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ウルトラマンメビウス13話「風のマリナ」 〜&「筑紫哲也NEWS23」


『ウルトラマンメビウス』評 〜全記事見出し一覧


(脚本・長谷川圭一 監督&特技監督 村石宏實)
(『ウルトラマンメビウス』〜ウルトラマンヒカリ編・短期集中連載!)
(文・久保達也)
 第13話『風のマリナ』には『ウルトラマンタロウ』(73年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20071202/p1)第26話『僕にも怪獣は退治できる!』*1に登場した百足(むかで)怪獣ムカデンダーが再登場!
 第3話『ひとつきりの命』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060629/p1)に登場した火山怪鳥バードンに続く、『タロウ』再登場怪獣がムカデンダーというのはかなり意表をつくところだ。もっとメジャーな奴がいくらでもいるわけだし、正直今回の話に再登場する必然性は何もない(笑)。
 だがこんな部分にこそ、やはり『メビウス』製作スタッフのセンスの良さが光っているというものである!


 ムカデを怪獣にデザインしようと思えば、普通ならば長い胴体をそのまま巨大化させて多少の飾りを付け、『ウルトラセブン』第11話『魔の山へ飛べ』に登場した宇宙竜ナースのように操演で動かすところだが、『タロウ』ではあくまで人間が入って動かす着ぐるみでの表現を試みた。
 そのデザインは全身触手だらけの胴体の股間から長い首が生えているという、成長した目から見ると妙にエロチックなものであるが(笑・『ガメラ3 邪神〈イリス〉覚醒』(99年)の怪獣イリスの準備デザインも同趣向であったが、ムカデンダーはそのデザインアイデアを先取りもしていたということだ)、『帰ってきたウルトラマン』第1話『怪獣総進撃』、および第2話『タッコング大逆襲』に登場したオイル怪獣タッコング、第5話『二大怪獣東京を襲撃』、および第6話『決戦! 怪獣対マット』に登場した古代怪獣ツインテールらと同様に、妙な部分に顔を配置した独特のフォルムで意外性と動きの面白さを追求し、着ぐるみ怪獣としての造形の限界に果敢に挑戦した秀逸なものである。
 メジャー級のタッコングツインテールに一歩も劣らぬものであり、もっとスポットが当てられてもよいように思われるのだが。


 ちなみにバンダイが83年から06年現在まで継続して発売しているロングセラーのソフビ人形『ウルトラ怪獣シリーズ』において、ムカデンダーは『タロウ』中では最も人気の高い部類に属する宇宙大怪獣アストロモンス、極悪宇宙人テンペラー星人、暴君怪獣タイラントらとともに、89年に商品化されているのである(残念ながら00年に絶版)。
 収集したソフビをズラッと並べてみても、このムカデンダーの独特のスタイルは極めて異彩を放っており、玩具としての面白さは他の追従を許さないものである。今回の再登場を機に復刻発売、もしくは新造形版の発売を願いたいところであるが……


 今回のムカデンダー再登場も、あくまで『タロウ』登場怪獣中でデザイン的に最も奇抜で印象に残りやすく、大暴れやメビウスとのバトルが映えるという理由で選ばれただけであろう。見せ場重視の姿勢による『メビウス』らしい選択であり、「必然性」云々なんぞ知ったこっちゃないのである(笑)。
 ちなみに冒頭でムカデンダーに襲われる登山客は、06年7月17日(月)にTBSで放送された『筑紫哲也NEWS23(ニュースツースリー)』内の特集『誕生40年“ウルトラマンが見た日本”』*2にもVTR出演していた渋谷浩康プロデューサーかと思われるのだが?


 マリナが休暇でかつて所属していたオートレースチームの監督・カドクラと『ツーリング』に行ったことを聞いたミライは


 「ああ、『釣り』に行ったんですか!」


 と大ボケをかます(笑)。
 失笑している古いマニアも多いであろうが、地球に来て間もないミライ=メビウスが地球の風俗・習慣に馴染みが薄いのは当然のことであり、それがこうした描写を時折交えて表現されるのはある意味究極のリアル志向であるともいえる。
 モロボシ・ダンウルトラセブンにはこうした描写は一切なかったなあ(笑)。……『ウルトラセブン』第4話『マックス号応答せよ』に登場した反重力宇宙人ゴドラ星人は「飛んで火に入る夏の虫」を知っていたが、どこで覚えたんだ?(爆)


