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機動戦士ガンダムSEED DESTINY最終回 〜総括・肯定評


『機動戦士ガンダム』シリーズ評 〜全記事見出し一覧

機動戦士ガンダムSEED DESTINY』中後盤評

(文・T.SATO)


 本来あるべき『Z(ゼータ)ガンダム』がここにある!


 ……いや冗談ではなく、マジでそう思っている。


 地球と宇宙植民者の対立構図で、前作では地球側、続編たる本作では宇宙側に新主人公チームがいる、変化の妙の相対的な判りやすさ。
 前作の副主人公(ライバルキャラ〜のちに和解)のレギュラー化および新主人公の先輩格としての役回り。ツボを押さえ華も与えた前作主要キャラの再出に、前作主人公のあまりにカッコいい再登場!


 『Zガンダム』ではウマくいかなかった、期待をウラ切っていた要素が、本作ではことごとく成功している!
 本作は、新世界観の許で展開した近年のヒット作『機動戦士ガンダムSEED』(02年)の直接の続編。つまり位置づけ的には、ファースト『ガンダム』(79年)の続編たる『機動戦士Zガンダム』(85年)と同じ立ち位置にある。


 筆者の『Zガンダム』に対する評価は極度に低い。個別作品としても続編作品としても。
 ファースト自体はエポックメイキングな作品であり、筆者も原作者である富野喜幸カントクを神格視していた時期があった。
 だが、古クサい話をするけど、『Zガンダム』放映当時、その無様なありさま(前番組『聖戦士ダンバイン』(83年)、『重戦機エルガイム』(84年)も含む)を見るにつけ、ファーストの偉大さは、総監督(ご存じ富野作品は脚本家の裁量が小さく詳細な富野メモに従って脚本を作成し、それも素材で、さらに絵コンテやアフレコ時に監督が改変していく)とはいえ、やはりカントクと同世代の脚本家&作画監督の意見具申や牽制もあったがゆえに、バランスが取れてウェルメイドになっていたことに思い至ったものだった。


 一世代二世代下のスタッフと組み、ワンマン体制に近くなった作品群の、生硬な富野ゼリフや富野カラー全開のエキセントリックさ・見通しの悪さ。それは思い返せば、それ以前に富野が執筆した小説版ファースト『ガンダム』の印象と同じものでもあったのだ!


 前作『ガンダムSEED』は、冷戦終了直後の世界的ベストセラーで『歴史の終わり』(92年・三笠書房ISBN:4837905501)を唱えたフランシス・フクヤマが、持説を撤回(!)して放った言説群(のちに『バイテク革命の問題』(02年)、『人間の終わり』(02年・ダイヤモンド社ISBN:4478180350)などに上梓)で予言した、遺伝子工学の進歩によって生じる身体能力・知性・容姿(!)の格差が新たな闘争の火種になるとの言説から、直接間接に着想したものだろう。


 もちろんそれは基本的には、作品の舞台背景にすぎないが、従軍下の少年少女集団における内部の異質な者への差別心の発露など、ドラマの一遇に見事に結晶させていた。


 そして前作の真骨頂、戦争心理の普遍。敵味方双方で戦友に死者が出るがゆえの憎しみの連鎖に、敵の捕虜を自艦に抱えることでのドラマチックな感情爆発!


 終盤は、そんな状況下でも融和に成功していく敵味方の若者集団という、あるイミやはりフィクションのウソ世界と化するワケだが、後味悪いリアルな物語に結実すれば高度というものでもナイのだし、ウソでもウェルメイドな希望の持てる物語に落とし込んでいく作劇は、個人的には評価する。


 一方、最終回で品行方正ストイック主人公が全てを(個別具体には悪女ヒロインを)救い切れないことで、理想主義だけで終わったワケでもないのだし。最終回で全てが台無し? ネットのちゆ12歳のウケウリならば嘲笑だネ(笑)。



 本作は、前作の正副主人公があまりにストイックなイイ子だったのとは対称的に、平和主義国家に裏切られて、戦いを肯定している少年が新主人公(もちろん前作のアンチテーゼだろう)。


 宇宙側の一部過激分子が暴走したことでの、宇宙と地球の再度の開戦。しかして宇宙側政府は穏便に済ませんとするのに対し、地球側の黒幕は一気に猛攻をかけ、地球諸国の同盟をも拡大せんとする。


 ヒロインが住む南洋の平和主義中立国家も同盟拡大に屈し、地球側が悪なのかと思いきや、宇宙側の議長は、戦争の影どころか歴史の影に常にあった軍需産業を敵視。
 じゃあ軍需産業こそが本作の根源悪かと思いきや、地球軍との戦いで逆転した宇宙側議長がそのカリスマ演説をするや、地球諸国は軍需産業敵視でナダレを打って宇宙側と同盟し、しかして怪しい宇宙側の議長……。


