假面特攻隊の一寸先は闇!読みにくいブログ(笑)

★★★特撮・アニメ・時代劇・サブカル思想をフォロー!(予定・汗)★★★ ~身辺雑記・小ネタ・ニュース速報の類いはありませんので、悪しからず!(笑)

ウルトラマンメビウス34話「故郷のない男」 〜レオ!


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(脚本・赤星政尚 監督・小原直樹 特技監督・菊池雄一)
(文・久保達也)

『燃えろレオ! 燃えろよ!!』 〜「故郷のない男」感想

 鋼鉄の鎧に覆われたアルマジロといった趣の、堅い金属としか思えない装甲を持つ、球状の姿をした知的生命体・光波宇宙人リフレクト星人に徹底的に痛めつけられるウルトラマンメビウス
 足蹴にされて吹っ飛んだメビウスは必殺光線メビュームシュートを放つが、口に該当する部分に吸収され、代わりに波状光線となってメビウスを襲う!
 メビウスウルトラマンメビウスブレイブに再変身して光の剣メビュームナイトブレードから光線を発するが、リフレクト星人はその体を駒のように高速回転させ、ブーメラン状の光線を連続発射してメビウスに浴びせかける! まさに手も足も出ないメビウス


 紳士然としながらもどこかイヤミで神経質そうな声で、
 「もう少し骨があるかと思っていましたが、その程度ですか。とんだかいかぶりでした。
 (右腕から剣をせり出し)とどめです!」


 リフレクト星人がメビウスに斬りかかろうとしたそのとき、戦闘機ガンフェニックスが援護射撃を加えた!


 「ハ〜ア(ためいき)、気がそがれてしまいました。ですが、あなたなどいつでも倒せます。
 (剣をメビウスの喉元に突きつけ)その命、預けておきましょう!」


 大地に倒れながらもあとを追おうとするメビウスだが、まるで愉快犯のごとく、高笑いをしながらリフレクト星人は姿を消してしまった。
 悔しそうに右のこぶしを大地に叩きつけるメビウス


ミライ「誰かが僕を呼んでいます」


 ガンフェニックスの機内で自分を呼ぶ声を耳にするミライ。眼下には伊豆諸島南端に位置する黒潮島(くろしおじま)(!)があった。
 そこは怪獣頻出期にサーベル暴君マグマ星人に率いられた双子怪獣であるレッドギラス・ブラックギラスに襲撃され、島民のほとんどが全滅してしまった悲劇の島である。


 ウルトラセブンマグマ星人やレッドギラス・ブラックギラスが登場した『ウルトラマンレオ』(74年)第1話『セブンが死ぬ時! 東京は沈没する!』、および第2話『大沈没! 日本列島最後の日』(共に脚本・田口成光 監督・真船禎 特撮監督・高野宏一)においては、黒潮島の詳細について触れられなかったのであるが、のちに第15話『くらやみ殺法! 闘魂の一撃』(脚本・田口成光 監督・外山徹 特撮監督・大木淳)に登場した、黒潮流空手の使い手である盲目の青年・津山洋一(〜『快傑ライオン丸』(72年)で主人公・獅子丸を演じ、現在は競馬解説者として活躍する潮哲也(うしお・てつや)が演じた。レオが獅子座L77星出身であることから、獅子つながりで配役が決定したのか?〜)が、全滅した黒潮島の生き残りであるとして描かれたこともある。ちなみにゲンの恋人・山口百子(やまぐち・ももこ)もまた黒潮島の出身であった。


 こうした設定のフォローは平成ウルトラシリーズ(96〜98年)で何度も試みられ、マニアを喜ばせたものであったが、『ウルトラマンタロウ』(73年)においても、第38話『ウルトラのクリスマスツリー』(脚本・田口成光 監督・筧正典 特殊技術・大木淳)に登場する少女・ひとみは、第5話『親星子星一番星』(脚本・上原正三 監督・吉野安雄 特殊技術・鈴木清)においてタロウと大亀怪獣トータス親子との決戦の最中、両親を失った孤児という設定であったりなどいくつかの前例があり(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060915/p1#20060915f1)、決して平成ウルトラで初めて試みられたわけではないことは強調しておきたいところである。


 黒潮島に降り立ったミライとリュウ・ジョージ・テッペイは、海岸沿いに建立された、「島民魂碑」と書かれた鎮魂の石碑に花を捧げ、拝み続ける托鉢僧(たくはつそう)を目撃する。石碑には何本もの風車が供えられている……