 八幡ヶ岳(はちまんがたけ)でマリナはかつて防衛組織・GUYS(ガイズ)入隊試験をともに受けた、女性クライマー(登山家)のリンコと再会。
 リンコを演じたのは『七星闘神(しちせいとうしん)ガイファード』(96年・東宝)のヒロイン九條麗、『超星神(ちょうせいしん)グランセイザー』(03年・東宝http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20041104/p1)で獅堂未加(しどう・みか)=セイザーミトラス役だった清水あすか! ってまた太ったか?(笑) マリナ役の斉川あいが雑誌『Cawaii(カワイイ・笑 主婦の友社)』の専属モデル出身で、今回はヘソが丸見えの妙に丈の短いタンクトップ姿(上着が邪魔して見づらいが)、回想シーンでは超ミニスカートを披露しているだけに(06年7月3日発売の集英社『WEEKLYプレイボーイNo29』や、06年7月20日発売の小学館週刊ヤングサンデーNo34』ではビキニ姿を披露しております)、ダサダサの登山服姿では余計に浮かばれんぞ(笑)。


 ムカンデンダーに襲われそうになったマリナ・カドクラ・リンコは洞窟へと逃げ込み、マリナはメモリーディスプレイで怪獣のデータを検索する。古代怪獣キングザウルスⅢ世、化石怪獣ステゴン、水牛怪獣オクスター、大羽蟻怪獣アリンドウ、そしてドキュメントZAT(ズィー・エー・ティー)に同種の怪獣・百足怪獣ムカデンダーを発見!
 様々な怪獣の姿が次々に映し出されるメモリーディスプレイの描写を見ていると、こりゃあ子供たちがバンダイ製の玩具に対する購買意欲をかきたてられるというもの。つーかオレがほしくなる(爆)。でも結構値が張るので、放映終了時の安売りを狙うことにしたいと思うが(笑)。


 「すごいな、この通信機。怪獣図鑑にもなってんのか?」


 と驚くリンコに、マリナは


 「あ、でも仲間にひとりもっとスゴイ子が」


 と、ひと目見ただけで怪獣の名前や特徴を云い当てる怪獣博士・テッペイを紹介するが、「誰かが自分の噂をしている」とばかりにテッペイが大きなクシャミ!
 ちなみにムカデンダーの襲撃を受ける前には「アタシ、熱血風吹かせる男って大キライでさあ」と語ったリンコに、マリナは「GUYSにもいるんだよねえ。ホントに熱っくるしい熱血バカが」とリュウのことを語り、リュウがクシャミをする場面が描かれている。


 「熱血バカに怪獣オタクか(笑)。他にはどんな奴がいるんだ?」


 と興味津々でたずねるリンコに、マリナはGUYSのメンバーを次々に紹介する。


 「見栄っぱりでプレイボーイの元サッカー選手でしょ、
 気が弱いけど頑張り屋さんの眼鏡っ娘
 それに普段はボ〜ッとしてるけどやるときはやる隊長、
 あっそれからなんにでもすぐ感動してなんだって一生懸命で、人類みぃんな大好きみたいな感じの不思議ちゃんがひとり!」


 (仲間たちを思い浮かべて、幸せそうな表情をしているマリナが本当に良い!)


 ジョージ、コノミが本部で次々とクシャミをする中、ミライのみがクシャミをせず、マリナが襲われた現地に急行するコクピットの中で、精悍な面構えを見せている描写に注目!
 先述のツーリングの一件同様、こんなさりげない演出で、ミライが地球人ではないことを端的に表現しているのは実に見事である!
 (かのサコミス隊長はクシャミをしない。と思ったらクシャミをしそうになってこらえた。正体は地球人なのかウルトラ兄弟の長兄ゾフィーなのか両者の合体なのか……ドッチなんだよ!・笑)


 洞窟を脱出した3人は再度ムカデンダーに出くわすが、カドクラに


 「おまえGUYSなら光線銃とか持ってないのか!」


 と云われたマリナは、コノミに


 「みなさんにひとつずつ、お守りだと思って、持っててください(♥)」


 としてマケット怪獣を手渡されたのを思い出した!



