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ウルトラマンメビウス22話「日々の未来」 〜真の元ネタは『ザ☆ウルトラマン』15話か!?

ザ・ウルトラマン#15「君がウルトラマンだ」 〜超人に選ばれし者の条件
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(脚本・赤星政尚 監督&特技監督・村石宏實)
(『ウルトラマンメビウス』〜メビウスブレイブ編(仮称)・短期集中連載!)
(文・久保達也)
 一大宇宙冒険活劇となった第21話『虚空(こくう)の呼び声』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061026/p1)であったが、宇宙貨物船アランダスの船内に残されていた、遭難時の映像記録には衝撃の事実が隠されていた!


 蝉の鳴き声がまだ残る初秋のある日、ミライはサコミズ隊長と総監代行のミサキに連れられ、アランダスのバン船長のもとを訪れていた。旧日本家屋というべき趣のあるたたずまい。「畳のへりは踏まない」と日本の、いや地球の(笑)作法をミライに教えるサコミズの描写は芸が細かい。
 和服姿に身を包んだ初老の紳士=バン(演じるは『ファイヤーマン』(73年・円谷プロ)の防衛組織SAF(エス・エー・エフ)の千葉太隊員、『ウルトラマンガイア』(98年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19981206/p1)でも千葉参謀を演じ、『ウルトラマンタロウ』(73年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20071202/p1)第36話『ひきょうもの! 花嫁は泣いた』や『ウルトラマンレオ』(74年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090405/p1)第46話『戦うレオ兄弟! 円盤生物の最後!』にもゲスト出演していて、現在でも活躍中の平泉成(昔は平泉征の名義)が現れると、サコミズとミサキはミライを残し、そそくさと帰ってしまった。


ミライ「これ、ヒロトさんのものです」


 小さな風呂敷包みをバンに手渡すミライ。
 バンがおもむろにそれを開けると、中から出てきたのは古びた懐中時計だった……


 半年前、宇宙貨物船アランダスは火星からスペシウムという物質を地球に運搬するために宇宙を航行していた。


ヒロト「もうすぐだよ、父さん」
バン「任務の最中は船長だろ、ヒロト


 バン・ヒロト、18才。火星生まれのスペースジェネレーションであった彼は、まだ地球の土を踏んだことがなかったため、思わずはしゃいでしまったのだ。地球に行ったらまず何をしたいか乗組員にたずねられると開口一番


ヒロト「母さんの骨を、お墓に納めに行くんだ!」
バン「母さんがナメゴンに襲われて命を落としてからもう5年か」


 あまりにも自然に云うので思わず見逃してしまいそうになるが、ナメゴンとは『ウルトラQ』(66年)第3話『宇宙からの贈りもの』に登場した火星怪獣のことだ! いやはや、なんちゅう心配りの良さ! 欲を云うならナメゴンに襲われるヒロトの母の回想場面も欲しかったところだが……
 (バンの名字も、『帰ってきたウルトラマン』初期企画『続・ウルトラマン』での主人公名バン・ヒデキからの引用)


ヒロト「それに、早く欲しいな、地球での友達が」


 突然鳴り響く危険信号! 宇宙に生じた空間のゆがみ=ウルトラゾーンにアランダスが吸い込まれそうになったのだ! スペシウムを積んだキャビンを切り離さなければ助かる見込みはない。だが切り離し装置が作動しない!
 そのとき、ヒロトがキャビンに向けてひた走った!


バン「やめるんだヒロト、戻ってこい!」
ヒロト「ケーブルが切断されているんだ! みんなが助かるためには、誰かがこっちから手動で切り離すしかない!」
バン「それなら父さんがやる! それが船長の務めだ!」
ヒロト「だめだよ! 船長の務めは、みんなを無事に地球に送り届けることだろ!」
バン「地球の土を踏まずに、死んでもいいのか!」
ヒロト「地球なんて、まだ見たことのない星なんだ……それより母さんを、ちゃんと連れて帰ってくれよ」


