『仮面ライダーディケイド』最終回「世界の破壊者」!
『仮面ライダー電王』 〜後半評 複数時間線・連結切替え!
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TV『仮面ライダーW(ダブル)』完結直前! 映画『仮面ライダーW FOREVER AtoZ/運命のガイアメモリ』公開記念! ……とカコつけて(汗)、TV『仮面ライダーW』序盤評を今さら発掘UP! (編:いや、映画版『W』はとても面白かったと思います・笑)
『仮面ライダーW(ダブル)』序盤評 ~原点回帰か!? 異色作か!? 本邦探偵ものに見る「探偵物語」の色濃い影響
(文・森川由浩)
『仮面ライダーW』の諸要素を「検索!」
(2009年9月執筆)
前番組『仮面ライダーディケイド』(09・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20090308/p1)が波乱に満ちた展開の行き先を見せず、その結末は今年09年暮れに公開の映画で明かすという大英断に踏み切り、“おあずけ”を食らった波乱の“打ち切り”然とした衝撃を、視聴者に呈した一週間後、この『仮面ライダーW(ダブル)』(09)はスタートした。
先に公開された「平成仮面ライダー10周年プロジェクト」における、
●“春の陣”こと、『超・仮面ライダー電王&ディケイド NEO(ネオ)ジェネレーションズ 鬼ヶ島の戦艦』(09・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20100524/p1)、
●“夏の陣”こと、『劇場版 仮面ライダーディケイド オールライダー対大ショッカー』(09・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20091213/p1)
以上の映画二作品に続く、“秋の陣”と銘打たれ、その存在位置は極めて大きい。
本作の目印は、主人公の職業が“私立探偵”。そして、二人の人間による“合体変身”。その合体変身も、実際に目前で二人がふつうに組み合わさるようなものではなく、パソコンの普及によるネットワーク的なテクノロジーによる変身であるのが特徴だ。
前作『ディケイド』は、10周年記念作ゆえの自由奔放な作劇と、パラレルワールドのゲスト平成ライダーたちとの多彩なヒーローの共闘が大いに話題となった。ここ数年は下降気味であった平成ライダーの視聴率は回復。劇場映画の興行成績も好調で、まさにアニバーサリーイヤーに相応(ふさわ)しい営業成績を収めた。
その『ディケイド』終了後の本作『W』も、まだアニバーサリーイヤーの記念作ではあるのだが、前番組の商業的大成功の重圧を受けながらのスタートとなった。
平成ライダー11周年に向けての新たな船出を飾る『仮面ライダーW』の諸要素を軸にした所感を綴(つづ)ってみたい。
この『仮面ライダーW』の主人公が“私立探偵”であったという要素に、さまざまな作品のオマージュを見出した年長ファンは多いだろう。
●純国産テレビヒーローの始祖『月光仮面』(58)。
●同じ著者(川内康範)で、東映初のテレビヒーロー番組『七色仮面』(59)。
●同じ東映石森作品では、『快傑ズバット』(77)。
●平成ライダーの根幹であり土台ともなり、本作でのデジャブ(既視感)も感じられる『超光戦士シャンゼリオン』(96)。
そして、今のアラフォー(アラウンド40)世代の“探偵”像であり、しかもテレビドラマの“探偵”といえば、多くの共通イメージとして存在する故・松田優作(まつだ ゆうさく)演じる『探偵物語』(79)……
そういった諸作品の名前が、筆者の脳裏には浮かんでいた。
特に『探偵物語』は、往年の明智小五郎・金田一耕助などに代表される日本の小説や映画に登場する探偵のイメージを一新。ファッショナブルでライトな遊び人的なカラーを与えることに成功した。これは主役の松田優作の個性だけでなく、彼自身が製作にも大いに自分の意見を提示した姿勢で作り上げたことが大きい。
今になり『仮面ライダー』で『探偵物語』的な作品を製作するのには、今年2009年が松田優作没後20周年で、『探偵物語』誕生30周年といった節目にも当たる年度であり、単に「平成仮面ライダー10周年」だけでないもう一つの記念年度にも位置することもあるからでは? などとも穿(うが)ってみれば感じられてくる。
『探偵物語』は昔から再放送も多く、特に製作局の日本テレビでは平成初期まで夕方の定番商品的にリピートを繰り返して行い、その波及効果として各種CMでの使用だけでなく、バラエティ番組でのパロディも多々見られ、多くのファンを獲得した歴史的名作であることがうなずける。
