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機動戦士ガンダムNT 〜時が見え、死者と交流、隕石落下を防ぎ、保守的家族像を賞揚の果てに消失したニュータイプ論を改めて辻褄合わせ!

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機動戦士ガンダムNT(ナラティブ) 〜時が見え、死者と交流、隕石落下を防ぎ、保守的家族像を賞揚の果てに消失したニュータイプ論を改めて辻褄合わせ!

(18年11月30日(金)公開)
(文・T.SATO)
(18年12月2日脱稿)


 初作のキャラデザ&アニメ監督も務めた安彦良和センセイが総監督を務めた、初作の宇宙世紀0079年の前史を描く映画『機動戦士ガンダム THE ORIGIN(ジ・オリジン)』(15年)シリーズが、シリーズの隙間の宇宙世紀0096年を舞台とした映画『機動戦士ガンダムUCユニコーン)』(10年)シリーズの興行に劣っていたのか(?)、『ORIGIN』における初作との同時代編(=初作リメイク編)は映像化されずに、『UC』直後の宇宙世紀0097年が舞台の「ガンダム」作品が早くも登場!
 しかも作品の焦点は、「ガンダム」シリーズ初期数作で議題とされてきた、巨大ロボを民間の素人少年が上手に操縦できることを正当化するためにSF設定された「ニュータイプ」(新人類)!


 のっけから老害の繰り言で恐縮だけれども、80年代前半の「ガンダム」ファンは創造主・富野カントクの思惑を超えて、古典SF作家・アシモフやクラーク的に唯物的な脳ミソに限定されずに精神が時間・空間をも越境していくモノだと深読みして、アニメ誌の読者投稿欄や同人誌に大学のアニメ研・会誌などを舞台に、「ニュータイプ」を縦横無尽に論じていたモノだ――もちろんアニ研会誌などははるか後年にコミケで残部を入手しての読了――。
 しかし、続編「ガンダム」諸作においては、戦中世代の富野本人にはやはりSFセンスはさほどになかったというべきか、年齢的にも40代に達してSF的なことよりナマの人間の方へと関心が移って人類のニュータイプへの進化なぞも絵空事とサメたのか、その概念は深化しなかった。
――富野自身の思想の変容とも相まって、オタク的な浮遊ではなく地に足が着いた保守的家族像の方をニュータイプと称したり(『機動戦士ガンダムF91(フォーミュラナインティワン)』(91年)・『機動戦士V(ヴィクトリー)ガンダム』(93年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19990803/p1))、そのうちにその存在すらもが劇中で語られなくなって(『∀(ターンエー)ガンダム』(99年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19990809/p1))、最後には「虫の知らせ」レベルであったとした(汗〜『ガンダム Gのレコンギスタ』(14年))――


 そして、マニア連中へのイヤがらせか、ウラ設定はあっても今が宇宙世紀の何年なのかすら劇中では公言させず、どころか富野御大は80年代中盤にはもうメカや年代や設定ばかりに執着するガンダムオタは排除したいと問題発言する始末。
 初作や続編『機動戦士Z(ゼータ)ガンダム』(85年)以降も同じ富野作品だからいっしょ! と後年括られるようになったけど、筆者のようなロートルからすれば、初作のように眉間の閃光といった心象演出に留めずに、アニメ映画『幻魔大戦』(83年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20160521/p1)や『北斗の拳』(84年)のごとく全身からオーラを発し、死んだキャラの残留思念が多数登場して語りかけてきたり――『宇宙戦艦ヤマト』の続編群でスレたマニア連中が一番酷評してたのもソレだったのに!――、サイコフレームなるバイオコンピューター素子を封じた金属装置で増幅された力で、落下していく巨大隕石を物理法則に反して押し返すに至っては……。
 『キン肉マン』や『美少女戦士セーラームーン』などの頑張れば努力は叶う少年マンガ的な精神主義的世界観への逆行で、リアルロボアニメの「ガンダム」でやるべきじゃないし、「ニュータイプ」ってそーいうモンじゃなかったろ! と怒りを覚えたモノである(笑)。
――ま、同級生や中高の図書室や大学アニメ研に集うような元祖オタ連中らに散見されたそーいう意見が、ネット普及前なのでアーカイブ化されて後世にはほぼ残らなかったのもナニだけど。そーいう意見も過去には結構あったのだという歴史証言のあくまでひとつとして、ご不興な方々にはご寛恕いただけますと幸いです(汗)――