 ……風車! 『レオ』第30話『日本名作民話シリーズ! 怪獣の恩返し 「鶴の恩返し」より』(脚本・田口成光 監督・筧正典 特撮監督・高野宏一、吉村善之)にマグマ星人が再登場するが、彼の求婚を断ったために殺されそうになった(笑)宇宙鶴ローランが変身した星村かな子(演じるは『ウルトラマン』(66年)の科学特捜隊・フジアキコ役の桜井浩子)が、助けてくれたお礼にと自転車屋の大熊シンジ(演じるは『ウルトラマン』の主人公ハヤタ役・黒部進!)のために作った風車が、マグマ星人の胸を刺して倒してしまう展開があるのである!
 したがって、マグマ星人除けのお守りの意味をこめて、風車が供えられ、島民の霊をなぐさめているのであろう。なんとも泣ける演出である……


 托鉢僧が立ち上がり、渋い低音で実に想定外な言葉を口にした!


僧「俺は、地球での最初の戦いで、沈むこの島を、守れなかった……」
リュウ「最初の、戦い……?」
僧「そのために、多くの人たちが犠牲になった。ここは、 俺が絶対に忘れてはならない場所だ!」


 僧の左腕の薬指に、赤い瞳のような大きな宝石がついた金色の獅子顔を模した指輪がキラリと輝く!


ミライ「あなただったんですか! 僕を呼んでいたのは」
僧「メビウス、光の国以来だな」


 頭から藁笠(わらがさ)をとる托鉢僧。その正体はウルトラマンレオの地球での仮の姿・おおとりゲンであった!!


ミライ「どうして、地球に?」
ゲン「おまえと、戦うためだ!」
ミライ「えっ!?……僕はあなたと、戦うことなんかできません!」
ゲン「リフレクト星人に負けたように、俺にも勝てないからか?」


 不敵な笑みを浮かべ、まるで徴発するかのようなゲン。
リュウ「黙って聞いてりゃ好き放題云いやがって!」
ジョージ「ミライ、こいつ何者だ!?」
ミライ「この人の名は……」


 ミライが正体を明かす前に、ゲンは平手の両腕をクロスし、空手のような力強いアクションで左腕を前に突きだし、レオリングの獅子の瞳を輝かせた!


ゲン「レオ〜っ!!」


 ズシンという地響きとともに、4人の前に姿を見せる真紅の巨人! ウルトラシリーズの主題歌中、最高傑作であると断言したいくらいの超絶名曲『ウルトラマンレオ』(作詞・阿久悠 作曲・川口真)の新アレンジ曲がファンファーレとして鳴り響く!(燃える! そして、泣ける!)


レオ「来い! メビウス!」
テッペイ「ウルトラマンレオだっ!」


 ひとり大喜びしているテッペイ(笑)をよそに、リュウとジョージは茫然としながらも、ミライにレオの挑戦を受けさせる!


ミライ「メビウ〜ス!!(変身)」


 なんとウルトラマンウルトラマンの1対1の夢の対決! 広がる荒野でにらみ合う両雄の間を、一陣の風が吹き抜ける! レオが得意のキックを浴びせる! メビウスがレオにつかみかかる! レオがメビウスの胸にチョップ攻撃を加え、投げ飛ばす! 立ち上がったメビウスにレオが回し蹴りをくらわす! 左腕を痛めるメビウス


レオ「本気でこなければ、死ぬことになるぞ!」


 さらに回し蹴りを浴びせるレオ! メビウスは背中合わせの状態から背負い投げを試みるが、その回転を利用してさらにレオがメビウスを投げ飛ばす! レオは空中高くジャンプ、宙返りして上空からメビウスに襲いかかった!
 蹴りを食らわしてメビウスはこれを避けるも、レオは今度はパンチの嵐を浴びせ、メビウスを投げ飛ばした!
 ついにレオは左腕を真横に、そして右腕を前に突き出す力強いアクションから宙に跳び上がって回転、メビウスに対して必殺技を繰り出した!


テッペイ「レオキックだっ!」


 第30話における「ウルトラダイナマイト!」に続いての怪獣博士のテッペイによる必殺技名の解説(笑)。これに負けじとメビウスもレオの下方からキックで迎え撃つ! 宙で激突するレオキック対メビウスキック! そのすさまじい衝撃は宙で大爆発を巻き起こした!


