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ウルトラマンメビウス1話「運命の出逢い」 〜感激!感涙!大傑作!

『ウルトラマンメビウス』2話「俺達の翼」 ~リアリズムか? ダイナミズムか?
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『ウルトラマンメビウス』評 〜全記事見出し一覧
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「熱烈歓迎! 『ウルトラマンメビウス』」

(『ウルトラマンメビウス』序盤評・短期集中連載!)
(文・久保達也)
(2006年4月15日脱稿)


 ついに、ついに、ついに! 昭和の歴代ウルトラ兄弟が登場する作品が四半世紀ぶりの復活を遂げた!


 ウルトラシリーズの元祖である『ウルトラQ』(66年)から、その直続作である初代『ウルトラマン』(66年)~『ウルトラマン80(エイティ)』(80年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971121/p1)までの、いわゆる昭和のウルトラシリーズに直結する正統続編としての、その世界観での四半世紀後の世界を描く新作『ウルトラマン』がついにテレビで復活を遂げる日が到来したのだ!


 1970年代末期にはじまる本邦初の青少年マニア向けのムック『ファンスティックコレクションNo.10 空想特撮映像のすばらしき世界 ウルトラマンPART2』(朝日ソノラマ・78年12月1日発行)では、1960年代後半に放映された『ウルトラQ』・初代『ウルトラマン』・『ウルトラセブン』(67年)などの第1期ウルトラシリーズを至上のものとして、1970年代前半に放映された第2期ウルトラシリーズこと、いわゆる『帰ってきたウルトラマン』(71年)・『ウルトラマンA(エース)』(72年)・『ウルトラマンタロウ』(73年)・『ウルトラマンレオ』(74年)を劣った作品として、ひいては「ウルトラ兄弟」や「ウルトラの国」などといったウルトラマンの兄弟化やファミリー化などはもっての他! ヒーローからその神秘性を奪うものだとして陰に陽に否定をする記述がなされていたのだ。


 そして、この記述が発端となって、当時の映画マニア間での続編やPART2やシリーズ化は「悪」である! という風潮ともあいまって、第2期ウルトラシリーズは20数年間にもわたって酷評に見舞われることとなってしまったのであった(汗)。


 もちろん、特撮評論同人界では早くも80年代前中盤には、第2期~第3期ウルトラシリーズ再評価の機運が高まり、歴代先輩ウルトラ兄弟客演のカタルシスやメリットなども語られて、そのような評論活動が80~90年代を通じて活発化もしていった。筆者もそのようなムーブメントの影響を受けたひとりでもある。


 しかし……。70年代末期~80年前後におけるマニア論壇草創期の時代とは異なり、すでに商業ライターと特撮評論同人界隈は分離して没交渉となっており、第2期ウルトラ再評価の研究成果が特撮マニア向けの商業誌などに還流することなどはほぼ皆無といってよいほどになかったのであった……(爆)


 巨悪に対しては先輩ウルトラ兄弟たちが助っ人参戦して、単なるルーティンバトルではなくスケールの大きい超バトルもパターン破り的に提示して、子供たちや大きなお友達をも興奮のルツボに叩き込んでほしい! そんな希望は90年代後半にテレビのウルトラシリーズが再開されてもいつまで経っても果たされることがなく、第2期ウルトラシリーズ再評価運動に邁進してきた我々のような存在は無力感・徒労感・不全感にさいなまれて、フラストレーション・欲求不満を内々に溜め込んでいったのであった……



*昔子供のころにウルトラマンを観ていた、今の子供たちのパパ世代にも楽しめるような親子で楽しめる作品を期待しています! うちの家族もパパ&息子が毎週『ウルトラマンマックス』(05年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060311/p1)を観ては親子の会話も広がっています!


*子供でもわかるような単純なストーリー展開で進めて欲しいと思います。


ウルトラマン全員集合のような番組が観たい。


*歴代ウルトラマンの復活を望みます(昭和のウルトラマン)。


*特別企画で今まで出たウルトラマンが出てくる映画を観てみたい。


*5歳の子供は『ウルトラマンタロウ』(73年)が一番好きで、次に『ウルトラセブン』(67年)、『ウルトラマンA(エース)』(72年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070430/p1)など、昔のビデオを好んで観ている。これは内容がわかりやすく割と単純だし、子供が準主役級で出てくるからです。一方8歳の子供はもうあまり興味を持たない。原点に戻ってそこに新しい今風の技法を取り入れて、幼稚園児をターゲットに展開してみるとか、歴代のウルトラマンを総出演させたりしてほしい。


*今の『マックス』のように昔の怪獣がどんどん出てくるのがいいです。また他の以前のウルトラ戦士が助けに来てくれたり、みんなでパーティーをしたりと、意外なお話も入れてほしいです。



 『TFC.3(新・円谷プロファンクラブ3号)』(06年4月発行)に寄せられた「40周年を迎える“ウルトラマンシリーズ”の展開に、皆さんが期待していること」の中から代表的な声を挙げてみた。もちろん今回の『ウルトラマンメビウス』(06年)の方向性に合致するような投稿を優先して掲載したのだということは間違いがないところなのだろうが(笑)、歴代ウルトラマン再登場を望む声は筆者の予想をはるかに上回るほどに多かったのだ。


 「ウルトラ兄弟」の否定、「シリーズ化は悪」であるという70年代末期に特撮マニア間で生じたドグマによって、『ウルトラマンティガ』(96年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19961201/p1)以降のウルトラシリーズでは、昭和のウルトラ兄弟を再登場させたり昭和のウルトラシリーズの世界観と直結させることを、円谷プロも大方の特撮マニアたちの大勢も頑として拒絶し続けてきた。
 それがひいては「ウルトラ」ブランド失墜の要因となったと筆者は考える者なのだが、今後の『メビウス』の展開と世間に与える影響度の大小を測りつつ、それについては機会を改めて追い追い語っていきたい。


 昭和ウルトラシリーズ直系続編である『ウルトラマンメビウス』の企画が、いかにもマニア向けのハードでシリアス志向だった前々作『ウルトラマンネクサス』(04年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20041108/p1)の視聴率的・商業的大敗ゆえのものなのかはわからない。
 『ネクサス』放映当時でも、児童誌『てれびくん』や『テレビマガジン』のカラーグラビアで展開されていた『バトルオブドリームNOA(ノア)』では、ウルトラマンネクサスの真の正体であるウルトラマンノアがパラレルワールド・平行宇宙を何度も越境して昭和ウルトラ世界でウルトラ兄弟たちとも共闘していたことから、最初から「ウルトラマンシリーズ誕生40周年記念」として昭和のウルトラシリーズを復活させるつもりであった可能性はあるのだ。


 本作『ウルトラマンメビウス』のメインライターを務めることになった、『百獣戦隊ガオレンジャー』(00年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20011113/p1)でもサブライターとして戦闘メインの熱血温度が高いエピソードをあまた手掛けてきた赤星政尚(あかほし・まさなお)は、濃ゆい特撮マニア諸氏であればご存じの通り、第1期ウルトラシリーズ至上主義の風潮が色濃い特撮マスコミ媒体においては珍しく、1990年代前半から第2期・第3期ウルトラシリーズに対して好意的・再評価的な言及をしたためてきた御仁でもある。
 製作会社のカラーや傾向などといったものがまったくないとは云わないが、それよりも才能・熱気・プレゼン力などもある意欲のある個人の力こそが重要なのである。「こういう作品をつくりたい! つくらせてくれ!」という個人のパワーによって作品の企画も決定されていくものなのだ。そう考えれば、実質的には赤星政尚個人による尽力が、本作の企画の成立においては最大のものであった可能性すらあるのだ。


 とにもかくにも、「ウルトラマンシリーズ誕生40周年記念作品」と銘打たれた『ウルトラマンメビウス』は、昭和のウルトラシリーズの直系続編として誕生することが事前に告知されたのであるが、従来のドグマとはまったく真逆なつくりとなった『メビウス』に対して意表外にも特撮マニア諸氏からの反発の声もあまり聞かれることはなかったのであった――むろん皆無ではないのだが、それらはごくごく少数に過ぎなかったのである――。むしろ、大カンゲイの空気すら流れている…… な、なんなのだ!? この空気の大豹変ぶりは!?