 手にした懐中時計の蓋を開けるヒロト。蓋の内側には「愛する息子へ」と記されていた。母の形見なのか……


バン「母さんは死んだんだぞ!」
ヒロト「母さんは、生きているよ。父さんの胸の中で……だから僕も生き続ける! 今までありがとう……」


 そしてヒロトはキャビンを切り離した……


バン「ヒロトヒロト……ヒロト〜!」


 懐中時計に落ちる一筋の涙……


バン「この時から、ヒロトの時は止まっているのか……」


 個人的には回想を含んだこの一連の場面の方が、マニア間でやたらと評判が高いらしい第23話『時の海鳴り』(脚本・太田愛 監督&特技監督・アベユーイチ)*1よりもよほど泣けたなあ。いや、ヒロトの献身的な行動に感動したのは我々だけではなかったのだ!


ヒロト「さようなら、父さん……」


 ウルトラゾーンへと吸い込まれていくヒロトの眼前に、燦然と輝く無限大の輪! それはやがてヒロトに近づき、その輪の中心から光の戦士が飛び出してきた!


ヒロト「あれは……メビウスの輪……ウルトラマン!……ウルトラマンメビウス……」


 ヒロトの救助に向かうメビウスの眼前で、アランダスのキャビンはウルトラゾーンに吸い込まれてしまった……


メビウス「僕は地球へ向かう途中、この親子の別れに遭遇した。だが……」


 ヒロトの姿に変身したメビウスがバン邸を訪れた。


バン「なぜ君はその姿でわしのところに来た!」
メビウス「僕は自分の死をいとわず、あなたがたを助けようとした、ヒロトさんの勇敢な行動に感動したんです!」
バン「帰れ、帰ってくれ!」
メビウス「なにか、いけないことをしたんでしょうか? 僕……」


 ここにおけるメビウス役の五十嵐隼士(いがらし・しゅんじ)のセリフはおもいっきりの棒読みで、一見違和感があるが、地球に来て間もないことから、地球語をまだ十分に習得していないことが表現されている実に配慮のある演出である。要するにメビウスは地球に来るや、すぐさまバン邸を訪れているということなのだ(感涙にむせぶ)。


 「お久しぶりです。キャプテン・サコミズ」との電話に呼び出され、サコミズがバン邸を訪れ、ミライを連れて帰ろうとしたのを、バンが呼び止めた。


バン「待ってくれ。すまない……」
メビウス「え?」
バン「君の行為は、君自身の優しさの表れであることは理解できる。だが、やはり君とは暮らせない」
メビウス「僕も、この姿は今日限りにします」
 深々と頭を下げるメビウス
バン「いや、いてくれないか、その姿で。地球の土を踏めなかった、ヒロトの代わりに……」
メビウス「ごめんなさい!」
サコミズ「バンさんの涙は、君のせいじゃない」
バン「君のこの星での、日々の未来に、幸多からんことを……」
メビウス「ヒビノ、ミライ……」


 これがヒビノ・ミライ誕生の物語だったのである!
 これを見て、すぐさま『ウルトラセブン』(67年)第17話『地底GO! GO! GO!』を連想した人はかなり多いことだろう。ウルトラセブンが地球で初めて出会ったのは、登山中に仲間と遭難した薩摩次郎であった。


 「仲間を救うためにザイルを切った。なんて勇敢な青年だ。そうだ、この青年の姿と魂をモデルにしよう!」


 次郎を救ったウルトラセブンは、次郎の姿と魂をモデルにして地球人に変身し、モロボシ・ダンと名乗ったのである。ミライの誕生物語はこれに対するオマージュだと思ったあなた、甘い! 甘すぎるぞ!


 『ザ★ウルトラマン』(79年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971117/p1)第15話『君がウルトラマンだ』(脚本・吉川惣司 絵コンテ・鳥海永行 演出・石田昌久)にこんな場面がある。幼虫からさなぎを経て成虫へと成長した隕石怪獣ゴクラン(蛾の怪獣であり、ほとんど東宝映画怪獣のモスラだ・笑)を追跡し、骨折して倒れ込むヒカリ超一郎に、ウルトラマンジョーニアス(この名称自体はのちの第20話で判明。雑誌などでは放映開始2〜3ヶ月後の79年6〜7月ごろに映画『ウルトラマン怪獣大決戦』合わせでウルトラマンJ(ジョー)名義でまず公表)が語りかける。


