假面特攻隊の一寸先は闇!読みにくいブログ(笑)

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ウルトラマンメビウス34話「故郷のない男」  ~レオ客演の神作!

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ウルトラマンメビウス』34話「故郷(ふるさと)のない男」 ~レオ客演の神作!

(脚本・赤星政尚 監督・小原直樹 特技監督・菊池雄一)

『燃えろレオ! 燃えろよ!!』 〜「故郷のない男」解析!

(文・久保達也)


 鋼鉄の鎧(よろい)に覆われたアルマジロ! といった堅い金属状の装甲のような体表を持った、球状の姿をした巨大宇宙人こと光波宇宙人リフレクト星人!


 荒野での戦いでリフレクト星人に徹底的に痛めつけられるウルトラマンメビウス


 足蹴にされて吹っ飛んだメビウス


 しかし、両腕を十字に組んで必殺光線・メビュームシュートを放つ!


 けれど、リフレクト星人の口に該当する部分に吸収されて、そのエネルギーはまさにリフレクト(反射)されて波状光線となってメビウスを襲った!


 メビウスはパワーアップ形態・ウルトラマンメビウスブレイブに再変身!


 左の腕甲にハメたメビウスブレスと、第17話『誓いのフォーメーション』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061001/p1)のラストでウルトラマンヒカリから貸与されたナイトブレス。そのふたつを合体させたナイトメビウスブレスから伸ばした光の剣・メビュームナイトブレードから光線を放って反撃した!


 しかし、リフレクト星人もその体をコマのように高速回転して、ブーメラン状の光線を連続発射してメビウスに浴びせかける!


 まさに手も足も出せないメビウス


 紳士然としながらもどこかイヤミで神経質そうな声で、


「もう少し骨があるかと思っていましたが、その程度ですか。とんだ買いかぶりでした。(右腕から剣をセリ出して)トドメです!」


 リフレクト星人がメビウスに斬りかかろうとしたそのとき、本作『メビウス』の防衛組織・クルーGUYS(ガイス)の大型戦闘機・ガンフェニックスが援護射撃を加えた!


「ハ〜ア(ためいき)、気がそがれてしまいました。ですが、あなたなど、いつでも倒せます。(剣をメビウスの喉元に突きつけて)その命、預けておきましょう!」


 大地に倒れながらもあとを追おうとするメビウス。しかし、まるで愉快犯のごとく、余裕の高笑いをしながらリフレクト星人は姿を消してしまった。


 悔しくて右のこぶしを大地に叩きつけるメビウス


 ウルトラマンメビウスは地球人としての仮の姿である、クルーGUYSの隊員でもあるヒビノ・ミライ青年の姿に戻った。


ミライ「誰かがボクを呼んでいます」


 ガンフェニックスの機内で、自分を呼ぶ声を耳にするミライ。


 眼下には伊豆諸島南端に位置する黒潮島(くろしおじま)があった。


 黒潮島! 年長マニア諸氏であればご承知のとおりで、そこは本作『メビウス』では「怪獣頻出期」と呼ばれている、ウルトラシリーズでは『ウルトラマンレオ』(74年)第1話で、サーベル暴君マグマ星人に率いられた双子怪獣であるレッドギラス・ブラックギラスに襲撃されて一度は島ごと沈没! 島民のほとんどが全滅してしまった悲劇の島であった。


 ウルトラセブンマグマ星人・怪獣レッドギラス・怪獣ブラックギラスが登場した『ウルトラマンレオ』第1話『セブンが死ぬ時! 東京は沈没する!』~第2話『大沈没! 日本列島最後の日』(共に脚本・田口成光 監督・真船禎 特撮監督・高野宏一)の前後編においては、この黒潮島の詳細についてはさすがにふれられてはいなかった。
 しかし、のちに第15話『くらやみ殺法! 闘魂の一撃』(脚本・田口成光 監督・外山徹 特撮監督・大木淳)にゲスト出演した、黒潮流空手の使い手である盲目の青年・津山洋一(つやま・よういち)が、全滅した黒潮島の生き残りであるとして描かれたことがあったのだ! ちなみに、ゲンの恋人でもあるヒロイン・山口百子(やまぐち・ももこ)もまた黒潮島の出身であるという劇的な設定であった。


――ところでこの津山洋一は、名作特撮時代劇『快傑ライオン丸』(72年)や『風雲ライオン丸』(73年)でも主人公・獅子丸(ししまる)を演じていた潮哲也(うしお・てつや)が演じていた! 氏は巨大ロボット特撮『スーパーロボット レッドバロン』(73年)の第3クールのレギュラーキャラで防衛組織・SSIの青年博士なのに戦場でも戦ってしまう三神四郎(みかみ・しろう)! 東宝の下請けで実制作は円谷プロダクションが仕切っていた名作テレビ時代劇『同心部屋御用帳 江戸の旋風(かぜ)』シリーズ(75~80年)のレギュラーの若手同心・頼母木肇(たのもぎ・はじめ)、日曜午後の長寿番組『スーパー競馬』(87~07年)の初代キャスター(94年まで)、深夜枠の美少女ヒロイン特撮『仮面天使ロゼッタ』(97年)ではヒロインの父でもある万年係長ながら「神仮面ファラオン」に変身してしまう役柄なども演じてきた、世代人にとってはレジェンドヒーロー俳優なのだった!――



 こうした初期設定を後続話数でもフォローする取り組みは、平成ウルトラシリーズ(96年~)でも何度か試みられて、特撮マニア諸氏を喜ばせたものであった。しかし、こういった試み自体がまことしやかに「平成ウルトラシリーズが初であった」という言説は誤りですらあるのだ。


 昭和ウルトラシリーズでも、


●『帰ってきたウルトラマン』(71年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20230402/p1)の第31話『天使と悪魔の間に……』(脚本・市川森一)にゲスト出演した、同作の防衛組織・MAT(マット)の伊吹隊長の小学生の娘である美奈子嬢は、第43話『魔神 月に咆える』(脚本・石堂淑朗)でも再登場


●『ウルトラマンA(エース)』(72年)の第23話『逆転! ゾフィ只今参上』(脚本・真船禎・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061012/p1)で、同作の防衛組織・TAC(タック)の竜隊長の姉や甥の存在が言及されていたが、第47話『山椒魚の呪い!』(脚本・石堂淑朗&山元清多・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070324/p1)にて身寄りを喪ったゲスト少女がこの姉に養女入りするかたちで再言及


●『ウルトラマンタロウ』(73年)の第13話『怪獣の虫歯が痛い!』(脚本・田口成光)にゲスト出演した、同作の防衛組織・ZAT(ザット)の南原(なんばら)隊員の母であり当時の田舎の和装のお婆ちゃんといった南原たかも、第51話『ウルトラの父と花嫁が来た!』(脚本・阿井文瓶)では再登場


●同じく『ウルトラマンタロウ』で、第38話『ウルトラのクリスマスツリー』(脚本・田口成光)に登場する少女・ひとみは、第5話『親星子星一番星』(脚本・上原正三http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20071230/p1)にてタロウと大亀怪獣トータス親子との戦いの最中に両親を失った孤児だという設定