 倒れ伏して苦しむミライに駆け寄るリュウ・ジョージ・テッペイ。再び托鉢僧姿のゲンに戻ったレオに、リュウとジョージが思わずトライガーショットを構えるが……


ゲン「武器に頼れば、隙が生じる。最後に頼るべきは、自分自身だ!」


 顔を見合わせ、トライガーショットの銃口を降ろすリュウとジョージ。


ゲン「今は任務で遠く離れているが、この地球は俺にとって第二の、いや本当の故郷(ふるさと)だ」


 『レオ』第51話(最終回)『恐怖の円盤生物シリーズ! さようならレオ! 太陽への出発(たびだち)』(脚本・田口成光 監督・山際永三 特撮監督・矢島信男)において、ゲンが地球の素晴らしさをこの目で確かめようと旅立つ際、これまで世話をしてくれた名優・春川ますみ演じる美山咲子(恰幅のいい中年女性)は
 「もしも、もしもよ、あなたが他の星の人だったとしても、私たちはかまわないのよ」
 と声をかけている(感涙)。
 ウルトラ兄弟のしきたりであるかのような、地球人に正体を知られたら地球にとどまることを許されないという掟を、咲子が知っていたかどうかは定かではないが、少なくとも美山家に居づらくなったからゲンが去っていくのではないかとの想いから、精一杯ゲンを気遣ったのであることは確かである(正体も薄々察している)。
 そのおもいやりの言葉がよほど嬉しかったのか、ずっと孤独に耐えてきたゲンは
 「ありがとう。僕にとって、その言葉は一生忘れることができません。
  やっと今、この地球が僕の故郷になったんです!
  だから……青い空と青い海のある故郷をこの目で見て、この手で確かめたいんです」
 と答えている。この瞬間以来、ゲンにとって地球は第二の、ではなく、本当の故郷になったセリフのこれは踏襲なのだ!


 第29話『別れの日』でリュウの前で、第30話『約束の炎』ではGUYS全員が見守る前でメビウスに変身したにもかかわらず、仲間であると受け入れてもらったミライもまた、最終回で「地球は僕の、本当の故郷です!」と叫ぶのかもしれない……


ミライ「ふるさと……」
ゲン「その故郷をおまえに託せるかどうか、試させてもらった。タロウ兄さんは許したらしいが……俺は許さん! おまえには地球を託せない!」
リュウ「なに勝手なこと云ってんだっ! 今まで地球は、俺たちとこいつで守ってきた! それはこれからも変わらねえ!」
ゲン「だが! メビウスはリフレクト星人に負け、この俺にも負けた! それが何を意味するか、わかるか?
 おまえたちの戦いは、必ず勝たねばならん戦いなんだ!
 そんなこともわからずに、よくウルトラマンを名乗れたもんだ……」


 『レオ』第3話『涙よさよなら…』(脚本・田口成光 監督・深沢清澄 特撮監督はクレジットなし)において、奇怪宇宙人ツルク星人は梅田トオル・カオル兄妹の父、そして防衛組織MAC(マック)の鈴木隊員を両手の刀で横一文字に惨殺した!
 ツルク星人の手刀二段攻撃を破るため、MACの隊長モロボシ・ダン(元『ウルトラセブン』(67年)の主役だ!)はゲンに三段攻撃の特訓を始めさせる!


ダン「いいか、自分の命は自分で守らねばならん。しかしそのために多くの命を犠牲にすることは許されん!
 ゲン、おまえは必ず勝たねばならんのだ!!」


 『レオ』の戦いは敗北が許されないものであった。レオが負ければやがて地球も滅びるのだ。今回はメビウスが、GUYSが、リフレクト星人に敗れたら、多くの命が犠牲になってしまうかもしれないのだ! 悔し涙を見せるミライだが、ゲンはなおも執拗にミライを責め立てる!