ジョーニアス「ヒカリ、気を確かに持て!」
ヒカリ「あっ、ウルトラマン
ジョーニアス「がんばれ! 君自身がだめになったら、私とて力を発揮できない」
ヒカリ「でも、だめなんです。僕はやっぱり、ただの人間だ……」
ジョーニアス「ヒカリ、君はなぜ私に選ばれたのだと思う? 君のような若者は数多くいる。その中でも私が特別に君を選んだ理由を考えたことがあるか?」
ヒカリ「わかりません……」
ジョーニアス「あのEGG3(エッグスリー)でのことを思い出せ!」


 ここでヒカリがかつて勤務していた宇宙ステーション・EGG3での出来事を示す回想の場面となる。


ジョーニアス「君が目覚めたとき、卵からかえった怪獣はシャッターを食い破ろうとしていた」


ヒカリ「いけない! あれが破れたら、200人の職員は全滅だ!」


ジョーニアス「君は自分の呼吸困難をかえりみず、職員たちを救おうと懸命だった。そのとき私は、近くで君の行動を見守っていたのだ」


ヒカリ「シャッターを開けて中に飛び込めば僕は助かる。しかしその前に……」


 ヒカリはシャッターをガリガリとかじっているゴクランの幼虫を、そばにあった廃材で叩きつぶそうとする。


ヒカリ「だめだ。もう息が続かない……」


ジョーニアス「がんばれ! 君は可能性を超えられる!
 あのとき君は、人間としては信じられない長い間、酸素欠乏の状態に耐えたのだ!」


 こう励まされたヒカリは、ようやく変身アイテム・ビームフラッシャーを額に当て、ウルトラマンジョーニアスへと変身したのである!


 変身する主人公とウルトラマンの会話……『懐かしのヒーロー ウルトラマン99の謎』(二見文庫・93年9月25日初版発行・ISBN:4576931180。今年06年9月に大判サイズで再販!・ISBN:4576061488)において、これを「ヒカリ超一郎とウルトラマンジョーニアスの奇妙な関係」として以下のように紹介している。


 「ヒカリはウルトラマンの命によって生きているわけでも、ウルトラマンの地球上での仮の姿でもない。ウルトラマンは生きているヒカリに寄生(というのも適切な言葉ではないが)しているだけなのである。だから、ヒカリには自分自身の感情がある。そして、ときにウルトラマンとぶつかることさえあるのだ」


 この『ザ★ウルトラマン』独自の設定を活かし、第15話ではヒカリがウルトラマンに選ばれた理由が明かされたのである。この「ヒカリ超一郎とウルトラマンジョーニアスの奇妙な関係」を書いたのが、『メビウス』第22話の脚本を担当した赤星政尚なのである! 先述の文庫本の「著者紹介」にも
 「本業はシナリオライター見習い(笑い)。(略)『ザ☆ウルトラマン』LD――筆者注:レーザーディスク。DVDにとって代わられ、今となっては絶滅寸前の映像アイテム――化切望!」
 などとおちゃめなことを書いている(笑)のを見ても、ヒビノ・ミライ誕生の物語は、赤星が『ザ★ウルトラマン』第15話にオマージュを捧げて書いたと考える方が妥当ではないだろうか?


 悲劇の回想シーンや、古いたたずまいの日本家屋における会話など、静の印象が強い今回であるが、地球に来ていた高次元捕食獣レッサーボガール3匹対ミライの等身大バトルなどというお楽しみも用意されている。『流星人間ゾーン』(73年・東宝)や『スーパーロボット レッドバロン』(73年・日本現代企画(円谷プロの分派))といった巨大ヒーロー作品でも、前哨戦として前者はゾーンファミリー対ガロガバラン星人、後者は防衛組織SSI対鉄面党のメカロボ(東映作品の戦闘員みたいなもんだ)といった等身大バトルがかつては描かれていたのだ。
 円谷作品だって例外ではなく、『ミラーマン』(71年)ではSGM対インベーダー、『ジャンボーグA』ではPAT(パット)対グロース星人をやっていたのだから、ウルトラでも積極的にやるべきなのだ! しかも今回はミライがメビウスに変身しない状態で左腕にメビウスブレスを出現させ、光弾を放つというはなれわざをやってのけるのだ! ミライ、かっこええ! かっこよすぎるぞっ!