 いやはや、やってくれますョ本作は。


 本作がキャラ人気だけのミーハー作品? オイオイその眼はフシ穴か?
 もちろん、ヒロインの結婚式にガンダムで乗り込んで花嫁を強奪したり、誰と誰が付いた離れただの、どう見ても死ぬだろう描写で生きてたり(笑)、たしかに女のコが喜ぶ要素やマンガチックな要素もあるのだが、所詮はフィクション、干からびた政治戦争劇の弊に陥らず、メイン視聴者の10代の少年少女に身近な接点も与えていてイイと思う。
 アニメを卒業できなかった、声はデカいけど、実は少数派の我々ムクつけき中年男性オタクだけが騒いでも、ムーブメントにはならないし(笑)。


 とはいえ、難解ということはナイにせよ、作品世界&キャラもウェルメイドで明快な作品か? 全ての要素が成功してるか? というとそーでもないし、まだ最終展開でコケる可能性もあるけども、とりあえず現時点での筆者の総合的な評価は、前作『SEED』同様とても高いということで。


(了)
(初出・オールジャンル同人誌『SHOUT!』VOL.37(05年8月13日発行))


機動戦士ガンダムSEED DESTINY』終了評

 しかしホントに本作は、マニアのネット世間でボロクソに云われまくってるネ〜。
 そんなにヒドいか? 本作よりはるかにヒドい、ツマラないアニメなんて、昔も今も山ほどあったと思うゾ。


 そーいう同時代的&歴史的で、計量的・比較論的な視点ヌキに、細部のムジュンをいくら突っつきまわしてもなァ。
 許されないほどのヘンさなのか? 所詮はフィクション、素人視聴者ならスルーする程度のよくあるバグなのか? その高低深浅を言語化しないで、逐次的に奇矯点を指摘しまくって悦に入られてもネ〜。その醜く歪んだツラに顔パ〜ンチ!(笑)


 テメェらが押し頂く『機動戦士Z(ゼータ)ガンダム』(85年)の方がはるかに破綻しまくってたと思うゾ。
 ま、作品の好悪・批評なんて、所詮は相対的なものだから、究極的にはドーでもイイのかもしれないが、筆者も自分の感性や価値判断が絶対正しいと強弁する気もないけども、究極ならぬ途上においては、一言なかりせば、と言上をした次第。



 本作は、地球と衛星軌道上の宇宙植民者間でロボット戦争をくりひろげる、ご存じものとなった『機動戦士ガンダム』シリーズの最新作。その何度目かの世界観リセットで、新世紀の若年マニアに大ヒットした『機動戦士ガンダムSEED』(02年)の直接続編。
 ロートル世代にはキャラ人気だけのミーハー作品とケナされることも多いが、筆者の評価は前作ふくめてとても高い(ちなみに筆者自身はファースト世代なので念のため)。
 今シリーズは、身体・知性・容姿を遺伝子操作された人々と自然人との長年の抗争の果てに、次第に前者は宇宙の植民都市に依拠。そして開戦あいなったという舞台背景が斬新点。


 で、詳しい作品説明はハショって、本作の終盤についてなど。
 前作では、地球側にひとり味方する遺伝子操作ベビーのキマジメ誠実ストイック美少年主人公(のちに主人公チームは地球軍揮下を離脱し第三勢力化)と、宇宙側に残るこれまた美少年の大親友との悲劇の対立という、王道のベタ作劇(ホメ言葉)を経て、和解して4クール目では共闘するという、現実的にはまずアリエナイだろう(笑)、しかし物語的には希望が持てる展開を用意した。
 イジワルに云えば、終盤で狂気化した指導者を駆逐しさえすれば、物語も落着させやすかったともいえる。


 続編でもそれは一応同じ。
 今回は地球側が相対的に悪か? いや、軍需産業か? いや、軍需産業撲滅という一応の正論(?)を唱えた宇宙側議長が最終悪らしい、といったあたりは、観てれば誰でも中後盤で判るが、それをていねいに手順を踏んで、時にスパイスをまぶしつつ、説得力を持って肉付けして描いていってくれたならば、何も問題はないことだ。


 で、ココからは、各視聴者ごとに評価が別れて当然だけど、結論を云うなら、本作終盤に関して、個人的には一応満足、及第点。
 もちろん文句なく手放しで絶賛したり、確かな手応えがあったとまでは、のたまう気持ちもナイけれど。


 軍需産業関係者を抹殺していく展開は、一部の好戦的平和主義者(笑)や左翼過激派テロリストタイプのような御仁ならば喜ぼうが、ビデオの回転ヘッドの技術が軍事ミサイルに転用されたり、インターネットの由来は軍事用途だったように、軍事と真のイミで無関係で無罪の人間もまたアリエナイのであってみれば、劇中で一部の物の見えたキャラも指摘する通り、その粛清はたしかに狂気。
 だが、物語的な巨悪としてのサプライズではチト弱い。


 本作では、粛清後に宇宙側の議長が実現せんとする真の平和のビジョンとして、デスティニープラン。
 つまり各個人の遺伝子的運命を開示する世界を提起する。ここに至って、単なるSF意匠の背景装置にすぎないと思われてきた要素が大浮上!


