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ウルトラマン80 43話「ウルトラの星から飛んで来た女戦士」 〜ユリアン編開始

(「ウルトラの星から飛んできた」という表記は間違い。「きた」ではなく「来た」ですよ・笑)
ファミリー劇場ウルトラマンエイティ』放映記念「全話評」連動連載!)


『ウルトラマン80』全話評 〜全記事見出し一覧

第43話『ウルトラの星から飛んで来た女戦士』 〜星涼子・ユリアン編開始!

侵略星人ガルタン大王 遊牧星人ガラガラ星人登場

(作・水沢又三郎 監督・湯浅憲明 特撮監督・神澤信一 放映日・81年2月4日)
(視聴率:関東6.9% 中部13.1% 関西10.9%)


(文・久保達也)
(2010年執筆)


 富士山上空を飛行する未確認飛行物体をキャッチする防衛組織UGM。
 イトウチーフ(副隊長)とフジモリ隊員が戦闘機シルバーガルで出動するや、国籍不明の黒い翼の戦闘機もまた、三機編隊で未確認飛行物体を追跡!


 画面左手から右手へと飛行する未確認飛行物体、続いてそれを追跡する三機の戦闘機を、シルバーガルのコクピット内からイトウとフジモリの目線でとらえた主観カットが臨場感満点。
 地上すれすれに急降下した未確認飛行物体が画面手前で急上昇、さらに追跡する戦闘機もまた三機編隊で同じくそれを披露する操演の妙技がまさに圧巻!


 戦闘機群の攻撃を受け、未確認飛行物体は船尾から黒い煙をあげ、UGM専用車・スカウターS7(エスセブン)で出動した矢的猛(やまと・たけし)隊員と城野エミ(じょうの・えみ)隊員の眼前で富士の樹海に墜落する!
 合流したイケダ隊員とUGM広報版のセラと、墜落した未確認飛行物体の捜索をはじめる矢的とエミ。


エミ「どこから来たのかしら。誰に追われていたのかしら」
矢的「いや、あの円盤は……」
エミ「矢的隊員、あなたあの円盤がどの星から来たものか知ってるみたいね」
矢的「いやぁ……」


 矢的のおもわぬピンチに、イケダが助け舟を出すことになる。


イケダ「とにかくさ、何か破片でも落ちていないか探してみよう。分析すれば何かわかるかもしれない」


 付近一帯を捜索する一同だが……


セラ「なんにもないですよ……アレ? なんだこりゃ? 空から砂金が降ってきたぜ」
矢的「これは砂金じゃないよ。おそらく円盤を形成していた宇宙の物質だよ」


 画面いっぱいに空から舞う宇宙の物質は、木に登った助監督たちが粉を降らせるのではなく(笑)、金属状の荒々しい粒子が空から舞う様子を本編に合成するという芸コマな描写である!
 そのとき……


女性の声「矢的……矢的……」


 おもわず右耳に手をあてる矢的。


エミ「どうしたの?」
矢的「誰かが俺を呼んでるんだ」
エミ「そんな……何も聞こえないわよ」


 だが矢的、いやウルトラマンエイティの耳には、助けを呼ぶ声がハッキリと聞こえた!


女性の声「矢的……助けて……矢的!」
矢的「間違いない。俺に救いを求めてる!」


 イケダの制止を振り切り、矢的は声の主を救うために樹海の奥へ!
 そして彼の眼前に飛びこんできたのは、映画『ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦! ベリアル銀河帝国』(10年12月23日松竹系公開)に登場した、惑星エスメラルダの第二王女・エメラナ姫を思わせる、王族のお姫様のような白いドレスをまとった若い女性が、白いハイヒールで樹海をさまよう姿であった!


矢的「待ちたまえ! 待ちたまえ! 僕はUGMの矢的猛だ。君だね、テレパシーで僕に救いを求めたのは」
謎の女「矢的……」


 崩れおちる謎の女性。それをしっかりと抱きとめる我らの矢的猛!
 そのとき、周囲からガラガラヘビが発するような異様な物音が!
 ただならぬ気配を感じてあたりを見回す矢的。昼間でも暗い樹海の中で、一条の陽光が差しこむのをとらえた自然描写がなんともいいセンス!
 身構える矢的のそばに生えた木に、登山用のステッキであるピッケルが一斉に突き刺さる!
 矢的の前に、登山服姿のハイカー風の5人組が突然現れた!


矢的「誰だ。おまえたちは何者だ!」


 「矢的隊員〜」「先輩〜」とのエミ、イケダ、セラの呼び声に、怪しい5人組は一斉に姿を消してしまう!


 ブレスレットやイヤリングにすごい宝石が使用されていることから、樹海で発見された女性をいいところのお嬢さんだと考えるセラ、いや、宝石泥棒の一味だと考えるイケダ(笑)、ひとり考えこむ矢的。
 そんな作戦室にオオヤマキャップ(隊長)とイトウチーフが入ってくる。


イトウ「矢的、おまえ富士の樹海でガラガラヘビの音を発する不気味な人間に出会ったと報告したな」
矢的「ハイ」
イトウ「それで調べてみたんだが、おそらくそれは、宇宙の遊牧民と云われているガラガラ星人ではないかと思うんだ」
矢的「ガラガラ星人? やっぱりそうか」
イトウ「なんだおまえ、知ってたのか」
矢的「いいえ……」
エミ「矢的隊員、あなたはときどき宇宙人みたいなことを云うのね」
矢的「いや、ただそんな気がしたもんだから……」


 第50話(最終回)『あっ! キリンも象も氷になった!!』では、オオヤマキャップの口から彼とイトウチーフが矢的の正体に気づいていたことが明かされるが、今観ると、この場面はそのきっかけとなった出来事のように映り、一応の伏線が張られていたかのようにも思える。


 UGMに保護された謎の女性がベッドで目を覚ますと、そばに花束を携えたエミがにっこりと微笑(ほほえ)んでいた。


エミ「気がついたのね」
謎の女「ここはどこ?」
エミ「UGMのメディカルセンターよ」
謎の女「UGM……?」


 赤い縦縞模様のワンピースを着せられた謎の女性がエミに連れられ、作戦室に入ってくる。


エミ「皆さん、彼女元気になりました!」
オオヤマ「おいおい君、寝てなくていいのか」
イトウ「傷の具合……あれ?」
エミ「あら? 傷がすっかり治っているわ! すごい回復力!」
イトウ「君はどっから来たんですか?」
謎の女「どこから?」
イトウ「どこから来たんですか?」
謎の女「わかりません」
イトウ「わからない? 君はどこから来て、爆発した円盤とはどういう関係なんですか?」
謎の女「わからないんです。私は何も覚えてません」
イトウ「そんなばかな」


 おもわず彼女につっかかろうとする(仮にもチーフやろ・笑)イトウをオオヤマが制止する。
 テレパシーで彼女に語りかける矢的。


矢的「君は僕と同じウルトラの星から来た人間だね。僕にはすぐわかったよ。君はなぜガラガラ星人なんかに追われていたんだ。なんのために地球に来たんだ」
謎の女「わからない。何もわからない」
矢的「だけど君は、僕の名前を呼んで救いを求めてきたじゃないか」
謎の女「わたしは何も覚えてない」


オオヤマ「ショックのために記憶を失ってしまったようだな」
エミ「どうしたらいいんですか?」
オオヤマ「彼女が思い出すのを待つより仕方がないかもしれんな」
エミ「そんなの消極的です!」
イトウ「そうだ。まず彼女の健康を回復すること。そうすれば記憶を取り戻すかもしれませんキャップ」
エミ「まず健康第一! ねえ、名前も忘れちゃったの?」
謎の女「名前?」
エミ「名前がないとなんて呼んだらいいかわからないから困っちゃうなあ。キャップどうします?」
オオヤマ「う〜ん、とりあえずそうだなあ……星涼子(ほし・りょうこ)さん」


 オオヤマキャップとしては彼女が爆発した円盤の乗組員に違いないと考えていたことから、星から来たクール・ビューティーってことでそう名づけたのだろう。即興(そっきょう)のネーミングながらも実にいいセンスだ!(笑)


エミ「うわぁ〜、いい名前! それでは星涼子さん、あなたが記憶を取り戻すのに、わたし全面的に協力しま〜す!」
オオヤマ「矢的、手伝ってやれ」
矢的「はい」


 腕組みしたまま、目線を矢的からチラッとエミの方に向けて矢的に指示を出すオオヤマキャップの演技が、実にそれらしくてよい(笑)。


 まず健康第一と、矢的とエミ、そして涼子が縄跳びをする(笑)が、画面に映るのは胸から上のみであり、おかげでエミの巨大なバストが上下に激しくブルンブルンと揺れる様子がバッチリ楽しめる、ってコレは単に湯浅監督の趣味なんだろうか(笑)。
 そういや『ウルトラマンタロウ』(73年)第2話『その時ウルトラの母は』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20071209/p1)でも、主人公・東光太郎(ひがし・こうたろう)の下宿先の娘・白鳥(しらとり)さおりが、ほとんど何の必然性もないのに玄関先で縄跳びをしており、演じた朝加真由美(現・あさかまゆみ)の巨大なバストがブルンブルンと揺れていたが、監督した山際永三(やまぎわ・えいぞう)氏の作品の一部を振り返ってみると、


帰ってきたウルトラマン』(71年)
*第16話『大怪鳥テロチルスの謎』
*第17話『怪鳥テロチルス 東京大空爆
*第23話『暗黒怪獣 星を吐け!』


ウルトラマンA(エース)』(72年)
*第4話『3億年超獣出現!』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060528/p1
*第9話『超獣10万匹! 奇襲計画』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060708/p1
*第21話『天女(てんにょ)の幻を見た!』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061009/p1
*第28話『さようなら 夕子よ、月の妹よ』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061111/p1


ウルトラマンタロウ
*第1話『ウルトラの母は太陽のように』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20071202/p1
*第11話『血を吸う花は少女の精』
*第39話『ウルトラ父子餅つき大作戦!』


 といった具合に、レギュラー・ゲストを問わず、女性の活躍する姿がその回の登場怪獣・超獣に匹敵するくらいに印象的な作品がやたらと多いのである!