ゲン「その顔はなんだ……その目は! その涙はなんだ!
 そのおまえの涙で、この地球が救えるのか……リフレクト星人を倒してみろ! そうすれば、地球を託そう……」


 『レオ』第4話『男と男の誓い』(脚本・監督は第3話と同一。特撮監督はやはりクレジットなし)において、前話に続きツルク星人を倒すための特訓として、ゲンはダンに「滝の水を斬れ!」と命じられ、神奈川県大井松田にある酒水の滝で、滝の水を蹴り斬る特訓を命じられるが、身を斬るような冷水にやがて耐えられなくなる。だが……


ゲン「オレにはできない……オレにはできない!」
 そこにダンの杖が飛んできて(!)、ゲンはかわす。
ゲン「隊長!」
ダン「その顔はなんだ! その目はなんだ! その涙はなんだ!!
 ゲン、俺は……(倒れるダン)」
ゲン「隊長! またウルトラ念力を……あれを使うと命が縮むんでしょ!? やめて下さい!!」
ダン「バカヤロー!!(ゲンを殴打)
 人のことはどうでもいい! 貴様はなぜ俺に云われたことをやらん!」
ゲン「オレにはできない!」
ダン「おまえがやらずに誰がやる!
 おまえの涙で奴が倒せるか! この地球が救えるか!
 みんな必死で生きているのにくじける自分を恥ずかしいと思わんか! やるんだ! もう一度やるんだ!!」


 かつての自分のようにくじけそうになっているミライに対し、ゲンはそんなかつての自分を激しく叱責したダンの教えを説いたのだ! そしてその証(あかし)である空手着(!)を投げ与え、ゲンはその場を去っていった……


 レオが幾度も宇宙人(星人だろっ!・笑)や怪獣に敗れたものの、再戦で必ず勝利をおさめていることが、ドキュメントMAC(エム・エー・シー)を見て知ったミサキ総監代行によって語られるが、ウ〜ン、彼女の淡々とした語り口では、その過程は視聴者には全然伝わらなんぞ! これこそちゃんと画面で説明してもらわなければならん!


 『レオ』第4話において、変身時間の2分40秒を使いきってもツルク星人を倒せなかったレオは、先述したような特訓を重ねたあと、流れ斬りでツルク星人の両腕を斬り落とし、胸に突き刺して絶命させる!
 第6話『男だ! 燃えろ!』(脚本・田口成光 監督・東条昭平 特撮監督クレジットなし)において、暗闇宇宙人カーリー星人に白土隊員の恋人・洋子を踏み殺されたにもかかわらず、勝つことができなかったレオは、ダンにジープで追いかけ回され、「ゲン! 逃げるな!」とムチでしばかれるという壮絶なシゴキのあと、カーリー星人の両肩の二本の角を叩き折り、眉間に突き刺して勝利する!
 第7話『美しい男の意地』(脚本・阿井文瓶 監督・外山徹 特撮監督・矢島信男)において、植物怪獣ケンドロスが頭上の地獄花・剣輪草(じごくばな・けんりんそう)から繰り出すブーメラン攻撃に敗れたレオは、ダンがぶつける無数のブーメランを身体で受け止める特訓の末、ケンドロスの連続ブーメランをチョップやキックで叩き落とし、ついには自らが高速回転してブーメランとなり、ケンドロスの剣輪草をブッた斬る!
 これらをメドレーで流すことにより、のちに描かれるミライの特訓シーンも俄然説得力が出るというものではなかろうか……(まあ現在は過去映像を流用するのにも、脚本家や監督に多分ギャランティーが発生するのであろう諸事情ゆえであろうことはわかっておりますよ・笑)


ミライ「レオの生まれ故郷は、全滅しているんです。だからレオには、もう地球しかないんです。光の国という故郷がある、僕とは違うんだ……」
サコミズ隊長「きっとレオは、その孤独さえも力に変えて戦ったんだ。それだけの覚悟を持って守り抜いたから他人の星を故郷だと、云いきれるんじゃないのかな……」


 「他人の星」は長年のマニアならご承知の『ウルトラセブン』第37話『盗まれたウルトラ・アイ』(脚本・市川森一 監督・鈴木俊継 特殊技術・高野宏一)の原題である。地球を不要な星と判断したことで、恒星間弾道弾を発射するマゼラン星から派遣された工作員・マヤは、ウルトラセブンに妨害されることを阻止するために、モロボシ・ダンから変身アイテムであるウルトラアイを奪ってしまう。恒星間弾道弾が地球に到達する前に迎えが来ると思いこんでいたマヤだったが、母星にとってマヤは捨て駒に過ぎなかったことをダンから聞かされる。ショックを受けるマヤに、ダンは「この星で生きよう」と説得し、返されたウルトラアイでセブンに変身して弾道弾の軌道を変えるが、マヤはゴーゴー喫茶のジューク・ボックスに仕掛けられた自滅装置で姿を消す……


