假面特攻隊の一寸先は闇!読みにくいブログ(笑)

★★★特撮・アニメ・時代劇・サブカル思想をフォロー!(予定・汗)★★★ ~身辺雑記・小ネタ・ニュース速報の類いはありませんので、悪しからず!(笑)

ザ・ウルトラマン最終回 47話「ウルトラの星へ!! 第1部 女戦士の情報」

ファミリー劇場『ザ★ウルトラマン』放映「全話評」連動連載!)


ザ☆ウルトラマン#20「これがウルトラの星だ!! 第2部」 〜ジョーの妹アミア初登場!
ザ☆ウルトラマン#31「ウルトラの女戦士」 〜ジョーの妹アミア再登場!
ザ☆ウルトラマン#37「ウルトラの星U40の危機!! ウルトリアの謎?」 〜アミア再々登場!


ザ☆ウルトラマン#46「よみがえれムツミ」 〜終章の序章・名作
『ザ☆ウルトラマン』全話評 〜全記事見出し一覧

引き続き、5月より『ウルトラマン80』全話評も連動連載!

#47『ウルトラの星へ!! 第1部

女戦士の情報』

(作・吉川惣司 演出・又野弘道 絵コンテ・白土武)
(視聴率:関東9.1% 中部13.7% 関西13.7%)


(文・内山和正)
(1997年執筆)


◎敵の戦艦に潜り込んで地球へ来た少女アミアから地球総攻撃が知らされる。
 我らがウルトラマンジョーニアスの妹・アミアはヘラー軍団の前線基地・土星の衛星タイターン基地を叩くことを主張するが、地球防衛軍の上層部は地球の守りだけに巨大戦闘艦ウルトリアを使うことを主張。
 ゴンドウキャップは命令にそむきタイターンに。ゴンドウの魅力が出ている。
 個人的な欲を云えば、アキヤマ前キャップも再登場しての地球防衛軍の全力を出した戦いも観たかった。
 また地球のためでもあるタイターン攻撃が、途中からウルトラの星・U40(ユーフォーティ)のためだけにすり替えられているかのように見えてしまうのも、個人的には少しヘンに思う。


※:製作No.47『ウルトラの星へ・第一部 アミア決死の地球潜入(仮)』


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊98年号』(97年12月28日発行)『ザ☆ウルトラマン』特集・合評3より分載抜粋)


#47『ウルトラの星へ!! 第1部 女戦士の情報』

(文・T.SATO)
(2010年執筆)
 本作もついに最終章に突入。


 それまでの『ウルトラ』シリーズの最終回は、基本的には単発話であり、『ウルトラセブン』(67年)のみが前後編のスタイルを取っていた。


 が、本作『ザ☆ウルトラマン』(79年)においては、1979年4月〜翌年3月の1年間の週1放映の最後の1ヶ月。
 つまりは、1980年3月の4週分の放映話数をまるまる費やす、シリーズにかつてなかった4話にもわたる最終回が、スタッフ連から提示されたのだ!


 『ウルトラ』シリーズでは過去に一度だけ、『ウルトラマンタロウ』(73年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20071202/p1)夏休み放映分の#17〜19、火山怪鳥バードン編において3部作が放映されたことがある。
 本作『ザ☆ウル』においても、夏休み放映分の「これがウルトラの星だ!!」にて、三部作(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090913/p1http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090914/p1http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090920/p1)が実現したことはあった。
 しかし、本作最終回はこれらを上回って4部作にもなるというのだ。


 もちろん話数の多寡をもってして、作品のクオリティはうんぬんできないことを、長じてクタビれ果ててしまった(?〜いや、年齢相応の重みがない?)オッサンとなった筆者は重々承知している。
 けれども本作放映当時、小学校高学年であって、まだまだ純朴であった筆者は、まず前話ラストの予告編で知った「ウルトラの星へ!! 第1部」というサブタイトルにて、本作最終章が4部作であることを知り、その事実にまず1回ノックアウトされてしまった。


 そして、「本当に正真正銘、我らがウルトラマンジョーニアスの故郷である200万光年彼方のウルトラの星・U40(ユーフォーティ)へと向かうのだ! ついにそこまでやってくれるのだ! そこまで映像化してくれるのだ!」とスケールの雄大さに驚いてワクワクし、そしてその荘厳さに酔わされた。


 と同時に、前作『ウルトラマンレオ』(74年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090405/p1)放映終了以来、子供心に二度と復活しないであろうと思っていた『ウルトラ』シリーズが、4年の空白を経て第3次怪獣ブームの到来とともについに復活を遂げて、今この舶来の『未知との遭遇』『スター・ウォーズ』(共に77年・日本公開78年)に、本邦のアニメ『宇宙戦艦ヤマト』(74年・77年と78年に映画化)までもが大ヒットしている宇宙SFのブームの渦中で、


 「宇宙規模でのスケール壮大な、こんな『ウルトラマン』が観たかったんだョ!」


 という、至福の喜びを与えてくれた本作、この1年間を本当に夢中で鑑賞させてくれた『ザ☆ウルトラマン』という作品が、もうすぐ最終回を迎えてしまうのだという冷酷な事実に、淋しい想いもかすかにいだいてはいたのだが……。



 そのアラスジは、もちろん最終章のサブタイトルの通りである。


 基本的には1話完結であり、1話につき1体のゲスト怪獣を倒して終わりである『ウルトラ』シリーズ。
 しかし、本作『ザ☆ウル』終盤、1年間放映の四半期最後の3ヶ月である第4クール(#40〜最終回)においては、なんとレギュラー敵が登場することとなった。


 しかも、それはこの時代のジャンル作品においては大変に珍しい、ヒーロー・ウルトラマンとは同族(!)であり、反逆者でもある宿敵・ヘラー軍団!


