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機動戦士ガンダム00 〜『劇場版』寸評&第1期・第2期 総括!

『機動戦士ガンダムNT』(18年) ~時が見え、死者と交流、隕石落下を防ぎ、保守的家族像を賞揚の果てに消失したニュータイプ論を改めて辻褄合わせ!
『機動戦士Vガンダム』(93年)評 ~宇宙に保守主義者、地球にニュータイプ!
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『機動戦士ガンダム』シリーズ評 ~全記事見出し一覧
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 『ガンダム00』完結編こと、映画『劇場版 機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazer-』公開記念!
 ……とカコつけて(汗)、TV『機動戦士ガンダム00(ダブルオー)』ファーストシーズン&セカンドシーズン評を今さら発掘UP!



 ちなみに、劇場版の方、個人的には肯定派です(悪いか!?・笑)。


 現在でこそ戦争アニメの代名詞の「ガンダム」(それでイイとは思いますが)。
 ファースト世代のロートルマニアにとっては、今ではオールドSFな「新人類テーマ」を兼ねた作品でもあったワケで。
 もし「ガンダム」初作の続編を描くならば、ニュータイプ人口が増加して過半に達した未来の顛末(旧人類vs新人類の相克など)を描くべきだ! などという議論が多かったことなどを思い出したりも……(すっかり忘れてた)


 ま、今さらイイ歳こいて人類が物理的・肉体的・唯物的限界を超えたテレパスニュータイプなんぞに進化するトンデモビジョン自体を信じてはいませんが(スタッフも信じてないとは思うけど・笑)。
 仮想実験としてあえてやるならば……という次元では、よく出来ていたと思います。


 さらに加えて、古典SFに縁が深い木星(&新人類&異星人との遭遇な『2001年宇宙の旅』!)も出してきて、新人類に進化した先の宇宙知性(?)とのファーストコンタクトが、「マクロスF」の昆虫型生命ならぬ金属生命で、最後は脳量子波の増幅器で戦場の人々を強引に交感させて非戦に導く新型ガンダムを拡大解釈して、力ワザ演出のコミュニケーションテーマに回帰して既存テーマとも通じさせて落とす!

 (テーマ的にはロボットものである必要性ももうナイのですが、とはいえやはり看板的にロボットものだから(笑)、全編にメカロボ戦闘アクションとおなじみのレギュラーキャラの活躍とお約束の見せ場もまぶしつつ、戦闘中にメインキャラたちに暑苦しく「明日を切り拓くために!」「未来のために!」と絶叫させて熱血温度も上昇させるウェルメイドな娯楽活劇作品でもあって……)


 現代性があるとは思わないけれど、たしかに『ガンダム』シリーズでやり残していた題材はもうコレしかないよなぁ……
 (厳密には、長谷川裕一先生の漫画版『Vガンダム外伝』で『ZZ』の主人公ジュドー(老人)率いる新人類集団による外宇宙への旅立ちはやってるそうですが……。未読だけど、社会学者の稲葉振一郎センセイの 『オタクの遺伝子』(05年・太田出版ISBN:4872338693)での批評によれば)。


 まぁ本作を評価するからと云って、ニュータイプイノベイターへの人類の進化を改めて信じたりはしないけど。
 (片や本作と同じく黒田洋介脚本の今季アニメ『学園黙示録 ハイスクール・オブ・ザ・デッド』(10年)では、非戦かつ話し合いで解決せんとするサヨク市民運動家の方々がゾンビたちにあっさり殺されてましたが・笑)


 ところで、第1期ではアメリカと同盟していたハズの日本が、さりげに劇場版では人革連(中ロ印)の領土になってなかったか?(汗)


機動戦士ガンダム00 〜第1期(再UP!)

(文・T.SATO)
(07年12月執筆・08年3月加筆)


 米日中心のユニオン、中ロ印の人類革新連盟、欧州のAEU。
 3大超連邦が覇権をにぎる西暦2307年。


 ここ数年の新聞海外欄で見たようなスリランカの民族紛争に、南米かパナマか反米小国はタリバンリビアな名前のタリビア
 反英アイルランド独立派はIRAもといリアルIRA(笑*1)。
 さすがにイスラムはタブーかと思いきや主人公少年が、元・原理主義過激派少年兵だよナありゃ(汗)。


 300年後もほぼ現代の延長で紛争が続いてるワケないけど、虚構を借りた現代の世界情勢の風刺がキモの作品に、リアルじゃないとか云うヤツはヤボの極み!
 米がイラク戦争でババ引いてるのに、ちょっと遅れたアメリカの一国主義批判なTVアニメ『コードギアス 反逆のルルーシュ』(06年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20081005/p1)の先も行っている!