 「メテオール規約第7条。危機的状況において使用許可をとることが不可能な場合のみ、特例として解禁す!」


 この規約にのっとり、今後もGUYS各隊員が危機的状況に陥った際にミクラスやウインダム、「みなさんにひとつずつ」のカプセルがそれぞれ別々のマケット怪獣であるならばアギラ(!?)たちをも登場させることが大いに期待できるようになったのだ! まさに夢のようである!(感涙にむせぶ……)


 「行け! ミクラス!」(このときの掛け声、凛としてるけど、同時にけっこうカワイイかも……)


 マケット怪獣をメモリーディスプレイに装着し、マリナはムカデンダーに向けてこれを発射! 光の輪から勇姿を見せる怪獣ミクラス
 と思いきや、ミクラスは第9話『復讐の鎧(よろい)』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060706/p1)での怪獣ボガールモンス以上に醜悪なムカンデンダーの姿に恐れをなしたのか、ドカドカとマリナたちの方に逃げ込んでしまう。


 「ミクラス! いい子だからムカデンダーと戦って!」


 この励ましに発奮したのか、ミクラスの目は怒り目に形を変え、なんと瞳の中で炎が燃える!(笑) CGを駆使し、ミクラスの感情を実にわかりやすく表現したマンガチックな描写が絶大な効果をあげ、ミクラスは角から青い稲光のようなエレキ攻撃をムカデンダーに浴びせかける!
 だが活動限界の1分間が切れ、ミクラスの消滅により再び危機に陥る3人。
 ムカデンダーはかつても火炎攻撃を得意としていたが、今回は平成ガメラのプラズマ火球のような攻撃を口から情容赦なく3人に連続で浴びせかける!


 3人がいる実景にムカデンダーが合成で出現する秀逸な場面のあと、マリナはおとりとなって山道をバイクで激走!
 ムカデンダーが連続で発射するプラズマ火球を次々に交わし、バイクでひた走るマリナだが、カドクラはマリナの聴覚の鋭さが、かえってクラッシュの恐怖を感じて減速につながり、レースでは不本意な結果に終わっていたマリナの弱点を指摘、今減速してしまったらマリナはムカデンダーの餌食になる!


 だが……


 「なんだろう、この声……風だ、風の声が聞こえる! 風が私を励ましてくれる!」


 ミライ、リュウ、ジョージ、テッペイ、コノミの姿がマリナの脳裏に次々に浮かぶ! 洞窟でリンコに


 「変わった奴ばかりだな。でもマリナそいつらのこと好きだろ?」


 とたずねられ、マリナは大きくうなずいたのであった!


 (実感がこもった演技で、本当に仲がよいんだなと思わせられる。大方のマニアは翌週の第14話『ひとつの道』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060921/p1)の方に高い評価を下すのだろうが、ベタでシンプルな展開だけれどツボを押さえているのと、第1話『運命の出逢い』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060625/p1)からこれまでの展開でマンガチックではありながらもGUYS隊員たちのキャラが立ちまくっていたので、本当に効果的で感動的だ)


 そして遂に登場するメビウス
 長い首にパンチと回し蹴りを食らわすが、胴体に生えた長いムチがメビウスを連打、さらにプラズマ火球が襲う!
 これをメビウスは側転で交わし、今度はムカデンダーの長い首にチョップの連打と回し蹴り!
 これにかなわぬと見たムカデンダーは首を分離させてメビウスを襲うが、メビウスがこれをつかんでブン投げるや、連動してムカデンダーの胴体はムチを振り回して七転八倒
 (こんな記述ではまるで『ウルトラファイト』(70年*3)だ・笑)


 空中に舞い上がったメビウスは両手を赤熱させ、必殺光線メビュームシュートを発射!
 遂にメビウスが勝利したかと思いきや、まだ生きていた分離したムカデンダーの長い首が背後からメビウスを襲う!


 間一髪と思いきや、それにとどめを刺す一条の光! ウルトラマンヒカリのナイトシュートだ!


リュウ「まぁたオイシイところもっていきやがった」


 その通り、たったこれだけのためにもヒカリを登場させてくれるサービス精神は敬服に値する!


