假面特攻隊の一寸先は闇!読みにくいブログ(笑)

★★★特撮・アニメ・時代劇・サブカル思想をフォロー!(予定・汗)★★★ ~身辺雑記・小ネタ・ニュース速報の類いはありませんので、悪しからず!(笑)

ウルトラマンエース23話「逆転! ゾフィ只今参上」 〜『ウルトラマンメビウス』の名の由来!? 〜メビウスの輪の力で、異次元人の悪意を討て!

(2006年4月29日分を再UP)


ウルトラマンメビウス#24「復活のヤプール」 〜第2期の映像派鬼才・真船禎演出リスペクトが満載!
「ウルトラマンA 再評価・全話評!」 〜全記事見出し一覧


(脚本&監督・真船禎 特殊技術・高野宏一)
ファミリー劇場ウルトラマンA』放映・連動連載!)
(文・久保達也)


 「ヤプール人はおそろしい奴だ。残忍な奴だ。地球を侵略するためなら手段を選ばない。なんだってやるのだ。それがまさに、ヤプール人なのだ」

(オープニング・ナレーション)


 「こんな世の中があっていいものだろうか! この末世(まっせ)の世に、わしは汝(なんじ)らに警告する! 昔エルサレムではイエス=キリストが生まれ、インドでは釈迦(しゃか)が生まれた。そしてわが日本では親鸞上人(しんらんしょうにん)あり! そして今、わしは汝らに警告する! 末世はまさに近づいておるぞ〜!」


 商店街で群集を前にこのように説く仙人のような不気味な老人。群集があっけにとられる前で、やがて老人は次のように歌い、踊り始めた……


 ♪おまえは神を信じなさい
  ホレ信じなさい ホレ信じなさい
  おまえは俺を信じなさい
  ホレ信じなさい ホレ信じなさい
  おまえはおまえを信じなさい
  ホレ信じなさい ホレ信じなさい


 その場に居た子供たちが一斉に老人とともにこの歌を歌い、踊りながら老人の行く方についていった。まるで「ハーメルン」の笛吹きのように……
 いつの間にか老人と子供たちは荒波せまる海岸を行進していた。「ホレ信じなさい。ホレ信じなさい」と踊りながら……


 「この異常な流行はまたたく間に日本全土を覆った。日本じゅうの子供たちがこの歌を歌い、この踊りに夢中になった。老人はどこにでも現れた。同じ服装、同じ杖を持って。果たしてひとりの人間なのか? それとも似たような多くの老人たちなのか? それは……」


 「誰にもわからない。わかるはずがないんだよ。地球のばかどもめ。フハハハハ……」


 老人は子供たちに問いかける。
 「海は青いか?」
 元気よく答える子供たち。
 「青い!」
 だが老人はそれを否定する。
 「ちがう! 海はまっ黄色だ! 見ろ!」
 汚染された海のイメージ……
 「海は青くない! まっ黄色だ!」
 子供たちはそれに同調する。
 「そうだ! 海は青くない! まっ黄色だ!」
 同じように老人は「山は緑か?」「花は咲いたか?」と子供たちに問いかける。「緑だ!」「咲いた!」と元気に答える子供たちだが、老人はまたもそれらを否定する。子供たちは老人の云うままに「茶色だ!」「死んでいる!」と叫ぶ……
 一連の禅問答のあと、老人と子供たちはまたも「ホレ信じなさい。ホレ信じなさい」と踊り狂う……


 XYZ地点でそれを監視する主人公・北斗星児隊員の前で、子供たちが突然姿を消す! あたりは一面真っ暗になり、海岸に駆けつけた北斗を獣人と化した老人の炎が襲い、真夏であるにもかかわらず辺りには雪が舞う! 思わず叫ぶ北斗。
 「夕子〜〜!!」


