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ウルトラマン80 46話「恐れていたレッドキングの復活宣言」 ~人気怪獣・復活月間の総括!

(YouTubeウルトラマン80』配信・連動連載予定)
『ウルトラマン80』#43「ウルトラの星から飛んで来た女戦士」 ~星涼子・ユリアン編開始!
『ウルトラマン80』#44「激ファイト! 80 VS ウルトラセブン」 ~妄想ウルトラセブン登場
『ウルトラマン80』#45「バルタン星人の限りなきチャレンジ魂」 ~俗っぽい侵略の超合理性!
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『ウルトラマン80』全話評 ~全記事見出し一覧


ウルトラマン80』第46話『恐れていたレッドキングの復活宣言』 ~人気怪獣・復活月間の総括!

どくろ怪獣レッドキング三代目 壷の精マアジン登場

(作・平野靖司 監督・東條昭平 特撮監督・佐川和夫 放映日・81年2月25日)
(視聴率:関東9.7% 中部12.9% 関西12.1%)
(文・久保達也)
(2011年4月脱稿)


「僕は「なにもわざわざ昔の怪獣を出すことないじゃん」って思ったんですけどね。この時は確かプロデューサーからレッドキングを出そうって話でした」


――ではレッドキングへの思い入れなどは特になく?
「この話に対しては思い入れはなかったですね。本来レッドキングは怪獣がたくさん出てくる島にいたじゃないですか」


――『(初代)ウルトラマン』(66年)第8話『怪獣無法地帯』の多々良島(たたらじま)ですね。
「そうそう。僕にとってのレッドキングはそういう怪獣なんですよ。この時は「とりあえず出せ」というから出したわけですよ。魔法使いが出すという設定だけど、要はなんだってよかったんです。これはもう、無理やり出すために考えた設定だったんです(笑)」


(『タツミムック 検証・ウルトラシリーズ 君はウルトラマン80を愛しているか』(辰巳出版・06年2月5日発行・05年12月22日実売・ISBN:4777802124)脚本/平野靖士インタビュー)



 当時の平野氏の「やる気のなさ」が伝わる発言だ(笑)。ウルトラマンシリーズを代表する大人気怪獣・レッドキングを出すためにムリやり設定された「壷(つぼ)の精・マアジン」による珍騒動が全編にわたって繰り広げられる今回のコミカル編。


 そして、あのシリアス寄りの演出で、時に社会派風味もあった東條監督による作品だったとはちょっとビックリだ(笑)。しかし、変身ヒーロー作品に市民権を勝ち取るために社会派テーマや陰欝(いんうつ)な人間ドラマを求めていた若いころをとうに相対化した中年マニアからすれば、なかなかどうして実に味わい深い楽しめる作品に仕上がっていると思える。


 静岡県裾野市(すそのし)にある「日本ランド スキー場」に家族でスキーに来ていた淳少年と妹のヨッコ――この場所は2011年現在では、「スノータウン Yeti(イエティ)」という名称に変わって、「富士急行」系のフジヤマリゾートが運営している(イエティは「雪男」の意味)――


 彼ら兄妹は偶然見つけたホラ穴の中で奇妙な「壷」を発見。ヨッコはそれを絵本の中で見た、なんでも願いをかなえてくれる魔神・マアジンが潜んでいる「壷」だと信じこんで、それを大事に持ち帰った。


正男少年「怪獣発見! 前方30メートル! 爆弾投下用意!」


 帰宅してからも「壷」を大事そうにかかえて外出するヨッコと出歩いていた淳少年。彼らはモロにイジメっ子風の少年たちである正男ら3人の悪ガキが乗る自転車から、スレ違いざまに爆竹(ばくちく!)の奇襲攻撃に襲われてしまった!(汗)


 それにしても、この正男少年はいかにもヤンチャそうに見える子役を使っていて、絶妙なキャスティングである。


 おそらく近くに飛行場があることを示すのに加えて、それ以上にこのシーンに太平洋戦争中の「空襲」のイメージも微量に付与するためだろう。この場面では、航空機が飛行する効果音が終始流されている。爆竹がハデに破裂する前後では、まさに悪ガキどものセリフ「爆弾投下用意!」の状況と見事にシンクロしていた!(笑)


 本エピソードのメインテーマではないが、ディテールに対する点描に、スタッフたちの太平洋戦争中の「空襲」体験を声高にガナったりはしないもののダブらせていく、ちょっとしたお遊びの演出は、『ウルトラマンタロウ』(73年)第39話『ウルトラ父子(おやこ)餅つき大作戦!』などでの空襲写真のインサートなどでも見られる。
 このようなトーリーではなく映像や音響面での演出はおそらく脚本上には記されておらず、本編監督なり音響担当者側のアドリブなのだろうと推測するのだが……



 冒頭のナレーションでも、妹のヨッコよりも実はスキーをすべるのがヘタである……と説明されているほど、メガネをかけた運動神経や体力には実に乏しい冴えない印象の淳少年。彼はまさに藤子・F・不二雄(ふじこ・エフ・ふじお)先生の名作漫画『ドラえもん』(69年~)に登場する小学生主人公・野比のび太(のび・のびた)クンを彷彿(ほうふつ)とさせるキャラクターである(笑)。


 そんなヒ弱そうな淳少年が、


「アイツら~!」


 とケンカをふっかけようとするや、妹のヨッコは


「お兄ちゃん、やめなさい。どうせ負けるんだから」


 と実に冷めた目で淳少年を制止している。


 絵本の中に描かれている「ファンタジー世界」の登場人物の実在を信じている、現実と虚構を混同したような素朴な少女なのかと思いきや…… そのような単純で記号的・ステレオタイプな脳内お花畑のポエム少女ではない。ヨッコは「現実世界」の世知辛(せちがら)い原理原則や、腕力や胆力では実に頼りない兄のこともわかっている、「夢見がち」と「現実的」の両面がある少女として多角的に描かれているのだ。


「バッカヤロ~~!!」


 負け犬の遠吠えのごとく(笑)、正男たちに叫ぶ淳少年に対して、振り向きざまに正男たちが、


「へへッ! ザマぁ見やがれ!!」


 などと声を揃えるさまは、個人的には30数年前の悪夢の日々を思い出してしまうほどの見事な演技であった(爆)。



 その後、淳少年は仲のよい友だちである少年・悟(さとる)や少女・ミエとともに、ヨッコのおとぎ話に付きあわされることになる。


 ヨッコが公園の水道で「壷」をきれいに洗ってあげて、


「アカサタ ナンナン マミムメモン!」(笑)


 と呪文を唱えるや、壷の中から白い煙が吹き上がった!


 作画合成の赤い渦の中から、なんと本当に絵本に描かれていた壺の妖精・マアジンが現れたのだ!!


 冒頭でヨッコが読んでいた絵本の中に描かれていた、実にファンタジックな世界は、雇われ外注デザイナーでなければ、本編美術班の誰かが描いたのだろうが、実に見事な出来映えである。


 そして、その絵本の世界に登場していた人物と同じ姿である、黒いシルクハットにウラ地が赤いマントといった、まさに「魔法使い」であるかのような、爪先の尖ったブーツ姿のマアジン。


 だが、マアジンを演じているコメディアン・横山あきおの個性が強く出すぎている(笑)。


・目の周囲が白
・その下が黄色
・頬(ほお)は青


 それらが赤で縁取(ふちど)りされているという、あまりにド派手なメイク!


 絵本の中のファンシーな「絵柄」だけの存在であれば「やさしい夢の存在」といった感じなのだ。しかし、3次元でコメディアンが演じると妙にナマ臭くなって滑稽味の方が浮上してきて正直、絵本の世界から飛び出してきたファンタジックなキャラクターだとはとうてい思えない。


 しかも、登場時には漫画の擬音のような「ボョョ~~ン!」などという効果音を流されてしまうと、これはもうテレビの前でズッコケるしかない(笑)。


 どうヒイキ目に見ても、「魔法使い」というよりは怪しい「大道芸人(だいどうげいにん)」にしか見えないマアジンに対して、ヨッコが驚きも恐れもせずに、


「マアジンさん、こんにちは」


 と律義に頭を下げた時点で、筆者は完全にトドメを刺されてしまった(爆)。


 ここで驚いてヨッコがマアジンから逃げ去ってしまうと、マアジンが魔法を使う余地がなくなったり、話が遠回りになりすぎてしまう。だから、ヨッコもそうとうの肝っ玉の持ち主か、やはりそこいらへんは物事の道理が単にわかっていない年齢相応の幼女だったのだ! といったことでナットクしようではないか!?


 もちろんそれと同時に、本エピソードはこれからリアリズムよりも不条理・喜劇の方が優先されていく作劇になりますよ~! といった視聴者に対する宣言も兼ねている。


 そんなひたすらにウサンくさい印象のマアジンではある。しかし、「大きな犬のぬいぐるみ」がほしいと願ったヨッコに、マアジンは手にしたステッキで、


「マアジン マアジン ポン!」


 と呪文を唱えて、ヨッコの願いをかなえてくれたのだ!


 願いをかなえる瞬間、ステッキの先端の周囲に七色の星がキラめく合成が実に安っぽいともいえるが、良い意味で低予算のご町内ファンタジー作品的な印象も与えてくれている。


 このステッキは、ひょっとして児童向け実写ドラマ『(新)コメットさん』(78年・国際放映 TBS)で、主人公のコメットさん役の当時のアイドル歌手・大場久美子(おおば・くみこ)が魔法を使用する際に使用していた小道具の流用ではないかと勝手に思っている(笑)。


 『ウルトラマン80(エイティ)』(80年)第7話『東京サイレント作戦』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100613/p1)で騒音怪獣ノイズラーに襲撃される新幹線のミニチュアが、映画『新幹線大爆破』(75年・東映)で使用されたものを東映から借りていたという前例もある(だから破壊ができなかった・笑)。
――ちなみに、『新幹線大爆破』は単なるパニック映画だと思われがちなのだが、実はとても良いお話の名作だ。ただし「特撮映画」だと期待して観てはいけない!――



 『コメットさん』を製作した国際放映も、往年の今は亡き東宝の分派である映画会社「新東宝」の流れを組んでいる。東宝の撮影所などもある世田谷区の砧(きぬた)にあった会社だから、同じく東宝の分派のような存在である円谷プロのご近所さんである。円谷プロから移籍した熊谷健(くまがい・けん)プロデューサーとのコネで内々に借りてくることができたとか!?(笑)



イケダ隊員「キャップ(隊長)! 怪音波です!」


 同じころ、我らが防衛組織・UGMが怪しい音波の発信をキャッチした。


イトウチーフ(副隊長)「奇っ怪な波長だな。地球のものじゃない!」
フジモリ「じゃあ宇宙人!?」


 マアジンは300年もの長い間、「壷」の中に閉じこめられていたという設定以外は、その出自については劇中では一切語られずに、最後までナゾの存在として終わっている。だが、UGMの反応からすると、遠い過去にどこかの星から「壷」の中に閉じこめられた状態で宇宙に追放された存在だったという可能性も考えられる。
 まぁ、フワフワとしたファンタジックな存在なので、過去にはちょっとした「悪党」だった……というような設定を付与してしまうと微量に重たくなってしまう。そして、本話のカルみのあるテイストも失われてしまっただろうから、そこにはあえて突っ込んでいかないのが作劇の塩加減としては正解ではある。