ダン「どうしてこの星でも生きようとしなかったんだ。僕だって同じ宇宙人じゃないか……」


 故郷に見捨てられ、深い孤独感に耐えられなかったために、地球を第二の故郷と考えることができなかったマヤ。彼女とはまったく対象的に、「他人の星」で生きることを選んだゲンはマヤの発展進歩形とも解釈することができ、ゆえに「他人の星」なるフレーズが使用されたのであろう。


 マグマ星人の侵略で故郷L77星が爆発、同胞も全滅するという悲劇を背負ったレオ=ゲンは、そのマグマ星人が襲った故郷によく似た星・地球を「ぼくの第二の故郷です」と、『レオ』初期編で繰り返し語る。そんなゲンにダンは
 「ならば自分の力で、その故郷を守れ!」
 と答え、常に結果を求めて(単なる精神主義ではなく技術・結果主義とでもいうべきもので・関連記事:『ウルトラマンダイナ』総論 〜『ダイナ』と『レオ』の熱血の差異・精神主義ではない熱血ドラマ・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971215/p1)厳しい特訓をゲンに課した。自分のような悲劇を第二の故郷・地球で繰り返してはならないとの強い思いがあったからこそ、ゲンはダンが課したケタ外れの厳しい特訓に耐えることができ、凶悪宇宙人たちを次々に葬り去ることができたのである。


 本来ならば仲間と慕うべきMACの隊員たちは陰険な奴が多く(それがまた今観るとニガくて良い・笑)、第40話『恐怖の円盤生物シリーズ! MAC全滅! 円盤は生物だった!』(脚本・田口成光 監督・深沢清澄 特撮監督・大木淳)で、円盤生物シルバーブルーメによってMACも、そして愛していた百子、カオル、猛までも亡くしたレオはずっと孤独な戦いを強いられたのだ。
 強い仲間意識に支えられたGUYSの隊員たちに、ゲンがミライに対して見せた異様なまでの厳しさが、理解できなかったのも無理はない。修羅場をくぐり抜けてきたレオの生い立ちを知るや、隊員たちは自分たちがレオに勝つことができないのが当然であることを悟るのである!


 テッペイによってリフレクト星人の体は誘電体多層帯ミラーのような構造、つまり光線の吸収性がない体であり、光線技が通用しないことが判明した。そのことをレオは身をもってメビウスに示してくれたのだ。あのレオの厳しさは、実はやさしさに裏打ちされたものだったのである。
 テッペイいわく、メビウスにはまだできない、垂直距離で地上1000mのジャンプ力を誇る身体能力から繰り出すレオキック並みの破壊力がなければ、リフレクト星人に勝てないことをレオは教えてくれたのであり、それを生み出すために、ゲンはミライに自らが特訓の際に着用していた空手着(32年間大事に持っていたのだ!・涙)を手渡したのである。
 そのことに気づいたリュウが空手着を広げ、「レオが云ったじゃねえか! 最後に頼るべきは自分自身だって!」と喜ぶ様子に、クールなマリナがキツ〜い一言!


マリナ「うわぁ、熱血バカが喜びそうな展開……」


 ハハハ、クールでドライなハード志向マニアの連中よ、先廻りして云われてしまったぞ(爆)。あんたたちがそうツッこむのはとうにお見通しなんだっちゅーの! だがなあ、男ってえのはフツーならばここから始まるような展開を好むもんなんだよ! あんたたちが特殊なんだよ!(笑〜まぁでもマリナもバイクのロードレーサー上がりだから根は勝気な熱血だとは思うよ)


ミライ「これには、レオが地球で流した汗が染みこんでいます! 孤独を力に変えるために流した汗が……今わかりました!
 他人の力を頼りにしないこと! ひとりでやらせて下さい!」


 「他人の力を頼りにしないこと!」
 ここでレオの戦いは、『メビウス』でも何度も復唱されてきた、『帰ってきたウルトラマン』(71年)第51話(最終回)で初めて示された“ウルトラ5つの誓い”のひとつにも通じるものであったことが示される。
 リュウの手助けを断り、ひとり山林にこもったミライはゲンから授けられた空手着を身につけ、縄が巻かれた丸太に向かい、「ハァッ!」と蹴りを繰り返す! いまどきのイケメン特有のなよっちい印象も払拭するかのような勢いであり、この男らしさには女性層も大喜びだ! レオを目当てに観るオッサンだけでは視聴層が限られてしまうことを忘れてはならない!
 でもやっぱりオレはレオが目当て(笑)。物陰から特訓する様子を見て、ゲンがミライに語りかける。