 危機を救ってくれたヒカリと向き合うメビウス
 いつの間にか夕暮れ時になっているが、これがメビウスの背景が西の空で夕焼けになっており、ヒカリの背景が東の空で既に夜空になっているという、各ヒーローのボディカラーに合わせたあまりに秀逸な演出!
 もっとも『ウルトラマンタロウ』第46話『日本の童謡から 白い兎は悪い奴!』(脚本・石堂淑朗(いしどう・としろう) 監督・筧正典(かけい・まさのり))*4において、ウルトラシリーズに初参加した矢島信男特撮監督によって既に同様の演出は試みられているのだが(こちらは朝焼けだが。特撮巨大バトル中、ナイトシーンから徐々に夜明けになっていく)。


 ラストシーンでミライとリュウと初対面し、「不思議ちゃんと熱血バカか」とつぶやいたリンコに対し、マリナは心の声でこう答える。


 「そう、私に風の声を聞かせてくれた、大切な仲間よ!」


 1クール目を締めくくるにはふさわしい、GUYSの仲間の結束力の強さを描くには、特にムカデンダーである必然性はなかった。
 だがカドクラがリンコに語った「怪獣ってえのは常識を超えた生き物なんだ!」を象徴するには、確かにこれ以上ふさわしい怪獣はいないことを、ムカデンダーの暴れっぷりやメビウスとのバトルにおいて、大いに実感させられたものだ。

2006.7.25.


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2007年準備号』(06年8月12日発行)『ウルトラマンメビウスウルトラマンヒカリ編・合評②より分載抜粋)


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『ウルトラマンメビウス』評 〜全記事見出し一覧


*1:草創期のマニア向け書籍『ファンタスティックコレクション№10 ウルトラマンPARTⅡ 〜空想特撮映像のすばらしき世界〜』(78年・朝日ソノラマ)における『ウルトラマンタロウ』解説文の中で、「ファンに「僕にも『タロウ』のシナリオは書ける!」と云わせたほど、この時期の内容的な後退は著しかった。つまりほとんどの話が怪獣に親を殺された子供の復讐話か、過去の作品の完全な焼き直しに終わっていたのである」という一節があったことから、『タロウ』の中でも第26話(のちに刑事ドラマ『特捜最前線』(77年)でかの長坂秀佳とメインライターの座を争い、現在は小説家である阿井文瓶(現・阿井渉介)のデビュー作!)はウルトラ批評史上、もっとも偏見にさらされた回となってしまった。
 実際の作品は、生身で人間が怪獣にしがみつくような『タロウ』の作風から連想されるであろう、子供がひとりで怪獣に挑むような無謀な話などではなく、むしろそのアンチテーゼをも含むもので、「怪獣とケンカばかりしているタロウなんか嫌いだ!」「お父さんは僕に暴力を振るえというの?」などと云って小さな子をいじめる中学生をとがめて袋叩きになる白鳥健一少年をそのまま見ているだけだったり、父・仙吉の紙芝居屋という職業を毛嫌いしているような、妙に冷めた竹雄という少年が、仙吉が子供たちを逃がすためにムカデンダーに重傷を負わされたり、小さな子ばかりか光太郎をも救出しようとする健一の姿を見ていくうちに次第に変容していき、ラストでは紙芝居の列に割り込む少年にケンカを挑むまでに成長する姿を描いている。仙吉の以下のセリフが、この作品のテーマを端的に表現している(『宇宙海賊キャプテンハーロック』(78年)のセリフじゃないよ)。