 夏休み放映分の3部作にて明かされたウルトラの星・U40は、その後も幾度か映像化がなされて、作品世界にヨコ方向の広がりを与えてきた。
 その夏休み3部作「これがウルトラの星だ!!」にて明かされた、元々は地球人の姿と変わらなかったというU40の人々をウルトラヒューマノイドことウルトラマンに進化させたという、物質であって物質ではない命の素(もと)・ウルトラマインド。


 その神秘の力を逆用して、ウルトラマンに変身する能力を捨てる代わりに、永遠の生命(厳密には不老長寿)を得んと願ったウルトラ人・ヘラーとその賛同者3000人は、大むかし――DVD−BOX(ボックス)(ASIN:B0012ULS3U)ライナーノーツ(解説書)の設定資料に基づくであろう記述によると1万年前?――にウルトラの星と袂(たもと)を分かって、直後に宇宙艦隊にてU40を襲撃し、ウルトラマインドを強奪して、その目的を一度は達した。
 ウルトラ軍も激戦の末にウルトラマインドをようやく奪還。ヘラー軍団は敗走したあと、暗黒星雲の彼方に強大な帝国を築いていたという。


 しかし、本作第3クールの終盤、#37「ウルトラの星U40の危機!! ウルトリアの謎?」(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100118/p1)においては、リベンジに来たヘラー軍団の宇宙艦隊によってウルトラの星・U40が占領されてしまった(!)という衝撃の事実が、地球に来たジョーの妹・アミアの口から語られた。
 ヘラー軍団もねらっているという、超古代にウルトラ人が南極大陸の地底奥深くに隠したという巨大戦闘艦ウルトリア。


 #38「ウルトラ大戦争!! 巨大戦闘艦ウルトリア出撃」(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100123/p1)において、それを探索に来て目的を果たして、ウルトリアをひとまず地球人に託してくれたアミアの両腕を取って、我らが地球防衛軍・極東ゾーン・科学警備隊のゴンドウキャップ(隊長)が、


 「いつの日かウルトラの星を奪回しましょう!」


 と力強く誓う。


 この描写をもってして、本作第4クールが地球にも押し寄せてきたヘラー軍団との攻防が基調となるであろうことが示唆され、最終回は占領されたウルトラの星を奪回するための戦いとなるであろうことが伏線としてすでに張られてはいた。


 本作最終章4部作は、マクロの次元(戦いの舞台背景)においては、その伏線の回収・係り結びでもあるワケだ。


 そしてそれはまた、ついに地球人類が、地球人自身の自前の科学力だけではなく巨大戦闘艦ウルトリアというオーバーテクノロジーの力にも頼りはするが、本来は自身たちの守護者であるハズのウルトラマンの故郷の星へと飛び立って、逆転の構図でウルトラマンの故郷を救って解放さえしてみせる……
 という、ウルトラ人自身による奪還闘争の一助・一翼どころか、地球人が主軸として活躍するという、空前にして驚天動地の日々がここに到来したのであった!


 と同時に、ミクロの次元(人間ドラマ・テーマ性)においては、


1.ウルトラマンに頼ることを潔(いさぎよ)しとはしない、ハッキリ明言はしないものの遠回しな言動から、地球は地球人自身の手によって守られねばならない、実態はともかく少なくともそう心構えていなければならないと考えている科学警備隊のゴンドウキャップの二律背反・アンビバレントな信念。


2.自身の正体がウルトラマン(との合体)であることを隠さねばならないために、


 「肝心なときに主人公隊員がいつも戦闘現場にはいない……(ウルトラマンに変身して戦っているから!)」


 という問題が、#15「君がウルトラマンだ」(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090808/p1)にて隊員間に急浮上して、それがゆえに同僚の隊員たちに誤解されたが、直前の#46「よみがえれムツミ」(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100320/p1)においても、その問題が再燃してついには爆発してしまい、科学警備隊の職場において窮地に陥(おちい)ってしまった我らが主人公・ヒカリ隊員の解決しがたき苦悩。


3.そしてそんな彼がしてみせた、「ウルトラマンとしてではなく人間として出来ること」という理念による行動が、かえって皮肉にも「彼の正体はもしかして?」という、口には出さないまでもウスウスと真相を察知しはじめてしまう(!)という紅一点ムツミ隊員と豪腕ゴンドウキャップの心情変化。そんな彼らの確証はない推理と疑念。
 その中でも、おそらく感謝と敬意の気持ちが勝るであろうとムツミ隊員の心情と、自身の信念との齟齬から複雑さの方が勝るであろうゴンドウの心情といった描き分け。


 それらのマクロとミクロの要素のアンサンブルを見事に奏(かな)でながら、本作は起伏に満ちつつもシンフォニックな大団円を迎えていくこととあいなっていくのであった……。



 地球人たちとU40最強の戦士・ウルトラマンジョーニアスを地球に釘付けにして、ウルトラの星・U40の占領を磐石(ばんじゃく)なものとするために、土星の最大の衛星タイターンに前線基地を構えていたヘラー軍団のロイガー司令率いる太陽系方面軍。


 彼らは最終決戦の腹積もりか、数百数千はあろうかという膨大な数の濃緑色の宇宙艦隊――劇中にて正式名称は呼称されないが、設定デザイン画資料に準じるならば、先端の左右に黄色い突起があるのがヘラー軍戦艦、本体と同じ濃緑色だが先端がさらに巨大な両翼のような姿をしているのがヘラー軍巡洋艦――を率いて、ついに地球に飛来してきた!


