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星獣戦隊ギンガマン賛否合評 〜小林靖子・初メイン脚本!

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星獣戦隊ギンガマン』賛否合評 ~小林靖子・初メイン脚本!


星獣戦隊ギンガマン』 〜前半評1

(文・久保達也)
(1998年10月27日脱稿)


 『星獣戦隊ギンガマン』(98年)は、実は特撮マニアの友人に


 「絶対に『ウルトラマンティガ』(96年)や『ウルトラマンダイナ』(97年)より面白いから」


 と勧められ、第7章『復活の時』からちょくちょく観ております。


 ただ私は戦隊シリーズに全く思い入れがないため(これについては後述します)、毎週欠かさずビデオに録画してまで観ているわけでもありません。なるべく日曜日は早起きしてリアルタイムで観るようには心がけてはおります。


 が、あとから起きてきた母に「何観てるのっ!」と、裏番組の『遠くへ行きたい』(70〜・読売テレビ・大阪・日本テレビ系)にチャンネルを替えられてしまうなんてこともしばしばであります(後日付記:当時は実家住まい)。



 初代戦隊『秘密戦隊ゴレンジャー』(75年)――現在これと『ジャッカー電撃隊』(77年)は戦隊シリーズには含めないみたいですが(編注:93年からまた含まれるようになっています)――が放映されたのが小学校3年生のときでした。


 実はこの時点で、私のヒーローものに対する熱意はかなり冷めておりました。夢中になって観ていたライダーシリーズでさえも『仮面ライダーストロンガー』(75年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20201231/p1)になると、弟が観ていたからいっしょに観ていたに過ぎないくらいでありました。
 それでも『ストロンガー』最終章のデルザー軍団篇で歴代ライダーが続々登場したときは大いに燃えたものでした。が、最終回『さようなら! 栄光の七人ライダー』でライダーシリーズ自体が終焉を告げた時点で、私は一つの区切りを付けてしまったようでした。


 また、小学校2年生までは夜8時(!)に寝かされていました――ゆえに私は『人造人間キカイダー』(72年)をリアルタイムで観ていない。あまり知られていない事実なのでこの際書いておくが、名古屋地区では『キカイダー』は土曜日ではなく、木曜日にTBSのお化け番組のホームドラマ『ありがとう』の裏で放映されていたのだ。母がこのドラマの大ファンだったから尚更である。なお、土曜日だけは遅くまで起きていてもよかったので『8時だヨ! 全員集合』は観せてもらえた――。


 しかし、このころになると9時、10時まで起きていてもよくなったため、それまで全く観せてもらえなかった大人向けの番組にすっかり夢中になってしまい――特に『太陽にほえろ!』(72〜86年)・『Gメン '75』(75〜82年)・『夜明けの刑事』(74〜77年)などの刑事ドラマや、『みごろ! たべごろ! 笑いごろ!』(76〜78年)・『スターどっきり(秘)(まるひ)報告』(76〜98年)等の歌謡バラエティ――、ヒーローものが実に頼りないものであるかのように当時の私には感じられていたのです。


 ゆえに『ゴレンジャー』も『アクマイザー3(スリー)』(75年)も次第に観ないようになります。『ザ・カゲスター』(76年)・『超神(ちょうじん)ビビューン』(76年)・『宇宙鉄人キョーダイン』(76年)・『大鉄人17(ワンセブン)』(77年)・『ジャッカー電撃隊』等が放映されていた時間帯には小学校の宿題を片付けていたりしたのです(のちに中京テレビ(名古屋・日本テレビ系)の『今甦る! 昭和ヒーロー列伝』(93〜96年)でこれらの作品を観て、「もったいないことをしたっ!!!」と大いに後悔したものです)。


 ロボットアニメでいえば、『勇者ライディーン』(75年)・『超電磁ロボ コンバトラーV』(76年)・『鋼鉄ジーグ』(75年)は全話観ました。しかし、『UFO(ユーフォー)ロボ グレンダイザー』(75年)・『大空魔竜(だいくうまりゅう)ガイキング』(76年)は途中で挫折。『惑星ロボ ダンガードA(エース)』(77年)・『超電磁マシーン ボルテスV(ファイブ)』(77年)のころになると完全に観ていませんでした。


 このまま進めば私は「普通の男の子」の道を歩んでいたかもしれません(笑)。



 そんな私に「待った!」をかけたのが、例の77〜78年に勃発する第三次怪獣ブーム。……再び熱くなってしまった私は、再放送の視聴やグッズ収集に精を出すことになります。


 が、所詮は「『ウルトラ』バカ」の域を脱することができず、マニア向け書籍『ファンタスティックコレクション』(朝日ソノラマ)の洗礼を受けたがために、第1期ウルトラ至上主義と化した私は、あれほど幼少時に夢中になって観ていた第2期ウルトラや東映ヒーローものを一段低いものとして見るようになってしまっていました……。


 当時の中学生に達そうとしていた私は、『バトルフィーバーJ』(79年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20120130/p1)で復活した戦隊シリーズに対し、「チャチい」「ガキっぽい」「しょうもない」と全く観もしないで勝手に「まるで価値のないもの」と決めつけてしまっていたのですよ。『電子戦隊デンジマン』(80年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20120205/p1)・『太陽戦隊サンバルカン』(81年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20120206/p1)・『大戦隊ゴーグルファイブ』(82年)・『科学戦隊ダイナマン』(83年)とシリーズが続行しても完全に無視。
 むしろ『機動戦士ガンダム』(79年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19990801/p1)・『超時空要塞マクロス』(82年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19990901/p1)・『戦闘メカ ザブングル』(82年)・『太陽の牙ダグラム』(81年)といった当時流行したいわゆるリアルロボットアニメ作品に夢中になってました(笑 〜このへんは同世代の平均的なアニメ・特撮マニアの方々とも同じでありましょう。でも変なもんで、現在はこれらのアニメに対してはあまり思い入れはありません)