ゲン「男はいつも一人で戦うんだ。自分自身と戦うんだ」


 このセリフも『レオ』第11話『泥まみれ男ひとり』(脚本・田口成光 監督・筧正典 特撮監督・矢島信男)におけるゲンのセリフと同一のものだ。怪異宇宙人ケットル星人に叔父のボクシング・ヘビー級チャンピオン・マイティ松本とその墓参りの際に叔母も殺された一郎少年は、
 「MACが頑張っていれば叔父も叔母も死なずに済んだ! 僕だけが頑張る必要はない!」
 と得意だった懸垂の練習をやめようとする(怪獣・宇宙人に復讐しようとするベタな展開ではないので念のため)。そんな一郎にゲンは
 「君はお父さんもお母さんもいる。でも僕はみんな星人に殺されてひとりぼっちだ」
 「あの星人が現れたら必ず僕が倒す。君はそれまでに(懸垂)30回に挑戦するんだ」
 と励まし、懸垂中の一郎くんに
 「頑張れ一郎くん! 君は男の子だ。
 男はいつも一人で戦うんだ。自分自身と戦うんだ」
 と語る。ダンからゲンへ、ゲンからトオルへ。その原点ともいえるシーンからの引用なのだ。今回はゲンからミライへ……。そして、一郎少年の練習時の小事故からゲンは星人への攻撃方法のヒントを思いつき、新たな特訓を始めるのであるが、その状況がそっくりそのまま、このあとの展開では再現されてしまうのである(笑)。


 「ヘヤ〜ッ!」と叫んで次々と丸太を蹴り折るミライだが、様子を見にきたリュウに「なにかが足りないんです」と漏らす。そこにコノミとテッペイがやってきて、大量の丸太の破片を目にするや「たき木にはちょうどいい」「たき火といえば、焼き芋」と連想ゲームをやらかす(笑)。たき木をこしらえたはいいが、マッチを忘れて取りに戻ろうとするテッペイをリュウが制止、木を細く削って太古の人類みたいに回転の摩擦熱で火を起こすのだ。そして一同で焼き芋をほおばる最中、ミライはたき火を見つめて攻撃方法のヒントを思いつくのだ!(笑)


 リフレクト星人が再び出現、ウルトラマンメビウスに変身したミライはリフレクト星人に向かって懸命に走り、ジャンプして宙を回転したあと、キックの体勢で上空からリフレクト星人に向かって突撃する! 星人が左腕の盾でこれを迎え撃とうとするや、メビウスはキックを盾に浴びせると同時にその体を高速ドリル回転! メビウスは全身が炎の固まりとなり、たまらず吹っ飛ぶリフレクト星人! 宙を華麗にバック転して着地したメビウスは、ウルトラマンメビウスバーニングブレイブへとタイプチェンジを遂げていた!
 「よくも私の体にキズを!」と怒り狂ったリフレクト星人は左腕からピンク色の光弾を連射してメビウスに浴びせかけ、テレポーテーションで翻弄し、さらには紳士然としているクセに案外にも卑怯に(笑)、左腕からチェーンを延ばしてガンフェニックスを人質にせんとからめ取った!
 そのとき宙を舞う藁笠! ゲンがついにリフレクト星人に戦いを挑む! 獅子の瞳が再び輝くときがきた!


ゲン「レオ〜っ!!」


 な・な・な・なんと! 本作では予算面での諸事情で(笑)、静止画はともかくバンクフィルム流用は一律ないと思われていた(まあ前回の本話予告では使用されていたけれど)、『レオ』で毎回使用されていた、宇宙に輝くエメラルドをバックに巨大化を遂げるイメージの変身パターン! 再度鳴り響く『ウルトラマンレオ』新アレンジBGMで興奮度は最高潮に達した!(涙、涙!)
 「男はいつも一人で戦うんだ」と云っておきながら、共闘するとは矛盾するとのツッコミはその通りなのだが、共闘がなかったら、ラストバトルでレオが戦わなかったらカタルシスに欠けるっちゅーの(笑)。共闘の正当化のためのリフレクト星人の人質奪取の展開であり、2対1になっても見劣りしないボリューム級の球形ボディーでしょ。