 「僕の作品では女優さんたちが縛られたり、着替えたりと多少なりともエロティシズムを感じるなんて云われたりしているらしいけど、子供たちも結構Hな話は好きだしね。もちろん僕らも遠慮はしながらも、そんなテイストを盛りこもうと色々とやっていたわけですね(笑)」
 (山際永三インタビュー・DVD『ウルトラマンA』Vol.6・デジタルウルトラプロジェクト・04年8月27日発売・ASIN:B00024JJHO


 そんなわけで、一見本筋とはなんの関係もない描写に見えても、実は子供番組にはこうした場面も必要な要素だったりするのである。決して邪道ではないのだ!? いわば「さわやかエロス」とでも表現すればよいのであろうか? むしろ近年のヒーロー作品で各方面に遠慮して、こうした描写が皆無に近いことの方が個人的には実に嘆かわしいが……(笑)



 マット運動で前転してズッコケちゃった矢的を笑ったエミが、赤いタンクトップと短パン姿(冬場なのに・笑)で吹き替えなしで前転を披露! バストの次はヒップが拝める(笑)。
 そして涼子はマットの上でなんと連続でバック転! さらには宙返りまで披露した! これはどう見ても吹き替えだが、涼子がショートカットであるのをいいことに、多分小柄な男性が吹き替えているのではないかと(女性のようにも見えるが極めて微妙!?)。


 やはり健康第一ってことで、涼子にナイフでリンゴをむいて食べさせるエミ。リンゴのおいしさと献身的なエミの姿に感動した涼子は……


涼子「エミさん」
エミ「なあに?」
涼子「あの〜、これ、して下さい」


 左腕にはめていた青い石が光る金色のブレスレットをはずし、エミに手渡そうとする涼子。


エミ「だめよ。だってそれ、あなたの大切なものなんでしょ?」
涼子「いいんです。お世話になったお礼に、これをエミさんにプレゼントしたいの」
エミ「まあ」
涼子「あたし今、これしか持ってません。エミさんとわたしの友情のために、ぜひそうしてほしいんです」
エミ「わかったわ。ありがとう。わあ、ステキ」


 涼子に食べさせるための果物を買い出しに、もらったブレスレットを腕にはめて出かけるエミ。入れ違いに矢的が入ってくる。


矢的「星くん、なにか思い出したかい?」


 エミとの会話で見せていた明るい表情が一変、寂しげな表情で無言で首を横に振る涼子。
 ここではまだ伏せておくが、エミに連れられて作戦室でオオヤマキャップやイトウチーフと初対面した際のポ〜ッとした表情、イトウチーフや矢的に質問責めにあった際の困った表情、エミと過ごしている際の楽しそうな表情に至るまで、今回涼子を演じた女優はセリフはたどたどしいものの、当時はまだキャンギャル出身の新人でありながら、表情の演技だけは実に見事だったりする!



 なんとUGMの隊員服姿で自ら商店街の青果店フルーツバスケットを購入するエミ(笑)。
 本来なら地球防衛軍に600人ほどいるらしい後輩の女性隊員にお遣(つか)いを頼むか、店に配達でもさせればよさそうなものなのだが、こうしたエミのあまりに献身的な姿こそが、のちに彼女に悲劇をもたらす要因となったことを強調するという意味では、やはり欠かすことのできない描写なのである。
 また素姓(すじょう)もはっきりとわからない涼子からもらったブレスレットを身につけ、隊員服姿で外出するなんぞ、リアルに考えれば防衛組織の隊員として実に迂闊(うかつ)な行為であるには違いないのだが、これとてやはり同じ理由から描かれたものである。


 買いものを終えたエミを、富士の樹海で矢的が出くわしたハイカー風の男たち=ガラガラ星人の内の二人が尾行する!
 まったく無言の上、人間体の姿でも「ガラガラガラ」という奇怪な音をたてている不気味さを際立たせる演出が実に秀逸である!
 パトロールから戻る途中のイケダに出くわし、スカウターS7で基地まで送ってもらおうとするエミ(行きはどうやって来た? 隊員服姿で公共の交通機関を利用したのか?・笑)に、ガラガラ星人が襲いかかる!
 イケダの奮闘も空(むな)しく、エミは白い車で連れ去られてしまった!
 基地に戻ったイケダの報告を受け、矢的はイケダを連れて現場の青葉公園に出動! エミに恩義を感じていた涼子も……


涼子「わたしも行かせて下さい!」
イトウ「よし!」
オオヤマ「おい、星くん大丈夫か?」
イトウ「いや、何か思い出すかもしれません」



 そのころエミは暗い洞窟の中で、石の柱に鎖で縛りつけられていた!


謎の声「ウルトラの星の使者・ユリアン王女、どうかな気分は?」
エミ「ユリアン王女?」
謎の声「そうだ」
エミ「ちょっと待ってよ。私は城野(じょうの)エミよ。ウルトラの星のユリアン王女って何よ?」
謎の声「黙れ! ブレスレットがなによりの証拠ではないか!」
エミ(心の声)「これは……そうか、ガラガラ星人はわたしと涼子さんを間違えたんだ。すると涼子さんの正体はウルトラの星の……」


 洞窟の奥の祭壇(さいだん)のような場所から声の主である侵略星人ガルタン大王が姿を現し、エミにじわじわと近づいていく!


 その名が示すとおり、ガルタン大王は昭和ウルトラ怪獣の中ではかなり特異なスタイルであり、例えて云うなら『タロウ』第14話『タロウの首がすっ飛んだ!』に登場したえんま怪獣エンマーゴと、第33話『ウルトラの国大爆発5秒前!』&第34話『ウルトラ6兄弟最後の日!』に登場した極悪宇宙人テンペラー星人をたして2で割ったような感じとでも形容すればいいのだろうか?
 『ウルトラマンメビウス』(06年)のころになると、第16話『宇宙の剣豪』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060928/p1)に宇宙剣豪ザムシャーなんてのも登場しているが、まさにそれと同様の鎧武者(よろいむしゃ)といった趣であり、金色と青を中心とした配色が、不思議にも涼子がはめていたブレスレットと共通しているというのも因縁(いんねん)を感じさせ、実にいいセンスである!
 また背中の金色のマントは布ではなく、硬質ウレタンを用いて製作されたようだが、なんと多数の穴が開けられており、さらには武器である剣にまで穴が開けられている! 要するに奴の侵略計画は穴だらけってことか(笑)。ただ冒頭でユリアンの宇宙船を追撃する際、ガラガラ星の宇宙船を地球の戦闘機にカモフラージュしているあたりはなかなかの知能犯ではないか(ほかではあまり例を見ない)。
 大王としての威容を誇る風格のあるデザインではあるのだが、赤い目や開きっぱなしの口にぎっしりと歯が並んでいる表情なんかもどことなく愛嬌(あいきょう)を感じさせ、憎めないものがある。



ガルタン大王「ユリアン王女、ウルトラマンエイティは、どこにいる。どんな姿になっている!」
エミ「ウルトラマンエイティ?」
ガルタン大王「おまえは、ウルトラマンエイティに、会いに来たはず」
エミ(心の声)「ガラガラ星人はウルトラマンエイティを探しているんだわ」
ガルタン大王「奴はどこで、何をしてるんだ!」
エミ「ウルトラマンエイティを探してどうするつもりなの?」
ガルタン大王「知れたことよ……奴を殺す! 白状しろ!」


 エミの首のそばに、手にした剣を激しく打ちつけるガルタン大王!
 しばらくユルユルの話が続いていた『80』だが、「善悪の割り切りがはっきりある中での痛快な戦いというのが、最もウルトラマンらしい形」であるとの脚本家・平野靖士の主張をまさに象徴した演出であり、ガルタン大王の声を担当した、当時同人舎プロに所属していた村松康雄の熱演も実に光るものがある!