 本部でそれを耳にする南夕子隊員。だがその件も北斗の話も「科学的でない」「ナンセンスだ」などとTAC(タック)の隊員たちは誰も信じようとはしない……


 「オレは見たんだ! 確かにこの目で見たんだ! 海は青いかと老人が云うんだ! 子供たちは青いと答える! (中略)それから歌だ! 今はやっているあの歌! おまえはおまえを信じなさい! ホレ信じなさい! ホレ信じなさい!……」


 あまりに興奮し、鬼気迫る表情で必死に訴える北斗に対して唖然とする一同の中で、夕子ただひとりが北斗を制止する。
 「やめて! もうやめて!」


 「誰もオレのことを信じてない……それからオレは砂浜にいた。急に冷たい風が吹いてあたりが暗くなったんだ。白いものが降ってきた。雪だ! こんな真夏に雪が降るなんて、オレだってそう思いましたよ! でも確かに雪なんだ! 冷たい! 寒い〜っ!!」


 ここに至るまでの北斗役の高峰圭二氏はおもわずひいてしまうほど興奮のあまりに絶叫をあげ、その演技はまさに鬼気に迫り、迫真性に満ちあふれている。主演俳優をここまで激情させた本作のテーマとは? 続きを見てみよう……


 「もういいだろう」
 北斗の話をさえぎったのは竜隊長だった。
 「北斗、君は疲れている。休みたまえ」
 「隊長までオレのことを信じてないんですか!」
 竜隊長は頭を大きく横に振り、隊員たちに北斗の証言を裏づけるための調査を命じる。隊員たちが去ったあと、兵器開発研究員の梶が竜隊長に問いかける。


 「隊長、信じますか、北斗隊員の話……」
 ここで竜隊長は意外にも、またもや首を横に振る!
 だがそれに対して梶は……
 「そうですか……。僕には……、信じられます。いや、信じられるような気がします」


 本来ならまっ先に北斗の話を否定するはずの「兵器開発研究員」の梶が、夢のような話に対して「信じられるような気がする」などと意外なことを口にする。人間は決してひとつではない。常に多面性を持ち、表と裏のある存在なのである。実はこの短い場面こそが、本作が描こうとする最大のテーマをきわめて象徴しているのである!


 メディカルセンターへと向かうジー
 「星児さん。あたしは信じるわ、あなたの話」
 「いいんだよもう。同情はまっぴらだ」
 「あたしね、小さいころ、まだぁ五つか六つくらいのころだったかな。ひとだまを見たの。
 夜おしっこに行ってね、その帰り。田舎でしょ、トイレが外にあるのよ。
 で、その帰りに、隣の屋根から青白〜い、まるい玉がス〜ッと消えていったの。
 こわくてね、うちの人起こしたんだけど、だぁれも信じてくれなかったわ。でもね、翌日朝になったら夕べ隣のおじいさんが亡くなったんですって。あたしの見たひとだまは本当だったってわけよね」
 (最近の若い人々には原体験はないかと思うが、以前は地方の旧家などは便所が独立して外に設置されていることが多かった。そのために夜中にトイレに行くのが恐くてつい寝小便……なんて経験を持つ古い世代も多いはずだ)
 「ありがとう……。君の気持ちうれしいよ」
 「この先の角、右に曲がるわよ」
 「いや、まっすぐ行ってくれ」
 「右へ曲がりま〜す!」(急ハンドルを切る)
 「夕子! まっすぐだってば!!」
 「XYZ地点はね、この方が近道なんで〜す!」
 緊迫していた空気がいっぺんに弛緩する。破顔し、見つめ合い、笑い続ける二人……


 いくら「ふたりだけの秘密」を共有する関係とはいえ、この一連は明らかに北斗と南を恋人同志として描いていると見てよいだろう。それまでが緊張の連続だったことからこの場面には思わず心がなごむが、それも束の間、またしても意外な事実が判明し、北斗の表情が暗くなる……


 XYZ地点には山中隊員と今野隊員がいた。北斗が見たと主張した砂浜はどこにもなく、海岸線にはがけっぷちがあるのみであった。やはり北斗は夢を見ていたのか……
 いつもなら怒鳴るはずの山中が今日は妙に優しい……
 「まあいいさ北斗。おまえは疲れているだけなんだ」


 「しかし北斗の見たものは本当に夢だったのか。いや、決してそうではない。この事件は日本だけにとどまらなかった。世界中の子供たちが一瞬にして姿を消すという想像もできない出来事だったのだ」


 アメリカで、イギリスで、スペインで、子供たちが次々と消えた! もちろんそれらの撮影のために海外ロケに行っているわけではない。だがTAC本部のモニターに映し出される世界各地の子供たちが、それぞれの母国語で「ホレ信じなさい。ホレ信じなさい」と歌う演出には背筋が寒くなる恐怖をおぼえるし、世界的規模で事件が起きているというスケールの大きさが説得力をもって感じられる。


 そして鹿児島県で、秋田県で、東京都杉並区のプールでも次々と子供たちが消えた!
 「不気味な夜が訪れた。消えた子供たちは一体どこへ行ったのか。明日はどの子供たちが消えてゆくのか。誰も知らない。しかし必ず何人かの子供たちが消えてゆくのだ。そして星の数もまた、いつもより多く光って見えた」


 川原で一輪の花を手に大勢の子供たちが川に向かって進んでいくのを発見した北斗は慌てて阻止しようとするが、子供たちにはまるで手応えがなく、やがて皆がスーと消えてしまい、カラスの大群が鳴くばかりであった……


 モノトーンの映像で描き出された子供たちの行動は完全に「死」のイメージである。地球を侵略するためなら手段を選ばないヤプールは、地球の未来を担うはずの子供たちを世界中から抹殺しようとしているのか……


 その場にしゃがみこんでくやしがる北斗のもとに竜隊長が現れた。「この世のこととは思えません!」と叫ぶ北斗に竜隊長は……
 「そうなんだよ北斗。この世のことではないんだ。私もそう思う」
 「すると隊長は……」
 「あれを見ろ。星がいっぱいだ。星が急激に増えたとは思わんか」
 「そういえば……」
 「子供たちが消える。星が増える。また子供たちが消える。するとまた、星も増えるんだ」


 子供たちはヤプールによって異次元に連れていかれたのだ。遂に竜隊長の甥までもが姿を消してしまったという。夜中に突然起きだし、「海は黄色だ!」「山は茶色だ!」「花は死んでいる!」と叫んだらしい。驚いた竜隊長の姉が部屋に行くとベッドはもぬけの殻だったと話す竜隊長。云わば地球防衛の任務から事件に関わっていただけの竜隊長としても、これでいよいよ他人事ではなくなったわけであり、こうした地に足のついた描写によって視聴者に身近に迫る恐怖であることを感じさせる演出が実にうまい。
 このままでは世界中の子供たちが異次元に連れていかれる! これは人類の未来の問題だ! 誰かが異次元に行って子供たちを連れ戻さなければならないのだ!
 梶が開発した「メビウスの輪」を応用したマシンで北斗は全世界の注目が集まる中、異次元に移動することに成功する!


 「メビウスの輪」を視聴者に説明する場面が用意されているのが秀逸である。長細く切った紙をひねって張り合わせることにより、表だけで裏のない輪ができる。裏をなくすことによって事件は解決へと向かうのだ。
 単にSF性を感じさせるだけではなく、テーマの根幹に関わる大事な部分をこんな短い演出でサラリと表現してしまう真船監督の力量には脱帽するばかりである。人間の心の裏側こそが、ヤプールが潜む異次元世界なのだ!


 「子供たちを救いたいという北斗の情熱は、ついにその試練を乗り越えた。そして今、北斗は異次元世界をさまよっていた。憎むべきヤプールはどこだ。その時も時、遠くウルトラの星から指令は届いた。北斗星児よ、南夕子よ、今こそ手をつなげ! そして力を発揮するのだ!」
 「とあーっ!」そしてまた、夕子も異次元に向かう!