 つまり、こういった試みは、昭和ウルトラにおいてもいくつかの前例があったのだ(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060915/p1#20060915f1)。どころか、円谷プロ製作作品でも『ジャンボーグA(エース)』(73年)の第9話~第10話にゲスト出演した風間一平が第14話から同作の防衛組織・PAT(パット)の隊員に昇格したり、本邦初の合体ロボットアニメ『ゲッターロボ』(74年)などでもゲッターチームの3人の親族がゲストとして話数をまたいで出演するケースなどは多々あって、平成ウルトラで初めて試みられたわけではないことは強調しておきたいところだ。



 黒潮島に降り立ったミライとリュウ・ジョージ・テッペイの3隊員は、海岸沿いに建立された「島民魂碑」と刻まれた鎮魂の石碑に花を捧げて拝礼し続ける托鉢僧(たくはつそう)を目撃する。その石碑には何本もの風車(かざぐるま)が供(そな)えられている……


 ……風車! 『レオ』第30話『日本名作民話シリーズ! 怪獣の恩返し 「鶴の恩返し」より』(脚本・田口成光 監督・筧正典 特撮監督・高野宏一&吉村善之)では、第1~2話に登場したマグマ星人が再登場している(同族の別個体だったのかもしれないが)。マグマ星人の求婚を断ったために殺されそうになった宇宙鶴ローランが変身した星村かな子――演じるは初代『ウルトラマン』(66年)の科学特捜隊・フジアキコ役の桜井浩子!――が、助けてくれたお礼にと、自転車屋の大熊シンジ――演じるは初代『ウルトラマン』の主人公ハヤタ役・黒部進!――のために作った風車が、マグマ星人の胸を刺して倒してしまう展開があったのだ!


 したがって、「マグマ星人除け」の「お守り」の意味をこめてこの風車が供えられて、島民の霊をなぐさめているのだとも取れるのだ。これは脚本上で執筆されていたものではなく、本編美術班の機転であったそうだ。しかし、歴代ウルトラシリーズにはくわしくはない一般の子供たちやパパママ層にはお供えものとしての「風情」を、そして我々のようなマニア層には「ひょっとして、ひょっとすると、そういうことなのだろうな……」と思わせてもくれて、微量に「嬉し泣き」をさせてくれる美術演出でもあったのだ!


 托鉢僧が立ち上がって、渋い低音で実に想定外な言葉を口にした。


僧「オレは、地球での最初の戦いで、沈むこの島を、守れなかった……」
リュウ「最初の、戦い……?」
僧「そのために、多くの人たちが犠牲になった。ここは、 オレが絶対に忘れてはならない場所だ」


 僧の左腕の薬指に、赤い瞳のような大きな宝石がついた金色の獅子顔を模した指輪がキラリと輝く!


ミライ「あなただったんですか!? ボクを呼んでいたのは」
僧「メビウス、”光の国“以来だな……」


 頭にかぶっていた藁笠(わらがさ)を脱いだ托鉢僧。その正体はウルトラマンレオの地球での仮の姿・おおとりゲンであった!!


ミライ「どうして、地球に?」
ゲン「おまえと、戦うためだ……」
ミライ「えっ!? ……ボクはあなたと、戦うことなんかできません!」
ゲン「リフレクト星人に負けたように、オレにも勝てないからか?……」


 不敵な笑みを浮かべ、まるで徴発するかのようなゲン。


リュウ「黙って聞いてりゃ好き放題、云いやがって!」
ジョージ「ミライ、こいつ何者だ!?」
ミライ「この人の名は……」


 ミライが正体を明かす前に、ゲンは平腕をクロスした!


 そして、武道の空手の型のような力強いアクションの果てに左腕を前に突き出した!


 金色の獅子顔を模した指輪である、変身アイテム・レオリングの獅子の瞳が輝く!!


ゲン「レオ~~〜~~〜っ!!!(変身)」


 ズシ~~ン! という地響きとともに、4人の前に姿を見せる真紅の巨人!!


 ウルトラシリーズの主題歌中、最高傑作であると個人的には断言したい超絶名曲の主題歌『ウルトラマンレオ』(作詞・阿久悠 作曲・川口真)の新アレンジ曲がファンファーレとして鳴り響いた!(燃える! そして、泣ける!)


レオ「来い! メビウス!」


テッペイ「ウルトラマンレオだっ!!」(喜悦)


 怪獣博士でもあるテッペイ隊員はウルトラマンレオの登場にひとりで大喜び(笑)。


 リュウとジョージ両隊員は茫然とする。しかし、ハッと気づいて、この失礼ともいえるレオの挑戦をミライに受けさせる!!


ミライ「メビウ〜~~~ス!!!(変身)」


 なんと! ウルトラマンウルトラマンの1対1の夢の対決!!


 広がる荒野でニラみ合う両雄の間を、一陣の風が吹き抜ける!


 レオが得意のキック技を浴びせる!


 メビウスがレオにつかみかかる!


 レオがメビウスの胸にチョップ攻撃を加えて投げ飛ばす!


 立ち上がったメビウスにレオが回し蹴りを喰らわした!


 左腕を痛めるメビウス


レオ「本気で来なければ、死ぬことになるぞ!」


 さらに、回し蹴りを浴びせるレオ!


 メビウスは背中合わせの状態から背負い投げを試みる!


 その回転を利用して、さらにレオがメビウスを投げ飛ばしてみせる!


 レオは空中高くジャンプ!


 レオは宙返りして上空からメビウスに襲いかかった!


 レオは蹴りを喰らわすが、メビウスはこれを避ける!


 しかし、レオは今度はパンチの嵐を浴びせかける!


 そして、メビウスを投げ飛ばした!


 レオはまず左腕を真横に、次に右腕を前に突き出す力強い空手の型を見せる!


 そして宙に跳び上がって回転、メビウスに対して必殺技を繰り出した!


テッペイ「レオキックだっ!」


 ウルトラマンレオは歴代のウルトラ兄弟たちとは異なり、両腕から放つ光線技が主要な必殺技ではなかった。出身星も異なる種族であることから、光線技が苦手なレオは、レオキックなるキック技を主な必殺技としてきたのだ。


 そして、『メビウス』第30話『約束の炎』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061203/p1)において客演を果たしたウルトラ6兄弟の6番目・ウルトラマンタロウが放った自爆必殺技に、イチイチごていねいにもその名称を口頭にて説明してみせた「ウルトラダイナマイト!」なるセリフに続いて、怪獣博士のテッペイによるレオの必殺技の名称「レオキック」のご説明!(笑)


 これに負けじとメビウスも、レオの下方からキック技で迎え撃つ!


 宙で激突する、レオキック対メビウスキック!!


 そのすさまじい衝撃は、宙空で大爆発を巻き起こした!


 変身が解けてしまって倒れ伏して苦しんでいるミライに、駆け寄ってくるリュウ・ジョージ・テッペイ!