エミ「知らない! 知ってたって云うもんか」


 当初ユリアン王女であることを否定したエミであったが、あの涼子の正体がそうであることを知るや、エミは彼女の身代わりとなる道を選ぶのである!
 今回のガラガラ星人たちの目的は地球侵略ではない。ウルトラマンエイティを殺すこと、ただそれのみなのである。地球防衛という観点からすれば、いわば「厄介(やっかい)者」であるエイティやユリアン王女をガルタン大王にくれてやった方がよいのではないのか……


 これとよく似た場面が『A』第26話『全滅! ウルトラ5兄弟』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061030/p1)で描かれている。地獄星人ヒッポリト星人がウルトラマンエースを明け渡せと、火炎地獄や風地獄を起こして街に壊滅的な被害を与え、市民たちからエース不要論が高まる中、防衛組織TACの隊員たちですらそれと同じ心境に達してしまい、山中隊員がついそれを口走ってしまう。
 竜五郎(りゅう・ごろう)隊長は


竜「バカモン! 君たちはそれでもTACの隊員か!」


 と隊員たちを一喝(いっかつ)し、徹底坑戦を叫ぶのである!
 このときの竜隊長は本当にかっこよかったが、今回のエミの姿はまさにそれを彷彿(ほうふつ)とさせるものがあるのだ! だが、まさにこの姿こそが、彼女自身に悲劇をもたらすことになってしまうのだ……



ガルタン大王「ユリアン王女、おまえがシラをきっても、ウルトラマンエイティはユリアン王女が我々に捕らわれたと知れば、必ずここにかけつけてくるんだぞ!」
エミ「ウルトラマンエイティがここに?」
ガルタン大王「こやつ〜、拷問(ごうもん)にかけろ!」


 ガラガラ星人のひとりがエミを激しくムチ打つ! と云いたいところだが、ガラガラ星人のマスク(ガラガラヘビというより、触角もあることからナメクジのような印象を受ける)は視界があまりよくなかったのか、なんか動きがモサ〜としていて、正直エミの痛みがあまり伝わってこない(笑)。


ガルタン大王「苦しめば苦しむほどエイティを早く呼び寄せられる!」
 そのとき、エミが左腕にはめたブレスレットから、鈴の音(ね)のようなリンリンという音が鳴り響いた!


 ガラガラ星人を追ってアジトの近くにたどり着いた矢的、涼子、イケダの3人だが、矢的が涼子の耳のシルバーイヤリングが揺れている様子に気づいた!


矢的「星くん、君のイヤリングが」
涼子「思い出したわ! このイヤリングはブレスレットが鳴ると共鳴するのよ! 矢的さん、これでエミさんの居場所がわかるわ!」
イケダ「あ〜、そりゃぁ最高だ!」


 歓喜する一同の前に、例の謎の5人組が華麗にジャンプを披露して現れた!


イケダ「あっ、おまえら何者だ!」
涼子(心の声)「彼らの正体は、ガラガラ星人だわ!」


 涼子が指を「パチッ」と鳴らすや、一斉に謎の5人組がガラガラ星人の正体を現す演出が実にセンスがいい!
 矢的、涼子、イケダがガラガラ星人たちと格闘! ってこの場面でもガラガラ星人の動きが妙にモサ〜としているのだが(笑)、まだ新人でアクションが不得手だと思われる涼子役の女優にやっぱり気を遣ったのかもしれない。
 イケダが「おいホラ」とガラガラ星人に上を向かせて油断させ、首を絞める演出とか、どことなくほのぼのとしてる(笑)。



 もっとも昭和ウルトラに登場する宇宙人は圧倒的に単体での行動が多く、集団で隊員たちと等身大アクションが展開された例は非常に数少ないのだ。第1期では皆無であり、第2期でも『A』第50話『東京大混乱! 狂った信号』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070415/p1)において、宇宙怪人レボール星人が赤・青・黄色の体色の3人組(まさに信号を自在に操る宇宙人らしく、実にいいセンスだ!)が東京の地下で主人公の北斗星司(ほくと・せいじ)と山中隊員とトランポリンアクションのバトルを繰り広げたくらいなのである。


 当時は『仮面ライダー』(71年)の大ヒットに影響され、『スペクトルマン』(71年・ピープロ フジテレビ)や『流星人間ゾーン』(73年・東宝 日本テレビ)、『スーパーロボット レッドバロン』(73年・宣広社 日本テレビ)など、特撮巨大ヒーロー・特撮巨大ロボット作品の中でも集団宇宙人や戦闘員たちとの等身大バトルが描かれることが目立つようになっていたにもかかわらず、頑(かたく)なにそれをせず、ドラマやテーマの充実を優先していたことこそが、第2期ウルトラが抱(かか)える弱点であるような気もするのである。
 『ウルトラマンレオ』(74年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090405/p1)ではようやく等身大宇宙人と防衛組織MAC(マック)との等身大バトルが描かれるようになったが、いずれも単体の宇宙人であったし、第2次怪獣ブームも峠を越えていた時期でもあり、遅きに失した感が否(いな)めないのである。


 それを思えば『80』で第5話『まぼろしの街』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100530/p1)の四次元宇宙人バム星人、第13話『必殺! フォーメーション・ヤマト』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100725/p1)のドクロ怪人ゴルゴン星人、第30話『砂漠に消えた友人』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20101120/p1)の変身宇宙人ザタン星人、そして今回のガラガラ星人と、初期のころから集団宇宙人がたびたび登場し、等身大バトルが展開されていた事実はもっと評価されてもよいのではないのか! 初期学校編で描かれた人間ドラマやテーマばかりを評価している場合ではないのである!



 激しい戦い(には見えないのだけど・笑。この場面のために、涼子にはワンピースではなく、パンツスタイルを着用させるべきだった!)の末、ガラガラ星人の姿は一斉に消滅、爆発を遂げた!
 爆風で倒れ伏した涼子を介抱(かいほう)する矢的。


矢的「星くん、しっかりしろ! 星くん!」
涼子「矢的!」
矢的「どうした!?」
涼子「思い出したわ! 私はウルトラの星のユリアンよ!」
矢的「えっ、ユリアン? ユリアン王女か!? そうか、僕がウルトラの星から地球に来たとき、君はまだちっちゃな女の子だったもんなあ」


 えっ!? どう見ても涼子の姿は二十歳(はたち)くらいの娘に見えるのだが、そうなると矢的、いやウルトラマンエイティが地球に来て以来、この時点で15年くらいは経過していたのか!?(笑)



 『メビウス』第41話『思い出の先生』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070218/p1)において、防衛組織GUYS(ガイズ)のヒビノ・ミライ=ウルトラマンメビウスにエイティがこう語りかける場面がある。


エイティ「元々私は地球にマイナスエネルギーの調査のために訪れた。そして人間と触れ合ううちに人間の持つ、限りのない可能性を感じた。それはメビウス、君も同じだろ?」
ミライ「ハイ」
エイティ「しかし人間は、その可能性を間違った方向に向けかねないこともわかった。そのことによって生まれるのが」
ミライ「マイナスエネルギー」
エイティ「そうだ。そして私は考えたのだ。教育という見地(けんち)からマイナスエネルギーの発生を抑えられるのではないかと。私は勉強を重ね、思春期といわれる不安定な時期の、中学生の教師になった」



 なるほど、エイティが勉強を重ね、矢的猛として中学校の教師となるまで、15年くらいの歳月を費やしたというのは確かにうなずけるものがあるのだ。
 ということは、エイティは『ウルトラマン』(66年)第1話『ウルトラ作戦第1号』で、初代ウルトラマンが宇宙怪獣ベムラーを追って地球に来たのと同じころ、既に地球に来訪していたのかもしれないのだ!?