 もちろん今でも相応にはいるだろう第1期ウルトラシリーズ至上主義者たちにとっては、「ウルトラ兄弟」や「ウルトラの国」の設定を全肯定してみせる『メビウス』の企画に対して快くは思っていないことだろう。しかし、世代交代によって彼らが少数派となってきた今となっては、特撮マニアの大勢も実は昭和の「ウルトラ兄弟」の復活を待ち望んでいる人間の方が多数派になっていたということなのだろうか!?


 それにしても今までなぜにそのような声が表面化して来なかったのであろうか? やや腑(ふ)に落ちないものの、おそらくは自身のそのような感慨を、明晰明快にしてキャッチーなワンフレーズとして言語化ができるような理論家タイプのオタクという存在は、やはり極少だったということなのだろうか? とはいえ、我が身の長年にわたるマニア活動の非力さについても恥じ入るばかりではあるのだが……(汗)――製作会社や特撮マスコミや特撮マニアたちを批判するばかりでもいけないのだ。非力な自分に対する自己批判こそが真に必要なものでもあるのだ――



 そしてはじまった『ウルトラマンメビウス』第1話『運命の出逢い』…… 同エピソードを観るかぎりでは、「40周年を迎える“ウルトラマンシリーズ”の展開に、皆さんが期待していること」が反映されすぎるくらいに反映されていた!


 これだ! 筆者個人が子供のころから長年観たいと思っていたのは、こんな新作『ウルトラマン』なんだよ! いやぁ、ウルトラシリーズを卒業せずに観つづけてきてホントによかった!(笑)



 黄金色に輝くさざなみ模様が揺れる、上も下もないような神秘的な映像空間が冒頭で映し出される。新たなウルトラマンの物語が今まさに開幕のときを迎えようとしているのだ!


 M78星雲にあるウルトラの星では、新たなウルトラの戦士・ウルトラマンメビウスが地球に送りこまれようとしていた。


 オオッ! そこにいるのは、あのウルトラ兄弟たちの義父である、側頭部から巨大な両ヅノを生やした「ウルトラの父」の勇姿ではないか!?


 『ウルトラマン80(エイティ)』(80年)第38話『大空にひびけウルトラの父の声』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20110115/p1)以来、ブラウン管(笑)にその勇姿を見せるのは実に25年と4ヶ月ぶりのことになるのだ!


「今より君は、〈ウルトラマン〉だ」
「〈ウルトラマン〉……」
「あの星では我々をそう呼ぶ。聞いているだろう、兄弟たちから」


 〈ウルトラマン〉という名称は地球人側からの称号であって、ウルトラ一族側での自称ではないとウルトラの父は語っているのだ。それはそれでSF的な価値相対主義のハイブロウさはあるのだが、この設定を最後まで徹底するのはムズカしいのではなかろうか?(笑)


 そして、各ウルトラ戦士ご本人の登場ではなく、セリフに応じた説明としてのイメージ映像なのかもしれないが、ウルトラ兄弟の長男・ゾフィーが、初代ウルトラマンが、ウルトラセブンが、ウルトラマンジャック帰ってきたウルトラマン)が、ウルトラマンエースが、ついにテレビシリーズの中で何十年ぶりかで姿を見せるのだ!


 オオッ! ウルトラマンレオウルトラマンエイティまで姿を見せており、レオの弟・アストラやウルトラの星の王女さま・ユリアンまで揃っているぞっ!


 ウルトラマンタロウの姿が見えないのだが、タロウはその看板作品の最終回で地球に残ったので、ウルトラの星にはいないのだろうか?(汗)――と思って、ネットを検索してみたら、レオ側の5人の列の一番奥にウルトラマンタロウも小さく写っていたそうだ。ウルトラ兄弟No.1人気を誇るタロウを目立たなくしてレオの方を前面に出すとは、コレはマニア視聴者たちに不毛な深読み(笑)をさせようとするフェイク演出なのであろうか?――


 ゾフィー〜エースらウルトラ5兄弟がヨコ並びに勢揃いした姿をヨコから捉えた映像には、初代マンの掛け声であるバンク音声で「シュワッ!」。レオ〜ユリアン・タロウらウルトラ5大戦士がヨコ並びに勢揃いした姿をヨコから捉えた映像には、レオ(おおとりゲン=真夏竜)の掛け声であるバンク音声で「イヤッ!」なる、彼らの正しい掛け声も流される! コレだよ、コレ! 幼児はともかくウルトラシリーズレンタルビデオなどで大量に見てきた児童や年長マニアたちであれば、その掛け声がオリジナルとは異なることには非常なる違和感をいだくものなのだ。だから、このへんも正しい掛け声を使用するのにしくはないのである!


 今まさに、ウルトラの星では新ウルトラ戦士に対して地球防衛の任務がウルトラの父から与えられているのだ。コレは70年代前半の小学館学年誌に新作『ウルトラマン』が放映開始される度に掲載されていたウルトラシリーズ特集記事などで表現されてきた「挿絵」による拝命式や、学年誌に連載されていた内山まもる先生による『ウルトラマンレオ』コミカライズ第1話などでウルトラの父からウルトラマンタロウの後任としてウルトラセブンが地球防衛の任に再拝命されていたシーンなどが、30数年の歳月を経て映像本編でもついに再現がなされたことをも意味しているのだ!――マニア上がりの赤星政尚先生がぜひとも実現してみたかったシーンでもあるのだろう・笑――


「逢えるのですね。あの星の〈知性体〉に」
「〈人間〉たちにな。彼らとふれあうことで、君も兄弟たちのように大切なものを手に入れると、私は信じている」
「大切なもの?」
「君自身にしか、見つけられないことだ」


 ウルトラの父はそのマントを大きく翻して、『ウルトラマンA』第27話『奇跡! ウルトラの父』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061105/p1)でウルトラ5兄弟を救援するために初めて地球に到来した際に持参した「鉄アレイ」状の万能兵器である、手にしていた「ウルトラアレイ」を光らせて新たなウルトラ戦士に浴びせかけた!


 すると、メビウスの左腕甲には変身道具や武器にもなるアイテム・メビウスブレスが出現した!