 再び托鉢僧姿のゲンの姿に戻ったレオに、リュウとジョージが思わずGUYS隊員たちの標準装備銃・トライガーショットを構えるが……


ゲン「武器に頼れば、隙が生じる。最後に頼るべきは…… 自分自身だ!」


 顔を見合わせ、トライガーショットの銃口を降ろすリュウとジョージ。


ゲン「今は任務で遠く離れているが、この地球はオレにとって第二の、いや本当の故郷(ふるさと)だ」


 『レオ』第51話(最終回)『恐怖の円盤生物シリーズ! さようならレオ! 太陽への出発(たびだち)』(脚本・田口成光 監督・山際永三 特撮監督・矢島信男)のラストシーンにおいて、以下のようなシーンがあった。


 最終第4クール(第40話~最終回)にて、レギュラーのトオル少年ともども彼らを下宿させてくれていた美山家の女当主で、看護婦の婦長も務めていた名優・春川ますみ演じる美山咲子(みやま・さきこ)は、


「もしも、もしもよ。あなたが他の星の人だったとしても、私たちはかまわないのよ」


と、やさしい配慮の言葉を掛けてくれていたのだ……(感涙)


 当時のスーパーヒーローものの不文律である「スーパーヒーローとしての正体を知られてしまったならば、人々に依存される前に自らで立ち去る」。あるいは、先にふれた『レオ』第30話の原典でもある民話『鶴の恩返し』のように「異界の者であるから、その正体がバレてしまっては自らで立ち去る」という原理原則。そういったことを咲子は直感していたのだろう。


 その正体がバレてしまっては、ゲンが美山家に居づらくなって立ち去ってしまうのではないか? という聡明(そうめい)な直感。そういった気苦労で極力ゲンに負担をかけさせずに、その正体のことを半ばはわかりつつも、そうとはハッキリとは云わずに精一杯、気遣ったかたちで曖昧に表現してみせたこのセリフ。


 そう。『メビウス』では最終回へと至る前の第30話の段階で、GUYSの隊員たちにミライの正体がウルトラマンメビウスであったことが知られてしまったが、『レオ』においても美山咲子はそうだと明かされずとも、最終回以前にゲンの正体が宇宙人ことウルトラマンレオであることをウスウス察していたのだとも描写されていたのだ!


 そして、その思いやりの言葉がよほどうれしかったのだろう。それまでずっと、地球人たちから直接に感謝の言葉を述べられることがなかった孤高の戦いに耐え続けてきたゲンはこう語って返した。


「ありがとう。僕にとってその言葉は一生、忘れることができません。 やっと今、この地球が僕の故郷(ふるさと)になったんです! だから…… 青い空と青い海のある故郷をこの目で見て、この手で確かめたいんです!」


 このセリフもまたそうだとハッキリとは語らなかったものの、自身の正体がレオだと明かしたセリフであった。ここでの「第二の故郷」ではなく「本当の故郷」というセリフは、ゲンが美山咲子に返したセリフの反復でもあったのだ!


 『メビウス』第29話『別れの日』ではリュウ隊員の前で、第30話『約束の炎』でもGUYS隊員たち全員が見守る前で、その正体がバレてしまうかたちでウルトラマンメビウスへと変身してしまったのにもかかわらず、それでも彼らの仲間であると受け入れてもらったミライもまた、最終回で「地球はボクの、本当の故郷です!」と語ってみせることの、これは新たな伏線となったのかもしれない……


ミライ「ふるさと……」
ゲン「その故郷をおまえに託せるかどうか、試させてもらった。タロウ兄さんは許したらしいが…… オレは許さん! おまえには地球を託せない!」


 タロウ兄さん! ここで純然たるストーリー展開からは少々脱線的な感情や高揚を、子供たちやマニア視聴者は感じてしまったことだろう。レオことゲンが、ウルトラ6兄弟の6番目であるウルトラマンタロウのことを「タロウ兄さん」と語っていたからだ!


 M78(エム・ななじゅうはち)星雲・ウルトラの星の出身であったウルトラ6兄弟とは異なり、獅子座・L77(エル・ななじゅうなな)星の出身であるウルトラマンレオは当初はもちろんのことながらウルトラ兄弟の一員ではなかった。しかし、『レオ』第39話『レオ兄弟 ウルトラ兄弟 勝利の時』(脚本・田口成光 監督・東條昭平 特撮監督・矢島信男)のラストでその功績で認められて、ウルトラ一族の長老・ウルトラマンキングによってレオの弟・アストラともどもウルトラ兄弟の7番目と8番目、つまりはレオはウルトラ兄弟の一員に加盟していたのだ! これはまさにその設定や往時のドラマ展開を受けたうえでの、その係り結びとしてのセリフでもあったのだ!



リュウ「なに勝手なこと云ってんだっ!? 今まで地球は、オレたちとこいつで守ってきた! それはこれからも変わらねえ!」
ゲン「だが! メビウスはリフレクト星人に負け、このオレにも負けた! それが何を意味するか、わかるか? おまえたちの戦いは、必ず勝たねばならん戦いなんだ! そんなこともわからずに、よくウルトラマンを名乗れたもんだ……」


 『レオ』第3話『涙よさよなら…』(脚本・田口成光 監督・深沢清澄 特撮監督・クレジットなし)において、奇怪宇宙人ツルク星人はレギュラーキャラの梅田トオル少年とその妹のカオルの父親を、そして同作の防衛組織であるMAC(マック)の鈴木隊員を、その刀状の両手で横一文字に惨殺していた!
 ツルク星人の手刀二段攻撃を破るために、『レオ』第1話でのマグマ星人との激闘で負傷・消耗してウルトラセブン(67年)に変身できなくなったMACの隊長モロボシ・ダンは、ゲンに三段攻撃の特訓を始めさせるのだ。


ダン隊長「いいか、自分の命は自分で守らねばならん。しかし、そのために多くの命を犠牲にすることは許されん! ゲン、おまえは必ず勝たねばならんのだ!!」


 『レオ』の戦いは敗北が許されないものであった。レオが負ければやがて地球も滅びる切迫感があるものだったのだ。本話でもメビウスとGUYSがリフレクト星人に敗れたら、地球も滅びてしまう可能性があるのだ! 負けられない、必ず勝たねばならない戦いなのだ! 悔し涙を見せるミライだが、ゲンはなおも執拗にミライを責め立てる!


ゲン「その顔はなんだ…… その目は! その涙はなんだ!? そのおまえの涙で、この地球が救えるのか? ……リフレクト星人を倒してみろ。そうすれば、地球を託そう……」


 前後編の後編であった『レオ』第4話『男と男の誓い』(脚本・田口成光 監督・深沢清澄 特撮監督・クレジットなし)においても、前話に続いてツルク星人を倒すための特訓として、ゲンはダン隊長に「滝の水を斬れ!」と命じられていた。そして、ロケ地としては神奈川県大井松田にある「酒水の滝(しゃすいのたき)」で「滝の水を斬る」というムチャな特訓(!)を実施する! しかし、そんな妙技は当たり前ながらいつまで経っても完成しやしない……


ゲン「(悲痛な表情で)オレにはできない…… オレにはできない!!」


 そこに、『レオ』第1話でウルトラセブンとして対戦した敵怪獣によって右足を負傷して変身能力も失い、杖をつくようになっていたダン隊長のその「杖」が飛んでくる!


 かろうじて、ゲンはかわした。


ゲン「隊長!!」
ダン「その顔はなんだ!? その目はなんだ!? その涙はなんだ!!? ゲン、オレは……(消耗していたので倒れてしまうダン)」
ゲン「隊長!! またウルトラ念力を…… あれを使うと命が縮むんでしょ!? やめて下さい!!」
ダン「バカヤロー!!(ゲンを殴打) 人のことはどうでもいい! 貴様はなぜオレに云われたことをやらん!」
ゲン「オレにはできない!」
ダン「おまえがやらずに誰がやる! おまえの涙でヤツが倒せるか!? この地球が救えるか!? みんな必死で生きているのにクジける自分を恥ずかしいと思わんか!? やるんだ! もう一度やるんだ!!」


 かつての自分のようにクジけそうになっているミライに対して、ゲンはそんなかつての自分を激しく叱責したダン隊長の教えを同じように説いたのだ!