 『マン』第10話『謎の恐竜基地』で二階堂教授の怨念を背負って暴れたエリ巻恐竜ジラースや、
 第11話『宇宙から来た暴れん坊』で鬼田が自在に姿を変える生きている石に、自身の欲望を投影させて誕生した脳波怪獣ギャンゴ
 第23話『故郷は地球』で助けに来てくれなかった地球人に復讐するために宇宙飛行士が怪獣化した棲星怪獣ジャミラ


 『セブン』第16話『闇に光る目』でいじめられっこのヒロシを「強い子にしてあげる」と、自身の体を復元することに協力させた岩石宇宙人アンノン。
 第29話『ひとりぼっちの地球人』で人間不信の京南大学の一の宮を利用して伝送移動機をつくらせた宇宙スパイ・プロテ星人。
 第36話『必殺の0.1秒』で「射撃大会に優勝するためなら友達を失っても悪魔に魂を売り渡してもいい」と願った地球防衛軍のヒロタの協力を受け、人工太陽計画を妨害しようとした催眠宇宙人ペガ星人。


 『帰ってきた』第15話『怪獣少年の復讐』でアメリカンクラッカーを激しく打ち鳴らし、「暴れろ! 暴れろ!」とひねくれた少年・史郎に声援を受けた吸電怪獣エレドータス、
 第33話『怪獣使いと少年』で主人の宇宙調査員メイツ星人の念動力から解き放たれたばかりでなく、彼を徹底的に差別した末に殺してしまった心無い人間たちの醜い心が乗り移り、狂ったように工業地帯を破壊した巨大魚怪獣ムルチ、
 第34話『許されざるいのち』で何もいいことがなかった人生を送ったと思われる青年・水野の魂の結晶として誕生した合性怪獣レオゴン。


 『A』第4話『3億年超獣出現!』で怪奇漫画家・久里虫太郎(くり・むしたろう)が描くマンガのとおりに暴れ回った怪魚超獣ガラン、
 第36話『この超獣10,000ホーン?』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070109/p1)で暴走族のバイクの爆音のみではなく、彼らの心の闇までをもエネルギーとしたと思われる騒音超獣サウンドギラー、
 第51話『命を吸う音』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070423/p1)でバイオリンのレッスンを嫌がる春男、そして彼をバイオリニストにしようとする母の執念を受けて誕生したバイオリン超獣ギーゴン。


 『タロウ』第11話『血を吸う花は少女の精』で「捨て子塚」から現れ、少女・かなえをはじめとする孤児の怨念を晴らすかのように吸血鬼と化した蔦(つた)怪獣バサラ、
 第42話『幻の母は怪獣使い!』で妻・聖子を死なせた車を憎む島田の怨念を受けたアンドロイド聖子に操られ、日本中の車を破壊しようとしたおうむ怪獣エレジア、
 第46話『日本の童謡から 白い兎は悪い奴!』でアパートの大家にペットの兎を殺された太一の悲しみと怒りの代弁者となり、夜の大都会を徹底的に破壊したわんぱく宇宙人ピッコロ。


 『レオ』第49話『恐怖の円盤生物シリーズ! 死を呼ぶ赤い暗殺者!』で両親がいないことから授業参観が憂欝(ゆううつ)でたまらず、来てくれると約束した主人公・おおとりゲンも来られなくなり、失意のどん底にあったレギュラー・梅田トオルの肩に赤いてるてる坊主となって取り憑(つ)き、口から赤い凶暴化ガスをまき散らして街を大混乱に陥れた円盤生物ノーバ。



 こうした事件を目(ま)のあたりにし、怪獣・超獣・宇宙人の退治はウルトラ兄弟に任せつつも、エイティは長い年月をかけてマイナスエネルギーの研究に没頭した末、中学校の教師になったと考えればなんとも説得力があるではないか!?
 しかし『80』初期の学校編を、先述した作品群みたいなノリでやってたらめちゃめちゃ暗くなっただろうな(笑)。
 まあM78星雲人はそれこそシロクマみたいにたった1年で急成長を遂げるのかもしれず、エイティが地球に来て1年足らずの間にユリアンは幼女からおとなの女性に急成長したのかもしれないけど(笑)。


 たったひとことのセリフからいろいろと妄想してしまうのだが、これこそウルトラシリーズが誇る最大の魅力のひとつ・「年表遊び」なのである!



涼子「矢的、ガラガラ星人はあなたを殺すために地球にやって来たのよ」
矢的「なんだって? 俺を?」
涼子「ええ。ウルトラの星を侵略しようとしたガルタン大王は、あたしたちに反撃されて、王子を失ったのよ。ガルタン大王はその復讐のために、ウルトラマンエイティを殺そうとしているの。私はそれを知らせるために……」


 この涼子のセリフは、まさに当時小学館『てれびくん』で連載されていた居村眞二(いむら・しんじ)先生による『ウルトラマン80 宇宙大戦争』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20110108/p1ISBN:4813020089)で描かれた、ウルトラ一族対バルタン星人大軍団のスペース・オペラを彷彿とさせるものがある。
 願わくばこの回の前段としてセリフひとことのみで終わらせるのではなく、ちゃんと映像化してほしかった! それと前後編でやっていれば、すげえスケールの大きさも感じられたであろうに!
 それならばこの回が関東地区で『80』全話の中でワースト2位なんて低視聴率に終わることもなかったはずである!


 そういや第2期ウルトラであれだけ前後編が連発して児童間の話題をかっさらっていたにもかかわらず、『80』では第17・18話の『魔の怪獣島(じま)へ飛べ!!』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100822/p1http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100829/p1)だけなんだよなあ。ウルトラ兄弟のゲスト出演がなかった弊害はこうしたところにも現れている。
 ちなみに唯一の前後編である第17・18話、個人的には湿っぽさばかりが目につき、あまり好きではない(笑)。ゲストの星沢子(ほし・さわこ、って彼女も星かい! やっぱネーミングは適当やなあ・笑)を演じ、傑作時代劇『必殺』シリーズ(72〜09年・松竹 朝日放送)にもよくゲスト出演していた竹井みどりは個人的に大好きなのだが(笑)。閑話休題



矢的「そうか、それでわかった。それで奴らは、君と間違えて城野隊員を……城野隊員が危ない! 城野隊員は、俺がウルトラマンエイティだってことを知らないんだ!」
涼子「急ぎましょう! 矢的!」


 矢的、涼子、イケダはエミの救出に向かうが、ガラガラ星人のアジトであるオープンセットに作られた高くそびえる山と、画面右側に実景の山と手前に小さく映る3人の合成カットが目をひく!
 ホリゾントではない本物の青い空が実にリアル感を醸(かも)しだすのだ!


イケダ「あっ、鉄条網(てつじょうもう)だ。よし、オレにまかせとけ! このカッターで」


 どう見ても単なる工作用のカッターで鉄条網を切断しようとしたイケダ(笑)を矢的が制止、カッターを取り上げて鉄条網に投げつける!
 火花が散る鉄条網だが、それを見て、涼子は即座に鉄条網に向かって走りだし、華麗に宙返りでそれを跳び越えた!


涼子(心の声)「どうしたの矢的、早くいらっしゃい!」


 自分がウルトラの星の王女・ユリアンであることを思い出した途端、突然矢的に対して命令口調になる涼子(笑)。これまたいいセンス!


矢的(心の声)「だめだ! イケダやみんなは、俺がウルトラマンエイティであることを知らないんだ。俺は俺の方法でやる!」


 矢的、崖の前に生(は)えていた、いや、生やされた(笑)竹の1本をひっこ抜き、それを持って走りだし、まさに棒高跳びの要領で鉄条網を跳び越える!


矢的「イケダ、俺と同じ方法で来るんだ!」
イケダ「ハイ、了解! よ〜し!」


 イケダもまた竹をひっこ抜き、矢的と同様かっこよく決めようとするが、途中で見事にコケてしまった。


イケダ「あっイタっ! あイタ〜」


 こんな緊迫した場面においても確実に笑いをとってしまうイケダ隊員は、なんとも愛すべきキャラクターである!



 ガラガラ星人の配下の報告を受けるガルタン大王。


ガルタン大王「なに!? いよいよ来たか、ウルトラマンエイティ!」


 思わず身を乗り出そうとするエミを剣で制止するガルタン大王。


ガルタン大王「あわてることはない、ユリアン王女。散れ〜!」


 物陰に一斉に身を潜め、エイティの突撃に備えるガラガラ星人たち。
 そこにエイティ=矢的とユリアン=涼子が登場! ガラガラ星人の槍を奪い取り、格闘を演じる矢的!


 その姿に衝撃を受けるエミ!


エミ「矢的隊員!?」
矢的「城野隊員!」
ガルタン大王「動くなエイティ! 武器を捨てろエイティ! これが見えんのか!」


 エミに剣を突きつけるガルタン大王!
 矢的、やむなく光線銃・ライザーガンを捨てる。


ガルタン大王「エイティ、UGMの隊員とはうまく化けたものだな」
エミ(心の声)「矢的隊員、あなたはやっぱりウルトラマンエイティだったのね……」


 絶体絶命のピンチに、矢的にテレパシーを送る涼子。


涼子「猛、あたしになにかできることはない?」
矢的「だめだ、動いちゃ。城野隊員が危ない!」


エミ(心の声)「矢的隊員、わたしをだますなんて……」


 そのとき、ガラガラ星人のひとりが矢的に向かって槍を投げつけた!


エミ「猛あぶない!」


 エミ、ガルタン大王の剣から逃れ、華麗に宙返りして矢的の前に着地し、背中に槍の直撃を受ける! まさに矢的の盾となったのだ!


矢的「エミ!」
エミ「猛……」
矢的「しっかりしろ!」
エミ「お願いよ……ガラガラ星人をやっつけて……」
矢的「わかった! 頼む!」
涼子「はい!」


 瀕(ひん)死のエミを涼子に任せ、矢的はガラガラ星人の配下をけちらし、憎むべき凶悪な敵・ガルタン大王を倒すため、変身アイテム・ブライトスティックを高々と掲げた!