それだけでなく、本作東映の東映側プロデューサーの塚田英明の弁では、
「ドラマ的に〈探偵〉を主人公とした事件ものがやりたかったんです。」
と公言し、その色合いを強めている。
意外にも『仮面ライダー』の主人公としてはこれまでセレクトされることがなかった「探偵」という職種。やたら「ハードボイルド」の言葉を口走る主人公。「ハードボイルド」っぽくても、私立探偵フィリップ・マーロウに代表されるアメリカのハードボイルド小説のパロディでもあり、コミカルな色合いを強く持ち、独自の世界観を作った『探偵物語』。
確かに元祖「仮面ライダー世代」人(特に一作目)が子どもから思春期〜青年期に成長した頃、前述の『探偵物語』がスタート。その直後に『仮面(スカイ)ライダー』(79)として新作の第二期『仮面ライダー』シリーズがスタートしていたこととも符合する。これら30年前のことを世代人であれば懐かしく回想してしまうシチュエーションでもある。
主人公・左翔太郎(ひだり しょうたろう)(演・桐山漣(きりやま れん))のファッションはカラフルなYシャツとネクタイのコンビネーション、そしてソフト帽が定番。それを色違いで着こなす。いかにも『探偵物語』然としたビジュアルには、世代人なら「やっぱり!」とリアクションしてしまうだろう。今アラフォーになった製作スタッフの中心にとって『探偵物語』は憧れの作品でもあるからだ。
その「探偵ライダー」が“国産テレビヒーロー”の原点に立ち返り、そこから新局面を描くのだろうか?
それと「翔太郎」のネーミング。明らかに原作者である石ノ森章太郎の「章太郎」の字を変えての使用でもある。
前番組『仮面ライダーディケイド』に登場した仮面ライダークウガ・小野寺ユウスケの「小野寺」姓は、原作者・石ノ森章太郎の本名・小野寺章太郎からの出典であることとも符合する。原作者の名前を二度も取り入れ、アニバーサリーイヤーの色合いを強めているのだ。
そして「翔」の字は、『探偵物語』主役の松田優作の次男・松田翔太(まつだ しょうた)の翔と同じ字である。
ここまで細部に凝ったネーミング。そのベース作品のクリエイターやキャストへのリスペクトが濃厚だというしかない。
もう一人のヒーローであり、仮面ライダーWの“知”の部分を掌(つかさど)る若者・フィリップ(演・菅田将暉(すだ まさき))。翔太郎の肉体に魂を委(ゆだ)ねるかたちでの変身が特徴で、Wに変身後のフィリップの肉体は抜け殻(ぬけがら)化した状態になる。
これと似たようなケースを思い起こせば、往年の東映ヒーロー『ザ・カゲスター』(76)だ。ヒーロー・カゲスターとヒロイン・ベルスターは、地面に写った人間の“影”の部分の方が変身ヒーローになるために、ヒーローが活動中の時に本体である人間の方は意識を失った状態に陥る描写があった。
仮面ライダーWの変身システムも“ひねった”設定であるが、今後どうなるのかが気になる。判りにくいから世間一般的なふつうの合体変身に戻ってしまうのか、それともパワーアップとともにさらに違ったシステム、PCにおけるアップグレード的なものになるのかが興味深い。
そして彼は、ライダーWの“知”の部分を担うだけあり、物事の調査には優れたものを持っている。それゆえ、ふだんは探偵事務所に閉じこもっているあたりからも、ステレオタイプの“インドア”タイプで描かれてもいる。そして、どことなく今年09年の流行語としても馴染み深い、“草食系男子”的なイメージを押し出してもいる。
また、彼が物事を調べる時の「地球(ほし)の本棚」のビジュアルイメージも面白い。本棚が洪水のごとく上下左右から現れ、その中から疑問の物事の回答を得るための一冊を選ぶのだ。あれだけたくさん現れた本棚が一つだけ残るシークエンスには、「情報」や「知識」を得るプロセスの映像化として見事に判りやすく、納得いくように仕上がっていた。
この“草食男子”系ヒーローが如何(いか)に注目を集めるのかも興味深い。
このフィリップを翔太郎が「相棒」と呼ぶのは、現在の東映・テレビ朝日によるテレビドラマの大人気刑事ドラマ『相棒』シリーズ(00〜放映中)にあやかっている気がしなくもない。そう思ったファンも多いだろう。実際、プロデューサーの塚田英明も前述の「R25jp」のインタビュー記事で、
「となると弊社『相棒』のようなコンビが主役の『バディもの』が定番。それをライダーでやってみたとき、1号&2号や、龍騎&ナイトじゃない形で……と考えた結果が2人で変身なんです」
と明言している。
なるほど。それで『相棒』シリーズと同じ秋口からのスタートにしたのか(?) とも感じられる。『相棒』とのシンクロも感じずにはいられない。