 そして、地球各国のすべての都市に猛爆を加える!
 瓦解していくビル群。大爆発の閃光に包まれる大都市群。その攻撃はまた、日本も決して例外ではなかった……


 ついに本作では、1怪獣による局所的な危機ではなく、世界規模・地球規模でのスケールの大きい危機が描かれる!


 本作にも、#44「ウルトリアが二つに割れた!?」(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100228/p1)において、ヘラー軍団が放った約10体のカプセル怪獣カペラドンが、世界各都市を蹂躙するという前例があるにはあった。
 世界各地に侵略者の魔手が同時に攻撃を仕掛けてくる危機といえば、ゴース星人が世界各都市を地底ミサイルで破壊する『ウルトラセブン』最終回前後編、力押しの破壊工作ではないが世界各地に出現したナゾの老人(ヤプール老人)が現地語で歌を唄いながら、ハーメルンの笛吹きのように子供を異次元にさらっていく『ウルトラマンエース』(72年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070430/p1)#23「逆転ゾフィ! 只今参上」(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061012/p1)というような危機が描かれた前例は、たしかに過去にも少数はある。


 だからシリーズ初の試みというワケでもないのだが、やはり連続TVシリーズの娯楽活劇作品の最終展開は、バトルものであるからには、いつもの通常編とは一味ちがう、大スケール・大バトル・大団円にしてほしいというのが人情というものであろう。
 より強大な敵の脅威に立ち向かうロマンとヒロイズム。それを勇壮に盛り上げていって頂点にて高らかにシメて、よく出来た楽曲のように酔わせてほしいものなのである。


 (#44評でも主張したことの繰り返しになるが、ホントウにリアルに考えるならば、当事者たちにとっては生命の危機に関わる、あるいは多くの死傷者も出ている深刻な事態なのだから、不謹慎この上ない見方だともいえるのだが、物語の鑑賞とはそーいう見世物・野次馬的なものであるのも否めない・汗)


 実はその数日前、我らが主人公、科学警備隊のヒカリ超一郎隊員は、ウルトラマンと合体していることによる超知覚ゆえであろうか(本作では珍しい描写だが)、土星からヘラー軍団の大艦隊が出撃して地球めざして侵攻してくるという悪夢にうなされていた。
 彼は気になって、寝巻き姿に地球防衛軍のエリのある濃紺色の軍服調のコートをまとって、深夜に灯りを落とした科学警備隊の司令室の巨大モニターに、土星の映像を写し出す。


 本作放映時の1979年9月にパイオニア11号が土星に最接近した記憶が、当時の視聴者にも生々しいころのことである。


ヒカリ「ベツに……、何も異常はない」


 そこに偶然(?)、うしろからゴンドウキャップが濃紺色の軍服コートに袖を通さずに腕組みしているいつもの姿でやってくる。


ゴンドウ「なんだ、ヒカリか。こんな夜更けに何をしているんだ」


 ゴンドウの野太い声が響く。


ヒカリ「(左手を頭をかくかのように添えながら)あ、あぁ、その。眠れないもんですから。気晴らしにイジっていたのです」


ゴンドウ「(モニター画像を横目で一瞥(いちべつ)して)それは土星か?」


ヒカリ「(スイッチを切って退出しようとしながら)ええ。もう寝ます」


ゴンドウ「(横を通り過ぎるヒカリに)待て!」


ヒカリ「な、何か?」


ゴンドウ「ヒカリ、おまえ……」


ヒカリ「(緊張)」


ゴンドウ「い、いや、何でもない。(宙を見上げて)早く寝ろ!」


ナレーション「ゴンドウキャップは、しばらく前から、ヒカリの行動を注意するようになっていた。もちろんそれは、何の確証もない、かすかな疑問にすぎなかった」


 直前の#46「よみがえれムツミ」にて、トベ隊員があくまで冗談でたわむれに作った、地球上で使用されていない周波数の電波を使ってウルトラマンと交信しようとした通信機。
 それは失敗に終わったが(?)、怪獣の実態を高空で目撃するも撃墜されて重傷を負ったムツミ隊員の枕元に、ヒカリ隊員はそれを置いていた。
 ウルトラマンに頼ることをよしとしないゴンドウキャップはもちろんそのような依存心を否定し、通信機も没収していたが、ヒカリの不可解な行動とウルトラマンの行動との関連に、確証はなくとも三段論法で一縷(いちる)の可能性を察知したことが、セリフでも語られずナレーションでも語られなかったが、無言の表情と演技で描かれていた。
 本話冒頭におけるゴンドウの描写は、明らかにその前話ラストの描写を引き継いだものなのだ。


