『ウルトラマンメビウス』総論 『メビウス』総括・赤星政尚論!
『ウルトラマンメビウス』#1「運命の出逢い」 〜感激!感涙!大傑作!
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『ウルトラマンメビウス』15話「不死鳥の砦」 ~ゾフィー&アライソ整備長登場!
(脚本・谷崎あきら 監督&特技監督 北浦嗣巳)
(『ウルトラマンメビウス』〜ウルトラマンヒカリ編・短期集中連載!)
(文・久保達也)
本作の「設定考証」でもあり、メインライター・赤星政尚と同じくオタクライターたちが集う編集プロダクション・タルカス所属の谷崎あきらが、本作の脚本に初登板。
その第15話『不死鳥の砦』において、遂にウルトラ一族が設立した宇宙警備隊の隊長でありウルトラ兄弟の長男でもあるゾフィーが登場!
そしてもうひとり、長年のファンにとってはなんともたまらない経歴を持った人物が登場するのである!
防止組織・GUYS(ガイズ)の宇宙部隊であるGUYSスペーシーが宇宙空間で撃破したはずの宇宙礫岩(れきがん)怪獣グロマイトが、中枢器官の破壊を免れて地球に到達。地球のがれきや岩石を口から吸収して再度の成長を遂げたグロマイトは、全身が漆黒の岩石状の鎧(よろい)に被われた四足歩行の大怪獣となって進撃を開始したのだ!
出撃しようとするGUYS隊員たちだが、
「そいつはできねえ相談だ!」
と待ったをかけられる。
正体はウルトラマンメビウスであり本作の主人公でもあるミライ隊員が初めて見たその初老の男は、GUYSの大型戦闘機・ガンフェニックスの整備責任者であるアライソ整備長だった!
「まだエンジンコイルのならしが終わってねえ!」
親方職人気質を見せたアライソは、GUYSの長官・トリヤマに「単なる調査だから」と拝み倒されるが、
「拝んで飛ばせりゃ整備はいらねえんだよ!」
と断固拒否。
すると、「ええい、いたしかたあるまい!」とトリヤマは副官・マルに「立入禁止」と書いたテープでアライソをグルグル巻きにさせ、「クルー(隊員)の諸君、今のうちだ!」と出撃させてしまう(笑)。こうした描写で『メビウス』という作品は、リアリズムが最優先される世界観ではなく、コミカルで漫画チックな事象も許容する世界観であることも改めて描写する!
青い体色のウルトラマンであるウルトラマンヒカリと合体している、小高い丘の上に立っているセリザワ前隊長が見上げた上空を、彼方からガンフェニックスが飛んでくる!
そのセリザワが見送った先では、怪獣グロマイトが破壊の限りを尽くしている描写もまた、リアルに考えたらば被害甚大なのだから不謹慎な感想になるけれども、映像的には実にカッコいい!
ガンフェニックスに口からプラズマ火球を浴びせるグロマイト!
からくも避けた合体戦闘機・ガンフェニックスは、その機能を活かして2機に分離した!
そして、ジョージ隊員が登場するガンフェニックスの後ろ半分の部分である戦闘機・ガンローダーは、その機首から重粒子砲「バリアブル・パルサー」を放つ!
と、グロマイトは突然プラズマ火球を放たなくなる。
「弾切れか?」
それはエネルギー不足のためだった。岩石を口から吸収し、エネルギーを充填する怪獣グロマイトを観察したテッペイ隊員は、その際に岩石の鎧に隙間が生じるのを発見し、それをねらって攻撃するようリュウ隊員に進言する。
だが、口からの火球を避けて攻撃するのは至難の技であった。
リュウ隊員はアライソ整備長に整備不良だから絶対に使うなと、昭和ウルトラシリーズに登場した侵略宇宙人の残骸円盤群から取得したオーバーテクノロジーによる航空力学を無視した飛行を可能とするマニューバモードの使用をとめられていたが、トリヤマが「私が許可する! メテオール解禁!」(笑)とけしかけたことからこれを使用!
黄金色に輝きながらグロマイトに接近していくガンフェニックスの前半分が分離した戦闘機・ガンウインガー!
だが、ガンウインガーは突然制御不能に陥り、それをグロマイトのプラズマ火球が襲う!
間一髪! 空から降下してきたウルトラマンヒカリが盾となり、リュウを救った!
そして、グロマイトが放ったプラズマ火球をなんとヒカリは右手でキャッチし、その場でコマのように一回転して、それをグロマイトめがけて放り返した!
