド。ただし当時のカタログでは裏表で両者が紹介されていたり玩具屋でも隣接して陳列されていたので同系列と考えてよい)と子供用ウルトラマン自転車(筆者注・ミヤタ自転車製)。さすがに自転車には困りました。当時既に中学ですからね。記念に宇宙船もらえたらラッキーぐらいに思っていたもので……自転車はずっと物置に保管してました」


 (「怪獣デザイン募集を振り返って」新保知健・『君はウルトラマン80を愛しているか』)



 ズラスイマーは80年9月に番組内で募集した「あなたの考えた怪獣の絵」(筆者の弟も応募していた(笑)。〜編註:当時まだ小学生だった弊ブログ主宰者である当方も応募していた!(笑) でも募集は8月夏休みだった気がするなぁ・汗)の最優秀作品を元にデザインされたものである。
 原案の新保氏によれば〈水魔〉のイメージだったそうだが、実際には顔がキツネ――『ウルトラマンタロウ』第15話『青い狐火(きつねび)の少女』に登場した狐火怪獣ミエゴンくらいのもので、昔話や童話では悪役として登場することが多いものの、意外に怪獣・怪人のモチーフにされることが少ない動物である――、背中がハリネズミ、左腕のムチがムカデ、頭部の触角が蛇という、むしろ地上の動物の合成怪獣といった趣(おもむき)の派手なデザインに仕上がっている。
 背中全体やムチに生えるトゲのケバケバしさや、全身濃い青に赤い腹、ムチのトゲのオレンジといったカラーリングは『ウルトラマンA(エース)』(72年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070430/p1)に登場した超獣たちを彷彿(ほうふつ)とさせ、全身のシルエットや配色は『タロウ』第1話『ウルトラの母は太陽のように』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20071202/p1)に登場した宇宙大怪獣アストロモンスのような趣も感じられる。
 ちなみにズラスイマー出現からエイティとの戦いを見守っていた地元の古老は、


古老「エイティもだめじゃろう。魔物を退治できるのは神か仏のお力だけじゃ!」


 と語っており、「水魔」ではないものの、「魔物」としての威容は十分に誇っており、新保氏のイメージを見事に具現化した魅力的な造形であるかと思える。
 なお、鳴き声は『ウルトラマン』(66年)第11話『宇宙から来た暴れん坊』に登場した脳波怪獣ギャンゴや、第22話『地上破壊工作』に登場した地底怪獣テレスドンなどに使用された定番のものを流用している。


 地上に出現したズラスイマーは石切場に積まれた大谷石に蹴りを入れるが、あまりの堅さに悲鳴をあげ、さらにはずみで宙に飛んだ石が頭にブチ当たって七転八倒(笑)。
 遂に石堂大先生、怪獣までをもボケさせた(笑)。ただムキになってズラスイマーが両腕で大谷石をひっかき回した際、白い粉塵(ふんじん)が巻き上がる描写は芸コマだ!


 怪獣出現をキャッチしたUGMは現地に出動! なんと今回はオオヤマキャップ(隊長)自ら戦闘機スカイハイヤーに搭乗! フジモリ・イケダは戦闘機シルバーガルで急行する!
 そういえば第39話『ボクは怪獣だーい』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20110122/p1)・第40話『山からすもう小僧がやって来た』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20110129/p1)・第41話『君はゼロ戦怪鳥を見たくないかい?』はUGMのメカが活躍する場面すら描かれなかった! それを3週も続けたらやっぱダメでしょう(笑)。


フジモリ「キャップ、久しぶりの出動、操縦の方は大丈夫ですか?」


オオヤマ「バカにするな」


 だがフジモリが心配した通り、オオヤマがふと気づいたときには眼前に岩山が! やはりオオヤマキャップ、今回もボケ役である(爆)。
 しかしスカイハイヤーの操縦席からの山が迫る主観カット、そして手前で急上昇を遂げるスカイハイヤーの操演の妙技! いつもながらの大迫力です!