 ただまぁ、『(旧)コメットさん』(67年・国際放映 TBS)のオープニング映像では、宇宙でイタズラばかり繰り返す主人公のコメットさん――演じたのは当時の人気歌手・九重佑三子(ここのえ・ゆみこ)――に、業(ごう)を煮やしたベーター星の先生が、


先生「おまえみたいな娘(こ)は地球へでも行ってしまえ!」


 とコメットさんをロケットに縛りつけて、地球へと追放してしまう様子が、作品の基本設定の紹介も兼ねて毎回のオープニング映像で描かれていた。こういう漫画チックでコミカルな映像で表現されていれば、マアジンがちょっとした「悪党」だったとしても、大丈夫だったのかもしれないが(笑)。


 300年も薄汚い「壷」の中に閉じこめられていたワリには、


「イヤでがすなぁ、このゴミ」


 などと街に散乱したゴミを嘆くくらいにはマアジンもモラリストではある。


 子供たちに街をきれいに掃除させて、そのご褒美として子供たちの願いをかなえてあげようという設定もまた面白い。


 後年の特撮作品でも隆盛を極めているエコロジー・テーマをもし仮に扱うのであれば、このように子供たちにも視覚的にわかりやすいかたちで描くべきだろう。


 ちなみに、ゴミの中にはコンビニエンス・ストア「セブンイレブン」のマークが入った「紙袋」があった! 当時はまだコンビニでもいわゆるビニールの「レジ袋」ではなく、こうした「紙袋」の方が主流だったっけかなぁ? ちなみに1980~81年当時、筆者の地元の三重県四日市市(よっかいちし)にはまだコンビニは一切存在しなかった(爆)。


(編註:日本でコンビニエンス・ストアが誕生したのは70年代前半のことである。そして、70年代中盤からすでに朝7時~夜11時まで営業する趣旨の「セブンイレブン」のテレビ・コーマシャルは散々に流されていたのだが、突如として雨後の竹の子のように急速に開店ラッシュとなって、しかも24時間営業となるのは、関東圏でも80年代後半になってからのことであった……)



 マアジンに願いをかなえてもらうために、淳たちは公園のゴミを片づけて、ミエは「新しい洋服」を、悟は当時まだ出始めたばかりの「デジタル腕時計」を願った。


 しかし、マアジンからミエにプレゼントされたのは、「お姫様のような白いドレス」! 悟にプレゼントされたのは「大きな柱時計」!


 やや時代感覚がズレていたり、明らかに間違ったかたちで願いをかなえてしまうのだ(笑)――あとできちんと「デジタル腕時計」を出し直すのだが――。


 これらの描写は単なるギャグとしての点描どまりの描写ではなく、のちにマアジンが大騒動を引き起こすことの伏線として立派に機能することとなる。



「ボクは“ラジカセ”と“自転車”と“ラジコン飛行機”と“マンガの本100冊”と“チョコレートパフェ”と“テストで100点とりたい”!」


 淳少年は矢継ぎ早に願いをまくしたてる!


 淳少年は常に満たされない不全感を胸の内に秘めている我々オタクの似姿でもある(爆)。ヒ弱な淳少年のキャラクターからして、外面はガツガツとしているようにはまったく見えないのに、その内面は少なくとも自分が好きなことに対しては貪欲(どんよく)である描写もなかなかにリアルだ(笑)。


 だが、マアジンの魔法は「願いごとはひとりにつき、ひとつしか叶えられない」のが原則であった!



 怪音波の探索で出動した、我らが主人公ことウルトラマンエイティである防衛組織・UGMの隊員である矢的猛(やまと・たけし)と、ウルトラ一族の王女さま・ユリアンこと星涼子(ほし・りょうこ)が搭乗するUGM専用車・スカウターS7(エスセブン)が接近してきたのを察知するやマアジンは、


「いや、大人には見つかりたくないデガス。大人はウソつきが多いデガスからね」


 と、淳少年の願いをかなえないままで、「壷」の中に姿を消してしまう!(笑)


 これもまた、番組のまだ序盤でマアジンの存在や正体が早くもバレてしまっては、あとはUGMとの攻防劇になってしまって、子供たちとの蜜月(みつげつ)の時間もそこで終わってしまうことを回避するための都合論ではある。ヒイてジラして引き延ばしていくこともドラマ一般では肝要なのだ(笑)。


 子供たちがマアジンに願いをかなえてもらうために、街中で掃除をすることが一大ブームとなった。


 そんな中で、パトロール中の矢的隊員と涼子隊員の眼前で、ひとりの少年が危険な場所に侵入して掃除を試みようとした末に落下してしまう!


 危うく少年を受けとめるのたが、その際に矢的隊員は足を負傷してしまった!


 涼子隊員は銃身が短い小型の白い銃のようなものを、矢的の足に向けて光線を当ててみせるが……


矢的「なんだい、それは?」
涼子「メディカルガンよ」
矢的「それは君の星(ウルトラの星)から持ってきたのかい?」
涼子「そう。これさえあれば、どんなケガでも病気でもヘッチャラよ」
矢的「だとしたら、もう使わない方がいいなぁ」
涼子「どうして?」
矢的「君は『郷に入れば郷に従え』って言葉を知っているかい?」
涼子「ええ。郷ひろみならテレビで見たけど」


 ♪ ア~チィ~チィ~、ア~チィ~、ってその「郷」と違うわいっ! 70~80年代の大人気アイドル・郷ひろみのことである(笑)。


矢的「(苦笑)わかってないなぁ。僕たちは今、地球で生活しているんだ。地球には地球のやり方があるってことだよ。さぁ、わかったら公園へ行こう」
涼子「ええ」


 やはりわかっていないような様子で考えこんでいる涼子。


 前話の第45話『バルタン星人の限りなきチャレンジ魂』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20110327/p1)では、「バルタン星人」の存在と「児童ドラマ」の方を優先したのだろう、星涼子隊員の正体がウルトラ一族の王女さま・ユリアンゆえの世間知らずから来る超能力の発露で正体がバレそうになるお約束の「点描」はあっても、地球人との感覚のズレにともなう「懊悩」の心情描写まではなかった。


――ひょっとすると、シナリオ上では涼子はまだ登場しておらず、第43話『ウルトラの星から飛んで来た女戦士』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20110219/p1)で殉職したUGMの城野エミ(じょうの・えみ)隊員のままだった可能性もある(爆)――


 しかし本話では、第44話『激ファイト! 80 VS(エイティ 対) ウルトラセブン』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20110226/p1)に続いて、地球で正体を隠して生きていくための術(すべ)をよくわかっていない涼子=ユリアンに対して、地球では正体を隠して人間に合わせた生き方をすることを諭(さと)していく矢的=ウルトラマンエイティの姿が描かれている。
 『80』終盤の「ユリアン編」独自の特徴となるシリーズ・イン・シリーズのドラマをここで描けているばかりでなく、これまた本作の最終回近辺でのクライマックスへの伏線としての重要な役割を担(にな)っているのである。


 ただこのメディカルガンは、第43話『ウルトラの星から飛んで来た女戦士』において城野エミ隊員が殉職した際にも、涼子は看病で使用したのであろうか?(笑)



石田えりさんが殉職して、私がUGMに入ったあとで、メディカルガンというのを出してきた回があったんですよ。「このガンさえあれば、どんなケガでも病気でもへっちゃらよ」みたいなことを、私は言いきっているんですね。じゃあ石田えりさんが亡くなった時、なぜそれを出さなかったのかと(笑)。あとでファンの方からもつっこまれましたよ(笑)。この回はまた東絛監督で、ゲスト主役の男の子がすごく怒鳴られてかわいそうで(笑)。こっちはこっちでスキーをするシーンもあって、(矢的猛役の)長谷川(初範)さんはスイスイできるんですけど、私は基本のボーゲンしかできなくて。うまく止まれなくて、もう顔なんかひきつってました」

(『君はウルトラマンエイティを愛しているか』星涼子役/萩原佐代子(はぎわら・さよこ)インタビュー)



 社会派の東絛監督が昭和のオヤジ的なドナりまくる演出をしていて、しかもダミ声だから何を云っているのかわからなくて、監督の意図を推測して演じていたという証言は、東映スーパー戦隊シリーズの出演者インタビューでも散見される(笑)。子役に対しても、同様にドナっていたという行為はどうかとも思うけど(汗)。


 それはさておき、メディカルガンを第43話ではなぜ使わなかったのか?


 これはキツいところを突いてくる質問である。『80』という作品の根幹や、「ユリアン編」の屋台骨にも関わりかねない問題でもある。このような疑問をいだく御仁はややイジワルともいえる。しかし、それだけ作品のことを深くよく真剣に観ているのだともいえるのだ。
 ただし、その疑問をスタッフに対してではなく、シナリオに沿って演じているだけの役者さんに対してブツけるのには疑問だけど(笑)。


「あらゆる手を尽くしたけれど、ダメだったわ」


 第43話で侵略星人ガルタン大王を倒し、矢的が真っ先にエミのもとに駆けつけた際、涼子はそう語っていた。


 よって後付けだが、そこまでイジワルに見抜けてしまえる御仁たちであれば、さらにもっと論理の射程を伸ばして、映像化はされなかったものの、その「あらゆる手」の中にはきっとメディカルガンも含まれていたのだ! などともっと好意的に深読みしてみせてもよいのではなかろうか!?(笑)



正男「オメエら、いいもん持ってんじゃねぇか! その壷よこせよ!」


 マアジンの出現で再度、怪音波が発信されたことにより、矢的と涼子が向かう。


 ここで本エピソードのお題・課題であるウルトラシリーズの大人気怪獣・レッドキングをそろそろ尺のバランス的にも登場させなければならない。しかし、都市破壊を繰り広げる危険なレッドキングを召喚する役目は、この善良なるメインゲスト子役である兄妹たちには似つかわしくはないだろう。そこで先のイジメっ子たちに登場をお出ましを願うのだ(笑)。


 よって、公園で淳少年は正男たちに「壷」を奪われてしまうのだ! 必死に抵抗した淳少年であったが、


ヨッコ「お兄ちゃん、ケンカしたら負けるよ」


 という、ヨッコの実に冷静な説得はあまりにも大きかったのだ(笑)。



 淳から「壷」を強奪した正男たち3人の悪ガキは、とあるビルの屋上に登って、それぞれの願望を告白する。


正男「オレ、前からホンモノそっくりに動く、怪獣のオモチャがほしかったんだ!」


 ……それだったらオジサンは今でもほしいぞ(笑)。


正男の友人A「だったらオレ、エレキングがいいなぁ……」


 『ウルトラセブン』(67年)第3話『湖のひみつ』より、木曽谷(きぞだに)の吾妻湖(あづまこ)から出現した宇宙怪獣エレキングの姿がバンクフィルムで映し出される!


 ただし、本話でもオリジナルの鳴き声はかぶらず、前話である第44話『激ファイト! 80VSウルトラセブン』におけるウルトラセブンの紹介シーンと同様で、エレキングの鳴き声は『ウルトラマンタロウ』第28話『怪獣エレキング満月に吼(ほ)える!』に登場した月光怪獣・再生エレキングのものを使用していた(笑)。


正男の友人B「それよりさぁ。オレ、ウーがいいなぁ……」


 初代『ウルトラマン』第30話『まぼろしの雪山』より、飯田山(いいだやま)に出現して、「雪ん子」と呼ばれて村人たちから忌(い)み嫌われていた少女ユキに手を差しのべる伝説怪獣ウーの登場シーンが流される。
 こちらの流用映像にかぶるウーの鳴き声は、『ウルトラマン80』が放映されていた1980年前後のジャンル作品としては珍しく、きちんと過去シリーズでの初登場時と同じ鳴き声を使用している!