 しかし世評は高くない映画『ウルトラマン物語(ストーリー)』(84年)を観て、第1期ウルトラ至上主義の文脈にはまったく合致しないものの結構面白いのでは? いやむしろ積極的に面白い! と思ったのがキッカケで、第2期ウルトラを再評価してみようと考えたのが転機でした(こんな人、他にもいます?)。


 同時期に放映されていた戦隊シリーズ超電子バイオマン』(84年)・『宇宙刑事シャイダー』(84年 〜ちなみに『宇宙刑事ギャバン』(82年)・『宇宙刑事シャリバン』(83年)は未見です)・『電撃戦隊チェンジマン(85年)』・東映メタルヒーロー『巨獣特捜ジャスピオン』(85年)などの東映作品をもこの際、真剣に観てみようと考えを改めて少しだけ視聴した時期があったのです。が、それも束の間。


 大学に入ると別の遊びを色々と覚えてしまって、再びヒーローものから離れてしまう始末――ちなみに『スケバン刑事(デカ)』(85年)シリーズも第1作目の斎藤由貴主演版しか観ていない――。
 社会人になって、普及しはじめたLD(レーザーディスク)を購入するようになると、「好きな作品をいつでも観られるようになった」ことが益々自分を放映中の新作から遠ざけることになってしまい、今日に至っておるのです。(もっとも『仮面ライダーBLACK RX(ブラック アールエックス)』(88年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20001016/p1)に失望した際、「もう東映の新作は二度と観るまい」と心に決めたものでしたが……)



 というわけで(長い!)、戦隊シリーズをまともに観るのは実に13年ぶりのことであります。
 その間にシリーズがどのように変遷をたどってきたかについては、私は知る由(よし)もないのですが、『星獣戦隊ギンガマン』初見の際は「チャチい」「ガキっぽい」「しょうもない」の先入観が完全にフッ飛んでしまうくらいの強い衝撃を受けたのです!


 この回(第七章『復活の時』)は石像にされてしまった5星獣――『ウルトラマンA(エース)』(72年)第26話『全滅! ウルトラ5兄弟』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061030/p1)で地獄星人ヒッポリト星人にブロンズ像にされてしまったウルトラ5兄弟を思い出しました――が復活し、初めて人型の巨大ロボ・ギンガイオー(銀鎧王)に合体する場面がありました。
 が、平成ウルトラ同様にCGを使用しているにもかかわらず、全くチャチっぽさを感じさせず、見事としか云いようがありませんでした(このへんの違いは何なのでしょう? 私長いことマニアをやってる割には技術面には全く疎(うと)いのです)。


 また、決戦の舞台として実にリアルで広大なミニチュアセットが組まれていたのも驚きでした(『バイオマン』『チェンジマン』のころは野っぱらに鉄塔くらいしか組まれてなかったと思う)。


 特撮といえば円谷の独壇場と長らく思っていた私ですが、平成ウルトラと比較したらこれはもう東映に軍配を上げずにはいられません。これならばもう『ジャイアントロボ』(67年)のバンクフィルムを使う必要はないでしょう。宇宙植物サタンローズの触手がモロに映っているガソリンスタンド炎上のシーンは、もう二度と観られることはないと思います(いったいいつの話をしているんだ!?)。


(編:90年代初頭までは、まだ当該バンクフィルムは流用されていた。東映メタルヒーローレスキューポリスシリーズ『特捜エクシードラフト』(92年)のパイロット編(初期編)で、ガソリンスタンド爆発の新撮が行われて以降、今度はこちらが流用されている。まぁ卒業もせずに長年ジャンル作品を観続けている我々のような腐れマニアにしか気が付かないことだけど・笑)



 この度友人の厚意で未見だった初期編も観ることができましたので、今回『星獣戦隊ギンガマン』のシリーズ前半の全体的な印象を、平成ウルトラと比較しながら項目別に述べてみたいと思います。


1 伝説をモチーフにした神話的世界観の導入


 まずこの点が、私がこれまで抱いていた戦隊シリーズに対するイメージを一新させることとなりました(現在の子供たちに最も関心が高いと思われる、ゲームソフトを想起させる内容である点が興味深い)。東映の高寺成紀(たかてら・しげのり)プロデューサーは、この作品のポリシーを


 「サンタクロースはいるんだ!」


 と一言で語り、夢やファンタジーの世界をハッキリと肯定しております。


 『ウルトラマンティガ』第49話『ウルトラの星』で、初代『ウルトラマン』を円谷プロ制作の架空のTVシリーズであると片付けてしまった円谷プロダクション&ベテラン脚本家の上原正三氏とはエライ違いであります。


(本編で制作の楽屋裏の話を見せるなんて、サンタクロースの存在を信じる子供たちに対して、「サンタなんて本当はいないんだよっ! 作り話なんだよっ!」と言い切ってしまうようなもんだ。夢のブチ壊しに他ならない。未だに「大きくなったらウルトラマンになりたい」なんて願う子供が少なからず存在するというのに!)