 「ゾフィが来た! 南夕子を異次元空間に連れ出すためにゾフィは今来た!」
 「行け! 夕子、星児とともに。ヤプールをやっつけるのだ!」
 「星児さ〜ん!」「夕子〜!」「ウルトラー、ターッチ!!」


 せっかくゾフィが来たのなら、そのままエースと一緒に異次元空間でヤプールと戦えばいいのに……と不満の向きもあるかもしれない。
 だがエースとヤプールは云わば宿命のライバルであり、一対一の対決を描く方が双方の力量が互角であることの表現へとつながり、むしろ盛り上がるのではなかろうか。
 こんなことを書くとウルトラ兄弟否定論者かと誤解されかねないかもしれないが、決してそうではない。筆者はむしろその逆であり、05年現在放映中の『ウルトラマンマックス』(05年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060311/p1)にも積極的にウルトラ兄弟を出してほしいと願うくらいなのだ。
 ただ筆者の妙なこだわりを書かせてもらえば、ウルトラ兄弟は愛する弟が絶体絶命の危機に陥ったときにこそ助けに来てほしいと考えている。『帰ってきたウルトラマン』(71年)第18話『ウルトラセブン参上!』や第38話『ウルトラの星光る時』のように。だからこそ頼もしい存在であることが強調されるのである。『ウルトラマンタロウ』(73年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20071202/p1)第33話『ウルトラの国大爆発5秒前!』でタロウがどれだけ極悪宇宙人テンペラー星人に痛めつけられようが、初代マンとセブンはなかなか助けようとしなかったが、簡単に助けてしまうのではなく、こうして愛する弟に試練を与える厳しさもまた、ウルトラ兄弟の大いなる魅力なのである。
 ただ『A』第1話『輝け! ウルトラ五兄弟』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060514/p1)の評でウルトラ兄弟を軽視して書いたのはそんなことが理由なのではなく、当時放映されていた『ウルトラマンネクサス』(04年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060308/p1)がリアル&ハード描写に終始していてあまりにも怪獣の魅力が薄かったから意図的にミサイル超獣ベロクロンを強調させてもらっただけなのである。
 そりゃあ筆者だって第1話のウルトラ兄弟勢揃いの場面は『ウルトラA』のタイトルの段階の予告で見ていたときから待ち遠しかったですよ。そんなの決まっているじゃないですか!
 ただ今回はやはり「一対一」の対決だったからこそ、次のように盛り上がったと思うわけなのです……


 「来たな! ウルトラマンエース!」
 「そうか! ヤプールというのはおまえか!」
 「そうだ! おれがヤプールだ!」
 「ヤプール! 徹底的にやるぞ!」
 「どこからでもかかってこい!」
 「いくぞ!」


 異次元空間で遂に決闘を開始するヤプールとエース!
未知の世界で苦戦しながらも格闘戦と光線技の応酬はまったくの互角! いつまでとも果てぬ戦いは続く! だが遂に必殺のメタリウム光線がヤプールのとどめをさす!


 「畜生奴らめ覚えていろ! ヤプール死すとも超獣死なず! 怨念となって必ずや復讐せん!」
 苦しみながら海に倒れこむあの老人! やはりヤプールの使いだったのだ!
 爆発四散するヤプール


 そして空の星になっていた子供たちは無事に空から地上へと舞い降りてきた。それまでの映像とは一変、この場面の多数の子供たちが、浮遊しながら降下してくるスローモーションの演出がまた、童心に帰れるような幻想的な映像で秀逸なのである。
 「ウルトラマンエース、ありがとう! ウルトラマンエース、さようなら! 今、子供たちは地球に帰ってくる。しかし死んだ異次元人ヤプールの体は、誰も知らない間に粉々になってやはり地球に舞い降りていたのだ。やがて、地球に何が起こるのか。誰も知らない。恐るべきヤプールの復讐。君たち、危機はまさにせまっているのだ!」

(エンディング・ナレーション)