今や秋〜冬の時期のテレビ朝日水曜夜9時台で不動の人気を誇り、映画化による大ヒットはもちろん、全国的レベルにより過去のシリーズの再放送が地上波で多く行われて安定した視聴率を稼ぎ出し、それだけではなくゲームソフトのヒットや宝塚歌劇で舞台化という現象まで巻き起こし、今や東映のドル箱テレビドラマの位置に登り詰めた『相棒』。今年09年も10月14日よりテレビシリーズ8作目がスタートする。つまり、この秋のテレビ朝日&東映が送る話題作が、『仮面ライダーW』と『相棒』でもあるのだ。
単純に表現すれば、『探偵物語』+『相棒』的カラーの作品が、『仮面ライダーW』なのだ。
「相棒」といえば平成仮面ライダー第一作目の『仮面ライダークウガ』(00・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20001107/p1)を思い出してしまう。仮面ライダークウガこと主人公・五代雄介と一条薫(いちじょう かおる)刑事のコンビネーションは、お互いを「相棒」的に見ていて、その一種独特の絆で結ばれていた環境での敵怪人グロンギ生命体との戦いが印象的であった。『W』には平成ライダーの原点である『仮面ライダークウガ』への回帰もどこか感じてしまう。
そういえば、劇中での仮面ライダーが一人のみであるというのは、平成ライダーでは最初の『クウガ』のみであったのだ。『仮面ライダーアギト』(01・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20011108/p1)以降、ライダーの群像ドラマが定例化してしまい、本来の仮面ライダーが持っていたロンリーヒーロー性が薄れてしまった感はある。
今回しばらくは一人の仮面ライダーのフォームチェンジによるバリエーションで展開すると予測する。しかし、今のところ“二人で一人”のキャッチコピーに見られる単体ヒーローとしての仮面ライダーを売りにしているだけに、安易なかたちでのサブライダーの加入よりも、久し振りに単体ヒーローの魅力を堪能させてくれる作品になる方が良いと思うのだが。
翔太郎・フィリップの二人が着用する変身アイテムは、ライダーの定番である変身ベルトだ。そのバックルにはガイアメモリと称するふたつのメモリをセット。それぞれ能力の違うメモリ交換によるライダーのフォームチェンジが売りだ。このメモリにはUSBメモリのような差込式システムであるパソコンやデジカメ(デジタルカメラ)アイテムからのインスパイアが見受けられ、デジタル機器の家庭への普及もかなり進んだ時勢での影響が強く感じられる。
このガイアメモリの“ガイア”の名称は、過去にビデオ『真・仮面ライダー 序章(プロローグ)』(92)や映画『仮面ライダーZO(ゼットオー)』(93)の「仮題」として原作者の石ノ森章太郎が幾度か用いていたことや、『仮面ライダークウガ』に至る前の新作ライダー企画『仮面ライダーガイア』など、ライダーワールドでは没ネーミングとしての印象が強い名前だけに、ようやく劇中で正規の名称として用いられ、長年のファンとしては非常に感慨深い印象を抱く次第である。
そして、ヒーローのカラーリングは左右非対称で彩(いろど)られ、右半身(ソウルサイド)・左半身(ボディサイド)に別れ、それぞれのパートの意味合いを明確に謳(うた)っている。人間の脳機能の右脳・左脳にも起因するものであろうか? ツートンカラーのヒーローゆえ、世代人には往年の『人造人間キカイダー』(72)と、その後年に製作された『キカイダー』のイメージも濃厚な『超人機メタルダー』(87)を嫌でも思わせる。
とはいえ、前述の作品を除けば、意外に少ない縦分割で左右が全く違う色合いのカラーで、なおかつフォームチェンジを左右別々に行えるという仮面ライダーWの特色は個性的であり、今度は玩具でも再現されそうな気がする。左右が半分に分かれ、それぞれのカラーのパーツを組み合わせて遊べるライダーWのアイテムがそのうちに店頭に並ぶのではと予想しているが。
こうしたヒーローのタイプチェンジを実際に行える玩具としては、熱により色が変わる特殊素材を使用して、紫色のスカイタイプ⇔赤いパワータイプ、赤と紫のマルチタイプ⇔紫のスカイタイプにチェンジ可能であるウルトラマンティガ(96・https://katoku99.hatenablog.com/entry/19961201/p1)のソフビ人形が発売されたこともあった。実際に一体の人形を、そのままパーツチェンジで別キャラクターに変身できるプレイバリューは魅力的であることから、今後の展開に期待大である。