グロマイトの頭部に命中して爆発! 怒りに燃えたグロマイトは、ヒカリに向かって突進!
ヒカリはグロマイトの首を押さえつけてはねかえそうとするが、逆に大地に吹っ飛ばされて巨体に組み伏せられる!
グロマイトが前脚を上げた際になんとか脱出して蹴り上げたヒカリは、グロマイトの巨体を「ウリャ〜!」とばかりに放り投げた!
ヒカリが右腕のナイトブレスに天空から稲妻を呼び集め、腕をクロスさせてこれをスパークさせて必殺光線・ナイトシュートを放とうとした瞬間、グロマイトは口から猛烈な量のプラズマ火球を放ち、周囲を大爆発させて地中へと姿をくらませてしまった! 戦闘が突如中止となってしまったことで、ヒカリもまた静かに姿を消していく……
霧雨が降っているような暗がりに包まれた異空間で、疲労が色濃いウルトラマンヒカリはガックリと膝をつく。胸の中央にあるウルトラ一族の活動限界を示すカラータイマーはせわしなく点滅していた。
そのとき、上空からヒカリを呼ぶ声が響く!
なんとここでウルトラ兄弟の長男・ゾフィーが登場! 地球に赴いたワケではないだろうが、そのテレパシーでヒカリに通信をしてきたのだろう!
ゾフィー「もう充分だ。光の国に帰りたまえ」
ヒカリ「(『メビウス』第1話~第10話までの宿敵である高次元捕食体)ボガールなき今も、怪獣が現れ続けている! 放ってはおけない!」
ゾフィー「君も弟たちと同じだな」
ヒカリ「えっ?」
ゾフィー「長くは待てないぞ……」
なんとも意味深なこの場面!
初代『ウルトラマン』(66年)第39話(最終回)『さらばウルトラマン』や、『ウルトラマンネオス』(00年)第11話~第12話である最終回前後編(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20120513/p1)同様、地球で活躍する現役のウルトラ戦士にM78星雲への帰還を勧める役回りとしては、宇宙警備隊の隊長でもある上司役のゾフィー兄さんはピッタリの適任者でもあり、シリーズを通じての統一性も担保できているあたりも正しいし嬉しい!
昭和のウルトラシリーズ直系の正当続編である『メビウス』であることから、第1話『運命の出逢い』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060625/p1)冒頭に登場したウルトラの父、第11話『母の奇跡』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060910/p1)に登場したウルトラの母に続いて、歴代のウルトラ兄弟が登場することは望まれていたことだし予想もついていたことだったが、今回は参戦こそしなかったけれども、それでもレジェンド級のヒーローが登場するだけでも場面が盛り上がり、心もウキウキとしてきて嬉しくなってくる!(笑)
その神秘性あふれる演出もあって初登場としてはこれで大満足。次回の登場では必ずや大活躍を見せてくれるものと期待しているぞ!
ホンのわずかの登場ではあったが、危機下にある地球を放ってはおけない! というウルトラマンヒカリのその自己犠牲的で博愛的な性格・心性を、それは歴代のウルトラ兄弟たちが持ちあわせていたものと同質のものだと見抜いてみせるゾフィーの慧眼(けいがん)ぶりで、ヒカリとゾフィー両者のキャラも同時に立てることができている!
そのころ、GUYSの作戦室では、忠告を無視されたアライソ整備長が怒り心頭に発していた!
リュウ「メテオール(本作におけるオーバーテクノロジーの総称)が……マニューバモードさえ使えりゃあ、あんな怪獣、倒せたんだ!!」
アライソ「メテオールなんて得体の知れねえもんに頼らなきゃ、戦えねえってのか!? むかしはあんなもん、なくったって立派に戦ってたんだ!」
リュウ「だから墜落ばっかりしてたんだろっ!!」
アライソ「なんだと、小僧……(怒)」
「だから墜落ばっかりしてたんだろっ!!」。……ついに云ってしまった(笑)。
もちろんこれは、広い意味では苦笑程度のギャグとしても機能しているのだが、タチの悪い特撮マニアがするような冷笑的で罵倒的なギャグでもない。
第2期ウルトラシリーズの防衛組織の戦闘機群は毎回、撃墜されてしまうことで、視聴者である子供たちにも第2期ウルトラの戦闘機や防衛隊は、第1期ウルトラや第3期ウルトラのそれらと比したらば「弱い!」という悪印象を与えてしまっていた。
長年酷評に見舞われてきた第2期ウルトラシリーズの再評価に邁進する派閥(筆者自身も第2期ウルトラ擁護派である)の中でも、質が低くて宗教の信者的でファナティック(狂信的)な連中であれば、自説に都合が悪いことだからとあえて政治的に無視・黙殺してしまうのだろうが(それでかえって反発を喰らって逆効果にもなっている・汗)、本作では第2期ウルトラシリーズへのオマージュにはあふれながらも、どこぞの信者的にはならずに第2期ウルトラにもあった明らかな欠陥(けっかん)についても、タブー視することなく自己言及的にふれることで、長年のウルトラシリーズのマニアたちに対してはメタ的な視点を提示するサプライズ(驚き)も惹起しているのだ!
