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機動戦士ガンダム 〜初作劇場版3部作・来なかったアニメ新世紀・80年安保!

『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』 ~ニュータイプやレビル将軍も相対化! 安彦良和の枯淡の境地!
『機動戦士ガンダムNT』(18年) ~時が見え、死者と交流、隕石落下を防ぎ、保守的家族像を賞揚の果てに消失したニュータイプ論を改めて辻褄合わせ!
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『機動戦士ガンダム』シリーズ評 〜全記事見出し一覧
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(文・T.SATO)


 新宿アルタ前に集合した1万人(!)を前に富野カントクも熱弁をふるった2・22アニメ新世紀宣言。『ガンダム』劇場版封切直前のことだ。


 77年の劇場版『宇宙戦艦ヤマト』、78年(日本公開)の『スター・ウォーズ』等で、世にはSF&アニメ&第3次怪獣ブームが到来!
 今では片鱗もないが、初期のファン活動は市民権獲得の啓蒙色が強かった。ブームの中心たるお兄さん世代の情熱と志に、憧憬を抱いたなぁ。「ポパイ」誌で本作特集が、朝日新聞若者欄でも本作の論争があったなんて、今のコに想像できるかナ?
 ネクラ・オタクの言葉が誕生するチョット前、ジャンルもファンも認知され、アニメファンを卒業しなくてイイかも! との共同幻想が抱けたあの時代。


 やむをえず戦艦を操舵し、起居を共にする、十代の青春群像。手を伸ばせばふれられそうな、歳もすぐに届きそうな世界。それは、イケてる系イケてない系が未分化の当時の十代の現実とも親和性が高かった。


 やはり行列の記憶と共にある『ガンダム』劇場版は、3分割したこと以外は当時主流のTV再編集+新作カットもの。1本1本が長時間でエピソード数も多くてダレたという印象も当時あった……ハズだが、今見ると各編は結構面白い。
 ……「軟弱者!」(平手打ち)。
 負傷者に手を貸さないカイ少年に、クール美人のセイラさんが一発。
 そうそう、『ガンダム』ってこーだよナ。滋味あるドラマをやってるナ的な感触。『ガンダム』劇場版初作の1コマだ。戦争にまきこまれ兵士となる少年少女たち。
 漂流する戦艦ホワイトベースには避難民が同居し、配給が敷かれ、寝巻きだったり、軽食を取っていたり、故郷が空襲で幼なじみが死んでたり。のちの富野アニメから失われていく生活臭も横溢だ。


 バンクフィルム多用でも一部カットや新作部分は、キャラが全身で細やかな芝居をしていると再発見。安直に優劣はつけないけど、今のアニメ演出とは異なる文脈の、繊細な演技のつけ方にも注目だ。
 主人公アムロ&再会した母のスレ違いも絶品。でも今見ると、艦長のブライトや少女フラウ・ボゥアムロを戦闘へ煽っている感もある(汗)。


 夏封切の『機動戦士ガンダムII 哀・戦士編』は、戦場・荒野の乾いた雰囲気。シブい中年親父のランバ・ラルとの決戦だ。そばかす赤毛の少女スパイ・ミハル&カイの挿話がカットされなくてよかったよかった。
 ちなみに、ザク以外の敵モビルスーツに型番が付いたのも本作から。富野カントクは中点なしの『哀戦士』、安彦センセは造語をキラって『哀・戦士』の2種が流通したのを知ってるヤツはロートルです。


 翌春の『機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙(そら)編』は、新作カットが倍増。美麗な映像で当時のファンも大満足した作品だ。物語も宇宙へ戻って、地に足が着かない観念論のニュータイプ話、戦争も最終局面へ。ガンキャノン2機のC109等のナンバーは小説版からの引用。終盤のキーパースン・少女ララァとの出逢いのファム・ファタル演出も、映画しています。


 「あぁアムロ、時が見える…」。
 このセリフを高尚と思ってたヤツは『ヤマト』を笑えないと思うけど(笑)。難しいことはともかく、ラストのアムロの生還にはやはり涙した。


 また、難解さが十代の背伸び感覚にマッチしてたニュータイプの設定にも注目したい。
 宇宙で認識力が拡大、直感&洞察力に優れ、誤解せず理解しあえる人々とされ、『機動戦士Z(ゼータ)ガンダム』(85年)で重力の井戸に魂を引かれた旧人類と対比されたそれは後年、大変容。
 決して否定的には描かれない大地にしがみつく人々のアフリカ編を擁す『機動戦士ガンダムZZ(ダブルゼータ)』(86年)、映画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』(88年)を経て、逆に伝統・帰属意識の欠落の不安から貴族・母系社会を作る宇宙植民者、オタク的浮遊より大地に根差し人と交わる生活を主張する『機動戦士ガンダムF91』(91年)、『機動戦士V(ヴィクトリー)ガンダム』(93年)になり、『∀(ターンエー)ガンダム』(99)ではニュータイプのニの字も出なくなる。


 なお、意外にも本作ファースト劇場版を支持したひとりがかのタモリで(本心からかはともかく)、同氏が翌82年『笑っていいとも!』でブレイク、ネアカ・ネクラを流行らせたのは歴史の皮肉。
 一方、アニメファンはクラいとの正論(笑)が流通するのは84年頃から。
 アムロ的ネクラキャラはいったん断絶。次に登場するのは、『美少女戦士セーラームーン』(92年)のセーラーマーキュリー水野亜美や『新世紀エヴァンゲリオン』(95年)主人公の碇シンジの90年代に至ってからだった。
 かわいい女のコのイラストさえ描ければ幸せェ的なノリに、アニメ誌の投稿覧が変貌したのも83年頃だ。


 なお、SF・ミステリ・アニメのサークルが勃興したこの時期を、作家の橋本治は〈80年安保〉と呼ぶが、電車でアニメ誌を開ける時代は今になっても訪れておらず、ことアニメに関しては〈安保〉も〈アニメ新世紀宣言〉も挫折した模様だ。


 劇場版3部作は、新録音の『特別版』&安彦御大のコミカライズ(ISBN:4047134538ISBN:4048538098)で近年再生(後者は一部TV版のネタも採用。後日付記:最近はオリジナル番外編展開に突入〜汗)。
 リアルロボットものの祖として、搭乗者がワザの名前を叫ばないこと&敵味方の相対視も外せないが、今観てそこに驚きがないのは、過渡期特有のサプライズだったためか?
 『ヤマト』などと比べて『ガンダム』が今も現在進行形であるのは、〈リアル〉か否かなどの笑止な理由ではなく、商業戦略もさりながら、戦艦よりも感情移入をしやすい人型メカと、普遍性ある人間ドラマの所以(ゆえん)だろう。


(初出・商業誌『新映画宝庫VOL.8 男泣きアニメ劇場』(04年2月発行・ISBN:4813007899))



※:どマイナー少部数書籍で、既に店頭にはないので、当該書籍から当該文章のみUPさせていただきました。関係各位にはご容赦くださると幸いです。


※:アニメ新世紀宣言の現場に立ち会ったワケでもないのに、付け加えさせていただくならば(汗)、1981年にあの現場に立ち会ったマニア人種は、自身の風貌・ルックスや服飾に劣等感をいだくようなことはなかったハズだ。
 安価なカジュアル服が流通しだして、そーいうものに関心を持つ層・持たない層、若者・同世代内でのイケてる系イケてない系のカーストが目で見てわかるかたちで拡大していくのは80年代中盤のことである。


[関連記事]

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