また、ヒーローのビジュアル面では、『仮面ライダーZX(ゼクロス)』(雑誌展開82、テレビ特番84・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20230716/p1)以来の復活である、風にたなびくマフラーのビジュアルを忘れてはいけない。前述のZXでメタルヒーロー的イメージの硬質なアーマータイプのコスチュームになり、その後に復活した『仮面ライダーBLACK(ブラック)』(87・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20090802/p1)以降、いつしかマフラーの消滅した仮面ライダーだったが――アナザーアギト(『仮面ライダーアギト』)や、『仮面ライダー』1作目のリメイク的な映画『仮面ライダー THE FIRST(ザ ファースト)』(05・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20060316/p1)版の1号ライダーと2号ライダーなどの例外はいたが――、原作漫画の仮面ライダーやサイボーグ009のような長いマフラーで、ライダーWがその優美なビジュアルをものとしているのは嬉しいものだ。
この“風になびく”マフラーのビジュアルが、“風”をエネルギーにする本家『仮面ライダー』からの踏襲(とうしゅう)である『W』のコンセプトをより強調し、この“風都”の名の街で展開されていくのが、本作の特色でもある。
“探偵ヒーロー”という日本テレビヒーロー最古の職業コンセプトと、“風のエネルギー”に伺える『仮面ライダー』の原点コンセプトからも、平成ライダー10周年から次のプロセスへの始動、それは来るべき2年後、2011年の「仮面ライダー40周年」(一作目から見て)へ向けての始動でもあるのだろうか。
フォームチェンジに使うメモリにあるサイクロンのネーミングも、初代ライダーのバイク・サイクロン号からの出典。
「風」というか「竜巻」を意味する「サイクロン」の名称が今度はバイクではなく、ヒーローのフォームのバリエーションの方の名称として登場。
このあたりも40周年に向けての原点を意識したネーミングであるようだ。
ヒーローの合体変身のみならず、「仮面ライダー」のネーミングの所以(ゆえん)でもあるオートバイのシステムも斬新である。バイク自体がヒーローのフォームチェンジに合わせ、車体の後ろ半分もそれぞれチェンジ・換装ができるようになっているのだ。玩具化におけるプレイバリューを意識したシステムではあるが、それを映像化できるようになった特撮技術の進歩にも驚愕すべき要素がある。
超人であるヒーローの超能力描写も驚愕するものがあった。第一話で登場した仮面ライダーW・ルナジョーカーフォームの手足が鞭(むち)や触手のように伸びる戦法は、藤子不二雄マンガのアニメ化『怪物くん』(68、80)や、最近では「週刊少年ジャンプ」の大人気マンガ『ONE PIECE(ワンピース)』(99〜放映中)のゴム人間である海賊主人公の腕が超長く伸びるパンチを想起させる。
古くからのファンには「こんなのやめてくれ!」といいたくなるほど刺激が強かった。しかし案外、子どもには受けそうなアクションである。特殊素材を使用して、このギミックが再現できる玩具が発売されそうな気もする。そう、往年の『世界忍者戦ジライヤ』(88)の玩具「粘者(ねんじゃ)」のようなものが。
こうした探偵もの作品の場合、事件の捜査は行っても犯人逮捕はあくまで警察官の仕事である。そのため、本作でもレギュラーメンバーに警察側の人間の存在が必要になる。
本作では刃野幹夫(じんの みきお)刑事が登場。その配役には吉本興業所属の人気お笑いタレント・なだぎ武(なだき・たけし)が起用された。ここ数年、吉本興業のお笑いタレントが特撮作品に出演するケースは多い。しかし、ほとんどがゲスト出演で終わっており、レギュラーキャストとして名を連ねるのはこれが初めてであろう。
なだぎは2008年度R−1(アール・ワン)グランプリなどの数多くのお笑いコンテスト受賞歴を誇り、有名演出家・宮本亜門(みやもと あもん)が手掛ける舞台『ドロウジー・シャペロン』(09)にも出演。本業のお笑いはもちろん、俳優としての実績もあるタレントだけに、単なるベタなずっこけシーンだけのためにキャスティングされたのではないことは周知のとおりだ。彼が“お笑いタレント”と呼ばれるカテゴリに属するタレントの、俳優としての芸域拡大に貢献することを期待したい。
また、お笑いタレントといえば、第四話のゲストは我修院達也(がしゅういん たつや)。その昔、若人あきら(わかと・あきら)の芸名で活躍。郷ひろみの物まねを得意とする人気タレントで、少し前にはテレビドラマ版『電車男』(05・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20070617/p1)でもネット世界の住人として登場していた。ここでまた十八番の郷ひろみの物まねを披露するのだろうか?