 自ら執筆した脚本をその映像美と濃厚な人間ドラマ溢れる演出で屈指の名編に仕上げた真船禎(まふね・ていorただし)監督。『ウルトラマンマックス』第22話『胡蝶の夢』を観ても、相変わらず単に風変わりな映像演出のみで、ナマの血肉ある人間や人間ドラマを描くことには関心があるとは思えない、登場した粘土怪獣のごとく「オブジェ」でも撮っているかのような実相寺昭雄監督よりも、筆者は真船監督の方が本話にかぎらず映像もアングルもドラマもテーマも人物描写も凝っていて、力量が上であると思えてならない。ぜひ『マックス』にも登板してほしいと願うものであるが、なぜ誰もそんな歴然とした事実に気がつかないのだろう? みんな一体どこを見ているのか?
 それにしても、ここまでの作品をつくりあげるまで真船監督を激情させたものとは一体何であったのか?


 デジタルウルトラプロジェクト発売のDVD『ウルトラマンA』Vol.6解説書のインタビューによれば、今回のテーマは真船監督が最もやりたかった「洗脳」であったようだ。少年時代に軍国教育を叩きこまれたものの、戦争で負けた途端にアメリカ人を「鬼畜」だと教えていた教師が、「彼らは紳士だ」とのたまうようになったことが氏のトラウマになっていたのだという。
 ちょうど『A』放映当時の72年頃に「右寄り」の思想がマスコミなどで様々な形で取り上げられるようになり、氏としてはそれらに対する恐怖感から警告を発する意味の作品にしたそうである。
 近年の世相も右傾化の傾向があり、自分に反対する者を全て追い出し、周囲をイエスマンで固めるような独裁者が大衆の絶大な支持を集めている(彼の思惑通りにことが運んだ05年9月11日の衆議院選挙の結果には個人的には国民の皆様に大層失望した)。
 マインドコントロールされた人々が自在に操られたために起きた悲劇は95年に逮捕された男が教祖であった某宗教集団が引き起こした様々な事件が記憶に新しいところだが、このままでは日本人全てがあのように操られ、「いつか来た道」に戻ってしまうような不安を感じる。
 そのために「海は青い」「山は緑だ」「花は咲いた」と無邪気に叫んでいた子供たちが、謎の老人にそれらを否定され、皆が先述のように叫んでしまうこの話に、筆者は実にリアルな恐怖をおぼえるのである。
 その意味では海岸で子供たちが消えたという目撃証言を夕子以外誰も信じようとしない場面もまるでTACの隊員たちまでもがマインドコントロールされたかに見え、決していつものことだと笑ってはいられないものがある。
 竜隊長が問題の地点のパトロール強化や、謎の老人や消えた子供たちに関して調査するよう隊員たちに命じ、一瞬安息のときが流れるものの、梶の「信じますか。北斗隊員の話……」との問いに竜隊長さえも実は北斗の話を信じていないことが判明する。
 どんなに正しいことを主張しても、それが少数意見で否定派が多数であれば多数の方が正義となるのだ。そのあたりを実に的確に表現しているが、あまりにも恐ろしい場面である。
 タイトルにもあるようにゾフィー(当時の公式名称はゾフィ)がゲストに登場するが(声の出演は当時『超人バロム・1(ワン)』(72年)で上田耕一に代わってバロムワンの声を演じていた村越伊知郎と思われる)、夕子を異次元空間へと導くだけのほんの一瞬のみの出演である。
 ハッタリといえばハッタリであるが、ゾフィのゲスト出演が声高に謳われていなければとてもこわくて見てはいられない話である。ただヤプールとエースの最終決戦が描かれた異次元空間の描写は光学合成が鮮やかで幻想的な雰囲気に仕上げられており、おどろおどろしい表現にはなっていないのがせめてもの救いである。
 ヤプールはメタリウム光線で爆発四散し、子供たちは異次元空間から帰ってきた。だがヤプールは断末魔に「ヤプール死すとも超獣死なず」と叫んだ。ヤプールとの戦いはまだまだ終わらないのである……