矢的「エイティ!」



 宙を華麗に回転し、アジトの山を出てくるウルトラマンエイティ!
 オープンセットの岩山が大爆発!
 オープンのあおりで撮らえたエイティが岩山に向かって身構える!
 ガルタン大王が巨大化、崩れた岩を蹴り飛ばして出現!


 ファイティングポーズを決めるエイティの上半身がオープンのあおりで撮らえられるが、画面右に樹木のセットが律義に用意されている!
 がっちり組み合う両者までオープンのあおりで撮られ、巨大感が絶妙に表現されているが、ガルタン大王がエイティに左足でキックをかましてエイティを投げ飛ばし、エイティが着地してからはスタジオセットに移る。


 ガルタン大王、鞘(さや)から剣をひっこ抜き(鞘を乱暴に投げ捨てるのがまたいい!)、エイティに襲いかかる!
 エイティ、ガルタン大王の剣をなんと宙返りでよけ、さらに襲いかかる剣を今度はバック転でかわす!


 エイティ、ガルタンの剣を真剣白刃取り(しんけんしらはどり)で受けとめ、なんと剣ごとガルタン大王を投げ飛ばす!
 素早く剣でエイティを小突き回すガルタン大王!


 ここで再びオープンのあおり撮影が併用されるが、ガルタン大王のアクションは等身大のガラガラ星人配下たちよりもスピーディなのである!
 こっちの方がよほど動きにくそうな造形なのに! スーツアクターのm熱演が光る!


 今度はスタジオの天井上からのカメラ撮影により、エイティが豪快にガルタン大王を投げ飛ばす!
 再びオープンのあおり撮影。ファイティングポーズを決めるエイティだが、ガルタン大王が剣を大地に勢いよく突き刺す!
 またスタジオ天井上からのカメラにより、剣が刺された地点からエイティに向かって地面を勢いよく光弾が走るさまが映しだされる!


 エイティ、画面手前の大きな岩をジャンプし、画面奥へと逃れる!
 剣を大きく振り回すガルタン大王!
 エイティ、盾になってくれた大岩を持ち上げ、ガルタン大王に向かって投げつける!


 ガルタン大王、剣で岩をけちらすや、剣の先から波状光線を発射!
 エイティの足元が大爆発!
 たまらず大地に倒れるエイティだが、ここで再びオープンのあおり撮影、しかも逆光でエイティの姿はシルエットのように黒く映し出され、カラータイマーが赤く点滅する様子だけが印象強く残る演出がなんとも秀逸である!
 10年11月26日にバンダイビジュアルから発売されたオリジナルビデオ作品『ウルトラ銀河伝説外伝 ウルトラマンゼロVSダークロプスゼロ STAGE(ステージ・ワン) 衝突する宇宙』冒頭で描かれた、ニセウルトラ兄弟の演出を彷彿とさせる!


 再びセットに戻り、画面手前に倒れたエイティの顔を配置し、後方に剣で襲いかかろうとするガルタン大王を映したのに続き、大地を転がって剣をよけるエイティをつなげるなど、センスいいことこの上ない!
 剣を振り回しておそいかかるガルタン大王に、エイティは左右の手からウルトラダブルアローを放ち、ガルタン大王の剣を遂に切断!
 エイティ、さらにジャンピングキックでガルタン大王の右腕に致命傷を与え、必殺のサクシウム光線を放った!
 遂に大地に崩れ落ち、大爆発を遂げるガルタン大王!



――第43話『ウルトラの星から飛んで来た女戦士』のガルタン大王の立ち回りはダイナミックですね。
 「これはもうまさに時代劇、チャンバラものをやりますっていうね。星人が刀を持っていたし。岩をちぎっては投げ、ちぎっては投げっていう(筆者注・実際にはそんな場面は存在しない・笑)。「講談ものみたいなことを特撮でやったらどうなる?」というのを試そうという思いがあったんですよ。前半は割とシリアスな話が多かったのが、中盤になるとくだけた怪獣が出てきてたりもしたから、なんでもありになったんですね(笑)」
 (特撮監督 神澤信一・タツミムック『検証・ウルトラシリーズ 君はウルトラマン80を愛しているか』辰巳出版・06年2月5日発行・ISBN:4777802124



 のちに『ウルトラセブン 太陽エネルギー作戦』(94年3月21日・日本テレビ)や『ウルトラセブン 地球星人の大地』(94年10月10日・日本テレビ)、『ウルトラマンティガ』(96年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19961201/p1)に『ウルトラマンガイア』(98年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19981206/p1)、さらにはバップのオリジナルビデオ作品『ウルトラマンネオス』(00年)や『ウルトラセブン』(98年と99年版)なども務めた神澤氏の特撮監督としての『80』での初仕事が今回なのだが(デビューは先の『A』第50話『東京大混乱! 狂った信号』)、時代劇の殺陣(たて)を応用したスピーディなアクション、オープン撮影を多用した巨大感の表現、変幻自在に切り替わるカメラワークともう見ごたえ満点であり、いくら助監督として現場を長く経験しているとはいえ、正直初仕事とは思えない見事なものである!
 同書籍で脚本家・平野靖士が主張した「善悪の割り切りがはっきりある中での痛快な戦い」を表現するには、氏の起用はまさにうってつけだったのである!



 遂にガルタン大王を倒したエイティ、赤い渦に包まれて矢的の姿に戻るや、即座にエミのもとに駆け寄っていく!
 美しい夕暮れの中、涼子の介抱も空(むな)しく、横たわるエミ……


矢的「あっ、ユリアン、城野隊員は!?」
涼子「あらゆる手を尽くしたけれど、ダメだったわ」
矢的「えっ!? 城野隊員!」
エミ「……ありがとう、猛……」
矢的「隠していて悪かった。俺がウルトラマンエイティなんだ」
エミ「薄々感じていたわ……」
矢的「エミ、君は俺のために……」
エミ「あなたは、地球にとって大切な人なのよ。あなたには、これからも地球のために、戦ってほしい人なのよ。だから……だから……だからわたし、少しも後悔なんかしてないわ」


 「だから」を三回もリフレインすることにより、「少しも後悔なんかしてないわ」が一層強調される! なんとも泣かせる演出である!


矢的「エミ!」
エミ「……涼子さん……涼子さんどこ……」
涼子「わたしはここよ。ごめんなさいエミさん。わたしがあなたにブレスレットをプレゼントしたばかりに」
エミ「……いい……いいのよ、気にしないでね涼子さん。そんなことより、お願いがあるの」
涼子「なんなのエミさん!」
エミ「わたしの代わりにUGMの隊員になって、矢的隊員を助けてあげて……約束して……」


 「悪い怪獣や宇宙人と戦って」でも「地球の平和を守って」でもないのだ。UGMの隊員となって、「矢的隊員を助けてあげて」なのである!
 これこそエミが矢的を愛していたことの証(あかし)ではなかろうか!


涼子「私がUGMの隊員に!? わかったわ、約束するわ!」
エミ「ありがとう……猛……さよなら……」
矢的「エミ……」


 そのまま顔を伏せ、ピクリともしないエミ……


イケダ「せんぱ〜い! 城野隊員は?」


 今ごろになって現れるイケダの問いに、矢的は無言で首を振る……


イケダ「え〜っ!? 城野たいい〜ん!」


 イケダの絶叫がこだまする!



 そして作戦室では……


オオヤマ「なに? 城野が!?」
フジモリ「キャップ!」
イトウ「どうしました?」
オオヤマ「殉職した」
フジモリ「え〜っ!?」
イトウ「まさか?」
オオヤマ「城野……君はよくやった……」


 おもわず目を伏せるオオヤマキャップ。
 悔しそうに目を閉じるフジモリ。


イトウ「そんな……そんなバカな!?」


 絶句したまま、かすかな涙があふれ出るイトウチーフ。


 この場面の一同の泣きの演技は絶品だが、ここで『宇宙戦艦ヤマト』(74年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20101207/p1)の劇中音楽で有名な川島和子のスキャットによる、悲しみを表現する曲が使用されているのがまた泣かせてくれる。
 先述の第18話でも沢子に蘇生されたイトウチーフと矢的が海を見つめるラストシーンに使用されているが、『ウルトラマン80 ミュージック・コレクション』(日本コロムビア・96年8月31日発売・ASIN:B00005ENF5。劇中音楽をほぼ完全収録した2枚組の音盤。コロムビアはなぜ「放映30周年記念」としてこれを再発しなかったのか!?)では、本曲を収録したブロックに「無償の愛」なるタイトルがつけられている。
 エミの行為はまさに、「無償の愛」そのものなのである!