そして、作品のバックグラウンドに目をやれば、「風都(ふうと)」という土地を舞台に物語が展開する本作であった。
この名称は石ノ森漫画『サイボーグ009(ゼロゼロナイン)』で「風の都(かぜのみやこ)」編というエピソードが存在するので(「週刊少女コミック」(小学館)に1975年に掲載された短編)、そこからのフィードバックでもあるかと読んでいる。
実際、今年は「2009年009イヤー」と称して、同じ石ノ森作品の『サイボーグ009』のアニバーサリーイヤーでもある。平成ライダーに比べて地味ではあるが、コンビニ売りコミックでの単行本化やパチンコでの登場。アニメシリーズのDVDソフトの再販やCSメディアでの再放送。朗読劇の上演やアニメ版出演声優を招いてのイベントも開催されている。こうしたところで、どことなくそれを感じさせる要素がアクションとして存在し、仮面ライダーと009の接点が存在するのも両者のファンとして嬉しい。
主人公側についての言及だけではなく、敵側にも目を向けたい。仮面ライダーWが戦う怪物・ドーパントは、主人公たちが変身に使うアイテム・ガイアメモリを人間に直接挿入することにより誕生する設定である。
しかし、よく考えればこのガイアメモリの使用法を違えるだけで「善」にも「悪」にも変わるというシステムは、初代を中心とする多くの仮面ライダーシリーズ、特に主人公が敵側の組織により改造された存在のライダーと、その組織が繰り出す改造人間との関係にも等しいという印象を受ける。ヒーローも怪人も根幹は同じ、紙一重的な思想を再度『仮面ライダー』に持ち込んだのも原点回帰と解釈できるだろう。
なお、この「ドーパント」のネーミングの由来はもちろん、「ドーピング」に起因するのだろう。これはその昔、ソウルオリンピック(1988年)の短距離走で世界新記録を樹立したベン・ジョンソンが、薬物使用発覚によりその記録が無効となった事件で、一般にも知れ渡った語句だ。昨今の現代社会でも日本の芸能界にて麻薬関連で有名タレントの逮捕が相次いでマスコミを賑わしている現状と不思議にシンクロしてくる。麻薬使用者もドーパントと同様に思えてくる昨今の世情だ。もちろん、一般市民や若者にも流通しだした麻薬使用を風刺したのが、ドーパントでもあるのだろう。
作品のスタッフも一新。脚本はTVアニメ『ゲゲゲの鬼太郎』(5作目 07〜09・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20070715/p1)や深夜特撮『キューティーハニーTHE LIVE(ザ ライブ)』(07・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20080406/p1)での活躍が記憶に新しく、そして東映特撮初登板の三条陸(さんじょう りく)。監督はお馴染み田崎竜太(たさき りゅうた)に、『超光戦士シャンゼリオン』で監督デビューを飾った諸田敏(もろた さとし)が参加。諸田がデビュー作『シャンゼリオン』をも思わせる懐かしい香りの作品をいかに彩るかが興味深い。
そして、何より古くは『真・仮面ライダー』に始まり、以後しばしの時を挟み、『仮面ライダークウガ』〜『仮面ライダーディケイド』に至るまでの平成ライダーの大半を手掛けた60年代生まれの白倉伸一郎から、これまでスーパー戦隊シリーズで活躍していた70年代生まれの東映の塚田英明(つかだ ひであき)にプロデューサーをバトンタッチした。明らかに平成ライダースタッフも“世代交代”だなという印象を与えるが、果たしていかほどの成果を見せるか……。
前作『仮面ライダーディケイド』が話題性豊富な作品で、近年やや衰退気味の平成仮面ライダーシリーズのカンフル剤としてその機能を果たし、視聴率の回復や映画の大ヒットというアニバーサリーイヤーに相応しい成果を見せてくれた。
