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ザ・ウルトラマン46話「よみがえれムツミ」 〜終章の序章・名作

ファミリー劇場『ザ★ウルトラマン』放映「全話評」連動連載!)
ザ☆ウルトラマン総論 〜埋もれた大スケールSF名作!
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『ザ☆ウルトラマン』全話評 〜全記事見出し一覧

引き続き、2010年5月より『ウルトラマン80』全話評も連動連載!

『ウルトラマン80』全話評 〜全記事見出し一覧


#46『よみがえれムツミ』

メカ怪獣ゲドン登場

(作・吉川惣司 演出・関田修 絵コンテ・横山裕一朗 怪獣原案・斎藤誠一)
(視聴率:関東10.5% 中部11.7% 関西14.8%)


(文・内山和正)
(1997年執筆)


◎トベ隊員が発明した、ウルトラマンに電波で連絡する装置により、正体がばれそうになるヒカリ隊員……というところから始まり、ヒカリがいつも大事なときにいなくなる問題が再燃。
 死にかけたムツミ隊員のそばにいてやれとの命令を破り、皆を救うためにウルトラマンに変身したため、クビになりかかるヒカリ。ヘラー軍団編であることも忘れ、元の『ザ・ウルトラマン』世界に帰ったかのような名編。


※:製作No.46『よみがえれムツミ!(仮)』


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊98年号』(97年12月28日発行)『ザ☆ウルトラマン』特集・合評3より分載抜粋)


#46『よみがえれムツミ』

(文・T.SATO)
(2010年執筆)


 本作最終章である#47〜50(最終回)『ウルトラの星へ!!』4部作の直前に配置された本エピソード。
 今回はメインライター・吉川惣司氏の筆によって1本のエピソードとしてキチンと完結をさせつつも、過去のエピソードのネタをいくつかおさらいし、それらを活かして終章のプレリュード(序章)として伏線も張られた重要回ともなった。


 私事で恐縮だが放映当時、小学校高学年であった筆者に深甚(しんじん)な印象を与えて、来たるべき最終章に対して、今までのウルトラシリーズにかつてなかった空前絶後の驚くべき展開を、予感・期待させたエピソードでもある。


 江戸時代の浮世絵画家・葛飾北斎が描いたような、現実よりも急峻な富士山。
 開巻早々、承知の通り実はウルトラマンと合体している我らが主人公、科学警備隊のヒカリ隊員が、富士山の麓の平野の地球防衛軍・極東ゾーンを見下ろす高台を半袖のトレーニングウェア姿にてジョギングしている光景が描かれる。


 これは、本作のターニングポイントのひとつとなった#15「君がウルトラマンだ」(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090808/p1)巻頭と巻末、#28「新キャップが来た!!」(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20091108/p1)巻頭でも描かれた、ヒカリ隊員がウルトラマンと合体してからも、それに驕(おご)ることなく高ぶることなく、謙虚にふだんから鍛錬(たんれん)を怠らなかった姿の反復でもある。


 彼はヘラー軍団との攻防がはじまり苛烈を極めるようになった本作第4クールにおいても、トレーニングを日々重ねていたこと、そして同時にそんな彼のキマジメ誠実ストイックな人柄が、このわずかなワンシークエンスの映像&ナレーションでもってして、雄弁にも改めて強く提示されるのだ。


――一見(いちげん)さんの視聴者に対しても有効ではあろうけど、最大効果を発揮するかは別として。もちろんシリーズ終盤のエピソードなのだから、もう一見さんの視聴者への配慮の有無や、常連視聴者との効果の差異を、評価の一基準として過剰に気にする必要もないであろう――



 そのとき、間隔は長いが甲高い神経質なナゾの電波音が脳裏に鳴り響きだし、ヒカリ隊員は歩をとめる。


ヒカリ「(自身の内心に潜在するジョーに向かって)ウルトラマンジョーニアス、この音はいったい?」


ジョー「これは特殊サイクル(周波数)だ」


ヒカリ「なんですって?」


ジョー「私にしか感じられない特殊な電波だ。だが、地球上にそんな電波を発する通信機はないハズだが」


ヒカリ「発信地はどこです?」


ジョー「基地の方角だ」


 ふだんはヒカリ隊員の意識の底に潜在していて、ヒカリの意識に干渉することはないウルトラマンジョー。
 しかし、先の#15「君がウルトラマンだ」を皮切りに、#19「これがウルトラの星だ!! 第1部」(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090913/p1)、#31「ウルトラの女戦士」(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20091129/p1)、#34「盗まれた怪獣収容星(前編)」(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20091220/p1)、#37「ウルトラの星U40(ユーフォーティ)の危機!! ウルトリアの謎?」(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100118/p1)などのイベント回においては、歴代の実写特撮ウルトラシリーズでは第1話での合体直前を除けばほとんどなかったことだと思うが、ウルトラマン自身が直接にヒカリ隊員の心に天啓・啓示のように語りかけてくる驚きの展開を見せてきた。


