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超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか 〜シリーズ概観 & アニメ趣味が急速にダサいとされる80年代中盤の端境期

『マクロスΔ』&『劇場版マクロスΔ 激情のワルキューレ』 ~昨今のアイドルアニメを真正面から内破すべきだった!?
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(84年7月21日封切)
(文・T.SATO)
(04年1月執筆)
 アニメで育った世代がはじめて作り手の中核に入り込んだアニメ。


 『機動戦士ガンダム』(79・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19990801/p1)・『伝説巨神(でんせつきょじん)イデオン』(80)後のリアルロボアニメ作品が、まだ同じ日本サンライズ制作の『太陽の牙ダグラム』(81)・『戦闘メカ ザブングル』(82)しか出現してなかった時代。
 アニメ誌の先行情報で、ナンだこの軟弱で繊細そうでクセのあるキャラデザは!? なぜ放映前にプラモが発売される!?
 ……なーんて訝しんでたトコを、第1話の1時間SPのハイセンス作画&戦闘機バルキリーの空中戦描写で、見事に当時のアニメファンを虜にしたアニメ。
 それが、TV版『超時空要塞マクロス』(82)だ。


 リアルなのか不謹慎なのか、宇宙戦艦のブリッジは女のコばっかで、女性アイドル歌手も登場。
 ラブコメで、ついには劇中歌謡曲をバックに戦闘シーンをやっちゃうイカレたアニメも完全新作、TVアニメの劇場化作品としてはもっとも出来のよいクラスのクオリティで劇場版に昇格した!


 ファンの期待にたがわず、本作のヒロインたるアイドル歌手リン・ミンメイは、劇中早々から持ち歌を披露!
 ♪「私の彼はパイロット」「小百竜(シャオパイロン)」「0(ゼロ)−G LOVE」「サンセットビーチ」「シルバームーン・レッドムーン」「シンデレラ」「天使の絵の具」……。全部歌えるヒトは筆者とお友だちになりましょう(笑)。


 F−14トムキャットを模した人型に可変する戦闘機バルキリーも、パース豊かな構図の中を、タメて浮遊したかと思えば、気持ちよく滑空して急進! 世に云う板野サーカスの緩急利かした飛行にミサイル乱舞で、本編前半のツカミもOK!


 もちろん、当時のファンの快感原則に忠実なだけの80年代OVAみたいな作品には留まらない。
 リン・ミンメイの空中落下をバルキリーで追いかけキャッチする主人公・一条輝(いちじょう・ひかる)。
 憧れのアイドルといっしょに密室に閉じ込められ、無断使用の戦闘機でデートする男のコの夢たるスキャンダル描写。
 捕獲はしたものの、地球人男女のキスに衝撃を受けちゃう戦争しか知らない敵巨人族
 敵宇宙戦艦の空爆による地球の壊滅。
 のちに天才夫婦となるマックスVS敵の美女ミリア戦。
 TV版の名場面や重要シーンを漏らさず抽出、大胆にも再構築して成功した!


 《敵のゼントラーディは男だけの集団で、女だけのメルトランディ側と交戦中》と、TV版とは世界観の設定を変えてテーマを明快化。
 浮上する先史異星人プロトカルチャーの超古代巨大都市。そこで発見された超古代の流行歌の設定たる新曲主題歌「愛・おぼえていますか」などの劇場版オリジナル要素も本作のキーとして見事に活用されていた。


 見返してみても古びてはいない本作だが、今観ると世代人は、《いかにも80年代前半なセンス》をそこに発見するハズ。
 学園ものや熱血演技が、クサいとケナされ、ナチュラルな素人っぽさがもてはやされた時代に即応した主人公&ヒロインの声質&演技。
 貧乏クサさ・汗クサさから、急速にカジュアルでデオドラント化していく若者文化。
 アイドル歌手の全盛(アニオタはアイドルオタとカナリ重複)。
 当時、隆盛を極めたラブコメ漫画の優柔不断なやさ男とブリっ子風女のコに三角関係。
 女のコが過度に美化されて、かわいいコ&その笑顔には適わない、拝跪・屈伏ゥ……などの風潮がそれだ。


 アニメ誌の記事やコラムに登場しはじめたオタク第1世代のライターや作り手たちが、大林宣彦(おおばやし・のぶひこ)監督の角川映画時をかける少女』(83)に主演したショートカットの原田知世(はらだ・ともよ)の透明な少女性にのきなみヤラれて、カットを描いたり崇拝していたことも懐かしい。
 クラスで女子の存在が強くなり、「かわいい」の言葉で男子を逆にレッテリング、去勢・腑抜け化し、オジサン・オバサンどころか万物(笑)に「かわいい」を形容して征服していったのもこのころだ。


 ただ現実世界ではそれも束の間。世間はカラ騒ぎバブルへと移行。我々は時代に取り残された感もあるけどサ。


 またあのころは、家庭用ビデオや子供部屋にまでTVがまだまだ普及していなかった時期。周囲をはばかることなく視聴できた都会に下宿するひとり暮らしのオタク第1世代は知らねども、茶の間で「♪ ワタ〜シの彼は〜、パイロット〜」の歌曲が流れると、惹かれつつもハズかしさに身悶えたのも一方の事実だ(笑)。