2 銀河戦士を演じる5人の俳優


 正直云って演技もセリフも下手です。しかし実に真剣味が感じられ、好感が持てるのです。『ウルトラマンダイナ』の防衛組織・スーパーGUTS(ガッツ)の隊員連中に爪の垢を煎じて飲ませたいくらいであります。


3 魅力的な5匹の星獣たち


 第一章『伝説の刃(やいば)』から第六章『星獣の危機』の5匹の着ぐるみの星獣たちを見て、私は『ウルトラセブン』(67年)の正義の味方の怪獣たち、カプセル怪獣ウィンダムミクラス・アギラが毎週揃ってレギュラーで登場しているかのような強烈なインパクトを受けました。


 これはちょっと前例がなく、まして劇中でたいした存在理由も見受けられない、怪獣の個性的でユニークな特性描写よりもテーマやドラマの方が中心になっている(決してホメてはいませんヨ)『ウルトラマンガイア』(98年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19981206/p1)の色褪せた怪獣たちなんか足元にも及びません。「東映版の『ウルトラマン』をつくる」と意気込みはスゴかったものの、見事にコケた巨大怪獣ものの『巨獣特捜ジャスピオン』なんてのがありましたが、ここに至って遂に東映は『ウルトラマン』のウルトラ怪獣たち並みの魅力的な怪獣像を創りあげることに成功したのであります。


 ただ第七章『復活の時』以降、5星獣たちがロボット型の銀星獣にいったん変形して人型の巨大ロボット・ギンガイオーに合体するようになってからは、星獣は単に合体するための道具に過ぎない存在になってしまい、個々の活躍する姿がほとんど見られなくなってしまった点に関してはあまりにも残念でなりません。私としては各星獣が週替わりで決戦を演じることを期待してしまったものですから…… 『ギンガマン』だけは徹底してファンタジーの世界を貫いてほしかった。パターン化してしまったクライマックスを見る度につくづくそう思います。


4 単純明快なストーリー


 第1クールの中で戦隊の5人各々(おのおの)が主役のエピソードを作り、各キャラクターを明確に描いています。
(マニア向けにハイブロウ・高尚ぶって勿体つけてカッコを付けつつも、どこか焦点が定まらずにハズしている『ウルトラマンガイア』のインテリ少年科学者集団・アルケミースターズや、同じくインテリのライバルキャラことウルトラマンアグルの正体である藤宮博也、言葉だけで説明されて映像化はされない抽象的で漠然とした曖昧模糊な宿敵・根源的破滅招来体なんて、幼い子供たちの目にはどう映っていることやら?)


 対する宇宙海賊バルバンは魔獣ダイタニクスを復活させるために、熱が必要とあれば36℃くらいしかない人間たちの体温を奪い、電気が必要と思えば家庭の電気掃除機を狙い…… と「もっと手っとり早い方法があるだろっ!(笑)」とツッコミたくなるような作戦行動に出ますが、これも恒例の幼稚園バス襲撃同様、子供たちにもわかりやすく身近な恐怖感を味わせたいという意向の表れではないかと思います。


 ベテラン女優・伊佐山ひろ子演じるオバサン(シェフとお呼び!)が誘拐されてしまう第八章『愛情の料理』なんかは確かに大笑いさせてもらいましたが――『ウルトラマンダイナ』第6話『地上最大の怪獣』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971201/p1)・19話『夢幻の鳥』・28話『猿人の森』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971208/p1)などの武上純希の脚本とは思えない。なぜ『ダイナ』でこんな楽しい作品が書けなかったのか?――、この回の敵の珍妙な作戦は私には最もまともであるように思えましたし(笑)、単なるお笑いには走らず、ホロリとさせられた好編でもありました。


 他にもギンガブルー=ゴウキがイレギュラーの水澤鈴子先生(小学校教師で勇太少年の担任)に告白するのかと思いきや、ギンガグリーン=ハヤテにトマトが嫌いな深刻な理由があるのかと思いきや……一見シリアスなのにそれがことごとくギャグにもなっていて、嫌いなトマトをおいしく食べさせるために料理に奮闘するような小さなお話でもある第二十一章『トマトの試練』のような話――恒例の海水浴の水着編でもある――も大好きです。


 大樹型の知恵の樹モークや小さな木の実(どんぐり)型の妖精ボック、シルバースター乗馬倶楽部のレギュラー少年・青山勇太も含め、親しみの持てるキャラクターが多く、自然と物語に惹れていく点も大きいように思います(海賊の水夫を模した戦闘員・賊兵ヤートットはちょっと可愛過ぎて悪役には見えませんが)。


 宇宙海賊バルバンの初代幹部・銃頭サンバッシュ配下の軍団が暴走族モチーフってことで、皆皮ジャンを着てるのも統一感があって好感持てます(元ヤンキーのお父さんなんか喜んだんじゃないだろうか・笑)。


5 少しだけ残念なこと


 第一章で逃げる人々に対してサンバッシュが拳銃をブッ放したり、ヤートットが剣を振り回して追いかけたりする描写がありましたが、正直私は目を覆いました(笑)。まあこれに関しては東映の長年の伝統であり、悪を徹底的に描いておいて逆にヒーローの活躍を印象づけるという制作姿勢の表れでもあります。


 また、こうした悪者による悪事の描写の流れがなければ、第一章で死んだと思われたギンガレッド=リョウマの兄であるヒュウガ(…)が再登場する第十二章『悪夢の再会』なんかも盛り上がりに欠けたとは思います。


 ただサンバッシュであればともかく、野蛮で単細胞な奴の多い宇宙海賊バルバンの中で唯一まともな存在に見えた礼節をわきまえるクールな2代目敵幹部・剣将ブドーまでもが、第二十四章『ブドーの執念』で人々をバタバタと斬り殺していたのには正直目を疑いました。