 つまり本話もそれらに匹敵する、ウルトラマンが直接に語り掛けねばならないほどの変事が発生するであろう重要な回であることがヒカリ隊員に、そして視聴者にも示唆されもするのだ。


 ウルトラマンも意識と人格を持つ存在であるからには、論理的・合理的に考えれば、当然のことながらヒカリ隊員と交渉や会話をすることがあってもイイはずである。
――もちろん毎回毎回頻繁に、ウルトラマンが語りかけてきてしまっては、重みもありがたみも神秘性もウスれてしまうワケで、そのようなことを安直二元論の反転で奨励する気もまたないが――


 過去のウルトラシリーズでは第1話と最終回くらいしか、合体した地球人とは別個の人格であるハズの宇宙人(ウルトラマン)の意識や意向が明らかになることはなかった――変身アイテムの輝きや彼方から来る光の輝きとして、意志表明はされていたともいえるけど――。


 ウルトラマンと合体した防衛隊の隊員たちも、その意識は基本的には地球人の若者のままではあるものの、時に宇宙人であるのか地球人であるのか不分明なことがあり、徐々に融解して渾然一体となってしまっているとも解釈できる描写もなされており――『帰ってきたウルトラマン』(71年)#47「宇宙戦士その名はMAT(マット)」など――、本来は二重人格な存在であることがあいまいにされてきた……
 というか、往時の作り手たちはそこまで深く考えては製作していなかったというのが真相であろうが(笑)。


 もちろん、我々オタク族は、あるいは幼児はともかく小学生であれば、『ウルトラマン』が虚構・フィクション作品であることをわかってはいた。
 でも、そこに後付けであろうが深読みを試みて、ハヤタ隊員は初代ウルトラマンと最終回で分離したけど、郷秀樹や北斗星司(ほくと・せいじ)は帰ってきたウルトラマンウルトラマンジャック)やウルトラマンエースと分離しなかったワケだから彼らは永遠に融合したままなのだろうか? などのオトナから見れば不毛な議論を、70年代後半の第3期ウルトラブーム時の小学生たちの一部(つまり筆者)などは、時に延々と級友たちと語りあったものである。
――その稚気は愛すべしだが、成人の場合だと、余裕のある脱力した知的遊戯・お遊び(笑)として厳密な正解はナイと判ってする議論ならばともかく、天下国家のことでもない小事であるジャンル作品に対して、マジで白目をむいて罵倒調に議論・評論していたら、イタくて下品で眼も当てられませんけど(笑)――


 本作のウルトラマンジョーを皮切りに、ウルトラマンと合体している地球人は一心同体ならぬ二心同体のあくまで別人格であることを強調する作品群が、後年のウルトラシリーズにいくつか登場していることは、第2期ウルトラ以降の作品群にも偏見なくフェアに等しく目配せしている濃いマニアの方々であればご存じの通りだろう。
 『ウルトラマングレート』(90年)然(しか)り、『ウルトラマンコスモス』(01年)然り。



 ……内心からのジョーの声の指示に従い、基地内に入って廊下を進み、角を曲がって、発信源の部屋の扉の前に到着するヒカリ!


 ノブを握ってドアを開けると、そのウス暗い物置のような工作室(?)には、科学警備隊のいつもの同僚たち、トベ隊員・マルメ隊員・ムツミ隊員の面々が!
 大きな通信機をはさんでいた彼らが、呆気にとられた表情で振り返った。


トベ「おいおい、ウルトラマンがお出(い)でだぜ」


ヒカリ「(当惑)」


マルメ「ハハハハハハ……」(腹をかかえて後頭部を押させて)
ムツミ「ウフフフフフ……」(口元を手で隠そうとして隠せず)