 レオがリフレクト星人の右腕の剣を右手を発光させたチョップ(ハンドスライサー!?)でブッた斬り(カネドラスやスペクターにとどめを刺し、ツルク星人の刀やカーリー星人の角をブッた斬ったように!)、メビウスはリフレクト星人の左腕のチェーンをブッた斬る! ファイティングポーズを華麗に決める両雄の揃い踏みに、すかさず流れる主題歌『ウルトラマンメビウス』が最高のカッコよさを演出する!
 リフレクト星人が連射する光弾をこれまた連続バック転でかわすレオ! 星人にキックを浴びせるメビウス
 メビウスにお株を奪われてはなるまいと、宙を跳び上がってリフレクト星人の前に回りこみ、口元にキックを浴びせるレオ! それでも足らずに再度宙に舞い上がり、体を回転させて上空から右肘のエルボ攻撃でリフレクト星人の盾を強襲してへこませるレオ!
 さらにレオとメビウスはリフレクト星人の両腕を抑えこんでダブルキック! そして二人で投げ飛ばす! まさにたたみかけるようなテンポで展開する、実にスピーディーなアクション描写は東映ヒーローに負けない勢いだ!


 ついに星人にとどめを刺すときがきた! レオとメビウスが同時にジャンプする! 宙に舞い上がったレオは、上空から星人目がけて必殺技のレオキックを見舞う!
 右足の先端を赤く発光させながら高速で降下していくレオは、まるで「ファイヤ〜っ!」と叫んでいるかのようだ!(実際は往時を想起させる「エイヤ!」。レオの掛け声は今回ゲンこと真夏竜によって新録されたようだが、ゲンの姿のときのセリフ廻しとは異なり、今でも十分に若々しい!)


 そしてメビウスは特訓の末に編み出した、メビウスバーニングスクリューキック(勝手に命名・笑)をレオに少し遅れて上空からリフレクト星人に浴びせかける! 途中からレオがかつて『レオ』第2話で披露した必殺技“きりもみキック”のように高速ドリル回転し、全身を炎の結晶と化しながらリフレクト星人に突撃するメビウス
 これに負けじとリフレクト星人もまた跳び上がり、宙を高速回転しながらレオとメビウスを迎え撃つ! だが必殺のウルトラダブルキックが、リフレクト星人のドテっ腹に風穴を開けた!


 仰角で撮らえた並んで着地したレオとメビウスの合間の背景の上空で、風穴の開いたリフレクト星人が大爆発を遂げるカットは、最高にカタルシスあふれる名場面だ!!


 夕焼けに染まる黒潮島の海岸を臨む岬で、ゲンに空手着を返すミライ。


ミライ「ありがとうございました!」
ゲン「礼を云われるほどのことでもない」
ミライ「僕が何をすべきか、教えてくれたのはあなたです!」


 『レオ』第44話『恐怖の円盤生物シリーズ! 地獄から来た流れ星!』(脚本・田口成光 監督・外山徹 特撮監督・矢島信男)でゲンは、「礼を云うならあゆみちゃんのお母さん(美山咲子)に云ってください。僕がなにをすべきかを教えてくれたのは、あの人なんです」と語った。
 第15話ではダンに津山青年との修行を命じられたものの、好意を抱いていた百子とやたらと親しげな津山に嫉妬・反発したゲン(笑)であったが、彼から会得した心眼によって分身宇宙人フリップ星人の実体を見破って勝利したことにより、「僕の方こそ、あなたにはお礼を云わなければならないんです」と最後には津山と和解する。
 さすがのミライもゲンに対して多少の反発はあったかもしれない。だが、共闘の末に勝利を導いてくれた恩人となった今、ミライはゲンをこう呼ぶ!


ミライ「レオ兄さん! 地球は僕がきっと!」
ゲン「ああ。おまえになら、いや、おまえたちになら、託せそうだ。俺の故郷を」
ミライ「約束します!」
ゲン「頼んだぞ、メビウス


 終始険しい表情だったゲンも、ラストでようやく笑顔を見せた(どことなく玉置浩二に似てるような……)。



 『ウルトラマンレオ』という作品へのリスペクト(尊敬)に満ち満ちた大傑作の誕生だ!!
 もちろん熱血・根性そして精神主義だけではなく成果も出さなければならない『レオ』の作風をそのまま取り込んだのでなく、『レオ』では考えれないような、たき火や焼き芋をほおばるGUYS隊員たちのアットホームな描写も織り込み『メビウス』らしさも出していき、そこから星人打倒のヒントも思いつく。肉体派のレオの鍛練をそのままに引き継ぐわけではなく、鍛練しつつも身体能力でレオより劣るメビウスなりに知恵を使うことで敵を倒すのだ!
 そしてまたミライだけでなくGUYS隊員たちにとっても、レオことおおとりゲンは大きな存在として立ちはだかってその生きざまは影響も与えていく。『レオ』と『メビウス』の水と油ほどにも違う世界観を安易に融合させないまでも、うまく隣り合わせに接合させている!


