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ウルトラマンダイナ 〜創作脚本1「歪んだ愛の果てに……」 〜江藤直行センセイ・切通理作センセイのお墨付き!?


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(文・久保達也)
(1997年秋執筆)

ウルトラマンダイナ』創作脚本1「歪んだ愛の果てに……」

妖艶宇宙人ヴェンデッタ星人
寄生怪獣ジェラシウス 登場


1 新宿・繁華街(昼)

 若者や家族連れで溢れる歩行者天国


 久々の休暇を満喫している私服姿のリョウ(スーパーGUTS(ガッツ)女性隊員・ヒロイン)。


 母親に手を引かれた可愛らしい女の子とすれ違う際に目が合い、思わず手を振るリョウ。


 リョウ、束の間の平和の中を歩き続ける。


 やがて、人々の騒ぎ声が聞こえてくる。


 とあるビルの下に人々が群らがり、口々に何か叫びながら、屋上の方を見上げている。


 不審に思い、駆け寄るリョウ。


 見上げると一人の若い女性が立ちつくしている。

2 とあるビルの屋上(昼)

 悲壮な表情の女性(ヨウコ・27才・リョウの友人)が騒いでいる群衆をボーッと見つめている。

3 とあるビルの前(昼)

 リョウ、女性が自分の友人であることに気付く。


リョウ「(驚いて)ヨウコ!?」


 ビルの中に駆け込むリョウ。

4 とあるビル・1階

 エレベーターが運行中で使えず、階段を全速力で駆け上がっていくリョウ。

5 とあるビルの屋上(昼)

 非常扉を開け、駆け込んでくるリョウ。


 ハッと気がつき、振り返るヨウコ。


 少し距離を置いて会話する二人。


ヨウコ「(弱々しく)リョウ……」


リョウ「ヨウコ、アンタどうしたの?」


ヨウコ「(涙を流しながら)今までありがとう………サヨナラ………」


 向きなおり、身を投げるヨウコ。


 慌てて駆け寄り、大声で叫ぶリョウ。


リョウ「(落下していくヨウコに)ヨウコ〜ッ!!!」

6 空中(昼)

 ビルの屋上から落ちていくヨウコ。


 次の瞬間、空に一条の光が走ると、ヨウコの身体を包みこみ、そのまま消滅してしまう。

7 とあるビルの前(昼)

 何が起きたのか判らず、唖然とする群衆。

8 とあるビルの屋上(昼)

リョウ「(少しうろたえて)ヨウコ……(空を見上げる)」


 最早(もはや)空には何も無く、雲が浮かんでいるばかりである。

9 寝室

 ベッドに横たわっているヨウコ。


 やがて目を覚まし、ゆっくりと起き上がる。


 まるで見覚えの無い部屋である。


 ヨウコ思わず周囲を見回し、ふと気がつくと、傍らに四十才前後の美しい女性が立っている。


 女性の顔を不思議そうに見つめるヨウコ。


謎の女「(微笑んで)まだ若いのに命を粗末にしちゃダメよ」


 黙っているヨウコ。下を向いてしまう。


謎の女「一体何があったのかしら?」


 しばらくの沈黙の後、顔を上げ、口を開けるヨウコ。


ヨウコ「……あなたが……私を……?」


 微笑んでうなずく女。


ヨウコ「……どうして……どうして余計なことをしてくれたんですかっ!!」


 少し驚いた顔をする女。


ヨウコ「……死にたかったのに……
  (涙を流し)死にたかったのに……
  アタシみたいな女、誰も何とも思っちゃくれないっ!
  生きていたってしょうがないんだわっ!!」


 ベッドに泣き伏すヨウコ。

10 ヨウコの回想(幻想的な空間)

ヨウコ「ノブアキさ〜ん!」


 ヨウコのかつての恋人・ノブアキと、ヨウコの同僚・ミナが手をつなぎ、楽しそうに笑いながら走り去っていく。


ヨウコ「ノブアキさ〜ん!!」


 その声にノブアキとミナが振り向き、ヨウコの姿を見て侮蔑するかの様に笑い出す。大笑い……


ヨウコ「(絶叫)ノブアキさ〜ん!!!」

11 寝室

 涙も枯れ果て、疲れきった表情のヨウコ。


謎の女「今日はこのままお休みなさい。明日貴女(あなた)を素敵な場所に連れてってあげるわ。きっと元気になれるわよ」


 部屋の戸を開け、ヨウコの方を振り向く女。


 相変わらず微笑んでいる謎の女。


 戸が閉まる。


 やや興奮から冷めたヨウコ。


 ベッドに横になり、目を閉じるヨウコ。

12 女の住み家・外観(朝)

 眩しい太陽の光に照らされている西洋風の屋敷。

13 女の住み家・寝室

 カーテンが開けられ、ヨウコの顔に眩しい光が照りつける。


 ヨウコ、目を覚ます。


謎の女「おはよう。今日はとっても良いお天気よ」


 目覚めの悪い様子のヨウコ。


 傍らのサイドテーブルに朝食の用意がしてあるのに気がつく。


謎の女「これを食べたら一緒に出掛けましょう。
  あなたに相応しいお仕事が用意してあるの。きっと生きる希望を取り戻せるわ」


 部屋を出ていく女。


 ヨウコ、ひどい空腹に耐えられず、ガツガツと食べ始める。

14 女の住み家・外観(朝)

 門から出ていく高級車。

15 高級車・車内

 運転する女。助手席にヨウコ。


カーラジオ「昨日午後2時頃、新宿○丁目の△△ビル屋上から飛び降り自殺を図り、
  そのまま消息を絶った杉並区在住の会社員・イマムラヨウコさんは、警察の懸命な捜索にもかかわらず、未だに発見されておりません……」


 無表情のヨウコ。


 相変わらず微笑んでいる女。

16 ぺットショップ・店内

 裏口の戸が開き、女が、続いてヨウコが入ってくる。


謎の女「さあ、ここが貴女の再出発の場所よ」


 ヨウコ、周囲を見回す。


 犬、猫、ハムスター……様々な可愛い動物達がそこに居る。


 ヨウコ、童心に帰った様に目を輝かせる。


謎の女「あなたの様に、人間関係で疲れてしまった人にはこんな良い所は無いわ。
  この子達を世話するのは本当に大変だけど、慣れればきっと可愛くなってくるわよ。きっと心の安らぎを得られると思うわ」


 女の言葉にも上のそらで、次々に動物達を見て回るヨウコ。満面の笑顔……

17 スーパーGUTS本部・作戦室

 リョウ、ヨウコの勤務先に電話をかける。


電話の声(女)「ハイ、★★コーポレーションでございます」


リョウ「あのう、営業会計課のイマムラヨウコさんをお願いしたいんですけど」


電話の声(女)「あいにく本日は出社しておりませんが」


リョウ「そうですか。お忙しいところ失礼しました」


 リョウ、受話器を置く。


 レーダーを監視していたマイ(女性隊員)がリョウを振り向き、心配そうに彼女を見つめる。


 ヨウコの身を案じ、不安げな表情のリョウ。


 リョウの肩にそっと手を置くヒビキ(隊長)。


 そこに、ヨウコ消失の調査に出ていたコウダ(隊員)とアスカ(隊員・主人公)が戻ってくる。


ヒビキ「どうだった?」


コウダ「あの付近一帯を隅なく調査したんですが、何も怪しい物は発見出来ませんでした」


ヒビキ「不思議な光を目撃した人には会えたのか?」


コウダ「何人もの目撃者をあたったのですが、
  皆口を揃えて、光が女性を包みこんでそのまま消えたと言うだけで、何も確固たる証言は得られませんでした」


 二人の会話の間にアスカがマイに近寄り、ポケットからヌイグルミを取り出してマイに手渡す。


マイ「あっ、ブースカだっ! カワイイッ!!」


ナカジマ「(アスカに)お前どうしたんだよ、これ?」


アスカ「ヘヘッ、UFOキャッチャー」


 何かファイルをめくっていたカリヤ、呆れた表情で溜め息をつき、ファイルを閉じる。


ヒビキ「(怒鳴る)アスカァ〜〜ッ!!」


コウダ「お前、俺の目を盗んで何やってたんだっ!!」


アスカ「せっかく新宿に行ったんだもん、少し位遊んでかなきゃ損ですよ。
  あっ、オレ思うんですけどねえ、あの女の人ビルから落っこったんじゃなくて、そのまま天国に飛んでっちゃったんじゃないですかねえ」


 リョウ、つかつかとアスカに歩み寄り、「バシッ!!」と平手打ちを食らわす。


アスカ「(驚いて)何すんだよ〜っ!」


 リョウ何も言わず、つかつかと作戦室を出ていく。


アスカ「リョウの野郎、帰ってきたらブッ飛ばしてやるからな、畜生!!」


マイ「アスカ知らなかったの? 行方不明になったヨウコさんって、先輩の大の親友なのよ」


アスカ「何だってえ?」


 アスカ、リョウが出ていった方を振り返る。

18 ぺットショップ・店内

ヨウコ「(礼をして)ありがとうございました」


 買物を終えて店を出ていく母娘。


 ヨウコ振り向くと、謎の女と背広姿の若い男が話をしている。


若い男「いやあ、彼女趣味が変わっててねえ。
  前にもイグアナを飼ってたみたいで、何かこう、それっぽい物ありませんかねえ?」


謎の女「そうねえ。じゃあこれなんかは如何(いかが)かしら?」


 女、傍らのショーケースから一匹のトカゲ状の生物を取り出す。


 二人の様子をじっと見ていたヨウコもそれに注目する。


 ブルーがかった体色、全身に幾何学(きかがく)的な模様、不気味に光る赤い眼……これ迄(まで)には見たことの無い奇妙な生物である。


若い男「ウワア、いいなこれっ! よし、断然これに決めたっ! いくらですか?」


 買物のやりとりをする二人。


 じっとそれを見ているヨウコ。


 若い男、店を出ていく。


 ヨウコ、謎の女に歩み寄る。


ヨウコ「あのう、今の生き物……」


謎の女「(傍らのショーケースを指して)ああ、これ? ニューギニアの奥地に生息するトカゲの一種よ」


 ヨウコ、ショーケースを見る。


 十数匹の奇妙なトカゲがうごめいている。


 ヨウコ、その名前に注目する。


ヨウコ「ジェラシウス?」


謎の女「(トカゲを見ながら)このトカゲね、現地の人々からは災いをもたらすって恐れられているのよ。
  だから本当は仲むつまじいカップルにはお勧めしない方が良かったかしら?
  ま、私なんかはとっても可愛いと思うんだけど……ホホホ」


 じっとトカゲを見つめるヨウコ。


 赤い眼が不気味に光る……

19 ゼレット・車内(夜の住宅街を走行中)

リョウ「(心の声)ヨウコ、本当に何処に行ってしまったの?
  何をそんなに悩んでいたの? どうしてアタシに話してくれなかったの?……」


 通信機が鳴る。


マイの声「先輩、その付近に強い怪獣反応があります。注意して下さい!」


リョウ「了解(ラジャー)」


 リョウ、ゼレットを徐行させる。


 その矢先、闇を引き裂く怪しい悲鳴!


若い男の声「ギャア〜ッ!!(絶叫)」


 ハッとするリョウ。


 叫び声は、進行方向にあるマンションからの様だ。


 リョウ、ゼレットをマンションに急行させる!

20 マンションの一室

 「バタン!」と戸を開けるリョウ。


 その眼前で、人間大のトカゲの様な生物が、若い男(ペットショップで買物をした男と同一人物)に襲いかかろうとしている。


 ガッツブラスター(拳銃)を構えるリョウ。


 それに気付いた若い男がリョウに駆け寄り、リョウを制止する。


若い男「やめろっ! 撃たないでくれっ!!」


リョウ「そうはいかないわよっ!!」


若い男「違うんだっ! これは怪獣じゃないっ!
  ユミちゃんなんだっ!! ユミちゃんなんだようっ!!」


リョウ「何ですって!?」


 二人に襲いかかろうとするトカゲ。


リョウ「(若い男を外へ突き飛ばして)逃げてっ!!」


 ガッツブラスターを構えながら後退し、部屋の外に出るリョウ。

21 マンションの通路

 部屋の入口の戸を破って迫り来るトカゲ。


 リョウ、アタッチメントを交換してトカゲに発射する。


 「ドサッ」と前に倒れるトカゲ。


 物陰に隠れていた若い男がトカゲに駆け寄り、必死で揺り動かす。


若い男「ユミちゃんっ! ユミちゃんっ!!」


 トカゲ、ピクリとも動かない。


 若い男、リョウに喰ってかかる。


若い男「バカヤロウッ!! 何でユミちゃんを殺したんだっ!!!」


リョウ「(冷静に)安心しなさい。眠らせただけよ。
  ……それより、これがユミちゃんってどういうこと?」


若い男「(憔悴して)ああ……オレが今日買ってきた変なトカゲが彼女に取り憑いて、
  こんなに大きくなってしまったんだ……
  あのコ、ペットを飼うのが好きだったから……
  だからオレ……まさかこんなことになるなんて……(トカゲに泣きついて)ユミちゃん……」


 同情の面持ちで男を見守るリョウ。

22 スーパーGUTS本部・作戦室

コウダ「昨夜だけで同様の事件が三件発生しています。いずれも都内のあるペットショップで入手されたトカゲの様な生物が、人間に寄生して怪獣化したとの証言が得られています」


ヒビキ「何物なんだ、そのトカゲってえのは……マイ、何処か怪獣反応は見られるか?」


マイ「(監視していたレーダーからヒビキの方を振り向き)今のところ何もキャッチしていません」


ヒビキ「そうか。とにかくそのペットショップを徹底的に調査する必要があるな」


カリヤ「既にリョウが現地に向かっています」


アスカ「アイツ妙にはりきってやんの。
  (入ってきたナカジマに)
  あっ、ナカジマ隊員、怪獣になっちゃった人たちは元に戻せそうですか?」


ナカジマ「いや、あれはもう人間じゃないよ。完全に細胞の組織全体が怪獣化してしまってる。一体どう処分したら良いか……(深刻)」

23 メディカルセンター

 麻酔をかけられ、ベッドに横たわる三匹の人間大トカゲ。


 それぞれの傍らに恋人、家族……。


 人間時の名前を呼ぶ者。


 トカゲの手を握り締める者。


 頬ずりをする者……


 その痛々しい光景に、部屋の片隅でそっと涙を流す婦長のシンジョウマユミ……。

24 ペットショップの前(朝)

 停車したゼレットから、まだ開店しない店の様子を窺うリョウ。


 やがてシャッターが開き、開店準備の為にヨウコが出てくる。


リョウ「(驚いて)ヨウコ!?」


 慌ててゼレットから降り、ヨウコに駆け寄るリョウ。


 やや困った様子のヨウコ。


リョウ「(喜んで)アンタ無事だったのねっ!」


ヨウコ「リョウ……(下を向く)」


リョウ「良かった! でもどうやって助かったの?」


ヨウコ「(下を向いたまま)アタシにもわからないわ……(リョウから顔を背ける)」


リョウ「いつからここで働いているの?」


ヨウコ「(顔を背けたまま)昨日からよ……」


 店から例の女が出てくる。


謎の女「(ヨウコに)どうしたの?
  (リョウに気付き)あら、いらっしゃい。今日は何をお探しに?」


リョウ「……トカゲです」


謎の女「あら、そう。お入りなさい。色々居るわよ」


 手招きする女。


 リョウ、店に入る。

25 ペットショップ・店内

 店内を物色するリョウ。


 空になったショーケースを発見する。


リョウ「あの、この中に居た生き物は?」


謎の女「昨日全て売り切れてしまいましたのよ」


リョウ「ひょっとして眼が赤くて、全身が青くて、何か奇妙な模様のあるトカゲの様な動物ではありませんか?」


謎の女「ええ、よくご存じね」


リョウ「あれは何処から入荷したんですか?」


謎の女「さあねえ。私も先日亡くなった主人に代わってこの店を経営する様になったばかりだから詳しいことは……
  私が知っているのは名前がジェラシウス、ニューギニアの奥地に生息していて、現地の人々からは災いをもたらすと恐れられているってこと位かしらね」


リョウ「そうですか。どうも(軽く礼)」


謎の女「(微笑んで)又いらしてね」


 リョウ、店を出ようと振り向くと、いつの間にか店内に居たヨウコと視線が合う。


 リョウ、ヨウコの手を引っ張り、外へ連れ出す。

26 ペットショップの前(朝)

 リョウとヨウコが出てくる。


ヨウコ「あのトカゲ……どうかしたの?」


リョウ「昨日ここで売られたあのトカゲが原因で、三人もの人が怪獣になってしまったのよ」


ヨウコ「(驚いて)えっ!?」


リョウ「ヨウコ、こんな所に居たら危険よ。
  あの女だって正体が何だかわからないわ。私と一緒に来てっ!」


ヨウコ「(少し沈黙した後)イヤよ」


リョウ「(信じられない)どうして!?」


ヨウコ「あの人はアタシの命を助けてくれて、仕事までお世話してくれたのよ。裏切ることなんて出来ないわっ!
  ……それにアタシ、もう他に何処にも行く所なんか無いのよ……」


リョウ「ヨウコ……(茫然)」


ヨウコ「トカゲのせいで人間が怪獣になったなんて、アタシには関係の無い事よ……
  (寂しげに)アタシの事だって、誰も構ってくれなかった……
  (強い調子で)誰が死のうが、誰が不幸になろうが、アタシの知った事じゃないわっ!!」


リョウ「(呆れて)そう、わかったわ。アンタがそんな奴だとは思わなかった。
  結局自分の事しか考えてないのね。いつ迄も悲劇のヒロインで居ればいいんだわっ!!」


 冷たく言い放ち、ゼレットに乗り込み、発進させるリョウ。


 悲しげな表情で見送るヨウコ。


 店から出てきて、ヨウコの後ろで不敵に笑う、謎の女。

28 ペットショップ・店内

 例のショーケースの前で話す、ヨウコと謎の女。


ヨウコ「あのう、ここに居たトカゲですけど、確かまだ残ってたんじゃ……」


謎の女「ええ、まだ沢山居るわよ」


ヨウコ「じゃあ、どうして……」


謎の女「現地の人々が言った通り、あのトカゲが災いをもたらすってことがハッキリしたからよ。
  そんな危ない物をお客様にお売りする訳にはいかないでしょう」


 女、店の外でリョウがこちらを見張っているのに気付く。
 ヨウコ、リョウと目が合う。


ヨウコ「あのコ、まだあんな所に……」


謎の女「放っておきなさい。あの人もそれが仕事なんだから。
  でも可愛そうな人ね。いくら仕事とは云え、人に疑いをかけるなんて。
  人が人を信じることが出来なくなったら、もうお終いだわ。ホホホホッ……」


 ヨウコ、少し不機嫌な表情になる。

29 ペットショップの外(昼)

 店の様子をじっと監視するリョウ。


 ウイット(通信機)の通信音が鳴る。


リョウ「(ウイットを取り出し)こちらリョウ」


ヒビキの声「ヒビキだ。そっちの様子はどうだ?」


リョウ「今の所変わった様子はありません。しかし念の為夜までここを見張るつもりです」


ヒビキの声「わかった。充分に警戒してくれ」


リョウ「了解」


 ウイットを仕舞うリョウ。


リョウ「(心の声)今ヘタに動けば、ヨウコを巻き込むかも知れない。
  あのコが帰ったら、必ず奴の正体を暴いてやる」


 執念深く、謎の女を監視するリョウ。

30 夕暮れの情景

 美しい夕焼け空。


 「ワーッ」と元気に走る子供たち。


 彼方から電車の走る音が聞こえる。

31 ペットショップ・店内

 ヨウコの腕時計が5時をまわる。


 ヨウコ、そわそわとし始める。


 女がそれに気付く。


謎の女「どうかしたの?」


ヨウコ「……あのう、アタシこれからどうしても行かなければならない所があるんですけど、
  今日はこれで帰ってもよろしいでしょうか?」


謎の女「(微笑んで)いいわよ。ゆっくりしてらっしゃい。御夕飯の支度はどうしましょうか?」


ヨウコ「……あのう、それよりアタシ、お願いがあるんですけど……」


謎の女「(優しく)なあに?」


ヨウコ「……あのトカゲ、アタシどうしても欲しいんですっ!」


 一瞬「ギョッ!」とする女。


 彼女の顔から微笑みが消える。


ヨウコ「あれを頂ければお給料なんて要りませんっ!
  お願いです、(女の手を取り)トカゲを下さいっ!!(頭を下げる)」


謎の女「(微笑んで)いいわよ。でも一匹だけよ。
  それに貴女のお友達のお話だと、とっても危険な動物みたいだから、扱いには充分に気をつけるのよ」


ヨウコ「ありがとうございますっ!!」


 深々と、感謝の礼をするヨウコ。


 微笑んで、軽くうなづく女。

32 ペットショップの外(夕)

 店の入口から駅の方角に駆けていくヨウコ。


 それを見送るリョウ。


 次の瞬間、店のシャッターが閉まっていく。


 慌てて店に駆け込むリョウ。


 だが間に合わず、完全にシャッターが閉まる。


 リョウ、仕方無く店の裏にまわる。

33電車の中(夕)

 帰宅ラッシュで混雑している。


 ヨウコ、ドア付近に立ち、沈む夕日を眺めながら物思いに耽る。

34ヨウコの回想(車窓とオーバーラップ)

 ヨウコを嘲る様に笑っているミナの顔のアップ。


ミナ「アハハハハ……(高々とした笑い)」

35電車の中(夕)

 何かを決意した表情のヨウコ。


 ハンドバッグを大事そうに抱える。

36ペットショップ内・秘密の部屋

 薄暗い部屋。


 女の後ろ姿だけが確認出来る。


 壁の方に向かって、奇妙な呪文を唱え続けている謎の女。ガッツブラスターを女の背に向け、静かに背後から近づいていくリョウ。


 やがて、呪文が終わる。


リョウ「一体何のマネ?」


謎の女「(リョウに背を向けたまま)……この子達、私がこうしてあげないと、夜眠れなくて大騒ぎするから……」


 途端に赤い光が照らされる部屋。


 部屋の天井や壁にビッシリと張り付いた無数のトカゲ、トカゲ、トカゲ!! 赤い眼が不気味に輝いている。


 驚愕の色を隠せないリョウ。


リョウ「こいつらを使って、一体何を企んでいるの!? 侵略に来たの!?」


謎の女「(リョウに向き直り)侵略ですって? とんでもない……
  我々ヴェンデッタ星人は宇宙の守り神。この星を正しい方向に導きたいだけよ。その為にはどうしても、この子達の力が必要なの」


リョウ「どういうこと!?」


謎の女「これまで長いこと宇宙を旅したけれど、地球ほど人々が不公平に喘いでいる星は無かったわ……好き勝手に振る舞える者達は皆楽しい思いをしている。
  若者も、企業のトップも、政治家も……。でもその陰で、必死で努力しているのに全く報われず、虐げられた不幸な人々も大勢居る。貴女(あなた)のお友達の様にね。
  私はそんな人々を心から救ってあげたいと思っているのよ」


リョウ「よく言うわよっ! ヨウコを利用したクセにっ!!」


謎の女「(微笑んで)いいえ。私はあの娘を心底哀れに思っただけ。
  だからあの娘の幸せを願って、このジェラシウスを一匹差し上げたの」


リョウ「(驚いて)何ですってっ!!」

37 ★★コーポレーション本社ビル前(夜)

 玄関前で誰かを待ち構えているヨウコ。


 ヨウコの腕時計、6時15分。


 仕事を終え、続々と出てくる社員達。


 じっと玄関を見つめるヨウコ。


 やがてミナが現れ、ヨウコの姿に気付かず、サッサと歩いていく。


 ミナに駆け寄り、彼女の前に立ちはだかるヨウコ。


ミナ「(軽く笑って)ア〜ラ、アンタ今頃ご出勤? でも残念ね。もうアンタの机なんか無いわよ」


 キッ! とミナを睨みつけるヨウコ。


ミナ「(不機嫌に)どいてよっ! アタシ忙しんだからっ!!」


 ヨウコを払い退けて逃れるミナ。


 ヨウコ、ハンドバッグから何かを取り出そうとするが、車のクラクションの音に、思わず手を止める。


 二人の傍らに停車する高級車。


 運転席にノブアキの姿……


 ミナ、車に乗り込もうとして、ドアに手を掛ける。


ミナ「じゃあねヨウコ、バイバ〜イッ!」


 ヨウコ、すかさずハンドバッグからトカゲを取り出し、ミナに向かって投げ付ける!


 ミナの腕に絡み付くトカゲ。


ミナ「キャア〜ッ! 何よこれっ! 気持ち悪いっ!!」


 慌てて助手席に避難するミナ。

38 ノブアキの車・車内

 車内に逃げこんできたミナ。


ミナ「タドコロくん、何とかしてよっ!!」


 ミナの腕に顔を近づけるノブアキ。


ノブアキ「何だこりゃあ?」


 ノブアキ、トカゲを掴みあげようとする。


 その瞬間、トカゲの眼が怪しく光り、ノブアキに向かって「グワア〜ッ」と咆哮。


 思わず手を引っ込めるノブアキ。


 トカゲ、ミナの腕から勢いよく跳び上がり、ノブアキの顔に「ビタッ!」と張り付く。


 必死でトカゲを外そうとするノブアキ。


 だが声を出すことも出来ず、顔を覆ったままハンドルに倒れ込んでしまう。


ミナ「(ノブアキを揺り動かして)タドコロくんっ! タドコロくんっ!!」


 やがてノブアキの異常に気付き、顔が青ざめるミナ。


ミナ「キャアアアアア〜〜ッ!!!」

39 ★★コーポレーション本社周辺(夜)

 車から降り、必死で逃げるミナ。


 一部始終を目撃していたヨウコ、序々に変貌を遂げるノブアキに向かって叫ぶ。


ヨウコ「ノブアキさぁ〜んっ!!!」


ノブアキの車、突然爆発! 炎上!!


 爆風に吹き飛ばされるヨウコ。


 歩道に倒れ込み、起き上がろうとして仰天するヨウコ! 全長60メートルはあろうと思われる巨大なトカゲ=ジェラシウスがヨウコの眼前に出現する!!


 その巨大な前足に数台の車が衝突し、次々に爆発、炎上する。


 ヨウコ、大破したノブアキの車に駆け寄り、中の様子を覗う。


 ノブアキの姿、見あたらない……


 思わずジェラシウスを見上げるヨウコ。


ヨウコ「ノブアキさん……」


 ジェラシウス、★★コーポレーション本社ビルを木っ端微塵に粉砕する!!


 悲鳴をあげて逃げる人々。


 ジェラシウスを見上げ、茫然と立ち尽くしているヨウコ……

40 ペットショップ内・秘密の部屋

 睨み合う、リョウと謎の女。


謎の女「崩壊寸前のこの星を救う為には、皆平等になるしか無いの。
  この星の住人が全て私に従順になれば、何もかもがうまくいくわ……そう、私の言う事を素直に聞いていれば、何も間違いは起こらないのよ……
  いずれ貴女も私のペットになるのよ。ホホホ……その時はたっぷりと可愛がってあげるわね」


 不敵な微笑みを浮かべる謎の女。


リョウ「そんな勝手なマネ、絶対にさせないっ!!」


謎の女「私の一億総怪獣化計画、誰にも邪魔はさせないっ!!」


 女の胸のペンダントが発光し、強力なビームが発射される!


 すかさず発砲するリョウ!


 だが一瞬遅く、ガッツブラスターが女のビームに吹き飛ばされる!


 じりじりとリョウに迫る謎の女。


 間一髪、リョウの背後から光線が放たれ、女のペンダントを貫く!


 リョウ、背後を振り向く。


リョウ「(歓喜の声)アスカッ!!」


 ガッツブラスターを構え、謎の女を睨むアスカ。


 女の美しい顔が苦痛に歪む。


 膝がガックリと落ち、前に倒れ込む謎の女。


謎の女「……ジェラシウス……」


 妖艶な姿のまま絶命する謎の女。


 その瞬間、無数のトカゲの催眠が一斉に解かれ、四方八方からリョウとアスカに襲いかかる!!


アスカ「(トカゲを払い退けながら)ワアッ! 何なんだこいつらあ〜っ!!」


リョウ「(トカゲを払い退けながら)あの女、こいつらを使って地球全体を怪獣で埋め尽くそうとしていたのっ!!」


アスカ「(トカゲを払い退けながら)畜生〜っ! くだらねえこと考えやがってえっ!!」


 ウイットの通信音が鳴る。


ヒビキの声「アスカ! リョウ! 東京M3地区に巨大なトカゲが出現したっ! 至急応援に来るんだっ!!」


アスカ「(トカゲを払い退けながら)今それどころじゃねえんだよっ!!」


リョウ「……まさか……ヨウコが!?」

41 東京・M3地区(夜)

 空から攻撃するガッツイーグル(戦闘機)。


 それをものともせず、ノッシノッシと進撃を続けるジェラシウス。


 ビルの谷間に見えるその姿を、追いかけていくヨウコ。

42 ペットショップ内・秘密の部屋

 なおも襲いかかるトカゲの大群。


アスカ「(トカゲを払い退けながら)リョウ! ここはオレが何とかするっ! 怪獣の方を頼むっ!!」


リョウ「わかったわっ!」


 外へ駆けていくリョウ。


 トカゲの大群、アスカに集中攻撃をかける!


アスカ「ウワアアア〜ッ!!」


 アスカの全身がビッシリとトカゲに埋め尽くされる。


 倒れ込みながらリーフラッシャー(変身道具)を高く掲げるアスカ。


 眩い光がアスカを包む。


 ウルトラマンダイナ(等身大・フラッシュタイプ)登場!!


 変身と共に、彼の身体に張り付いたトカゲがバラバラと床に落ちる。


 なおも襲いかかるトカゲの大群を、ソルジェント光線で一掃するダイナ。


 トカゲ、遂に全滅する。


 ダイナ、東京M3地区にテレポーテーション!

43 東京・M3地区(夜)

 停車したゼレットから降り、駆けるリョウ。


 リョウの前方に、ジェラシウスを追いかけるヨウコの姿。


リョウ「ヨウコ!?」


 ヨウコを追いかけるリョウ。


 ジェラシウスを攻撃するガッツイーグル。


ヨウコ「(ガッツイーグルに向かって)やめてっ! やめてええ〜っ!!」


 ヨウコに追い着くリョウ。


リョウ「(ヨウコの肩をつかんで)ヨウコ何してんのっ! アンタどこまで人に迷惑かけたら気が済むのっ!!」


ヨウコ「(リョウの腕を払い退けて)あれは、あれは怪獣なんかじゃないわっ! ノブアキさんなのよっ!!」


 泣き崩れるヨウコ。


 茫然と立ち尽くすリョウ。


 その時、巨大な勇姿を見せるウルトラマンダイナ!!(フラッシュタイプ)


リョウ「(ダイナを見上げ、歓喜の声)ダイナッ!!」


 ヨウコ、泣き顔のままダイナを見上げる。


 空中高くジャンプし、ジェラシウスに急降下をかけるダイナ。


 ジェラシウス、長い尻尾をダイナの足に絡み付かせる。


 激しく地上に叩き付けられるダイナ。


 ダイナの上にのしかかるジェラシウス。


 ダイナ、ジェラシウスの顔に猛烈なパンチを浴びせる。


 その一撃にたまらず、ひっくりかえるジェラシウス。


 ダイナ、その隙にソルジェント光線でジェラシウスの尻尾を焼き切る。


 咆哮するジェラシウス。


 次の瞬間、ジェラシウスの尻尾が元通りになる。


 驚愕するダイナ!


 その時、ジェラシウスの眼がある一点に釘付けになる。


 逃げ切れずに物陰に潜んでいたミナを発見したのだ!


 ミナに向かって悲しそうに咆哮するジェラシウス。


ミナ「(ジェラシウスを見上げ、おびえながら)来ないでっ!! 来ないでよ〜っ!!!」


 全身の震えが止まらないミナ、思わず顔を伏せる。


 ミナに拒絶され、再び悲しげに咆哮するジェラシウス。


(M・ミュージック)荘厳に響き渡る「怪獣レクイエム」インストゥルメンタル(作曲・冬木透)。シーン45まで流れ続ける。
 (編註:『ザ☆ウルトラマン』(79年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971117/p1)の挿入歌。同作#12「怪獣とピグだけの不思議な会話」(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090719/p1)や、『ウルトラマン80(エイティ)』(80年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971121/p1)#15「悪魔博士の実験室」(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100808/p1)で城野エミ隊員が実験怪獣ミューのために歌った子守歌で有名)


 すっかりおとなしくなってしまうジェラシウス。

44 ガッツイーグル・機内

 ヒビキ「今だっ!!」

45 東京・M3地区(夜)

 強烈なビームをジェラシウスに浴びせるガッツイーグル。片眼に命中、爆発!


 ジェラシウス、怒りの咆哮!


 もう一方の眼から破壊光線をガッツイーグルに浴びせる。


 かろうじて逃れるガッツイーグル。


 前にも増して凶暴になるジェラシウス、猛然とダイナに襲いかかり、激しい肉弾戦になる!


 ダイナのカラータイマーが点滅!


 両者の激闘にたまらなくなり、ダイナの足元に駆けていくヨウコ。


リョウ「(呼び止めようと)ヨウコッ!!」


 ダイナに向かって叫ぶヨウコ。


ヨウコ「お願いっ! やめてっ! それは怪獣なんかじゃないっ!!
  アタシの一番大事な人なのっ!! だからお願いっ!! 彼を殺さないでええ〜っ!!!」


 ヨウコの悲痛な叫びを聞き、躇めらう様子のダイナ。


 ジェラシウス、ヨウコに向かって怒りの咆哮をあげ、巨大な前足でヨウコを踏み潰そうとする。


ヨウコ「キャアアア〜ッ!!!」


 大地に伏せるヨウコ。


 駆け寄るリョウ。


リョウ「ヨウコォ〜〜ッ!!!」


 ダイナ、背後からジェラシウスを羽交締めにする。


 必死でもがくジェラシウス。


 リョウ、その間にヨウコを抱き上げ、そのまま走り去る。


 ダイナ、二人の無事を確認すると、ジェラシウスを頭上高く抱え上げ、そのまま宙に飛び去る。


リョウ「(空を見上げ、つぶやく様に)ダイナ……」


 リョウの腕の中で、目を開けるヨウコ。


ヨウコ「(空を見上げ、つぶやく様に)ノブアキさん……」


 ジェラシウスを運び、ゆっくりと空の彼方に消えていくダイナ。

46 宇宙空間

 地球を飛び出してきたダイナ。


 ジェラシウスを運び、そのまま飛行を続ける。


N(ナレーション)「ダイナがジェラシウスを何処に連れていったのか……(シーン47に続く)」

47 新宿・繁華街(昼)

N「(シーン46から続いて)その後ジェラシウスがどうなったのか……それは誰も知らない」


 相変わらず多くの人々で溢れる歩行者天国


 その中をトボトボと歩いているヨウコ。


 前方からミナが新しい彼氏と楽しそうに歩いてくる。


 じっと二人の姿を見つめるヨウコ。


 ミナ、ヨウコに気付かず、通り過ぎる。


 振り返り、二人の後ろ姿を目で追い続けるヨウコ。


 ヨウコやがて向き直り、歩き出そうとすると、すれ違った若い男と肩がぶつかる。


 振り向きもせず、そのまま行こうとするヨウコだが、男が彼女を呼び止める。


若い男「おいオマエ、確か……?」


 振り返ったヨウコの前に立ちはだかる男。


若い男「やっぱりそうだっ! あそこに居た女だっ!!」


 ヨウコ、男の顔に見覚えがあるのに気付く。(以前あのペットショップに買物に来ていた男だ……)


若い男「(ヨウコの胸倉を掴み上げ)貴様、よくこんな所を堂々と歩いてられるなっ!!
  よくもユミちゃんを怪獣にしやがって!! 貴様もあんな風にしてやるっ!!!」


 「何事か?」と周囲に群がる人々。


 若い男、ヨウコを張り倒す。


 路上に倒れ込むヨウコ。


 傍らに居た中年の紳士がヨウコを抱き起こす。


中年の紳士「キミ、大丈夫かね?」


 だがヨウコの顔を見て愕然とする紳士。


中年の紳士「キミ……イマムラ君じゃないかっ!!」


ヨウコ、紳士が自分の上司であることに気付く。


ヨウコ「カツマタ部長……」


中年の紳士「今まで何処をほっつき歩いていたんだっ!!
  話は聞いたぞっ!! ウチのビルをブッ壊した怪獣は、キミが連れてきたんだってなっ!!
  優秀な社員を何人も失って、ウチはエライ大損害だっ!!
  どう責任をとるつもりなんだっ、エッ!!(ヨウコの肩を突き飛ばす)」


 周囲がざわめき始める。


 群集に向かって叫ぶ若い男。


若い男「みんな聞いてくれっ! (ヨウコを指し)こいつは怪獣使いなんだっ!!
  オレの彼女を怪獣にしてしまったのも、巨大な怪獣で街をメチャクチャにしたのも、みんなこいつの仕業(しわざ)なんだっ!!!」


 騒然となる群集。


 「バカ野郎!」「人殺しっ!」「娘を返してっ!」などとヨウコを罵倒する声があがり、何人かがヨウコを取り囲んで袋叩きにしようとする。


 そこに通りかかる一組のカップル。


カップル(女)「ネエ、ナニアレ?」


カップル(男)「カンケエネエヨ」


 その場を去っていくカップル。


 路上にうつ伏せに倒れているヨウコ。


 やっとの思いで顔を上げ、上半身を起こしかける。


 ヨウコの眼前に、ソフトクリームを手にした、5才位の男の子が立っている。


 ヨウコと男の子、視線が合う。


 次の瞬間、男の子が手にしたソフトクリームをヨウコの顔に投げ付ける!


 「ビチャッ!!」


男の子「バア〜〜カッ!!!」


 周囲からドッと嘲笑の渦。


 男の子に慌てて駆け寄る若い母親。


母親「たっちゃん! 何てことするのっ! アンタも怪獣にされちゃうわよっ!!
  危ないから早く行きましょっ!!!」


 男の子の手を強く引っ張り、ヨウコから逃げていく若い母親。


誰かの声・A「ああそうだそうだ。オレ達も怪獣にされちゃかなわねえや」


誰かの声・B「行こうぜ行こうぜ」


誰かの声・C「あ〜コワ〜ッ」


 口々にその場を離れていく群集。


 ヨウコ、ゆっくりと立ち上がり、顔をハンカチで拭いながら、フラフラと当ても無くさまよい歩く。


 すれ違う人々、ヨウコを露骨に避ける。

48 スーパーGUTS・作戦室

 沈んだ表情のリョウ。


 心配そうに彼女を見つめる一同。


マイ「でも、なんでだろう?」


アスカ「何が?」


マイ「なんでヨウコさんのトカゲだけが、あんなに巨大になっちゃったのかしら?」


 アスカ、おどけたジェスチャーで「わかりませ〜ん」と表現する。


ヒビキ「きっと彼女の持つ恨みや妬みの気持ちが、あのトカゲに乗り移ってしまったんだ。
 この世で最も恐ろしいのは、怪獣にすら力を与えてしまう程の強力なエネルギーを秘めた、人間の心の奥に潜む、暗い闇なのかも知れない」


 わかった風にフンフンうなずいているアスカ。


 マイ、背後からそっとリョウを見つめる。


リョウ「(沈痛)ヨウコ……」


 遠くを見つめ、涙するリョウ。

49 公園(夕)

 ヨウコがフラフラと歩いてくる。


 砂場で遊んでいた子供達、彼女に気付く。


子供A「(ヨウコを指し)あっ、カイジュウオンナだっ!」


子供B「逃げろ逃げろっ!」


 「ワ〜ッ」と走り去る子供達。


 ヨウコ、砂場にたどり着く。


 砂に塗れ、足のもげた亡霊怪獣シーボーズの人形が転がっている。


 砂場にしゃがみ、人形の足を元通りにしてやるヨウコ。


ヨウコ「(人形をギュッと抱き締め)アタシも……怪獣になれば良かった……」


 頬を伝う涙。


 砂場に泣き伏すヨウコ。


 暮れてゆく夕日……



(終)


(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2000年準備号』(99年8月14日発行)「ウルトラマンダイナ」評より抜粋)



『假面特攻隊2000年準備号』「ウルトラマンダイナ」創作脚本関係記事の縮小コピー収録一覧

・1998年3月5日(木)消印 特撮ライター・切通理作氏のハガキ

 「アンケート(編:のちの書籍『地球はウルトラマンの星』(00年・ソニーマガジンズISBN:4789715396)用だったか?)ばかりか、シナリオまで送って頂き、有難うございました。
 すっごく面白いホン(脚本)ですね。
 特に最後の方なんか、デスペレート(編:絶望的)な展開がかえって痛快にすら感じられました。黄金律をわかった上で関節を外してあるところなんか実にウマイ。これからも、色んな話を書き続けて下さいね。いつか映像化作品を見れることを楽しみにしております。」

・1998年2月4日(水) 円谷プロダクション企画室長・江藤直行氏の封書

「久保達也様
 前略、お送り頂いた「ウルトラマンダイナ」のシナリオ『歪んだ愛の果てに……』を読ませて頂きました。


 さて、感想は――
 「大変、おもしろく出来ている!」と、お世辞抜きで思います。
 シナリオライターを目指していたとはいえ、一般の方にここまで書かれては、プロの脚本家も大変だなァ、というのが率直な感想です。
 この作品レベルならば、充分、「ダイナ」の一作品として通用することでしょう。作者の訴えたいことも明確ですし……。
 ただ、この作品は、どちらかと言えば「(編:前作ウルトラマン)ティガ」シリーズ」に向いた作品カラーであり、「ダイナ」で実際に映像化するとなると、原形を留めないほどの改訂が必要になってくるかもしれませんね。


 やはり、この作品を観終わって、ハッピーな気持ちになれるかなれないか、という部分です。私ならば、
 「あ〜おもしろかったね、ママ!」「見てよかったね! パパ」
 「ダイナがカッコ良かったね! おじいちゃん!」「もう一度、ビデオで見ようよ!」
 ――という会話がなされるような方向へ持って行くのかな、という気がします。


 とは言え、能書きだけでシナリオを書けない私としては、久保さんをはじめ、円谷プロに投稿してくる皆さんの才能が羨ましい限りです。


 現在、放映中の『ウルトラマンダイナ』は、今後もますます面白くなっていくことと思います。また、完成度の高い映画『ウルトラマンティガウルトラマンダイナ』にも期待していて下さい。


 今後とも円谷プロを応援して下さいね!」


[執筆者・付記]:

 近年(98年当時)は、ジャンル作品におけるマニア向け志向、娯楽活劇作品よりも異色作やアンチテーゼ編を重視する風潮を批判しているクセに、いざ自分がシナリオを執筆してみると、自分が十代のころに信奉していた異色作やアンチテーゼ編のようなダークな作風についついなってしまいました(汗)。


> 「あ〜おもしろかったね、ママ!」「見てよかったね! パパ」
> 「ダイナがカッコ良かったね! おじいちゃん!」「もう一度、ビデオで見ようよ!」
> ――という会話がなされるような方向へ持って行くのかな、という気がします。


 まったく同感です。


> 「大変、おもしろく出来ている!」と、お世辞抜きで思います。


 「ホンマかいな〜!?」


 まぁ脚本家なんつー不安定でヤクザな商売を目指さないで、才能のない奴はまっとうなカタギの勤め人でもやってろ! って忠告ですね。そうしたいと思います(笑)。


[10年後の編集者・付記]:

 10年経って(当時から?)、こんなにも悪評が高くなってしまった弊サークル(笑)とサークルメンバーのブログに、短文とはいえ直上の私信が再掲載されてしまうのは、先方にもメーワクで、「しまった! 過去にウカツな発言をしてしまった!」と思われてしまうやもしれませんが……(汗)。
 なにとぞご容赦くださると幸いです。
 まぁこんな弱小サークルのブログに再掲載されてしまったことを、イチイチ手に取って憤慨するほど、先方も小人物ではないでしょうけれど……。



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