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仮面ライダーW 〜序盤評 本邦探偵ものに見る「探偵物語」の色濃い影響


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 ……とカコつけて(汗)、TV『仮面ライダーW』序盤評を今さら発掘UP!
 (編:いや、映画版『W』、とても面白かったと思います・笑)

仮面ライダーW 〜序盤評

(文・森川由浩)

仮面ライダーWの諸要素を「検索!」(?)

(09年9月執筆)
 前番組『仮面ライダーディケイド』(09・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090308/p1)が波乱に満ちた展開の行き先を見せず、その結末は今年09年暮れに公開の映画で明かすという大英断に踏み切り、“おあずけ”を食らった波乱の“打ち切り”然とした衝撃を視聴者に呈した一週間後、この『仮面ライダーW(ダブル)』(09)はスタートした。


 先に公開された「平成仮面ライダー10周年プロジェクト」の
 “春の陣”『超・仮面ライダー電王&ディケイド NEO(ネオ)ジェネレーションズ 鬼ヶ島の戦艦』(09・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100524/p1)、
 “夏の陣”『劇場版 仮面ライダーディケイド オールライダー対大ショッカー』(09・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20091213/p1)の映画二作品に続く、
 “秋の陣”と銘打たれ、その存在位置は極めて大きい。



 本作の目印は、主人公の職業が私立探偵、そして二人の人間による“合体変身”。
 その合体変身も、実際に目前で二人が普通に組み合わさるようなものではなく、パソコンの普及によるネットワーク的なテクノロジーによる変身であるのが特徴だ。


 前作『ディケイド』は、10周年記念作ゆえの自由奔放な作劇と、パラレルワールドでのゲストライダーによる多彩なヒーローの共闘が大いに話題となり、ここ数年は下降気味であった平成ライダーの視聴率は回復、劇場映画の興行成績も好調で、正にアニバーサリーイヤーに相応(ふさわ)しい営業成績を収めた。
 その『ディケイド』終了後、本作『W』もアニバーサリーイヤーの記念作ではあるのだが、前番組の商業的大成功の重圧を受けながらのスタートとなった。


 平成ライダー11周年に向けての新たな船出を飾る『仮面ライダーW』の諸要素を軸にした所感を綴(つづ)ってみたい。



 この『仮面ライダーW』の主人公が私立探偵という要素に様々な作品のオマージュを見出した年長ファンは多いだろう。


 純国産テレビヒーローの始祖『月光仮面』(58)、
 同じ著者(川内康範)で東映初のテレビヒーロー番組『七色仮面』(59)、
 同じ東映石森作品では『快傑ズバット』(77)、
 そして平成ライダーの根幹であり土台ともなり、本作へのデジャブ(既視感)も感じられる『超光戦士シャンゼリオン』(96)。


 そして今のアラフォー(アラウンド40)世代の“探偵”像であり、しかもテレビドラマの探偵といえば多くの共通イメージとして存在する故・松田優作(まつだ ゆうさく)演じる『探偵物語』(79)……
 などの諸作品の名前が筆者の脳裏には浮かんだ。


 特に『探偵物語』は、往年の明智小五郎金田一耕助などに代表される日本の小説や映画に登場する探偵のイメージを一新、ファッショナブルでライトな遊び人的なカラーを与えるのに成功したが、これは主役の松田優作の個性だけでなく、彼自身が製作にも大いに自分の意見を提示した姿勢で作り上げたことが大きい。


 今になり『仮面ライダー』で『探偵物語』的な作品を製作するのには、今年09年が松田優作没後20周年で、『探偵物語』誕生30周年といった節目にも当たる年度であり、単に「平成仮面ライダー10周年」だけでないもう一つの記念年度にも位置することがあるからでは? とも穿(うが)ってみれば感じられてくる。


 『探偵物語』は昔から再放送も多く、特に製作局の日本テレビでは平成初期まで夕方の定番商品的にリピートを繰り返して行い、その波及効果として各種CMでの使用だけでなく、バラエティ番組でのパロディも多々見られ、多くのファンを獲得した歴史的名作であることがうなずける。