 エミを抱え上げ、沈む夕日に向かってエミに誓う矢的。そして涼子。


矢的「エミ、約束するよ。地球の平和のために、俺は力いっぱい戦っていくよ」
涼子「エミさん、私もあなたに約束します」
イケダ「……ウヒッ……」


 言葉にならず、ただ嗚咽(おえつ)して上を向くイケダ、ってなにもこんな場面でまで笑いをとらなくても……(笑)


ナレーション「城野隊員の美しい愛の行為は、UGM隊員の心に、いつまでも、深く深く残ることだろう」





 連続ドラマのレギュラーが降板する理由として、役者本人のスケジュールの都合や健康上の理由などの個人的なものと、作品のイメージ一新をはかるため、意図的にキャラクターを入れ替えするものと、二通りがあげられる。


 『80』と同時期の作品の場合、『(新)仮面ライダー』(79年)で主人公の筑波洋(つくば・ひろし)をスカイライダーに改造し、その後ネオショッカーと戦う洋に協力した志度敬太郎(しど・けいたろう)博士を演じた田畑孝は第13話『アリジゴクジン 東京爆発3時間前』をもってレギュラーを降板しているが、これは氏の健康上の理由によるものであり、放映中の翌80年に氏は亡くなっている。


 第14話『ハエジゴクジン 仮面ライダー危機一髪』以降、洋の大学時代の先輩・谷源治郎
 ――たに・げんじろう。演じた故・塚本信夫は『帰ってきたウルトラマン』の防衛組織MAT(マット)の初代隊長・加藤勝一郎(かとう・かついちろう)役で知られ、『仮面ライダースーパー1(ワン)』(80年)にもひき続き同じ役で出演しているが、第1期仮面ライダーシリーズでライダーの良き協力者であった立花藤兵衛(たちばな・とうべえ)役だった故・小林昭二(こばやし・あきじ)も『ウルトラマン』で科学特捜隊のムラマツキャップを演じていたことから、当時は大きな話題になったものである――
 がレギュラー入りすることとなったが、まさにこれが転機となり、以降初期のレギュラー出演者たちが次々と番組を降板することとなる。


 第15話『恐怖 アオカビジンの東京大地震』をもって、志度ハンググライダークラブのメンバー・杉村ミチを演じていた伏見尚子がなんの説明もなく、突然姿を消してしまう(続く第16話『不死身のゴキブリジン G(ゼネラル)モンスターの正体は?』ではネオショッカー出現を知らせる電話の声のみを演じている)。


 そして第16話を最後に、ネオショッカー出現に必ず出くわしてしまうルポライター・飛田今太(とんだ・こんた)を演じていた東隆明(『ウルトラマンレオ』第12話『冒険野郎が来た!』では東龍明の名義でアフリカ帰りのMAC隊員・佐藤三郎を演じていた)も降板するが、これは谷と同じく第14話から喫茶ブランカの従業員として沼さん(演・高瀬仁)がコメディリリーフとして設定されたことが大きいだろう。


 さらに第17話『やったぞ! Gモンスターの最後』をもって、志度博士の助手だった叶(かのう)みどりを演じていた田中功子と、志度ハンググライダークラブのメンバー・野崎ユミを演じていた巽かおりも、ネオショッカー大幹部・ゼネラルモンスターに「全治10ヶ月」の重傷を負わされたために姿を消す
 ――ただしユミは第33話『ハロー! ライダーマン ネズラ毒に気をつけろ!!』以降、喫茶ブランカのバイトとして復帰、第54話(最終回)『さらば筑波洋! 8人の勇士よ永遠に……』まで出演している――。
 その当のゼネラルモンスターを演じた堀田真三自身もまた、正体の怪人ヤモリジンとなるもスカイライダーに敗北し、ライダーともども自爆を試みるが、次なる大幹部・魔神提督に抹殺される形で今回をもって降板しているのである。


 この時点で番組初期から出演しているレギュラーで残ったのは主人公の筑波洋を演じた村上弘明と、叶みどりの弟・シゲルを演じた白鳥恒視のみであり、「そして誰もいなくなった」(笑)とはならなかったものの、毎週確実にレギュラー出演者が少しづつ姿を消していくというのはまさに異例の事態である。


 第3次怪獣ブームの中、講談社の幼児誌『テレビマガジン』における旧作の特集記事や、関連書籍の出版、再放送などから新作を求める声が高まり、それに応える形で製作された『(新)仮面ライダー』であったが、当初視聴率が10%台半ばを低迷したため、1クールの放映を経た79年末の時点で東映毎日放送の間で大きな修正をすることが検討された。
 脚本・監督陣の入れ替え(まさに第1期ライダーの中心人物であり、『(新)仮面ライダー』でもメインライターだった故・伊上勝(いがみ・まさる)でさえ、2クールをもって脚本から降りている)、海外SF映画『スーパーマン』(78年アメリカ・79年日本公開)に影響を受けて設定されたスカイライダーの飛行能力の事実上の排除などがそれにあたるが、ここで提案された「歴代ライダーの客演」こそが、この番組を救うこととなったのである!


 さらには7人ライダーのエネルギーによって新仮面ライダー・V9(ブイナイン)が誕生し、スカイライダーと交替、もしくはスカイライダーと共闘するというステキな案までもが検討されていたという!
 そのV9は米航空宇宙局NASA(ナサ)の宇宙飛行士・沖正人(おき・まさと)が変身するメカニックライダーであり、仮面ライダースーパー1の原形となる設定が、早くもこの時点で生み出されていたのである!


 V9は80年春の劇場版でのデビューが予定され、ギリギリまで検討されたものの、歴代ライダー客演の効果で番組の人気が予想以上に上昇したこと、さらには次なる作品の製作OKも出たため、V9は次回作の主人公ヒーローとして、あらためて企画が練り直されることとなったのである。
 ウ〜ン、これは幸か不幸か……


 話を元に戻すが、レギュラー出演者の総入れ替えも番組刷新をはかる中で検討されたものであり、一見乱暴なやり方のように見えるものの、結果的には大成功となった希有(けう)な例なのである。



 また『80』の直前まで放映されていた東映スーパー戦隊シリーズバトルフィーバーJ』(79年)の場合、1年の放映の間に主役級のヒーロー・ヒロインのうち、2名もメンバーチェンジが発生するという異例の事態が発生した。若いマニアの皆さんも戦隊シリーズには詳しいだろうからたずねるけど、これってどう考えても異常でしょ?(笑)


 第24話『涙! ダイアン倒る』(シナリオタイトルは『涙! ダイアン死す』であったが、この中でもダイアンが死ぬという構想はされていない)において、ダイアン・マーチン=ミス・アメリカの正体が敵組織エゴスに知られてしまい、さらにはドラキュラ怪人に襲撃されて衰弱したため、ダイアンの妹・キャサリンの護衛のために来日していたFBIの捜査員・汀(なぎさ)マリア――演・荻奈穂美(おぎ・なおみ)。このコ大好き(笑)――が、ダイアンからバトルスーツを託され、以後二代目ミス・アメリカとなって活躍することとなり、ダイアンはそのまま戦線を離脱することとなるのである。
 これはダイアンを演じていたダイアン・マーチン(演じる役者そのまんまの名前がネーミングされた。当時フジテレビで放送された『オールスター水上大運動会』に彼女が出演しているのを見た記憶があるので、結構売れっ子だったのか?)が、当初からまともにロケに参加できないくらいにスケジュールの調整が難しく、いよいよ出演不能となったことから、名作刑事ドラマ『Gメン’75』(75〜82年・東映 TBS)でもよくメンバー交替劇を書いていた脚本家の高久進(たかく・すすむ)に発注された話である。


 また第33話『コサック愛に死す』では、父である国防省の三村教授を目の前でエゴスに殺された少女・まゆみから、かつては兄のように慕われていたにもかかわらず、「血のにおいがするから」と拒絶された白石謙作(しらいし・けんさく)が、バトルスーツを持たずにまゆみと出かけた末、彼女を守るためにエゴスの凶弾に倒れてしまうのである。
 彼の先輩である神誠――じん・まこと。演じた伴直弥は『人造人間キカイダー』(72年・東映 NET→現テレビ朝日)の主人公・ジロー、『イナズマン』(73年・東映 NET)の主人公・渡五郎(わたり・ごろう)役などで知られる――が白石からバトルスーツを授かり、以後彼が二代目バトルコサックとして活躍することとなったのだが、これは白石を演じていた伊藤武史の個人的なトラブル(正直詳細はよく知らないし、ご本人の名誉のために憶測は避けたい)が原因で番組を降板ぜざるを得ない状況となってしまったようである。


 いずれも役者本人の都合によるものであったが、どちらも交替劇はスムーズに行われ、かつ感動をも呼び起こす仕上がりとなった。もともと本作は当初から評判がよかったため、大きな番組刷新をはかる必要もなかったのだが――もっとも当初メインで描いていた高久進の代表作『キイハンター』(68〜73年・東映 TBS)を思わせるスパイ・アクション的な趣は次第に薄くはなっていったが――、個人的にはメンバー交替によるマイナス効果は微塵(みじん)も感じられないように思える。