 そして、その証(あかし)である空手着(!)を投げ与えて、ゲンはその場を去っていく……


 「ウルトラマンレオは幾度も宇宙人や怪獣に敗れたものの、再戦では必ず勝利をおさめていた」ことが、GUYSの歴代ウルトラシリーズの防衛隊のデータベースである「ドキュメントMAC(エム・エー・シー)」を読んで知った、総監代行であるミサキ女史によって語られることになる。


●『レオ』第4話では、変身の活動限界である2分40秒を使いきってもツルク星人を倒せなかったレオだが、先述したような特訓を重ねたあとで、流れ斬りでツルク星人の両腕を斬り落とし、それを星人の胸に突き刺して絶命させる!
●第6話『男だ! 燃えろ!』(脚本・田口成光 監督・東条昭平 特撮監督・クレジットなし)では、暗闇宇宙人カーリー星人に白土隊員の恋人・洋子を踏み殺されてしまったにもかかわらず、その反撃戦に敗北したレオことゲンは、ダンにジープで追いかけ回され「ゲン! 逃げるな!」とムチでしばかれるという壮絶な特訓を受けたあとに、カーリー星人の両肩の二本の角を叩き折って眉間に突き刺して勝利する!
●第7話『美しい男の意地』(脚本・阿井文瓶 監督・外山徹 特撮監督・矢島信男)でも、植物怪獣ケンドロスが頭上の硬化した地獄花(じごくばな)こと剣輪草(けんりんそう)を放ったブーメラン攻撃に敗れたレオは、ダンがぶつける無数のブーメランを身体で受け止める特訓の末に、ケンドロスの連続ブーメランをチョップやキックで叩き落として、ついには自らが高速回転してブーメランとなってケンドロスの剣輪草をブッた斬る!


 たしかに原典の『レオ』のシリーズ前半においては、このような初戦における敗北と再戦における勝利がパターンとなることで、未熟なレオの成長物語が企図されていた。それはそれでルーティンなパターンと化してしまったし、子供心にレオが弱く見えてしまったことで作品の、あるいは子供向けヒーロー番組としては弱点にもなっていた。
 そのことが反省されてか、シリーズ中盤からは特訓描写や再戦における勝利のパターンは廃された。しかし、それはそれで長期テレビシリーズの利点でもある。劇中ではそういう説明があったワケではないけれど、子供たちもレオがシリーズ前半における特訓の末に強くなってきたことで、もう特別な特訓をする必要もなくなったのだろうと好意的に脳内解釈をしてきたところなのだ。


 もちろん、尺の都合やテンポの都合などもあるので、今までの『メビウス』が昭和ウルトラシリーズ直系の正統続編でありながら、昭和ウルトラシリーズの静止画像はともかく映像フィルムがいっさい流されなかったように、『レオ』におけるそれらのシーンを流すことは今回もなかった。何よりも現在では過去映像を流用するのにも、脚本家や監督に対して相応のギャランティーも発生してしまうだろうから、そういったシーンが低予算作品でもある『メビウス』では一律に廃されているのだろうことも、スレたマニアとしては承知しているところだ。


ミライ「レオの生まれ故郷は全滅しているんです。だからレオにはもう地球しかないんです。光の国という故郷があるボクとは違うんだ……」
サコミズ隊長「きっとレオは、その孤独さえも力に変えて戦ったんだ。それだけの覚悟を持って守り抜いたから、他人の星を故郷だと云いきれるんじゃないのかな?……」


 ……「他人の星」! 70年代末期の文庫本サイズの子供向け豆百科の大ベストセラー『ウルトラマン大百科』(勁文社・78年8月10日発行)などの「うらばなし」コーナーなどで明かされて以来、長年の特撮マニアであればご承知のことだろう。「他人の星」とは『ウルトラセブン』第37話『盗まれたウルトラ・アイ』(脚本・市川森一 監督・鈴木俊継 特殊技術・高野宏一)の原題なのである。そのストーリーはこうだ。地球を不要な星と判断したことで恒星間弾道弾を発射したマゼラン星から派遣されてきた女工作員・マヤは、ウルトラセブンに妨害されることを阻止するために、モロボシ・ダンから変身アイテムであるウルトラアイを奪ってしまう。恒星間弾道弾が地球に到達する前には自分に迎えが来ると思いこんでいたマヤだったが、母星にとってマヤは捨て駒に過ぎなかったことをダンから聞かされる。ショックを受けるマヤにダンは「この星で生きよう」と説得し、返却されたウルトラアイを着眼してセブンに変身して弾道弾の軌道を変えるが、マヤはゴーゴー喫茶のジューク・ボックスに仕掛けられた自滅装置で姿を消していた……


ダン「どうしてこの星でも生きようとしなかったんだ? 僕だって同じ宇宙人じゃないか?……」


 故郷に見捨てられて、その代わりに地球を第二の故郷と考えることもできず、深い孤独感に耐えられずに自死してしまったマヤ。彼女とは対照的に「他人の星」で生きることを選んだゲンは、マヤの発展進歩形、あるいはその真逆のアンチテーゼだとも解釈ができるだろう。


 マグマ星人の侵略によって故郷・L77星が爆発四散! 同胞も全滅するという悲劇を背負っていたレオ=ゲンは、そのマグマ星人が襲った故郷によく似た星・地球を「ぼくの第二の故郷です」と『レオ』初期編の段階でも繰り返して語っていた。そんなゲンにダン隊長は、


「ならば自分の力で、その故郷を守れ!」


と答えて、常に「結果」を求めてキビしい特訓をゲンに課してきた。


 それはよく評されるような、いわゆる「精神主義」ではないだろう。むしろ、「精神主義」とも一線を画していた「技術主義」「結果主義」とでもいうべきものだった! (関連記事:『ウルトラマンダイナ』総論 〜『ダイナ』と『レオ』の熱血の差異・精神主義ではない熱血ドラマ・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971215/p1


 L77星のような悲劇を第二の故郷・地球では繰り返してならないという強い想いがあったからこそ、ゲンはダン隊長が課したケタ外れの厳しい特訓に耐えることができ、凶悪宇宙人たちを次々に葬り去ることができたのだ。


 しかし、本来ならば仲間と慕うべきMACの隊員たちとはレオことゲンは人間関係をうまく樹立できなかったこともまた事実なのだ。それがまた長じてからの再鑑賞だと、それはそれでニガ味があってまさにリアルそのもの(汗)でもあって、それが実に良いと思うようにもなっていく。しかし、子供番組としてはたしかにヘビーに過ぎただろう。


 そして、第40話『恐怖の円盤生物シリーズ! MAC全滅! 円盤は生物だった!』(脚本・田口成光 監督・深沢清澄 特撮監督・大木淳)に至っては、円盤生物シルバーブルーメによってMACの隊員たちも、そして愛していたヒロイン・百子、先のトオルの妹・カオル、スポーツセンター職場での弟分の青年・野村猛(のむら・たけし)までも亡くしてしまったゲンことレオは、近年の特撮変身ヒーロー作品とは真逆であって、ずっと孤独な戦いを強いられてきたのだった。


 そんな『レオ』とは対照的な作劇ともなっている『メビウス』において、「強い仲間意識」に支えられたGUYSの隊員たちに、ゲンがミライに対して見せた異様なまでのキビしさが理解できなかったことも無理はないものとして、視聴者にも了解されてくる。そして、修羅場をくぐり抜けてきたレオの生い立ちを知るや、隊員たちも甘っちゃろい自分たちではレオに勝つことができないことは当然であったことを悟るのだ!



