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ザ・ウルトラマン42話「ウルトラマン生けどり作戦」

ファミリー劇場『ザ★ウルトラマン』放映「全話評」連動連載!)


『ザ☆ウルトラマン』全話評 〜全記事見出し一覧

#42『ウルトラマン生けどり作戦』

宇宙ハンター ハタリ登場

(作・吉川惣司 演出・八木岡正美 絵コンテ・山崎和男)
(視聴率:関東10.7% 中部12.3% 関西14.4%)


(文・内山和正)
(1997年執筆)


◎調査後何もなければ遊んで来ていいかと要求して、バカンス気分で赤道直下の海へ出かけるあまりにも軽いムツミ。もはや初期の面影はない。
 彼女とちょっとエッチなハタリ船長の交友。放送時はあきれたものだが目くじら立てねば割りとまとまっている気がする。
◎船員に扮しハタリを見張る(ハタリは騙されてウルトラマンを捕獲に来ている)ヘラー軍兵士が、用済みになる前からやたらハタリを殺そうとしているのが不自然
 (それだから危機感が生じるのだとはいえ)。


※:製作No.42『ウルトラマン生けどり作戦』


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊98年号』(97年12月28日発行)『ザ☆ウルトラマン』特集・合評3より分載抜粋)


#42『ウルトラマン生けどり作戦』

(文・T.SATO)
(2010年書き下ろし)


 第4クールでは珍しいコミカル編。
 宇宙ハンター・ハタリ登場。


 ……と謳(うた)ってはいても、ハタリは怪獣ではない。
 地球人と姿が変わらない、豊かな白髯(しろひげ)を中年太りの腹のあたりまで蓄えて、ステッキを持ったスケベで愉快なチビで短足、メガネのジイさんだ。


 いわゆるゲスト怪獣は登場せず(!)、その代わりにハタリが船長を務める、なぜか一応は宇宙戦艦なのに気密性のなさそうな木目板甲板の旧式オンボロ宇宙戦艦が登場。
 腐っていて床が抜けたりする(笑)。


 (むろんリアリズム的にはおかしいのだが、それだからこそ、20世紀の戦艦や蒸気機関車が宇宙を航行する『宇宙戦艦ヤマト』(74年・77年に映画化)や『銀河鉄道999(スリーナイン)』(78年・79年に映画化)に『宇宙海賊キャプテンハーロック』(78年)のアルカディア号の艦橋後部が木造であるようなロマンチックな風情も出てくるのだが)


 クライマックスでのウルトラマンのバトルは、このオンボロ宇宙戦艦との戦いとなるパターン破り。
 

 とはいっても、本作のメインライター・吉川惣司氏が担当したからといって、メインストリームやターニングポイントに関わる回でも、キバったパターン破りの回でもない。
 ハタリのキャラクターデザインや愉快なセリフ廻しにコミカルな動き、ムツミ隊員の終始のビキニ水着姿といい、明らかに肩の力を抜いたサービス回でもある。



 冒頭、夜空からパン(降下)して、巨大戦闘艦ウルトリアが着艦した状態の美しい夜景の地球防衛軍・極東ゾーン基地の映像が描かれる。
 日中の映像だとセル画で描かれるウルトリアは、ここでは背景美術の担当の筆になっている。