オオヤマ「フジモリ、火炎発射!」
フジモリ「了解!」


 ズラスイマーに火炎を浴びせるシルバーガル! と云いたいところなのだが、実はこの場面でシルバーガルの機体下部から放射されているのは、火炎というよりバチバチとした花火みたいなものなのである。
 これはまるで『ウルトラマンA』第18話『鳩を返せ!』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060907/p1)で異次元人ヤプールが大鳩超獣ブラックピジョンに対し、


ヤプール「光線だ! 光線を吐くんだぁ〜!」


 と命じたにもかかわらず、なぜかブラックピジョンが口から火炎を吐いてしまった(笑)のと同様、現場での連絡がうまくいっていなかったケアレスミスかと思われる。


 ズラスイマーは火山の中でも生きていられるほど熱に強いという設定であり、花火攻撃(笑)ではどうにもならず、今度はスカイハイヤーから大量の水が放射される!(機体下部からスプリンクラーが飛び出す!)
 この場面、ズラスイマーの身体からはもとより、なんと水が流れた大地からも大量の水蒸気が立ち昇るという演出がなされており、ズラスイマーがいかに体内に熱を帯びているかが最大限に表現されているのである!


 怒ったズラスイマーによってシルバーガルは撃墜! 地上で見守っていた矢的はエイティに変身する!
 エイティ、右足で、そして左足でズラスイマーの赤い腹に連続キック!
 さらにジャンプするや、両足でズラスイマーの首をはさみこんで大地にたたきつける!


 倒れたズラスイマーがフィルムの逆回転で起き上がる描写も絶妙!
 エイティ、ズラスイマーに足払いをかけて大地にたたき伏せ、前転してズラスイマーの背に乗っかり、右手、そして左手で連続チョップ!
 さらにズラスイマーの首をつかんで大地にたたきつけ、チョップの連打!


 カメラは終始低い位置からひきぎみに撮られ、手前に植えられた樹木、石切場の重機などのミニチュアが配置されているのが臨場感満点!
 そればかりか、なんと石切場の小屋の中からの主観で両者の激闘を撮らえているという、驚くべきカットまである!


 ズラスイマー、左腕のムカデ状のムチでエイティの首を締めて振り回し、さらにはエイティを宙にブン投げる!
 さらにエイティをはがい締め! エイティの胸中央のカラータイマーが点滅をはじめる!


 見守っていたイトウチーフや信夫をはじめとする住民たちに平和観音の力を借りるよう示唆(しさ)されたエイティは、ズラスイマーのムチを振りほどき、側転して平和観音のもとに向かおうとするが、ズラスイマーはそうはさせじと、エイティの胴体をムチでからめとった!


 この場面、


・エイティとズラスイマーの足元のアップ、
・見守る住民たちの目線で撮らえたかのような、倒れた平和観音の顔を手前に配置した両者の激闘、
・ズラスイマーの目線で撮らえたかのような、ムチで縛りあげられながらも必死に観音像に向かうエイティの背面、
・左腕のムチを前に突き出したズラスイマーの上半身のアップ、


 といったカットを数回づつ交錯させるといった実に凝(こ)った演出であり、緊迫感がおおいに盛り上がる!


 全身から緑色の電撃をズラスイマーに向かってほと走らせ、遂にムチから解放されたエイティは倒れていた観音像を起き上がらせた!


 そして観音像からまばゆいばかりの柔らかい優しい黄色い後光がズラスイマーに放たれる!


 ズラスイマーの全身が青い渦に覆われ――その周囲では昇天していくのを表現するかのように青い星が舞っている! こうしたマンガチックな光学合成は昭和ウルトラでは珍しい!――、その姿が地面の底に封印されて消滅するや、天空から白・黄・ピンクといった美しい菊の花が舞い散った!
 エイティはそれを台座にして平和観音を鎮座させ、空の彼方に飛び去っていった。



 ズラスイマーも、千両箱を狙う武田と大林が平和観音のことすら顧(かえり)みずにダイナマイトを爆発させなければ封印が解かれることのなかった怪獣であり、「怪獣も結局は人間が呼び出したものである」という石堂大先生のスタンスはここでも見事に貫かれていたが、エイティと派手に「ケンカ」をしてくれたことで、かろうじて「怪獣としてはダメな奴」には終わっていなかったことは幸いであった。


