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ガンダム Gのレコンギスタ ~富野監督降臨。持続可能な中世的停滞を選択した遠未来。しかしその作劇的な出来栄えは?(富野信者は目を覚ませ・汗)

『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』(15年) ~ニュータイプやレビル将軍も相対化! 安彦良和の枯淡の境地!
『機動戦士ガンダムNT』(18年) ~時が見え、死者と交流、隕石落下を防ぎ、保守的家族像を賞揚の果てに消失したニュータイプ論を改めて辻褄合わせ!
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 2019年11月29日(金)からTVアニメの再編集映画『劇場版 ガンダム GのレコンギスタⅠ -行け! コア・ファイター-』が公開記念!
 ムダに無意味にわかりにくかったあの『Gレコ』がココまでわかりやすくなるだなんて!
 富野アニメにはあるまじきの前代未聞とも云えるけど、セリフが状況説明的な方向でいちいちクドめに改変されていて(笑)――今なにが起きているのか意味不明でモヤモヤとして足場も定まらないくらいならば、程度問題でも多少は説明的な方がイイとは思うのでカンゲイだけれども――、主人公少年が何でアッサリと敵の宇宙海賊の陣営に行っちゃって、しかも馴染んでいるんだよ!?
 敵地から来たキレイなお姉さんのメインヒロインもかつての想い人を主人公少年に殺されたのに、そのときだけ取り乱しただけでその後は引きずっているようには見えないよ!?
 という一大欠陥が、周囲のスタッフの助言・忠告の成果か、やはりクドいくらいに背景や色彩反転の止め絵が挿入されて、そこで彼ら彼女らの内心での逡巡が声としても吐露されることで、あるいは宇宙海賊が潜伏する島嶼地帯に主役ガンダム・Gセルフを乗っ取ったメインヒロインが向かう道中で、同乗していた主人公少年が下痢になってしまうおマヌケな描写と、敵の青年パイロットも使用していた本作における巨大ロボット共通の操縦座席兼用トイレがこの『劇場版』ではじめて係り結びとして活きてきて(笑)、主人公少年が敵地へ向かう異常さ・違和感もまぁまぁ緩和ができている!
 かもしれない……とカコつけて……。原典の方の『ガンダム Gのレコンギスタ』(14年)評をアップ!


ガンダム Gのレコンギスタ』 ~富野監督降臨。持続可能な中世的停滞を選択した遠未来。しかしその作劇的な出来栄えは?(富野信者は目を覚ませ・汗)


(文・T.SATO)
(2015年4月27日脱稿)


 満を持して登場した、アナザーガンダムならぬ、本家・富野カントクの手になる新作ガンダム


 トミノ信者ども! コレで満足か!?(笑)


 まずパッケージ面でビックリ。人物もメカも作画がよくない。背景美術も密じゃない。ホントに2014~5年の作品か?
 巨大ロボ&宇宙戦艦も今どきCGではなく手描きで柔らかみを出し、古いアニメのようにカスれたタッチの線画も、意図的なものかとは思うのだが、将来の新スタンダードをねらったという(?)作品としてはいかがか?


 外注にまるまる出してる回の方が作画がイイのは、筆者だけの眼の錯覚か?――#10。大ヒットアニメ『進撃の巨人』(13年)の荒木哲郎カントクとWIT STUDIOが担当した回―― 美麗であった『∀(ターンエー)ガンダム』(99年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19990809/p1)の映像クオリティよりも後退してないか?
 ビッグタイトルなのになぜに作画にリソースを割けないの!?


 世界観は作品外の情報も含めて設定を聞く分には面白い。
 『機動戦士ガンダム』初作(79年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19990801/p1)が舞台とした「宇宙世紀」よりも千年以上の未来。人類が増えすぎた人口をそこに移した超巨大植民用円筒・スペースコロニー群もほぼ壊滅。人口もかつての1/10に激減。
 しかし、毎度のこととはいえ、それを劇中で説明もしなければ、廃墟のコロニー群の止め絵一発などで見せることもナイ。


 大量生産・大量消費・全面戦争を阻止するために、宗教的タブーを人為的に作って、「近代」的な「自由」と「進歩」を「我欲」として疑い、「中世」的な「節度」と「節制」に生きて、持続可能な経済と生態系を護持する世界観は、一部の経済学者も主張していた未来像でもあり、その実現可能性はともかく個人的にはそのビジョンに賛同もする。


