『ウルトラマンメビウス』1話「運命の出逢い」 〜感激!感涙!大傑作!
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『ウルトラマンメビウス』12話「初めてのお使い」 〜木像の恵比寿さまがそのまま巨大化! 非リアルかつコミカル路線を積極導入のマニフェスト(宣言)!
(脚本・川上英幸 監督&特技監督 鈴木健二)
(『ウルトラマンメビウス』〜ウルトラマンヒカリ編・短期集中連載!)
(文・久保達也)
前話である第11話『母の奇跡』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20060910/p1)とは打って変わって、第12話『初めてのお使い』では
「最近なんとなくだが、私は笑われ者になっているような気がするのだが……」
その真実に気付きだしたトリヤマ補佐官を主役に据えて(笑)、第7話『ファントンの落し物』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20060705/p1)に続く、徹底的なお笑い路線に転じている。
ちなみに、本話のサブタイトルは、日本テレビ系列で不定期に放映されている、幼児がはじめてお買いものに出掛けるサマを盗撮した人気番組『はじめてのおつかい』(91年~)からの引用である(笑)。ロートル世代であれば、一枚看板の独立番組になる前には、同局の平日19時台の30分枠で放映されていた情報&ドキュメンタリー番組で、タレントの青島幸男と高見知佳が司会を務めていた『追跡』(88~94年)内にて、時折りに放映されていたコーナーであったことを覚えているだろう(笑)。
防衛組織・GUYS(ガイズ)基地作戦室でミサキ・ユキ総監代行からナゾの液体入りのカプセルを最終処理施設に運搬するように、トリヤマが依頼されるのが事の始まりであった。サコミズ隊長が護衛をつけようと進言するも、マル補佐官秘書が、
「ただのお使いだから」
と口をすべらせたことにトリヤマ補佐官は激怒!
ムキになって、ただひとりで任務を遂行しようと作戦室を出ていこうとするトリヤマ補佐官に、
「今日のおとめ座は最低最悪。なにをやってもダメ!」
とコノミ隊員が持ち前の天然で追い打ちをかけてしまう描写が絶品(笑)。
自動車に酔っていたのを「乗りもの酔い」の薬を飲んだ直後に一気に生き返ったような表情になったりするサマがまた、本話はコミカル編なのだ! といったマニフェスト(宣言)でありつつも、笑ってしまうのだ。
そして、その際に興味本意で覗いたカプセルを、手をスベらせて川に落としてしまうのだ!――それをロングでとらえたカットに。カラスの鳴き声が入るのもコントっぽくて実によい!(笑)――
「1個くらいイイや。1個くらい。1個くらい……」
とイジけた調子でつぶやいてみせたり、任務遂行後に作戦室に入ってくる前にも、やはり「1個くらい。1個くらい……」と自分に言い聞かせていたり、本部に戻ってからの隊員たちの会話から、自分が落としてしまったカプセルがどんなに危険なものであったかを悟って、
「あの〜、どんなに危険なものなのか、私に教えてくれないでしょうか!?」
とあわてふためいてみたりと、トリヤマ役の石井愃一の芸コマな演技を見ているだけでも飽きさせないものがある(笑)。
だが、それ以上に注目すべきなのが、やはりトリヤマが落としたカプセルの中身についてであった。
なんとそれは「グロテスセル」と呼ばれる超絶科学メテオールであったのだ! 往年の『帰ってきたウルトラマン』(71年)第43話『魔神月に咆(ほ)える』において、発砲怪人グロテス星人が信州の蓮根神社にまつられた御神体を「魔神怪獣コダイゴン」に仕立てあげるために使用した物質だったのだ!(「セル」だから「細胞」のことだろう)
「グロテスセル」は、中身が空洞の物質に入りこむと生物のように動かすことができ、GUYSはそれを利用してロボットを開発する計画(!)を進めていたのだ! しかし、巨大化させることによって生じる「破壊衝動」をコントロールする方法が見つからなかったために計画を断念したのだそうだ。
『帰ってきた』第43話においては、この「グロテスセル」については語られてはいなかった。どころか、怪獣図鑑の類においてもこれまでその存在が語られてきたことはまったくなかった。つまり、30数年後の「後付け設定」なのであった(笑)。
御神体が怪獣コダイゴンへと巨大化できた理由は、リアル志向のマニアにとってはともかく(笑)、作品中でいちいち言及すべき性質のものではなく、「グロテス星人の特殊能力」程度で片付けてしまえるものであったのだ。
だが、それに対して、放映から34年も経ってから独自の解釈を加え、かつての小学館学習雑誌に掲載されていたような、「ウルトラマンのキック力はジャイアント馬場の十六文キックの何十万人分の威力がある」(爆)だの、「ツインテールの肉はエビのような味がする」だの、「イカルス星人のパンチは一撃で京王プラザビルをバラバラにする」といったような、劇中では明確に語られない、いわば「ウラ設定」的な要素を、広義での「後日談」として、大胆にも盛り込んでしまった、良い意味でのB級SFなセンスには脱帽である。
しかも、リアル志向の人々が望むような「SF科学的な裏付け」があるとはとうてい思えないような(笑)、「小学校の理科の知識」の範囲で理解できる程度にとどめているところがまたよいのだ(笑)。
トリヤマが落とした「グロテスセル」は、川で釣りをしていた古道具屋を営む老人が拾いあげた。ちなみに、この老人を演じたのは、東映特撮『人造人間キカイダー』(72年)で名脇役・服部半平を演じた、うえだ駿であった!