 今回と前回の第41話は、ウルトラにはかなり久々の登板である東條監督の凝りに凝った演出の妙にも注目するべきであろう。
 なんせその前は『ウルトラマンレオ』(74年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090405/p1)第47話『恐怖の円盤生物シリーズ! 悪魔の星くずを集める少女』なのだから。それにしてもあまりにも両極端な作風だよなあ(笑)。
 東條監督は以後、東映に活躍の舞台を移し、『太陽戦隊サンバルカン』(81年)〜『超力(ちょうりき)戦隊オーレンジャー』(95年)までのスーパー戦隊シリーズを支え続ける。


 余談ではあるが、続く第43話『ウルトラの星から飛んで来た女戦士』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20110219/p1)から登場、第49話『80最大のピンチ! 変身! 女ウルトラマン』で初変身を披露するウルトラの星の王女・ユリアンのデザインは、まさに「観音様」のイメージである。
 この第42話はその伏線であるかのような趣(おもむき)さえも感じられるのである。



<こだわりコーナー>


*ラストシーンにのみ登場し、ファンである信夫と握手を交わし、記念写真におさまる倉田まり子は『家族そろって歌合戦』(66〜80年・TBS)に出場したのをスカウトされ、『レッツゴーヤング』(74〜86年・NHK)のサンデーズの一員として78年4月からレギュラー出演後、79年1月に『グラジュエイション』でレコードデビュー。
 芸名の倉田は、当時番組の司会をしていた作曲家の都倉俊一(とくら・しゅんいち)から一字をもらったものである〜本名は坪田まり子(つぼた・まりこ)〜。


 79年8月に発売された3枚目のシングル『HOW! ワンダフル』がヒット。その年の多くの新人賞を受賞した。
 が、翌80年に田原俊彦近藤真彦松田聖子河合奈保子・柏原よしえといった、まさに80年代を代表するアイドルたちが一斉にデビューしたことで
 ――78年のキャンディーズ解散、80年の山口百恵(やまぐち・ももえ)引退、81年のピンク・レディー解散と、まさにこの当時は時代の変わり目だったのである――、
 倉田に限らず79年デビューの新人歌手(80年代後半から90年代に若い女性層のカリスマ的存在となった竹内まりやもこの年のデビューである)の存在はたちまちかき消されてしまうこととなってしまったのである。世代人ならばこのへんの事情と時代の空気の急激な変化はご記憶のことだろう。


 ドラマ出演は意外にも今回のゲストが初めてであり、刑事ドラマ『Gメン’82』(82年・東映 TBS)第2話『アイドル歌手トリック殺人』などに出演。
 その後、小学館週刊少年サンデー増刊号』で78〜80年に連載された、あだち充(みつる)原作の『ナイン』の劇場版『ナイン オリジナル版』(83年9月16日東宝系公開。同年5月4日にフジテレビで放映された単発アニメに一部修正を加え、声優や主題歌・BGMを変更している)でヒロインの野球部マネージャー・中尾百合(なかお・ゆり)の声を演じ、同年12月18日にフジテレビで放映された『ナイン2 恋人宣言』でも引き続き百合の声を担当。
 テレビ版第1作のオープニング『LOVE・イノセント』・挿入歌『つのる思い』『悲しみにサヨナラ』・エンディング『真夏のランナー』、劇場版オープニング『青いフォトグラフ』・挿入歌『愛を翼にして』『涙色の季節』、『ナイン2』オープニング『恋人宣言』・挿入歌『青空気分』『私のYoung Boy』などもすべて倉田が歌唱していた。
 ちなみにテレビ版第1作の百合の声はプッツン女優として知られる石原真理子、翌84年9月5日にフジテレビで放映された『ナイン 完結編』では、同年春の現・スタジオジブリのアニメ映画『風の谷のナウシカ』(84年3月11日東宝系公開)の主題歌を歌唱して注目を集め、2010年秋現在、NHK連続テレビ小説『てっぱん』にヒロイン・村上あかりの育ての母・真知子役で出演中の安田成美(やすだ・なるみ)が百合の声を担当していた。