 さて『80』では既に第12話『美しい転校生』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100718/p1)をもって、学校編の設定を全て排除したことにより、桜ヶ岡中学校の生徒・教師役を務めていたレギュラー俳優たちが全て降板するという――ただし事務員のノンちゃんを演じていた白坂紀子のみ、第21話『永遠(とわ)に輝け!! 宇宙Gメン85』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100919/p1)よりUGMの気象班・小坂ユリ子隊員として再レギュラー入りを果たす。ファミリー劇場『ウルトラ情報局』11年1月号にゲスト出演した小坂によれば、これには本人が一番驚いたという――、『(新)仮面ライダー』並みの大規模な番組刷新が行われたが、これが正解だったかどうかは賛否両論渦巻くところであり、筆者としても微妙で断言は差し控えたい。


 さらに第26話『タイムトンネルの影武者たち』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20101023/p1)をもって、ハラダ時彦(ときひこ)隊員を演じた無双大介、タジマ浩隊員を演じていた新田修平がオーストラリア・ゾーンに転任したことにして降板している――第50話(最終回)『あっ! キリンも象も氷になった!!』では二人とも日本の危機に駆けつけている――。



 「きっと僕ら若い連中が、あまりにスタッフの云うことを聞かなかったからじゃないかな? 主役じゃなかったら、僕もはずされていたかもしれない(笑)」
 (矢的猛役 長谷川初範インタビュー・『君はウルトラマン80を愛しているか』より)


 「無双大介君は以前、(東京)12チャンネル(現・テレビ東京)の『天下一大物伝』の主役でした。俳優さんも飛んだり跳ねたりするから、運動神経がないとやはり大変です。そんなに難しいことはいりませんが簡単なことくらいは……。ちょっと転んだりしただけでケガしたりと、最初の2人の交替はそんな理由によります。とにかくあの2人はついてなかったですね」
 (「監督・湯浅憲明が語った『ウルトラマン80』・『君はウルトラマン80を愛しているか』より)



 両氏の話には微妙な食い違いがあるが、どちらが正しいにせよ、劇的な交替劇を描くわけにはいかず、第27話『白い悪魔の恐怖』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20101030/p1)以降、フジモリ新八郎(しんぱちろう)隊員を演じる古田正志、イケダ登(のぼる)隊員を演じる岡本達哉が、何食わぬ顔をして(笑)レギュラー入りすることとなる。



 そしてまたしても今回の降板劇である。今回はよく知られるとおり、エミを演じる石田えりが『80』出演中に人気が急上昇、あちこちから出演オファーがかかりまくりとなったため、スケジュール調整が難しくなったことから、「名誉の戦死」扱いにして降板させるに至ったものであるが、桜ヶ岡中学校の生徒や教師、ハラダやタジマのように、ろくに説明もないままに突然画面から消え失(う)せる形で終わらなかったのは、やはり本人の都合にとどまらない確固たる理由があるのである。


 『帰ってきたウルトラマン』第37話『ウルトラマン夕陽(ゆうひ)に死す』をもって、坂田アキを演じる榊原るみが、坂田健(さかた・けん)を演じる故・岸田森(きしだ・しん)ともども、暗殺宇宙人ナックル星人に殺害される形で、
 『ウルトラマンA』第28話『さようなら 夕子よ、月の妹よ』をもって、北斗星司とダブル主人公であった南夕子を演じる星光子が、故郷である月を死の星にした元凶・満月超獣ルナチクスを倒し、北斗ひとりにエースの使命を託して、仲間が移住した冥王星へと旅立つ形で
 降板したのは、いずれも役者本人の都合(榊原はスケジュール過密、星については筆者の『A』評を当サークルのバックナンバーやブログ等にて参照されたし)による部分が大きかったが、彼女たちが降板したあとのシリーズ展開を見ると、決してそれだけでは片付けられないものがあるように思えるのである。


 坂田アキが姿を消して以降、『帰ってきた』はほぼ毎回侵略宇宙人が手下の宇宙怪獣を連れて地球に来襲するパターンとなり、『A』はウリであった合体変身と異次元人ヤプールが消滅したのもさることながら、「ウルトラ6番目の弟」=梅津(うめづ)ダンがレギュラーとなり、『80』第31話『怪獣の種(たね)飛んだ』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20101127/p1)〜第42話『さすが! 観音さまは強かった!』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20110212/p1)の「児童ドラマ編」の元祖であるかのような展開となって、ともに従来の作風から大きく路線変更を遂げたのである。
 役者個人の都合でヒロインが姿を消すだけならば、別にそのまま従来の作風でシリーズを続行させればよいわけである。が、そういうわけにはいかなかったのだ。


 『帰ってきた』は初期の人間ドラマの強調や恐竜型怪獣のオンパレードが災いして苦戦したころに比べ、3クール目以降は視聴率が上向き傾向となったものの、第1期ウルトラに比べればまだまだ遠いものだった。
 『A』は関東地区では『変身忍者 嵐』(72年・東映 毎日放送)が真裏で放映されたことで、意外に苦戦していたのである。
 どちらも大きな変革を迫られていたのだ。そういうタイミングでヒロイン降板の話が出てきたことで、ならばいっそのこととばかりに、まさにそれに便乗する形で路線変更をはかったというわけなのだ。


 マニアには『帰ってきた』の4クール目も、『A』第29話『ウルトラ6番目の弟』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061120/p1)から第43話『冬の怪奇シリーズ 怪談雪男の叫び!』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070224/p1)に至るダン少年編も、いまだに評判が芳(かんば)しくないようだが、実は『帰ってきた』も『A』も、本放映で最も視聴率を稼いでいたのはまさにこの時期の作品群であったのだ!
 ヒロイン降板に便乗した形の路線変更は、商業的にはまさしく大成功をおさめたのである!


 それに比べるとあまり話題にのぼらないように思うが、『ウルトラマンタロウ』で当初ヒロインの白鳥さおりを演じていた朝加真由美は第16話『怪獣の笛がなる』をもって降板し、第17話『2大怪獣タロウに迫る!』・第18話『ゾフィが死んだ! タロウも死んだ!』・第19話『ウルトラの母愛の奇跡!』の三部作をはさみ、第20話『びっくり! 怪獣が降ってきた』以降、朝加とはルックスも個性も正反対というくらいにまったく異なる小野恵子が白鳥さおりを演じている。
 これは現在の観点でははっきり云ってメチャクチャいい加減である(笑)。本来なら海外に留学するなりなんなりで理由をつけて、さおりとはまったく別人の新ヒロインを設定しそうなものである。だが『タロウ』ではそうする必要性がまったくなかったのである。


 『タロウ』の平均視聴率は17.4%であり、『A』の18.6%(真裏に『嵐』があったことを思えば、実質的にはもっと上であろう)をやや下回った。最高視聴率は第1話『ウルトラの母は太陽のように』の21.7%であったが、『A』の第1話『輝け! ウルトラ五兄弟』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060514/p1)は28.8%も稼いでいたのである!
 だが、第1話の視聴率の差が7%もあるのに、平均視聴率の差が1%くらいしか開きがないということは、『A』は視聴率の高低の差が激しかったと考えられ、それに比べて『タロウ』はいまだに全話の視聴率が公表されていないが年間を通して比較的高めで安定していたという解釈ができるのである。
 ということは、『タロウ』では大きな路線変更をする必要がなかったということになるのである。なので朝加真由美が降板しようが、別の女優にそのままさおりをやらせればいいや、となったのではないかと(笑)。
 火山怪鳥バードン登場三部作をはさんでそれをやったのも実にウマい! タロウは死ぬわゾフィーは死ぬわ、団地の住人が皆バードンに食われるわで、さおりの顔が変わるどころの騒ぎじゃなかったもんなあ(笑)。



 『80』に話を戻すが、本誌2011年号に掲載された森川 由浩氏が調査した視聴率表によれば、『80』の関東地区での最高視聴率は第2話『先生の秘密』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100507/p1)の18.7%であり、『タロウ』第1話より3%下回っているだけと考えれば、結構健闘していたかのように思えるのだ。
 しかしながら平均視聴率は10.0%にとどまり、第2期ウルトラとの差は歴然である。この数字は『A』のような高低の激しさにとどまるものではない。各クールの平均を見ると1クール目が13.2%、2クール目が9.4%、3クール目が8.4%と、まさに落ちこむ一方だったのである。
 『80』は第1話『ウルトラマン先生』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100502/p1)から第12話『美しい転校生』までの学校編(学園編・教師編・桜ケ岡中学編)、第13話『必殺! フォーメーション・ヤマト』から第30話『砂漠に消えた友人』までの、『ウルトラセブン』を意識したSF色の強いUGM編、第31話『怪獣の種(たね)飛んだ』から第42話『さすが! 観音さまは強かった!』の児童編(子供編)と便宜上わけられており、完全に符合はしないものの、それぞれのクールの象徴となっている。