 私は第2クール目のブドー篇を完全に観ていたわけではないので、彼の性格を一変させてしまうような何か一大事があったかはわかりません。が、まるで『ウルトラマン』の初代メフィラス星人が『ウルトラマンタロウ』(73年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20071202/p1)のメフィラス星人二代目に成り下がってしまったみたいで実に残念でありました(この回を観るだけではあの場面には何の必然性も感じられなかったので)。


 こうした場面が子供たちに悪影響をおよぼすなどと主張するつもりは毛頭ありません(幼少時にリアルタイムでヒーローものを観た記憶としては、ヒーロー作品内のこんな描写に関しては全く覚えがなく、大学生のころ立て続けに再放送された『スペクトルマン』(71年)・『仮面ライダー』(71年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20140407/p1)・『超人バロム・1(ワン)』(72年)を観て、「子供番組でこんなヒドイことをやってたのか!」と驚いたくらいでしたから。まして今の子供たちは就学前にこの手の番組をサッサと卒業してしまうので、影響されるヒマすらないのでは?)


 ただ世間一般の常識的な大人の目から判断して「子供に観せたくない」と思われる分、損をしているように思うのです。
 (97年暮れの朝日新聞家庭面に、最近の少年犯罪と『仮面ライダー』における暴力描写を強引に結び付けた『ぼくのリビングルーム』(98年・ケイエスエスISBN:4877092420)という、しょうもないコラムが掲載されていたので、興味のある人は縮刷版で読んでみて下さい)


――後日編注:同人誌版には、弊ブログ主宰の編集者所有の該当の切り抜きを掲載。私見ではそんなにしょーもないモノでもない。まぁ、ボクらのスキなジャンル作品が少しでも批判されたらウッキームッキー! ボクらのスキなジャンル作品を門外漢や特にインテリが上から目線で語るのは許せない! 概略ではなく細部に少しでも事実誤認があると全否定! その御仁の全業績をも全否定! みたいな器量が狭い方々には好意を持たれない内容ではありましょうが(笑)。こういう残酷描写に対してセンシティブな意見の持ち主も世間には一定数はいるという証拠にはなると思います。多数派であったり実権を握っていてジャンル作品を抹殺できる立場にあるとも思いませんが。大多数のタフでしたたかな一般庶民はもっと下世話でエログロ・ナンセスが大スキだろうとも思うので(笑)。ちなみに、当該コラムを執筆された団塊の世代終戦直後のベビーブーマー)の三田誠広(みた・まさひろ)氏は芥川賞受賞作家でもあり、オタキング岡田斗司夫が『新世紀エヴァンゲリオン』(95年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20220306/p1)の元ネタのひとつでもあると評していたと記憶。オタキングのその見解が妥当であるのか、三田作品を読んだことがない編集者には判断がつきませんが――



 ちなみに70年代前半の変身ブーム期に、ある主婦の意見がキッカケで新聞の投稿欄において怪獣番組追放の気運が巻き起こったことがありました。(後年の弊誌『假面特攻隊2005年号』「ウルトラマンネクサス」合評ページにて、当該の70年代前半の新聞投書群の縮小コピーを収録)
 私の母も私たち兄弟が『仮面ライダー』を観るのをイヤがっていたような覚えがあります。私は『ダイナ』の第17話『幽霊宇宙船』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971202/p1)で人々が黒く変色して倒れてしまうシーン(『ちびくろサンボ』(ISBN:4916016556ISBN:4770501994)が88年に絶版にされたようなこの国で、よくあんな描写が許されたものだ)、あの程度の残酷描写でも抵抗を覚えるくらいの奴ですので、この部分には実にこだわってしまうのです。


 まあこのテの残酷描写は気にしない人は気にしないのでしょうが……。この点では確かに平成ウルトラは安心して観られるように思います。でも『ダイナ』の第24話『湖の吸血鬼』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971208/p1)のように、安っぽいホラーまがいの作品になると必ずグロテスクな描写が散見されるのは頭の痛いところです。


――後日編注:『ちびくろさんぼ』は日本国内においてはのちに復刊。ただし逆に、国内文化人やオタク族にもリベラルと目されている欧米では意外にもすでに70年代中盤に絶版処置が取られており(もちろんそれぞれの国内でも賛否両論もあり)、数百年にわたる人種差別の歴史的な経緯も含めて、その発禁の是非の判断もそれぞれの国の国情に従うものでありムズカしいところではある――


6 「星を守るっ!」


 第二十五章『黒騎士の決意』は初代黒騎士・ブルブラックの悲劇的な人生と最期(さいご)の姿にも心を打たれました。が、彼を倒してその中に取り込まれた兄・ヒュウガを救うよりも、「星を守る」ことを選んだギンガレッド=リョウマの姿がそれ以上に印象的でした。


 対比として、『ウルトラマンダイナ』の最終回三部作(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971211/p1)の中で、


 「オレは今、君だけを守りたい!!」


 なんてワメいていた主人公アスカを思い出さずにはいられませんでした。


 確かに私も愛する人を人質に取られ、「彼女を救いたければ地球を俺に売り渡せっ!」なんて迫られたら、間違いなく彼女の方を選ぶでしょう(笑 〜オレは『ウルトラマン』(66年)第33話『禁じられた言葉』のサトル少年以下か!?)


 しかしこれも私のような「凡人」だから許される(?)のであって、ヒーローがそんな個人的感情に走るのは大問題であるように思うのです。そんな私情に走るアブナイ奴に地球の平和を任せられますか?