 テッペイ隊員によってリフレクト星人の体は誘電体多層帯ミラーのような構造。つまり、光線の吸収性がない体であり、光線技が通用しないことが判明した。そのことをもレオは身をもってメビウスに示してくれていたのだ。あのレオのキビしさは、実は逆説的なやさしさに裏打ちされたものだったとも解釈ができるのだ。
 テッペイいわく、「メビウスにはまだできない、垂直距離で地上1000mのジャンプ力を誇る身体能力から繰り出す、レオキック並みの破壊力!」。その能力がなければ、リフレクト星人には勝てないことも判明する。そして、そのキック力を生み出すためには「特訓」が必要だとして、ゲンはミライに自らが特訓の際に着用していた「空手着」を手渡したのだった。


 そのことに気づいたリュウが空手着を広げて叫ぶ!


「レオが云ったじゃねえか! 最後に頼るべきは自分自身だって!」


 今までレオことゲンに不信感を持っていたリュウが、手のひらを返してそう得意げに語ってみせている(笑)。


 そこに、リュウと同じ体育会系でも、ムダに熱くはならない女性隊員・マリナがキツ〜い一言を添える。


マリナ「うわぁ、熱血バカが喜びそうな展開……」


 いわゆるメタフィクション演出! このセリフで劇中のマリナ隊員はもちろんリュウ隊員だけを揶揄(やゆ)している。しかし、同時に作品の外側では、このような熱血・努力・根性・特訓によるストーリー展開自体が手アカが付きまくったネタであり、その意味では揶揄されても仕方がないものであることを、製作者側でもわかっていることのこれはエクスキューズ(言い訳)でもあって、しかもそれを自己言及してしまうことで、子供はともかく年長マニア諸氏を笑かそうとする高度なギャグでもあったのだ(笑)。


 たった一言のセリフながら、我々のようなイイ歳をこいた特撮マニアが、揶揄にしろ愛情にしろ、そうツッコミして形容・要約したくなってしまうところを、さらに劇中で先廻りして云ってしまうことで、それすらもエピソードとしの「面白み」にも変えてしまう! 作品の内外も含めた二重・三重の意味を響かせてくる高等な演出でもあるのだ。


 まぁ、マリナもバイクのロードレーサー上がりなのだから、根は勝気で暑苦しい熱血タイプであることは間違いがない。よって、「おまえが云うな!」「おまえもなぁ~」といったツッコミの隙はあるのだけれども、それすらも含まれている多重ギャグでもあるのだろう(笑)。


ミライ「これには、レオが地球で流した汗が染みこんでいます! 孤独を力に変えるために流した汗が…… 今わかりました! 他人の力を頼りにしないこと! ひとりでやらせて下さい!」


「他人の力を頼りにしないこと!」


 ここでのレオの助言は、『メビウス』でも何度も復唱されてきた、『帰ってきたウルトラマン』第51話(最終回)(脚本・上原正三)のラストシーンで地球を去っていくウルトラマンジャックこと郷秀樹(ごう・ひでき)がレギュラーの坂田次郎少年に別離の際に語って、次作『ウルトラマンA』第10話『決戦! エース対郷秀樹』(脚本・田口成光・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060709/p1)でも復唱されていた「ウルトラ5つの誓い」のひとつである「他人の力を頼りにしないこと!」にも通じるものであったことが示される。



 リュウの手助けを断って、ひとりで山林にこもったミライは、ゲンから授けられた空手着を身につける。そして、縄が巻かれた丸太に向かい、「ハァッ!」と叫びながらキックの特訓を繰り返す!


 物陰から特訓する様子を見て、ゲンがミライに語りかける。


「男はいつもひとりで戦うんだ。自分自身と戦うんだ」


 このセリフもまた、『レオ』第11話『泥まみれ男ひとり』(脚本・田口成光 監督・筧正典 特撮監督・矢島信男)におけるゲンのセリフと同一のものであるのだ!


 怪異宇宙人ケットル星人に、叔父でボクシング・ヘビー級チャンピオンでもあったマイティ松本と、その叔父の墓参りの際には叔母まで殺されてしまった一郎少年は、


「MACが頑張っていれば、叔父も叔母も死なずに済んだ! ボクだけが頑張る必要はない!」


と得意であった鉄棒の懸垂の練習をやめようとしてしまう。こう記すと、同話は第2気ウルトラシリーズでは時にあった、ゲスト少年がナマ身で巨大な怪獣・宇宙人に復讐しようとするような、ベタでムチャな展開だったかと思われてしまいそうだが、まったくそうではないので、くれぐれも念のため。そんな一郎少年にゲンは、


「君はお父さんもお母さんもいる。でもボクは、みんな星人に殺されてひとりぼっちだ」
「あの星人が現れたら必ず僕が倒す。君はそれまでに(懸垂)30回に挑戦するんだ」


と励まして、懸垂中の一郎くんに、


「頑張れ、一郎くん! 君は男の子だ。男はいつもひとりで戦うんだ。自分自身と戦うんだ」


と語ってみせていたのであった。


 ダンからゲンへ。ゲンからトオルへ。


 コアな『レオ』ファンであればわかったことだろう。このセリフは「ダン → ゲン → トオル」の原点だともいえる「ゲン → 一郎少年」のシーンからの引用でもあったのだ! もちろん、本話には「ゲン(レオ) → ミライ(メビウス)」、レオからメビウスへ、といったテーマがハラまれてもいるのだ。


 そして原典の『レオ』では、一郎少年の練習時の小さな事故から、ゲンは星人への攻撃方法のヒントを思いついたことで、新たな特訓を始めるのだが……


 そういった状況がそっくりそのまま、このあとのストーリー展開では再現されてもいくのだ(笑)。


 「ヘヤ〜ッ!」と叫びながら、次々と丸太を蹴り折ってみせているミライ!


 このシーンもまた、往年のレオことゲンの山林での特訓シーンの再現でもある。


 着実に成長しているように見えるミライだったが、様子を見にきたリュウ隊員に「何かが足りないんです」と不安を漏らしていた。


 そこにコノミとテッペイの両隊員もやってくる。そして、ミライが粉砕した大量の丸太の破片を目にするや、


「焚火(たきび)にはちょうどいい」
「焚火といえば、焼き芋」


と連想ゲームをやらかすのだ(笑)。


 焚火の基となる薪(まき)を丸太の薪割りでこしらえたはいいが、着火用のマッチを忘れて取りに戻ろうとするテッペイをリュウが制止する。木を細かく削った「おがくず」を敷いて、そこに「木の棒」を刺して両手でこすって回転させることで、古代人のように摩擦熱で火を起こそうというのだ。


 火起こしに成功して、焼き芋をほおばる一同。


 その最中、ミライは焚火を見つめて、攻撃方法のヒントを思いついたようだった!



 リフレクト星人が再び出現する!


 ミライはウルトラマンメビウスへと変身!


 メビウスはリフレクト星人に向かって懸命に走る!


 そして、ジャンプして宙で回転!


 キックの体勢で上空からリフレクト星人に向かって突撃した!


 リフレクト星人は左腕の盾でこれを迎え撃とうとする!


 メビウスはキックをその盾に浴びせた!


 それと同時に、その体自体を先のキリモミさせていた「木の棒」のように高速ドリル回転させ始めた!


 メビウスはその体の全身を炎の固まりとも化した!


 一方向からの突進力だけでなくネジれた回転力も加わったことで、単に重量級の巨体で力押しだけで防いでいればよかったものを、予期せぬ方向への力も追加されたことで、たまらずに吹っ飛ばされてしまったリフレクト星人!


 華麗に宙をバック転して着地してみせたメビウスは、メビウスブレイブでもなく、さらなるパワーアップ形態・ウルトラマンメビウスバーニングブレイブへとタイプチェンジを遂げていた!


「よくも、私の体にキズを!」


 怒り狂ったリフレクト星人はその左腕からピンク色の光弾を連射して、メビウスに浴びせかけた!


 そして、テレポーテーション(瞬間移動)でも翻弄してみせる!


 さらには紳士然としてきたクセに、案外にも実に卑怯に(笑)、左腕からチェーンを延ばしてGUYSの大型戦闘機・ガンフェニックスを人質にせんとしてカラめ取った!


 このピンチにメビウスはどうする!?



 そのとき、宙に飛ばされた藁笠!


 ゲンがついにリフレクト星人に戦いを挑むときが来たのだ! 獅子の瞳が再び輝くときが来たのだ!!


ゲン「レオォォ〜~~~~っ!!!(変身)」


 な・な・な・なんと! 本作では予算面での諸事情(笑)で、静止画はまだしも過去シリーズの動く映像としてのフィルムの流用自体は一律にないだろうとスレた特撮マニア間では思われてきたところだ。


 とはいえ、前話のラストに付いていた本話の予告編でも、この変身バンクの映像は使用されてはいたけれど、『レオ』の各話で使用されていた「宇宙に輝くエメラルドをバックにウルトラマンレオが変身巨大化を遂げていくイメージの変身パターン」をついにここぞとばかりに再利用!!


 再び鳴り響いた『ウルトラマンレオ』新アレンジBGMとともに興奮度は最高潮に達した!


 もちろん、オリジナルの主題歌やBGMを流用してほしかったところだが、現在では旧作のBGMの再利用には日本音楽著作権協会ことJASRACジャスラック)にかなり高額の支払が発生してしまうそうなので、低予算作品である『メビウス』ではそれがムズカしかったのであろう(汗)。



 ……「男はいつもひとりで戦うんだ」と云っておきながら、最後には新旧の2大ヒーローが共闘してしまうとは矛盾である!(笑)


 そのツッコミはまさにそのとおりなので、反論の余地もないのだが……


 しかし、もしもレオとメビウスとの共闘がなかったら、あるいはあのラストバトルでゲンが再変身してレオが戦ってくれなかったならば、それはそれでカタルシスには欠けてしまったどころか、詐欺(さぎ)にすらなっていたことだろう!(笑)


 だから、多少のテーマ的な矛盾が生じてしまったとしても、レオとメビウスが共闘することになる正当化のためには、リフレクト星人にも人質を取ってもらう必要があったのだ!(笑) そして、2対1のハンディキャップ・マッチになっても見劣りのしないボリューム級の巨体の球形ボディーでもあったのだ! しかも、この球形の巨体には、バトル演出上での良い意味でのご都合主義的な理由付けもあったことが判明するけど、それについては後述するとしよう。



 リフレクト星人の右腕の剣を、レオは右手を発光させたチョップ(ハンドスライサー!?)でブッた斬る!


 このチョップもまた、原典作品でも怪獣カネドラスや怪獣スペクターに対するトドメとなって、ツルク星人の刀やカーリー星人のツノをも、レオがチャップでブッた斬ったことの踏襲でもあっただろう!


 そして、メビウスもリフレクト星人の左腕のチェーンをブッた斬る!


 ファイティングポーズを華麗に決めた両雄が揃い踏み!


 そこに、すかさず流れてくる主題歌『ウルトラマンメビウス』! メビウスとレオが優勢になったことの勇ましさとカッコよさも引き立てる!


 リフレクト星人が光弾を連射した!


 これまた原典でのイメージどおりに、さっそうと連続バック転でかわしていくレオ!


 リフレクト星人にキックを浴びせかけるメビウス


 宙を跳び上がってリフレクト星人の前に回りこみ、口元にキックを浴びせかけるレオ!


 それでも足らずに、再び宙に舞い上がって体を回転させて、上空から右ヒジでのエルボ攻撃にてリフレクト星人の盾をもヘコませてしまうレオ!


 さらに、レオとメビウスはリフレクト星人の両腕を抑えこんでダブルキック!


 そして、ふたりしてリフレクト星人を投げ飛ばした!!


 まさに畳み掛けるようなテンポで展開する、実にスピーディーなアクション演出でもある。



 ついに、リフレクト星人にトドメを刺すときが来た。


 レオとメビウスが同時に空高くへとジャンプする!!


 宙に舞い上がったレオは、上空からリフレクト星人を目がけて必殺のレオキックを見舞おうとする!


 原典どおりに、いや原典よりもパワーアップされた映像表現で、右足を赤く発光させながら、高速で降下していくレオ!


 ちなみに、本話でのウルトラマンレオの掛け声は、原典『レオ』でのゲンこと真夏竜によって演じられた往時のそれの再利用ではなかった。真夏竜によってあらためて新録された音声であった。往時とは異なり、やや低音になってしまったことには少々の違和感はあるかもしれない。その意味では、バンク音声の再利用の方がよかった気もするのだ。しかし、レオの熟練味を出そうというのであれば、現在の真夏氏による新録で合っていたともいえるだろう。細かいことはともかく、もちろん真夏氏による再演の掛け声には感謝をしても、し足りないことはないのだ。



 メビウスは特訓の末に編み出した、その身を「おがくず」を発火させた「木の棒」のようにして、あるいは『レオ』第2話ラストでレオが披露した必殺技・きりもみキックのようにキリモミ状に高速回転を始めた!


 そして、レオに少し遅れて上空からリフレクト星人にキリモミ回転状態で急速降下していく!


 降下途中からは、その全身を赤い炎と化していく!


 しかし、リフレクト星人もマヌケ面(づら)して静止したまま、決して手をこまねいているワケでもない!


 これに負けじと自身の体をメビウスと同様にコマのように高速回転させながら、レオとメビウスを迎え撃たんと斜め上空へと飛び上がる!



 だが、必殺のウルトラダブルキックが、リフレクト星人のドテっ腹を貫通した!!


 地面から見上げるように仰角で撮られて、並んで着地したレオとメビウスの合間の背景の上空で、風穴の開いたリフレクト星人が小さく静止している!


 間髪を空けて、そのままリフレクト星人は大爆発!!


 この実にカッコいいアングルのカットが最高にカタルシスあふれる名場面であったことは、衆目の一致するところであろう!


 おそらく、リフレクト星人の体が球形の巨体であったことの意味は、レオとメビウスの2人のウルトラマンがその巨体を貫通した「絵になるシーン」を撮りたかったことから逆算されて、デザインされたものだったのだろう。世代人であれば、往年の特撮巨大変身ヒーロー『アイアンキング』(72年)第5話に登場した球形型をした敵の巨大ロボット・モンスターゾロとの酷似を想起せずにはおれなかっただろうが(笑)。


 余談だが、必殺技を放ったヒーローが振り向きもせずに、その背中で敵が爆発四散していくさまの元祖は、東映メタルヒーロー時空戦士スピルバン』(86年)であった。1年空けて『仮面ライダーBLACK RX』(88年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20001016/p1)でも投入されて、さらには日本サンライズ製作の子供向け合体ロボットアニメ『絶対無敵ライジンオー』(91年)シリーズなどでも導入。これが逆輸入されるかたちで、『激走戦隊カーレンジャー』(96年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20110521/p1)の戦隊巨大ロボことRVロボの必殺剣技シーンに投入されたことでタガが外れて(笑)、各社の特撮ヒーローや合体ロボットアニメでも多用されるようになっていく。本話の必殺技シーンはそういう意味では昭和ウルトラの再生ではないのだが、たとえ後世の技法でも普遍的にカッコいいのであれば柔軟に採用されてしかるべきだろう!



 夕焼けに染まる黒潮島の海岸を臨む岬で、ゲンに空手着を返却しているミライ。


ミライ「ありがとうございました!」
ゲン「礼を云われるほどのことでもない」
ミライ「ボクが何をすべきか、教えてくれたのはあなたです!」


 『レオ』第44話『恐怖の円盤生物シリーズ! 地獄から来た流れ星!』(脚本・田口成光 監督・外山徹 特撮監督・矢島信男)にてゲンは、


「礼を云うなら、あゆみちゃんのお母さん(美山咲子)に云ってください。僕がなにをすべきかを教えてくれたのは、あの人なんです」


と語ってみせていた。


 先にふれた『レオ』第15話でも、ダン隊長に津山青年との修行を命じられたものの、好意を抱いていた百子とやたらと親しげな津山青年に反発・嫉妬した(笑)、まだ未熟な若者でしかなかったゲンであったが、彼から会得した「心眼」によって分身宇宙人フリップ星人の実体を見破って勝利したことによって、


「僕の方こそ、あなたにはお礼を云わなければならないんです」


と最後には津山と和解していたのだ。


 このセリフもまた、この2本のエピソードでのセリフに対するオマージュには違いない。


 実に温厚なミライでもさすがにゲンに対しては多少の反発があったかもしれない。だが、共闘の末に勝利を導いてくれた恩人となった今、ミライはゲンをこう呼んだ!


ミライ「レオ兄さん! 地球はボクがきっと!」
ゲン「ああ。おまえになら、いや、おまえたちになら、託せそうだ。オレの故郷を」
ミライ「約束します!」
ゲン「頼んだぞ、メビウス


 レオ兄さん! ウルトラマンメビウスウルトラ兄弟の一員であるかはいまだに怪しいところだ。ハッキリとした言明やウラ設定もないのだが(笑)、少なくともメビウスがレオのことを尊敬すべきウルトラ戦士の先輩であり、栄光のウルトラ兄弟の一員として認めた瞬間でもあったのだ!


 それは同時に、ウルトラ兄弟の末弟ポジションでもあったウルトラマンレオがすでに円熟した戦士ともなっており、後輩のウルトラマンから「兄さん」と呼ばれるだけのポジションになっていたことに、我々もたとえそれが虚構の作品世界の中での出来事だとはいえ、そんなことも重々承知であって、あたかも実在する世界と人物たちの変遷・成長を見届けてしまったようでもあり、実に深い感慨をもよおしてもしまうのだ。


 そして終始、険(けわ)しい表情であったゲンも、ラストではようやく、ミライことメビウスに、そしてミライの正体を知ってもなお、彼に依存することなく全力でサポートしてみせているGUYSの隊員たちにならば後事を託せると、安堵の笑顔を見せたのであった……



 『ウルトラマンレオ』という作品へのリスペクト(尊敬)に満ち満ちた大傑作の誕生である! しかしもちろん、「熱血」「根性」「精神主義」だけでも「成果」を出せてしまったり「奇跡」を起こしてしまえるような、王道の少年漫画的な楽観的でポジティブな作品世界とも微妙に異なってはいた、もっとシビアで「技術主義」的かつ「成果」も確実に出さなければならなかった、時に殺伐ともしていた『レオ』の作風をそのままに取り込んだエピソードでは必ずしもなかったことも事実なのだ。


 もっとマイルドでもあって、『レオ』本編では考えれなかったような、安息シーンとしての焚火や焼き芋をほおばっているGUYS隊員たちのアットホームな描写なども織り込んでおり、『メビウス』の本編らしさも出せていたのだ。


 しかし、そのシーンもまた無意味ではない! そこから星人打倒のヒントも思いつくのだ!


 メビウスはレオキックをそのままに踏襲したワケでは決してなかった。劇中でも「木の棒」を両手でこすって回転させていたことから連想が働いて、敵宇宙人を攻略するためにヒントが思い浮かんでいたように、本話には少々の「ヒネり」(笑)も入れてみせていたのだ。


 つまり、メビウスは肉体派のレオの鍛練をそのままに引き継いだワケでは決してないのだ。もちろん、鍛練それ自体は必要だろう。しかし、鍛錬してもメビウスはレオの身体能力には遂に及ばなかった可能性が高いのだ。中長期ではともかく短い期限の中での特訓では、レオの域には達していなかったと見るのが妥当だろう。しかし、それではどうすればよいのか? 「身体能力」ではレオより劣るメビウスなりに「知恵」を使って工夫をして敵を倒してみせていたのだ!


 それが、レオの言い分や、レオキックをオウム返しに踏襲することではなく、そこにメビウスなりの「ヒネり」というアイデアを付け加えることでもあったのだ。それは本話の脚本家にして『メビウス』のメインライターでもある赤星政尚(あかほし・まさなお)が本話に込めていた、あるいは本話の作劇術としていた、もっと云ってしまえば昭和ウルトラシリーズ直系の続編でありながら、その作劇パターンは実は昭和のウルトラシリーズには似てはいなくて、むしろ王道の熱血少年漫画の方に似ていた『メビウス』全体の作劇術を、メタフィクション的にも表明していたものでもあっただろう!



 しかし、本話は『レオ』の世界の精神性を踏襲しなかったのだとも云えない。ミライだけでなくGUYSの隊員たちにとっても、レオことおおとりゲンは大きな存在として立ちはだかったことは事実だ。そして、そのシビアな生きざま――『レオ』という作品世界の『メビウス』世界とは異なるリアルな価値基準や空気感――は彼らにも微量に影響は与えていくのだ。


 『レオ』と『メビウス』の「水」と「油」ほどにも違った世界観。それらを安易に足して2で割って融合させてウスめてしまうのではなく、違和感バリバリのままで併存させて空中分解させてしまうことでもなく、本話はその両者をうまく隣り合わせに接合もできていたのだ!



 よって、だからこそ、リフレクト星人がペラペラと冗舌にしゃべってみせているあたりは、まったく『レオ』の星人っぽくはないのだ。しかし、リフレクト星人の目的がメビウスと戦うこと以外はまったく不明であるという一点についてのみだけは、実は『レオ』っぽいかもしれないのだ(笑)。


 けれど、このアニメ的・劇画的に憎々しげなリフレクト星人のキャラ立て自体は、これによっていかにもリフレクト星人が劣勢になれば戦闘機・ガンフェニックスをカラめ取って人質の盾にしてみせるような、口八丁手八丁・卑怯未練も恥知らずなキャラクターに成り果てても、あまり違和感がなかったことにも帰結してくる。


 そして、それによって「ひとりで戦う」ことを称揚しておきながら、レオが変身してメビウスを助けてしまうというテーマ的な矛盾点を完全には解消はできなかったにしても、相応にウスめることには貢献できているのだ! 虚構作品の作劇術のキモとは、そういったものなのだ(笑)。



 ゲンを演じた真夏竜もまた往年のゲン、あるいは『レオ』のときのダン隊長のテンション高い鬼軍曹的な熱血演技をそのままに再現するのかと思いきや…… 意外にも抑えたシブい演技であって、それによって作品を締めることで効を奏していた。


 これについてはホビー誌のインタビューでも語っていたように、ゲンの年齢のこと以上に1974年当時の時代の空気との差もあって、そのままでは若い隊員たちや今の時代の視聴者には伝わらない、引かれてしまうだろうといった真夏氏なりの演技プランがあった。あるいは、いっそレオことゲン本人自身がそういった計算までしており、その本質は変えないまでも時代に即して「ヒネり」を入れて表面的にはアレンジを施してみせていた、今の若い世代に対して適切にチューニング・調整した接し方でもあったに違いないのだ!


 それもまた、奇しくも先の「キリモミ」もとい「ヒネり」なのだ。つまり、そういった「脚本」を超えたところでの役者側の計算によっても、作品はそのクオリティーを上げていくものでもあったのだ!



 映画『ウルトラマンメビウスウルトラ兄弟』(06年・松竹・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070128/p1)に出演した黒部進森次晃嗣団時朗高峰圭二ら歴代ウルトラシリーズ主演俳優と比べて、本話でおおとりゲンを再び演じることになった真夏竜は、個人的には当時の面影があまり残っていないような印象も受けてしまった。
 それはおそらく、黒部・森次・団の各氏は特撮マスコミにおけるインタビューが今までにもひんぱんにあったことから、彼らの成熟・老成を数年おきに見てきたことから来る「慣れ」ゆえのものである。対するに高峰・真夏の両氏は露出が相対的に少なかったことから来る「断絶」感がそのように思わせてしまってもいたのだろう。


 もともとは横浜のクラブで専属シンガーとして歌っていたという真夏氏は、そのキャリアがあったせいでもあるのだろう。主題歌『ウルトラマンレオ』や同作の挿入歌『MACのマーチ』と『星空のバラード』なども歌唱している。そのクラブを訪れた真船禎(まふね・ただし)監督に「今は歌を歌ってますけど、ホントウは役者になりたかったんです」と話したことがキッカケで、『レオ』のオーディションに呼ばれたそうなのだ。そして、3000人の中から主役に選抜されて役者人生をスタートさせたのだ。そういった意味では、『レオ』という作品自体もまた、氏にとっての「第二のふるさと」なのだともいえるだろう。


 ウルトラマンエースに変身する北斗星児(ほくと・せいじ)こと高峰圭二が、時代劇の大スター・萬屋錦之介よろずや・きんのすけ)が主役を務めたテレビ時代劇の名作『長崎犯科帳』(75年)では長崎奉行所の若手同心役でレギュラー出演していたように、「てめえら人間じゃねえ! たたっ斬ってやる!!」の決めゼリフでも有名な名作テレビ時代劇『破れ傘刀舟 悪人狩り(やぶれがさ・とうしゅう あくにんがり)』(74~77年)の最終2クール分では、萬屋錦之介が演じるスゴ腕の町医者・刀舟の医術の弟子でありながら空手も得意だという役柄で(笑)、真夏もレギュラー出演を果たしていたことは、世代人であればご承知のことだろう。
 NHKで放映された中村吉右衛門主演の時代劇シリーズ『武蔵坊弁慶(むさしぼう・べんけい)』(86年)でも、源義経(みなもとのよしつね)に仕える義経四天王のひとりとして有名な佐藤継信(さとう・つぐのぶ)という大役をもゲットしていた。


 そして、役者であるからにはコニュニケーション能力も高かったのだろう。おそらく旧知の友人に誘われたのでは? と憶測しているのだが、90年前後の児童向けテレビアニメの大ヒット作『ダッシュ! 四駆郎(しくろう)』(89年)や『炎の闘球児 ドッジ弾平』(91年)などのアニメ制作会社側のプロデューサーも本名の瀬戸幹雄や瀬戸美季夫の名義で務めているという意味では、児童向けのジャンル作品との縁も継続してきたのだ。


 とはいえ、年輪を重ねて熟成、その顔面にシワも増えてしまった今こそ、本話のウルトラマンレオことゲンを演じるのにはふさわしかったとも思い直すのだ。本話では托鉢僧姿で登場したこともまた、それゆえに実に説得力あふれる服装演出ともなっていた。その苦労を力に変えて『レオ』を「本当のふるさと」へと昇華させたかのような氏の熱い演技は、テレビの前の子供たちや年長マニアたちにも「活力」を与えるには充分に過ぎるほどの、実に頼もしい見事なものでもあった。



 強いて云えば、先行して落下していったレオキックだけでリフレクト星人を貫通することができていて、それに続いたメビウスの回転キックはトドメにはなっていないようにも見えたのだけど、そこはご愛敬ということにしておこう(笑)。

2006.12.5.


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2007年号』(06年12月30日発行)『ウルトラマンメビウス』第3クール評より分載抜粋)


後日編註:


 2007年11月25日(日)午後1時、新宿ロフトプラスワンにて開催された『真夏座プレゼンツ! 「レオが歌舞伎町にやってくる。」』にて、本話のラストシーンではカットされてしまった下記のセリフが朗読で披露されたそうな。


ミライ(代役)「もう行ってしまうんですか?」
ゲン「オレはアストラと合流しなければならない。暗黒星雲に不穏な動きがある」
(そして、#34のラストシーンにつながる)


 ……レオの弟・アストラにも言及! 「暗黒星雲」の語句はもちろん、『レオ』#38~39の前後編に登場して、『メビウス』でも本話の直後にあたる#35でも再登場を果たした、暗黒星雲の支配者でもある暗黒星人ババルウ星人のことを意味する伏線でもあったのだ! 尺の都合でのカットだろうから仕方がなかったとはいえ、実にもったいない!


 ちなみに関東地方では、『メビウス』放映直前ワクでのTBSのTV番組の宣伝・情報番組『チャンネル☆ロック!』(04~09年)で、「今日の『メビウス』にウルトラマンレオが登場するよ!」と宣伝されていたそうな……。ただし、「先週(!)、リフレクト星人に負けたメビウス……」と間違って紹介されていたのだとか(笑)。


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