 デスティニー(ガンダム)VSフリーダム(ガンダム)!
 そう来たか! コイツは一本取られたゼ。まぁいささか唐突だったけど(笑)。


 筆者個人は、限界を判っていて、あえて強引に汚れ仕事の軍事的統一を押し進め、結果的に平和主義国家の王女にあとを譲る、『新機動戦記ガンダムW(ウイング)』(95年)における、歴史を達観したトレーズみたいなヤツ(&展開)だろうと、宇宙側の議長を見ていたので、ゆえに続編新主人公シン・アスカに軍揮下を離れて自己判断で動いてイイとの「フェイス」の勲章を授与したのは、自身が彼に討たれることまで許容、見通したゆえだった……との穿った最終予想をしていたのだが、もちろん全然さにあらずで(笑)。


 とはいえ個別具体で云うなら、新主人公駆るデスティニーガンダムVS前作主人公駆るフリーダムガンダムではなく、組み手を変えて新主人公チーム2人VS前作正副主人公2人となったあたり、テーマ論議の次元だけに物語が収束したワケでもなかったリ。


 それはもちろん物語というものが、単なるテーマ(の図式的構造)の従属物ではないからだ。
 主要キャラの性格や思想に成長、力関係や劇中内での相対的比重ともあいまって……あるいは逆に、最後でキャラを立たせねばならないという別ベクトルの力(端的に云えば、物語的結構を満たすためのご都合論・笑)によっても、物語は駆動する。


 新旧主役真っ向対決ではなく、新主役VS彼の先輩たる前作副主役、前作美少年主役VS本作の金髪ナゾめく美少年パイロット*1に、対決はある意味ではスリ変わる。


 物語的結構という大の虫を活かすために、小の虫を殺す。
 だからダメだという意見にも一理は認める。が、個人的にはパーフェクトだとは云わないまでも、コレはコレでイイと思う。作劇のバランス論としては正しい。


 もちろん新主人公チームが(究極目標についてはともかく、その過程における平和主義には異を唱えてしまったとはいえ)、前作主人公チームに匹敵・拮抗できてなくて分が悪い、という結末が爽快感に欠けているのは認める。新チームのキャラ的成長については、失敗ならずとも、成功でもなかった(ウラ返せば、作り手たちの物語途中での練り込みが不充分であった)ともいえるので、残念なのも事実だが……。


 まあムリだろうと思いつつも、ごく個人的に筆者が本作へ期待したのは、平和主義への懐疑を積極的に新主人公が担うことだった。
 その願望はウラ切られたが、あるイミ真に戦争根絶と平和をもたらす遺伝子レベルのデスティニープランに対する、前作主人公たちの反抗(=限定付き「戦争」!)を肯定した結末には共感をいだく。
 平和主義へのアンチの弁証法的発展(正反合・笑)への筆者の個人的願望は、新作主人公ではなく前作主人公によって満たされた(笑)。


 前作主人公たちも気付いた通り、『SEED』世界にも現実世界にも絶対平和は訪れない……(でも絶対戦争主義(という言葉は無いけど)だけでも、とうに人類は滅びていたし、奴隷的服従の平和でないならば、和合・融和の精神も必要なことは筆者も云われるまでもなく承知しているのは念のため)。



追伸:まあデスティニープランもツッコミできるスキがあるけど、本家・富野ガンダムだって、『機動戦士V(ヴィクトリー)ガンダム』(93年)で、衛星要塞エンジェルハイロウの平和の祈りの精神波で、地上の人々が呆けてしまうとか、もっと奇矯なことやってるんだゼ。そーいうのは見えないフリですか? 富野絶対主義もイイカゲンにしようよ(笑)。
 最後に、本作終盤で気に喰わなかったこともひとつ。仮面の男の正体が、前作終盤で死んだハズの兄貴キャラの記憶喪失した姿だったってのは……、いくら何でもなぁ(笑)。


(了)
(初出・オールジャンル同人誌『DEATH−VOLT』VOL.32(05年10月23日発行))


後日付記:カントク自身が本作のテーマは「非戦」と云ってるので、そーなのでしょう。
 が、視聴者側が作り手とは別の読み方をしてしまってもイイとは思います……と自己正当化(笑)。


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*1:コレまた遺伝子操作ベビーの最高傑作たる前作主人公を造る前段の実験段階におけるクローン人間なようで、テロメア細胞分裂回数)が少なく余命いくばくもない彼ならば、前作主人公を批判し対決する資格は充分にある……のだが、コレまで両者に接点がなかったのはリアリズム的にはともかく物語的にはやはり瑕瑾(かきん)。