 自室でまだ眠れないのか、サンドストーム状態の深夜TVを付けながら、ヒカリは自身と合体しているウルトラマンジョーニアスに内心で語りかける。


ヒカリ「ジョーニアス、どうして土星が気になるのでしょう?(以下略)」


ジョーニアス「その通りだ、ヒカリ。私も感じる」


ヒカリ「ヘラー軍団の基地はもしかして土星に」


ジョーニアス「かもしれない」


 そして、先に記述した数日後の地球各都市への猛爆シーンへとつながり、巨大戦闘艦ウルトリアを駆る科学警備隊とヘラー大艦隊との空中での大激戦も描かれる。


 一時、撤退していくヘラー艦隊。
 と、そのうちの一艘のヘラー軍戦艦が、艦腹から煤煙をあげて艦列を離れて、静かに墜落しはじめた。
 山腹に不時着した戦艦に、ゴンドウは即座に機転を働かせて地球防衛軍陸上部隊を差し向け包囲させ、自身たちもそこへ向かう。


 すると、艦内からヘラー軍団のいつもの甲冑(かっちゅう)を着た兵士たちが爆弾を持って駆け出してきた!
 事前にゴンドウの「決してひとりも殺すな!(捕虜にして内情を聞きだせという意味か)」との命令を聞いてでもいたのか、陸上部隊に近接、追いかけて次々と今で云う自爆テロ攻撃を敢行していく!
 被害者としての役回りではないものの、往年のジャンル作品ではたまに散見される、いわゆる人間爆弾だ。


 一連の騒動のあとに、ヘラー軍団の甲冑を着た最後のひとりがよろよろと艦内から出てくる。
 ヒカリ隊員たちが銃口を向ける! しかし目敏いゴンドウキャップは何かを察知したのか「待て!」と制止する。


 前のめりに倒れる甲冑兵士の後頭部からは、見覚えのあるまばゆい金髪の長髪がこぼれている。


トベ隊員「あ、あの子は!?」


 はらりと取れた面から、気絶してはいるものの顔が明らかになる。


マルメ隊員「そうだ、俺たちにウルトリアをくれたアミアだ!」


ヒカリ隊員「(うなずいて安堵)」


 極東ゾーン基地で、桜田長官と面会するアミア。


桜田長官「(歓迎して)まったくウルトラ人のアナタとお会いできるとは、夢にも思いませんでした」


 本作の第2のヒロインとなるほどの存在感を示したキャラクター。我らがヒーロー・ウルトラマンジョーニアスの妹にして、初登場では可憐であってもイタズラっぽくコケティッシュでもあった、古代ギリシャ風のミニスカ・右肩出しの貫衣をまとった金髪長髪ヘアバンドの美少女・アミア。
 「これがウルトラの星だ!!」3部作においては、一度は死亡するも蘇生処置を受けるためにウルトラの星に召喚されたヒカリ隊員と、束の間の逢瀬を楽しみ、その記憶は恋慕(れんぼ)へと変わって、#31「ウルトラの女戦士」(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20091129/p1)では禁忌(きんき)を犯して、ヒカリ隊員に逢うがため地球に来訪してしまい、#37〜38では使命を帯びてウルトラの星の危機とウルトリアの存在を告知しに来たアミアがまたも再登場を果たしたのだ。
 (以降、最終回まで活躍をつづける……)


 ウルトラマンにも変身できる超越した存在でもある彼女が再登場することは、本話のサブタイトルや前話の予告編映像でわかってはいるものの、ヒーローに準じる存在にしてヒロインでもあるゲスト(イレギュラー)の彼女が再登場するというイベント編で、しかも宇宙規模の大きなスケールの戦いを予告するために来たことで、やはり少年の日の筆者はワクワクしたものだ。


 アミアは、今回の地球各都市への猛爆は第一陣・前触れにすぎず、ヘラー軍団の後続部隊がさらに来訪することを警告する。
 そして、いかに強力といえどもウルトリア1艦だけでは地球全土の防衛はかなわないから、敵の太陽系前線基地にまでウルトリア自身で赴いてこれを直接攻撃して全滅させることを、伏し目がちにお願いする。


 それらの危機と敵基地撃滅の攻略方法を伝えんがために、敵の基地に忍び込み、第一陣の戦艦にまぎれこんで、動力炉を破壊することで、地球に来ることが可能になったのだと……。
 (ちなみに、ここでは遠慮をしてか、最終目的であるウルトラの星の奪回作戦までは語っていない)


 敵の前線基地がどこにあるのかを聞くゴンドウ。


アミア「土星です。正確には、土星の衛星・タイターンです」


 またもヒカリの不可解な行動との符合に内心驚くゴンドウ。そしておなじく驚いているヒカリ隊員。


 前話終盤につづく再度の符合は、今度はムツミ隊員ではなく、ゴンドウにおける内心の確信の高まりを助長して、かつ今後における展開の伏線の念押し・強化をも新たに果たしており、ここでも作劇はていねいに布石を打っていく。


 今や日本だけでなく、世界の守りとなった巨大戦闘艦ウルトリア。その処遇は極東ゾーンの一存だけでは決められないと、ただちに世界防衛軍会議を桜田長官は決定した。
 たしかに、そのような世界規模の危機に、日本だけでなく地球の守りにまで昇華したウルトリアの処遇を、世界規模の会議にかけるというのもさもありなん。虚構内での一応のリアリティというものである。


 高まった緊張感・不穏感は一転。弛緩(しかん)したシーンも描かれる。
 アミアは、ムツミとマルメ、科学警備隊のロボット・ピグとウルトリア備え付けのロボット・ウルック1号に招待されて、厚い絨毯(じゅうたん)が敷かれて豪華なベッドもしつらえられた暖かい色調の部屋へと案内される。