 オリジナルの怪獣の鳴き声が使用されないのは、なぜなのか? それは第1期ウルトラシリーズの音入れを担当していた東宝系の「キヌタ・ラボラトリー」がこの時点ですでに解散していたからだろう――厳密には73年に会社名を変更して機材専用会社となる――。
 基本的に「効果音」の類いは製作会社ではなく録音スタジオを経営する会社の所有物なのである。よって、録音スタジオが異なれば、同一シリーズでも流用は困難となる。
 同じ録音スタジオが担当していても、原典の作品が古いがために、それらの「効果音」が散逸してしまったり、倉庫のどこにあるのか誰にもわからなかったりして発掘しきれなければ、やはり流用は困難となってしまうことだろう。


 もちろん、録音スタジオ間でも効果音テープを有償無償で貸し借りするようなことも少しはあったことだろう。


 しかし、当時の長命シリーズ作品で過去作のオリジナルの怪獣の鳴き声が正しく使用されている場合は、原盤テープからではなく製作会社の所有物であるテレビ放映用のフィルムとセットになっている「MEテープ」――セリフ抜きの「MUSIC(BGM)&EFECT(効果音)専用の音声テープ――から、該当する怪獣の正しい鳴き声だけをダビングして、再音源化していたのだとも推測できる――今だと著作権法的にはグレーな行為だけど(汗)――。


 90年代以降のウルトラマンのアトラクションショーや新作シリーズにおいては、往年の人気怪獣が再登場する際には、原典と同じ正しい鳴き声が使用されている。これなども、この「MEテープ」、あるいは往時のレーザーディスクには必ず収録されていた「MEテープのみの音声」からの再音源化ではないかと思われるのだが……。




 しかし、怪獣エレキングに怪獣ウー。……ウ~ム、キミら少年たちの好みにケチをつける気はないが、キミたちは当時の第1期ウルトラシリーズ至上主義者の兄ちゃんたちに毒されているのではないのか!?


 この劇中の少年たちによる、第1期ウルトラシリーズの人気怪獣偏重は、当時の子供たちの「ウルトラ怪獣」に対する好みを正当に反映したものだったのだろうか?


 ちなみに、さらに後年の1988年12月26日(月)から30日(金)までの冬休み期間中の5日間、TBSローカルで朝10時からの90分枠の特番で、『おまたせ! 一挙大公開ウルトラマン大全集』なる番組が放送されたことがあった――筆者の出身地である中部地区でも少し遅れて放送されていた――。
 内容は連日、初代『ウルトラマン』から傑作選を2話ずつ放映して、最後にウルトラ兄弟の紹介や主題歌集などの企画モノとして構成されていた。


――この番組の「演出」は、『80』では第43話と第44話の特撮監督だった神澤信一(かみざわ・しんいち)。「ナレーション」を務めたのは、初代『マン』で科学特捜隊のムラマツキャップ(キャップ)を演じた故・小林昭二(こばやし・あきじ)であった!――


 その中の『ウルトラ怪獣ベストテン』という企画は、市井(しせい)の人々に最も好きなウルトラ怪獣を挙げてもらうというものであった。


 それで、保育園だか幼稚園に赴いて、そこの園児たち多数にインタビューした映像が流されたところ……


 驚くなかれ! 当時の第1期ウルトラシリーズ至上主義者たちには忌み嫌われていた「合体怪獣」という存在や「第2期ウルトラシリーズの怪獣」にして、『ウルトラマンタロウ』第40話『ウルトラ兄弟を超えてゆけ!』に登場していた、ウルトラシリーズの強敵怪獣たちの亡霊が「合体」したという設定の「暴君怪獣タイラント」を挙げた幼児が圧倒的多数だったのだ!


 この1988年度は、テレビ東京で平日夕方18時25分から放映されていた帯番組『ウルトラ怪獣大百科』が放映されていた年でもある。この番組でも7月20日(水)にタイラントが紹介されたことがあったので、その印象が鮮烈だったのだろうか? それとも園内の図書の中に『怪獣図鑑』などの書籍があって、そこに強敵怪獣として記述されていたことが「刷り込み」されていたのだろうか?(笑)


・竜巻怪獣シーゴラス
・異次元宇宙人イカルス星人
・宇宙大怪獣ベムスター
・殺し屋超獣バラバ
・液汁超獣ハンザギラン
・どくろ怪獣レッドキング
・大蟹超獣キングクラブ


 歴代ウルトラ怪獣の怨霊たちが合体、各々の部位が体表を彩(いろど)った意匠(いしょう)を持ち合わせて、ウルトラ5兄弟をもひとりずつ倒していく! といった戦歴を持った強敵怪獣!


 第1世代の特撮マニアたちが神格視してきた第1期ウルトラシリーズのデザイナー・成田亨(なりた・とおる)氏は、古代ギリシャ神話におけるライオン・ヤギ・毒蛇が合体した怪物キメラ(キマイラ)のような「合体怪獣」という存在を、後年の自著では怪獣デザインにおける「禁じ手」として否定的に語っていた。そして、そのことから、成田信者たちはその口マネをして、タイラントのような「合体怪獣」の存在は邪道であり低劣な存在であるとして罵倒的に語ってきたのだった(汗)。


 科学的にはまるで合理的ではないけど、オカルト的にはアリエそうではある、怪獣の怨念・怨霊が集積して誕生したという出自設定。その体表にそれらの怪獣の特徴的な意匠が浮かび上がったようなキャラクター。
 そういったキャラクターに対して我々もまた不思議と、各々の怪獣の霊的かつ物理的なパワーもやどっており、通常の怪獣の数倍もの強さがあるようにも感じられてきてしまうものだ!(笑)


 こういった感慨は、未開の原始人の「呪術的な感性」ではある。しかし、人間そのものに本能的に備わっている普遍的な情動ではあるのだろう。


 当の子供たちも、そして全員とはいわずとも多くの特撮マニアたちが、タイラントなどの合体怪獣にいだいてしまうような畏怖(いふ)の感慨。それはそんなところに理由があるのではなかろうか? 事実、近年のウルトラシリーズにかぎらない特撮変身ヒーロー作品にも、あまたの合体怪獣たちが登場しつづけてもいる。実に喜ばしいことである(笑)。


 このように後出しジャンケンでエラそうに語っている筆者であるが、『80』放映当時はすでに中学2年生であり当時、創刊されはじめたマニア向け書籍に実はすっかり洗脳されており(汗)、「ウルトラ怪獣といえば第1期ウルトラに登場したヤツらが最高であり、第2期ウルトラの怪獣などはカスである!」と思いこんでいた時期があるので、決して無罪ではないのだが(爆)。


 しかし、1970年代末期~1980年の第3次怪獣ブームであった当時、たとえばケイブンシャの児童向け文庫本『ウルトラマン大百科』(78年8月10日発行)や、小学館の幼児誌『てれびくん』・児童漫画誌コロコロコミック』・学年誌のカラーグラビア記事などでは、全ウルトラシリーズが第1期や第2期の区別などはまるでなく、均等・平等に扱われてはいたものだ。


 それらの書籍をむさぼり読んでいた当時の子供たちの間では、もちろんそれぞれに好みはわかれただろうが、少なくとも金科玉条的な第1期ウルトラシリーズ至上主義に陥(おちい)っていた者は、マニア予備軍の小賢しいガキを除けば(笑)、ほとんどいなかったハズである。


 だから、正男の友人たちがそろって第1期ウルトラシリーズの怪獣ばかりを挙げるというのはどうにもなぁ(笑)。まぁ、このへんは脚本の平野氏の世代的な好みか、第1期ウルトラ至上主義者たちによるマニア向け書籍の影響を中途半端に受けてしまった円谷プロ側のプロデューサー・円谷のぼる社長や満田かずほ側からの平野へのオーダーだったのだろう!?




正男「エレキングもウーもイマイチだよ。それよりさぁ、レッドキング。これが一番さ!」


 おい、正男! おまえも第1期ウルトラシリーズ至上主義者か!?(笑)


 空き地の近くにあるビルの屋上で、呪文を唱えてマアジンを呼び寄せた正男は、ホンモノそっくりのレッドキングを出現させてくれることを願った。


 街中の子供たちの願いを叶えて、すっかり疲れきっていたマアジンは、


レッドキング、出てこ~い。……ホンじゃ」


 と、投げやりに召喚の言葉を唱えるや…… 即座に「壷」へと戻ってしまった!(笑)


 まさに本話の脚本を担当していた平野氏の、本話に対する証言に匹敵するほどの「やる気のなさ」である(爆)。しかし、だからこそ、レッドキングが唐突ではあっても登場してくれて、その大暴れが見られるのであった(笑)。



 ……などと書きつつ、実は映像本編ではホンモノそっくりのレッドキングがなかなか現れてはこない(汗)。


 シビレを切らした正男は「壷」の中をのぞきこんで、


「オイ! レッドキングはどうしたんだよ!?」


 と催促する。「壷」の内側からの主観映像で、画面中央上方の穴の外から覗(のぞ)きこんでいる正男の顔を映している構図は、お約束なアリガチな映像なのだが、映像演出の基本を押さえることもまた大事なのである。このシーンであまりに意味がない、ヘンに凝ったシュールな映像を見せられても意味がないだろう(笑)。


 しかし、その映像に、


「ピィ、ガァァァァ~ ウゥゥゥゥ~ッ!!!」(擬音にするとこんな感じか?・笑)


 というレッドキングの鳴き声がカブってくる!!


 いつの間にか、近くのビルの横の空き地にレッドドキングが出現していたのだ!!


 この登場シーンでは、ちょっとハグらかしてワンクッションを置いてみせる、フェイント攻撃な変化球の展開が試みられていたのだ。


 そして、レッドキングの足から頭へと全身を映していき、正男たちが


「ホンモノだぁ~!!」


 と腰を抜かすというシークエンスのあたりはアリガチでベタな演出なのだが、逆にむしろ「こうあってしかるべき!」だといったコテコテへと変転を遂げていく演出もまたタマらない(笑)。


 相応の高さのビルの屋上にいる正男たちを、ニラミつけてくるレッドキングの首から上を、実景と合成した魅惑的な特撮カット!
 ニラみつけてくるレッドキングの顔面と、怯える正男たちをワンカットに収めてみたい! という、おそらく特撮演出側の都合論(笑)で、ビルの屋上をロケ地にしてレッドキングを召喚してみせたといったところなのかもしれない!?


・ミニチュアのビルを破壊するレッドキングの右横に、ビルの非常階段を駆け降りていく正男たちを合成した特撮カット!
・さらにはススキ一面の原っぱと、画面の手前にいる矢的隊員と涼子隊員のもとに駆けてくる正男たちの画面の上方には、ミニチュアセットで暴れ回っているレッドキングを合成!


 と、畳みかけるような合成カットの連続が、どこまで行っても合成ではあり「実物」には見えないものの(笑)、特撮作品における「本編」と「特撮」の両者を架橋してくれる醍醐味でもある!