“ウルトラマン生誕40周年記念作”であり、“平成ウルトラマン生誕10周年”記念作にも位置する『ウルトラマンメビウス』(06・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20070506/p1)も話題性はあったとはいえ、前番組『ウルトラマンネクサス』(04・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20060308/p1)と『ウルトラマンマックス』(05・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20060503/p1)の不調のあおりを受けて放送ネット局が減少。それでも、視聴者のリクエストに応えて遅れて始まった地域もあったとはいえ、追い討ちを掛けるように歴代最低視聴率である1.5%(関東地区・ビデオリサーチ社調べ)という数字をはじき出してしまっただけに、『ディケイド』の健闘度は高く評価できる。
その『ディケイド』の重圧のあと、なおかつ最終回(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20090829/p1)が未完結という衝撃の中、『仮面ライダーW』は実際どのような幕開けを見せるのか……。
視聴率は第一話が10.2%(関東地区・ビデオリサーチ社調べ)と、平成ライダーでは久し振りの『仮面ライダーカブト』(06・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20070211/p1)以来の10%台突破の成果を見せ、『ディケイド』の最高値を初回より超えており、おおむね好調だ。『ディケイド』衝撃の最終回が方々で話題を呼び、翌週の『W』に視聴者の関心がより集まったのかもしれないが。
先の読めない展開とはいえ、ゲストライダーを目印に『ディケイド』は視聴者の関心を大いに集めた。今度の『W』は何を目印にするのか? 探偵ドラマか、謎解きか、それとも? それは視聴者の皆様が“推理”してください。とでもいうのだろうか……。
ならばその行方を、各自が“推理”していこうではないか。
『假面特攻隊2010年号』「仮面ライダーW」評・記事一覧
・序盤評1:「名探偵はハードボイルドの夢を見るか?」
・序盤評2:「さあ、お前の論を唱えろ!」
・序盤評3:「仮面ライダーWの諸要素を『検索!』(?)」
・「仮面ライダーダブル」第1クール評
『仮面ライダーディケイド』はじめ、「スカイライダー」(79)〜「仮面ライダーW」(09)関東・中部・関西の全話視聴率表を、09年末発行の『假面特攻隊2010年号』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20091201/p1)「平成ライダー東西視聴率10年史」大特集に掲載!
[関連記事] ~ライダーシリーズ総括
(ライダー各作品の「終了評」の末尾に、関東・中部・関西の平均視聴率を加筆!)
『仮面ライダークウガ』前半・総括 ~怪獣から怪人の時代来るか再び
『仮面ライダークウガ』最終回・総括 ~終了賛否合評
『仮面ライダーアギト』最終回・総括 ~終了評 ―俺の為に、アギトの為に、人間の為に―
『仮面ライダー龍騎(りゅうき)』最終回 ~終了賛否合評1
『仮面ライダー龍騎(りゅうき)』総論! ~終了賛否合評2 ―『龍騎』総括・小林靖子vs井上敏樹!―
『仮面ライダー555(ファイズ)』最終回・総括 ~終了評 ―平成ライダーシリーズ私的総括―
『仮面ライダー剣(ブレイド)』最終回・総括 ~終了合評 會川ヒーローは痛みと深みを増して
『仮面ライダー響鬼(ヒビキ)』最終回・総括 ~後半評 路線変更後の所感
『仮面ライダーカブト』最終回・総括 ~終了評 終戦の白倉ライダー
『仮面ライダー電王(でんおう)』 ~後半評 複数時間線・連結切替え!
『仮面ライダーキバ』最終回・総括 ~その達成度は? 王を消して一緒になろうと言い寄る弱い女の狡猾さ
『仮面ライダーディケイド』最終回&特別編「世界の破壊者」 ~再放送・編集版!
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