 そんなバチカンみたいな市国にも新設の「アーミー」(軍隊)と旧来からの「ガード」(警察?)の確執があって、海の向こうのアメリカ大陸にも「宇宙海賊」を隠れミノにした軍隊の「分派」がいて、大図式としてはバチカンアメリカの小競り合いなのかと思いきや。
 月から艦隊が押し寄せてきたから共闘し、すわ月との全面戦争かと思いきや、それもなく(笑)、スカスカな防空体制でアッサリ月の中での反主流派の地へと漂着。
 次にはなぜか金星に向かったら、金星にも主流派と反主流派がいて……。というのが筆者の理解だが、間違っていたらスミマセン。


 コレらの諸要素・諸展開のお団子を串刺しにして、作品に首尾一貫性を出すための主人公少年の行動原理の一端・象徴となるように、オープニング映像でも毎回流用される「年上のキレイなお姉さんはスキですか?」的な、ヒロインのたなびくピンクの長髪とそのシャンプーの匂いにヤラれている(?)少年の顔のUPカットがあるのだとも思うのだけれども……。
 少年の表情作画が少々マヌケなので、イマイチ説得力がなくて半笑いしてしまうのは筆者だけか?


 全面戦争ではなく小競り合い程度なので、井の中の蛙が世界の広さを知る物語にしたかったのか?
 だが、『ガンダム』は群像劇がスタンダードだとはいえ、本作は主人公の主観にフォーカスしていかないので、その目論見(?)も果たされない。特に序盤でメインヒロインを追っかけて、彼女が属する敵の「宇宙海賊」に身を投じて馴染んでしまっているあたりが、無理アリまくり。


 オープニング映像にもある、月夜のテラスでヒロインを前にし、少年が手スリに腰掛け上半身から頭を右に傾げて、甘えたように話しかけている、艶っ気のあるロング(引き)のカットなど、筆者も映像作家だったらあんな絵を作ってみたい。
 が、大方の『ガンダム』ファンが望んでいるものではナイどころか、非コミュのオタがヘイトする仕草だし(笑)、このカット自体も「点」に過ぎず、作品の「線」や「面」や「立体」に発展したワケでもナイ。


 どんな細かな事象でも逐一好意的に深読みして解釈する、中世キリスト教の神学チックなトミノ信者の狂信的なふるまいがマニア世間で猖獗(しょうけつ)を極めていたら、筆者個人は猛反発をしたトコロだ。
 しかし、オタク世間を見るに「王様は裸だ!」的に本作&トミノを批判する声も今回は公然とあがっているので、ならば偽悪的にキバらずともイイやと筆鋒も鈍る。


 もちろん嗜好の相違の問題もある。作品への最終審判など誰にもできやしないけど、ひとつの作品への見解の多様性が確保できている現況は、「富野ガンダム愛好者にあらずんば人にあらず」的な同調圧力が強かった往時よりかははるかにマシだ――若き日に狂信者であった筆者が云うのもナニだけど(汗)――。


 ケチばかりつけてきたけど、ちょうど30年前のビーム銃の撃ち合いばかりであった続編『ガンダム』諸作とは異なり、メカロボの近接戦闘はなぜだかまぁまぁ盛り上がる(なぜ?)。
 全体に丸っこくてお眼めも大きく前方に両ツノが突き出た主役ガンダムのデザインも個人的にはキライじゃない。


 振り返ると主役周辺が、年上ヒロイン・チアガール・空から落ちてきた少女・黒髪オカッパと10代の少女ばかりである。
 今やそこに違和感がナイのは、美少女アニメを観過ぎた筆者がクサっているせいか?(汗)


 トミノが本気で少年向けに作りたいなら、社会の入り口の縮図として同世代の男子や兄貴分キャラも多数出して、主人公が自堕落な大人たちに反発したり、社会の歯車でも職分を果たす大人たちに感じ入ったりするような描写を入れるべきだとも思うのだけど、今やそのような「王道」展開がコレ見よがしの「ベタ」に思えてヤリたくないのであろうか?
 そのあたりの作劇術も腑に落ちてこないのだ。


(了)
(初出・オールジャンル同人誌『SHOUT!』VOL.64(15年5月2日発行))


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