 ここでポイントとなるのが〈人間〉という表現である。〈宇宙人〉という用語とも対にすることができるSF的表現ともいえる〈地球人〉という用語は使ってはいないのだ! ここでは、あくまでも〈人間〉という表現を用いているのである!
 そして、「〈人間〉とふれあうことで、大切なものを手に入れる」のだとウルトラの父は発言した。むろん「大切なもの」とは単なる「物理的」なアイテムなどでは絶対にないだろう。「大切なもの」とは「物理的」なものではなく「精神的」なもの。もっと云ってしまえば、それは「道徳的」なものや「心理的な成長」や「心の大切さ」といったものになるのであろうことは、多少なりとも変身ヒーローものや少年漫画やテレビアニメなどを観てきたトオが経ったマニア諸氏であれば容易に推測がつくハズだ。


 そう、単なる〈地球人〉ではなく〈人間〉とあえて呼称させていることにも、本作『メビウス』のドラマ面・テーマ面での〈ヒューマン〉なねらいも見て取れるのだ!


「わかりました! 行きます! ウルトラの父
「若き勇者よ、行くがよい。かけがえのない星、地球へ!」


 新たなる戦士・ウルトラマンメビウスは宇宙警備隊の大隊長ウルトラの父から授けられたメビウスブレスを光らせて、我らが地球へと向かうことになったのだ!


 そして、明朗ではあるのだけれど、アナログなゆらぎも感じさせる「フォッ、フォッ~~」という金管楽器の響きや「キーン、コーン」という金属打楽器の響きなども存在することで、さわやかだけれどもエモーショナルかつ荘厳さをも感じさせてくれる主題歌『ウルトラマンメビウス』をバックにオープニング映像が流れ出す……



 いきなり冒頭がこのような魅惑的で作品世界のバックボーンやスケールの広大さをも感じさせてくれるような神秘的なシーンなのである! これでもう男の子たちと、昭和のウルトラ作品をかつて観ていたパパたちは見事に釘づけ状態となるだろう! しかも、ウルトラの父の威厳と父性にあふれるシブい声を演じているのは、あの名優・西岡徳馬なのだっ! よくぞ引っ張りだしてくれたっ!


 90年代後半からの平成ウルトラシリーズをリアルタイムで観ていた子供たちの多くだって、児童はともかく幼児であれば平成ウルトラと昭和ウルトラが異なる世界観であることなどはわかってはいなかったことであろうから(笑)、書籍・雑誌・玩具・ビデオ・イベントなどで数多く目にしてきた歴代の昭和のウルトラ兄弟たちが共演してくれることをきっと夢見ていたハズであるだろうし!


 この名冒頭シーンは、往年の東映特撮『仮面の忍者 赤影』(67年)や『キャプテンウルトラ』(67年)、はたまた東宝の特撮巨大ヒーロー『流星人間ゾーン』(73年)やリアルロボットアニメの祖『機動戦士ガンダム』(79年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19990801/p1)における各話の冒頭のように、アバンタイトルとして毎回流してほしいなぁ。ウルトラ兄弟のゲスト出演も実際にはそんなにしょっちゅうはできないだろうが、これさえあれば作品世界の基本設定の説明にもなるし、ウルトラの父ウルトラ兄弟の勇姿も毎週拝めるのだから!(笑)



 地球の日本のたぶん毎度おなじみの東京(笑)…… 赤い風船を手にして歩いている可憐な幼女がいた。
 だが、大事そうにしていた風船がふと幼女の手から離れてしまって、空高く舞い上がっていってしまった。幼女は残念そうに空を見上げてアキラめてトボトボと歩いていく……


 だが、ふと気がつくと空に舞い上がったハズの風船を手にする、優しい微笑みを浮かべる若者が立っていた。


 もちろん常人であれば、空高く舞い上がった風船をゲットできる人間なぞは存在はしない。このような超常的なふるまいは、ウルトラマンと合体している地球人や、ウルトラマンが地球人に逆変身している存在にしかできないような所業なのだ。そう、そんな所業ができるのは、その正体がウルトラマンであるような存在でしかアリエナイ!
 テレビの前の視聴者たちは、この彼こそがウルトラの星を飛び立った新たなる戦士・ウルトラマンメビウスであることに、クドクドとした説明的なナレーションは一切なしでもすぐに気付いたことだろう。なんともセンスがよくてロマンチックなシーンでもある。


 幼女の目線に合わせて膝をついて、「ハイ」と風船を手渡すGジャン姿の若者……


 相手が物事の理非をまだまだわかってはいなさそうな、彼の行為を疑うこともなさそうな幼女の年齢であるからこそ成り立つ善行ではある。このような行為を地球人類全70億人に対して平等にはできないことを思えば、恣意的で不平等な善行であるとの批判も論理的には可能ではあるだろう(笑)。しかし、全人類を一挙に同時に救うようなことも実際には不可能なことではあるのだ(汗)。もちろんだからといって、近場で目についた小さな不幸を、もろもろを勘案して自身の正体もバレないであろうと判断ができれば、ちょっとした人助けもしてみせる……
 そのような行為は云い出してしまえば、不公平なものなのかもしれないのだ。しかし、そのような批判は云いがかりといえば云いがかり、融通の利かない行き過ぎた形式主義官僚主義でもあるのだ(笑)。ウルトラマンメビウスが逆変身した姿でもあるこのGジャン姿の青年の言動は、融通も利いており当意即妙ですらあり、実に気が利いている行為ではなかろうか!? たとえそれが大局から観れば不公平な行為だったのだとしても、これくらいの小さな善行程度であるのならば誰にも大きな迷惑はかかっていないのだから、むしろ積極的に肯定してあげてもよいくらいではなかろうか!?(笑)


 これらの一連の場面の直前には、宇宙空間 ⇒ 地球 ⇒ 日本 ⇒ 団地 というズームアップしていく映像があった。だからこそ、赤い風船を取ってあげた若者が今まさに大宇宙から地球に到来してきたウルトラマンメビウスなのだろう…… と視聴者に自然に思わせてくれるワケであり、なかなかにステキな演出でもあった。


 そして、初代ウルトラマンウルトラマンジャック帰ってきたウルトラマン)・ウルトラマンエースウルトラマンタロウのように、各々の看板作品の第1話で特定の地球人の青年たちと合体する描写を挟むことなく、ウルトラマンメビウスは最初から人間の若者の姿に逆変身して登場しているのだ。
 これが意味するところは、ウルトラマンメビウスが、ウルトラセブンウルトラマンレオウルトラマンエイティ、あるいは、『ウルトラマン80』第49話『80最大のピンチ! 変身! 女ウルトラマン』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20210307/p1)でその勇姿を初めて見せたウルトラの星の王女さま・ユリアンウルトラマンゼアスなどのように、ウルトラマンと地球人とが合体してふたつの人格がひとつの肉体の中に一心同体として同居しているのではない! メビウスが地球にとどまるための地球人の青年の姿は、あくまでもメビウス個人が逆変身した姿だということをも瞬時に二重で意味させてもいるのだ。


「ありがとう!」


 お礼を云って去っていく幼女……


 若者も思わずつぶやく。


「ありがとう……」


 月刊ホビー誌『ハイパーホビー』06年5月号(徳間書店ASIN:B000EXZLT8)の別冊付録『ウルトラマンメビウス DOCUMENT MEBIUS』に掲載されていたインタビューでは、


「台本に1話1話、いい言葉が絶対にあるんですよ。その中でもいちばん気に入ったのが「ありがとう」って言葉だったんですよね。ミライが1話で最初に話した言葉が「ありがとう」なんです。それが自分の好きな言葉でもあったんで。普通の言葉なんですけど、最近の日本人って「ありがとう」って使わないですよね。「すいません」になっちゃう。だから、「ありがとう」って言葉の大切さを子供たちに伝えたいし、自分でも大切にしていきたいって思いました。そういう部分もぜひ観てほしいですね」


 などと、ウルトラマンメビウスこと主人公ヒビノ・ミライ隊員を演じることになった若手俳優五十嵐隼士(いがらし・しゅんじ)が語っていた。そう、この「ありがとう」というフレーズも、メビウス個人が人間体の姿で初めて発した言葉である以上は、シリーズの伏線やタテ糸となりそうな「人間の心理というものは何ぞや!?」というテーマにも昇格していきそうな意味深な言葉でもあるのだろう……



 しかし、ヒーローVS怪獣のプロレスを描く番組でもある以上は、そんな模範的な道徳的なことばかりを描いているワケにもいかない。当然のことながら、狂暴な新怪獣も登場させて、怪獣大暴れといった乱暴な場面もつくらなければならないのだ(笑)。


 漆黒の大宇宙空間を悠々と飛行してくる宇宙斬鉄怪獣ディノゾール!