このリュウ隊員の発言の後ろでヒヤヒヤしているテッペイとコノミの両隊員が対比としてもイイ味を出しているが(笑)、もはやGUYSの恒例行事となった作戦室での大ゲンカが今回も勃発!!
今回も殴り合う寸前で抑えられたが、アライソは
「隊長さんよ〜、威勢のいい若いのを一匹借りるぜ」
とミライを連れて出ていった。
そして、リュウはサコミズ隊長から、隊員たちの命を救うためにガンフェニックスに、宇宙人の残骸円盤由来の超絶科学・メテオールを搭載するのを決定したのが、実はアライソ本人であったことを知る。なんと、「メテオールなんて得体の知れねえもんに頼らなきゃ、戦えねえってのか!」と叫んでいた当のアライソ自身の進言によるものだったのである。
アライソをただの昔気質(むかしかたぎ)の精神主義者ではなく、メテオール全肯定でもなく全否定でもないその中間の第3の道として、危険の域には達しない時間制限の範疇でならばプラクティカル(実用的)に使用するという選択は、進みすぎた科学は危険だから永久に放棄しろ! というような、むかしからよくある陳腐な結論の作品群よりも、実に合理的だし納得もいく作劇である。
『ウルトラマンコスモス』(01年)第61話『禁断の兵器』では、第38話『オヤジ星人』に登場したベリル星人の侵略ロボット・ヘルズキングの残骸を回収して、劇中内での悪役であり競合組織である防衛隊が改造した対カオスヘッダー殲滅兵器・ヘルズキング改が登場した。まさに『メビウス』でいうところの超絶科学・メテオールにあたる存在である。
しかし、主人公チームである怪獣保護組織・チームEYES(アイズ)のメンバーが、ヘルズキングを地球人の兵器として転用することの一理を認めたその上で、その危険性を指摘する作劇ならばともかく、その一理はあることを一顧だにも認めずに「悪魔の兵器」ばりに全否定ばかりしているような作劇は、子供番組にはある程度そういう傾向の作劇があるのは必要悪とはいえ、やはり上手くはないよねぇ……
初代『ウルトラマン』の防衛組織・科学特捜隊の戦闘機・ジェットビートルの模型を手にするアライソ……
ミライ「これ?」
アライソ「ジェットビートル。40年前、オレが実戦整備について はじめてさわらせてもらったのがこいつだった。ホークに、アロー、ファルコン、コンドル、ハイヤー、みんなオレの子供みてえなもんだ。たしかによく落っこったけどよぅ。けど、みんな生きて帰ってきたじゃねぇか。帰ってこさしたじゃねぇか。メテオールだろうがなんだろうが生身の人間を乗せるからには、目的はひとつよ」
・ホーク ――『ウルトラセブン』(67年)の戦闘機・ウルトラホーク1号~3号――
・アロー ――『帰ってきたウルトラマン』(71年)の戦闘機・マットアロー1号~2号やスペースアロー――
・ファルコン ――『ウルトラマンA(エース)』(72年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070429/p1)の戦闘機・タックファルコン――
・コンドル ――『ウルトラマンタロウ』(73年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20071202/p1)の戦闘機・コンドル1号――
・ハイヤー ――『ウルトラマン80(エイティ)』(80年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971121/p1)の戦闘機・スカイハイヤー――
かつての防衛組織が所有していたスーパーメカの写真パネルを前に、アライソは感慨深くこう語るのだ。なんと、彼は歴代の防衛組織に継続して所属し、メカのメンテナンスを一貫して手掛けてきた人物だったのである!