 しかも、ススキ一面の原っぱのカットは、単純に画面の上の方が特撮ミニチュアセットで、画面の下の方を実景として、地平線の上下でスパッと分かれているような簡単な合成カットではない。
 画面の右上には実景の倉庫が配されており、そのすぐ後ろにはミニチュアのマンション風の建物が見えるようになっている。さらによく見てみると、レッドキングの足元を隠すようにその手前にまた実景がハメこまれているといった、実に芸コマな合成カットなのである!


 矢的と涼子は、UGMの光線銃・ライザーガンでレッドキングへの攻撃をはじめる!



 その間にも「壷」を奪いあっていた淳少年と正男だったが……


 ナンと! ハズみで「壷」が地面に落下して、割れてしまう!!


 もうマアジンを呼び出してレッドキングを消してもらうような、生ヌルいマイルドなオチへの出口はふさがれてしまったのだ! あとはウルトラマンと壮絶に戦って、レッドキングを退治してもらうしかなくなってしまったのだ!(笑)


 子供たちを安全な場所へと逃がそうとする涼子であったが、逃げ遅れたヨッコに巨大なレッドキングが迫ってくる!


 屋外での「自然光」のオープン撮影でのあおりで撮られたレッドキングの全身カット!


 シンプルでアリガチな手法ながらも、やはり屋内の特撮スタジオでの「照明器具」で擬似的に「白昼」を再現した場合の陰影とはまるで異なっている!


 屋外の実際の「空」を背景にした撮影は、スタジオ撮影した部分との違和感は発生してしまうものの、怪獣の巨大感・実在感・奥行き感を実に的確に表現できる演出なのだ!



 この特撮カットでは、本話に登場した通称・レッドキング3代目の体色が、初代『マン』第8話『怪獣無法地帯』に登場したレッドキング初代の白に近い黄色ではなく、第25話『怪彗星ツイフォン』に登場したレッドキング2代目のようなやや金色が混じった体色にも見えるようだ。
 正男の前にはじめて姿を現したときの全身カットでは、体表全身のジャバラ(蛇腹)模様の部分に、初代と同様に地の黄色の上を青で細くウスく彩色がされていることも確認ができる。



――レッドキングといえばウルトラ怪獣の代名詞ですが、これを作られたということで感慨などありましたか?
「嬉しかったのと、ちょうどこの時期、原口智生(はらぐち・ともお)くんを介して、初代のレッドキングを作った(故)高山良策(たかやま・りょうさく)さんとおつきあいさせて頂くようになって。昔のお話を聞かせて頂いたりとか、一緒に食事をさせて頂いたんです。そのタイミングにほぼ偶然『80』でレッドキングを作ったので、感慨深かったですね。高山さんにレッドキングを作ることになったとお話したら、「がんばりなさい」と言われて、そんなこともあって気持ち的にもかなり入れこんで作りました」

(『君はウルトラマン80を愛しているか』造形/若狭新一(わかさ・しんいち)インタビュー)



・『ウルトラマンマックス』(05年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060311/p1)第5話『出現、怪獣島!』~第6話『爆撃、5秒前!』の前後編と、第36話『イジゲンセカイ』
・『ウルトラマンメビウス』(06年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070506/p1)第42話『旧友の来訪』
・『ウルトラギャラクシー大怪獣バトル』(07年)第1話『怪獣無法惑星』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20080427/p1)・第7話『怪獣を呼ぶ石』・第11話『ウルトラマン
・『ウルトラギャラクシー大怪獣バトル NEVER ENDING ODYSSEY(ネバー・エンディング・オデッセイ)』(08年)第10話『新たな戦いの地平で』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100312/p1)と、第12話『グランデの挑戦』~第13話(最終回)『惑星崩壊』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100331/p1


 21世紀に入ってからの近年のウルトラシリーズでは、ひんぱんに再登場を繰り返すようになったレッドキング。それらの中で使用されてきたレッドキングの着ぐるみは、初登場作品である初代『マン』第8話『怪獣無法地帯』に登場した初代レッドキングを完璧なまでに実に忠実に再現した、まさにレプリカといっても過言ではないほどの見事な出来映えではあった。


 近年のそれらと比較してしまうと、本話に登場したレッドキング3代目の着ぐるみは、今日的な観点で厳密に見れば、それほど初代のレッドキングとは似てはいない。


 眼球が異様に大きかった初代と比べて、白目の部分も明確に造形されている眼球はむしろ2代目を思わせるものである。全身のジャバラも黄色と青で塗装されているとはいえ、ロング(引き)の映像で見ると、全体的には茶褐色にも見えることで、これもまた2代目の特徴である。
 頭部の先端もややトガりすぎているように感じられる。何よりも首の部分が実に固そうで、微動だにしなさそうなあたりなどは、初代や2代目と比すると生物としては不自然な感じもしてきてしまう(笑)。


――レッドキング2代目は、一般ピープルには初代との区別が当然つかないだろうが、クチうるさい特撮マニア諸氏にはやや金色といったイメージが強いかとは思う。しかし、山岳を切り崩して初代『マン』の防衛組織であった科学特捜隊の前にはじめて姿を現した場面では、どちらかといえば茶褐色で塗装されているようにも見えてくる色彩でもあった!――


 だがそれでも、造形面に対するこだわりを見せはじめていた当時の年長の特撮マニアたちの厳しい視点で見てみても――といっても、この当時の特撮マニアの上限はまだ25歳くらいなのだが(笑)――、レッドキング3代目はそれまでのウルトラシリーズに登場してきた、着ぐるみを新造した復活怪獣たちの中でも、初代の着ぐるみの造形を忠実に復元しようとした存在だとして、ダントツの人気を誇っていたのだ。


 本話のレッドキングは、正男が「ホンモノそっくりのレッドキングがほしい」と願ったことで、マアジンが誤って「ホンモノのレッドキング」(笑)を出現させてしまったという設定であった。


 ただし、どこかヨソの南洋の土地から瞬間移動されてきた「ホンモノ」ではなくて、正男の頭の中でイメージされたレッドキングを実体化させたものだろう。よって、当然のことながら、正男の頭の中ではレッドキングの初代と2代目の印象がごっちゃになっていたことだろう。だから、このレッドキング3代目が初代と2代目のチャンポンであったのは、まさに正しかったのである!?――造形担当者が本話の意図をそこまで汲んで表現していたのかは別として(笑)――


ウルトラ怪獣たちの「2代目」「3代目」「再生」「改造」といった区別の始原はいつなのか!?


 現在では考えられないことだが、マニア上がり出身のライターたちが関わった商業誌が多数出版されるようになる1978~79年の第3次怪獣ブームより以前の、70年代中盤までに発行された怪獣図鑑や少年向け雑誌の怪獣特集などの出版物においては、レッドキングや宇宙忍者バルタン星人など複数回にわたって登場して、登場話数によっては明らかに着ぐるみが別ものである怪獣や宇宙人でも、「初代」「2代目」などと明確に区別されることなどはまったくなかった。


 1970年代に子供向けの一連の文庫本サイズのブ厚い『大百科』シリーズで当時の小学生たちの注目を集めていた、今は亡きケイブンシャ勁文社)から1971年末に発売されて、100万部を超える大ベストセラーとなった『原色怪獣怪人大百科』。この『原色怪獣怪人大百科』においても、レッドキングは2代目の写真だけが、バルタン星人は初代の写真だけが掲載されたのみであったのだ。


――かの第1世代の特撮評論家・竹内博(たけうち・ひろし)が、小中学生時代に円谷作品のみならず、東宝東映などの特撮映画に登場した怪獣たちをも百科事典形式にノートにまとめた「ゴールデンモンスター」なる資料が、『原色怪獣怪人大百科』の基となったそうだ――


 もっとも、初代『マン』第16話『科特隊宇宙へ』に登場したバルタン星人2代目などは、商品化権用の三面写真や雑誌掲載用のスチールなどが一切撮影されていなかったそうで、仮に掲載したいと思っていたとしても掲載のしようがなかったようである。
 円谷プロの社員でもあった特撮ライター・竹内博先生が、放映用フィルムのコマ焼きから、バルタン星人2代目などのポジフィルムやネガフィルムを逆につくって、ようやくその写真が書籍に掲載できるようになったのは、70年代末期の第3次怪獣ブーム以降のことだった。



 ところで、この『原色怪獣怪人大百科』は厳密には「書籍」ではなく、両面に16種の怪獣怪人を紹介した折込みのシートを24枚セットにした形式であった。しかし、怪獣映画の元祖『ゴジラ』(54年・東宝)に端を発して、当時の最新作『ミラーマン』(71年・円谷プロ フジテレビ)第1話『ミラーマン誕生』に登場した鋼鉄竜アイアンに至るまでの、製作会社の垣根(かきね)を越えて全370体もの怪獣・怪人・ヒーローが紹介されていた、当時としては実に画期的な出版物ではあったのだ。
 1972年末には第2巻、73年末には第3巻も発行されたが、74年末に先述した文庫本サイズの子供向け『大百科』シリーズの第1巻『全怪獣怪人大百科』として再構成されて、以降は翌年の新作に登場した怪獣・怪人を増補するかたちで「昭和〇〇年版」が発行されていき、1984年末に発行された「昭和60年版」まで毎年刊行され続けた大ロングセラーにもなっていく。


 しかし、あの竹内氏も1971年当時の時点では、マニアだから内心ではレッドキングやバルタン星人を初代・2代目などと区別する意識がきっとあったのだろうが、それを子供相手の商業誌でも展開するというところまでは踏み込めなかったのかもしれない。
 もちろん71年当時は、年長マニアによるサロンなどもない、ほぼ子供たちだけがジャンル作品を観ている時代であったから、顔面のマスクの形状や材質までもが異なる初代ウルトラマンのA・B・Cの3種類のマスクの区別さえもが、まだ一切されていないような時代ではあったのだが(笑)。


 70年代前半の第2期ウルトラシリーズの掲載権を独占していた小学館でさえも例外ではない。『帰ってきたウルトラマン』(71年)の放映当時に発行されて、90年代初めまで刊行され続けたロングセラーである子供向けハードカバー書籍『入門百科』シリーズの『ウルトラ怪獣入門』なども同様であった。
 『ウルトラセブン』第4話『マックス号応答せよ』に登場した反重力宇宙人ゴドラ星人や、第10話『怪しい隣人』に登場した異次元宇宙人イカルス星人は、平日夕方の5分番組『ウルトラファイト』(70年)の方に登場した、ヨレヨレのクタクタになった「ゴドラ」や、アトラクション用に新規に製作された「イカルス」の着ぐるみの写真で紹介されていたのだ。
――ちなみに、『ウルトラファイト』に登場する宇宙人たちは、「星人」名抜きでの「ゴドラ」や「イカルス」といった名称で実況中継されていた。、後年のマニア向け書籍でも、『ファイト』に登場した宇宙人たちを紹介する際にはそれを踏襲している(笑)――


 学年誌のさまざまなカラーグラビア企画に登場する際にもバルタン星人は、初代ではなく『ウルトラファイト』に登場したバルタンや、『帰ってきたウルトラマン』第41話『バルタン星人Jr(ジュニア)の復讐』に登場したバルタン星人ジュニアの写真が平気で使われていたものだ。
 初代『マン』第39話(最終回)『さらばウルトラマン』に登場した宇宙恐竜ゼットンも、初代の写真ではなく、『帰ってきた』第51話(最終回)『ウルトラ5つの誓い』に登場したゼットン2代目の写真で代用されることが多かったのであった。