 そんな未知の大怪獣が地球に近づきつつある事態をまだ知らない、本作『メビウス』における怪獣攻撃隊でもある防衛組織・CREW GUYS(クルー ガイズ)のトリヤマ補佐官は、定年を間近に控えてノンキにゴルフに興じていた。


 そこに入ってくる「宇宙怪獣襲来!!」の通信! トリヤマが思わず「(怪獣出現が)四半世紀ぶりだ」などとなげくと、マル補佐官秘書がすかさず


「正確には25年と2週間ぶりです」


とワザワザ細かく訂正を入れてくる(笑)。


 このふたりは歴代の怪獣攻撃を専門とする防衛組織の上官キャラとしてはかなり頼りなくて(笑)、いかにも喜劇的でコミカルな風貌の役者が割り当てられており、賛否はあるだろう。これはまた、『メビウス』が世界観的には昭和ウルトラシリーズの直系ではあっても、昭和ウルトラとも平成ウルトラともまた異なる前作『ウルトラマンマックス』のようなリアルというより漫画的で狂躁的で喜劇的なトーンでの演技を与えることで作品を明るくして、後述する「少林サッカー」のようにリアリティーの階梯を最初からやや下げて、作品の品位が少々下がったとしても「何でもアリ」的に作品の自由度を上げようという意図なのだとも思われる。
 まぁ、あまたの少年漫画やテレビアニメやテレビ特撮の歴史に実にくわしい博学の赤星政尚先生としては、『マックス』での喜劇的な演技トーンを引き継いだつもりではなく、現今の子供・大衆向けのエンタメ作品としては、結局はこのようなややリアリティーの階梯が低くて明朗な作品の方にこそ勝算がある! と思っての計算づくでの作劇なのではあろうけど。


 そして、25年と2週間ぶり! 『メビウス』放映開始日である2006年4月8日(土)から、25年と2週間を遡れば1981年3月25日(水)となるのだ! これは昭和ウルトラシリーズ最終作である『ウルトラマン80』第50話(最終回)『あっ! キリンも象も氷になった!!』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20210315/p1)が放映された週にあたるのだ!


 我々特撮マニア諸氏は本作『メビウス』が『80』最終回の四半世紀後の世界を描くことは事前にマニア向け雑誌やインターネットのニュースなどで知っているので、このセリフで『メビウス』が昭和ウルトラ直系の世界観であることを改めて知って狂喜する! などといったことはもちろんない。しかし、劇中でもダメ押しでそのことを強調してくれることについては、もちろん歓喜の念で感情が高揚してきてしまうのだ(笑)。


 そして、さらなるダメ押しもなされる!


「ひとつ! 腹ぺこのまま学校に行かぬこと!
 ひとつ! 天気のいい日に布団を干すこと!
 ひとつ! 道を歩くときは車に気をつけること!」


 これは、『帰ってきたウルトラマン』(71年)第51話(最終回)『ウルトラ5つの誓い』ではラストシーンでウルトラの星へと帰還するウルトラマンジャックに、そしてその最終回の後日談ともなっていた『ウルトラマンA』第10話『決戦! エース対郷秀樹』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060709/p1)においては、夜空に浮かぶ郷秀樹(=ウルトラマンジャック)の幻影に向かって、『帰ってきた』のレギュラーでもあった次郎少年が声を枯らして叫んでいた「ウルトラ5つの誓い」なのである!


 もちろん「ウルトラ5つの誓い」についての歴史的な賛否両論やその評価の変遷についても、長年のウルトラシリーズのマニアであればご存じのことだろう。『帰ってきた』最終回のラストシーンに何の伏線もなしに取って付けたように言及されたそれは、幼児はともかく小学校中学年以上の年齢で視聴すれば、いかにも浮いているように見えたものであり、説教クサくもあって子供心にも少々の反発を抱かされたものでもあるのだ(汗)。
 しかして、長じてから再鑑賞すると、その作劇的な成否はともかくとしても、「ウルトラ5つの誓い」の内容それ自体はそうそう間違ったものでもなく、高邁ではなく所帯じみたものではあったのだとしても、むしろ人間が生きていくのあたって、実に大切なことを謳(うた)っていたことに気付くようにはなっていったのだ…… とはいえ、そうは云っても、そこで謳われているテーマ的な正しさをもってして、『帰ってきた』最終回のことを作品的にも最高傑作であった! などと全肯定をする域にまで達するパワーを持つものでもない中途半端なものなのだ……


 そんな30数年にもわたる複雑デリケートな想いも、馬齢を重ねてオッサン化してくると、良くも悪くもいわゆる「思い出補正」で何もかもが「懐かしく」なってくるのだ(笑)――このへんは世代人限定のものであって普遍性はないから、若いマニア諸氏には預かり知らないことを思えば、同時に『メビウス』の弱点にもなりうる要素でもあるのだが・汗――。


 とはいえ、「ウルトラ5つの誓い」を手放しで全肯定してきたワケでもなかったハズなのに、ここで「ウルトラ5つの誓い」を真正面から復唱している姿を観せつけられてしまうと、筆者も含めた第2期ウルトラシリーズ以降の作品群をも肯定してきたような中年特撮マニア諸氏の涙腺(るいせん)は早くも決壊してしまうのであった……(笑)



 そして、その「ウルトラ5つの誓い」を叫んでいたのは、本作のレギュラーキャラクターともなるCREW GUYSのアイハラ・リュウ隊員であった。そこに偶然、通りかかった地球人の若者に変身しているメビウスもまた、リュウとともに「ウルトラ5つの誓い」を叫び出す……


「ひとつ! 他人の力をたよりにしないこと!
 ひとつ! 土の上を裸足で走りまわって遊ぶこと!」


「驚いたな。知ってるヤツがいたなんて。これ、オレの上司の口グセだぜ。小っちゃいころに友だちに教わったんだと。なんでもウルトラマンが残した言葉らしいんだけどな」
「ハイ、ボクもそう聞いてます!」


 ナンと! メビウス自身も「ウルトラ5つの誓い」を知っているのだともいう! それはもちろん、メビウス個人がウルトラの星でウルトラマンジャック本人からこの「ウルトラ5つの誓い」を聞かされていたことに他ならないのだ! そういうシーンが具体的に映像化されたワケでもないのに、このシーンは一言でそういうことをも想起させる二重の意味も兼ねているのだ! そして、「ウルトラ5つの誓い」が伝えられてきたのは「ウルトラの星」だけではない! 「地球」でも同様だったのだ! つまりは、三重の意味まで込められていることになるのである!