 もちろんいつものお楽しみも忘れてはいない。またしても共食いで巨大化したレッサーボガールは、『ウルトラQ』第15話『カネゴンの繭』に登場したコイン怪獣カネゴンのようなガマ口状の頭に変形し、そのデカイ口で長く延びる舌でからめとったリュウが乗るガンウインガーを飲み込もうとする!


ミライ「僕はもう、同じ悲しみを繰り返さない!」


 ヒロトへの想いを胸に、ミライはメビウスに変身! リュウを助けたメビウスは空中からガマ口の頭部にパンチの連打! だが舌で縛られ、空中でもがき苦しむ!
 それを見たリュウは「待ってろよ! 今度はオレが助ける番だぁ〜!」と結局いつものノリ(笑)。
 遂にレッサーボガールはメビウスに滅ぼされ、トリヤマは「これでもう、地球に怪獣が出現することはないんだなあ〜!」と大喜びするが……


バン「いつまでも、その姿でいてもらうわけにはいかんだろうな……」
ミライ「いえ、いさせて下さい! 僕はヒロトさんの分も生きます!」
バン「だが、ヒロトならわしの胸の中で生きている。君は君の人生を生きるんだ」


 本当の親子のように熱い抱擁をかわすバンとミライ……静と動を巧みに織り込んだ今回の演出の妙は絶品だ!


 それにしても、ミライが宇宙人であることを承知で入隊させてしまうサコミズ、ヒロトとミライの関係を不思議がるリュウに、「ミライ君は宇宙暮らしが長いんです」とすかさずフォローをかますミサキ、あんたら一体何者や!?


 そして、トリヤマにまったく会おうとしないどころか、いまだに視聴者にも姿を見せない総監の正体は、まさか東光太郎ではないのか!? 篠田三郎が映画に出ない理由は本当はそれじゃないのか? なんて、大胆な仮説だ……

(了)
2006.9.27.


(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2007年準備号2』(06年10月1日発行)『ウルトラマンメビウス』中盤評より分載抜粋)


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ザ・ウルトラマン』総論 〜総括・『ザ☆ウルトラマン』の時代 埋もれた大スケールSF名作! 第3次怪獣ブームの猛威! 70’s末の熱い夏!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971117/p1



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*1:この手の作品を観て泣ける感性を持っている人は大事にして下さい。まあ筆者だって決して血も涙もない人間じゃないのですが、今回登場したアンヘル星人トーリって、同じ太田愛が書いた『ウルトラマンマックス』(05年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060311/p1)第26話『クリスマスのエリー』に登場した神話の怪獣ユニジンの改造か? くらいしか思うことはなかったなあ。実際は『ウルトラマンコスモス』(01年)第57話の伝説聖獣グラルファンの流用、時間怪獣クロノームも『ウルトラマンネクサス』(04年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060308/p1)第2〜4話の怪獣ペドレオン・グロースの色変えだそうだけど。
 もちろんこういうウエットな話やレギュラーキャラの別の一面を補強する回もたまにあっていいのだが、そいういうのが面白いと感じるのはわれわれマニアが良い歳になったからであって、メインターゲットの子供が観たら特に面白い話でも好きな話でもないのではないのかなあ。設定編や娯楽編にバトル編こそがこの手の番組の主軸であるべきであって、異色作やドラマ編にアンチテーゼ編を過剰に持ち上げて喜んでいる多くのマニアは本末転倒だ。そういう作り手までに及んだ風潮が『ウルトラ』や特撮を、小学生から遠ざけて幼児とマニアだけが喜んでいる状況にしている一因だと思う。シリーズ中後盤での異色作でこそ光る佐々木守実相寺昭雄を第1話にすえて視聴率的大敗を喫した『シルバー仮面』(71年・『シルバー假面』として06年末公開でリメイクされるそうだが)の35年前の愚を何度も何度も繰り返さないよう、いいかげんわれわれは学ぶべきではないのか!?