老人が持ち帰った「グロテスセル」は気化して店内の様々な古道具に歩行・移動能力を与えた(笑)。老人はそれを「憑喪神(つくもがみ。付喪神・九十九神・九十九髪とも表記)」と呼んで崇めたてまつった!
しかし、これに目をつけた孫娘・由香がカワイイ顔して商売に利用しようと考える。せいいっぱいの笑顔をふりまいて、これらを売りさばいていく姿に、限りなき商魂が感じられるのがまたよい(この娘の笑顔は素直にカワイイ・笑)。
「グロテスセル」を落としたことを悟られたくないトリヤマは、彼が云うところの
「どことなくノホホ〜ンというか、ポヤ〜ンというか」
という気質であったミライ・テッペイ・コノミの3隊員(笑)だけを同行させて、密かに「グロテスセル」の回収に赴いた。
ミライが、
「やっぱり隊長に報告しましょう!」
と正論を述べてくるのを
「それだけは勘弁して〜!」
と泣きついていくるトリヤマ(笑)。
「グロテスセル」が生物を巨大化させる威力がないことをテッペイから聞いたトリヤマの
「魚が飲んじゃったことにしよう!」
との発言に対して、ミライが
「それは無責任です!」
と一喝したりと、天然優等生のミライと対比させることで、トリヤマのいい加減さをコミカルに際立たせているのがまたうまい。もちろん、リアルに考えれば、防衛組織の上官に、ここまでイイカゲンでコミカルな人材などが配置されるワケはないのだが(笑)。
コノミ隊員がついでに買ってきた、動くカエルの貯金箱によって、例の古道具屋の所在を突きとめた一同は、
「おじいちゃん、なんかワケわかんない人、来てるんだけど〜」(笑)
との孫娘の声にも耳を貸さずに、徹底的に家宅捜索した結果、ついに「グロテスセル」を発見した!
だが、またしてもトリヤマがその場でカプセルを落としてしまった!(爆笑)
カプセルの中の液体がこぼれて大量に気化した「グロテスセル」は、老人が商売繁盛の神さまとして崇めていた「恵比須(えびす)」さまに襲いかかった!
そして、木像の「恵比須」さまの目が赤く、妖しく光った!
ミライ隊員が恵比須さまを抱えて外に飛び出し、これを空中高く放り投げるや、恵比須さまはその顔を段階的に巨大化させ、ついに魔神怪獣コダイゴンジアザー(!)として地上にズシ〜ンと舞い降りるのであった!
元祖のコダイゴンは、ぶっちゃけ大映の特撮時代劇映画『大魔神』シリーズをパクった怪獣でもあった。しかし、本作に登場したコダイゴンは…… 出自はインド神話である七福神の一体でもあり、商売繁盛の神さまでもあった恵比須さまそのものの姿であったのだ!(笑)
戦闘機で駆けつけてきたリュウ隊員が「なんじゃありゃ?」とボーゼンとしたほど、一見はおマヌケな、姿の釣竿をかついだ恵比須さま姿のコダイゴンジアザー!(笑)
だが、左手の釣り竿でジョージとマリナが乗る戦闘機ガンローダーに襲いかかって右手に抱えた鯛(たい)の口からは
「ショーバイハンジョー! ショーバイハンジョー!」
の甲高い声(笑)とともに赤い破壊光線を連続発射した!
これはもう、メインスタッフの確信犯での行為以外の何物でもない! 先のトリヤマ補佐官の言動もそうであったが、リアル&シリアス至上主義を否定して、ある意味での東映のスーパー戦隊シリーズ的な、非リアルではあっても、コミカルな良さをも肯定してみせて、本作『メビウス』にはそういった要素も積極的に導入してみせよう! といったマニフェスト(宣伝)であるに相違ないのだ!?(笑)
ミライはウルトラマンメビウスに変身する!
メビウスはコダイゴンジアザーに挑んだ!
グロテスセルが一気に気化したことで、その硬度は元祖コダイゴン以上となったコダイゴンジアザーは、メビウスの連続パンチ攻撃にもびくともしない!
取り上げた釣り竿で殴りかかっても(笑)、釣り竿の方がヘシ折れた!
そして、コダイゴンジアザーはその重厚な体型には似合わず、空中に舞い上がってはメビウスに対して連続体当り攻撃をブチかます!
メビウスのピンチについにウルトラマンヒカリも参上!
コダイゴンジアザーから分離した鯛(笑)がヒカリを! 続いてメビウスをも襲う!
メビウスは連続バック転でこれをかわして、つかみあげてコダイゴンジアザーに向かって放り投げる!
鯛は「ショーバイハンジョー」と叫びながら(笑)、コダイゴンジアザーに激突!