<こだわりコーナー>
*79年にキングレコードから発売された『ウルトラオリジナルBGMシリーズ4 ウルトラマンA <冬木透の世界*3>』に、今回冒頭で描かれた老人と子供たちが踊り狂う場面の音源が『ヤプール怨歌』として収録された(B面の2曲目。1曲目にはヤプールの暗躍場面に流れた定番曲が『ヤプールのテーマ』として収録された)。ちゃんと音楽としての扱いを受けていたのである。
 近年は作品のためにつくられた音楽が全曲完全収録されるのが当り前になっているが、こうした遊びの試みが見られなくなってしまったのは残念である。
 それにしてもこの『ヤプール怨歌』、ハナ肇とクレージーキャッツが歌った『学生節』(63年・作詞/西島大、作曲/山本直純)に歌詞もメロディも酷似しているが、『学生節』の以下のような歌詞を見る限りでは自ら脚本を書いた真船監督の狙いがなんとなく垣間見えるというものである。


(歌詞3番)
♪ひとこと文句を云う前に
 ホレ先生よ ホレ先生よ
 あんたの生徒を信じなさい
 ホレ信じなさい ホレ信じなさい
 道徳教育 こんにちは
 おしつけ道徳 さようなら
 あんたの知らない明日がある
 ホレ明日がある ホレ明日がある
 どっこいここは通せんぼ
 ここには入れぬわけがある
 あんたの生徒を信じなさい
 ホレ信じなさい ホレ信じなさい


*本話準備稿のサブタイトルは『セブンよ異次元へ飛べ!』。
*視聴率19.9%


真船禎監督ウルトラシリーズ担当作品リスト

帰ってきたウルトラマン

 第30話「呪いの骨神(ほねがみ)オクスター」(脚本・石堂淑朗
 第31話「悪魔と天使の間に……」(脚本・市川森一

ウルトラマンエース

 第5話「大蟻超獣対ウルトラ兄弟」(脚本・上原正三
  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060604/p1
 第6話「変身超獣の謎を追え!」(脚本・田口成光)
  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060611/p1
 第17話「怪談 ほたるケ原の鬼女(きじょ)」(脚本・上原正三
  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060904/p1
 第18話「鳩を返せ!」(脚本・田口成光)
  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060907/p1
 第23話「逆転! ゾフィ只今参上」(脚本・真船禎)
  (当該記事)
 第24話「見よ! 真夜中の大変身」(脚本・平野一夫、真船禎)
  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061015/p1

ウルトラマンタロウ

 第33話「ウルトラの国大爆発5秒前!」(脚本・佐々木守
 第34話「ウルトラ6兄弟最後の日!」(脚本・佐々木守
 第43話「怪獣を塩漬にしろ!」(脚本・阿井文瓶)
 第44話「あっ! タロウが食べられる!」(脚本・田口成光)

ウルトラマンレオ

 第1話「セブンが死ぬ時! 東京は沈没する!」(脚本・田口成光)
 第2話「大沈没! 日本列島最後の日」(脚本・田口成光)


*:真船監督は当時の売れっ子監督でもあり、『レオ』開始時の74年4月の新番組ではフジテレビ『青い山脈』、NET(現・テレビ朝日)『誰のために愛するか』の計3本を掛け持ちしていた。近年でも伊東四朗主演の実写TVドラマ版『笑ゥせぇるすまん』(99年)に参加した真船匡氏(まふね・ただし)監督は、真船禎のペンネームらしい。



ウルトラマンA』全話評・後編 #24〜最終回予告!
 各種ウルトラ関連書籍で『A』後半に登場する色モノ的超獣の図版を見ただけで作品自体を食わず嫌いにしている皆様も多いのではないでしょうか。今後は騒音超獣サウンドギラー、鈍足超獣マッハレス、伝説怪人ナマハゲなど、色モノ的超獣が『A』には次々と登場します。しかし作品そのものは決して色モノではなかった! 長らく誤解と偏見を受けてきた第2期ウルトラシリーズの名誉のために、筆者は今後も微力ながらも尽くしていきたいと考えております……