 なぜか基地のカタパルトではなく、ウルトリアのカタパルトから緊急スクランブル発進する小型戦闘機バーディ3機。


 ゴンドウキャップ「寝入りばなを起こしてスマンな。これも任務だと思ってアキラめてくれ」


 操縦桿をにぎりながらも、アクビをして眠そうなコミカル担当のマルメ隊員。
 「動く島」が目撃されたという赤道直下の海への調査をその場で改めて命じられていく。


 そこでムツミ隊員が、


「キャップ、お願いがあるんですけどォ」


ゴンドウ「なんだ?」


ムツミ「(笑顔で)仕事が無事に終わったら2、3日遊んでいってもイイですか?」


ゴンドウ「遊ぶ?」


ムツミ「(媚びて)だってぇ〜、休みもロクに取ってないし、せっかくの南の海ですもの〜」


ゴンドウ「(少しの照れかサングラスを押さえながら)そりゃあ2、3日ならかまわんが。しかし遊ぶといったって、何も用意しとらんだろ。また今度にしろ」


ムツミ「(両手をにぎってシナを作って)ウフフ、いいえ、私ユニフォームの下は、水着ですの!」


マルメ「グフフフフ、実はオレたちも!」


 もちろん緊張緩和のためのシーンではあるが、ここでは科学警備隊の隊員たちも、まだまだ遊びたい盛りの若者たちであることをも示して、キャラにふくらみや親しみを出している。
 まぁマジメすぎる視聴者が不謹慎であると思う危険性もあるのだが、ソレもごもっともだし正義感ゆえからだろうから了解もするしそのマジメさに好意も持つのだが、一時の休憩くらいで地球防衛の職務にそんなに支障もないのだろうから、硬すぎるといえば硬すぎる反応だし、そもそもそーいう感慨を持つ御仁自体は少数派であるだろうし(笑)。


 ウルトラシリーズの濃いマニアであれば、次作『ウルトラマン80(エイティ)』(80年)#11「恐怖のガスパニック」(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100711/p1)冒頭において、昨今話題の尖閣諸島ヒルマ島に出撃した防衛組織・UGMの隊員たちが、任務の完了後にオオヤマキャップ(隊長)に願って、その日1日夕方までを束の間の休暇として、海岸で遊ぶシーンが描かれたことを思い出すかもしれない。
 『80』#11の脚本は、本作『ザ☆ウル』にも参加された平野靖司なので、そのへんのヒューマンな描写は本話の当該描写からインスパイアされたものだとも推測できる。
 (それが悪いというのではなくて、話数も空いているのだし、むしろそれでこそイイとも思っておりますが・笑)


 初期編におけるムツミ隊員の、媚びてない仕事デキるプライド系イイ女をデフォルト(初期設定)として金科玉条に考えてしまうと、矛盾しているともたしかに取れる描写であるのだろうが、私事で恐縮だが個人的にはこれを矛盾だとは思わない。
 そこは1年間、全50話も放映されるTVシリーズ。各キャラが徐々に変化していったり意外な一面があったりしても、よほどの矛盾でなければ、それは人物のふくらみ・幅の広さとして了承できる。
 (逆に云うと、3ヶ月・1クール・13話くらいの短期放映ドラマで、コレをやられたらナットクができないが・笑)


 過去のシリーズであれば、『帰ってきたウルトラマン』(71年)の厳(いかめ)しい岸田隊員や、『ウルトラマンエース』(72年)の「ふぉくと〜〜!!」の山中隊員(笑)が、シリーズ後期や終盤のエピソード群では軟化した態度を見せても、「アレ?」と少しは不審に思っても、ドラマとしてたとえ変化の過程が描かれていなかったとしても、放映期間も含めた「行間」で、じょじょに主人公隊員たちと仲がよくなっていったのであろうと了承・解釈ができるように……。


 前者であれば#28「ウルトラ特攻大作戦」、後者であれば#50「東京大混乱! 狂った信号」(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070415/p1)にて、仲良く談笑やバカ笑いをしてみせる2隊員の描写が思い浮かぶ。
 (ただし前者は、脚本の実相寺昭雄カントクが岸田隊員と上野隊員を取り違えて執筆したようで、実相寺カントク至上主義・絶対主義者の方々(笑)にはさておき、多少のムリがあったとも思うが) 



 南洋を航行するタンカーに、バーディで海面を滑走させて横付けして、キャノピーを開けてヘルメットを取り、立ち上がって異常がないかを聞くムツミ隊員。


 その際、いかにも海のオトコの野人たちである船員たちが、美人の姉ちゃんのムツミを見て、大歓声をあげて、
 「カッコいい姉ちゃんだゼ!」「姉ちゃん、姉ちゃん!」
 ヒューヒュー! と指を口に入れて口笛を大きく鳴らしたりする下品なふるまいもそれらしくてイイ(笑)。