 こうした方面での活躍が期待されたものの、84年に起きた株式不正売買事件の容疑者・投資ジャーナル社の中江滋樹(なかえ・しげき)社長の愛人であるとマスコミに一方的に報じられたことにより、すっかりダーティなイメージが植えつけらてしまい、芸能界引退を余儀なくされてしまったのである。これはマスコミ各社の立派な「犯罪」であるかと思える。
 だが現在は本名の坪田まり子の名でキャリア・カウンセラーとして、大学生への就職指導や企業・自治体向けの研修ビジネスを手掛け、各地での講演活動も行っている。2010年現在は東京学芸大学の特任准教授をも務めており、近年は彼女を芸能界から追放した「マスゴミ」(ネット上の巨大掲示板2ちゃんねるでの「マスコミ」の俗称)でもたびたび話題にあがっている。


*信夫が心酔するアイドルは当初の予定では倉田まり子ではなく、テレビドラマ『3年B組金八先生』(79年)のツッパリ生徒・山田麗子役で世間の注目を集め、80年9月に『セクシー・ナイト』でレコードデビューを果たした三原順子であった。
 これは彼女が主演していた『GOGO! チアガール』(80年・東宝 TBS)が、『80』が放映されていた水曜日に『80』に続いて19時30分に放映されていたことから、相乗効果を期待したTBSからの要請である可能性が大きいと思われる。
 だが特撮雑誌『宇宙船』Vol.6(81年)の『80』終了特集によれば、公演中の骨折事故で三原が出演不能となってしまったことから、やむなく倉田まり子が代役を務めることになったらしい。
 そういえば、第42話の予告編では倉田まり子のゲスト出演は一切報じられてはいないのだが、もし当初の予定通りに三原が出演していたら、「『GOGO! チアガール』の三原順子ちゃんも出るよ〜!」などと派手に告知されたのだろうか?(笑)


 なお三原のドラマデビューは『スパイダーマン』第8話『世にも不思議な昔ばなし 呪いの猫塚』で、マシンベム・怪猫獣――声を担当したのは『タロウ』第46話『日本の童謡から 白い兎は悪い奴!』でわんぱく宇宙人ピッコロの声を演じた京田尚子――に襲われ、河原にただ倒れているだけの役(笑)でほんの数秒出演したのみであった。
 が、スーパー戦隊シリーズ『バトルフィーバーJ』(79年・東映 テレビ朝日)第9話『氷の国の女』では主人公・伝正夫(でん・まさお)=バトルジャパンの高校時代の友人である片山の妹・光子、『電子戦隊デンジマン』(80年・東映 テレビ朝日)第4話『ベーダー魔城追撃』と第21話『死神党を攻撃せよ』では青梅大五郎(おうめ・だいごろう)=デンジブルーが妹のように可愛がっている星野サチ子、『太陽戦隊サンバルカン』(81年・東映 テレビ朝日)第36話『エスパー』と第37話『日見子よ』ではデンジ星人の子孫であるシスター・日見子を演じるなど、メジャーになって以降も東映スーパー戦隊シリーズによく出演していた。
 また『燃えろ! アタック』(79年・東映 テレビ朝日)では白富士学園高校バレーボール部員である西井千恵子(愛称・チコ)役でレギュラー出演していたが、変身ヒーロー作品ばかりではなく、こうした作品こそDVD化してくれるよう、東映ビデオにはマジで切望する!


 2010年の参議院議員選挙自由民主党から出馬して見事に当選し、宿敵・民主党から出馬した柔道の金メダリスト・谷亮子を揶揄(やゆ)して「二足のわらじを履けるほど国会議員の仕事を甘く考えてはいない」との公言通り、キッパリと芸能界を引退してしまった。


*武田を演じたのは『帰ってきたウルトラマン』(71年)で帰ってきたウルトラマンこと新ウルトラマンスーツアクターを演じたことで、マニアには幅広く知られるきくち英一(当初の芸名は菊池英一)である。


 日本大学芸術学部演劇学科在籍中に殺陣同志会に入会、卒業と同時に日大の先輩である渡辺高光(『スペクトルマン』(71年)の公害Gメン・加賀信吉役で知られる)が創設したジャパン・ファイティング・アクターズ(JFA)に参加し、テレビ・映画に多数出演することとなった。