 そんな世界情勢に対する超越的な批判勢力、一応の平和主義勢力として、リアルとは対極的なフィクショナルかつ反則技オーバーテクノロジーで圧倒的に強い、私的武装組織が戦争撲滅のために各地で武力介入!


 ……まぁコレは、前作『機動戦士ガンダムSEED(シード)』(02年・04年)でも、主人公チームの戦艦が2大国に対する倫理的批判者として、軍揮下を離れて独立軍化。
 果ては主人公少年の遺伝子操作レベルでの天才的能力で、ヒト(搭乗者)を殺さず敵機体のみを一挙に無数に狙撃する、TV時代劇『ぶらり信兵衛 道場破り』(73年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20080602/p1)か『暴れん坊将軍』(78年)の峰打ちか、古代中国で非戦を唱えた墨子(ぼくし)の墨攻かよ! 的な現実的にはアリエナイ(ただし純論理的にはありうる)戦法で、批判的に戦争へコミットした描写。
 『新機動戦記ガンダムW(ウイング)』(95年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19990805/p1)での、圧政的な地球国家に宇宙植民者が送り込んだテロリスト・ガンダム乗り美少年5人が、デタント(緊張緩和)で見放され宇宙や地球への倫理的批判者になりかわる作劇の変奏・発展形ですナ。


 メカロボ戦闘ものをリアルに描けば、戦争に否定的でも粛々と従う欝展開しかないワケで。
 それでもアクション&倫理面でのカタルシスを両立させるなら、もうこのテの大ウソしかないのも論理的必然!
 敵軍にも理があり味方にも非がある程度で衝撃的だったファースト『ガンダム』(79年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19990801/p1)やその続編『機動戦士Z(ゼータ)ガンダム』(85年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060325/p1)の時代から、内容面で『ガンダム』も遠くへ来たものだ。


 が、『SEED』同様、若いガンダム馬鹿どもが「ファースト」も『Ζ』も一緒くたに、「リアルじゃない!」とか「キャラ人気ばかりで戦争が描けてない!」とかホザいていやがる!


 アホくさ。
 本家・富野(由悠季カントク)ガンダムも『Z』以降、「戦争」は背景にすぎず、宇宙での痴話喧嘩や、女への声や肩の掛け方が主眼の作品になったのは、今やマニアの基礎教養からは消えたのか!?(笑)


 今回もガンダムを高空で攻撃した戦闘機は超音速なのに排煙の形が違うとか、超音速機は一撃離脱で旋回攻撃できねーだろとか、元テロリストの少年主人公がキーパーソン主要キャラの中東小国王女と偶然知り合い、しかも逃走中に事情も聞かずに匿(かくま)ってくれたり、主人公を仕込んだ長髪痩身ヒゲ面テロリスト(傭兵?)壮年ともロボ戦で偶然遭遇、互いにハッチを開けあうのが非リアルだとか……。
 あーー、ウザウザ!


 まぁもっともな指摘なんだけど、フィクションは究極的にはリアリズムより象徴・寓意が優先する世界。
 一兵卒が国際政治にコミットできるワケねーけど、世界を全的に描き、物語も体裁よくするなら、逆に序盤中盤で各陣営を象徴・体現する主要人物同士に接点持たせて、のちに対決させる作劇が演繹で導かれるは当然。瑣末面をリアルに描いてもクドくてモタつくなら力ワザ演出で押し切ったがマシ!