2005.12.1


(了)
(特撮同人誌『假面特攻隊2006年号』(05年12月30日発行)『ウルトラマンエース』再評価・全話評大特集より抜粋)



『假面特攻隊2006年号』「ウルトラマンエース」関係記事の縮小コピー収録一覧
静岡新聞 1972年4月7日(金) SBSテレビきょうのハイライト新番組ウルトラマンエース 輝け!ウルトラ五兄弟(安心堂、はごろも缶詰提供) 〜大枠紹介記事
静岡新聞 1972年3月20日(月) SBSテレビ春の新番組〈7〉ウルトラエース 男女の空中合体で変身 〜まだこの時期は「マン」抜きの「ウルトラエース」名義
朝日新聞 2005年4月3日(日) 受刑者家族の会設立へ監獄法見直し「要望、当局に伝えたい」 〜「獄中者の家族と友人の会」呼びかけ人は山際永三監督
・『小学一年生』72年9月号ふろく「小一怪獣ひみつ百科」 〜美川隊員・西恵子のサイン付(笑)2005.2.2
毎日新聞 1972年4月5日(水) TBS春の新番組宣伝広告 〜エース・日本一のおかあさん(水曜夜7時、司会・萩本欽一)・1・2・3と4・5・ロク(ちばてつや原作、木曜夜7時)
静岡新聞 2005年10月25日(火) 根上淳訃報記事「白い巨塔」など脇役 〜『帰ってきたウルトラマン』伊吹新隊長役
朝日新聞 2005年10月26日(水) 根上淳訃報記事


[関連記事]

ウルトラマンメビウス#24「復活のヤプール」 〜第2期ウルトラの映像派鬼才・真船禎演出リスペクトが満載!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061112/p1


[関連記事] 〜エース全話評・主要記事!

ウルトラマンA 再評価・全話評!」 〜序文

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060513/p1

ウルトラマンエース#13「死刑! ウルトラ5兄弟」

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060803/p1

ウルトラマンエース#14「銀河に散った5つの星」

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060805/p1

ウルトラマンエース#17「怪談 ほたるケ原の鬼女」 〜真船演出! #23のプロト!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060904/p1

ウルトラマンエース#18「鳩を返せ!」 〜名作傑作!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060907/p1

ウルトラマンエース#19「河童屋敷の謎」 〜夕子活躍!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061007/p1

ウルトラマンエース#23「逆転! ゾフィ只今参上」 〜メビウスの名の由来はA#23にあり!?

  (当該記事)

ウルトラマンエース#24「見よ! 真夜中の大変身」 〜赤い雨! ヤプール壊滅二部作後編!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061015/p1

ウルトラマンエース#28「さようなら夕子よ、月の妹よ」 〜南夕子降板の真相異論!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061111/p1

ウルトラマンエース#30「きみにも見えるウルトラの星」 〜主役窮地の作劇極北!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061125/p1

ウルトラマンエース#33「あの気球船を撃て!」 〜最終回の着想はここに!?

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061218/p1

ウルトラマンエース#34「海の虹に超獣が踊る」 〜長坂秀佳脚本第2弾!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061223/p1

ウルトラマンエース#35「ゾフィからの贈りもの」 〜子供に過ちを犯す主役!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061231/p1

ウルトラマンエース#43「怪談 雪男の叫び!」 〜身勝手な大衆に批判の視点!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070224/p1

〈DVD付きフォトブック〉「ウルトラマンA 1972」レビュー

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070210/p1

『エース』同人誌の歴史1 〜『A』再評価の端緒を築いた伝説の名同人誌『全員脱出!』

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070331/p1

ウルトラマンエース最終回「明日のエースは君だ!」

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070429/p1

ウルトラマンA 再評価・全話評!」完結 〜『A』総論

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070430/p1


DVDウルトラマンA Vol.6

DVDウルトラマンA Vol.6



「ウルトラマンA 再評価・全話評!」 〜全記事見出し一覧