 「男には、自分の損になるとわかっていても、他人のために働らかなきゃならないときがある。そのときに逃げないのが本当の男なんだ!」

 実に感動を呼ぶこのセリフを放つ仙吉を演じたのは、声帯模写を得意とする芸人で、『快獣ブースカ』(66年)の屯田大作の父・栄之助や、『ジャンボーグA(エース)』(73年)第20話『ポンコツ自動車の大反乱!』でも父親役を演じた故・江戸屋猫八である。
 そもそも「僕にも『タロウ』のシナリオは書ける!」などとホザいていた特撮ファンが本当に存在したのかどうかも疑わしいのだが(爆)、前述の「ほとんどの話」云々(うんぬん)が完全にデタラメであることは実作品を視聴すれば明らかである(それを悟られたくないためか、本文中で具体的に挙げられた作品は「怪獣と人間のドラマが分離して並行する奇妙な現象」の例として挙げられた第40話『ウルトラ兄弟を超えてゆけ!』のみである。実際に該当する話は3本のみだし、怪獣に家族を殺された子供の復讐話というプロット自体が駄目なら、『ガメラ3 邪神〈イリス〉覚醒』のプロットも否定しなければスジが通らない)。
 だが小学6年生でこれを読んだ筆者は、中学1年生のときに再放送された『タロウ』(よりによって前番組は『セブン』だった!)を妙な先入観をもって視聴することになり、「やっぱり本に書いてあるとおりだ」と思ってしまったのだ。同じような偏見の目を植えつけられたのは筆者だけにととまらず相当の数にのぼり、これが現在まで脈々と続く「第2期ウルトラ批判」を形成しているのである。
 なおこの文は、『ファンタスティックコレクション№2 空想特撮映像のすばらしき世界 ウルトラマン』(77年・朝日ソノラマ)と合本し、『ザ★ウルトラマン』(79年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971117/p1)や『ウルトラマン80(エイティ)』(80年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971121/p1)を加えて『ウルトラマン白書』(82年・朝日ソノラマ)として復刻されて以降、87年の第2版、91年の第3版(ISBN:4257033223)、95年の第4版(ISBN:4257034505)に至るまでそのままの形で掲載され続けたため、その影響力はやはり計り知れないものがある。以前は「こんな事実誤認をいつまでそのままにしておくのか?」と大いに疑問だったものだが、現在ではむしろ時代の貴重な記録として、今日のマニア世論の元凶として、そのままの形でぜひ復刻してもらいたいものだと思ったりもするのだが(ただし注意書きを添えること!)。とはいえそれらの言説を得々とウケウリしてしまった我々後続世代も、いわゆるA級ではなくてもB・C級には戦犯であることも自覚していなければならない。

*2:ウルトラマン』の放映が開始された66年7月17日からちょうど40年を迎えた日に放送された。家庭と職場でヒーローになろうと奮闘する、広告代理店に勤務する30代男性の姿や、『メビウス』製作現場(第13話『風のマリナ』の特撮現場や、企画会議の模様が登場)の村石宏實(むらいし・ひろちか)監督や脚本家の長谷川圭一、渋谷浩康プロデューサー、円谷プロの怪獣倉庫で着ぐるみのメンテナンスを担当する打出親五らの声によって「ヒーローとは何か?」「怪獣とは何か?」を考察している。
 『帰ってきた』第43話『魔神月に咆(ほ)える』において、この3年間まったく休暇をとっていなかった伊吹隊長(今なら大問題になる・笑)が隊員たちに休暇をとるよう勧められ、「休暇か。そんなもんは怪獣にくれてやった」と語る場面のあと、休日に子供との「怪獣ごっこ」(怪獣ソフビの数がスゴイ!)で疲れ切った父親の姿を見せ、「昔の父親は職場でヒーローであれば良かったが、現代はそうはいかない」とナレーションが入る演出は、父親像の変遷が端的に表現されていてなかなかうまいと思ったものだ。
 だが「怪獣には様々な社会問題が託されていた」などとして『ウルトラマン』第23話『故郷は地球』の棲星怪獣ジャミラの悲劇や、『ウルトラセブン』第26話『超兵器R1号』(ともに70年代末期の第3次怪獣ブームにおいて、マニアが絶賛した作品である!)におけるモロボシ・ダンの「侵略者はそれに対抗してもっと強力な兵器をつくりますよ!」というセリフなどの紹介、あげくに脚本家の金城哲夫上原正三をからめて「沖縄人と差別」(キャスターの筑紫哲也は左翼の代表として知られ、この番組において沖縄に関する話題を頻繁にとりあげている)を語り出す段になると、半ば予想していたとはいえ、「あ〜あ、やっぱりこういうノリなのね」と軽く失望させられた。サブキャスターの草野満代(67年2月4日生まれ)が「私と佐古さん(TBSアナ・佐古忠彦。64年8月8日生まれ)はウルトラマン世代ですけど、こんなに深いものだったとは思わなかった」と語り出した時点で、「結局こういうオチでまとめるのね」と思った気の早い筆者は、このあと山田玲奈チャン♥の天気予報が始まったことで、今回の特集はこれで終わりかと思ってしまった(そう早合点して視聴を打ち切った人も結構いるんじゃないかなあ)。