 それだけでなく、本作東映側プロデューサーの塚田英明の弁では、


 「ドラマ的に〈探偵〉を主人公とした事件ものがやりたかったんです。」

(出典「R25jp(アールニジュウゴ)」)


 と公言し、その色合いを強めている。


 意外にも『仮面ライダー』の主人公としてはこれまでセレクトされることがなかった「探偵」という職種。
 やたら「ハードボイルド」の言葉を口走る主人公。「ハードボイルド」っぽくても、私立探偵フィリップ・マーロウに代表されるアメリカのハードボイルド小説のパロディでもあり、コミカルな色合いを強く持ち、独自の世界観を作った『探偵物語』。


 確かに元祖「仮面ライダー世代」人(特に一作目)が子どもから思春期〜青年期に成長した頃、前述の『探偵物語』がスタート。
 その直後に『仮面(スカイ)ライダー』(79)として新作の第二期『仮面ライダー』シリーズがスタートしているのが妙に符合する。
 30年前を懐かしく回想してしまうシチュエーションである。


 主人公・左翔太郎(ひだり しょうたろう)(演・桐山漣(きりやま れん))のファッションはカラフルなYシャツとネクタイのコンビネーション、そしてソフト帽が定番。それを色違いで着こなす。
 いかにも『探偵物語』然としたビジュアルには世代人なら「やっぱり!」とリアクションしてしまうだろう。
 今アラフォーになった製作スタッフの中心にとって『探偵物語』は憧れの作品でもあるからだ。


 その「探偵ライダー」が“国産テレビヒーロー”の原点に立ち返り、そこから新局面を描くのだろうか?



 それと「翔太郎」のネーミング。
 明らかに原作者である石ノ森章太郎の「章太郎」の字を変えての使用でもある。
 前番組『仮面ライダーディケイド』に登場した仮面ライダークウガ・小野寺ユウスケの「小野寺」姓は、原作者・石ノ森章太郎の本名・小野寺章太郎からの出典であるのとも符合する。
 原作者の名前を二度も取り入れ、アニバーサリーイヤーの色合いを強めているのは単なる奇遇だけではないだろう。
 そして「翔」の字は『探偵物語』主役の松田優作の次男・松田翔太(まつだ しょうた)の翔と同じ字である。


 ここまで細部に凝ったネーミング。
 そのベース作品のクリエイターやキャストへのリスペクトが濃厚だというしかない。

 
 もう一人のヒーローであり、仮面ライダーWの“知”の部分を掌(つかさど)る若者・フィリップ(演・菅田将暉(すだ まさき))。
 翔太郎の肉体に魂を委(ゆだ)ねる形での変身が特徴で、Wに変身後フィリップの肉体は抜け殻(ぬけがら)化した状態になる。


 これと似たようなケースを思い起こせば、往年の東映ヒーロー『ザ・カゲスター』(76)のヒーロー・カゲスターとヒロイン・ベルスターが、人間の影の部分が変身してヒーローになるために、ヒーローが活動中の時に本体である人間は意識を失った状態に陥る描写が浮かぶ。
 かなり“ひねった”設定であるが、今後どうなるかが気になる。判りにくいから普通の合体変身になるのか、それともパワーアップとともに更に違ったシステム、PCに於けるアップグレード的なものになるのかが興味深い。


 そして彼はライダーWの“知”の部分を担うだけあり、物事の調査には優れたものを持っている。
 それ故普段は探偵事務所に閉じこもるあたりからも、ステレオタイプの“インドア”タイプで描かれており、そしてどことなく、今年09年の流行語としても馴染み深い、“草食系男子”的なイメージを押し出している。


 また彼が物事を調べる時の「地球(ほし)の本棚」のビジュアルイメージも、本棚が洪水のごとく上下左右から現れ、その中から疑問の物事の回答を得るための一冊を選ぶため、あれだけ沢山現れた本棚が一つだけ残るシークエンスには、「情報」や「知識」を得るプロセスの映像化として見事に判りやすく、納得いくように仕上がっていた。