 『Z』以降の富野ガンダムからはなぜか消えていた、頼れるムサいオッサン敵キャラの人民服な軍服での登場にも好感。
 強化人間少女やブチ切れキャラなどいわゆる旧ガンダムっぽさも醸しつつ……(今となってはの、いわゆる相対的なイミでの「旧〜」であって、それらは決して「ファースト」っぽさではないのだが……)。


 てなワケで、そのあたりは私的には一応オッケーなのだが、そんなことよりはるかに問題なのは、『SEED』では非難され『コードギアス』では大政翼賛ゆえスルーされている(?)女の子ウケする要素、学生服で私服で生徒会、男女共学学園もの、誰と誰が付いた離れたの要素の欠如だ(笑)。


 それらにイライラするヤツらが一方では美少女アニメ萌えなら笑止!
 アニメなんて悪くも良くも中心は女子供・ティーン向け。
 本家・富野御大や福井晴敏の一応の本格『ガンダム』を地上波で流しても、声はデカくとも数的には少数のムサい成人男性オタだけが喜んでいたらジャンルは衰退する。ジャンルをマス的にも商売的にも牽引できるのが『SEED』以降の『ガンダム』。だからそのへんも軽視せず老獪に作劇していってほしいものだ。
 てか、単純素朴で中二病な作品至上の観点ではなく、このへんのマーケティングも大前提として兼ね備えた上で、それからはじめて作品性(テーマ性なりドラマ性なり)をうんぬんするような認識が、いいかげんアニメマニアなりガンダムオタクどもの常識・デフォルトにならないんスかね!?


 一番女の子ウケしそうなのが、東京の気弱そうな民間人少年だが(?)そのへんは大丈夫なのか? まぁ『SEED』でも敵に美少年複数を用意するもあまり描かれず、途中で整理・粛清されても人気あったのでオッケーか?(笑)
 ミーハー女なんて可愛いもんじゃねーか。近視眼二元論のその外延には「きんもーっ☆」と男女オタともに冷笑している圧倒多数の一般女性がいるんだゾ! 『SEED』放映開始直前のTBS深夜『ワンダフル』(97〜02年)不祥事打ち切り決定後の『ガンダム』特集での、ワンギャルたちのイヤそうな顔、VTRで流されるオタク系イベントでインタビューに答えるアカ抜けないオタへの容赦のない視線を筆者は忘れない!(笑)


 閑話休題
 正直、個人的には、現実世界において戦争根絶なんてできるワケがないと考えるが(むろん減らすべきではある)、そのへん甘さや理想に流されず、筆者も一目置く水島精二監督&黒田洋介脚本コンビ(とはいえ彼らに前近代的・古代中世的な忠誠を誓う気はさらさらない。もっと是々非々で見ろ!・笑)がどう料理していくのか注視していきたい。


(了)
(初出・オールジャンル同人誌『SHOUT!』VOL.43(07年12月29日発行))


機動戦士ガンダム00 完結感想

(08年3月29日(土)〜30日(日)執筆)
 ンで、第1期シリーズは、全25話・2クール分で最終回を無事に迎える。
 直上の文でコレだけホメといてナニだけど、個人的には最終展開のここ数話のノリは正直ビミョー。
 作品への各話単位での分析的・批評的視点とは別に、単純に好悪の次元で云えば、筆者は『ガンダム00』という作品自体、主要キャラや作品世界に序盤でねらっていた要素がけっこうスキだったので、あまり悪いことは云いたくないのだが……。


 終盤直前までの展開に対しては、個人的にはとても高く評価したい。


 まあ展開それ自体が矢継ぎ早というのは、ここ10数年の『ガンダム』にかぎらず、それ系アニメには必須の要素になっている。
 それどころかネットの普及以降は、ウルせぇマニアのみなさまがたの批判やツッコミに先回りして、「そんなのわかってますよ」的なエクスキューズを作品中に入れておくようなメタ的な作劇も、良くも悪くも当然のごとくになっている(笑)。


 本作でも、序盤早々から「『戦争根絶』を『武力』をもって実現せん」とする主人公チームたちが所属する私的武装組織が掲げる矛盾をかかえた理念の、全世界へのTV放映に対して、周辺や敵(?)キャラたちが即座にツッコミを入れまくっていたりする。
 (しかし、「対話」をもってしても「戦争」なり「紛争」を根絶できないケースも多々あるだろうから、「武力」をもって実現(鎮圧・抑止)するのも、矛盾をはらみつつ、そして根源的解決ではないにしても半ばは必要悪の必然だろうとも、筆者個人は思うけど)