 放映当時は『3年B組金八先生』(79年・TBS)などのヒットによる学園ドラマブームへの迎合(げいごう)であるとして、マニアからは批判の強かった学校編であるが、やはり児童層や一般層には好意的に受け入れられていたと解釈するのが妥当であろう。
 それが証拠に学校編に該当する作品群の中で、唯一学校の場面が描かれなかった第11話『恐怖のガスパニック』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100711/p1)が関東に限らず、中部・関西でも第10話『宇宙からの訪問者』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100704/p1)に比べて視聴率が低下、それまでの最低を記録したと思ったら、第12話ではどの地区でも第11話に比べ、5%前後もの上昇を遂げるという現象が起きていたのだ!
 そしてUGM編の一発目・第13話は、関東と関西では第12話と比べ、また5%前後落ちこんでいるのである。「ウルトラマン先生」という目新しさに注目して視聴していた層にとっては、「なんだ、またいつものウルトラマンになるのか」という感覚ではなかったのか?
 (ちなみに中部ではわずか0.9%低下したのみ。やっぱ中部ではドラマより娯楽なのよ・笑)


 円谷プロ的にも「学校編」はTBSからの押しつけ企画として嫌われ(『君はウルトラマン80を愛しているか』のスタッフ・インタビューでは総じてそう語られている)、円谷が本当にやりたかった、マニアが観たかったSF色の強い「UGM編」は一般層には敬遠され、視聴率を低迷させることとなった。
 70年代には受け入れられたであろう良質な児童ドラマが続出した「児童編」も、「軽薄短小」な時代の空気が蔓延(まんえん)し始めた当時にはそぐわないものとなってしまっていた――国際放映の作品でも『ケンちゃん』シリーズ(69〜82年・TBS)よりも、『あばれはっちゃく』シリーズ(79〜85年・テレビ朝日)が人気を博していたころである――。
 視聴率が低落する一途の中、『80』はさらなる変革を迫られていた。そこに城野エミを演じる石田えり降板の話が持ち上がった。円谷はまたしてもそれに便乗することとなったのである。



 第3次怪獣ブームは、児童間では小学館の『コロコロコミック』や『てれびくん』、学年誌において内山まもる大先生を筆頭にかたおか徹治(てつじ)先生、居村眞二(いむら・しんじ)先生らが描いた、地球という舞台を離れたスペース・オペラとして展開するウルトラ兄弟たちのコミカライズ作品が牽引(けんいん)したという部分が大きいのだ。
 それまで頑(かたく)なにウルトラ兄弟を登場させなかった『80』であったが、遅まきながらようやくそれらの偉大さに気づいたのか、まさにそれらを彷彿とさせるような


 「ウルトラの星とガラガラ星の全面戦争(!)」


 (セリフのみなのが残念であるが)を発端(ほったん)とする展開の中で、新たなウルトラ戦士、しかもウルトラの星の王女という新ヒロインを誕生させることとなったのだ!


 そして続く第44話『激ファイト! 80VS()ウルトラセブン』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20110226/p1)で妄想(もうそう)ウルトラセブン、第45話『バルタン星人の限りなきチャレンジ魂』で宇宙忍者バルタン星人六代目、第46話『恐れていたレッドキングの復活宣言』でどくろ怪獣レッドキング三代目と、人気ヒーロー・人気怪獣が再登場する作品を連打したことが、たとえわずかではあるが「児童編」の後期よりも視聴率を上向かせ、4クール目の平均視聴率は関東地区で8.9%と、3クール目よりも上昇させることにつながったのである!


 『ウルトラマンレオ』第40話『恐怖の円盤生物シリーズ! MAC全滅! 円盤は生物だった!』で防衛組織MACは全滅、山口百子(やまぐち・ももこ)、野村猛、そして梅田カオルまでもが円盤生物シルバーブルーメのために命を落とすという衝撃の新展開同様、新ヒロインの誕生は遅きに失した感がある――第2次怪獣ブームも風前の灯(ともしび)であった中、『レオ』の場合はもう何をやってもどうにもできなかったという感も強いが――。
 石田えりの降板とは別として、やはり3クール目中盤くらいにはユリアンを登場させ、児童ドラマを展開しつつも、第3クール終盤〜第4クールでそれこそ『A』の北斗と南の合体変身ならぬ、矢的と涼子の「ダブル変身」をたびたび披露していたならば、女子児童をも取りこんで視聴率の回復も期待できたであろうなんて妄想したりもするのだが。
 もちろん『(新)仮面ライダー』のように、月に一度はとっかえひっかえでウルトラ兄弟との共闘も描いていたなら完璧だったが。


 「ウルトラの母のほかにも女性のウルトラ族を出してえ! 内山先生、お願い!」
 (『コロコロウルトラファンプラザ』・『コロコロコミック特別増刊号・SF超大作 決定版ウルトラマン PART1』小学館・78年7月24日発行・6月24日実売)


 こんな女子児童の願いを無視し続けていることこそ、ウルトラが戦隊シリーズの人気を下回ることとなった遠因であるように思えるのだ。



 まあ、そうは云っても『バトルフィーバーJ』第16話『格闘技! 闇の女王』とか、『(新)仮面ライダー』の最終三部作とか、『仮面ライダースーパー1』第22話『怪人墓場の決闘! メガール将軍の最期(さいご)』とか、やたらとゲストヒロインが死ぬことが多い印象の江連卓(えづれ・たかし)が水沢又三郎のペンネームで執筆した、それこそMACに百子や猛、カオルのような報われない「犬死に」ではなく、城野エミが主人公・矢的猛の盾となって命を落とすという見事な死にざまを見せ、しかもそれが自らの不注意が招いたという負い目を背負わせられたことこそが、ユリアンというキャラクターを視聴者に強く印象づけることとなったのも否定できない事実である。
 云うならば石田えりの降板なくしては当時の(今もか?)円谷の発想ではユリアンが誕生することはなかったという可能性が強く、その意味では『80』は決して運に恵まれないばかりの作品ではなかったのかもしれない。熱心な城野エミのファンには怒られるかもしれんが。



<こだわりコーナー>


*城野エミ隊員を演じた石田えりは60年11月9日生まれ。『スターチャレンジ』(76年・NET)のアシスタントで芸能界デビューして以降、その後の幅広い活躍についてはキリがないのでここでは割愛。
 ネット版百科事典「ウィキペディア」によれば、『80』を降板したのは「ウルトラシリーズに出演する女優は大成しない」というジンクス(大ウソである)を懸念(けねん)した事務所の方針だったとされているのがなんともひっかかる。
 2010年の『80』放映30周年記念のイベントやDVD−BOX(ASIN:B003E3X5OIASIN:B003E4AZI6)などにも出演やコメントなど一切ないのも気になってしかたがない。『タロウ』で東光太郎を演じた篠田三郎と同様の心境なのかもしれないが、せめて『ウルトラ情報局』の『80』最後の号にでも出演してはもらえないものであろうか……


*星涼子=ユリアンを演じた萩原佐代子(はぎわら・さよこ)は62年12月1日生まれ。日大鶴ヶ丘高校在学中の80年、カネボウ化粧品の夏のキャンペーンガール『レディ’80(エイティ)』(まさに『80』に出るべくしてデビューしたのだ!)に選ばれ、さらにモデルと並行して『俺んちものがたり!』(80年・TBS)で女優デビューを果たしている。
 『80』終了後は東映スーパー戦隊シリーズ科学戦隊ダイナマン』(83年・テレビ朝日)で立花(たちばな)レイ=ダイナピンクを演じ、さらに同じく戦隊シリーズの『超新星フラッシュマン』(86年・テレビ朝日)では敵幹部のレー・ネフェル役で出演していた。
 『ダイナマン』出演時に『80』でも世話になった東絛昭平監督に「バカ!」と云われた際、彼女はおもわず「私バカじゃありません!」と云い返したらしく(笑)、のちに「俺に云い返してきたのはおまえが初めてだったよ」と云われたとか。
 その後『フラッシュマン』では東絛監督は一転して「佐代子〜」などと親しげに声をかけてきたそうだが、萩原はそれを聞き、おもわずあとずさりしたのだとか(爆)。
 なお『ウルトラマンメビウス』第41話『思い出の先生』放映直後、彼女は「涼子=ユリアン役で出たい」と自身のブログで発言していた。これを実現させなかった円谷プロってホントにもう……(以下略)
 ちなみに彼女が現在所属する事務所は「オフィスユリアン」である(自身の個人事務所か?)。まさに石田えりとは対照的だ……


(了)
(初出・『仮面特攻隊2011年冬号』(2011年2月6日発行)〜『仮面特攻隊2012年号』(2011年12月発行)所収『ウルトラマン80』後半再評価・各話評より分載抜粋)


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ザ☆ウルトラマン(79年)#31「ウルトラの女戦士」 〜ウルトラマンジョーニアスの妹アミア!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20091129/p1



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