そして、かつての戦闘機がよく撃墜されても、搭乗していた隊員たちが死ななかったのは、レギュラーの登場人物たちを殺してしまうワケにはいかないという作劇上のご都合主義が真相なのだが(笑)、もちろんそんなことを劇中で云うワケにはいかない。
ここでは敵怪獣の攻撃を受けても即座に爆発しなかった機体のちょっとした強靭さや、致命傷の直撃を即座にかろうじて回避できた動体性能は、アライソたちメカニックマンによる日々の整備・メンテナンスの成果であったのかもしれない! とも取れる一言のセリフに集約してみせる上手さ!
昭和の人気怪獣やウルトラ兄弟の再登場ばかりではなく、ここまでして過去のシリーズとの関連性を強調しつつも、それらに良い意味でのSF合理的な意味合いを持たせて、過去シリーズの戦闘機のひんぱんな墜落ひとつを取っても、全面擁護はできなくとも好意的に解釈して少しでも擁護・正当化してみせよう! とその新たな意味合いで過去シリーズの一連の描写をも上書きしてくる高等描写についても、長年のマニアとしては嬉しくなるばかりである!
いや、ちょっと待てよ? アライソは『ウルトラマンレオ』(74年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090405/p1)の防衛組織・MAC(マック)では整備を担当していなかったのであろうか? 思えばMACの基地は日本上空400kmに固定された巨大な宇宙ステーションだった。いかにも昔気質なアライソのことだ。「オレは地に足のついた仕事がやりてえんだ。宇宙にプカプカ浮いてなんかいられるか!」などと誘いを断ったのだろうか?(笑)
結果論であるがそれは正解だった。なにせMAC基地は『レオ』第40話『恐怖の円盤生物シリーズ! MAC全滅! 円盤は生物だった!』において、脱出したウルトラマンレオことおおとりゲン以外の隊員もろとも円盤生物シルバーブルーメに溶かされてしまったのだから。もしアライソがMACでも整備をやっていたなら、ガンフェニックスの整備責任者になることもなかっただろう……
まぁ、そういう劇中内での歴史的な事実描写でもなく、アライソが云い忘れなどではなく、MACの戦闘機の機体整備をホントウに担当していなかったのだとしたら、今回のエピソードにおける「オレたちが額に汗して機体を完璧に整備するのは、生きて帰ってこさせるためなんだ……」のセリフ&テーマが、無名隊員たちが地上戦でも空中戦でも死にまくるMACに関するかぎりはまったく当てはまらないから(笑)、脚本家があえて除外をしたのだろう。
もちろんこれは、『レオ』という作品とMACの隊員描写への批判ではない。『レオ』のオープニングテロップを観ても民間人レギュラーが先に来てMAC隊員たちが後に配置されているように、『レオ』ではMAC隊員たちのキャラ描写・キャラ確立に失敗したのではなく、意図的・確信犯的に「その他大勢」として描いていたのは明白だったからだ。それにホントウにリアルに考えれば怪獣との戦闘で、あるいは現実世界でもあれだけデリケートでちょっとしたアクシデントでもアッという間に墜落してしまう飛行機という存在が、敵怪獣の攻撃を受ければ脱出する間もなく墜落してしまって死者が出てしまう方が真の意味ではリアルなのである。
それは子供向け作品としては適切ではないかもしれないという留保はつけるのだが、そのへんの機微が長じてから『レオ』を再鑑賞するとよくわかり、その渋いリアルさがたまらなくなってきて、近年に至って『レオ』がカルト的な人気と評価を高めつつある一因でもあるのだろう。さりげにモロボシ・ダン隊長が多摩川ぞいで無名隊員の殉職跡に献花する第15話『くらやみ殺法! 闘魂の一撃』のラストシーンなどは渋くてカッコよくてたまらない! 今時の作品でもこういうことをやってくれ! とはもちろん単純には云えないのだが(汗)、『レオ』のそういった美点(第1期ウルトラ至上主義者たちにはまったく無視されてきた点)については指摘をしておきたい。
とはいえ、リアルではないとしても、子供目線で観れば、戦闘機が攻撃を受けても墜落して爆発などはせず地表に不時着させるなどして、ヒーローVS怪獣バトルの前座にすぎないのだとしても、防衛組織や戦闘機のその弱さを少しでも減らしていくことは、子供向けエンタメ作品としての憧れの対象であるスーパーメカの描写としては重要なことなので、その意味では第2期ウルトラにおける戦闘機の撃墜描写の多さには問題はあったのだ……
「オレたちが額に汗して機体を完璧に整備するのは、生きて帰ってこさせるためなんだ……」
リュウが慕うセリザワ前隊長は、かつてはアライソの下でメテオール試験機のテストパイロットに就いていた。しかし、失敗の連続で結局、メテオールは旧GUYSの戦闘機・ガンクルセイダーには採用されなかった。けれど、第1話の冒頭での成層圏における戦闘で宇宙怪獣ディノゾールにガンクルセイダーが撃墜されて、生死不明となってしまったセリザワ前隊長のことを「オレはあいつを救えなかった……」と悔やんだアライソにより、メテオールをガンフェニックスに搭載することが決定したのであったというのだ!