 基本的に娯楽作品とは、道徳的な目的で製作されているわけではなく、作る側の生理としてはまず面白いことが第一であり、テーマの方がむしろ結果論的なものとしてあとで備わってくるように思える。第3次怪獣ブーム時の評論では完全にこれを取り違えていたのだが、今回の特集もまたこれを踏襲し、ウルトラシリーズを「大人の鑑賞に耐える」作品として紹介しているように思えたのである。
 「人のふり見てわがふり直せ」ではないのだが、今回の特集を視聴後、ふと本誌の06年初夏号に記した自身の『メビウス』序盤10話総括に目をやると、GUYSのメンバー間のキャラの違いによるやりとりの応酬の面白さを強調したいつもりが、勢い余って「現代社会に警鐘を鳴らす」だの、「子供たちに希望を与える」などと記述した個所に「しまった!」と思ったものだ。そういう視点では結局は今回の特集同様、「テーマ至上主義」となんら変わりはないのである。これ以上、若い人々に妙な先入観を与えないためにも、筆者は今後、ヒーロー作品を語る際には「カタルシス至上主義」を貫いていく所存である(ときには「ギャグ描写至上主義」、もしくは「ヒロイン至上主義」に脱線することがあるかもしれないが・笑)。

 だが実はそのあとの『マンデープラス』のコーナーにもこの特集は続き、視聴者は唖然とするものを見せられることになる。ウルトラシリーズの諸作品を授業で教材として活用する、北海道苫小牧市立緑陸中学校の教師・神谷和宏氏(33才・『M78星雲より愛をこめて』(93年・文芸社ISBN:4835563263)なる書籍を自費出版しているそうであり、VTR上でも関連書籍が並ぶ氏の書棚の中にしっかりと写っていた)の姿が紹介されたのである。
 この日の教材は『帰ってきたウルトラマン』第33話『怪獣使いと少年』であった。確かにこればかりは純然たる娯楽作品とは云い難い。宇宙人呼ばわりされ、地域の全ての人々から迫害される佐久間良少年(安易に同情すべきではないのかもしれないが、06年4月に秋田県で自分の娘を殺害したものの、警察のズサンな捜査のおかげで「悲劇の母」と成り得た女性が、幼いころから学校や地域で壮絶な迫害を受けていたという生い立ちを聞くにつけ、閉ざされた地域社会の中で、皆でよってたかって彼女が犯罪者となる資質をつくりあげてしまったのだと思うしかない〜高校の卒業文集における級友たちのこの女性への寄せ書きの悪口雑言はヒドすぎる! この級友たちも間接的な加害者だと糾弾してみせる勇気と知性と心あるコメンテーターや文化人はいないのか!?〜)、良を助けようとして警官の凶弾に倒れる宇宙調査員メイツ星人、「あんたMATの隊員だろ? 怪獣やっつけてくれよ!」と巨大魚怪獣ムルチの襲撃から避難する群集に対し、「勝手なことを云うな! 怪獣を呼び起こしたのはあんたたちだ!」と怒りを燃やす郷秀樹……というダイジェストを見せられると、個人的にはこれに対して強いメッセージ性を感じないわけにはいかないのである(ただしこれを含む『帰ってきた』第31話から第34話を「11月の傑作群」とする考え方に対しては、他の作品が傑作ではないみたいで個人的には賛同できない)。今回の特集の前半で上原正三の「僕は差別の象徴として鬼を使うことが多いんです」という言葉が紹介されていたが、まさにこれなんぞはそれが如実に表れた、代表的な作品である。

 娯楽作品であるウルトラシリーズからテーマ性を見いだし、それをレポートとして提出させるこの授業に対しては賛否両論あることであろう。個人的には非常にユニークであるとは感じるものの、賛成でも反対でもなく、一個人の信条としてやっていることであるから安易に口出ししたくはないように思う。この授業は10年以上も続けられているらしいから(それを許す校風もスゴイ!)生徒や父兄からもそれなりに評判が高いのであろうし、以前この授業を受け、現在は高校生となっている少年が「映画とかを違う観点から観るようになった。何を伝えたいのかなって」と語っていたことから、それだけでも十分に成果をあげているとはいえないだろうか。