「(笑)。笑っちまうよなぁ。ウルトラマンなんてもうとっくに伝説だし。今やこの星は、(胸のGUYSマークを叩いて)オレたちが守ってるんだからな。ウルトラマンかぁ…… 今はどこで何やってんだろうな」


 リュウ隊員は「(オレの上司が)小っちゃいころに友だちに教わった」と云っていた。その友だちとは『帰ってきた』の次郎少年のことなのだろうか? 「オレの上司」とは後述するGUYSのセリザワ隊長のことになるのだが、彼は次郎少年の友人だったのだろうか? そうでなくても、友人の友人あたりの関係だったのだろうか? あるいは、子供たちの間では口コミで「ウルトラ5つの誓い」が相応には広まっていたのだとしても不思議ではないだろう! しょせんは虚構の物語だとはいえ、長大なシリーズを有する作品のその世界観の拡がりと実在性、虚構内リアリティーをも感じさせてくれる趣向でもあるのだ!


 そして、地球の衛星軌道上に浮遊している怪獣要撃衛星・V77(ブイ・セブンティセブン)にも脅威が迫ってくる!


――「V77」のネーミングはもちろん、『メビウス』の前史にあたる『ウルトラセブン』(67年)に登場した地球防衛軍の宇宙ステーションV1・V2・V3などの型番の発展形であることをも意味している!――


 V77によるビーム攻撃をものともせず、ディノゾールは口から突然伸ばしたムチ状にしなる細長い舌――ウラ設定では「断層スクープテイザー」と呼称!――で、V77を切り裂いて爆砕させてしまった!!


 衛星軌道上の防衛線を突破して、地球に迫り来たってくる怪獣ディノゾール!


リュウ「ついにこの日が来たか」


 地球を守るためにGUYSの戦闘機群は、地球上空の宇宙に間近い成層圏へと出撃していく!


 このGUYSの戦闘機――後日付記:名称はガンクルセイダー!――は、空飛ぶ万能戦艦をメインメカに据えていた円谷特撮『マイティジャック』およびその続編『戦え! マイティジャック』(共に68年・円谷プロ)に登場した、水空両用の戦闘攻撃機・コンクルーダーを思わせるデザインなのだが、それを模したデザインなのだろうか? 当時のミニチュアをリペイントして流用したものなのだろうか?(笑)
(後日付記:後者だそうだ。クルセイダーはキリスト教の十字軍の意味なので、イスラム圏への輸出も考えるとそのネーミングにはやや問題もありそうだけど・汗)


「あれが、怪獣か…… (内心の声:守るんだ。この星を。オレたちの手で!!)」


 リュウ隊員は自身の職務である地球防衛の使命をここで力強く誓うのだ!


セリザワ隊長「全機、攻撃開始!!」


 だが、セリザワ隊長もリュウ隊員もGUYSすべてが怪獣との実戦を経験していないためか、宇宙怪獣があまりに強すぎたためか、戦闘機群は次々に撃墜されていく……



 そのころ、地上では人々がそれぞれの平和な時を過ごしていた。


「♪ 大きなクリの〜 木の下で〜~」


 保育園で子供たちが歌う童謡の伴奏を務めている保母さんであるアマガイ・コノミ。


――この保育園の名前である「美山保育園」の美山(みやま)の名称は、『ウルトラマンレオ』(74年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090405/p1)の第4クール目である通称「円盤生物編」でのレギュラー家族であった「美山家」からの引用だろうか?――



「軽い練習なら大丈夫でしょう」


 と診断した医師に告げられ、


「グラッシャス!」


 などと、サッカー選手らしくスペイン語でやはり「ありがとう」の意味である「グラシアス」をナマらせて、喜びの声をあげているイカルガ・ジョージ青年。



「一生懸命勉強して、院長先生になるんですよ」


 と発言している母親に連れられている、医科大学に合格したばかりのクゼ・テッペイ青年。



「世界選手権も夢じゃない」


 とカドクラ監督に告げられて、歓喜の表情を浮かべている女性ロードレーサーのカザマ・マリナ。


――「カドクラ」と聞くと、我々のような長年のウルトラシリーズのマニアたちであれば、『帰ってきたウルトラマン』の初期企画『続・ウルトラマン』B案に登場する「カドクラ牧場」(『帰マン』のレギュラー家族である坂田兄妹の「坂田自動車工場」に相当する)からの引用であり、彼女のホームベースをネーミングからして「坂田自動車工場」や「カドクラ牧場」にも通じるものとして想起させたいのだろう……とピンと来るだろう・笑――



 そんな彼らの平和な時を「怪獣警報」が打ち破った!! パトカーのサイレンも鳴り響いて逃げまどいはじめる群集たち!


 コノミも保育園の子供たちを引き連れて、一部の幼児は乳母車に乗せて避難を開始する。


――このシーンも、『ウルトラマンA』第1話『輝け! ウルトラ五兄弟』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060514/p1)で、ウルトラマンエースに合体変身することになる南夕子隊員が、その前身である看護婦時代にミサイル超獣ベロクロンに遭遇して、車イスを押して患者を避難させているシーンへのオマージュも兼ねているのだろう!――


 しかし、ひとりの子供が「先生、ルミちゃんたちは?」と声をかけてくる! まだ保育園に残っている子供たちがいるらしいのだ!


――ルミちゃんも、『帰ってきたウルトラマン』のメインヒロイン・坂田アキを演じた榊原るみからの引用だろう・笑――


 子供たちを同僚に任せて保育園に戻ろうとするコノミ。だが、すでに非常線のロープが張られており、警察官に侵入を止められてしまう!


「まだ残ってるんです! あの子たちにもしものことがあったら! お願いします! 行かせてください!」


 だが、どれだけ懇願しても警官はコノミを行かせようとはしない。もちろん、万が一にでも彼女が被害に遭ってしまう可能性を考えれば、それはそれで警察官による制止にも道理はあるのだし仕方がないことでもあるのだ。


 しかし、そんな切羽詰まった人命救助を要する究極の決断を必要とする光景に気が付いて、ついつい足を止めてしまった3人の青年たちがいた。


 先のマリナとテッペイとジョージ青年だ! しかも、テッペイとジョージは初対面なのにアイ・コンタクトだけで今、お互いに考えていることは同じだ! といわんばかりに、無言の以心伝心で互いに顔を見合わせる!


 すると、ジョージがサッカーボールを警官に向かってシュートした!


 超高速で飛ばしたサッカーボールは空気との摩擦熱で火の玉となって(そんな、バカな!・笑)、警官の顔面をカスめて上空へと飛んでいき、なんとビルの壁面にメリこんでしまった!!(爆笑)


 警官がビックリしているその隙に、コノミは非常線のロープを乗り越えて侵入していく……


 このシーンを観ていて、スレまくった評論オタク諸氏であれば、このあまりに非リアルで漫画チックな描写が意味していることにも即座にピンと来たことだろう。


 そう。本作『メビウス』の世界観・リアリティーの階梯は、「リアリズム」よりも漫画アニメ的な「ダイナミズム」の方こそを優先することになるのだと! 傑作ギャグ映画『少林(しょうりん)サッカー』(01年・香港・02年日本公開)のような、宇宙人ではない地球人ではあっても現実世界ではとうてい不可能そうな非リアルで超人的な身体描写を、この作品では時には可としてしまうのだと!