マルメ「だれかと思ったら……」


トベ「失敗らしいな、こりゃ(スイッチを切る)」


 日常の安息BGMが流れ出し、微塵もヒカリ隊員がウルトラマンであるかもしれない可能性を、この段階では疑っていない明るい隊員たち。


 ヒカリ隊員が尋ねると、これはウルトラマンと通信するために、一般通信には使用しない波長を選んで、電波を発信してみたと答えるのだ。


マルメ「(笑顔で)ところが大ハズレ。お前が現れたんで、ガックリ来たぜ。ハハハハハハ」


ヒカリ「(安心と気マズさの混じった表情で、後頭部をかきながら)ハッ、それは残念でしたネ」


マルメ「まったくな、ハハハハハハ」


ムツミ「でも、ヒカリ隊員。あなたはなんでここへ来たの? ずいぶん急いでいるようだったけど」


 本エピソードの一方の主人公でもある紅一点・ムツミ隊員。
 彼女の身辺と心境の変化を本話のタテ軸にする意味でもあろう、ヒカリ隊員の痛いところを素朴に突いて来た。


ヒカリ「(うろたえつつも明るくゴマカシながら)あ、あぁ。そうそう、えーと。あ、あった」


 眼に止まったのは古めかしい亜鉛のバケツ!


ヒカリ「こ、これを取りに来たんだった。それじゃあ……。どうも」


 バケツを抱えて後ずさりしながら、部屋から出て行くヒカリ隊員。


マルメ「何だい、アイツ」


 ガシャン!(物音が響く!)


 トベとマルメが廊下を見に行くと……。そこには、転んだのか地ベタに座り込んだヒカリ隊員が、頭にかぶってしまって取れないバケツを取ろうとガタガタしている姿が(笑)。
 それを見て、笑い転げるトベとマルメ。ひとり不審な面持ちになるムツミ隊員。


 もちろんコレはコレで、勧善懲悪バトルの通常編とはまた異なる方向ではあろうとも、少しヒネった別方向の中でのお約束の展開だともいえる――「お約束」という言葉が悪ければ、ベタではあってもシンプルな力強さも持つ「スタンダード」「王道」と云い替えてもイイ――。
 しかし、ここでもリアクションの違いで、各キャラの描き分けを行ないつつも、紅一点・ムツミ隊員は察しがよくて敏感であることの伏線もさりげに張ることを忘れない。


 同時に、若いエリート会社員が海外事業所に赴任させられるように――俗っぽい例えかナ?(汗)――、当初は地球防衛軍のエリート隊員が赴任する宇宙ステーションEGG3(エッグスリー)から来た男であったハズのヒカリ隊員は、すっかり念押しで、#15「君がウルトラマンだ」同様に、頼りない隊員扱いを改めてされてしまう。

 
 ちなみに、電波を使ってウルトラマンと交信しようとする、もしくは逆にウルトラマンが電波で交信をしてくるというアイデア・発想は、『ウルトラセブン』(67年)#40「セブン暗殺計画(後編)」(脚本・藤川桂介 監督・飯島敏宏)や、『ウルトラマンレオ』(74年)#39「レオ兄弟ウルトラ兄弟勝利の時」(脚本・田口成光)でのレオの弟・アストラなどの前例がある。
 が、本話の脚本家・吉川惣司氏は、終戦直後の1940年代後半生まれのいわゆる「団塊の世代」の生まれであって、1960年前後生まれの「オタク第1世代=新人類世代」よりも10歳強は上の世代であり、世代的にも我々のように60〜80年代のジャンル作品を浴びるようにして成長してきたマニアや怪獣博士であるハズもないので――本作DVD−BOX(ボックス)(ASIN:B0012ULS3U)のライナーノーツ(解説書)のインタビューでもその旨(むね)明言している――、『セブン』『レオ』からの引用である可能性はとても低いと思う(笑)。


 そして、仮にそれが『セブン』なり過去作からの引用ではなかったとしても、そのような経緯が不満だということも、筆者にはまったくない。
 日本神話『古事記』のイザナギイザナミの黄泉(よみ)の国での逸話(いつわ)は、ギリシャ神話のオルペウスとエウリュディケの冥界での逸話をパクったワケではない。同様に、中南米のピラミッドは、古代エジプトのそれをマネしたワケでもない(笑)。
 過去作からの引用もなしに、同じような着想に至るということなど、人間の世界には頻繁にありうるし、早いか遅いかで優劣を付けるのも愚かなるかな。そーであるならば、それぞれの洗練度や他の要素との関連で効果的であったか否かを語るべきであろう。