 父母や妹を怪人ハサミジャガーに殺された『仮面ライダーV3』(73年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20140901/p1)こと風見志郎は「俺を改造人間にしてくれ!!」と第1話で仮面ライダー1号・2号に頼みますが、「個人の復讐に手は貸せない」と一度は拒絶されてしまいます。坂田兄妹の仇討ちしか脳裏になかった『帰ってきたウルトラマン』(71年)は、第37話『ウルトラマン夕陽(ゆうひ)に死す』でナックル星人とブラックキングにあっさりとやられてしまいます。遠藤理恵の身を案じるあまり、蒲生譲二(がもう・じょうじ)がスペクトルマンを解任されたこともありました……


 『ウルトラマンティガ』『ウルトラマンダイナ』でしつこく繰り返された「何のために戦うのか?」の問いに対して、懲りもせずに「愛する人を守るために」との答えが出る度に、私は歯がゆい思いをしたものです。(『ウルトラマンダイナ』のエンディング歌曲『君だけを守りたい』(ASIN:B000064CCA)なんてヒーローソングとしては最低だと思う)


 大義のため「公」のために「私」を犠牲にして戦うことは、すべて戦前の軍国主義や間違った偏狭なナショナリズム国家主義)につながるという戦後の文化人たちやマスコミが提示してきたテーゼが、戦後50年を経(へ)てヒーローものの作り手たちにもついに浸透したのでしょう。たしかに「私」を犠牲にして戦うことには、そういう面にも通じるところがあると思います。


 しかし単純に反転させて、「私」をまったく犠牲にせずに無条件に完全肯定して、「公」や大義を否定さえすれば、それだけで人間は間違いを犯さないといえるのでしょうか? 「私」の私利私欲や物質的・肉体的快楽のみを追及して、身の回りのこと以外の社会や世界のことなど無関係、自分にとっては知ったことではないよ、といったミーイズムの陥穽(かんせい)。戦前とは正反対の事態ではあるけれど、逆の方向にある別の落とし穴にはまってしまうだろうに……その危険性が容易に想定されてこないのか? ……そんなふうに私などは思うのですが。事は単純な二者択一ではないのです。


 なぜそのような当たり前のことに、『ティガ』や『ダイナ』の作り手たちは思い至らないのでしょうか? まあ『君だけを守りたい』に類する、私的な幸福さえ確保されればOKで戦前を克服できているという言説や恋愛至上主義は、戦後の文化人やマスコミ、歌謡曲などが賞揚してきたもの。『ティガ』『ダイナ』もその影響下にあるだけで、平成ウルトラの作り手たちだけの問題でもない根が深いものなのですが……。



 第十七章『本当の勇気』ラストに少しだけ姿を見せて、第十八章『謎の黒騎士』・第十九章『復讐の騎士』・第二十章『ひとりの戦い』において描かれた黒騎士ブルブラック初登場三部作。ここでは、奇しくも故郷の星を滅ぼされて人質にされた弟をも目前で喪(うしな)って、復讐のためなら無関係の周囲の者たちに被害が出ても構わないとする黒騎士と、同じく故郷のギンガの森を失ってもそのような戦い方には決して賛同しない、個人的な復讐心を満たすだけではなく多くの人々をも救おうとする戦い方を選択するギンガマンたち5人との対比を描いた作劇でした。


 それは、特撮ものでの正義のヒーローが戦う理由とその資格を、ジャンルの歴史も踏まえて今風に深く練りこんで描いたものでもあり、非常に納得の行く出来栄えでした。さりとて、黒騎士ブルブラックの戦い方は最終的には否定されるにしても、完全否定するのでもなく充分に同情の余地を持って描かれてもおりますし。


 
 これだけ描いてくれたのですし、私は「私」よりも「公」を取るギンガマンには、少なくともギンガレッド=リョウマにだけは、地球の運命を託してもよいと思っています……



 そして、本作はそんな深刻なテーマ描写を見せるだけには留まりません。同時にきっちりと娯楽性あるイベント要素でも、視聴者を楽しませてくれます。


 ギンガレッド=リョウマの兄・ヒュウガは生きているのか? 黒騎士ブルブラックの正体こそヒュウガではないのか? というふうに幾度も気を持たせては二転三転させてきた意外性あるストーリー展開に、大きなお友だちであるマニアが観てもフェイクあふれていて驚いてしまうような「そう来たか!?」というオチ!


 そしてその次に第二十六章『炎の兄弟』で描かれたのは、本来ヒュウガこそがギンガレッドになるべき立場にあったという第一章の設定を改めて活かした、ヒュウガとリョウマとの葛藤劇!


 二代目の黒騎士となる、黒騎士ヒュウガの誕生!



 ゴジラや平成ウルトラしか観ていない特撮マニアたちが、子供たちにもわかる娯楽活劇性をまずは大前提にして、その上で高度なストーリーやドラマを展開してみせている『ギンガマン』のことを知らないことが残念でなりません……。



 ……いかがでしたでしょうか? 戦隊シリーズについて評論するなんて私にとっては初めての経験ですので、かなり的外れな意見もあったかと思います。


 ただ一つだけ云えるのは、マニア向けに高尚ぶってはいてもどこか頭デッカチだったり出来や展開が稚拙だったりした平成ウルトラに求めようとしてもほとんど得ることのできなかった、明朗な娯楽活劇作品としての面白さやヒーローものの醍醐味を『ギンガマン』では存分に味わうことができたのです。