 2段階、3段階も進んだ圧倒的な技術・武装水準を有する巨大ロボ・ガンダムのたかが数機に翻弄される3大国の軍隊。
 ……そりゃあ最初から弱かったり敵とも互角では、主役ロボの強さ・カッコよさが引き立ってこないし、「武力による戦争行為の根絶」を行うだけの実力のウラ打ち・説得力も出てこないので(笑)、まったくもってオッケーなのだが。
 早すぎる展開というか、頭よすぎる展開というべきか、ガンダムがレーダーにひっかからないことを逆手に取り、逆に電波障害が発生している空域・宙域の出現を以(も)ってして、ガンダムが行動していることを確認して先手を打って軍事行動を起こすあたりとか……
 (みなさんが大スキで神格視されている富野ガンダムも実は『Z』以降、ドンパチシーンで基本的には砲撃か剣戟しあってるだけで、戦術や戦略や布陣や用兵なんて実はありませんでしたから)。


 でもあまりに早い段階で、主役メカが苦境・ピンチに陥るのも、ヒーローの強さ・カッコよさ・超越性には欠けちゃうから、もっと後回しにしてくれた方が、それまでとの対比でそのときの敵の強大さやピンチの切迫感も際立つのにナ、とも思ったり……。


 と思ってるそばから、展開はさらに加速がかかり(笑)、3大国の合同演習を模した陽動作戦で、圧倒的な物量投入による超長時間の攻撃で大ピンチにさらされて、どうやっても負けるだろうとの展開になり……。
 でもそこはいかにリアルロボアニメとはいえ、所詮は物語・フィクションのお約束。敗北してしまってはお話がつづかないので(笑)、主人公ガンダムチームとは別の第2のガンダムチームがさっそう登場して形勢逆転!
 同じパターンで、終盤ではムチャクチャなピンチに陥ったガンダムが、主人公たち自身も知らなかった(笑)トランザム機能とやらで、大昔のリアルロボアニメ『蒼き流星レイズナー』(85年)やら近年だと『仮面ライダーカブト』(06年)のハイパークロックや『ウルトラマンメビウス』(06年)の怪獣攻撃隊が使うオーバーテクノロジーメテオールみたく、時間制限付きでその潜在性能をマックスで発現して高速稼動! 形勢逆転! 


 ……みたいなご都合主義なノリは、娯楽活劇作品としてはキライじゃないし、毎回やったらダメだけど、たまにアクション面での特大イベントを作るなら反則ワザではあるもそれしかない! とも思ってる(笑)。


 しかして展開の早さにともなう、戦闘のシチュエーション&スケールのインフレ・拡大はやはりビミョー。
 ガンダムを駆動するオーバーテクノロジーの一部が漏洩して、3大国側でもガンダムに拮抗する巨大ロボをアッという間に(実際には数ヶ月は経ってる?)量産して投入してくるような展開は、もっと後回し……たとえば週1の1年間放映ものの終盤にまわしてほしいような大ネタでもあるワケで……。
 であれば、もったいないので、今秋放映開始予定であろう(?)『ガンダム00』第2期に、個人的にはまわしてほしかったネタ。


 ドラマ面では、細々とした世界各地の紛争状況を描くことは放棄して、というか脇に置いて、主要キャラの過去話や意外な一面の表出を、そして経済特区・東京の民間人キャラたちをじょじょに描写・肉付けしていく展開には不満はない。
 天下国家や世界情勢なんてことには関心がないオシャレでスイーツ(笑)が大スキなミーハー少女キャラ・ルイス嬢。
 人類全員みんなが根は善良で人情裏長屋、戦争をキラっているにも関わらす、スレ違いや利害の相克から戦争が起きてしまう……ということでは全然まったく毛頭なく、ガンダムマイスターガンダム乗り)や3大国の軍人どもとも違い、マジで心の底から戦争(戦いのスリルと高揚と勝利)がスキでスキでたまらない、ヒトの命もカルいらしい性の悪い性格異常なムダに強い傭兵オッサンのいかんともしがたさ(笑)。
 その人間観の幅の広さにも「人間なんてイロイロ、たくさんいるのだから確率的にそーいうヤツもいるだろナ」的な好感もいだかせる。