 もっとも、これらの第1期ウルトラシリーズに登場した怪獣たちの写真は、1960年代後半の第1期ウルトラシリーズの掲載権を独占していた講談社側で大量に持っており、小学館側では第1期ウルトラに登場した怪獣たちのスチール写真をほとんど持っていなかったゆえの処置でもあった。だが、そんなことがまかり通ってしまうほどに、当時はおおらかな時代だったのである。


 そうした中で幼年期を過ごした者たちにとっては、家庭用ビデオなどもまだなく映像本編を度々反芻(はんすう)できるわけではなかったから、たまたま手近でふれた出版物の違いによって、怪獣たちに対するイメージも各人各様のものが形成されていった。


 バルタン星人といっても即座に初代をイメージしたワケではなく、『ファイト』版やバルタン星人ジュニアの方をイメージしていた者も相応にはいただろう(笑)。


 レッドキングの方は、2代目は初代の着ぐるみが第19話『悪魔はふたたび』に登場した発泡怪獣アボラスとして頭だけをスゲ変えた色替えとして改造されたあとに、また元のレッドキングの姿に戻されただけの着ぐるみであり、ほぼ同一の姿であったことから、バルタン星人やゼットンのようには個々人のイメージのバラつきはなかっただろうが。



 まったくの余談だが、2011年4月8日8時15分にNHK総合で放送された平日朝のワイドショー番組『あさイチ』にゲスト出演した俳優の村上弘明(むらかみ・ひろあき)に対して、視聴者たちから寄せられたFAXの中には、


「幼いころに夢中になっていた『(新)仮面ライダー』(79年)の主役の人が、村上さんだったなんて今まで全然気付きませんでした」


 などという、我々特撮マニアにとっては思わず仰天してしまうような意見もあった。一般層というのはやはりそんなものなのであることを、我々マニアは忘れてはいけないと思うのだ(笑)。


 そのようなワケで、本話で登場したレッドキング3代目は、当時の人々が思い描いていたレッドキングに対するイメージの最大公約数を満たしたかたちでは造形されている。しかし、書籍『君はウルトラマン80を愛しているか』で述べられていたような初代レッドキングの再現モデルであったかについては、今日的な後出しジャンケンの観点からは少々異なっているところもある――後年の若狭氏であれば、少なくとも目の部分は眼球を大きく造形したかとも思えるし――。


 たとえて云うならば、バンダイから発売中のソフビ人形『ウルトラ怪獣シリーズ』のレッドキングの顛末である。西暦2000年に金型が一新されて以降は、初代の「造形」と「彩色」を再現したかたちで発売され続けている。
 しかし、1983年に初発売された当初は、「造形」自体は初代を模したものではあったものの、「整形色」の方は「茶色」で、スプレーによる塗装は「金色」と、2代目としての「彩色」であって、初代と2代目が混合された姿として造形されていたのだ。


 もちろん、現在では年季の入った特撮マニアであれば、レッドキングといえば「初代派」もいれば「2代目派」もいて、両者の区別を付けられるマニアも相応にいることだろう。しかし、当時の草創期のマニアたちの欲求を満足させるという観点では、本話のレッドキング3代目も相応に充分な仕上がりとなっていたのだ。


 さらに個人的な見解に云わせてもらえば、多少いびつな感もあるレッドキング初代の全身のスタイルに比べれば、本話のレッドキング3代目の方がスタイルはよいように思う。
 正面から見た顔面の姿も、先述の『原色怪獣怪人大百科』をはじめとして、当時の怪獣図鑑レッドキングを紹介する際には必ずといってよいほどに用いられていた「恐竜とキングコングの合いの子」というフレーズがまさにぴったりなのである。
 その凶暴な面構えなどは初代をはるかに陵駕していると云っても過言ではないほどなのだ――筆者からすると、初代の顔はややカワイめかと思えるので(笑)――


 とはいえ、それゆえに本話のレッドキング3代目を過剰に高く評価して、それまでに登場してきたウルトラ怪獣や宇宙人たちの2代目や3代目たちを、造形のショボさゆえに完全否定をするようなマニア諸氏の意見には同意しない。アレらはアレらで味があるのだ(笑)。


ウルトラマンタロウ』の人気怪獣・復活月間と、学年誌での連動記事の画期性!


 小学館『小学三年生』73年12月号(11月3日頃実売)に掲載されていたカラーグラビア『ウルトラひみつ大作戦 帰ってきた最強怪獣』では、『ウルトラマンタロウ』における10月放映分の第3クール頭の歴代怪獣・復活月間であった、


メフィラス星人2代目が登場した、第27話『出た! メフィラス星人だ!』
・再生エレキングが登場した、第28話『怪獣エレキング満月に吠える!』
・改造ベムスターと改造ヤプールが登場した、第29話『ベムスター復活! タロウ絶体絶命!』
・改造ベムスターと改造ヤプールと改造サボテンダーと改造ベロクロン二世が登場した、第30話『逆襲! 怪獣軍団』


 これらに登場した再生怪獣・改造超獣・2代目宇宙人登場編の大特集となっていた。


 そこでは「怪獣軍団ひみつ作戦会議」で選抜された最強怪獣たちの、「初代」と「2代目」の違いが図解で解説されていたものだ。


 先述した再生エレキングのツノが初代と比べて回転しなくなったのは、


「(変身怪人)ピット星人の指令を受けなくてもいいからだ」


 そうであり(笑)、


「まえのエレキングはしっぽが長すぎたので、少し短くして動きやすくした」


 という後付けの設定には、妙に合理的な説得力が感じられる(笑)。


 ただその一方で、


「性能はよくなったが、ピット星人があやつらないので本当はだめになった」


 っていうのは、意味わかんねぇぞ~っ!(笑)


 異次元超人・改造巨大ヤプールに関しては、


ヤプールは、ウルトラマンA(エース)にさんざんやられたため、顔と頭がめちゃめちゃにこわされた。そこで、せい形手術で直した」


 ……のだそうである。初代というか同一個体の改造前と比べて、顔面と頭がかなり歪んでいることに、顔面にエースの光線の直撃を浴びたことがあったという劇中内での事実をきちんと踏襲しており、それに対する「整形手術」をしたという理由をつけたのである(笑)。


「やられた顔(額)のところは、とくべつな銀色の金ぞくをうえつけた。だが、Aとのたたかいで悪くなった頭はなおらなかった」


 ……「悪くなった頭は直らなかった」(爆)。いま読み返すと爆笑してしまうのだが、当時のいたいけな子供たちは、改造ヤプールがやや弱かったりアッサリと負けてしまった理由を、こういった一応の合理的な説明で「へぇ~、そうなんだ!」と納得していたのであったのだ(笑)。


 ちなみにレッドキングも、「怪獣軍団ひみつ作戦会議」で選抜される最強怪獣の候補にあがっていたそうだが、「頭がよくないから」という理由で外されたそうな(笑)。ちなみに宇宙ロボット・キングジョーは、策略星人ペダン星人に「つくるのに3年かかる」と云われてアキラめたらしい(爆)。


 いやぁ、ナンとも児童レベルでの知的好奇心(笑)をそそられる、実際の作品のバックヤードで繰り広げられていたというウラ側での物語の数々!


 単なる善VS悪との1話完結ルーティンのマンネリなド突き合いだけであれば、子供たちも飽きてきて次第に予定調和がバカバカしくなってしまい、それによって子供番組からの卒業も早まってしまうものである。だから、単純な1話完結だけが続いてしまう「つくり」だけでもイケナイのだ。


 しかし、各エピソードのウラ側に、中長期にわたって準備されてきた、悪い宇宙人たちによる2代目・再生・改造怪獣たちを繰り出してみせる地球侵略計画があったのだ! といったウラ設定を付与されるや、あら不思議! 作品はとたんに「地上での単発的な戦い」と「宇宙での長期的な攻防戦」といった「二重性」や適度な「複雑性」を帯びてくる。
 物語のスケールも「宇宙規模」に拡大していき、繰り返すけど、大人レベルではなく子供レベル(笑)でのワクワクとさせる「知的好奇心」を惹起して、子供たちの興味関心をより長期にわたって継続させていくものとなっていくのだ!


 このあたりはもちろん、円谷プロ側やTBS側が考案した設定ではない。あくまでも、小学館学年誌の編集者たちによる後付け設定の功績なのである。しかし、その功績は非常に大なるものがあるのだ。彼ら学年誌の編集者たちがウルトラシリーズスペースオペラ的な「SF」性を拡大していったこともまた、間違いがないところでもあるからだ。
――もちろん、それらは「ハイSF」ではなく「ロウSF」ではある。しかし、それを云うならば、かの『スター・ウォーズ』(77年・日本公開78年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200105/p1)だってドンパチ・戦闘モノである以上は、アシモフやクラーク作品などと比較すれば「ロウSF」なのである(笑)――


 ちなみにこの学年誌の企画には、その後の第3次怪獣ブーム時代には同じく小学館の『てれびくん』や『コロコロコミック』でウルトラシリーズの特集記事を担当していた安井ひさしが「協力」としてクレジットされている。
 氏が関わるようになったころから、こうした怪獣たちの種族内での「2代目」「3代目」などの違いが明確にされるようになっていったようでもある。やがて、70年代末期の第3次怪獣ブームの時代においては、各種の書籍でも「2代目」「3代目」などと表記される「公式設定」へと昇華されていくのだ。


 とはいえそれでも、第3次怪獣ブームの以前には、『ウルトラセブン』第48~49話(最終回)『史上最大の侵略』に登場したウルトラセブンそっくりの、シナリオ上では「M78星雲人」とされていたキャラクターなどは、この小学館学年誌でさえまだ紹介されてはいなかった。その欠落を安井ひさしとともに活躍していた後年の編集者にして特撮ライター・金田益美(かねだ・ますみ)が指摘したことによって、第3次怪獣ブーム以降の書籍には「セブン上司」が掲載されるようになったのだそうだ。


 『てれびくん』1981年2~4月号に連載されていた居村眞二(いむら・しんじ)先生による『ウルトラマン80』コミカライズの最終章は、バルタン星人軍団VSウルトラ一族の大攻防戦を描く『ウルトラマン80 宇宙大戦争』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20110107/p1)という連続ストーリーとなっていた。そして、この作品には早くもそうした2代目・3代目を識別していく「運動」の総決算的な趣もあった。この作品では、バルタン星人一族たちの各個体を、初代・2代目・ジュニア・5代目・『ウルトラファイト』版のバルタンのビジュアルで描き分けてもいたからだ!