 リン・ミンメイを演じた飯島真理は、アイドル的な愛苦しいルックスながら、当時のFM誌(たしか「FMfan」誌)で自宅にレコーディング・スタジオを作っていたことが紹介されたほどのミュージシャン志向。
 彼女が歌唱する劇場版主題歌「愛・おぼえていますか」もTVのベストテン番組に登場するほどヒットし、のちにミュージシャンの杉真理(すぎ・まさみち)と結婚。


 本作はフェミ志向・軟弱アニメの先駆けとの印象もあるけど、キャリア女性が実は家庭的って作劇は、今だとやはり男性中心主義に見えるかも。
 なお傷心のミンメイに、恋敵・早瀬美沙が発掘した歌詞を主人公が歌わせた展開は、往時から相手の気持ちを考えていない、非情だとの批判があった。この指摘は当時ピンと来なかったけど今見ると……筆者も当時はガキでした。今時の作品なら最初からやらない作劇かも。
 でも弁護しておくと、劇中でも主人公・輝の葛藤は描かれているし、ラストでの大事を遂げたミンメイと美沙の視線の交錯はとてもイイ。


 『マクロス』サーガは初作劇場版以降も展開。
 85年にアメリカで、『ROBOTECH(ロボテック)』という『マクロス』『超時空騎団サザンクロス』(84)『機甲創世記モスピーダ』(83)を異なる時代・世代ながらも同一の世界観とした作品も登場。


 92年には、初作の80年後を舞台にミンメイ・アタックが効かない、歌唱する敵と戦うOVA(オリジナルビデオアニメ)『超時空要塞マクロスⅡ -LOVERS AGAIN-』(ASIN:B00005L822・現在ではパラレルワールド扱い)。


 『愛〜』を当時24歳(!)で監督するも、以降は寡作だった河森正治自身も『マクロス7(セブン)』(94・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19990906/p1)、『マクロスプラス』(94・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19990904/p1)を製作。
 前者は初作の《実は敵を歌で脅して孅滅していたかもしれない可能性》、後者も《歌のダークサイドである洗脳性》にそれぞれ踏み込み、アニメ史的な意義はともかくテーマ的には初作を上回る!


 この時期に『愛〜』は、マクロス世界で2031年に製作された映画だとされた。
 河森によれば実は『愛〜』同様、「マクロス」シリーズの全作品は、《マクロス世界の出来事を素材に、同世界の後世の歴史家や物語作家が著わした著作物や映像記録》であるとする多層的な位置づけ・意味づけにしているとのこと。
 きっちり設定されすぎたSF世界の宇宙史観に息苦しさを感じる河森が、物語は所詮フィクションでしかないという常識的な感覚もファンには大切にほしいから……という意図もそこにはあるそうだ。


 以降も河森は、『天空のエスカフローネ』(96・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19990911/p1)、『地球少女アルジュナ』(01)、『地球防衛家族』(01)、『マクロスゼロ』(02)等の良品を発表。一作ごとにファンの反響を呼んでいる。


(了)
(初出・商業誌『新映画宝庫VOL.8 男泣きアニメ劇場』(04年2月発行・ISBN:4813007899))


(後日付記:マイナー書籍で増刷もないと思うので、ここに再録。掲載原文ではバリキリーのモデルをF14ではなくF15と誤記してしまい、おハズかしいかぎり。ミリタリーに無知でもあり、その節はスミマセン。でも、担当編集&版元で二重三重に何度もあったチェックにもひっかからなかったってことは、小生だけの責任……以下略(オイ・汗))


[関連記事] 〜「マクロス」シリーズ & 河森正治監督作品評

超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか(84年) 〜シリーズ概観

  (当該記事)

マクロスプラス MOVIE EDITION(95年)

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19990904/p1

マクロス7(セブン)(94年) 〜序盤&中盤評

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19990906/p1

マクロスF(フロンティア)(08年)#1「クロース・エンカウンター」 〜先行放映版とも比較!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20080930/p1

マクロスF(フロンティア)(08年)最終回「アナタノオト」 〜キワどい最終回を擁護!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20091122/p1

マクロスΔ(デルタ) & 劇場版マクロスΔ 激情のワルキューレ ~昨今のアイドルアニメを真正面から内破すべきだった!?

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190504/p1


天空のエスカフローネ(96年) 〜賛否合評 皇帝ドルンカーク=アイザック・ニュートン

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19990911/p1

劇場版エスカフローネ(00年) 〜いまさら「まったり」生きられない君へ……

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19990912/p1

地球少女アルジュナ(01年)

  (ワープロのフロッピー(汗)から発掘できたらUP予定)

地球防衛家族(01年)

  (ワープロのフロッピー(汗)から発掘できたらUP予定)

創聖のアクエリオン(05年) 〜序盤寸評

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20051021/p1


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