 だけに、第2のガンダムチームの3兄妹が、悪いイミで多少アニメ的・記号的・戯画的で、あまり過去のトラウマやバックボーンもなくガンダム乗りになってるぽかったり、モラルもウスくて、ルイス嬢の親族の結婚式を気まぐれで爆撃しちゃう安易な展開とか、多少ひっかるというか物足りなさを感じたりもするのだが。
 まあ登場人物の行動すべてに何らかの動機がなければイケナイとまで堅苦しく考えているワケでは筆者もないし、本作『00』の中では少しウイてた感もなくはないが、こーいうキャラの立て方も所詮は娯楽活劇作品なのだから悪くはないし許容範囲。


 その点で、ガンダムマイスターそれぞれのマンガ・アニメ・劇画的なキャラの立て方もそんなに高尚なものだとも思わないが、歳若いファンへのツカミとしては大いにアリだとは思う。
 某キャラの二重人格とか、凶暴な方の人格がキョーアクこの上ないガンダムの巨大ハサミで、ゲスト敵キャラをなぶり殺しちゃうとか(汗)、「万死に値する」が決めゼリフのクールどころか冷徹なメガネ美少年の意外な打たれ弱さとか、その際の泣きながらの「俺は…僕は…私は…」のセリフとか。
 もちろんウラ設定の伏線でもあろうが、半分は笑っちゃうし作り手もそこはネタにしてください というねらいもあるのだろうけど(?)、まあスキだ(笑)。


 しかし、この方向のキャラの立て方が悪い方向に進むと、ウェーブのかかったロン毛のスーツ姿のハンサム紳士。
 某国の国連大使にして正体は主人公チームの私設武装組織の一員(?)、上位の監視者でありながら、思わせぶりな悪の黒幕であったり、組織のコンピューターを乗っ取ろうとする分には文官なのでイイんだけど。
 なんと第1期『00』の一応のラスボスに昇格して、金色の巨大モビルアーマー(巨大メカ)でラストバトルに参戦、最後は主人公少年と一騎打ち! っていう展開はなあ。


 いやまあラスボスなら、真の意味でリアルであるかはともかくロボ戦とかやらせて直接対決させた方がキャラは立つけど、それまでに主人公たちとの直接の因縁や感情的もつれや対立もなかったしなあ(笑)。
 その点では、直接の因縁がある各国のパイロット連中や傭兵オジサンとの対決の方が、直接対決には各キャラの感情的帰結からも向いてはいる。


 そういう一部のキャラ描写の安易さの半面、年明けの第2クール以降、親族の結婚式への第2ガンダムチームの気まぐれ爆撃の巻き添えで、左手の指をすべて失ってしまう(!*2)民間人側主要キャラのミーハー少女とか、一応のレギュラーかと思われたユニオンの軍人チームの長髪白髪の技術者ジイサンの戦死とか、やはり民間人視点の代表としてフツーは死なねェだろ、作品世界の説明役やナゾの探求役としても必須だろ! と思っていた民間人少年の姉、報道機関JNN(TBSが300年後もあるゾ!)に勤める姉ちゃんの、取材で闇世界に深入りしすぎたがゆえの死(!)とか、無敵の第2ガンダムチームが件の痩身ヒゲ面傭兵のオッサンにアッサリ殺されていくのも、かなり意表外でショッキング!


 とココまではスゴかったのだが、その次の終盤の私設武装組織のメンバーが、次々に戦闘で散華していく展開になってみれば……。
 まあ充分悲惨ではあるのだけど、主要キャラの死亡に観てるコッチ側が慣れてきて意外性を感じなくなってきたというべきか(汗)、民間人ならぬ一応の覚悟を決めているハズの武装組織のメンバーゆえにか、相対的には事の重みがウスく感じられてしまうのは筆者だけか?