老人からかつて恵比須さまを派手に落とした際に右足の一部が欠けたことを聞いたテッペイは、メビウスとヒカリに右足を集中攻撃してグロテスセルを気化させるように助言。
メビウスとヒカリは空中に上昇し、いったん停止してから俯瞰撮影の見下ろし構図でコダイゴンジアザーの右足を攻撃しようとする!
メビウスの腕の周囲に描かれる無限大マークの輪、ヒカリの右手に導かれる稲妻、とカッコいいタメの描写のあとに繰り出されるウルトラダブル光線!
ダブル光線を受けたコダイゴンジアザーが恵比須さまの木像へと戻る際に、左腕を「えぃっ!」とばかりに高々と掲げて、もともとのポーズを律義にとる芸コマな描写も注目すべき点である(笑)。
事件解決後、トリヤマが「グロテスセル」を落とした一件をひたすら隠そうとするミライ・テッペイ・コノミであったが、「初めてのお使いに失敗はつきもの」とのサコミズ隊長の発言で、バレバレだったことが発覚する。そんなセリフでのオチでよいものなのか!?(笑)
もちろん、ある意味では定番のオチではあったものの、ヒーロー作品としてのカタルシスもキチンと押さえて、最後まで楽しませてくれた点は特筆に値する。
ただ、ひとつだけ欲を云わせてもらえば、やっぱりグロテス星人に再登場してほしかったなぁ。コノミに「星人だわっ!」(笑)と叫ばせたりして……
『帰ってきたウルトラマン』第43話『魔神月に咆える』(脚本・石堂叔朗(いしどう・としろう) 監督・筧正典(かけい・まさのり))において、防衛組織・MAT(マット)の伊吹隊長の娘・美奈子はグロテス星人の正体を目撃した際に、「星人だわっ!」と叫んでいた。
それまでウルトラシリーズに登場した侵略宇宙人は一貫して「宇宙人」と呼ばれていたのだが、時代劇の下品な悪党、もしくは街のチンピラのようにも描かれていたグロテス星人は、「侵略者」のイメージを完全に消失してしまったのであった。
書籍『帰ってきた 帰ってきたウルトラマン』(99年・辰巳出版・ISBN:4886413641)に掲載された『星人総進撃〜これが第2期ウルトラシリーズだ!〜』と題したコラムにおいて、特撮ライター・江口水基(えぐち・みずき)は、「この回をもって、知能犯的異星人=宇宙人、粗暴犯的異星人=星人、という謎の不文律が確立してしまうのである」と記している。
『帰ってきたウルトラマン』の最終第4クール目に突入するにあたって、円谷プロが作成した『番組延長に関するメモ』の中に、「怪獣・宇宙人と対決するスリルとサスペンスと爽快なるアクションの中で、私たち人間にとって〈良いこと〉〈悪いこと〉とは何かを考えてみたいのです」という一節があった。
江口は、『帰ってきた』4クール目に登場した宇宙人が、狙いをウルトラマンやMATに絞ってきたものが多かったことに対して、「これは先のメモの〈良いこと〉〈悪いこと〉を画にする上でもっともわかりやすく、作りやすい展開」であるとして、「彼らが悪役に徹してくれたからこそ、ウルトラマンのヒーロー性が際立ち、子供たちは惜しみない声援を送ることができるようになったのだ」と、「星人」のその作劇的な意図について好意的に記していたのであった。
ちなみに、伊吹隊長の娘・美奈子は第31話『悪魔と天使の間に……』(脚本・市川森一(いちかわ・しんいち))に続いて2回目の登場であった。実は第38話『ウルトラの星光る時』(脚本・上原正三(うえはら・しょうぞう))準備稿でも再登場が予定されていたそうだ。
『ウルトラマンタロウ』(73年)でもZATの南原隊員の母親が、第13話『怪獣の虫歯が痛い!』(脚本・田口成光(たぐち・しげみつ))と第51話『ウルトラの父と花嫁が来た!』(脚本・阿井文瓶(あい・ぶんぺい))の2回に渡って登場した例がある(後者は人間ドラマ面でも傑作!)。
複数回に渡って登場したゲストではないが、『タロウ』第38話『ウルトラのクリスマスツリー』(脚本・田口成光)では、第4(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20071223/p1)~5話(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20071230/p1)の怪獣キングトータス編(脚本・上原正三)の際に孤児となった少女ひとみが登場していた。
『ウルトラマンレオ』(74年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20250330/p1)第15話『くらやみ殺法! 闘魂の一撃』(脚本・田口成光)にゲスト出演した津山青年は、第1話でマグマ星人と双子怪獣に沈没させられた黒潮島(くろしおじま)の生き残りであった。
それ以前のエピソードでの出来事から派生したゲストの登場も、昭和ウルトラの時代においてもすでに試みられていたことなのであった。こうした試みが平成ウルトラ3部作で初めてなされたとする記述もかなり散見するのだが、それは誤りであるので念のため。
(編:ゲストの孫娘・由香役の崔岡瑞季は、ビデオ作品『ウルトラマンネオス』(00年)#9「僕らの恐竜コースター」(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20120422/p1)にも、子役時代に主役級のゲストヒロインとして出演!)
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