 この“草食男子”系ヒーローが如何(いか)に注目を集めるかが興味深い。



 このフィリップを翔太郎が「相棒」と呼ぶのは現在の東映テレビ朝日によるテレビドラマの大人気刑事ドラマ『相棒』シリーズ(00〜放映中)にあやかっている気がしなくも無い。そう思ったファンも多いだろう。
 実際プロデューサーの塚田英明も前述の「R25jp」のインタビュー記事で、


 「となると弊社『相棒』のようなコンビが主役の『バディもの』が定番。それをライダーでやってみたとき、1号&2号や、龍騎&ナイトじゃない形で……と考えた結果が2人で変身なんです」


 と明言している。


 成程、それで『相棒』シリーズと同じ秋口からのスタートにしたのか(?) とも感じられる。
 『相棒』とのシンクロを感じずにはいられない。


 今や秋〜冬の時期のテレビ朝日水曜夜9時台で不動の人気を誇り、映画化による大ヒットは勿論(もちろん)、全国的レベルにより過去のシリーズの再放送が地上波で多く行われて安定した視聴率を稼ぎ出し、それだけではなくゲームソフトのヒットや宝塚歌劇で舞台化という現象まで巻き起こし、今や東映のドル箱テレビドラマの位置に登り詰めた『相棒』。
 勿論今年09年も10月14日よりテレビシリーズ8作目がスタートする。この秋のテレビ朝日東映が送る話題作が『仮面ライダーW』と『相棒』であるのだ。


 単純に表現すれば『探偵物語』+『相棒』的カラーの作品が『仮面ライダーW』だ。



 「相棒」といえば平成仮面ライダー第一作目の『仮面ライダークウガ』(00・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20001107/p1)を思い出してしまう。
 仮面ライダークウガこと主人公・五代雄介と一条薫(いちじょう かおる)刑事のコンビネーションは、お互いを相棒的に見ていて、その一種独特の絆で結ばれていた環境での敵怪人グロンギ生命体との戦いが印象的であった。
 『W』には平成ライダーの原点である『仮面ライダークウガ』への回帰もどこか感じてしまう。


 そういえば仮面ライダーが一人であるというのは、平成ライダーでは最初の『クウガ』のみであったのだ。
 『仮面ライダーアギト』(01・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20011108/p1)以降、ライダーの群像ドラマが定例化してしまい、本来の仮面ライダーが持っていたロンリーヒーロー性が薄れてしまった感がある。
 今回暫く(しばらく)は一人の仮面ライダーのフォームチェンジによるバリエーションで展開すると予測するが、今のところ“二人で一人”のキャッチコピーに見られる単体ヒーローとしての仮面ライダーを売りにしているだけに、安易な形でのサブライダーの加入よりも久し振りに単体ヒーローの魅力を堪能してくれる作品になる方が良いと思うのだが。



 翔太郎・フィリップの二人が着用する変身アイテムはライダーの定番である変身ベルト。
 そのバックルにガイアメモリと称するメモリをセット、それぞれ能力の違うメモリ交換によるライダーのフォームチェンジが売り。
 このメモリにはUSBメモリのような差込式システムであるパソコンやデジカメ(デジタルカメラ)アイテムからのインスパイアが見受けられ、デジタル機器の家庭への普及もかなり進んだ時勢での影響が強く感じられる。


 特にこのガイアメモリの“ガイア”の名称は、過去にビデオ『真・仮面ライダー 序章(プロローグ)』(92)や映画『仮面ライダーZO(ゼットオー)』(93)の仮題として原作者の石ノ森章太郎が幾度か用いていたことや、『仮面ライダークウガ』に至る前の新作ライダー企画『仮面ライダーガイア』など、ライダーワールドでは没ネーミングとしての印象の強い名前だけに、ようやく劇中で正規の名称として用いられ、長年のファンとしては非常に感慨深い印象を抱く次第である。



 そしてヒーローのカラーリングは左右非対称のカラーリングに彩られ、右半身(ソウルサイド)・左半身(ボディサイド)に別れ、それぞれのパートの意味合いを明確に謳(うた)っている。人間の脳機能の右脳・左脳に起因するものでもあろうか?
 ツートンカラーのヒーローゆえ、往年の『人造人間キカイダー』(72)、後年製作されたそのイメージの濃厚な『超人機メタルダー』(87)を嫌でも思わせるとはいえ、前述の作品を除けば意外に少ない縦分割で左右が全く違う色合いのカラーで、尚且つフォームチェンジを左右別々に行えるというWの特色は個性的で、今度は玩具でも再現されそうな気がする。
 左右が半分に分かれ、それぞれのカラーのパーツを組み合わせて遊べるライダーWのアイテムがそのうち店頭に並ぶのではと予想しているが。


 こうしたヒーローのタイプチェンジを実際に行える玩具として、熱により色が変わる特殊素材を使用、スカイタイプ⇔パワータイプ、マルチタイプ⇔スカイタイプにチェンジ可能の『ウルトラマンティガ』(96・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19961201/p1)ソフビ人形が発売されたこともある。
 実際に一体の人形を、そのままパーツチェンジで別キャラクターに変身できるプレイバリューは魅力的であるから、今後の展開に期待大である。


 
 またヒーローのビジュアル面では、『仮面ライダーZX(ゼクロス)』(雑誌展開82、テレビ特番84)以来の復活である、風にたなびくマフラーのビジュアルを忘れてはいけない。
 前述のZXでメタルヒーロー的イメージの硬質なアーマータイプのコスチュームになり、その後復活した『仮面ライダーBLACK(ブラック)』(87・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090802/p1)以降いつしかマフラーの消滅した仮面ライダーだが
 ――アナザーアギト(『仮面ライダーアギト』や旧作のリメイク的映画『仮面ライダー THE FIRST(ザ ファースト)』(05・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060316/p1)版1号ライダー・2号ライダーなどの例外はいるが――、
 原作漫画の仮面ライダーサイボーグ009のような長いマフラーで、Wがその優美なビジュアルをものとしているのは嬉しい。



 この“風になびく”マフラーのビジュアルが、“風”をエネルギーにする本家『仮面ライダー』からの踏襲(とうしゅう)である『W』のコンセプトをより強調し、この“風都”の名の街で展開されていくのが、本作の特色でもある。


 “探偵ヒーロー”という日本テレビヒーロー最古の職業コンセプトと、“風のエネルギー”に伺える『仮面ライダー』の原点コンセプトからも、平成ライダー10周年から次のプロセスへの始動、それは来るべき2年後、2011年の「仮面ライダー40周年」(一作目から見て)へ向けての始動でもあるのだ。


 フォームチェンジに使うメモリにあるサイクロンのネーミングも初代ライダーのバイク、サイクロン号からの出典。
 風というか竜巻を意味するサイクロンの名称が今度はバイクではなく、ヒーローのフォームのバリエーションで登場。
 この辺りも40周年に向けての原点を意識したネーミングである。



 ヒーローの合体変身のみならず、「仮面ライダー」のネーミングの所以(ゆえん)でもあるオートバイのシステムも斬新である。
 バイク自体がヒーローのフォームチェンジに合わせ、車体の後ろ半分もそれぞれチェンジ・換装できるようになっているのだ。
 玩具化におけるプレイバリューを意識したシステムではあるが、それを映像化できるようになった特撮技術の進歩にも驚愕すべき要素がある。



 超人であるヒーローの超能力描写も驚愕するものがあった。
 第一話で登場した仮面ライダーW・ルナジョーカーフォームの手足が鞭(むち)や触手のように伸びる戦法は、藤子不二雄マンガのアニメ化『怪物くん』(68、80)や、最近では「週刊少年ジャンプ」の大人気マンガ『ONE PIECE(ワンピース)』(99〜放映中)のゴム人間である海賊主人公の腕が超長く伸びるパンチを想起させ、尚且つ古くからのファンには「こんなのやめてくれ!」といいたくなる程刺激が強かったが、案外子どもには受けそうなアクションである。
 特殊素材を使用して、このギミックが再現できる玩具が発売されそうな気もする。そう、往年の『世界忍者戦ジライヤ』(88)の玩具「粘者(ねんじゃ)」のようなものが。