 第1期終盤のガンダム乗りや敵パイロットたちの散華についても、悪くはないけど、あまりノれなくなってきた。まあさすがに準主役級の主要キャラたちだから散華・玉砕ではなくって、多分生き残っていて再登場するのだろうとは思うけど……(?)。
 今では感動の名作扱いされている『Z』のファムファタルヒロイン“フォウ・ムラサメ”嬢の死亡回とか、シリーズ前半での退場時点でどう見ても死んでたろう! のハズが、何の説明もなく再登場しちゃうような訝しいノリ自体は、筆者のようなロートルにしてみれは、近年にはじまったことではないゾと主張したい……。だから、絶対にダメだとまでは云わない。
 けど、あまりイイとも思わないのも半面の事実だが(笑)。


 「戦争」の根源は、たしかに錯綜する利害共同体である「国家」が複数並存していることにも、原因のすべてではないにしろ一因にはある。
 かつての『ガンダムW』終盤では、歴史の流れを達観した敵キャラたるトレーズやゼクスが汚れ役を引き受けて、地球主導にしろ宇宙主導にしろ世界統一国家を樹立して、その成果を完全平和主義のリリーナ嬢に禅譲しようとしているようにも見えた。
 本作『00』でも私設武装組織の200年前の創設者の科学者ジイサンのねらい通りに(?)、スーパーパワーのガンダム数機の前に、3大国は途中から連携して事に当たり、最終回ラストでは地球連邦政府が樹立されるまでに至ってしまった
 (創設者はその目論見さえ達成できれば、私設武装組織は最後に世界国家に敗退・駆逐されてもかまわなかった?)。
 ところが今回はそれでメデタシ、メデタシというワケではない。


 科学バカの私設武装組織の創設者のヴィジョンにはなかったであろう、統一後のその先における「世界」と「戦争」行為を、そして「戦争」行為の根絶をどう描いていくつもりなのか?
 第1期『00』とはまた状況が異なる中における同系テーマの模索に、第2期は挑むつもりのようだが(?)、そんなに高すぎる、しかも解答がなさそうな難問に挑戦して自爆しはしないかも気になる。
 その力量もなくチャレンジして失敗するくらいなら、テーマよりもキャラクラタードラマの方向にシフトして、ウェルメイドな作りやシメにしていただいてもオッケーなのだが(笑)、とりあえずは今秋開始と思われる第2期『00』でのスタッフの料理の仕方・裁き方には注目していきたい。


 テーマ面というか作劇面でも、主人公チームの私設武装組織の上層部のナゾ。武力による戦争根絶という理念の矛盾を体現したかのような、より過激で手段を選ばない第2ガンダムチームの登場による対比。そして第2チームや上層部とは袂を分かって、あくまで主人公チーム自身が自律した意思・価値判断で動くようになっていく展開も、『W』や『SEED』で観たような既視感もあるが、悪くはないと思う。てか、もっと丹念に第2期にまでまたがって描いてもほしかったが。



 で、最後に云うけど、終盤の私設武装組織の母船の大破にともなう主要キャラのバタバタ死亡! とか、最終回ラスト数分に描かれる4年後の2312年。『ガンダム00』第2期予告でのあのキャラこのキャラ生きてます! とか、繰り返しになるけど、ダメとは云わないまでもあまりイイとは思ってないのも筆者個人にとっての事実だと念押し(笑)。


 東京の民間人少年は宇宙で肉体労働しています! ……は彼らしい平凡さ・凡人ぶりでイイとして、彼が見舞っていたルイス嬢は例のガンダム保有する私設武装組織に入ってる!? その隣りにいるのはメガネ美少年ガンダム乗りの成長した姿?(妙に不敵で、ルイス嬢ともデキている?)


 本編ではテンポ早くてワケワケメだったけど、ビデオを観返すと、薩長土肥から編成した御親兵ならぬ、ユニオン・人革・AEUの軍人がおそろいの地球連邦軍の新軍服で敬礼しながら何気にせいぞろい!
 人革の「ロシアの荒熊」こと渋いオジサンと、AEUの低音ボイスのキツめのメガネ姐さん上司が平気な顔して並んでます! その部下の動物的に姐さんにホレてる(笑)長髪赤毛の軽薄ノーテンキ馬鹿アンちゃん“パトリック・コーラサワー”もなぜだか生きてるゾ!
 そのおかげで、フランス外人部隊の傭兵オジサンは仕事にアブれたか、忌々(いまいま)しげにバーで水割りあおってます。この描写はさもありなんでイイね。
 第2ガンダムチームの生き残り、結婚式を爆撃した妹キャラも行き場がないのか、件の私設武装組織入り?
 そして出た出た、『ガンダム』の宿敵の今やお約束様式美・仮面の男は、ガンダムへの憎しみが第1期最終回では愛だのホモだのの域に達してしまって(今までそーいうキャラだっけか!?・笑)、相打ちで大破したユニオンの金髪ヤンキートップガン“グラハム・エーカー”中尉なんですかネ?
 このへんはさすがにドーなんでしょ? いやまあ別にイイっちゃあイイんだけれども……。