 こういった非リアルな描写は、『ウルトラマンタロウ』第1話『ウルトラの母は太陽のように』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20071202/p1)での空を飛行もできる宇宙大怪獣アストロモンスの背中にしがみついたり、高空から振り落とされてゴルフ場の天井の巨大ネットに落下して何度もバウンドした末に命をとりとめる青年主人公・東光太郎(ひがし・こうたろう)や、『ウルトラマンレオ』において昭和の『仮面ライダー』シリーズの仮面ライダーたちのように空中高くトランポリン・ジャンプして空中で前転ができてしまったりする青年主人公・おおとりゲンらのアクション描写で、すでに前例があったともいえはするのだけど、これらの描写はそれまでのウルトラシリーズでは人間ドラマ部分ではそこまでの突飛なアクション描写がなかったためにやや飛躍がありすぎて少々の違和感があったのも事実ではあるのだ。


 しかし、この『メビウス』では『タロウ』や『レオ』以上に、人間ドラマ部分でも突飛なアクション描写を挿入していくのではなかろうか? そして、そのことにあまり違和感を抱かせないためにも、この第1話の早々のタイミングで「少林サッカー」(笑)をインサートすることで、有無をいわさず「この作品はこーいう描写もアリですよ~~!」と早々にマニュフェスト・宣言もしてみせているのだと見るのだが、いかがだろう?



 ビルの壁面にメリこんだサッカーボールを見て、テッペイが驚嘆の声をあげる。


「流星シュート! やっぱりイカルガ・ジョージだ!!」


 そう、彼はこの『メビウス』の作品世界でも世間に知られた有名サッカー選手であることが、このセリフひとつでも説明がなされているのだ。


 そして……。流星シュート! これもやはりウルトラマンジャックのキック技である「流星キック」へのオマージュであることに、ウルトラシリーズのマニアであれば即座に気付いたことだろう(笑)。


 とはいえ、そんなところで感慨にひたる間もなく、ジョージは


「行くぜ、アミーゴ!」


 とテッペイを誘って、非常線の中へと入っていく。


「ボクも……?」


 一瞬、躊躇はするものの、そうはいっても非常線の中には子供たちが取り残されているかもしれないのだ! 放置していては、接近してきた大怪獣の猛威によって落命してしまう可能性だってあるのである! 「ちょっと、テッペイさ〜ん!」と彼の過保護そうな母親が止めてくるのも聞かずに、テッペイも意を決して男らしく非常線のロープの中へと突入していくのだ!


――ちなみに、テッペイの母親を演じているのは、美少女・名子役上がりの林寛子(はやし・ひろこ)! 『ウルトラマンA』の因縁のウラ番組でもあった特撮時代劇『変身忍者 嵐』(72年・東映)では愛くるしい特A級特撮美少女ヒロイン・カスミを演じていた林寛子である! これも絶対にねらっているキャスティングなのだろう!?・笑――


 そして、バイクで通りかかっていたマリナもまた、機転を利かせてコノミを後部座席に乗せて保育園へとバイクを走らせる!


 賢明なる読書諸氏もすでにお気付きのことだろう。か弱き子供の命を救うためには自己の身を危険にさらしてでも無償の愛で他人を救おうとすること! それは『帰ってきたウルトラマン』第1話の冒頭で主人公青年・郷秀樹(ごう・ひでき)が身を呈して実行した行為と同一であることに! そして、それはまた古今東西の道徳や宗教などが讃(たた)えてきた崇高なる行為であることに! そして、その自己犠牲的な行為に感銘を受けたウルトラマンジャックが依り代(よりしろ)の対象として郷秀樹を合体相手として選んでいたことに! それは、次作『ウルトラマンA』第1話・次々作『ウルトラマンタロウ』第1話、飛んでテレビアニメシリーズ『ザ★ウルトラマン』(79年)第15話『君がウルトラマンだ』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090808/p1)などでも反復されていった作劇でもあったのだ。


 そう、コノミ・マリナ・テッペイ・ジョージ。彼らの4人のメンタルやモラルは、歴代ウルトラシリーズウルトラマンたちと合体した青年たちとも等しいものとして、脚本家が意図的にこのように描いていることを長年のマニアであれば見抜くこともできるだろう!


 とはいえ、このような自己犠牲的な描写は歴代ウルトラシリーズだけに通底しているだけのものでも決してない。ご都合主義にも……もとい、まるで運命の糸に導かれたかのように(笑)、第2話以降でGUYSの隊員たちとなることが確定しているメンバーたちが早くもここで一度は集結してみせるような描写は、ほとんど東映スーパー戦隊シリーズに代表されるグループもののドラマなどではお約束的な歌舞伎的様式美だとはいえるのだ(笑)。しかし、それが悪いというワケでもないと思う。フィクションである以上は、あまりに露骨なご都合主義は論外であるにしても、ストーリー展開をサクサクと進行させるためにも、このようなのちのちに係り結びとなっていくような作劇や伏線はどしどし取り入れるべきなのであり、単にヨソさまのことはマネをしないぞ! などという動機程度で「我が道を行く」ようなことばかりが能ではないことを改めて実感させてもくれる名場面でもあるのだ。



「隊長、もうオレたちだけしか……」


 GUYSの戦闘機はついにリュウとセリザワ隊長が搭乗する一機だけとなってしまった。それをも襲ってくるディノゾールの鋭利で長大な舌!


リュウ。GUYSを、頼んだぞ!」


 セリザワ隊長はそう云い残して、後部座席のリュウ隊員を強引に脱出させてしまった! 


 そして、自分は宇宙怪獣に特攻! 戦闘機と運命を共にしてしまう!


 大地を眼下に見下ろす成層圏をパラシュートで降下していくしか術がない、悲痛な表情のリュウ隊員……


「全滅だと……」


 通信を聞いて唖然とするトリヤマ補佐官。


 『ウルトラマンA』第1話でも、ミサイル超獣ベロクロンによって地球防衛軍が全滅して、新たな地球の守りとして防衛組織・TAC(タック)が創設されていた。しかし、主人公・北斗星児と南夕子が入隊したときにはすでに他のメンバーが各技能のエキスパートであったTAC隊員たちとは異なり、これで『メビウス』では第2話以降にGUYS隊員となっていくのであろう彼らは全員がド素人上がりということになるのだ(爆)。
 このへんは軍事的なリアリズムで考えれば明らかにオカシいことでもあるし、昨今のSF考証的なモノサシでは少々ユルい作品にはなってしまう昭和のウルトラシリーズでさえも、防衛組織の隊員たちのほとんどを素人上がりにするような非リアルなストーリー展開はなかったものだった(笑)。しかし、そのへんもまたスタッフたちや赤星政尚先生による確信犯でもあるのだろう。ミリタリズム的なリアリズムには根差さないかたちでの若者たちによる少年漫画的な青春群像ドラマを展開していくのであろうけど、そこにどのような料理の腕前を見せてくれるのか? 今後のストーリー展開が楽しみではある。



 2本の長いシッポをくねらせながら、ついに静かにゆっくりと地上に降下してくる怪獣ディノゾール。


 細長い舌による俊敏な一撃を加えられたビルから窓ガラスが散乱する! ついに破壊活動が始まったのだ!