 こうした探偵物の場合、事件の捜査は行っても犯人逮捕はあくまで警察官の仕事である。
 そのため本作でもレギュラーメンバーに警察側の人間の存在が必要になる。


 本作では刃野幹夫(じんの みきお)刑事が登場、その配役には吉本興業所属の人気お笑いタレント・なだぎ武(たけし)が起用された。
 ここ数年吉本興業のお笑いタレントが特撮作品に出演するケースは多いが、殆どがゲスト出演で終わっており、レギュラーキャストとして名を連ねるのはこれが初めてであろう。
 なだぎは2008年度R−1(アール・ワン)グランプリなどの数多くのお笑いコンテスト受賞歴を誇り、有名演出家・宮本亜門(みやもと あもん)が手掛ける舞台『ドロウジー・シャペロン』(09)にも出演。
 本業のお笑いは勿論、俳優としての実績もあるタレントだけに、単なるベタなずっこけシーンだけのためにキャスティングされたのではないことは周知のとおりだ。
 彼が“お笑いタレント”と呼ばれるカテゴリに属するタレントの、俳優としての芸域拡大に貢献することを期待したい。


 またお笑いタレントといえば、第四話のゲストは我修院達也(がしゅういん たつや)。
 その昔、若人(わかと)あきらの芸名で活躍、郷ひろみの物まねを得意とする人気タレントで、少し前にはテレビ版『電車男』(05・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070617/p1)でもネット世界の住人として登場していた。ここでまた十八番の郷ひろみの物まねを披露するのだろうか?



 そして作品のバックグラウンドに目をやれば、「風都(ふうと)」という世界を舞台に物語が展開する本作だが、この名称は石ノ森漫画『サイボーグ009(ゼロゼロナイン)』で「風の都(かぜのみやこ)」編(「週刊少女コミック」(小学館)に1975年掲載の短編)というエピソードが存在するので、そこからのフィードバックでもあるかと読んでいる。
 実際今年は「2009年009イヤー」と称し、同じ石ノ森作品のサイボーグ009のアニバーサリーイヤーでもあるし、平成ライダーに比べ地味ではあるが、コンビニ売りコミックでの単行本化やパチンコでの登場、アニメシリーズのDVDソフトの再販やCSメディアでの再放送、朗読劇の上演やアニメ版出演声優を招いてのイベントも開催されており、こうしたところでどことなくそれを感じさせる要素がアクションとして存在し、仮面ライダーと009の接点が存在するのも両者のファンとして嬉しい。



 主人公側についての言及だけではなく敵側にも目を向けたい。
 仮面ライダーWが戦う怪物・ドーパントは、主人公たちが変身に使うアイテム・ガイアメモリを人間に直接挿入することにより誕生する設定である。


 が、よく考えればこのガイアメモリの使用法を違えるだけで善にも悪にも変わるというシステムは、初代を中心とする多くの仮面ライダーシリーズ、特に主人公が敵側の組織により改造された存在のライダーとその組織が繰り出す改造人間との関係に等しいという印象を受ける。
 ヒーローも怪人も根幹は同じ、紙一重的な思想を再度『仮面ライダー』に持ち込んだのも原点回帰と解釈できるだろう。


 尚この「ドーパント」のネーミングの由来は「ドーピング」に起因するのだが、これはその昔ソウルオリンピック(1988年)の短距離走世界新記録を樹立したベン・ジョンソンが薬物使用発覚により、その記録が無効となった事件で一般にも知れ渡った語句だ。
 昨今の現代社会でも日本の芸能界にて麻薬関連で有名タレントの逮捕が相次いでマスコミを賑わしている現状と不思議にシンクロしてくる。
 麻薬使用者もドーパントと同様に思えてくる昨今の世情だ。逆に一般市民や若者にも流通しだした麻薬使用を風刺したのがドーパントでもあるのだろう。