「居村先生にウルトラシリーズのコミカライズをお願いする際、私はTV用脚本を簡略化したシノプシスを書いてお渡ししていました。大抵は脚本を作画家に渡し全てお任せすることが多いのですが、TVの脚本にはまんがになりにくい場面が少なくなく、アレンジを加えざるをえなかったのです。それが高じて『ウルトラ超伝説』第1部(引用者註:『てれびくん』81年5月号~86年3月号に長期連載されたウルトラ漫画)になると全編私のオリジナルということになります」

(『ウルトラマン80 宇宙大戦争 /ザ★ウルトラマンウルトラセブン』(居村眞二ミリオン出版・04年11月16日発行・ISBN:4813020089)『アンヌへの憧憬で生まれた「三百年間の復讐」』安井尚武)



 おそらく安井ひさし先生のシノプシス自体に、バルタン星人初代・2代目・ジュニア・5代目の姿をしている……などと詳細な指定がなされており、写真資料とともに提供されていたのだろう(笑)。



 このような一連を、視聴者にはじめて意識させるキッカケとなったのが、ここまで言及してきた小学館『小学三年生』73年12月号に掲載されたカラーグラビア記事『ウルトラひみつ大作戦 帰ってきた最強怪獣』であったと個人的には捉えている。


 このグラビア記事は、映画『ウルトラマンメビウスウルトラ兄弟』(06年・松竹・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070128/p1)の入場者特典の一部として再録されることとなった。そしてそのキャプチャー画像がネット上にも流布している。それ以来、好意的なものではあっても、この記事は「ネタ」的に消費されているのが実態だ(笑)。
 それはそれでよい。しかし、実は同様に学年誌の編集者が生み出した「ウルトラ兄弟」なる設定に次いで、実は「ウルトラ史」における歴史的な画期であったのだ! とも私見をするのだ。


 個別の単発エピソードを超えて、悪の軍団による大いなる陰謀がそれらの物語のウラ側にはあったとする! そして、そのことで、ウルトラシリーズの「世界観」を宇宙規模に拡大させていく! それらは1975年度の『小学三年生』に連載された、大宇宙を舞台にウルトラ兄弟VSジャッカル軍団との戦いを描いた内山まもる大先生の名作漫画『ザ・ウルトラマン』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20210110/p1)などにも通じていく、「世界観消費」のファーストバッターであったともいえる、歴史的にも非常に大きな意義があった記事であったと主張したい。




 さて、ヨッコの危機を救うために、矢的はレッドキングに敢然と立ち向かっていく!


 ミニチュアセットで画面手前に進撃してくるレッドキングの映像に、駆け出していく矢的をハメこんだ合成カットは、まさに「ザ・特撮!」といった感じである。


 その間に淳少年、そしてなんと正男がヨッコを救い出す!


 それまで徹底的に悪辣な姿ばかりが描かれていた正男ではあった。しかし、こうした善良な一面も描かれることで、正男も単なる記号的で一面的な悪者キャラクターではなくなっている。
 いかにイジメっ子でも他人の命を見捨てるような、そこまでの不快な悪人もそうそういないだろうというリアリティーも出てくることで気持ちも良くなるし、視聴者のナットク感も強くなるのだ。


 今まで自分のことをイジメてきた正男に対して、表面的には遺恨なく「オトナの態度」でお礼を云ってみせる淳少年! そして振り向いて、それを確認して笑顔を見せる矢的らの演出は、実にさわやかであった!



 だが、レッドキングの進撃はやまない!


 足許のアップでは電柱がスパークを起こし、踏み潰された数台の自動車が燃え上がる!


 マンション風の建物を怪力で破壊するレッドキング


 思えばレッドキングは、初代『マン』第8話では多々良島、第25話では日本アルプスを舞台にして、他の怪獣たちや初代ウルトラマンと激闘を展開していたワケで、本格的な都市破壊は本話がはじめてであった!



 遂にUGMが出動!


 戦闘機・スカイハイヤー、そして戦闘機・シルバーガルがα(アルファ)とβ(ベータ)に分離した状態でレッドキングに攻撃をかける!


 淳少年ら子供たちがいた公園のミニチュアを画面の中央に配置し、その周囲には民家を中心とした多数の建造物、画面の奥にはビル群をバックとして、その手前で暴れているレッドキング


 そのレッドキングに向かって、画面の右上手前から3機編隊で飛行するUGMメカという、実に奥行きと立体感のあるロング(引き)のカットもまた実にカッコいい!


 しかし、レッドキングの圧倒的な怪力により、UGMの戦闘機群は実にあっけなく撃墜されてしまう!


 それは少々残念である。これもまたレッドキングは他の怪獣とは異なる別格の強さを持っていると表現するための処置なのだろうが……



 矢的隊員は変身アイテム・ブライトスティックを高々と掲げた!


矢的「エイティ!!」


 ウルトラマンエイティが登場した!!


 画面の左にレッドキングを背面から捉えて、その手前には瓦屋根の民家、画面の右奥にエイティの勇姿。その手前には幾多の建造物を配置と、奥行きと立体感が強調された構図が徹底!


 画面の右からエイティがレッドキングを目掛けて宙返り!


 身をかがめたレッドキングの背中の上で転がったあと、着地したエイティはすぐさまレッドキングの腹に左足でキック!


 レッドキングに背負い投げをかけようとするエイティ!


――もちろん、初代ウルトラマンが初代レッドキングにトドメを刺した技も背負い投げであった! ちなみに本話の特撮監督・佐川和夫は、『80』第37話『怖(おそ)れていたバルタン星人の動物園作戦』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20110108/p1)においても、初代『ウルトラマン』第2話『侵略者を撃て』で描かれた初代マンVSバルタン星人の空中戦を再現している!――


 だが、レッドキングは怪力で逆にエイティを抱えあげた!


 しかし、エイティは両足を大地に着けて、その反動を利用してレッドキングを投げつける!


 まさに畳みかけるようなスピーディでアクロバティックなアクションの連続!


 軽快なアクション演出といったものは、逆に被写体の巨大感や重厚感を相殺してしまいがちである。しかし、その被写体の手前には必ず民家や樹木などの比較対象物を配置することで、巨大感の相殺され具合いも緩和しているのだ!


 投げられたレッドキングは起き上がるや、怒りを体現するかのごとく両腕のこぶしを胸で太鼓のように激しく打ち鳴らした! これぞまさに「恐竜とキングコングの合いの子」ならではの仕草(しぐさ)である!(笑)


 エイティはレッドキング目掛けて、宙をジャンプして華麗にキック!


 なんとレッドキングは、態勢を低くしてこれをよけてみせる知能プレイを見せた!


 こういった場面でも、画面の手前に居並ぶ民家の屋根を、両脇には樹木を配置することを忘れない。


 着地したエイティの腹に、レッドキングは頭突きをカマす! さらに右手で、エイティの顔面にパンチもカマした!


 ここでは初代や2代目のごとく、ただひたすら怪力で押しまくるレッドキングの戦法が忠実に再現されている。


 だが、個人的には『80』第22話『惑星が並ぶ日 なにかが起こる』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100926/p1)に登場した古代怪獣ゴモラⅡ(ツー)のように、初代ゴモラにはなかった手の甲からのミサイル攻撃、頭部のカブト状の両ヅノからは三日月状の光線、さらにはリング状の光線でエイティを締めあげるといった、単なる野生の野良怪獣ではなく超常的な新しい特殊能力も披露してほしかったような気がする。


 こんなことを主張してしまうと、「そんなものは邪道だ!」と批判されてしまいそうではある。でも、ちょっと待ってほしい。本話のレッドキングは正男が脳裏に思い描いたイメージを魔法で再現したものであると捉えれば、それもアリではないのかと思えるのだ。


 多くの子供たちが幼いころに怪獣の絵を描いていた際には、劇中では火炎や光線を吐かなかった純然たる野生の地球産の怪獣でも、超常能力を持つ怪獣や生物兵器である「超獣」との区別などはロクに付けていなかったろうから、目やツノや口などから劇中では描かれなかった「光線」や「火炎」を描き足していたのではなかろうか?――余談だが、亡くなったウチの祖母なども、恐竜は口から火を吐いていたのだと信じていたものだ(笑)――


 それに加えて「科学」ではなく「魔法」で出現した怪獣でもあるのだし、同族の別個体でもないのだから(?)、オリジナルとは少々異なった能力を披露してもギリギリでアリだったような気がしないでもないのだ。


 男児が思い描いている「怪獣」一般に対するイメージとはまさにそうしたものだろう。レッドキングが口から火炎を吐いたり、目から稲妻状の光線を発射すると正男が思いこんでいたとしても決して不思議ではないのだ。正男少年も初代マンとレッドキングとの戦いを直接に目撃していたワケではないのだし(笑)。


 その点では異論もあろうけど、『ウルトラマンマックス』に登場した、口から「岩石ミサイル」(!)を吐くという必殺技を与えられて、別名「装甲怪獣」として再設定されたレッドキングのリメイクも、作品世界が昭和ウルトラとはまた異なる世界だからスンナリと受け入れられたということもあったのだろうが、個人的には好ましいアレンジだったと思っている。


 ちなみに、ゴモラⅡが登場する『80』第22話でも、特撮監督を佐川氏が担当していたが、氏は初代『マン』第26~27話『怪獣殿下』前後編では特撮班のカメラマンとして初代ゴモラの大暴れをカメラにおさめていた。
 そしてこれが決定的なのだが、日タイ合作の映画『ウルトラ6兄弟VS怪獣軍団』(74年・日本公開79年)では、「怪獣帝王」なる異名をつけられた怪獣念力(!)を披露して、ツノからは電撃を放ってみせるゴモラを頂点とする怪獣軍団を描いた作品の特撮監督も務めていたのだ!


 これも無機物が長年月を経たのちに意識や魂が生じてきて付喪神(つくもがみ)や妖怪と化すのと同じ原理で、ゴモラが長年月を経たのちに進化して高度な知能や神通力を持つに至ったという一応の「SF考証」(笑)を付与してみせればアリだとは考えるのだ。
 しかし、『80』第22話に登場したゴモラⅡ同様に、怪獣帝王ゴモラもまたミサイルや光線を発するのはオカシいだの、造形がマズいだの、鳴き声が違うだの違和感ばっかり……と、かつては批判が絶えないものだった(汗)。


 まぁ、今ではその世代の特撮マニアたちも枯れてしまって、考え方を変えてしまったヒトもいるようなので、ゴモラⅡや怪獣帝王を許してしまっている御仁もまた多いようなのだが(笑)。


――映画『ウルトラ6兄弟VS怪獣軍団』は、東京都心では第3次怪獣ブームの頂点にあった79年のゴールデンウィークに公開された。しかし地方では、3月に先行公開されたテレビの再編集映画『ウルトラマン 実相寺昭雄監督作品』との同時上映作品であった。『80』放映中の80年12月31日正午にはTBS系でテレビ放映もされている。80年代~90年前後にはVHSビデオソフト化やレーザーディスク化もされていた。しかし、ウルトラシリーズの海外での商品化権をめぐるタイのチャイヨー・プロと円谷プロとの一連の訴訟問題のあおりを受けて、今ではDVD化は困難となっている。2011年4月7日にバンダイビジュアルから発売されたウルトラシリーズ劇場版DVD-BOX『ウルトラシリーズ45周年記念 メモリアルムービーコレクション 1966-1984』にも収録されることがなかった――



 さて、ひたすら怪力で押しまくるレッドキングは、エイティを豪快に投げ飛ばす!


 吹っ飛ばされても立ち上がったエイティは、レッドキングの足を踏みつける!


 悲鳴をあげるレッドキング


 レッドキングはお返しとばかりにエイティの体を怪力で「ドン!」と押し飛ばす!


 吹っ飛ばされるエイティ!


 この一連でホンの数秒しか映らないが、淳たちがいた公園のテラスの屋根の下からの主観映像で、画面の奥にエイティとレッドキングを捉えて、その手前に公園を配置し、背景に並んでいる民家も捉えるといった、カッコいいアングルの特撮カットもまたイイ味を出している。


 レッドキングは大地に倒れたエイティを怪力で蹴りまくる!