 神谷氏がこの授業を続ける理由として、「ひとりひとりがヒーローになるということ」がテーマにあるようだ。ウルトラマンを頼りにせず、自分自身がヒーローになってほしい。『怪獣使いと少年』と同じく上原正三が書いた『帰ってきた』第51話(最終回)『ウルトラ5つの誓い』において、次郎少年がラストで砂浜を走りながら、帰還する新ウルトラマンに叫んだ「他人の力を頼りにしないこと!」が映像で紹介されたが、これを再現した『メビウス』には、やはりスタッフのそうした想いがあるのだと、筆者はつい最近まで信じて疑わなかったのだ。
 だが神谷氏のそうした想いとは裏腹に、「自分はこれだったら光輝くことができると思うものがあるかな?」との氏の問いに対し、「野球」「テニス」と答える生徒がいる一方で、「なんにもないかも」とズッコケて見せた生徒がいたことも事実である。特集のラストでヒーローについての街の声を紹介していたが(BGMは『ウルトラマンレオ』の挿入歌『星空のバラード』!)、「自分がなれたらええんやけど、そんなん絶対ムリやと思うわ〜」と語る大阪のオバチャン(笑)もいたことだし(「ヒーローになりたい?」と問われ、「ヒーローになれない。だって人だもん」と答えた、まるで第2期ウルトラに登場しそうな冷めた幼児がいた・笑)、やはり誰もがヒーローになれるわけではないのである。
 だからまあ、『メビウス』を観ればどんなヘボヘボな子供でも未来に希望が持てる、とでも解釈できそうな文章を書いてしまった筆者であるが、『メビウス』を観ることで不器用で控え目な子は対外的人格には自信がなくても、それ以外の特殊な技能でなにか自信がつくものを見つければいいなとか、『ドラえもん』に登場するジャイアンみたいなガキ大将タイプの子であれば、個性の違うメンバーたちの強い結束力を見て、自分より弱い子たちにも少し配慮や敬意を感じてくれればいいな、くらいに今は思います。

 あと今回の特集のサプライズとして、06年9月16日から松竹系で公開される『ウルトラマンメビウスウルトラ兄弟』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070128/p1)の名場面をほんの少しだけ紹介。『ウルトラマンタロウ』第33話『ウルトラの国大爆発5秒前!』、および第34話『ウルトラ6兄弟最後の日!』以来のことであるハヤタ、ダン、郷、北斗の連続変身がひと足先に拝めましたぜ! そして彼らが語るヒーローの条件とは……

ハヤタ(黒部進)「まず強いこと、そして優しいこと」
ダン(森次晃嗣)「こんなことを云ったら今の世の中笑われるかもしれませんが、やはり正義感」
北斗星児(高峰圭二)「優しさだけではなく、厳しさ」
郷秀樹(団時朗)「世の中が正しいと決めつけるようなものに対して戦っていけること」

 ちなみにミライ役の五十嵐隼士(いがらし・しゅんじ)が語るヒーローとは?

 「誰かを守る存在であり、最後まであきらめない!」

 そしてやっぱりというかなんというか(笑)、脚本家の市川森一(いちかわ・しんいち)先生も例によって登場! 06年7月11日から9月24日まで川崎市岡本太郎美術館で開催中の『ウルトラマン誕生40年の軌跡 ウルトラマン伝説展』の会場で筑紫哲也自身が氏にインタビューを行った。
 市川氏が「正義の味方の罪」を描いたと語る際に挿入されたのは『ウルトラマンA』第14話『銀河に散った5つの星』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060805/p1)における、異次元超人エースキラーゴルゴダの星でエースロボットを相手にする場面であった。以下のナレーションが「正義の味方の罪」を如実に象徴する!

 「今まで幾多の怪獣や宇宙侵略者を倒してきたウルトラ兄弟の武器が、彼らの最愛の弟であるウルトラマンエースを倒すために使われようとしていた!」

 さらに市川氏は「正義は仮面である」と語り、アメリカやイスラム原理主義をひきあいに、「仮面をつければどんな弱いものいじめをしても正義の行使となる」とする。これを象徴するのに最もふさわしいのが氏が書いた『A』第52話(最終回)『明日(あす)のエースは君だ!』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070429/p1)において、ゾフィ・初代マン・セブンのお面を付けた子供たちが遊牧星人サイモン星人の子供をいじめる場面かと思うのだが、なぜかこの映像はここでは使用されなかった(尺の都合だろうけど)。ただ同話の

 「やさしさを失わないでくれ。弱い者をいたわり、互いに助け合い、どこの国の人とも友達になろうとする気持ちを失わないでくれ。たとえその気持ちが何百回裏切られようと……それが私の最後の願いだ」

