(ファミリー劇場『ザ★ウルトラマン』放映「全話評」連動連載!)
ザ・ウルトラマン#46「よみがえれムツミ」 〜名作
『ザ☆ウルトラマン』全話評 〜全記事見出し一覧
#24『ふたりのムツミ隊員』
宇宙竜ドラゴドス登場
(作・吉川惣司 演出・古川順康 絵コンテ・奥田誠治 怪獣原案・鯨井実)
(サブタイトル表記の他、アルファケンタウリ第1惑星人・アルファケンタウリ第5惑星人登場)
(視聴率:関東11.5% 中部9.7% 関西11.8%。
以上、ビデオリサーチ。以下、ニールセン 関東13.6%)
(文・内山和正)
(1997年執筆)
他の隊員が出払っていたためひとりで調査に向かったムツミ隊員は、UFOから電流を浴びせられて気を失ってしまう。
ムツミの姿をコピーした何者かは科学警備隊の戦闘機バーディーに乗り逃走するが、ムツミを捜す主人公・ヒカリ隊員らに見つかったため、ムツミになりすます。
様子のおかしいムツミ(偽)を元気づけるため遊園地に連れていくヒカリだったが……
やがて偽のムツミの正体がアルファケンタウリの各惑星を廻る親善旅行中のアルファケンタウリ第1惑星の王女で、堅苦しい日々に疲れ地球に逃げてきたとわかるが、平和を望まぬアルファケンタウリ第5惑星の暗殺者も追ってきて……。
(以上、ストーリー)
あきらかにこれまでとは気色の違う作風である。
実体を持たず訪問地の生物の姿をコピーする生物という多少面白い味付けはあるものの、『ザ・ウルトラマン』版『ローマの休日』(1953年・アメリカ オードリー・ヘプバーン主演)という趣(おもむき)。
ムツミがあまりにも軽すぎるし、宇宙は広いとはいえウルトラの星・U40(ユーフォーティ)が存在する世界観の物語とは個人的には思えない。
ヒカリとムツミがお互い好意を持っているであろうことはこれまでの回で伺えるものの、まだハッキリ恋仲となっていたわけではなかった。
まして20〜21話「これがウルトラの星だ!! 第2〜3部」(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090914/p1・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090920/p1)でのウルトラマンジョーニアスの妹・アミアとの淡いロマンスがあったあとでは。
それなのにこの回では二人がすっかり意識しあった仲であり抵抗を感じる。
私事で恐縮だが自宅の引っ越しの際に、本作の製作No.も記した放映リストを収録した書籍を仕舞い込んでしまって確かめられないが、制作順では割と初めのころの作品ではなかったか?(記憶違いだったら済みません 〜編註:製作順では15本目)
脚本の吉川惣司氏としてはプロトタイプ的な作品だったのかもしれない。
19話「これがウルトラの星だ!! 第1部」(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090913/p1)以後では唯一、大河原邦男氏がメカニックデザインを担当されている
(この時代の作品にアリガチな字幕の誤植かもしれないが、製作順が早い時期ならば大河原邦男氏の担当だろう)。
王女のおつきの男が「宇宙広しといえどアイツに勝てる奴は」と言うほどの強敵であるはずの宇宙竜ドラゴドスは、ウルトラマンのみならず科学警備隊の大型戦闘機スーパーマードックの攻撃にも多少痛手を受け、説得力に欠ける。
(おつきの男の現状認識が余程できていなかったのか?)
それでも2本前の22話「南海の怪しい空間」(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20091016/p1)のひどい絵を見たあとでは、ドラゴドスは充分シッカリ描かれていると思えて悪い気はしなかった。
ドラマの方は王女のセリフの中に寂しさを感じさせる部分はあるものの、個人的にはいまひとつ楽しめなかった。
※:製作No.15『アルファー・ケンタウリの王女(仮)』
編集者付記:
反則の付記で恐縮ですが、弊ブログ編集者の好み的には本話は好編。
朴念仁(ぼくねんじん)の「いいひと」キャラなだけかと捉えられかねない我らが主人公・ヒカリ隊員だったが、本話のラストシーンにおけるムツミ隊員の女心もわかった上での意外と捌(さば)けた気の利いた言動がポイント高し。
以後のふたりの接近の伏線描写にもなりえている。
なお、CS放送ファミリー劇場『ウルトラ情報局』09年5月号(『ザ☆ウル』編の第1回・4月第3週〜5月第2週放映)の「スペシャルインタビュー」コーナーには、ムツミ隊員役の島本須美(しまもと・すみ)氏が登場。
(アニメ映画『ルパン三世 カリオストロの城』(79年)ヒロイン・クラリスを皮切りに、『風の谷のナウシカ』(84年)主人公、『めぞん一刻』(86年)のヒロイン・音無響子(おとなし・きょうこ)さん役などで、あまりにも有名)
当然、ムツミ主役編である本話もフィーチャーされていた。