假面特攻隊の一寸先は闇!読みにくいブログ(笑)

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ウルトラマンダイナ27話「怪獣ゲーム」・30話「侵略の脚本」・33話「平和の星」ほか 〜中盤合評1


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ウルトラマンダイナ 〜中盤評1

YAT(ヤット)安心??? 宇宙開拓 〜スーパーGUTSはこう活かせ!

(文・摩而ケ谷行久)

#10「禁断の地上絵」

 少し古い話になりますが、念力種族ゼネキンダール人の回(10話「禁断の地上絵」)で、防衛隊・スーパーGUTS(ガッツ)のカリヤ隊員はゲスト考古学者のアキヅキ博士に


 「たまたま負の遺産を発掘してしまったからといって研究そのものをやめないで欲しい」


 的なことを言っていました。


 そりゃまあ正論ではあるが何かが違うぞ、とずっと引っ掛かっていたのですが、ある日久しぶりに読んでいた漫画の古典『のらくろ』(1931・昭和6年〜)によってその引っ掛かりが何なのか分かりました。
 金鉱を探して山を掘っていたのらくろは間違ってトンネルの天井を掘り抜き列車に落ちて駅に運ばれてしまうのですが、トンネルのことをあやまりに行ったのらくろに対する駅長の受け答えが素晴らしいのですよ。


 「トンネルのほうはすぐになおしますからどしどし金をさがしてください」


 ……これだ!
 こういったポジティヴさこそが、『ウルトラ』を作劇的に縛ってきた悲観的アンチテーゼ編から本当に一歩前に進むための勝利のカギ((C)合体ロボットアニメ『勇者王ガオガイガー』(97年)の次回予告編)になるはずだ!


 つまり、あの状況でカリヤ隊員の言うべきは


 「それでもあなたは前に進んで下さい!(大意)」


 というような無責任に説教臭いことではなく
 (また博士が変なもの掘り出してヒドイことになったら今度はどう言えるというのだ)、


 「今度何か起こった時は我々が何とかします!」


 といった頼もしい実際論ではないのか、ということ。
 まあこれを言えるためにはスーパーGUTSにそれ相応の力があるというのが前提になるのですけど。



 ところでスーパーGUTSの持つ力は、旧ウルトラシリーズの防衛隊や前作『ウルトラマンティガ』(96年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20080913/p1)の旧GUTSとは少々違う性質を持つと思います。
 地球平和連合TPCによるネオフロンティア計画が各地の最前線で進められているあの世界においては、防衛隊である以上に『開拓者を事故や外敵から守るための危機管理装置』であることが重要です。
 だからこそ(番組開始当時における)最新鋭の高速(光速)機関ネオマキシマを搭載した戦闘機ガッツイーグルが主力装備だったり、旧GUTSと比較して兵器武装の色合いが強かったりするのでしょう。


 謎の現象を調査して事件を発見するといったことはむしろ外部にまかせて、あらゆる地点のSOSに武器持て駆けつける、つまりは即戦力に特化した軍隊色の強さがスーパーGUTSにはある(べきだ)と思います。
 これはひとえに『ティガ』の続編であり怪獣や宇宙人の脅威が認知されている世界に作られた組織というのが大きいのでしょう
 (ある意味過去の作品では組織の出自が問題にならないためそこに触れずに済んでいたという部分もある)。



 そういった事情を踏まえた上で彼らの活躍を見るとこれがどうにも頼りない訳ですな。SOSに間に合うほうが珍しいというのではあまりに物騒に過ぎて困りますぞ。
 というか本来なら地上にGUTS、宇宙にスーパーGUTS程度の装備があってもいいような世界ですよ。
 地球侵略などに来る悪い宇宙人が多数確認されているような状況下で全体に目の行き届かない宇宙開拓を始めちゃうというのがまずムチャであって、その絶対危険な計画の保安要員が地球防衛との兼任というのは、とりあえず見捨てられたのか俺たち? とか言って地球に対し独立を宣言、総人口の半数が死亡する大戦争に……
 とかいう未来が待ってるような気がしなくもありませぬ。


 まあもっともSOSに間に合っている大半の場合には事件にならないので放映エピソード外でちゃんと活躍しているとの見方も出来るでしょうが、視聴者にとってはエピソードが全て、とはさすがに言わないにしても「スーパーGUTSはよくやっている」的なイメージを定着させようとすることは必須でしょう。
 たとえ毎回ダイナによって解決してるのが実際であってもそれは描けるはずです
 (でなきゃそもそも『ウルトラ』にシリーズ化の体力があったハズがないのですし)。


 そういった意味でも時々プロの実績を裏付ける言動を隊員に希望、「怪しいと分かった途端に非番を返上して調査に入るナカジマ隊員」のようなちょっとした描写の効果をもっと大事にすべきではないでしょうかということで。

#25〜26「移動要塞(クラーコフ)浮上せず!(前編)(後編)」

 その点で大問題なのが、移動要塞クラーコフの前後編(25〜26話「移動要塞(クラーコフ)浮上せず!」)ですか。
 いくら極限状況とはいえ文民(特撮変身ヒーロー『七星闘神(しちせいとうしん)ガイファード』(96年・東宝)でシブい中野刑事を演じた友金敏雄氏!)に戦闘を強要するし(しかもさも当然そうすべきだといった風に怒りながら)、自爆を嫌がったら人非人扱いだし、こんな末期の帝国陸軍みたいのでいいのか!? あれを立派と描いてしまうのには抵抗ありますぞ。
 ちゃんと訓練を受けた戦闘技術の取得者はそうでない者とすでに立場が違うことを前提に置いて考えるというのが軍的モラルでしょう。


 まあこれは実のところ前作『ティガ』での「もう地球防衛軍の時代じゃない(今は地球平和連合TPCに改組されたのだ)」的発言のように、軍隊か否かの精神論・神学的な定義に神経質に汲々としていて、必要悪として認めて目的に見合った力を与えつつ相応の責任も求めるとかいった好戦でも反戦でもないイデオロギー抜きの現実的な議論が全然進んでない今の日本の自衛隊の状況ノリで、日常「有」事のあの世界を描く際に出てしまいがちな歪みだとは思うのですが。

#27「怪獣ゲーム」

 27話「怪獣ゲーム」の回も、スーパー必殺怪獣デマゴーグ(しかしなんて名前だ)を応援する子供たちにムキになって怒ってる場合じゃなく
 「馬鹿なこと言ってないで早く避難しなさい」
 とか大人の無理解を装いつつ最優先の行動に持って行くのがスーパーGUTSとしてのプロの仕事ってもんではないでしょうかと。いま思うとその辺りは実は旧GUTSのほうが手腕が上だった気もしますな。


 ちなみに余談ですがこの回、子供にとっては生まれるずっと前からある『ウルトラ』の最新バリエーションに過ぎないダイナより、自作オリジナル怪獣の代表のほうが圧倒的に自分たちのものでありそっちに思い入れるのは当然、というなかなか順当な皮肉が織り込まれてて単なるゲーム批判話と見るべきじゃないと思いますが、それなら宇宙人の侵略計画とかじゃなく初代『ウルトラマン』(66年)の二次元怪獣ガヴァドンみたく何となく誕生したのでも良かったのにとも
 (初代『マン』や『ウルトラマン80(エイティ)』(80年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971121/p1)なら絶対そうだったハズ)。
 『ダイナ』はバカ話とか多くやっているにも関わらず、意外とそういったおおらかさに欠ける気もします。

#33「平和の星」

 余談ついでに33話「平和の星」の回についても。
 精神のマイナスエネルギーを取られてイイ子になって、なぜ可愛がってた猫にあんな邪険なことするかなあ。
 いやまあこれは展開の都合論なのは分かりますよ。ただイイ子になるのならあの宇宙人の企みは永遠に闇に葬られたままだったことは明白ですし。しかしこのエピソードの描こうとしたテーマの前提を揺るがす描写には違いありますまい。
 『ウルトラマンエース』(72年)33話「あの気球船を撃て!」(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061218/p1)において生気を吸われると勉学に励むようになる子供など、ヒーローものではアリガチなネタですが。


 (編・後日付記:近年でも『西遊記』2006年版#10「時の国」(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070818/p1)で、肝を抜かれた悟空が向学心に目覚めるという描写がある(笑)。作り手もバカではないので判っていてあえてやってはいるのだろうけれど……)


 あと余談の余談ですが、この話も侵略モノにしてしまうのがどうも。
 前作『ティガ』第11話「闇へのレクイエム」(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19961202/p1)、47話「闇にさようなら」に登場したエボリュウ細胞に憎しみや怒りを増幅してしまう副作用があると判明していたのだし、ここはひとつその発展研究ということにして怪獣出現は予定外・想定外の出来事としたらどうだったかと
 (まあエボリュウ細胞関係の話はその後、『ダイナ』39話「青春の光と影」であったわけですが)。



 ともあれ今回は個人的に気になったスーパーGUTSの頼りなさに焦点を当ててみたのですが、実質の頼りなさでは旧作の防衛隊も大差ないのかもしれません。
 しかしそれが時に特に「感じられる」のには設定上それなりの要因も考えられると思うぞ、ということで。
 まあその感覚が主観であり普遍性があるのかとも少々不安ではありますが、そこはそれ、この文章自体もまた読者個々人にとっては主観の対象になるのですし、ってこれも余談。



 でも実は悪いのはスーパーGUTSではなく、あんな状況でネオフロンティア計画なんて始めちゃったTPCなのは明白なのですが。
 それでも新天地の開拓が人類の存亡に関わる緊急課題ということならば了解できるのですが、確かあの世界では地球上の公害やエネルギーその他の問題は解決しているという『ティガ』時の設定があり、「ネオフロンティア=夢」という描き方と最前線の現場のハイリスクさがどうしても相容れないという感が回を増すごとに強くなっています。


 しかしそれならなぜ初期編でそれが気にならなかったのかという重大な疑問が出てくるのですが、それはまた別の機会に。
 単に気付いてなかった以外の論法を練る時間を下さいということで。ではでは。


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊99年準備号』(98年8月15日発行)「ウルトラマンダイナ」中盤合評2より抜粋)


(編:本項タイトル「YAT安心〜」は、NHK教育で毎週土曜6時から放映されていたTVアニメ『YAT安心!宇宙旅行』(96年)からの引用……って『ティガ』のウラ番組やないけ・汗)


ウルトラマンダイナ 〜中盤評2

(文・ビオラン亭ガメラ

#27「怪獣ゲーム」

 『ダイナ』の「怪獣ゲーム」見ました?


 アニメやゲーム1日中やっててー、
 キムタク(木村拓哉)がTVでナイフふりまわしてたら、刺激されて買って人を刺してー、
 罪の意識もまったくない世代のー、
 僕としてはー、
 同感せざるをえない内容でしたー


 ……って ナメルなーっ!!
 フ・ザ・ケ・ン・な・よ!!


 何か? ゲーム(特に『ポケモンポケットモンスター)』(97年))やってる子供は皆善悪の区別がつかないか?
 ゲームでしかコミュニケーションとれないか?
 野球やってりゃ健全か?
 ああ? おいおいおい、オタク文化の一つである『ウルトラ』が、そんなそこらの無知なマスコミが書きたてるようなそんな単純バカな内容にしちまうかなぁ?


 たしかにゲーム1日中やってたらキチガイじみてくるかもしれん。でも、まずそんな奴いないよ。子供だったらなおさら。
 やりすぎてたら親がしつけりゃいい話だし。
 ゲームやってるから善悪の区別がつかんというリクツ、私にはまったくわかりません。


 ゲームでしかコミュニケーションがとれない、そりゃ情けないことでしょう。でも悪いことではないと思う。
 何の取り柄もない人がゲームを通してコミュニケーションとれるんなら、それはそれで良いんじゃないの? 情けないかもしれないけど、いいじゃない、別に! それで友だち作れるならいいじゃない! そんなにマズいことですか?
 野球やってりゃ健全? エラーすりゃイジメられるのと違います?
 こういうテーマをあつかうんだったら、もっと違った見せ方をしてほしかったですねー。何か違う気がする。


 前半、主人公アスカが宇宙人におそわれたり、リョウとアスカで潜入捜査するシーンなんかは単純に面白かったのだが……あのままのノリで終わらせてほしかったなぁ。

#33「平和の星」

 う〜ん……どう?(笑)
 演出こりまくりの小中和哉カントクでしたね〜。
 話としては別にすばらしくいいとは思わなかったけど。あれ普通に撮ったら割と普通の話でしょ?
 なんかヒーローものをみているというより『日テレ土9』とか深夜の特撮番組『真・女神転生デビルサマナー』(97年・円谷映像)とか見ている印象受ける。
 タマにはこんなんもいいかなーと思うけど毎回やられたらはっきり言ってイヤだ。マニアは喜んでんだろうけど。


 戦闘機ガッツイーグルα(アルファ)スペリオル号初登場の回でやらなくてもよかったのでは? 新メカ登場の回はもっといつも以上に単純アクションものの回にしてほしい。
 「怪獣が東京全域に巣を作って完全マヒ状態! ダイナも苦戦! そんな時まだ完成途中のαスペリオル号に乗ってヒビキ隊長がやってくる!」
 みたいなありがちな話が見たかったなぁ……


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊99年号』(98年12月29日発行)「ウルトラマンダイナ」後半合評2より抜粋)


(編:キムタクのバタフライナイフ云々のTVドラマは『ギフト』(97年4〜6月・フジテレビ)。これに影響されて起きたとされる事件が、98年1月の中学1年生男子による栃木女性教師刺殺事件)


ウルトラマンダイナ 〜中盤評3

つまみぐいダイナ

(文・彦坂彰俊)
 以下、個人的なワガママでTVシリーズから選り抜き評

#30「侵略の脚本(シナリオ)」

 第13話「怪獣工場」(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971202/p1)に登場した、待ってましたの別名・知略宇宙人(笑)ことミジー星人逆襲編は、爆笑ギャグはもとより、むしろこの頃はやりの(?)メタフィクション的構造が秀逸な一編だ。


 お笑いコンビ・アゴ&キンゾー桜金造らが演じるミジー星人人間態が住む木造アパートの住人に、これまたコメディアン萩本欽一こと欽ちゃんファミリーの一員、『欽どこ欽ちゃんのどこまでやるの!?)』(76〜86年)で有名な見栄晴(みえはる)が怪獣ヒーロー番組の脚本家・ミカミ役で出演!
 クリエイターの物語として見ると、ひとつのストーリーがカタチになるまでの苦心や悲哀が身近に感じられる分だけ、初代『ウルトラマン』の制作舞台裏を題材にした『ウルトラマンティガ』(96年)第49話「ウルトラの星」(脚本・上原正三)よりもよほど心に響くものがあるというか……
 (あちらは気取りが感じられて個人的にどうもねぇ。もっともこちらは『ウルトラセブン』(67年)〜『ウルトラマンエース』(72年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070430/p1)を支えた脚本家・市川森一(いちかわ・しんいち)の苦労話に通ずる雰囲気があるような)。


 部屋の貼紙に書かれた文句がイチイチ芸コマだったり(「お前は人間を書け!」←オォッ!)、ストーリーの展開上で御都合に設定した武器について現実に即した原理・機能の解説を求められたり、ヘンなところ地に足ついたリアリティーや現実と虚構の隔絶を逆手にとった鋭いツッコミが効きまくりで、ナカナカに隙がないあたりは感心してしまう。


 とはいえミジー星人の逆襲実行段階以後の展開にはもうひとひねり欲しかった気もするけど
 (今一歩のところまで追い詰めながら些細な計算ミスで自滅パターンとか、予想外の展開から勝機が舞い込み対処に困ってる間にやられちゃうとか)。


 内輪ネタで恐縮だが特撮同人ライター・仙田冷センセが酒席で言ってた、ミジー星人三人組を使った『ウルトラセブン』第37話「盗まれたウルトラ・アイ」(母星に見捨てられた女性侵略宇宙人の悲哀)の90年代版シニカルパロディーってアイデア。再逆襲編でぜひとも見てみたいものです(笑)。


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊99年準備号』(98年8月15日発行)「ウルトラマンダイナ」中盤合評6前半より抜粋)


ウルトラマンダイナ 〜中盤評4

#37「ユメノカタマリ」〜#48「ンダモシテX」寸評

(文・久保達也)

#37「ユメノカタマリ」

 前作『ウルトラマンティガ』(96年)の第1話(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19961201/p1)で「地球の環境問題は全て解決した」と語られていたような気がする。それなのにナゼこうもエコロジー・テーマの話が続出するのか?
 まして街中にゴミがあふれているとは何事か?(どこが解決してるんだっ!!) 大いに矛盾を感じるぞ。
 ゴミ塊物ユメノカタマリがどんどん巨大になっていく様は『ウルトラQ』(66年)の風船怪獣バルンガを連想させ、映像的には面白いと思ったけれど……

#38「怪獣戯曲(かいじゅうぎきょく)」

 (http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971209/p1
 バロック怪獣ブンダーの都市破壊の描写は絶品であった。
 しかし何なんだ、このワケのわかんねえ話は。(戯曲なんだから舞台でやってれば?)
 映画『ウルトラQザ・ムービー』(90年)を思い出してしまったぞ。(しかしあれもどこが『ウルトラQ』なんだか?)


 余談であるが『ウルトラQザ・ムービー』のビデオソフトがレンタル開始された際、「小さなお子様には理解できませんので、怪獣を見たいのであれば他の作品をお選びになった方が良いかと思います」なんて店長による注意書きが添えてあって思いっきり笑わせてもらったものである……

#39「青春の光と影」

 ゲストのフドウ・ケンジ役の吉田友紀(よしだ・とものり。大ヒット児童ドラマ『俺はあばれはっちゃく』(79年)や『電脳警察サイバーコップ』(88年)の共に主役)って変わんねえなあ。ただそれだけであった。
 しかしいくら若々しいからと云って、1・2話で主人公アスカと争った訓練生時代のライバルことフドウ・タケルの弟役というのはキャスティングにあまりにも無理があるのでは? 確か彼は昭和41年生まれで私と同い年のハズだぞ!
 (編:実年齢はともかく、童顔(?)だからあまり違和感なかったと思うぞ・笑)

#40「ジャギラの樹(き)」

 宇宙植物ジャギラって前作『ティガ』45話『永遠の命』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19961206/p1)の超古代植物ギジェラの逆さ読みか?
 まあそれはともかく、ひとつの山村(あるいは漁村)を舞台にした話ってウルトラシリーズに限らず、必ず村民が洗脳されて集団暴徒化するなんて描写があり、「オイオイまたかよ〜」と思って前半はダレて見ていた。
 ただ後半、ゲストの紀子を必死で取り戻そうとするナカジマ隊員の姿には個人的に大いに燃えるものがあった。
 でもこれで2人が結婚して次回作でガキを連れて再登場なんてことになったらイヤだなあ、やっぱし。
 板谷佑三子(いたや・ゆみこ。80年代中盤のアイドルグループ・セイントフォーでメガネかけてた地味なコだったが、あんなにキレイになるなんて)みたいなタイプは好きなので、また出て欲しいとも思うし……複雑な心境である。

#41「ぼくたちの地球が見たい」

 第20話『少年宇宙人』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971208/p1)同様、泣ける話であった。
 子供が話の中心になろうが良いものは良いのである。
 (ちなみに『ティガ』の中では、特撮雑誌『宇宙船』等でベテラン特撮ライター中島紳介が酷評していた46話『いざ鎌倉!』が最も好きである)
 ただ問題なのが宇宙大昆虫ダイオリウス。
 宇宙怪獣であれだけ昆虫そのまんまの姿っていうのは如何(いかが)なものか? 本作脚本家の太田愛は「怪獣の姿形が決まらないとホンが書けない」と語っていたが、あの虫からどうやってこんな感動巨編を思いついたのか? 大いに謎である(笑)。

#42「うたかたの空夢」

 (http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971210/p1
 空夢どころか私には悪夢としか云いようのない回であった。
 「スペシウム砲」と聞いた途端、思わずゾッとしたが、『ティガ』の悪質宇宙人で再登場したレギュラン星人のアホバカ振り、名古屋の中京テレビ(日本テレビ系)の深夜番組『今甦る! 昭和ヒーロー列伝』(93〜96年)内の特撮番組『セーラーファイト!』みたいな巨大ロボットの登場、ギャーギャーわめく山田まりや演じるマイ隊員、センスのないパロディ、「ひっこめ!」と言いたくなるGUTS隊員の総登場、ボケるダイナ……
 私をパニックに陥れるには充分過ぎる内容であった。こんな個人的趣味ムキ出しの世界にはとてもではないがついていくことができない。
 川崎郷太監督、こんな話は自分の頭の中だけでやって下さい!!
 でもまあ、『ティガ』『ダイナ』大好きなマニアはTVの前で大喜びしたんだろうなあ、きっと……

#43「あしなが隊長」

 『ティガ』にて1話・18話と2回登場したときは、超古代怪獣ゴルザに関しては別に何とも思わず、「どこが『ティガ』界の怪獣レッドキングなんだ?」と疑問であった。
 しかし今回の暴れっぷりは実に迫力があって楽しめた。ただ再々登場の必然性があまり感じられないなあ。


 それにしても『あしなが隊長』とは実にしまらないサブタイトルである。『ティガ』『ダイナ』共に第1期ウルトラを意識してか、妙に短くまとめたサブタイトルが多いが、『ティガ』28話『うたかたの…』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19961204/p1)なんて「何のこっちゃ?」「明治時代の森鴎外の小説の題名のパクリか?(笑)」と思ってしまう。
 まあ『ティガ』の場合はシリーズ全体が抽象的だからそれでも良いか……(第50話『もっと高く!』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19961207/p1)とか、正直クサいサブタイトルだと思う)

#44「金星の雪」

 宇宙球体スフィアって一体何でしたっけ? ついでにエボリュウ細胞って何だったっけ?
 『ティガ』『ダイナ』って以前登場したキャラクターやアイテムが物語の重要なカギとして突然再登場したりするが、半年前後も放置してから再登場するのが多くて困ってしまう。小さな子供たちがもう忘れていそうな時期に、さして説明もなしに再登場するのはマズイのではないか?
 それにしてもスフィアって1・2話以来いつ出て来たのか……と考えている内に終わってしまった!
 (編:#35「滅びの微笑(前編)」にしか出現してません・汗)

#45「チュラサの涙」

 『ティガ』49話『ウルトラの星』で個人的には思いきり失望させてくれたベテラン脚本家・上原正三(うえはら・しょうぞう)が、恩師である円谷プロ2代目社長・円谷一つぶらや・はじめ)の息子である、上原も全話の脚本を担当した東映メタルヒーロー宇宙刑事シャイダー』(84年)でも主演した俳優・円谷浩(ミヤタ・セイジ参謀役)にスポットを当てた作品だが、今回はあまりに平凡過ぎて……
 SF洋画『プレデター』(87年)の怪物プレデターを思わせる宇宙超獣トロンガーが印象に残るくらいだ。
 (編:ちなみに、プレデターのデザインは誰がどう見ても、本邦『電撃戦隊チェンジマン』(85年)の敵幹部・副官ブーバ(デザインは多分、出渕裕)のパクリである・笑)

#46「君を想う力」

 何かここまで来ると「怪獣の出てくるトレンディドラマ」といった感がある。
 (編:本作は円谷一夫社長(当時)がお好みのTVドラマ『白線流し』(96年・フジテレビ)と同じ、長野県松本市を舞台にすることから構想された)


 今回の怪獣・恐怖エネルギー魔体モルヴァイアはデザイン・造形が私には実に魅力的だったので、出てきたと思ったらスグに倒されちゃったのには大いに不満が残る。
 他愛のない恋愛茶番劇よりもモルヴァイアの活躍する姿がもっと見たかった。こんな話ならもっとしょーもない怪獣でも良かったはずである。実にもったいない。


 しかし本話の脚本家である右田昌万(みぎた・まさかず)って何考えてんだろう? 確かに金城哲夫(第1期ウルトラのメインライター)も出たがりであったが、あくまでエキストラ程度の役回りでしかなかったハズ。それが事もあろうにリョウの相手役とは……きっと自ら志願したのであるに違いない(出す方も出す方だが……)。
 こんなのに出てるヒマがあったらまともなホンを書いて欲しい。
 (編註:円谷プロファンクラブ会報によると、出演は円谷プロ社員(当時)でもある右田センセイの志願によるもの。右田センセイは演劇畑出身。オタク上がりではないのである)。

#47「さらばハネジロー」

 私事で恐縮だがこれの放映日の前日、私は子ネコを拾い、タイマー録画したビデオ(相変わらず『ダイナ』放映日の土曜日は働いています。転職しましたけど……)はこいつをヒザの上に乗せて見ていた。


 迷子珍獣ハネジローと子ネコの姿が私にはダブって見えて仕方がなく、「ボク行ク〜〜ッ」(突然日本語を喋ったのは不思議で仕方がないがこの際許す!)なんて云われたときはもう涙ボロボロで思わずネコを抱き締めてしまったものだ。
 『快獣ブースカ』(67年・円谷プロ)第47話(最終回)『さようならブースカ』と同じくらい感動したぞ!!
 いっそのことネコにハネジローと名付けようとしたが、両親の猛反発をくらい、神秘的な瞳が印象的な奴なので、魔法少女アニメ『魔女っ子メグちゃん』(74年)からもらって「メグ」と命名した。(何でやねんっ!!)

#48「ンダモシテX(エックス)」

 待ってましたの、おたく俳優・京本政樹さん! 『ティガ』終盤にゲスト出演した際の月面基地隊長ハヤテ・シン役にて、コスモアドベンチャー部隊の隊長に栄転して再登場!
 今回は原案も彼によるものだそうで、その才能には思わず頭が下がります。いっそのこと彼をメインライターにしてみたら?


 しかしTBS金曜ドラマ人間・失格〜たとえばぼくが死んだら』(94年)のイジメで自殺した息子の復讐する父役などで役者づいて今や大家となっている赤井英和(元プロボクサー)がよく出てくれたものだ。彼のキャラクターは今回のような人情話・ハートウォームな作品には見事に調和していた
 (彼による怪獣攻撃チームの隊長役の姿も見てみたい気がする)。


 あと、いとうまい子とフッくん(あえてこう書く。もちろんコウダ副隊長こと元シブがき隊・布川敏和)のツーショットは、80年代中期のアイドル全盛の頃を知る自分としては妙に感慨深いものがあった。
 とにかく最初から最後まで何の文句もなしに楽しめた希有な作品である。


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊99年号』(98年12月29日発行)「ウルトラマンダイナ」後半合評5前半より抜粋)



ウルトラマンダイナ(7) [DVD]

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(#25〜26「移動要塞浮上せず!」・#27「怪獣ゲーム」収録)
ウルトラマンダイナ(8) [DVD](#30「侵略の脚本」収録)
ウルトラマンダイナ(9) [DVD](#33「平和の星」収録)
ウルトラマンダイナ(12) [DVD](#45〜48)



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