 なるエース最後のメッセージが紹介されたのはせめてもの救いである。
 あと市川氏は「ヒーローには2つのタイプがある」と語り、「私を助けてくれるヒーロー」「私が助けたいと思うヒーロー」があり、06年9月に任期が切れる小泉純一郎首相は「なんとなく頼りなく、応援したくなる。自分が支えなければ行政改革もできないのではないか」という大衆の想いに支えられ、まんまと後者のタイプにのっかったとしたが、エルヴィス・プレスリー邸を訪問した際に彼がプレスリーのマネをしたことを指し、「ヒーローが別のヒーローのマネをしたらおしまい」と語っていた。市川先生、おもろ過ぎるぞ(笑)。
 それにしても90分の放送枠の中で、こんな特集に3分の2もの時間を費やしてしまう『NEWS23』って本当に報道番組なのか? TV局か下請け製作会社の若い(中年?・笑)連中の企画だったのだろうが、いっそのこと『筑紫哲也ショー』にタイトルを変更した方が良いように思えるが(笑)。

*3:06年6月28日にポリドール映像株式会社から発売された『ウルトラファイト スーパーアルティメットBOX』(asin:B000CBNYCS)には新規撮影分に登場したウルトラセブン、アギラ、ウー、エレキングイカルス、バルタン、テレスドン、ガッツ、ゴドラ、ケロニアシーボーズ、キーラ、ゴーロンに『怪獣死体置場(モルグ)』(『ウルトラセブン』の第12話『遊星より愛をこめて』が欠番になったことから、これを抜き焼きした『ウルトラファイト』(70年)制作第45話『遊星の悪魔スペル星人』も同様に欠番となったため、差し替え分として急遽製作された回)のみに登場したゴモラをも加えたアトラクション用着ぐるみのヘタヘタ感を再現したソフビ人形が付属している。
 ただしこれバンダイ食玩によくあるような、僅か10センチ大のミニソフビであり、ソフビが付属しない通常版のDVDが税抜価格39800円であることを考えると、この限定版が税抜価格52800円というのはあまりのボッタクリである(ミニソフビセットが13000円ということになる!)。ナレーションの山田二郎(当時TBSの局アナ)みたく、「山師(やまし)ゴーロンの策略に、まんまとしてやられました」などとボヤきたくなるところだ(笑)。せっかく大枚はたいて買ったんだから、これをネタに、またなんかやろうか(爆)。

*4:60年に一度、地球に接近するハーシー大彗星に乗って宇宙旅行中、間違って地球に落ちてきたわんぱく宇宙人ピッコロが、ペットの飼育を禁止したアパートで太一が飼っていたウサギを大家(『帰ってきたウルトラマン』第30話『呪いの骨神(ほねがみ)オクスター』や、『ウルトラマンA』第30話『きみにも見えるウルトラの星』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061125/p1)、第43話『冬の怪奇シリーズ! 怪談・雪男の叫び!』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070224/p1)、『ウルトラマンタロウ』第8話『人喰い沼の人魂』など、第2期ウルトラの常連ゲストであるチョビ髭とユーモラスな演技が印象的な故・大泉晃(おおいずみ・あきら)が演じた)が殺したことから激怒! 避難する群集に尖った鼻からミサイルの嵐を浴びせ、ZATの戦闘機コンドル1号が放ったミサイルを巨大なハンマーで全て打ち返し、街に壊滅的な打撃を与える!
 ピッコロ自体は童話『ピノキオ』の主人公を模した、木彫りの人形のような造形物に派手な赤い衣装を着せたものであり、怪獣というよりむしろどこかの企業のマスコットキャラのようであるが、その怒りに燃えた破壊描写はすさまじく、ギャップの激しさには慄然とするものがある。
 「ウルトラマンタロウ! こんなくだらぬ星、腐った心の地球人、よく守っているな!」と叫ぶピッコロ(そして太一はウサギを殺された悲しみのあまり、「ウルトラマンタロウなんか負けろ! 負けろ!」と叫んでいる!)に対し、「少ない悪人のために、多くの良い人を見捨てるわけにはいかないんだ!」というヒロイズムにあふれたタロウのセリフが最高である。
 「たかだかウサギを殺したくらいでここまでやるか?」などと批判するマニアは多いであろうが、『メビウス』第1話『運命の出逢い』でも、のちにGUYSのメンバーとなる民間人の若者たちが危険をかえりみずに必死で助けたのは保育園で飼育されていたウサギだった。「小さな生命をも愛する心」という『タロウ』との共通項からもまた、筆者は『メビウス』に大いなる魅力を感じるのである。