 またさすがにココではムツミ隊員も、職務にふさわしく媚びずにふるまって、公私の区別ができている。
 


 このタンカーは突如背後から海面に出現したオンボロ宇宙戦艦と衝突して真っ二つに割れて沈没。



 水漏れするパイプ類がムキ出しの天井と壁面に、床が木目板になっている倉庫のような船室の中央、毛布がかけてあるベッドの上で、ムツミ隊員は眼を覚まして上半身を起こす。


 毛布からはだけるムツミ隊員の黒ビキニ水着姿。その姿に自分で気付き、「ハッ」と叫んで毛布で胸元を隠す(萌え〜)。


 「そうか。ユニフォームは燃えちゃったんだワ」


 ……ンなことあるワケねーだろ! そんなにキレイに焼けるのか? 燃えちゃったらヤケドするだろ! とかヤボなツッコミをしてはイケナイ(笑)。
 短いシーンでのひとことセリフだし、実写ではなくアニメだからか、リアリズム的にドーコーとかはあまり気にならない。
 もちろん作り手・受け手を含めて、ムツミ隊員に本話では終始、水着姿でいてもらうための確信犯の方便・言い訳にすぎないのだから。


 本話と同じく吉川惣司氏脚本回であり、ムツミ隊員のシャワー姿が描かれる#39「ねらわれた巨大戦闘艦ウルトリア」(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100124/p1)につづいて、要は眼福なのである
 (笑〜本話はそんなに作画がよくはないのは残念なのだが)。


 バスタオルをまとって、艦内を歩き回り甲板に出たムツミ隊員は、「お気に召しましたかな?」と声をかけられる。


 探検隊のサファリルックのような服装に身を包んで、下品な高笑いとともに登場したオジイサン。
 コミカルなBGMも即座に響きだして、どう見ても悪人ではない(笑)。


 「ゴッホン(咳払い)、わしゃこの戦艦のハタリ船長じゃよ」
 「あんた、あの船(タンカー)に知り合いは?」
 「こう見えてもアンドロメダあたりでは名が知られていてな。(中略)怪獣をつかえまえて動物園に売るのが仕事じゃ」
 「(ウルトラマンを)あんた、知っとるの?」
 「足元に気をつけてな、なにせ年季の入った船じゃて」
 ……と云ってるそばから、自分が床を踏み外して下に落っこち(笑)、ムツミに抱えられて、船長室に運んでもらう。


 対するムツミ隊員も、マジメなだけでなくウルトラマンのことを伝聞でしか知らなかったフリをする喰わせものっぷり(笑)。 


 そこで明かされる真実。本作終盤の宿敵・ヘラー軍団のロイガー司令からの依頼で、「老人のハタリ船長にはムリだろうが……」とプライドをキズつけられるかたちで焚きつけられたことが、回想シーンにて視聴者には明かされる。
 そう、本作のコミカルな出来事も、ヘラー軍団の暗躍によるものなのだと。


 しかし、ハタリ船長は、ムツミに依頼主はだれかと問われても、ウンウン唸っても逆立ちしても依頼者の名前が思い出せない。
 お約束のコテコテです(笑)。


 タンカーの生き残りを巨大戦闘艦ウルトリアで救出した科学警備隊の面々は、ムツミ隊員がオンボロ宇宙戦艦に救出されたことを聞かされて、ウルトリアに収納してあったモーターボードでヒカリ隊員は宇宙戦艦が停泊中の南洋の島へと秘かに向かう。


 そこで目撃したのはムツミ隊員のノンキかつチャッカリとバカンスを楽しむ姿。
 水着姿で海に飛び込み、泳ぎを楽しみ、


 「わたし、しばらく船長さんといっしょにいたいもの」
 「船長さ〜ん、朝ご飯の時間ですよ〜〜」


 船長さんも「ハ〜〜イ、わかりました〜〜」と鼻の下をのばす。野郎はいくつになってもドーしようもないですナ。
 もちろんウルトラマンの生け捕りなんて止めて、ここに住んだら……という引き伸ばしや作戦の中止自体を喚起するムツミの機転でもあるのだが。
 どちらにしても、自身の女性としての色香(いろか)を自覚した色仕掛けであることには変わりはない(笑)。


 それを見て、「どうなってんのかな?」とアキれるヒカリ隊員ももっともだ。


 その後、船員たちがロイガー司令と通信しているのを立ち聞きして、船員たちがヘラー軍団の兵士たちの変身であることを知ったムツミ隊員は、兵士たちに追われて、そこに駆けつけたヒカリ隊員とともに大格闘!


 船員たちがいかにも古式ゆかしい頭にターバンを巻いた、半そで姿やシマウマ模様の服の、海賊の荒くれ者な船員たち風なのが、リアリズム的にはオカシくても、作風のコミカルさには合っていて、兵士たちがわざわざ作戦遂行のためにコスプレしているようなものなのだが、ユカイ痛快。
 船員も地球人並みの強さしかないのだが、そこもこだわってはイケナイ(笑)。


 さらに話をサクサク進めるため、ムツミを救出後の攻撃許可のために、ヒカリが打ち上げる予定で落としてしまった信号弾を、ヘラー軍団の兵士が化けている船員がヒモを引っ張り誤って打ち上げてしまう!
 巨大戦闘艦ウルトリアがオンボロ宇宙戦艦に砲撃を開始したところで、戦闘ショーのタイムも開始!


 ムツミ隊員がまだ中にいるため砲撃中止を通信で進言したヒカリ隊員もウルトラマンに変身!
 集中砲火の嵐をかいくぐってオンボロ宇宙戦艦の甲板にたどりついたウルトラマンに、生け捕り作戦の秘術が機動する!


 そこでもう船長は用済みとばかりに、船員たちは甲冑に身を包んだヘラー軍団兵士である正体を明かして、ハタリ船長は真相を知るもピンチに陥り、そこに機転を効かせたムツミ隊員が銃を持って駆けつけてきて……。
 ウルトラマンの逆転の契機に、ハタリとムツミの働きもカラませる。



 途中過程までの作風にふさわしく、ラストも気持ちよく終わる。
 見ようによっては凡作といえば凡作といえるかもしれない。
 が、個人的にはリアルタイム時の小学校高学年の時代から好印象が残っている。怪獣が出ないことにも不満はなかった。
 ただし、歳下の特撮マニアの友人などに聞くと、この回は怪獣が出なかったことによる違和感や物足りなさが印象に残っているそうで、パターン破りも諸刃の剣(もろはのつるぎ)であるのだなぁと思わされて、自己の感慨の相対化を余儀なくされるのも事実だが。


 あとになって思うに、本話はこのオンボロ宇宙戦艦をゲスト怪獣に相当させるべきだったのかもしれない。
 『ウルトラセブン』(67年)#21「海底基地を追え」の軍艦ロボット・アイアンロックスや、『ウルトラマン80』#32「暗黒の海のモンスターシップ」のスクラップ幽霊船バラックシップに相当する存在として。
 本話のオンボロ戦艦はあくまで舞台背景・道具としての戦艦で、作品の中心となるオーラ・スター性は当初から意識されてはいないが。


 また本話は、脚本家・吉川惣司が合体ロボアニメ『大空魔竜(だいくうまりゅう)ガイキング』(76年)だかで手懸けたエピソードの流用・リメイクであるという証言も、友人たちから聞くので、近日中にそのへんの詳しい事情も調査して、本項に加筆したい。乞うご期待(笑)。


 (後日付記:特撮評論同人ライター・森川 由浩・フラユシュ両氏からの情報によると、『大空魔竜ガイキング』#32「宇宙から来た幽霊船」だそうです。この回は、各話演出が東映動画の重鎮・芹川有吾(せりかわ・ゆうご))! 作画監督は『ザ☆ウル』でも絵コンテ職で多数参加されている『宇宙戦艦ヤマト』シリーズ(74年〜)などでも有名で最新作『ヤマト復活編』(09年)にも参加された白土武(しらと・たけし)!)


 ハタリ船長の3文字ネーミングは、まだのちの『笑っていいとも!』(82年10月〜)の司会で大ブレイクする前、アンダーグラウンドでダウナーで声帯模写で通好みなお笑いタレントの印象があって、火曜日の夜8時にNHKで放映されていた永六輔(えい・ろくすけ)司会のコント・バラエティ番組『ばらえてい テレビファソラシド』(79〜82年)で露出を開始しはじめていた時期のタレント「タモリ」から取ったものではなかろうか? と当時から推測しているのだが……。
 真相はいかに?


(了)
 



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