ここでもアライソの言動やその動機に、どうせならば劇中内での事象をひもづけようということで、直接の共演描写はないけれどもセリザワ前隊長との接点・因縁をつくることで、アライソのみならずセリザワ前隊長の人物像のちょっとした補強までもができている。
――加えて、これらのシーンで歴代戦闘機ジェットビートル・ウルトラホーク1号・マットアロー1号・タックアロー・スカイハイヤー(?)のバンクフィルムによる撃墜静止画が挿入されているが、イメージ映像ではなく劇中内での事実という設定の描写であるならば、セリザワ前隊長が搭乗したテスト機には往年の歴代シリーズの機体も採用されていたということか!?――
アライソはミライを連れて、なぜかニューヨークのGUYS本部に飛ぶ。その留守を見計らい、リュウはテッペイをお供にガタガタになったガンフェニックスに整備を施していた。
「冗談じゃねぇ! オレたちは今までとっちゃんにおんぶにだっこで戦ってたっていうのかよ! 冗談じゃねえ! 冗談じゃねえぞ! オレたちは自分の力で飛べるんだ! 戦えんだよ! そいつをオレが証明してやる! 証明してやるぜ!!」
グロマイトが再び出現した! 直撃を受け、窓ガラスが粉々に吹っ飛び、炎上するビル!
リュウがガンウインガーに、ジョージとマリナがガンローダーに乗って出撃する!
彼らはグロマイトに火球を大量に吐かせて弾切れにさせ、奴がエネルギーを吸収する隙を見計らい、鎧の隙間をねらう作戦を敢行する!
そのためには禁じられたマニューバモードを使うしかない。
だが、リュウは……
「こんな奴、クルーズモード(通常形態)で充分だ!!」
「うぉ〜!」とおたけびをあげ、ほとんど特攻に近い無茶な攻撃でグロマイトに突撃していくガンウインガー!
マニューバモードを使用せずとも機体が分解してしまうような勢いだ!
グロマイトのプラズマ火球が容赦なくリュウを襲った!
まさにそのとき、天空からビーム攻撃が放たれ、リュウをねらったプラズマ火球を撃ち落とした! いったい何者だ!?
それはGUYS最新鋭の高速追跡戦闘機・ガンブースターだった! アライソとミライを乗せ、ニューヨークのGUYS総本部から救援に駆けつけたのである! リュウたちの攻撃の最中、宇宙空間から見た地球のニューヨークのあたりから東京へと、猛烈なスピードで飛ぶ光の正体はまさにこれだったのである!(なんちゅうカッコいい演出!)
そして、ガンウインガー・ガンローダー・ガンブースターは各機の共通型コクピット部分のガンスピーダーを分離させ、相互に入れ換えて合体することが可能なのだ! ガンウインガーのリュウをガンブースターに移すために、シミュレーションの成果を見せるときが来た!
「行くぞ、みんな〜~~っ!!」
「G・I・G!!!」
往年の合体ロボットアニメ調の三分割の画面に一層、臨場感が増す!
リュウ「ガンスピーダー・ワン、リジェクション(分離)!!」
ジョージ「ガンスピーダー・ツー、リジェクション!!」
ミライ「ガンスピーダー・EX(エーエックス)、リジェクション!!」
おもいっきりの大声で叫んでいるあたりは、実は昭和のウルトラシリーズの防衛隊っぽくはない。まるで往年の大人気作品だった合体ロボットアニメ『ゲッターロボ』(74年)や『超電磁ロボ コン・バトラーV(ブイ)』(76年)を思わせるスーパーロボットアニメ的な熱血演出なのである。しかし、どうせ戦闘を描いた子供向け娯楽活劇番組なのだから、今後のウルトラシリーズもこーいう往年の合体ロボットアニメ調な熱血絶叫演出で盛り上げた方がいいと思うぞ!(笑)
ジョージ「さあ、空中大サーカスの始まりだ!」
リュウ「ジョージ、ガンウインガーをこわすんじゃねえぞ!」
ジョージ「オレを誰だと思ってる! ハデに決めてやるぜ!」
空中大サーカス、もとい板野サーカス(笑)の異名を持つアニメーター・板野一郎のCG特撮演出により、ガンウインガー・ガンローダー・ガンブースター、そして3つのガンスピーダーが華麗に、そして猛スピードで宙を舞う!