 『ウルトラマンティガ』(96年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19961201/p1)や『ウルトラマンダイナ』を律儀に毎週観てグチをこぼしているヒマがあったら、『激走戦隊カーレンジャー』(96年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20110521/p1)や『電磁戦隊メガレンジャー』(97年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20111121/p1)を観ておくべきだった……
 元はと云えば、要らん先入観で戦隊シリーズを全く無視し、「『ウルトラ』こそ全て」と信じ込んでいた私が悪いのです。バチが当たったとしか云いようがありません


――私はウルトラ至上主義者ではありましたが円谷プロ至上主義者ではなかったので、ゆえに『電光超人グリッドマン』(93年)は全く観なかったし、『緊急指令10−4・10−10(テン−フォー・テン−テン)』(72年)なんかどこが『怪奇大作戦』(68年)のジュニア版なのかわからない(笑)。せいぜい『少年探偵団』のSF版か、『戦え! マイティジャック』(68年)の路線変更で毎回怪獣が登場するようになった2クール目の「なんでもぞくぞく登場シリーズ」と同等くらいにしか感じない――



 正直この2年間、「もう『ウルトラマン』なんて卒業しよう」と何度思ったことかわかりません。平成ウルトラを高く評価する方々には非常に申し訳ないのですが、これ以上、ニセ『ウルトラマン』にだまされ続けるのはごめんなのです…… もし私に子供がいたら、果たして平成ウルトラに夢中になったかどうか? できればそのへんの幼稚園児を片っ端から捕まえて、


 「『ギンガマン』と『ウルトラマンガイア』、どっちが面白いと思う?」


 なんて聞いてみたい気持ちです。変なオジサンと思われるとイヤなのでやりませんが……(実際に『ギンガマン』の方が視聴率も高いですけど)。


 第1期ウルトラ至上主義的なシリアス・本格志向・原点回帰の『ウルトラマングレート』(90年)や『ウルトラマンパワード』(93年)の地味な内容にウンザリして、ウルトラ兄弟やウルトラファミリーが登場する第2期ウルトラ的なにぎやかな内容らしい、昭和ウルトラ直系の続編として宣伝されるも流産してしまった幻の新作企画『ウルトラマンネオス』95年版(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971115/p1 〜後日付記:99年に発売された全12話のビデオ版とは設定が異なります)に大いに期待して、その情報を一早く知りたいと思って入会した「円谷プロファンクラブ」を遂に脱会してしまった男の、これが偽らざる心境です……

以上 ’98.10.27 記


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊99年号』(98年12月29日発行)「星獣戦隊ギンガマン」評より抜粋)


星獣戦隊ギンガマン 〜前半評2

(文・ビオラン亭ガメラ


 『星獣戦隊ギンガマン』(98年)、早いもので放送開始から3クール目を目前としています。


 宇宙海賊バルバンも、「ただの地球侵略」を目的とするのではない。


 導入である1クール目は、「魔獣ダイタニクス復活」をテーマに復活させるためのエネルギー探しをさせる。
 続く2クール目では、1クール目後半で明らかになった3000年前に黒騎士ブルブラックが地球に持ち込んだという「ギンガの光」探しをテーマとする。


 これらの試みで、従来の戦隊シリーズの流れとの差別化をはかっています。


 全体的なテーマとしては「物探し」と考えれば良いでしょう。うん。これはこれで面白いし、毎回やれ「復活には電気が必要だ!」とか「ギンガの光は建物に潜んでいる!」とか「理由付け」をして、よくやっていると思う。


 が……なんかピンと来ないんですよ。もっとはっきりしたテロ行為じゃないと。今の状況ってバルバンの物探しが、結果的にテロ行為になっている状況じゃないですか? それだとイマイチ敵役として燃えないんだよなぁ…… なんか理屈っぽいし。



 前作『電磁戦隊メガレンジャー』(97年)の時も思っていたんですが、余計なところでこだわっている感じがします。「新しいことをしよう」としている気持ちはすごくわかるし、いいことだと思うんだけど、あまり差別化にこだわりすぎると「逆につまらなくなる」と思います。


 やっぱり普遍的な部分、変えてはいけない部分ってあると思うんですよ。パターン破りも、パターンがあってのものですから。


 たまには


 「今回はギンガの光は置いといて、ギンガマンを倒すことに全力で挑む!」


 みたいな回があってもいいんじゃない?


 最近はかなり良くなってきましたけど。黒騎士ブルブラック初登場の回とか「第二十章 ひとりの戦い」とか。



 あともっとアクションとか特撮を中心に見せてくれる話がほしいなー。『ギンガマン』はドラマがあってすごく面白いのですが、ちょっとドラマに流されすぎているような気がします。ほら、回想シーンが多いじゃないですか?(笑)


 野牛型の重星獣ブルタウラス初登場の回なんかは、ブルブラックとギンガマンとの正義に対する考え方の違いによる対立のドラマよりも、もっと特撮とか、ブルタウラスについての説明(「重星獣」って何じゃい?)とか見たかったよ。だって、そういう価値観対立ドラマだったらあとからでもできるじゃないですか!


 あの回では「初登場のブルタウラスがただ出てきて怪人やっつけただけ」だったのでなんか寂しかったです。


・『超力(ちょうりき)戦隊オーレンジャー』(95年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20110926/p1)でオーレンジャーロボが最初から最後まで大活躍するバラミサイラーの回(第8話「激突!! 超巨大戦」)
・初登場の五大ヒト型ロボが地上・海底・宇宙で再生巨大マシン獣軍団と戦って最終ロボ・オーブロッカーに合体、活躍するだけで1話を費やす33話「5大ロボ大暴れ」の回
・『電磁戦隊メガレンジャー』の2号ロボ・メガボイジャー初登場の回(32話「終わりか!? 絶体絶命ギャラクシーメガ」)


 ……のように「全編、特撮です!」というような話が見たいなー。



 そういう点では曽田博久・杉村升・宮下隼一あたりのメインライター張ってた先生方は上手かったねぇ。まあ経験や玩具会社バンダイからの要請もあったとは思うけど。


 『ギンガマン』のメインライター・小林靖子先生、ドラマや人物描写はすごく丁寧で上手いですから、今後はそういうところを詰めていけば、もっといいヒーロー作品書けると思いますよ。(エラソー!)