 レッドキングに蹴られながら大地を転がっていくエイティ!


 画面の手前に並んでいる民家・電柱・街灯などをナメながら、このへんは1カットの長回しで撮られている。


 エイティは低い体勢のままでレッドキングに飛びかかる!


 しかし、レッドキングの長いシッポの一撃がエイティの顔面を強打する!


 シッポの動きをアップで捉えたカットが実に効果的!


 エイティはレッドキングの長いシッポをつかみあげる!


 しかし、すぐにふりほどかれて、レッドキングは両腕でエイティの顔面をハサみ打ちにする!


 さらに、エイティを投げ飛ばして、頭突きもカマす!


 またも吹っ飛ばされるエイティ!


 そしてレッドキングの大きく口を開けた凶暴な面構えがアップに!


 真っ赤に塗られた口の中や舌と同様に、歯ぐきも血塗られた赤でていねいに塗装されているのが目を引く。


 続いてエイティの左肩に、レッドキングの鋭い牙が「グサリッ!」と突き刺さる様子がアップに!


 この場面では「ブタっ鼻」に造形されている鼻が目を引く! 「ブタっ鼻」の称号は『80』版バルタン星人5代目よりもむしろレッドキング3代目の方がふさわしいだろう(笑)。


 レッドキングに左肩を噛みつかれて苦しむエイティ!


 画面の手前にはアパート風の建物、左にビル、右下には樹木、その上には近所に野球場かゴルフ場でもあるのか背が高いネットが張られているという立体感のある画面構図! 真横から撮られたカットのあと、別アングルで同じ被写体が撮られている!


 次には画面の中央からやや左寄りに両者が捉えられて、画面の左手前には電柱、その右にはリアルなブロック屏、さらにその右には先ほどのカットと同じアパートが!


 右の奥には同じビルが配置されて、右の端にはやはり野球場かゴルフ場の背が高いネットが!


 画面の左の電柱からはそのネットに向かって斜めに電線が張られているという、遠近感も実に的確に表現された構図である!



涼子「エイティ、しっかり!」


 「ユリアン編」に突入後、涼子がエイティに声援を送ったのは本話が実ははじめてである。けれど、メディカルガン同様に、視聴者には見えないところで声援を送っていたと解釈してあげるのが、作品に対する「愛」がある、しかして封建的な忠誠心のような「盲愛」ではなく「知性」もある「真のマニア」の在り方でもある(笑)。


 続いてレッドキングの目のアップ!


 黒い眼球が「ギョロッ!」と動くサマを見せたあと、レッドキングが豪快に画面手前にエイティを投げ飛ばしてきて、あわてた子供たちが逃げてくる本編場面をつなぐという編集は効果絶大!


 エイティの胸の中央にある円形ランプであるカラータイマーが活動限界が迫ったことを示す赤い点滅をはじめた!


涼子「いけない!」


 涼子、おもわずエイティにメディカルガンを向けるのだが……


ナレーション「涼子はメディカルガンで少しでもエイティのエネルギーを回復させようとした。だが、エイティはそれを断った。エイティは子供たちにラクをしてはいけないということを見せたかったのだ」


 涼子の主観カットで大地に倒れ伏したままのエイティが、メディカルガンでの援護を断るように首を振っており、その背後に迫ってくるレッドキングを捉えた画面構図も、「安易な救済の拒否」と「危機」の二重の意味が込められており、「ドラマ」と「特撮」の融合でもある!


 エイティはバック転でレッドキングに迫って、レッドキングをなんと3連発でブン投げる!


 ……ではなく(笑)、正面・斜め・真横の三方から撮られた絵を連続してつないでいるのだが、まさにここから「大逆転劇」になりますよ~という意味を込めた、念押し・ダメ押しの強調演出でもあるのだ。もちろん、今まさに3連発で投げたのだ! と誤解をするようなリテラシー(読解能力)の低い幼児もいるのだろうが、そこはまぁご愛敬であろう。


 さらにエイティは、初代マンが第8話でレッドキング初代に披露したようにジャイアントスイングをカマす!


 初代『マン』第8話では、ジャイアントスイングを多々良島の岩場での初代マンの全身を捉えるロングのカットで撮影されていた。本話では画面の手前に民家の屋根が、さらにその前を電線が伸びている奥で、エイティの上半身とエイティにつかまれて宙でスイングさせられているレッドキングが捉えられている。


 大地に叩きつけられるレッドキング


 その手前には民家の屋根、右奥にはビルと、ここでも手を抜くことなく立体感のある構図が続いている。



 遂にエイティは、第18話『魔の怪獣島へ飛べ!(後編)』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100829/p1)で吸血怪獣ギマイラを葬りさった、足先にエネルギーを集中して黄色く発光させて、相手に飛び蹴りを叩きこむ必殺技・ムーンサルトキックをレッドキングに放った!!


 この宙を飛びながらキックへと至る場面には、第18話の美麗なキックポーズでのバンクフィルムが流用されている。何度でも観返したくなるような美しい特撮映像であれば、バンク映像の流用でもドシドシやるべきなのだ!


 しかし、怪獣への直撃の瞬間はもちろん替えが効かないので新撮! ムーンサルトキックを喰らったレッドキングの胸がストロボ状に閃光を放つサマは実に美しい!


 ウルトラマンエイティは両腕をL字型に組んで必殺技のサクシウム光線も放った!!


 それを喰らったレッドキングはやはりストロボ状の閃光を発したあとに、全身が赤く発光して遂に大爆発を遂げていく!!


 今は亡き朝日ソノラマが発行していた特撮雑誌『宇宙船』Vol.6(81年4月30日発売)の『ウルトラマン80』放映終了特集において、この際に使用されたレッドキング爆破用のカポックを抱いている造形の若狭新一の写真が掲載されていたように記憶している。このカポックの出来がまさに着ぐるみをそのまま縮小したかのような見事な出来映えであったのだ。画面にはマトモに映らないものなのに、そこまで再現してみせる若狭氏は、やはり金銭を度外視した職人魂・芸術家気質といったものがあるのだろう。



涼子「これ、預けとくわ」


 メディカルガンを矢的に手渡そうとする涼子。


矢的「どうしたんだい? 急に」
涼子「これも「魔法の壷」みたいなもんでしょ。地球にも立派な医学があるし、あんまり便利なものがあると、人間はラクばっかりするみたいだから」
矢的「そうかい。じゃあ預かっとく」


 まさに先述の『ドラえもん』のような「道徳説話」的な教訓オチで、本話の物語は締めくくられている。


 レッドキングを登場させるために、ムリやり設定された魔法使いのマアジンが潜む「魔法の壷」と、同様に便利なウルトラの星の超科学の道具でもある「メディカルガン」を絶妙に対比させて、「児童ドラマ」と「涼子=ユリアンの成長物語」を両立させつつも、レッドキングの派手な大暴れとエイティとの白熱したバトルを展開していたのは見事である。平野氏は本話に対してはやる気がなかったとは発言しているが、なかなかどうして! 出来は悪くないどころか、むしろ良いとすら思えるのだ!


 放映から30年もの歳月が流れた。「魔法の壷」や「メディカルガン」とまではいかなくとも、我々は様々な便利なものを手に入れてきたものの、それでラクばかりするようになっている。その余暇で自己研鑽に励めばまだよいのだけれども、実際には自堕落になりがちである。
 いつの時代も紀元前のむかしでも常にこういったことは云われてきたのだろうが(笑)、それであっても普遍性があるメッセージではあるのだ。



 なーんて。そんな小学生の読書感想文のような、歯の浮くようなキレイごとの教訓めいた、テーマ主義的なクサいまとめ方で文章を締めくくるのは本意ではないので、やめておこう(笑)。


 教訓テーマがあってもよいのだが、それれはあくまでも二の次なのである。ヒーローと怪獣の大暴れに対する快感。これが特撮ジャンルの主眼であって、ドラマやテーマなぞは派生物なのである。


 便利な道具の登場で人々が徳性的には堕落することに警鐘を鳴らすのは、『80』放映当時の1980年前後のジャンル作品群にもよくあるネタではあったのだ――先に挙げた名作漫画『ドラえもん』などもその典型――。もっと云うなら、「文学」や「物語」の常套テーマですらある、陳腐な手垢のついたものですらあるのだ。


 それに「道徳」や「報道」などとは異なる「文学」「物語」というものの主眼とは、小学生の読者感想文に記すと先生にホメられるような道徳的な解題などではない。劇中の事件に対する「良し悪し」を論じるものでもまるでない(笑)。
 わかっているけどやめられない、道徳的にはホメられたものではないインモラルな心情へと陥ってしまうような、人間の愚かさに対する諦観。あるいは、そういった人物に対する野次馬根性。


 道徳には直結してこない、繊細で云わく云いがたい、さまざまな心情描写や、禅味・俳味などの面白みや可笑しみ。無常観・不条理感なども含めて、言語化・成文化・形象化してみせることが「評論」の目的なのだ! といった趣旨のことを、文芸評論家の故・江藤淳先生なども、夏目漱石の著作の文庫本などの解説に寄せているくらいだ。



 結局はマアジンに願いをかなえてもらえずに、ションボリとする淳少年であったが、そこに空から雪が舞ってきた!


 矢的はそれをマアジンから子供たちへの最後のプレゼントであると語ってみせた――まぁ、「優しいウソ」というやつですネ(汗)――。


 子供たちは、


「♪ゆ~きや、コンコン。アラレや、コンコン。降っては降っては、ズンズン積もる……」


 などと童謡を口ずさんで、輪になって踊り出した。そして、ギャグメーカーのイケダ隊員もその輪の中に加わってしまう(笑)。


 ラストシーンはあたり一面に雪が降り積もった、背景には山々がそびえる郊外の住宅街のミニチュアセットとなっており――公衆電話ボックスや雪だるまのミニチュアまである!――、清涼な印象を残して本話は幕となっていた……


『80』人気怪獣・復活月間の総括!