ジョージ「リュウ、気流が不安定だ! 気をつけろ!」
リュウ「わかってるって。まかせとけって」
サコミズ隊長(作戦室からの通信)「リュウ! ガンブースターの機体感覚は、ガンウインガーほど甘くない! のぼせるな!!」
リュウ「……GIG!」
なんとあの温厚なサコミズ隊長が『メビウス』という作品ではじめて声を荒らげた! それはサコミズがただの昼行燈(ひるあんどん)や温厚なだけではない、やるときはやる命令力・人格力・人間力をもったパーソナリティーであることをも示した、ここぞとばかりの肉付けでもあるのだ!
ガンスピーダー・EXで地上に降り立ったミライは、ウルトラマンメビウスに変身する!!
再度リュウを襲うプラズマ火球!
宙を回転して地上に舞い降りたメビウスがグロマイトにチョップをくらわす!
メビウスにプラズマ火球の連続発射を浴びせるグロマイト!
これを連続側転でかわしたメビウスはグロマイトの首に再度チョップを浴びせ、回し蹴りをくらわした!
ガンブースターへの合体がなかなかうまくいかない、リュウが乗るガンスピーダー! リュウ隊員の心臓の鼓動のみが鳴る演出が緊迫感を助長する!
アライソ「小僧、アセるな!」
そして、ようやく見事にガンブースターのコクピット部分への合体に成功するガンスピーダー・ワン!
メテオールを起動させたガンブースターは、その場でグルグル超高速で回転・自転して黄金色に輝くバリヤーを張りめぐらして猛スピードで宙を舞い、リュウの
「ガトリング・デトネイター!」
の叫びとともに、何条もの光線をグロマイトに浴びせかけた!
グロマイトの背中が連続爆発を起こし、大きく燃え上がる!
そして、メビウスは左腕のメビウスブレスの周囲に輝く「無限大マーク」のかたちをした光のエネルギーを集積し、グロマイトに接近、腹に猛烈なパンチを見舞った!
グロマイトは炎の玉となって大きく膨張し、徐々に姿を消していく!
そして……
アライソ「命、ひろえたな」
イザとなったらメビウスたちを助けようとしていたのに、メビウスとGUYSの大活躍でウルトラマンヒカリへと変身する必要もなくなり、自身の変身道具・ナイトブレスを見つめて、そしてガンブースターを見上げるセリザワ前隊長。かつての部下であるリュウ隊員の頼もしい成長ぶりに、彼もまた感慨深く思わずにはいられなかったことだろう……
勝利の歓喜に沸く作戦室に「ガンフェニックスをいじくったスカタンは、ドコのドイツだ!!」とアライソが怒鳴り込み、またもやリュウと一戦をはじめてしまうという微笑ましいオチでこのエピソードは締めくくられる……
アライソ整備長を演じたのは、本当によくぞ出てくれましたとしか云いようがない綿引勝彦(わたびき・かつひこ)である。氏はNHKと円谷プロの共同製作の生物彗星WoO(ウー)』(06年)にも出演していた縁がある――まぁ同作は円谷プロ主導ではなくNHKのドラマ制作部署の方から働きかけたのだろうと憶測するのだが・笑――。
いずれにせよ、久々登場のゾフィー、新キャラのアライソ、新メカのガンブースターを次々に登場させ、あとはただひたすら画面の勢いだけで魅せるという、「本来のヒーロー作品ってこういうものですよ〜!」と力強く主張するかのような作品でもある。
そして、続く第16話『宇宙の剣豪』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060928/p1)もまた、テーマやストーリーなんぞロクになくとも、ひたすら勢いに任せて突っ走れば、立派に面白いヒーロー作品をつくることができることを証明した作品なのである!
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http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20170603/p1
綿引勝彦・追悼で、『メビウス』#15「不死鳥の砦」評
#ウルトラマンメビウス #ゾフィー #綿引勝彦 #アライソ整備長 #ウルトラマンヒカリ
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