「あの子たちって、こいつらのことなのか?」


 思わず拍子抜けするジョージ。コノミが必死で助けようとしていたのは保育園で飼育されていたウサギたちだったのだ!


 そのころ、GUYSでただひとり生き残ったリュウ隊員は地上から決死の攻撃をかけていた! だが、銃撃なんぞはモノともせずに、ディノゾールは街を炎で焼き尽くしていく!


「逃げてください! 怪獣が迫ってます! 早く逃げて!!」


 保育園で飼われていたウサギたちを助けるために集結していた4人の前に、ウルトラマンメビウスが逆変身した姿である例のGジャン姿の若者が現れた!


「この子たちは、みんなで大事に育ててるんです!」


「突っ立ってんなら、手伝いな!」


 ジョージに導かれて、4人とともにウサギをダンボール箱に詰めていくGジャン姿の若者!


 そうこうしている間にもディノゾールの破壊は果てしなく続いていく! 逃げまどう群集たち……


「この子で全部です! ありがとうございました!!」


ジョージ「急げ!!」


 ウサギたちを詰めたダンボールを手にして、ようやく避難を始める5人の若者たち。


 だが、ついにディノゾールが彼らに迫ってきた!


 ビルや報道ヘリを次々に切り裂いた長舌の断層スクープテイザーが彼らを襲う!


 真一文字に切り裂かれた地面からは、猛烈な噴煙が巻き上がった!


 ここでスーパー戦隊シリーズであれば5人に神秘の力が宿ったりするのだが、この作品は『ウルトラマン』なのであいにくそうはならない(笑)。しかし、超人的なマリナの聴覚とジョージの動体視力で、5人は断層スクープテイザーを間一髪で避けることができたことは描写する!


「早く逃げて!!」


 4人を逃がして、ひとりその場に残るGジャン姿の若者。


 ディノゾールは今度は肩口から火花のような弾(たま)を次々と浴びせかけてきた! Gジャン姿の若者はついに左腕甲にメビウスブレスを出現させて、それを一定のポーズの果てに高々と掲げた!!


「メビウーーース!!!」


 Gジャン姿の若者は本来のウルトラマンメビウスの姿へと巨大化変身していく!


 変身時に自身のネーミングを叫んでしまうのは、正体がバレてしまうではないのか!? というツッコミも正当なものではある。変身ポーズなどは不要ではないのか? というツッコミも、たしかに正論ではあるのだ(笑)。だけれども、そういうことを過剰に気にするようになるのは小学校も高学年以上になってからではなかろうか? そして、そういう実に正当なツッコミ(笑)は子供向け番組としての観点で考えればいかがなものだろうか?
 変身シーンはやはりこの手の特撮変身ヒーロー番組における見せ場や盛りあがりの場面ではあり、子供たち……いや一般大衆にも潜在的には存在している、いや人間一般に普遍的に存在している「変身願望」や「万能感」を疑似的に満たすものでもあるのだ! ここは様式美的なお約束として、無言で変身するよりも何かしらの掛け声とととも変身してみせた方が、テイストはややチャイルディッシュになってしまうのだとしても、やはりヒロイズム的には盛りあがることを考慮して比較考量するならば、ヒーロー名を叫んでみせる変身シーンもこれはこれでよいとも考えるのだ!


 変身バンクの映像は「メビウスの輪」――正確には無限大のマークである「∞」――をバックに、昭和のウルトラシリーズのような右拳を手前に突き出したミニチュアの飛び人形を次第にズームアップさせていく映像ではなく、実際の着ぐるみのウルトラマンメビウスがカメラに向かって飛行してくるかのようなアングルをズームアップさせていくことで次第に巨大化を遂げていく姿を表現した、実に鮮やかな仕上がりとなっている!
――しかも前方に突き出した右手が、大方の昭和のウルトラ戦士の巨大化シーンのようなジャンケンのグーではなく、ウルトラマンタロウのように手のひらの五指を開いた「パー」のかたちにさせているところで、パターン破りの変化球にもなっているという意味では、単なる後ろ向きな原点回帰でもないのだ!――


 そして、それに続く場面がまたも凝っている。おそらく第1話のみの演出になるかと思うのだが、変身バンク映像のあとに、ウルトラマンメビウスはまず光の粒子と化して空中高く舞い上がる。あたりがいったん静寂に包まれてから、周囲の地上の人々は上空からの眩い光で照らされる。一拍おいてその一瞬の静寂を打ち破ってズドーーーン!!! とメビウスが降下してくるのだ! この、タメ&神秘性を伴なったあまりにも美しい演出!


 ウルトラマンの存在を今では一種の伝説だと考えていたリュウ隊員が思わず漏らした一言。


「マジかよ……」


 人々の前についにその勇姿を見せたウルトラマンメビウス! 初代ウルトラマンのような仁王立ちのポーズも取る!


 我々マニア視聴者の代弁者としての役回りも持っている、ウルトラマンたちを正義の味方として既知の存在だと捉えている群集たちは大歓喜の声をあげる!――ここでまた我々マニア視聴者も、単なる新人ウルトラマンの初登場という意味だけでなく、四半世紀ぶりに降臨した昭和ウルトラ直系のサラブレッドの降臨に感涙にむせぶのだ!――


 そして、群衆たちは一斉に携帯電話のカメラをウルトラマンメビウスに向けてバシャバシャと撮影をはじめる――このあたりはいかにも21世紀の現代的な描写だが、感動のあとに即座に笑いのシーンも持ってきて過剰に自己陶酔的に湿っぽくしないあたりもまた、21世紀的なバランスが取れた文法でもある・笑――


 あまたの格闘バトルものの少年漫画などは別だが、意外にもウルトラシリーズの第1話で民間人がウルトラマンを目にする場面は、『ウルトラセブン』第1話『姿なき挑戦者』と『ウルトラマン80』第1話『ウルトラマン先生』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100502/p1)くらいでしか描かれておらず、防衛組織の隊員のみしかその存在を知ることはなかったパターンが多かった。今回は群衆が四半世紀ぶりの新ウルトラマン初登場を一斉に目撃するシーンが描かれたのは、以下のセリフを引き出すためでもある。


だっこされた幼児「あれぇ? ママが小さいころに見たって云ってた……」
パパ「あぁ、ウルトラマンだ!」


 いわゆるメタ・フィクション演出! テレビの中でのウルトラマンが実在の歴史的な存在となっている世界での感慨と、テレビの外でのウルトラマンがたとえ虚構でも歴史的な存在となっている世界での我々の感慨を、二重に想起させて視聴者の心の中で響かせることでその感動も倍増させていく、さりげに高度な作劇テクニックでもあり、脚本の赤星政尚先生がそこをねらってきているのはスレたマニア的にはミエミエなのだけど、それでも手のひらの上で転がされて感涙にむせんでしまうのだ!


 ディノゾールが浴びせる断層スクープテイザーを辛くも避けたメビウスに対して、リュウはこうつぶやく。


「ビルを盾(たて)にしやがった……」


 そう、その通り。ウルトラマンがビルを守らずにビルを盾にするのはやや問題がある描写ではあるのだ(笑)。それはこのメビウスがまだまだウルトラ戦士としては新人であり未熟であることをも意味させるための描写であることはわかるのだが(汗)。


 そして、メビウスの代わりにスクープテイザーを浴びた3つのビルは、きれいに斜め一直線に切断された部分からゆっくりとスベり落ちていく!