 しかし、今さらシリーズの隙間を埋めるのに、サイコフレームを無視するワケにもいかないので、手のひらサイズの金属であったサイコフレームは、『ガンダムUC』では劇中内最新ガンダムの全身各所を覆う光り輝くパーツとなり、超常のパワーを発揮することで、リアルかはともかくエンタメ的なロボットアニメ活劇としてのスペクタクルな映像的見せ場、主人公の道義&努力が勝利のカタルシスをもたらすためのウェルメイドな物語装置にはなっていく。


 本作では死者の霊とも交流でき、物理法則を超えて隕石落としさえ防ぐまでに、後付けでインフレ・拡張していった「ニュータイプ」の概念を、コレまた30年後の後付けの後付け(笑)で、過去作の該当シーンのバンクフィルムも多用して「何もかもすべて懐かしい」というロートル観客の「思い出補正」作用も援用しつつ、未知の金色ガンダムの影響で時間が局所的に逆行したかのごとき部品破損が発生する追加能力も作って、やはりニュータイプは「時が見える」ような時間・空間を超えた4次元以上の高次元世界にまで精神が上昇したがゆえの能力だと再定義。
 サイコフレームも技術者の思惑&理論を超えて、精神の力を物理的な力に変換する媒介となって、それが物理法則を超えた超常現象も惹起。金色ガンダムの少女パイロットも完全なるニュータイプとして彼岸の彼方の高次元世界へと立ち去り、肉体を消失して思念だけでサイコフレーム経由にて金色ガンダムを操縦し、物理限界を超える亜光速で飛行可能とする!――同時に高次元世界や思念だけの存在を劇中で肯定することで、死者の霊との交信にもSF的根拠を与える――


 とはいえ、保守的家族像を肯定、抽象・観念よりも肉体的接触の方を賞揚(新訳『劇場版 機動戦士Zガンダム』(05年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060325/p1))するように変化していった原典を無視するワケにもいくまい。それで、本作の前日談『ガンダムUC』ラスト同様(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20160904/p1)、抽象・観念・高次元の世界へと旅立ちそうになる主人公青年を、本作ラストでは『UC』主人公が捕まえて地ベタ・現実・日常世界へと引き戻す。と同時に、後続の宇宙世紀ガンダムシリーズとはテクノロジー的に整合性が付かないので、技術封印の方向にも持っていく。


 本作の原作&脚本を担当した小説家・福井晴敏は幼い息子さんといっしょに昭和〜平成の歴代ウルトラマン全作を順番に観返したそうだが、コレらは『ウルトラマンダイナ』(97年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971211/p1)最終回で高次元世界へと旅立った主人公の描写を反転させたモノだと私見する。
 と同時に、高次元世界のカモメが大空をうまく飛べるようになる度により高次元の大空に順次転生していく小説『かもめのジョナサン』(70年)を邦訳(74年・ASIN:B00NPQ16M2ASIN:B000J8U3W8ISBN:9784105058050ISBN:410215907X)した五木寛之大センセイ――大河小説『青春の門』(69年〜)で有名――が後書きで、「高邁だけど地ベタの生活・日常・雑事を蔑視しがちなのはドーも」(大意)とプチ異論を述べていたことの先見の明なども思い出し――映画の神様のイタズラか、高次元ネタが同季の某「宇宙戦艦」や「怪獣王」ともカブったけど(前者とは脚本家も共通・汗)――。


 そーいうハイブロウな話を、最新ガンダム×セカンドネオジオング×金色ガンダム、三つ巴のロボット戦中の回想のかたちにして、二昔前の宇宙コロニー落としの大惨事を予知した少年&愛嬌に欠ける眼鏡少女&天真爛漫な金髪少女の成れの果ての若造たちの、過去への極私的悔恨に満ち満ちたモゴモゴした狭苦しい三角関係・プチ痴話喧嘩に落とし込むあたり、『UC』同様に「富野っぽさ」も出してはいるけど、ロートル的にはそれは『Z』以降の「ぽさ」であり初作の「ぽさ」ではナイとも思うものの、今では『Z』以降の「ぽさ」がガンオタ諸氏の最大公約数であることを思えば、商売的にもファンサービス的にもコレでイイのだろうとも思ったり。


(了)
(初出・オールジャンル同人誌『DEATH-VOLT』VOL.81(18年12月29日発行))


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