 星人の目的もメビウスと戦うこと以外はまったく不明であるのも『レオ』っぽい。星人がペラペラ冗舌にしゃべるあたりはまったく『レオ』っぽくないのだが(笑)、ダブルヒーロー共闘の若干の卑怯さを中和するためにも、このアニメ・劇画的で憎々しげなキャラの立て方は正解だ!
 ゲンこと真夏竜氏もまた、往年のゲンや『レオ』のときのダン隊長のテンションの高い熱血演技をそのままに再現するのかと思いきや、意外にも抑えた渋い演技で作品を締めることで効を奏していた。もちろんこれはホビー誌のインタビューでも確か語っていたように、ゲンの年齢以上に74年当時の時代の空気との差もあるし、そのままでは若い隊員たちや今の視聴者に伝わらない、引かれるだろうとのゲンなりの(真夏竜なりの)計算から、本質は変えないが時代に即したアレンジを施した接し方であったに違いないし、それはまた成功も収めていたと思う。


 映画『ウルトラマンメビウスウルトラ兄弟』(06年・松竹)に出演した黒部進森次晃嗣団時朗高峰圭二ら歴代ウルトラシリーズ主演俳優と比べ、今回おおとりゲンを再び演じることになった真夏竜は、個人的には当時の面影があまり残っていないような印象が感じられる。
 元々は横浜のクラブで専属シンガーとして歌っていたという氏は(シリーズ主題歌のメインボーカルを務めた数少ない主演俳優! 挿入歌『MACのマーチ』『星空のバラード』も歌っているぞ!)、そのクラブを訪れた真船禎(まふね・てい)監督に「今は歌を歌ってますけど、本当は役者になりたかったんです」と話したのがキッカケで『レオ』のオーディションに呼ばれ、3000人の中から主役に選ばれ、役者人生をスタートさせたのだ。いわば『レオ』が氏にとっての「第二のふるさと」なのである。


 そんな氏も30代後半から40代後半の10年あまりもの間、役者を休業して別の仕事をなさっていた時期があるが、かなりご苦労が耐えなかったようであり、ウルトラマンレオ同様に、幾つもの修羅場をくぐり抜けたらしい。
 重ねた年輪とともに、そのことが現在の氏の表情に表れているのかと思えるが、だからこそ、レオを演じるのは氏が最もふさわしいのである。
 今回托鉢僧姿で描かれているのも、それゆえ説得力あふれる演出となったが、孤独を力に変え、『レオ』を「本当のふるさと」へと昇華させた氏の熱い演技は、孤独に打ちのめされている人々に生きる力を与えるには十分に過ぎるほどの、実に頼もしい、見事なものであった。

2006.12.5.


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2007年号』(06年12月30日発行)『ウルトラマンメビウス』第3クール評より分載抜粋)



(編):2007年11月25日(日)午後1時、新宿ロフトプラスワンにて開催された『真夏座プレゼンツ!「レオが歌舞伎町にやってくる。」』にて、本話ラストシーンではカットされてしまった下記のセリフが朗読で披露されたそうな。


ミライ(代役)「もう行ってしまうんですか?」
ゲン「俺はアストラと合流しなければならない。暗黒星雲に不穏な動きがある」
 (そして、#34のラストシーンにつながる)


 ……レオの弟・アストラにも言及! 「暗黒星雲」の語句はもちろん、『レオ』#38・39の前後編に登場し、『メビウス』でも本話の直後の#35に登場した暗黒星雲の支配者・暗黒星人ババルウ星人登場の伏線でもあったのだろう。カーーーッ! シビれる!(笑)。


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  http://www.youtube.com/watch?v=HLWFuBRTVSI

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DVD付きビジュアルブック ウルトラマンレオ1974 〜&『ウルトラマンレオ』私論

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(編):関東では『メビウス』放映直前ワクでのTBSのTV番組の宣伝・情報番組『チャンネル☆ロック!』(04年)で、今日の『メビウス』にウルトラマンレオが登場するよ! と宣伝されたそうな……。ただし、「先週(!)、リフレクト星人に負けたメビウス……」と紹介されたとか(笑)。



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