 ディノゾールは今度は肩口から連続して火花攻撃を浴びせかけてくる!


 次々と爆炎が巻き起こる中で、第2期ウルトラシリーズにおけるウルトラマンたちのように側転の連続でこれをかわしていくメビウス


 なんとはなしに、その側転はどことなく少々ヘタクソな感じがするのだが(汗)、これはウルトラマンとしてはルーキー(新人)であるメビウスの新人らしさを表現するために、あえてそのような演技をしているのであろうか? そこまでしなくても……という気もするのだが(笑)。


 自転車やベンチまでもがリアルに再現された、特撮が東宝(第9ステージ)に下請けに出されていた時期の『A』や『タロウ』前半の時期に匹敵するほどの精密なミニチュアセットが派手に破壊されていく中で繰り広げられる、その体色はともかく『A』に登場した超獣たちを思わせるほどの全身超兵器であるディノゾールVSメビウスのパワフルなバトルはまさに迫力満点! バックに流れる主題歌も高揚感をあおりたててくれる!


 地球上でのウルトラマンたちの活動限界を示す、胸の中央にあるランプであるカラータイマーが赤く点滅をはじめる。そして、ついにメビウスは両腕を十字に組んで必殺光線・メビュームシュートを放った!!


 この発射ポーズがまた初代ウルトラマンウルトラマンジャックが時折リ見せていた、右膝を地面について姿勢を低くしたスペシウム光線の発射ポーズと同じなのである!


 メビュームシュートを浴びたディノゾールはゆっくりと崩れ落ちていき、その両眼からは生命の光が消えていった……


 ふたたび勇ましく勝利の仁王立ちのポーズをとったメビウスに対して、人々は「やったーーっ!!」と拍手喝采!!


 先にもふれた通り、このような群衆によるウルトラマンへの喝采は、実は昭和のウルトラシリーズではあまり見られなかったものである(汗)。むしろ『週刊少年ジャンプ』などの格闘漫画などで連綿と継承されてきた、しかし観衆たちのリアクションも含めて場面を実によく盛り上げるために進化してきた手法ではあるのだ。あまたのジャンル作品における文法にも実にくわしい赤星政尚先生は、そのようなジャンプ漫画的な手法をもさりげにウルトラシリーズにも導入してみせた! といったところなのだろう。



 だが、本作ではそれだけでも終わらないのだ。ただひとりだけ、このウルトラマンメビウスを罵倒する者がいたのだ!


「バカヤローーーッ!! なんてヘタクソな戦い方だーー!! まわりを見てみやがれーー!! ……それでもウルトラマンかよ!? なんも守れてねぇじゃねぇか!? なんで、そんな……。……なんも守れなかった……(泣き崩れる)」


 声の主はリュウ隊員だった。そう、たしかに今回のウルトラマンメビウスは街を守れていたとは云いがたい。まわりのビル群は崩壊したり傾いて崩れ落ちんばかりのカタストロフ光景でもある(汗)。ヒーローの勇ましさを描くべきウルトラシリーズの第1話としては、ここだけはかなりの変化球であり、アンチテーゼ編的ですらあるのだ。


 そして、「なんも守れてねぇじゃねぇか!?(中略) そんな……。……なんも守れなかった……」といって、力なく泣き崩れてしまうリュウ隊員の言動は、ウルトラマンメビウスへの批判でありながらも、それはそっくりそのまま鏡のように自身へとハネ返っている…… そう、批判していた自分自身こそがまさに「なんも守れてねぇじゃねぇか!?」という、痛烈なる自己批判と自己嫌悪の言葉でもあったのだ……


 第1話から早くもこのような、ヒーローの万能性にクエスチョン・マークを付けてしまうという作劇はビミョーなところもあるだろう。子供たちにとっての憧れのヒーローたりえなくなってしまう危険性もあるのだが、クレバー(利口)なつくり手たちが集った『メビウス』ではある。当然のことながらまだまだ未熟なヒーローと、これからGUYSに入隊することになる同じく未熟な若者たちとの、共闘しつつの成長ドラマを紡いでいくことの伏線でもあるのだろう。



「やっぱり、ここだったんですね」


 夜間、先に「ウルトラ5つの誓い」を唱えた眼下を見渡せる小高い丘でひとりでたたずんでいた失意のリュウ隊員のもとに、ナゼかいきなりGUYSの隊員服姿(!)で先の若者が訪れてくる……


「いっしょに戦わせてください! あなたといっしょに戦いたいんです!!」
「なに、やる気マンマンみたいな顔してやがる!? もうGUYSなんてなぁ、必要ないんだよ!!」


 通信機を大きく振りかぶって投げ捨てようとするリュウ隊員! しかし、やはり戦死した隊長との思い出の品に対して、そんな邪険なことができるワケがないのである…… 炎の模様がペイントされた通信機をジッと見つめるリュウ隊員。


「行きましょう。フェニックスネスト(GUYS基地)へ。あなたを待っている人がいます」


 GUYS基地。GUYSの基地内のスクリーンに映っている大型の攻撃戦闘機を目にするリュウ隊員とGUYSの制服姿の若者。


 そこに現れたGUYSの制服姿のひとりの男が、大型戦闘機の由来を説明する。


「GUYS総本部は、統合攻撃戦闘機・ガンフェニックスの配備を決定した!」
「アンタ、誰?」
「本日付けで新生GUYSの隊長に任命された、サコミズだ!」


 サコミズ! もちろんレギュラーキャラクターの名前は我々マニアは事前情報ですでに知ってはいるのだけど、こちらも初代『ウルトラマン』の初期企画であった『ベムラー』や『レッドマン』での主人公・ハヤタ隊員に相当する登場人物の名前がサコミズ隊員であったことに由来しているのだ(笑)。
 ハヤタ隊員の前段階(?)のネーミングを施されたサコミス隊長。本作『メビウス』では、「ウルトラ兄弟の長男・ゾフィーの正体も明らかになる!」とも謳われている。そうなると、初代マンのハヤタ隊員よりも前(?)であり上位互換(?)だともいえる名前を持っている彼の正体はゾフィー兄さんなのであろうか!?



「ボクは新生クルー第1号、ヒビノ・ミライです! よろしくお願いします!!」


 ラストでやっと地球人としての名前を名乗る、正体はウルトラマンメビウスでもある若者。リュウとの初対面、もしくはGUYS隊員の制服をまとった姿での2回目の対面の際にふつうは名前は名乗るだろ? などとツッコミを入れるのは正当ではあるけれども、フィクション作品に対してはヤボである。ラストシーンではじめて名乗る方が物語的にも視聴者に対してもインパクトは大きいし、印象にも残るのだし、何よりもドラマチックであるのだから!


 主人公のあまりに爽やかな笑顔で幕となる第1話。メインターゲットである子供たちはもちろん女児や女性やママ・パパ・マニアら視聴者各層の欲求のツボを各所で的確に押さえて、クドクドとしたナレーションでの説明を入れなくても基本設定や各キャラの立ち位置が一目瞭然でわかる構成は、実にお見事の一語に尽きるのだ。いやホントに見事な構成を兼ね備えた第1話に仕上がっていた! 文句なしの大傑作であったと認定したい!


2006.4.15.


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2006年春号』(06年4月23日発行)『ウルトラマンメビウス』初期話評・合評④より抜粋)


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  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060415/p1