 第44話『劇ファイト! 80VSウルトラセブン』から3週連続で続いた人気ヒーロー・人気怪獣復活編は本話で終了となった。「ドラマ重視」ではなく「怪事件」や「イベント」重視、もっと云うなら「怪獣押し」のエピソードであった、初代『マン』におけるレッドキング初代や2代目の登場エピソードと比較すれば、不満を持たれる方々がいるのも当然のことだろう。


 だが、『80』ももうシリーズ後半どころか終盤戦である。あの『ウルトラマンネクサス』(04年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20041108/p1)よりもはるかにシビアでヘビーだったかもしれない『ウルトラマンレオ』(74年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090405/p1)でさえも(爆)、第9話『宇宙にかける友情の橋』・第23話『ベッドから落ちたいたずら星人』・第32話『日本名作民話シリーズ! さようならかぐや姫 竹取り物語より』などのファンタジックな印象の作品もあったのに比べると、第3クール以降の「児童編」以降だけを振りかえってみても、『80』には意外とファンタジックな味わいのある作品が少なかったようには思える。なので、たまにはこういうテイストのエピソードがあってもよいのではなかろうか? そうしたエピソードに登場させる怪獣として、レッドキングが適任であったは別として(笑)。


 まぁ、スタッフ数十人を海辺や山間などの遠方ロケに泊まりがけで出かけさせるような予算はもう底をついていただろうから、多々良島や日本アルプスを舞台にできなかったというのが実情なのであろうが(笑)。



 本話は関東・中部・関西と全地区でわずかながらも視聴率は前話よりも上昇している。もちろん、前話ラストの予告編や新聞のラテ欄(ラジオ・テレビ欄)などでサブタイトルからして大々的に謳(うた)われていた、久々に再登場する人気怪獣・レッドキングに対する期待値の高さが影響したのだとは思われる。


 ただし、さかのぼること、『ウルトラマン80』第1話『ウルトラマン先生』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100502/p1)が放映された80年4月2日(水)夜7時のちょうど2日後である、4月4日(金)夜7時には『(新)仮面ライダー(スカイライダー)』(79年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20210102/p1)第27話『戦車と怪人二世部隊! 8人ライダー勢ぞろい』が放映されていた。
 そして、その翌週の第28話『8人ライダー友情の大特訓』とは前後編形式となっており、歴代仮面ライダー&スカイライダー VS 最強怪人グランバザーミーが率いる「2代目怪獣」ならぬ「怪人二世部隊」との決戦を描いていたのであった――グランバザーミーは個人的にはネオショッカー怪人の最高傑作!――。


 この第3クール巻頭の前後編を皮切りに、『スカイライダー』では第40話『追え隼人(はやと)! カッパの皿が空をとぶ』に至るまでの第3クールは、一部を除いてほぼ毎週が「変身前を演じる俳優さん」も含めてのゲスト出演を果たしている、歴代ライダー続々客演編が放映されており、当時の子供たちを熱狂の渦に巻き込んでいたのだった!


 『スカイライダー』では先輩ライダーが客演しているのに、なぜに『80』では先輩ウルトラ兄弟が客演しないのか!? そんな想いを抱いていた子供たちはきっと多かったことだろう。
 『80』の人気の低迷の原因を、円谷プロのスタッフは「学校編」の設定のせいだと思いこんで、消去法でそれを排除することで難局を乗りきろうとしたのだろうが、根本原因はそこではなかったのであった。


 テイストはマイルドでもドラマ性は一応は高かった「学校編」を継続しつつも、同時に月に1回程度は歴代のウルトラ兄弟を「変身前を演じる俳優」さんも含めて助っ人参戦させたり、人気怪獣再登場エピソードなどの娯楽編もシリーズ途中で随所に挟み込んでいくような加点法の発想!


 仮に各話の学園ドラマや児童ドラマが子供たちにはイマイチ楽しめなかったとしても、数話に1回は先輩ウルトラ兄弟客演編や人気怪獣再登場編などのイベント編で、戦闘の高揚感を味わえることがいずれはあるのだろうと潜在的に思わせられれば、そこで視聴を打ち切られることもなく、『80』はもっと視聴率が上向いていたのではなかろうか!? そこに思い至らなかったことこそが、『80』最大の悲劇であったとは思えるのだ。


 頑ななまでの「ウルトラ兄弟」という設定に対する間接的な否定は、先輩ウルトラ兄弟の客演を否定的に言及してみせた草創期のマニア向け書籍『ファンタスティックコレクションNo.10 空想特撮映像のすばらしき世界 ウルトラマンPART2』(朝日ソノラマ・78年12月1日発行)が、つくり手たちに与えた間接的な影響だったのだろう。
 とはいえ、ウルトラの父だけは再登場したものの、怪獣とのバトルを演じさせることはなかった。ウルトラセブンも登場はしたもののそれは偽者である「妄想ウルトラセブン」としてであった。そして、バルタン星人・レッドキングの再登場もまた…… 遅きに失した感も否めないのであった。



<こだわりコーナー>


*マアジンを演じた横山あきおは、マラリア星から来た「怪盗ラレロ」と彼を逮捕するために地球に来た同じマラリア星の「宇宙刑事ポポポ」が繰り広げる騒動を描いた連続テレビドラマ『怪盗ラレロ』(68年・東映 日本テレビ)にラレロ役で主演していたことがある。ジャンル作品には縁があるコメディアンなのだ。当時は青空あきおの名義で青空はるおと漫才コンビを組んでおり、相方の青空はるおがポポポを演じていた。
 なお、ラレロのコスチュームはシルクハットにマント姿と本話のマアジンにそっくりである。やはり、本編の現場スタッフ側の美術班や衣装班あたりの世代人である誰かのオマージュが入っていたのではなかろうか? なお、筆者個人は世代的にも『ラレロ』は未見である――慈善事業ではないのだから仕方がないのだが、東映ビデオも売上が見込める特撮ヒーローもの以外の作品はなかなか映像ソフト化してくれないので――。


 氏は我らが『ウルトラマンA』(72年)第40話『パンダを返して!』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070204/p1)でも、宇宙超人スチール星人に自身のパンダコレクションをすべて盗まれてしまう薬局・パンダ堂の店主を演じている。ちなみに、72年末に発行された『原色怪獣怪人大百科 第2巻』には当時、上野動物園で飼育されることになったランランとカンカンによって巻き起こった一大パンダブームを反映して、なんとパンダの折り込みポスターが付録につけられていた(笑)。


 加えて、『ミラーマン』からミラーマンVS怪獣の特撮格闘場面だけを抜き焼きしたエピソードと、残存していた着ぐるみを用いて新規に野外で撮影されたエピソードで構成された平日夕方の5分番組『ミラーファイト』(74年・円谷プロ 東京12チャンネル→現テレビ東京)では、氏はナレーションも担当していた。
 その元祖でもある『ウルトラファイト』では、当時はTBSのスポーツアナだった山田二郎によって「スポーツ実況」風の解説がなされていたのだが、『ミラーファイト』における横山の語り口はいかにもノンビリとしており、実にトボケた感じのホノボノとした味わいが感じられたものである。第2次怪獣ブームも下火になった74年の作品ではあったが、関東地区では特撮巨大ヒーロー作品の新作がなかった70年代中盤にも何度か再放送がされたそうであり、当時の子供たちの特撮巨大ヒーローに対する渇きを癒やしていたそうだ。


・第1期ウルトラシリーズ最終作である『ウルトラセブン』と、第2期ウルトラシリーズのトップバッターである『帰ってきたウルトラマン』、その間に生じた空白期間に放映されていた『ウルトラファイト
・本作『80』と『ウルトラマンティガ』(96年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19961201/p1)の間の15年にもわたる空白期間に、テレビ東京で平日の夕方や早朝に放送された5分番組『ウルトラ怪獣大百科』(88年)~『ウルトラマンM730(エムナナサンマル) ウルトラマンランド』(96年)
・『ウルトラマンコスモス』(01年)と『ウルトラマンネクサス』(04年)の間の空白期を埋めていた、平日早朝の5分番組『ウルトラマンボーイのウルころ』(03年)


 30分の新作テレビシリーズの放映がなかった時期に、こうしたミニ番組の放送によって、新たな子供ファンの開拓に努めてきた当時の円谷の営業姿勢はもっと評価されてしかるべきだろう。


 これらの5分番組もまた、往年の書籍『全怪獣怪人大百科』のように「こんな怪獣や怪人が過去に存在したのか!?」といった、特撮ジャンル一般の旧作に対する基礎知識や興味を喚起させる役割を充分に果たしていたことは間違いないのだ。私事で恐縮だが、筆者なども『原色怪獣怪人大百科』で往年の東宝特撮映画『地球防衛軍』(57年・東宝)に登場したロボット怪獣モゲラの存在を知って、同作を観たくて観たくてたまらなくなったものだ。もちろん、家庭用ビデオデッキなどが世間に存在しなかった当時はその夢は叶わず、やむなく今は亡き玩具メーカーブルマァクから発売されていたモゲラのソフビ人形を祖母にせがんで買ってもらった経験がある。


 『ウルトラマンメビウス』放映終了以降、地上波での新作ウルトラマンのテレビ放映は、この項を執筆中の2011年春で早くも4年もの空白期間となっている。そろそろテレビ東京で抜き焼き再編集の5分番組などを放映すべきではなかろうか!?


*冒頭の日本ランドの場面で、場内のスピーカーから現実音楽として流れている歌謡曲は、当時の人気アイドル歌手・河合奈保子(かわい・なおこ)がヒットさせていた3枚目のシングル『愛してます』(日本コロムビア・80年12月10日発売)である。これは涼子の矢的に対する気持ちの今後の進展を象徴する曲として選ばれたのかもしれない。河合奈保子は1980年にデビューしたアイドル歌手たちの中でも、松田聖子(まつだ・せいこ)と人気を二分するほどの注目を集めていた(ただし、聖子ちゃんの方が人気は上だった)。


*本文で紹介した『(旧)コメットさん』は、家庭用ミシンの製造で有名だったブラザー工業の1社提供枠であったTBS月曜19時30分からの30分テレビドラマ枠『ブラザー劇場』(64~79年)において、1967年7月から68年12月まで1年半にもわたって放映されるほどの人気番組となった。
 しかし、67年10月から翌年3月までの半年間は真ウラで日本特撮株式会社が製作(実質的にはピー・プロダクションが製作)した、恐竜ネッシーを乗りこなす野生児・タケルを主人公とした特撮番組『怪獣王子』(67年 フジテレビ)が放映されており、さらに68年1月最終週からは水曜日19時30分枠から曜日を移動してきた東映特撮『ジャイアントロボ』(67年・東映 NET→現テレビ朝日)も真ウラで放映されるという時間帯衝突が起こっていた。その結果、『怪獣王子』は同じくピープロが製作した前番組である特撮巨大ヒーロー『マグマ大使』(66年・ピープロ フジテレビ)に比べて視聴率が激減してしまったそうだ。『怪獣王子』と『ジャイアントロボ』はともに68年3月期で2クールの放映を終了している。


 第1次怪獣ブームの実質的な「期間」については諸説ある。個人的には『ウルトラセブン』・『怪獣王子』・『ジャイアントロボ』が一斉にスタートした67年10月の時点ではすでに峠を越えていたのではなかったか? と、ウラ番組の『怪獣王子』と『ジャイアントロボ』よりも『コメットさん』の方が人気も視聴率も高かったように見える現象を見るかぎりでは、そう推測するのである。
 同じく『ブラザー劇場』枠で放映された『(新)コメットさん』も、1978年6月から79年9月までの1年3ヶ月ものロングランとなったことを考えると、こうしたご町内ファンタジー系の作品は、筆者の当時の印象でも70年代いっぱいまでは子供ウケもよかったように記憶している――しかしこれもまた80年代に入ると、当時のMANZAI大ブームと連動してもっとブラックで軽躁的なお笑いが突如として大流行して、こういう牧歌的なファンタジー作品が茶化されてしまうようになってしまって、そういった作品を一掃してしまったのであった(汗)――。


 だから、本話の『80』第46話のようなファンタジックな路線も、子供向け特撮ヒーロー活劇としては「王道」だとはいえなくても、必ずしも「邪道」だとまでは云いきれないのではなかろうか? ……などとロジックをもてあそびたいところなのだが、当の男児たちからすれば、「ウルトラマン」という作品の看板から受け取る戦闘的なイメージとは相反する、女児もゲストで登場するような女々しいノリには気恥ずかしさ&反発も覚えてしまいそうだから、ムズカしいところではあるのだろう(笑)。


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2012年号』(2011年12月29日発行)所収『ウルトラマン80』後半再評価・各話評より分載抜粋)


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