 (第1期最終回で、『ガンスリンガー・ガール』(02年原作漫画、03年・08年TVアニメ化)みたく「ロシアの荒熊」オジサンに健気に尽くして、同じ出自のガンダム乗りのアンちゃんを嫉妬させた人革のデザインベビー・超兵1号の、萌えや庇護欲対象とは程遠そうなルックスのチビチビ姉ちゃんの4年後の容姿も気になる・笑)


(了)
 



機動戦士ガンダム00(セカンドシーズン)(新規UP!)

(09年4月20日執筆)
 ウ〜ム、イマイチだったかな。キライじゃないけれど。


 1期・2期に分かれて、1期終盤に客引きサプライズがなければならない以上は仕方ないし、その上で次の手を見せてくれれば不満はなかったけれど、それは果たされず。


 1期終盤の人物リストラや整理が諸悪の根源だと私見


 米日・中露印・欧州3極対立から戦争根絶を唱える武装組織の介入で地球連邦の成立へ。
 世界の大局とヒミツに迫るジャーナリストの姉さんの退場、中東の王女様の亡国による政治的無力化。
 前期の民間人キャラの戦場への進出。


 良く云えば集約化、悪く云えば大局は後景に退き、前期の個人的因縁の延長だけで物語が展開してしまい、世界が狭くなってしまったと思う
 (本家・富野ガンダムも『ゼータ』以降は同じだが)。


 1機のみで長距離機動性と文字通りの一騎当千の戦力を有して、『沈黙の艦隊』の核搭載の原潜やまと並みの戦術ならぬ戦略兵器に昇華して、政局・世界情勢にも影響を与えたガンダム4機だが、敵機も擬似太陽炉を搭載されては、相対的に一戦力に成り下がり、世界全体を描くことから遠ざかることに拍車がかかるばかり。


 他方で、『ガンダム』初作でのみ肯定的に描かれて、のちに否定的に、そのうち頭デッカチ精神感応より肉体接触の方が称揚されて(『劇場版 機動戦士ZガンダムIII ―星の鼓動は愛―』(06年)ラスト)、トドメを刺された(笑)新人類テーマを第2期では採用。
 まぁバリエーションとして他作と差別化するにはコレも消極的にはイイのでは? 量子に脳波を乗せるという一応の物理的理屈も与えてオカルトを一歩手前で回避しているし。
 ドコまで行っても大ウソでも、一応のSFっぽさ&『ガンダム』っぽさも醸して、戦闘中の精神感応で敵味方キャラに接点を、バトル&ドラマを両立するのはイイと思う。


 そのかぎりで各話でのムリや粗はそうないし、よく出来ているのだが、当初掲げていた戦争根絶という理念からはカケ離れてしまって物足りない。
 もちろんポッと出の政治家や指導者の新キャラが出てきて世界を上から目線で眺めても感情移入はできない。
 であれば、1期初期のリアルIRA関係者やタリビア首相が1カットだけでも再登場、現今の情勢をどう思っているか確認させるなど、後者は強硬派が牛耳る連邦議会に渋々参加してる描写でもあれば
 (1期の中東小国にも保守&開明2派があったがごとく)。


 民間や庶民レベルでも、JNN女キャスターの上司や同僚を1シーン出してみるとか、件のヒミツに迫る人間がまだいるとか、東京民間人少年の同級生やご近所を出して所感を語らせるとか、その風景・背景美術のその後を点描するだけでも、根っこの生活と同時に「世界」の広さを感じさせ、多角的に肉付けもできたろうと愚考するのだが。


 『ガンダム』もドストエフスキーのような全体小説(王様から庶民・貧民、役人・商売人など上下左右の職種の人間が登場)のごとき要素に魅力のひとつがあるならば、王女様が終始シェルターに、民間キャラも敵味方軍に別れて……は結構だが、彼らの代用キャラはいてほしかったかも。