マルメ隊員「明日は世界中の防衛軍の首脳が集まってくる。きっとうまく行くよ」


 時に短気でイジワル役を務めるも、基本的にはコミカルメーカーであるデブのマルメ隊員が、アミアを明るく励ます。


 なぜかロボットのくせに気を利かして、寝付けのワインや、懐かしの70年代ぽいラジカセ(ラジオカセットレコーダー)での音楽を勧める、あまりに人間クサい(笑)ピグとウルックに、「おまえらは引っ込んでろ」と直接マッサージまでをも申し出るマルメ隊員とで、サービス合戦のいがみ合いをはじめるコミカルシーンにてホッと一息。


 しかし、ドラマはミクロの心情の次元でもつづいていく。
 ゴンドウは深夜、ヒカリの個室をたずねる
 (矢も盾もたまらず……というほどではないにしても、つい来てしまったということか)。


ゴンドウ「ヒカリ、俺だ。開けろ。(ドアを遠慮なくノックする) ヒカリ、聞きたいことがあるんだ。ヒカリ、開けてくれ。寝たのか?」


 ドアの鍵はかかっておらず、開くことができた。しかし、室内にはヒカリの姿はなかった……。


 もちろんこの早い段階にて、真相が明かされてしまうようなお安い作劇であるハズもなく、またも結論は先送りになることで、ヒイてジラして盛り上げる手法がここでは取られている。
 (アミアが来訪した日に、ヒカリが自室にいないということ自体も、また新たな疑念をいだかせる伏線ともなるのだし)


 ヒカリは極東ゾーン基地近辺の森林内の、星明りを反射してキラめく湖のほとりに来て、腰を下ろしていた。
 ロマンチックな舞台立てにふさわしく、そこにウルトラ人が持つ超能力であるテレポーテーション(瞬間移動)を用いて、アミアが出現した。


ヒカリ「(立ち上がって笑顔になって)アミア」


アミア「ヒカリ……、逢いたかった!」 


 躊躇なく駆け寄っていって、両腕をヒカリの背にまわして抱きつくアミア。
 ヘタにハナにつくキャラであったりするとイヤミになりかねないし、特に実写作品の場合だとキャスティングによってはその懸念もいっそう高まるが、アニメでもありアミアが天真爛漫なキャラであるせいもあろう、そのような危惧は無用なものともなっている。
 オトナになってから視聴すると、ちょっとイイ感じの恋人未満の男女描写ですらなく、互いに好きあう既定の恋人同士のふるまいではあるが。
 (まぁべつにムツミ隊員と多少イイ感じになったことはあっても、明らかな恋人同士の関係でもないのだから、浮気というワケでもないのは念のため)


 ここで、先の「これがウルトラの星だ!!」においても、ウルトラの星の自然豊かな木々にあふれる大地と、川を小船で進むシーンに、アミアのかわいらしいはしゃぎっぷりも印象に残るシーンにて使用された「交響詩 ザ★ウルトラマン 第三楽章 アミア」(ASIN:B000H30GT0)の楽曲も流れ出し……


 湖畔に座り直したヒカリは、ウルトラの星・U40のウルトラ戦士、エレクとロト、そして大賢者の安否をたずね、アミアはU40を取り戻すためにタイターン攻略が必要であり、その作戦はエレクが立案したことを語る。
 そして地球防衛軍によるウルトリアの協力が得られなかった場合には、生き残りのウルトラ艦隊独力だけでもタイターンに進撃すると。そして自分も攻撃に参加するのだと。
 世界防衛軍会議によるウルトリア参戦の可否の決定を危(あや)ぶむアミアに、ヒカリはマルメと同様に「大丈夫さ」となぐさめる。


 「ありがとう、ヒカリ」


 とヒカリの肩にしなだれかかるアミア。


 このへんは、湖面に星明かりが波めいて、絵コンテ担当者のナチュラルな色艶(いろつや)あるアミアへの芝居付けの勝利だろう。


 翌日、ヘリコプターや高級車で、世界各国の高官たちが極東ゾーン基地に集まってくる。それを待ち構えて、マスコミの記者たちも陣取っている。
 しかし、会議は不調に進む。ゴンドウはウルトリア自体をウルトラ人から預かった恩があると主張するも、高官たちはウルトリアが地球防衛の任から離れることを危惧するためだ。


 ここらへんの高官たちの言動も一理はあって、条件付きでごもっともなのだが、劇中にては無理解な悪役の官僚としてのみ描かれるに留まる。
 短い尺数でメリハリを付けるためにはコレでもよいとは思う。
 けれども、『ウルトラマンレオ』にイレギュラーで登場した防衛組織・MAC(マック)の高倉長官(演:神田隆)のごとく、当初は無理解な上官として登場しても、娘の婚約者に化けた宇宙人が登場する#36「飛べ! レオ兄弟 宇宙基地を救え!」にて傷心の娘を心配する人間性を表出し、#39「レオ兄弟ウルトラ兄弟 勝利の時」では接近するナゾの星(実はM78星雲のウルトラの星)を破壊するミサイル発射を命令する際の、「私もあの星がウルトラの星ではないことを祈っているんだ」との善人性をも現わすような多面的な描写なども、少し観てみたかった気もするが。


 会議の不調に業を煮やしたゴンドウキャップは、桜田長官にあとを任せて途中で退席。
 司令室の巨大モニターに土星の映像を写す。
 そこにムツミ隊員がやってくる。会議の不調を聞いたあとで、


ムツミ「でも敵の基地がこんなところにあったなんて、夢にも思いませんでしたね」


ゴンドウ「(冷たく)ヒカリを除いてはな」


ムツミ「(UP映像で。心当たりのある彼女はことさらに両眼も見開いて)エッ?」


ゴンドウ「このあいだヒカリが、ここで土星を見ていた」


ムツミ「(驚きのまま)なんですって。ホントウですか?」


ゴンドウ「あぁ」


ムツミ「それはいったい」


ゴンドウ「ただ、それだけのことだ」


ムルミ「(胸に手を当てて、息せききって)わたし、前から思っていることがあるんです。ヒカリ隊員のことで。
 (畳み掛けるように)マルメ隊員がよく云うでしょ。アイツは肝心なときにいなくなるって」


ゴンドウ「(首だけ少し振り向いて)云うな!!」


ムツミ「(ハッとした顔になり口に手を当てる)」


ゴンドウ「何を思っているか知らんが、それは胸にしまっておけ。(振り返ってムツミに正面から対峙して)俺もそうしているんだ」。


 ゴンドウキャップとムツミ隊員の複雑な表情の顔のズームUPが続く……
 ゴンドウだって、本話で二度ほどヒカリ隊員に直接質問しようとしたのに(もちろん果たせなかったが)、ムツミ隊員の疑問を封じる資格があるのか? というツッコミも可能だが、豪胆なゴンドウといえども心が揺れてあらぬ行動を取ってしまうこともあるのだろう。
 もちろんヒカリの正体をハッキリと知ってしまうことは、隊員たちがヒカリ(ウルトラマン)という存在に心のドコかで依存しかねないことにもなりかねず、油断とスキが生じてしまって、本来は全力を尽くすべき戦闘においては支障が生じかねない危険なことでもある。
 ゴンドウはこの時点で、真相がどうであろうとそれにふれないことに決めて、腰が座ったともいえよう。


 そこに警戒ブザーが鳴り響く。ヘラー軍団の大艦隊がまた接近してきたのだ!


 自分も行く、タイターン基地にまた忍びこみたいの、と云うアミアを制して、ヒカリ隊員も出動する。
 そして、巨大戦闘艦ウルトリアは、おなじみのクラシカルな流用曲とともに、極東ゾーン基地から発進した!


 なお、ウルトリア発進の際に毎回かかるクラシカル曲は、ネット上の各所を巡回したところを総合すると、某SF映画のBGMの一部を流用して、別の楽曲とも編集して合成(!)してしまっているらしいとのことだ。
 (もちろんお恥ずかしながら、筆者は元楽曲を発掘調査して、ウラ付けを取ったワケではないので、断言は避けておく)
 日本におけるJASRACジャスラック日本音楽著作権協会)の取り決めによると、基本的にはTV放映においては、同団体への個別の著作権料の支払いは不要である(年に1回まとめて個々の内訳の楽曲を詳細にする必要はなしに、相応額の支払いをTV局は行なっている)。
 ただしビデオソフト化に際しては、同団体を経由して個々の楽曲の作詞家・作曲家・歌手への支払いは発生する。
 とはいえ、海外作品の扱いについては、詳(つまび)らかではない。場合によっては、著作権料のみならず、流用自体の承諾を得る必要があったりするとややこしいことになる。
 79年当時は家庭用ビデオはすでに存在するも高値の華で、ビデオソフトなどもほぼ絶無であった時代である。
 このへんの配慮を、当時の選曲スタッフはまったくしていなかったことであろう。 
 よって、数は極少であろうこの記事を読まれた読者も、事を荒げて最悪の場合に本作が封印されてしまうことがないように、ネット上の各所にて知ったかぶったりして、寝た子を起こさないようにしましょうネ。
 ……ってだったら、おまえもこの話題について何も書くなってか?(汗)


 一挙に重力圏を脱して、ウルトリアは宇宙にて敵艦隊を迎え撃つ!
 大艦隊を前に、ゴンドウはトベ隊員にウルトリアβ(ベータ)の操艦を命じて、2体に分離して立体的な戦闘を試みる!
 本作では、ほとんど動画で動いたことがない静止画のみのウルトリアであったが(文句やケチじゃないよ。巨大戦艦だからあまり軽々しく動かされても……)、ここでは珍しく旋回するウルトリアも描かれる。


 痛撃されたヘラー艦隊は、小型戦闘機を次々と繰り出す!
 対するウルトリアからは、小型戦闘機バーディの宇宙航行型、スペースバーディ3機をトベ・マルメ・ヒカリに繰り出させる!
 しかしゴンドウは的確にも大局を見て、戦闘機よりも戦艦を攻撃せよと命じる。


 過去の『ウルトラ』シリーズにおいても、『帰ってきたウルトラマン』(71年)のシリーズ中盤から登場する戦闘機・スペースアローに、『ウルトラマンエース』(72年)のタックスペースなど、「宇宙」を意味する英語である「スペース」の名を冠した宇宙航行が可能な戦闘機が登場してきた。
 それらを踏襲してか、本作終盤に至って初登場を果たした、バーディの両翼を短くして、シャープにした感のあるスペースバーディ!
 正直、枯れたオッサンである筆者的には、もうこのへんには必ずしも現在ワクワクしないのだが(30年前の感激の記憶が明瞭にすぎて、新鮮な気持ちで視聴できないせいかもしらんけど・笑)、放映当時の感慨であると断りを入れるのならば、胸が躍ったものであった。


 スペースバーディのコクピットのUPシーンで、人物のセル画の上から、手前の風防キャノピーガラスの右側の格子をセル画にてかぶせるつもりであったか、しかしてそれが欠けてしまっているミスについては、少し残念ではあるも……
 (一瞬、元から片側にだけ格子がない機体であったかのように錯覚してしまう・笑)。


 ウルトリアがタイターン基地攻略に参加できなくとも、タイターン基地に戻って、ウルトラ軍の生き残りたちと戦列をともにする決意をひそかに固めていたアミアは、テレポーテーションでウルトリア艦内に忍び込む。
 さらにはヒカリ隊員が操縦するスペースバーディを経由して、ヘラー軍の旗艦に忍びこもうとしていた。


 大のオトナはともかく(原・オタク族でもあるSFマニアなどの精神年齢が“大きなお友だち”(笑)も除く)、子供たちの眼を引く、ヒーローなり神に近い超人類たちによる特殊能力の設定。
 それ(ここではテレポーテーション)すらをも活かして、ドラマ&アクションにも見せ場を作っていくあたりが、イイ意味での元祖オタク的・SF的感性を根底に持つ吉川惣司脚本の醍醐味でもあろう。


 ヒカリ隊員の操縦席背後に出現したアミア(変身後)を、通信にて目撃したゴンドウは、当然のことながら驚きつつも、またも訝(いぶか)しんだにちがいない。


 敵の旗艦にテレポートしたアミアを追って、強制着艦したヒカリ隊員は、ヘラー軍団の兵士たちに捕らえられる。


 トベとマルメの活躍で、残るは旗艦だけとなった。
 最後の攻撃を敢行しようとするも、ゴンドウに「アレにはヒカリとムツミが乗ってるぞ!」と攻撃中止・撤退を命令する!
 ヒカリとアミアの救出方法を尋ねられて、「ない……」とだけつぶやくゴンドウキャップ。「そんなムチャな!」と抗議するマルメ隊員の通信を、ゴンドウは打ち切ってしまう。


ゴンドウ「(内心の声)もし俺の勘が当たっていれば、彼らは自力で脱出できる……」


 果たせるかな、ゴンドウの予感は的中。ヒカリ隊員はカプセル内で冷凍されそうになるや、ウルトラマンに変身して巨大化!
 アミアを救出して、戦艦を中からブチ破って離脱する!


 その瞬間のチャンスを逃さず、ゴンドウは「今だ!」と命令する。ウルトラマンは必殺ワザ・プラニウム光線を光球にして放って、トベとマルメのスペースバーディも機銃を連射する同時攻撃で、敵の旗艦は大爆発を起こして宇宙の藻屑と消えたのであった……。



 #42「ウルトラマン生けどり作戦」(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100217/p1)につづいて、怪獣すらもが登場しなくて、敵の宇宙艦隊との激戦に終始しており、しかもそれがキバってみせたパターン破りといった風情ですらなく、ナチュラルに流れていくのだが、個人的にはこの展開に放映当時から不満はない。
 しかしコレも#42評でも語った通り、児童はともかく幼児にはビミョーな感慨をいだかせる可能性もあるのだが、視聴を打ち切ってしまうほどのタイクツさや難解さをもたらすものとも思えないし、次回にはシッカリと強敵大怪獣も登場するのだから、純粋に幼児向け子供番組としての観点から見た場合でも、許容範囲のうちかと思う。
 (そのまた次回に、怪獣がまたまた登場しない回があることは、“小さなお友だち”にはナイショだョ・笑)



 ラスト、通信にて世界防衛軍会議(最高会議)での決定が、桜田長官から正式に伝達される。
 雲行きは怪しく描写されてきたが、やはりそれが覆(くつがえ)ることはなく、ウルトリアによるタイターン基地攻略の参戦が否決されたのだ!


ゴンドウ「(うつむいて静かに)そうですか……


 (見上げて)実はこちらも決めたところです。防衛軍の決定に関わらず、我々はタイターン基地に向かうとね」


 毅然(きぜん)として云い放つゴンドウ!


ゴンドウ「メインエンジン、オン! フルパワー発進! 目標、タイターン基地!」


隊員たち「ひょっほう〜、ヤッタ〜〜!」


 安堵するアミアとヒカリの姿も……。


 モニターの向こうで、「何を云う!」「勝手なマネは許さん!」「君を解任する!」と息巻く高官たち。
 一瞬唖然とするも「仕方ないヤツだな」とばかりに、ひそかにほほえんでいる桜田長官にカメラがズームUPしていくのもチャーミング!


ゴンドウ「全速、前進!!」


 当時大流行の『スター・ウォーズ』に登場して絶大なインパクトを残した二等辺三角形(紙飛行機型)の巨大敵戦艦スター・デストロイアーが前進する様を、ディテール細かい艦底から捉えて写した映像を模したかのように、宇宙の大海原をウルトリアが進んでいく!
 勇ましい科学警備隊のBGMも響き出す!


ナレーション「ついに、ウルトリアは進撃を開始した。めざすは、ヘラー軍団の地球攻撃拠点・タイターン基地。
 果たして、彼らの前途に待ち受けているものは、なんであろう!?」



 最終決戦に向けて、胸が高鳴る盛り上がりをもたらす、本話の勇ましいラストシーン。


 オトナになってからは、童心(?)に返って純粋に本編を楽しみつつも、一方では複眼的にも視聴してしまって、ラストはシビリアンコントロール文民統制を逸脱した、近代的な軍事組織にあるまじき日中戦争時の関東軍のような暴走だ! とのツッコミもできないことはない(笑)。


 宇宙のどこかに危機があり、救いを求めているから、安逸をむさぼる怠惰な民による非情な決定を無視して、紛争地帯へと歩を進める。
 ロートルのオッサンとして思いついたところを挙げると、往年のアニメ映画『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』(78年)冒頭なども、これに当てはまることだろう。


 もちろん近代的な政治的リアリズムで鑑賞する類いの作品ではなく、任侠映画・ヤクザ映画などとも同様、義理人情の方を優先する世界観の中で登場人物たちは闊歩して、作り手たちもそのように作っているのだと考えれば、目くじらを立てるほどのものでもないだろう。
 (この問題を回避するには、近代的な軍事組織に所属するヒーローではなく、それらの現実的なしがらみに縛られずに、登場人物たち自身が自身の価値判断でのみ物事を決定できて、しかも後腐れがない宇宙海賊なり、腕が無限(?)に伸びるゴム人間の海賊たち――週刊少年ジャンプ連載の『ワンピース』のことですョ、念のため――が活躍するような舞台設定・基本設定にするしかもうナイとも思うのだ・笑)


 いや、ヘリクツオタクとして、机上の空理空論を展開させてもらえば、文民や市民の方が愚劣であったり好戦的であった場合に、シビリアンコントロールもドーなんだ!?
 ここ10年でもアメリカのアフガン戦争・イラク戦争で、現時点ではともかくアメリカ人一般が戦争支持一色であったことは記憶に新しいところだ。
 アレが単に政府やマスコミに騙されていただけの、根は善良で子羊のような人々であったとは筆者には到底思えない。
 真に腰が座った平和主義者であるならば、為政者やマスコミが煽ろうが、そんなことで好戦的な方向に揺れ動くとは思えないからだ(笑)。


 一方の平和主義にも、イギリス首相チェンバレンナチスドイツに対して取った宥和(ゆうわ)政策が、かえってナチスに余力を与えてその間に軍備を増強することを許して、のちの災厄を大きくしたという歴史的評価もある。


 90年代以降においても、ナチス瓦解後は軍事的なものにナーバスであったドイツが、コソボ紛争に国連なりNATO(ナトー)主体のPKO(平和維持活動)参加を決めるにあたって、絶対平和主義的にふるまうべきなのか? それとも民族浄化を見て見ぬフリすることが人道的なのか? ということが議論されてきた。
 19世紀〜20世紀前半の帝国主義の時代、20世紀中後盤の東西二大国による冷戦時代からも、“戦争”観はホントウに遠くへ来たものだ(汗)。
 もちろん空爆を行なって、それが誤爆で無辜(むこ)の民が死傷した場合にはドーなのか? という次なるステージの各論問題も浮上しはするのだが……。


 ……などというようなウンチク芸に脱線するのもアリなのだろうし、個人的にはそーいう容易に正解が出ない、双方に理がある議論も大スキではある。
 だが、本作のような基本はエンターテイメント作品をサカナにそこまで論じるのも、あまりに重たい生死に関わる厳しい現実に対して、やはり不謹慎であるとのそしりは免れないとも思う。
 何よりヤボでもあろうし、それはもう作品批評ではない別の次元での議論だろう。


 ここではやはり、強大な悪に立ち向かうヒロイズム、弱者を守り、恩人に報いるために戦うロマンに、少年の日のようにスナオにひたりたいと思う。



◎本話の絵コンテ担当は、有名なところでは『宇宙戦艦ヤマト』シリーズ(74年)などあまたのロボットアニメや一般アニメにも多数参加してきた白土武(しらと・たけし)氏。
 『ヤマト』シリーズ最新作『宇宙戦艦ヤマト復活編』(09年)にも参加している現役の大ベテラン。
 本来は作画監督や演出なども手懸ける才人だが、本作では#29「悪魔のUFO大襲来」(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20091115/p1)以来、5本もの絵コンテをものしてきた。


 本話の“作画”の筆頭名義は、タイガープロダクションとなっているが、これは白土武が主宰する作画スタジオ。


 また、白土が絵コンテを担当した5本中の4本は、各話演出を又野弘道氏が担当している(本話でも担当)。
 この方もあまたのアニメ作品に関わってきて、2010年現在でもいまだに現役の方であるようだ(汗)。
 (ネット上のフリー百科事典のリストなどを参照すると、本作がデビュー作?)

 

(了)


[関連記事] 〜ジョーの妹・アミア登場編

ザ☆ウルトラマン#20「これがウルトラの星だ!! 第2部」

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ザ☆ウルトラマン#21「これがウルトラの星だ!! 第3部」

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ザ☆ウルトラマン#31「ウルトラの女戦士」

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ザ☆ウルトラマン#37「ウルトラの星U40の危機!! ウルトリアの謎?」

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[関連記事] 〜ウルトラシリーズ最終回評

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『ザ☆ウルトラマン』全話評 〜全記事見出し一覧

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