 毎回デジタル合成入れるのもよいですが、僕としてはどーせ金をかけるなら、いつもはショボくてもいいですから、たまにドーンと豪華なミニチュア着ぐるみ特撮を見たいですね。



 初代敵幹部・銃頭サンバッシュ――なんかこいつとその部下、『激走戦隊カーレンジャー』(96年)の「宇宙暴走族ボーゾック」入ってなかった?(笑) BGMもそれっぽかったよね――に続き、二代目敵幹部になった剣将ブドー。


 和風ムード漂ういいキャラだなぁ。五・七・五読むなっての(笑)。そのマジメぶりが逆に面白い。部下思いのイイ悪モンだ。「ブドー四将軍」なんていうのがいるのもいいね。ただ、彼の配下の魔人はそれまでの魔人(本作における敵怪人)とどう違うの? 和風なだけ?(笑)


 残る敵幹部・妖帝イシリス、同じく敵幹部・破王バットバスがこのブドーを越えられるか? ブドーと樽学者ブクラテス、イシリス(なんとブクラテスの姪っ子だったとは!?)間の対立と内部抗争の予感。


 いいぞ、いいぞ! 悪の組織はモメないとね(笑)。



 ギンガの光も良いが、魔獣ダイタニクスもそろそろよみがえってもいいんじゃない? あとニンジャレッド・サスケ(笑)もといギンガレッド・リョウマの兄貴のヒュウガもね。


 なんだかんだと面白くはなりそうです! ワルが燃えれば、正義も燃える。がんばれ、宇宙海賊バルバン! ギンガマンに倒されるその日まで(笑)。


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊99年準備号』(98年8月15日発行)「星獣戦隊ギンガマン」評より抜粋)


星獣戦隊ギンガマン』 〜後半・最終回評

(文・久保達也)
(1999年2月14日脱稿)


 「ヒーローものって、〈熱く〉なるために観るもんなんだよなあ……」


 『星獣戦隊ギンガマン』はそんな至極(しごく)当然のことを、私に再認識させてくれた、素晴らしい作品であった……


・敵の新幹部(参謀)、闇商人ビズネラの参画
・鋼星獣ギガバイタス(実質、大型母艦)と助っ人合体ロボ2体の登場
・強化される等身大時の武器・獣撃棒
・敵幹部ブクラテスの裏切り
・敵が探し求めていた魔獣ダイタニクスに代わる、「地球」自体が魔獣となってしまう地球魔獣(!)の出現……


 シリーズ中盤から次々に繰り出される新機軸。後半はますます連続活劇としての様相を呈し、一話たりとも観逃すわけにはいかなかった。
(それにひきかえ『ウルトラマンガイア』(98年)は相も変わらず、『ティガ』『ダイナ』でもやってた、90年代では目新しくもないエコテーマと人類批判テーマばっかし……連続ドラマ性があるといっても、『ギンガマン』がやってる連続ドラマ性に比べたら……こんなもんばっかり3年もやっていったい何を描きたいのか!?)


 これが掲載されるのは放映終了から半年も経つ夏コミ開催の99年8月ごろだと思うので、各話に対する細かい寸評は控えたいと思う。


 が、終盤の第四十六章『怒りの風』にだけは触れておきたい。


 第1章での「ギンガの森」消失とともに消えてしまったミハルを想い続けるギンガグリーン=ハヤテ。
 そんな彼に相手にされない腹いせに、彼女の偽物をハヤテに差し向ける女敵幹部シェリンダ……
 さすが女、何とも陰険なやり方でありますが、こういうシチュエーションはいいですねえ。


 私だったらきっと「ミハル」に斬り殺されちゃっただろうなあ……(笑)


 シェリンダはやはりハヤテに倒され、地球魔獣も神秘の力・アースの結集によって倒すことができた。


 残るはゼイハブ船長……だがこれがメチャクチャ強い。そりゃもう呆れ返るほど強い(笑)。ズタズタに傷付きながらも、それでもギンガマンと黒騎士ヒュウガは「星を守る」ためにゼイハブに戦いを挑むのだ!!

 
 「星を守る心があれば、アースは生まれる!」


 (「アース」とは平成ウルトラでいう『光』か?)


 とにかく燃えて燃えて燃えまくる怒涛の最終回!!(ボキャ貧で恐縮だが、あの素晴らしい絵はとても言葉では語り尽くせない!!)



 遂に星(地球)を守ったギンガマンに、星からのお礼として「ギンガの森」が返された。


 ギンガグリーン=ハヤテはミハルと再会。ギンガブルー=ゴウキも鈴子先生と楽しそうに語り合う。そして知恵の樹モークもそこにいた……(「よかったですね! 感動です!!」)


 「もう毎日会えないね……」


 寂しそうにつぶやく勇太にリョウマは云う。


 「勇太、俺たちはいつも、ここにいるよ!」


 ……そうだ、ギンガマンは今もギンガの森にいる! みんなで彼らに会いに行こうではないか! 特にギンガピンク=サヤちゃんに……(笑)


 「また会おうね、ボック……」



 長年戦隊シリーズをバカにしてきたこの私が不本意にもハマってしまったのだから、『星獣戦隊ギンガマン』が素晴らしい作品であることは間違いない!(全然説得力ねえか?)