 その観点から行くと、オシャレとお喋りと甘いお菓子にしか関心がないプチブルジョワ、現実キャラだとオタにとってはヘイト・憎しみの対象、ネット用語でいう「スイーツ(笑)」でしかないハズの東京に留学してきた少女ルイスが、帰省先の親族の結婚式で爆撃に遇い身障者になる件が勿体ない。


 いや、結婚式を爆撃したガンダム急進派別働隊の釘宮理恵(汗)の動機がただの気まぐれだったのが心底ガッカリ。


 ベタでも貧民の出にして、富裕層への憎しみから爆撃したなら、ルイスは被害者としてのみ聖化されず(彼女は軍需産業にも関係ある財閥出身者なんでしょ?)、釘宮に一理を与えることができ、欧米だと90年代以降、日本でも00年代以降の新自由主義経済で拡大する格差社会の風刺にもなったろうものを。
 そも第1期でも、急にマンガ・アニメ的記号キャラが出てきて、本作の作風には似つかわしくなくて品位が下がるなぁと私的には危惧したものだ
 (世間的には評判イイそうで、ならば娯楽作品としてはOK)。


 個人的には、ルイス嬢と釘宮を生活境遇・バックボーンからして対照的にして、かつ戦場で激突・問答させるキャラにしてほしかった。
 ウラ設定では釘宮は遺伝子操作人間だそうだが、中露印の強化人間少女や同出自のガンダム乗りの悲劇とネタがカブってるゆえか、一理も与えられないただのお騒がせ戦闘キャラで終わっていて非常に残念だ。


 というワケで第2期後半では世界情勢・人物関係ともに、各話単位の出来とは別に、作品全体にもやもやとした不満が募ってきてはいた。
 ただ、作り手も素人ではないので、そのへんの不備もとっくに気付いてはいたのだろう。


 オーラスで点描にて描かれる世界や抵抗組織や人物たちのその後。
 2期本編全体にこれらを織り交ぜてほしかったと思いつつも、ワリと納得させられて筆者の溜飲は下がる。


 往年のリアルロボアニメ『ガサラキ』や『ガンダムW』最終回がごとき戦争根絶・武力放棄的な理想オチでなく、来るべき宇宙知性との邂逅(かいこう)に備えて云々などの浮世離れオチにも陥らず、主人公らの私設武装組織が抑止力として地上を見守るオチも、サヨクの皆様には評判悪そうな気もするが、個人的には現実的で妥当だと思う。


(了)
(初出・オールジャンル同人誌『SHOUT!』VOL.47(09年4月26日発行))


[関連記事]

新機動戦記ガンダムW』(95年)評 〜ドロシー嬢・戦争論・ゼロシステム!

平成ガンダムこそが戦争を描いて、良くも悪くも富野ガンダムは戦争の中での男女の痴話に主眼があるという話

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19990805/p1


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コードギアス 反逆のルルーシュR2 〜総括・粗もあったが奇天烈傑作! 親米保守VS反米保守と木星

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マクロスF #1評! 〜先行放映版とも比較!

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マクロスF 最終回評! 〜キワどい最終回を擁護!

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ターンAガンダム』(99年)評1 ~序盤評

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劇場版『ターンエーガンダム』(02年)「I地球光」「II月光蝶」評

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機動戦士ガンダムSEED DESTINY』(04年) ~完結! 肯定評!!

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劇場版『機動戦士Zガンダム -星を継ぐ者-』(05年) ~映画『Z』賛美・TV『Z』批判!

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機動戦士ガンダム00』(07年) ~第1期・第2期・劇場版・総括!

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機動戦士ガンダムUC』「episode7 虹の彼方に」(14年) ~完結!

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機動戦士ガンダムNT』(18年) ~時が見え、死者と交流、隕石落下を防ぎ、保守的家族像を賞揚の果てに消失したニュータイプ論を改めて辻褄合わせ!

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*1:リアルIRAは、IRAのメタファーかと思いきや、08年現在でも実在する組織名でした。要はIRAの中(外?)の過激派・急進派です(汗)。ガンダムのタリビア攻略に伴うリアルIRAのテロ中止は、9.11テロに際して同一視されないようにIRAがテロを中止した事例を引用したものかと思います。

*2:左手の指をすべて失っても今流行りの万能細胞で……てなツッコミには、翌週冒頭で早くもそれが不可である理由をリクツを付けてご説明(汗)。