 作品のスタッフも一新。
 脚本はTVアニメ『ゲゲゲの鬼太郎』(5作目 07〜09・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070715/p1)や深夜特撮『キューティーハニーTHE LIVE(ザ ライブ)』(07・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20080406/p1)での活躍が記憶に新しく、そして東映特撮初登板の三条陸(さんじょう りく)。
 監督はお馴染み田崎竜太(たさき りゅうた)に、『超光戦士シャンゼリオン』で監督デビューを飾った諸田敏(もろた さとし)が参加。
 諸田がデビュー作『シャンゼリオン』をも思わせる懐かしい香りの作品をいかに彩るかが興味深い。


 そして何より古くは『真・仮面ライダー』に始まり、以後暫(しば)しの時を挟み、『仮面ライダークウガ』〜『仮面ライダーディケイド』に至るまでの平成ライダーの大半を手掛けた60年代生まれの白倉伸一郎から、これまでスーパー戦隊シリーズで活躍していた70年代生まれの東映の塚田英明(つかだ ひであき)にプロデューサーをバトンタッチした。
 明らかに平成ライダースタッフも“世代交代”だなという印象を与えるが、果たしていか程の成果を見せるか……。



 前作『仮面ライダーディケイド』が話題性豊富な作品で、近年やや衰退気味の平成仮面ライダーシリーズのカンフル剤としてその機能を果たし、視聴率の回復や映画の大ヒットというアニバーサリーイヤーに相応しい成果を見せてくれた。


 “ウルトラマン生誕40周年記念作”であり、尚且つ“平成ウルトラマン生誕10周年”記念作にも位置する『ウルトラマンメビウス』(06・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070506/p1)も話題性はあったとはいえ、前番組『ウルトラマンネクサス』(04・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060308/p1)『ウルトラマンマックス』(05・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060503/p1)の不調のあおりを受けて放送ネット局が減少、それでも視聴者のリクエストに応えて遅れて始まった地域もあるとはいえ、追い討ちを掛けるように歴代最低視聴率である1.5%(関東地区・ビデオリサーチ社調べ)という数字をはじき出してしまっただけに、『ディケイド』の健闘度は高く評価できる。


 その『ディケイド』の重圧のあと、尚且つ最終回(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090829/p1)が未完結という衝撃の中、『仮面ライダーW』は実際どのような幕開けを見せるのか……。



 視聴率は第一話が10.2%(関東地区・ビデオリサーチ社調べ)と平成ライダー久し振りの『仮面ライダーカブト』(06・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070211/p1)以来の10%台突破の成果を見せ、『ディケイド』の最高値を初回より超えておおむね好調だ。
 『ディケイド』衝撃の最終回が方々で話題を呼び、翌週の『W』に視聴者の関心がより集まったのかも知れないが。


 先の読めない展開とはいえ、ゲストライダーを目印に『ディケイド』は視聴者の関心を大いに集めた。
 今度の『W』は何を目印にするのか? 探偵ドラマか、謎解きか、それとも?
 それは視聴者の皆様が“推理”してください。とでもいうのだろうか……。


 ならばその行方を、今後の誌面にて“推理”していこう。

(文中敬称略)


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2009年秋号』(09年9月27日発行)〜『仮面特攻隊2010年号』(09年12月31日発行)所収『仮面ライダーW』序盤合評3より抜粋)


『假面特攻隊2010年号』「仮面ライダーW」評・記事一覧
・序盤評1:「名探偵はハードボイルドの夢を見るか?」
・序盤評2:「さあ、お前の論を唱えろ!」
・序盤評3:「仮面ライダーWの諸要素を『検索!』(?)」
・「仮面ライダーダブル」第1クール評

仮面ライダーディケイド』はじめ、「スカイライダー」(79)〜「仮面ライダーW」(09)関東・中部・関西の全話視聴率表を、09年末発行の『假面特攻隊2010年号』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20091201/p1)「平成ライダー東西視聴率10年史」大特集に掲載!
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