 私は『ウルトラマンガイア』を毎週土曜日の夜寝る前に観ていた。確かに個人的には眠気を誘うにはこんなよいものはなかったのだが、私は一晩眠れば大抵のイヤなことを忘れることができるためでもあった。
 そして日曜日の朝、早起きして『ギンガマン』を観れば、『ガイア』のことなんか完全に忘れ去り、快適な一日を過ごすことができたのだ。『ガイア』を好きな方々には非常に申し訳ない発言なのは承知だが……


 特撮雑誌『宇宙船』99年冬号において、「正義の花道」と題した80年代〜90年代の東映ヒーロー大特集が掲載された。この中で紹介された作品の中で、私がリアルタイムで全話観たのは『仮面ライダーBLACK(ブラック)』(87年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20001015/p2)だけである。(『バトルフィーバーJ』〜『太陽戦隊サンバルカン』までの戦隊シリーズは、早朝の再放送を朝メシを食いながら観たものだが)


 いやしくも「特撮ファン」を自称する私は、いったいこの20年間何をやってきたのか? 誠に情けない限りである…… 20年前といえば、私が中学に入学した年、生意気盛りであった。


 『ウルトラ』と日本サンライズ制作のリアルロボットアニメが全てであり、ビデオを入手してからは過去の作品を追い求めることばかりに夢中になった…… 私がそんな後ろ向きな行為に走っている間に、東映ヒーロー作品は試行錯誤を重ねながらも、着実に進歩を遂げていったのである。


 『星獣戦隊ギンガマン』は決して突然変異で生まれたわけではなかったのだ……


 ただこの数年間、『宇宙船』は特集といえば、『ゴジラ』『ガメラ』『モスラ』『ウルトラマン』が中心であり、東映ヒーロー作品に関しては極めて扱いが小さく、少なくとも私が興味をそそられる内容のものはなかったような気がする……なあ〜んて単なる言い訳か。


(編註:残念ながら90年代、もとい西暦2000年あたりでも、『未来戦隊タイムレンジャー』(00年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20001102/p1)などの東映作品であっても、現行作品でありながら巻頭カラーページですら取り扱われていなかったりもする。このへんは編集者のみならずジャンル史的には多大な功績もあった当時の編集長の裁量なども含めて、やはり若い特撮マニアの嗜好・動向からはズレていたとも思われる)



 戦隊シリーズの次回作は『救急戦隊ゴーゴーファイブ』(99年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19991103/p1)である。正直云ってこのタイトルにはコケてしまう(笑)。
 マニア間では高い評価を受けている平成ウルトラであるが、私の見るところいつまでも70〜80年代のマニア向け書籍『ファンタスティックコレクション』の時代の特撮評論――子供にもわかる王道娯楽活劇作品のすばらしさのことはさておいて、大人の鑑賞にも堪えうるとか(笑)、異色作・アンテテーゼ編こそがスゴイとか(笑)――の論調から進歩のない円谷プロに見切りを付けた私は(くやしかったら子供番組としての直球を投げてみろ!)、更なる飛躍を遂げるに違いない東映作品を今後も見守っていきたいと思う(もちろん東映の『燃えろ!! ロボコン』(99年)の方も……)。


 そしてできることなら、ここに至るまでの20年の歴史の重みを、新鮮な気持ちで味わってみたい(今から20年かけてそれをやったら完全にオヤジになっちゃうけど……)。


 チョコレートなんかよりも、『星獣戦隊ギンガマン』の感動の最終回の方が最高の贈りものだった……

1999.2.14.



余談・1
 ここまでベタボメして最後にケナすのも気がひけるのですが、せっかく巨大ロボットを出すのであれば、もう少し見せ場を工夫できないものでしょうか? シリーズ後半では、毎回ギンガイオーが登場早々にピンチになり、2号ロボ・ギガフェニックスや3号ロボ・ギガライノスを呼んだら呆気なくケリがついてしまうのではあまりにも物足りなく、クライマックスどころか蛇足のように思えてなりません。合体ロボットアニメも絶滅状態ですし、これを楽しみに観ている子供も多いと思います。これだけは一考願いたいものです(せっかく特撮技術も進歩してるんだし)。また後半、人っ子一人いないような山中での巨大戦が多くなったのも残念でありました(背景の山の絵が見苦しかった!)。


余談・2
 ギンガピンク=サヤを演じたまだ女子高生であるロリ系の宮澤寿梨(みやざわ・じゅり)ちゃんと、女敵幹部シェリンダを演じたセクシー系の水谷ケイ。放映中に数々の雑誌のグラビアを飾っておりました。寿梨ちゃんは必ず「ギンガマンのお姉ちゃん」と紹介されていたにもかかわらず、水谷さんの方はなぜか『ギンガマン』出演に関しては一言もなし。彼女、好演してたと思うんですけどねえ。そんなに隠したいか?(笑)


 ところで寿梨ちゃんのプロフィールの「ヒップ80」って絶対にウソだと思います。画面で見る限り彼女のお尻はかなり大きい! 放映前に『ヤングジャンプ』に載ったビキニ姿の写真を見てもつくづくそう思います。このグラビア、私の最大の「お宝」になりそうであります(笑)。


(了)
(初出・特撮同人誌『假面特攻隊2000年準備号』(99年8月14日発行)「星獣戦隊ギンガマン」評より抜粋)


[関連記事] 〜脚本家・小林靖子作品評

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