 スーツアクターとしては『マグマ大使』(66年・ピープロ フジテレビ)のレギュラー悪である宇宙の帝王ゴアを、大平透(おおひら・とおる。声と兼任していた)の代わりに1話分務めたことが初仕事であり、第9〜12話の怪獣フレニックス登場編に登場したルゴース2号や、戦闘員の人間モドキなども演じたほか、第37〜40話の怪獣サソギラス&グラニア登場編では、ゴアと手を組んだ地球人の悪人・シュナイダー役で顔出しで出演していた。


 『ウルトラセブン』(67年)第14・15話『ウルトラ警備隊西へ』前後編では上西弘次の代役としてウルトラセブンを演じているが、右手を拳(こぶし)に、左手を斜め平手に構えたファイティングポーズはそのまま新マンのそれの原型となっている。また第27話『サイボーグ作戦』では甲冑(かっちゅう)星人ボーグ星人を演じていた。


 ほかに『怪獣王子』(67年・ピープロ フジテレビ)初期のレギュラー悪である鳥人司令、『魔神バンダー』(69年・ニッサンプロ フジテレビ・製作は66年)の主役・バンダー、『帰ってきたウルトラマン』の第1話『怪獣総進撃』に登場したヘドロ怪獣ザザーン、『快傑ライオン丸』(72年・ピープロ フジテレビ)に登場した暗黒魔人ギララ・ノイザー・ガンドロロ(全て声も兼任)、『流星人間ゾーン』(73年・東宝 日本テレビ)第21話『無敵! ゴジラ大暴れ』のガロガバラン星人などでもスーツアクターを務めていた。


 渡辺高光との意見の相違からJFAを辞めてフリーとなり、直後の『電人ザボーガー』(74年・ピープロ フジテレビ)では元JFAのメンバーを集めて殺陣グループを組み、疑斗を担当しながら中野刑事役でレギュラー出演。
 この作品以降、俳優としての活動ではきくち英一を名乗ることになったが、「菊池」を「菊地」とよく間違われたことや、ひらがなが入っていると出演クレジットで目立つからというのが理由だったそうだ。


 俳優としての出演は『戦え! マイティジャック』(68年・円谷プロ フジテレビ)第1話『かかった罠はぶっとばせ』の敵組織パック団員、第4話『とられたものはとりかえせ』のセルジア国秘密情報部員、『スペクトルマン』第38話『スフィンクス前進せよ!!』の釣人、第62話『最後の死闘だ猿人ゴリ!!』のボクサー・ピストン木戸口のトレーナー、『ウルトラマンA』(72年)第50話『東京大混乱! 狂った信号』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070415/p1)の宇宙怪人レボール星人の人間態(作業員姿・円盤からの声も兼任)、『ワイルド7(セブン)』(72年)第19話『スポーツクラブ殺人部隊』のボディガード、第22話『奇襲! トライアル作戦』のブラックスパイダー団員、『ウルトラマンタロウ』(73年)第36話『ひきょうもの! 花嫁は泣いた』のねこ舌星人グロストに操られる作業員、
 スーパー戦隊シリーズジャッカー電撃隊』(77年・東映 テレビ朝日)第14話『オールスーパーカー!! 猛烈!! 大激走!!』のクライムボス、『スパイダーマン』第30話『ガンバレ美人のおまわりさん』の村本、『バトルフィーバーJ』第36話『爆破された結婚式』の鬼塚刑事、
 『大戦隊ゴーグルファイブ』(82年・東映 テレビ朝日)前半のレギュラー敵幹部・イガアナ博士、『星雲仮面マシンマン』(84年・東映 日本テレビ)第4話『魔法の石焼きイモ』のオノ男の人間態(テキ屋風の男)、メタルヒーロー『巨獣特捜ジャスピオン』(85年・東映 テレビ朝日)第25話『救え東京消失! 悪だま善だまデスマッチ』&第26話『とどろく大地! ダイレオン怒りの大逆襲』のガザミ兄、
 『高速戦隊ターボレンジャー』(89年・東映 テレビ朝日)第35話『愛を呼ぶ魔神剣』の刑事、メタルヒーローレスキューポリスシリーズ『特警ウインスペクター』(90年・東映 テレビ朝日)第37話『アマゾネス来襲』の平田忠雄、同じくレスキューポリスシリーズ『特捜エクシードラフト』(92年・東映 テレビ朝日)第41話『対決! ふたりの拳』の死の商人、『電光超人グリッドマン』(93年・円谷プロ TBS)第34話『ボディガード弁慶参上!』の武蔵坊弁慶
 『ウルトラマンダイナ』(97年)第43話『あしなが隊長』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971207/p1)の機体整備班長ムカイ、『ウルトラマンネクサス』(04年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060308/p1)第3クールの準レギュラー・針巣直市(はりす・なおいち)など、氏の経歴を綴るだけで特撮ヒーロー40年史ができてしまうほど(!)相当な数にのぼり、その功績ははかり知れないものがあるのだ!


 近年では『ウルトラマンメビウス』(06年)第45話『デスレムのたくらみ』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070422/p1)にきくち電器商会の社長役で出演。この回には新マンこと郷秀樹役で団時朗(だん・じろう)も出演し、新マン=ウルトラマンジャックの登場時、きくち社長が「ウルトラマンが帰ってきた!」と歓喜の声をあげた場面が、筆者がこの回で唯一楽しめたことであった(笑)。


*大林を演じた鶴田忍は『スペクトルマン』第48話『ボビーよ怪獣になるな!!』&第49話『悲しき天才怪獣ノーマン』で、宇宙猿人ゴリに利用された堂本博士の手術を受けて天才となったものの、怪獣化する末路をたどった悲劇の出前持ちの青年・三吉を演じたことでも知られている。
 日本大学鶴ヶ丘高校時代は『ウルトラマンメビウス』第15話『不死鳥の砦(とりで)』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060924/p1)で防衛隊GUYS(ガイズ)のアライソ整備長を演じたベテラン俳優・綿引勝彦(わたびき・かつひこ)と同級生であった。劇団俳優座の第16期生であり、若手俳優として活躍するが、舞台公演を巡って劇団上層部と対立、71年に中村敦夫(なかむら・あつお)・原田芳雄(はらだ・よしお)・市原悦子(いちはら・えつこ)ら(すげえメンバーだ……)とともに俳優座を退団。『スペクトルマン』のゲスト出演はその直後のものである。
 ジャンルファンには中村敦夫もレギュラー出演していたテレビ時代劇『必殺』シリーズ第7弾『必殺仕業人(しわざにん)』(76年)のコミックリリーフ・出戻りの銀次が印象に残っていることだろう。
 映画やテレビドラマに幅広く出演するようになったのは80年代以降であり、映画『釣りバカ日誌9』(97年・松竹)以降、シリーズを通して堀田常務を演じたことでも知られ、2010年もフジテレビ『素直になれなくて』『泣かないと決めた日』、テレビ朝日エンゼルバンク』『外科医 須磨久善』『土曜ワイド劇場 再捜査刑事・片岡悠介』、テレビ東京『経済ドキュメンタリードラマ ルビコンの決断』に出演するなど、現在でも第一線で活躍中である。


*大谷町の古老を演じた柳谷寛(やなぎや・かん 1911(明治44年).11.8−2002.2.19)は『ウルトラQ』(66年)第19話『2020年の挑戦』の宇田川刑事、第28話『あけてくれ!』の沢村正吉、『ウルトラマン』第6話『沿岸警備命令』の斧山船員、『ウルトラセブン』第21話『海底基地を追え』の第三黒潮丸・川田船長、『帰ってきたウルトラマン』第42話『富士に立つ怪獣』の鳴沢村駐在、『ウルトラマンダイナ』第8話『遥かなるバオーン』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971201/p1)の乙吉など、ウルトラシリーズの常連俳優としてマニアにはお馴染(なじ)みの俳優である。


 ほかの特撮ヒーロー作品としては『緊急指令10−4・10−10(テンフォー・テンテン)』(72年・円谷プロ NET)第11話『妖怪・どろ人間』の遠藤巡査、『ファイヤーマン』(73年)第7話『恐怖の宇宙細菌』のボイラー係、『バトルホーク』(76年・東洋エージェンシー ナック 東京12チャンネル)第10話『紅鬼大人(こうきたいじん)、死す!!』の作造、『快傑ズバット』(77年・東映 東京12チャンネル)第2話『炎の中の渡り鳥』の彦佐などのゲスト出演がある。


 また劇場版『月光仮面』(58〜59年・東映)ではシリーズ全5作で五郎八(ごろはち)を演じていた。東宝クレージーキャッツ主演映画の常連でもあり、『クレージー作戦 先手必勝』(63年)の上司、『日本一のゴリガン男』(66年)の黒川、『クレージーだよ奇想天外』(66年)の議長、『クレージー黄金作戦』(67年)の陳情団の団長、『クレージーの怪盗ジバコ』(67年)の博物館長、『だまされて貰(もら)います』(71年)の牛尾雄三、『日本一のショック男』(71年)の村人役などで出演していた。


 晩年も『向田邦子(むこうだ・くにこ)新春ドラマ あ・うん』(00年・TBS)、『トリック』(00年・テレビ朝日)第8話『千里眼の男』、『土曜特集 ドラマ 介護ビジネス』(01年・NHK)に出演するなど、02年2月に90歳で亡くなるまで、生涯現役の俳優であった。


*信夫の父を演じた石山雄大(いしやま・ゆうだい)は『80』第26話『タイムトンネルの影武者たち』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061023/p1)でも異次元人の首領メビーズを演じており、特撮ヒーロー作品ではほかにも『ワイルド7』第13話『両国死す!!』のジム・キャット、『ダイヤモンド・アイ』(73年・東宝 NET)第20話『ヒトデツボ・地獄の大竜巻』のデムラ、『仮面ライダークウガ』(00年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20001104/p1)の松倉本部長、『特捜戦隊デカレンジャー』(04年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20041106/p1)第1話『ファイヤーボール・ニューカマー』の宮内刑事、『ケータイ捜査官7(セブン)』(08年)第33話『宇宙ウイルス』のTV局プロデューサー役などで出演している。またスペクトルマンがゲスト出演した『探偵物語』(79年・東映芸能ビデオ→現・東映ビデオ 日本テレビ)第9話『惑星から来た少年』では東栄芸能キャップ・遠山次郎を演じていた。
 『太陽にほえろ!』や『西部警察』シリーズ(79〜84年・石原プロ テレビ朝日)など、ロングランとなった刑事ドラマで何度となく悪役や他署の刑事役でゲスト出演しているため、名前は知らなくとも顔に見覚えのある人はきっと多いことだろう。近年ではリストラ請負人(うけおいにん)が主人公のドラマ『君たちに明日(あす)はない』(10年・NHK)で重役を演じている。


*今回登場したズラスイマーは視聴者からデザインを公募した怪獣であったが、ウルトラシリーズでは同様の例として『ウルトラセブン』第41話『水中からの挑戦』――『セブン』でこれだけ肩の力を抜いて楽しめる作品は珍しい。こんなユルユルした路線がオレは好きだ(笑)――に登場したカッパ怪獣テペトが、当時中学3年生だった少年がデザインした回転サイボーグ・ディクロスレイザ、第42話『ノンマルトの使者』に登場した蛸(たこ)怪獣ガイロスが、当時5歳の子が考案したガイロスせいじん――前番組『キャプテンウルトラ』(67年・東映 TBS)第14話『金属人間メタリノームあらわる!!』は謎の惑星ガイロスが舞台だが、そこに生息する宇宙人をイメージしたものか?――を原案にしたものであった。


 また『ウルトラマンティガ』(96年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19961201/p1)第46話『いざ鎌倉!』に登場した虹色怪獣タラバンもそうだが、今回のズラスイマー同様、考案した少年を気遣(づか)ったのか、最後に倒されずに母親のもとに帰される怪獣として描かれたのかもしれない(リアル&ハードよりも、こんなユルユルした路線がオレは好きだ・笑)。