 70年代の著名な子供向けオカルト不思議系書籍(書籍名は失念)に、人間の脳髄からは周波数4センチメートルの電波が発せられているという説が掲載されていた記憶があるけど、遡(さかのぼ)ること60年代の日本古典SFでも小松左京大先生が、その元ネタを題材にしたとおぼしき、人間の脳髄4センチ電波による交信やネットワーク化を描いたSF小説があったと記憶する(こちらもタイトル失念)。
 もしも吉川惣司氏にアイデアソース(源泉)があったのならば、もっとも初期の世代のSFマニアの吉川氏のことだから、着想のひとつとしては、そのあたりの作品なりオカルト疑似科学説を記憶の引き出しからアレンジしたものであったのかもしれない。


 また、はるかな後年、『劇場版ウルトラマンコスモス THE FIRST CONTACT(ファースト・コンタクト)』(01年)(脚本・千束北男(飯島敏宏) 監督・飯島敏宏)でもウルトラマンコスモスが、『ウルトラマンメビウス』(06年)#30「約束の炎」(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061203/p1)でも客演したウルトラマンタロウが、電波にて地球人たちに交信を試みていた。



 夕刻の科学警備隊・司令室。ヒカリが大きな窓から、手前に繋留されている巨大戦闘艦ウルトリアの艦橋越しに夕景を眺めていると、後方から……


ゴンドウキャップ(隊長)「(不機嫌に)ウルトラマンに連絡だと!」


マルメ「キャップ、ホンの冗談ですよ」


トベ「試しに遊んでみただけですよ」


マルメ「キャップだって考えたことがあるでしょ。ウルトラマンがどこにいるのか? 俺たちの危機をどこで見ていて、助けに来てくれるのかって」


 かつての歴代ウルトラシリーズが避けてきた、しかし怪獣やウルトラマンが出現する世界に存在する劇中人物であれば、当然に浮上するであろう、まったくもって正当で合理的な疑問である。


 もちろんかつての実写特撮版スタッフがそのことに思い至らなかった愚かな人々であったということではさらさらない。
 これに言及してしかも突き詰めて、何らかの解決を与えてしまう場としては、最終回のような大舞台でしか適切ではないし、つまりは怪獣と人間(防衛隊)とウルトラマンの三角関係を描いてきたシリーズの続行・続編の展開にも支障を来たすほどの大ネタであるからには、お約束として意識的にしろ無意識的にしろふれないというのもむべなるかな、というものである。


ゴンドウ「だからといって、こっちから連絡を取るなんて、もっての他だ!」


トベとマルメ「(ウヘッと肩をすくめて閉口)」


ゴンドウ「ピンチの度にすぐウルトラマンに頼るようになっては、(我々科学警備隊に)地球を守る資格などないわ!」


 去っていくゴンドウ。


マルメ「……ホントにそうだ」
トベ「もうあの研究はやめよう」
マルメ「いやぁ効いたなぁ、今のセリフ」


 ゴンドウのウルトラマンに頼ることを良しとしない発言は、#35「盗まれた怪獣収容星(後編)」(脚本・平野靖司 http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20091227/p1)における


ウルトラマンがいつも来てくれるなんて思うな! 今は俺たちしかいないんだ!」


や、#41「激突!! ウルトラマンウルトラマン」(脚本・若槻文三 http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100213/p1)における


「(不機嫌に)ウルトラマンウルトラマンウルトラマンか! まるで世話になりっぱなしだな! (イヤミや皮肉っぽく語尾上がりで)年賀状も暑中見舞いも忘れるな!」


 といったゴンドウのセリフ群の反復でもある。ゴンドウキャップの発言ももっともなのだ。
 本来は地球人自身が背スジを伸ばして自らの力で立ち上がり地球を守り抜いていくのがスジであり、ウルトラマンに頼ることが当たり前になってしまっては本末転倒であって、たとえ非力な人間であろうとも、それは精神と徳性の堕落であり怠惰であり卑屈さを招くものなのである。


 マルメ隊員たちも、決して根っから理不尽な性格であったりするワケではなく、スジを正せばドコに自分たちのなすべきことがあるのかを理解する聡明さを持ち合わせていることも描写する。


 しかして、ウルトラマンの正体がヒカリ隊員だとは知らない隊員たちにとって、その言葉が一般論としてヒカリ隊員に向けられるや、その意味合いは即座に反転する!


マルメ「おい、ヒカリ。おまえもよく胸に刻んでおけ!」


ヒカリ「どういう意味です?」


マルメ「人任せはイカンってこと。ヒカリ、おまえは肝心なときに、いつだって逃げるからなