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ウルトラマンエース22話「復讐鬼ヤプール」 〜ブラックサタン!


「ウルトラマンエース」総論
「ウルトラマンA 再評価・全話評!」 〜全記事見出し一覧


(脚本・上原正三 監督・山際永三 特殊技術・川北紘一
ファミリー劇場ウルトラマンA』放映・連動連載!)
(文・久保達也)
 TAC基地の発電所に潜入して爆弾を仕掛けた銀星人・宇宙仮面がバイクで逃走。
 追跡中の山中隊員と美川のり子隊員が運転する車両タックパンサーは、宇宙仮面の念動力でガードレールを突き破って崖下に転落してしまった!
 車外に投げ出されてあわやと思われた美川隊員は、謎の彫刻家の青年・坂井に助けられる。だがその坂井こそ実は銀色のスーツを身にまとった怪人・宇宙仮面であった……


 あの『ウルトラセブン』幻の欠番第12話『遊星より愛をこめて』や次々作『ウルトラマンレオ』第36話『飛べ! レオ兄弟 宇宙基地を救え!』も愛した人が実は侵略者であった、というネタであったから決して目新しくはない。
 が、第3話『燃えろ! 超獣地獄』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060521/p1)や第9話『超獣10万匹! 奇襲計画』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060708/p1)、そして第18話『鳩を返せ!』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060907/p1)に続いて(関連施設を含むなら第8話『太陽の命 エースの命』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060624/p1)や第11話『超獣は10人の女?』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060731/p1)を含んでもいいだろう)執拗にTAC基地を直接攻撃しようとする手段は、それまでのウルトラシリーズを振り返ると各最終回に登場した侵略者くらいしかできなかった大胆不敵な行動であり、ヤプールの侵略計画の緻密さと戦闘能力の高さがうかがい知れるというものだ。


 坂井からのプレゼントとして美川に渡された可愛い犬の玩具(Aパートのラストでアップになり、犬の目の中に高笑いをする宇宙仮面が映し出され、そのままアイキャッチにつながる演出が絶品!)までもが攻撃兵器に仕立てあげられていて、対超獣戦の最中にもTAC作戦室内で危機をもたらすあたりが実に見事である。


 冒頭で北斗は謎の飛行物体を発見・撃墜しながらもただの隕石だと判断したことで民間人の被害者(宇宙仮面に殺害された)を出すことになり、


 「どんなときでも冷静沈着な行動をとれ!」


 と例によって山中に叱られるが、その山中も大事故に巻き込まれた美川が死んだものだと思い込み、オロオロしてしまう様子が実にオカシイ。
 美川は坂井によって病院にかつぎこまれ、山中は竜隊長に


 「おまえは十分な応急処置を怠ったんだ!」


 と叱られるが、そんな山中を


 「山中隊員になんの責任もありません。あんな大事故だったんですもの」


 と美川はかばう。ホントにいつもやさしいんだから(笑)。


 坂井は幼稚園の中庭で子供たちに頼まれて4メートル近い超獣の巨大なハリボテを作り上げる。たまたま通りかかった北斗がそれを手伝うが、坂井の左腕のブレスレットが宇宙仮面のそれと同一のものであることを発見する。
 北斗は本部でそれを報告するが、


 「腕輪はアクセサリーなのよ。誰だってやってるわ」


 と坂井を愛してしまったがために信じられずに必死でかばい、梶研究員が造った坂井の正体を確かめるための計器が仕組まれたペンダントを彼の首にかける役目を、


 「これで坂井さんの潔白が証明できるのなら」


 と自ら買って出る美川がなんともいじらしい。もしものときにと超小型銃を手渡そうとする山中の配慮に


 「ありがとう。でも、武器は必要ありません」


 と断るくらいなのだ。
 しかし計器は異常を示す。駆けつけるTAC隊員たち。幼稚園の中庭に美川の絶叫が響き渡る!


 「坂井さん、わたしはあなたを信じたい! いえ、信じています! みんなの前で潔白を証明して下さい!」


 だが美川の願いもむなしく、坂井はTACと子供たちの前で宇宙仮面の正体を現し、ハリボテは巨大化して凶悪超獣ブラックサタンとなって暴れ回る! 


 正直最初からアヤシイとしかいいようのない描き方をされている坂井を最後まで信じようとしたものの、結局は自らの手で射殺せざるを得なかった美川隊員の美しさ(容姿ばかりでなく)は筆舌に尽くしがたい。
 彼女が幼稚園で白い浴衣(ゆかた)姿と白いミニのワンピース姿を披露してくれている(ミニスカ姿で新型銃を構える姿があまりに色っぽい・ハートマーク)だけで、筆者的には『A』中五本の指に入る名作だと考える(笑)。


 少なくとも同様に愛した者が実は侵略者であり、自身も危ない目にあったにもかかわらず、何の根拠もなく「地球人も他の星の人も同じように信じあえる日がくる」などと被害者の女性の脳天気なセリフで強引にハッピーエンドにもっていってしまう『セブン』第12話よりは、悲しみにくれる美川の背中をそっと夕子が抱いて基地に帰還するラストシーンを描いたこちらの方が上だと思うのだが……
 (『レオ』第36話『飛べ! レオ兄弟 宇宙基地を救え!』アトランタ星人編もまた埋もれた大名作なのだが、そちらはまた後日『レオ』全話評にて)


 なおブラックサタンは指先からの連続ミサイル攻撃に口からの発火性ガス、しっぽの先がミサイル(赤い噴煙も曳きながら!)となったり目から怪光線など、ヤプール最後の切り札であるだけに武器も多彩で都市を徹底的に破壊し尽くし、エースを大いに苦しめる。
 エースの頭に民家をかぶせてその上から徹底的に殴りつけたりするが、対するエースもお返しとばかりにブラックサタンに石油タンクをかぶせ(笑)、胸中央のカラータイマーから天空に向かって稲妻を発して(!)敵を雷撃するタイマーボルト(旧名ウルトラサンダー)でブラックサタンを炎上させる。それでも足らずにメタリウム光線でブラックサタンは木っ端微塵!


 悲恋物語もTACと宇宙仮面との一進一退つるべ打ち連発の攻防戦も特撮シーンも大いに充実し、やはり五本の指に入る名作ではなかろうか。



<こだわりコーナー>
*好ましい異性(坂井)に対する美川隊員のあまりに輝かしい笑顔が……
*玩具の犬の名前はブーア。
*本編部分で使用されるブラックサタンの4メートル近いハリボテとその完成体。金かけてるよなあ。
*坂井の正体を探るためのペンダントには、細胞体や血液型、体温などを測定する機械が仕込まれている。その結果を電波でTAC基地まで送信するのだ。坂井の身体は特殊金属と合成樹脂でできていた!


ヤプールの使者・宇宙仮面が化けた青年彫刻家・坂井を演じたのは富川徹夫。
 同時期放映の『超人バロム・1(ワン)』(72年)第28話『魔人クビゲルゲが窓からのぞく!!』ではドルゲ石で首飾りを作らせるために女性をさらう影小路(かげこうじ・このネーミングがたまらん・笑)を演じ、ここでも女性をだまくらかしていた(笑)。
 それにしてもロングヘアに当時の演歌歌手・藤正樹が着用していた紫色の学生服のような格好、腕のブレスレットとあまりに胡散(うさん)臭さプンプンのファッションもこの人にはナゼかとてもよく似合っている(ホメ言葉です・笑)。


*冒頭で戦闘機・タックアローで夜間パトロール中の夕子は、同乗の北斗のセリフ「星が綺麗だなあ」に対し、「星司さんがそんなこと云うなんて意外だわ。だってデートに誘ってくれたことなんか一度もないじゃない」と不満を漏らしており、彼女の方は北斗に対して結構好意を寄せていたようである。まあそういうことに対して北斗は見るからに鈍感そうだから。
 対する北斗の返事は……「仕事が忙しいからなあ」。女性にそんな返答しちゃ駄目だろう(笑)。


*坂井の念力で幼稚園の脚立(きゃたつ)から落下、足を負傷して本部に残された北斗は犬の玩具から攻撃を受け、TACガンでこれを撃退! 梶の制止を振り切ってタックアローで勇敢に出撃していくが、ここで絶妙なタイミングでカッコよく主題歌が挿入されて盛り上がる! 初めて劇中で主題歌が使用されたのだが、主役の活躍をかっこよく描くにはこれ以上ふさわしい曲はないのだ!
 なかなか燃えさせてくれる名場面であるが、これによく似たシークエンスが『帰ってきたウルトラマン』第18話『ウルトラセブン参上!』で描かれている。郷が立ち寄った喫茶店(店員役はTACの今野隊員を演じる山本正明)で突然ガスコンロの火が一斉に消える。ガス源をエネルギーとする宇宙大怪獣ベムスター出現の予兆を察知した郷は喫茶店を飛び出し、特殊車両マットビハイクルで急行するのだ! この場面では主題歌のテレビサイズカラオケがフルコーラスで流れ、カッコ良さを助長していた!
 なお『ウルトラマン』では主題歌は劇中一度も流れていない(トホ……)。対して『ウルトラセブン』では第1話『姿なき挑戦者』で早速宇宙狩人(ハンター)クール星人の宇宙船を宇宙空間に運び込んでエメリウム光線を浴びせる場面に主題歌を使用。第40話『セブン暗殺計画(後編)』ではマグネリウムエネルギーで復活を遂げたセブンが分身宇宙人ガッツ星人に逆襲する場面、第46話『ダン対セブンの決闘』ではロボット超人ニセ・ウルトラセブン対本物のセブンの決闘場面など、「ここぞ!」のときに使用され、絶大な効果をあげていた。
 東映ヒーロー作品では以前から主題歌が劇中で定番曲として流れることが多かったが、その部分では円谷作品は今ひとつ遅れをとっているように見受けられる。平成ウルトラ作品でもそれが考慮されていれば少しはねえ……


*今回登場する凶悪超獣にはブラックサタンというカッコイイ名前が付けられたが、のちに『仮面ライダーストロンガー』(75年)前半の敵組織の名称にも用いられたことから、ブラックサタンといえばそちらの方の印象が強くなってしまい、やや損をしているような感がある。
*濃紺と金色のボディで超獣には珍しく瞳のあるひとつ目とコウモリの羽のような両耳が特徴的で悪魔的なデザインがカッコいいブラックサタン。前話に続き川北紘一による特撮巨大バトルもボリュームたっぷり。両指先のミサイル攻撃をエースが俊敏に側転で避けたり、単眼からのピンクの光線をエースが新技サークルバリアで反射したり、カメラを斜めに傾けたり、90度横や180度上下逆に反転させたりもして、アングル的にも凝っている。


内山まもる小学館『小学二年生』72年10月号で描いた本作のコミカライズ作品には、なんと美川隊員が一切登場せず、代わりに坂井を「おにいちゃん」と慕っていた子供たちが裏切られる悲しみを強調した内容に変更されている。ちなみに犬の玩具は夕子にプレゼントされ、夕子は「まあ、すてき」などと喜んでいる(笑)。
*本話のプロットの一部(怪獣の像が本当に巨大怪獣化する)は、『ウルトラマンマックス』(05年)第14話『恋するキングジョー』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060315/p1)にも引用されているが……。この当時の上原正三先生は、異色作だけでなく、職人芸的な技巧派の大攻防戦の脚本も書けて、本当に良かったなあ……(笑)


*視聴率16.7%


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2006年号』(05年12月30日発行)『ウルトラマンA』再評価・全話評大特集より抜粋)


[関連記事] 〜上原自身による怪獣の像が巨大怪獣化するプロットのリメイク

ウルトラマンマックス#14「恋するキングジョー」

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060315/p1


[関連記事] 〜エース全話評・主要記事!

ウルトラマンA 再評価・全話評!」 〜序文

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060513/p1

ウルトラマンエース#13「死刑! ウルトラ5兄弟」

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ウルトラマンエース#14「銀河に散った5つの星」

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ウルトラマンエース#17「怪談 ほたるケ原の鬼女」 〜真船演出! #23のプロト!

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ウルトラマンエース#19「河童屋敷の謎」 〜夕子活躍!

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ウルトラマンエース#22「復讐鬼ヤプール

  (当該記事)

ウルトラマンエース#23「逆転! ゾフィ只今参上」 〜メビウスの名の由来はA#23にあり!?

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〈DVD付きフォトブック〉「ウルトラマンA 1972」レビュー

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『エース』同人誌の歴史1 〜『A』再評価の端緒を築いた伝説の名同人誌『全員脱出!』

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ウルトラマンエース最終回「明日のエースは君だ!」

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