 他に『ウルトラマンマックス』(05年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060311/p1)第28話『邪悪襲来』に登場した凶獣ルガノーガーは、『ウルトラマンマックス怪獣デザインコンテスト』というそのまんまの名前の公募の最優秀賞の怪獣で、鈴木敦くんという少年がデザインしている。実物は大きな改変もなく、体色がシルバーからダークブルーになった程度で比較的原画に忠実に作られていた。


 なお『帰ってきたウルトラマン』第34話『許されざるいのち』(これも石堂大先生の作品! 高校3年生のときに観た再放送では、筆者にとってこれが最高傑作であった・笑)に登場した合性怪獣レオゴンは、原案としてクレジットされている当時高校生であり後年、特撮ライターとしても活躍された小林晋一郎が円谷プロに投稿したデザインが採用されたものであり、同時に投稿されたガロア星人は『ミラーマン』第3話『消えた超特急』などに登場した怪獣ダークロンの原案となっている。


 映像作品ではないが、07年度の小学館『てれびくん』に連載されたグラビア『ウルトラマンメビウス外伝 超銀河大戦 戦え! ウルトラ兄弟』に登場した岩力破壊参謀ジオルゴン(かの暗黒宇宙大皇帝エンペラ星人の軍団幹部という設定)、08年度連載グラビア『ウルトラマンメビウス外伝 アーマードダークネス ジャッカル軍団大逆襲!!』に登場した最強怪獣ガロウラー(エンペラ星人のヨロイ・アーマードダークネスの力で生まれた怪獣という設定)もデザインを公募した怪獣であり、同時に連載されていた内山まもる大先生のコミカライズの中でも登場して強敵として描かれた。
 また講談社『テレビマガジン』07年度連載グラビア『ウルトラマンメビウス外伝 超銀河大戦 ウルトラ兄弟宇宙大決戦!』に登場した知略遊撃宇宙人エンディール星人(同じくエンペラ星人の軍団幹部)、08年度連載グラビア『ウルトラマンメビウス外伝 アーマードダークネス ウルトラ7兄弟大活躍!』に登場する宇宙怪獣ザラボン(同じくアーマードダークネスの力で生まれた怪獣)も、読者からデザインを公募した怪獣である。


 筆者の知る限りでは、同様の公募デザインの怪獣・怪人の例として『スペクトルマン』第23話『交通事故怪獣クルマニクラス!!』&第24話『危うし!! クルマニクラス』に登場したクルマニクラス(原案の名前はダンプニクラス。本編ではダンプではなく、スポーツカーにひき逃げされた少年の憎しみが乗り移る怪獣となったことで名前が変更された)、
 『仮面ライダースーパー1(ワン)』(80年)第45話『君の考えた最優秀怪人ショオカキング』(消火器がモチーフ。『スーパー1』後半のジンドグマ怪人は日用品をモチーフにしているが、だからこそコワいのである!)などがある。


*今回は城野エミ隊員の出番が極端に少ない。ズラスイマー出現を作戦室でキャッチしたオオヤマキャップが矢的に通信を入れる短いカットで姿が見えるのと、ラストシーンで矢的・イトウ・岩水親子・倉田まり子を「じゃあ、写真撮りま〜す」とカメラにおさめるカットのみなのである。
 このことからも、エミを演じた石田えりのスケジュールが相当タイトになっていた様子がうかがえる。
 今回は栃木県大谷町でロケが行われているが、この場面のためだけに石田や倉田まり子を都内からの移動に数時間を要する大谷町まで同行させて拘束したとは到底考えがたく、ここだけはおそらく都内で撮影されたかと思われる。



 その城野エミ隊員が、いくらスケジュール過密のためとはいえ(笑)、次回第43話で侵略星人ガルタン大王のために壮絶な殉職を遂げる!
 そして、その責任を感じたウルトラの星の王女・ユリアンは、UGMの見習い隊員・星涼子(ほし・りょうこ)として地球に残り、矢的猛=ウルトラマンエイティとともに、次々に襲い来る怪獣・侵略宇宙人たちに立ち向かうのである!



 さぁ、いよいよ次回からは「ユリアン」編が始まるよ。みんなで読もう!(笑)


2010.11.23.


(了)
(初出・『仮面特攻隊2011年号』(2010年12月30日発行)所収『ウルトラマン80』後半再評価・各話評より分載抜粋)



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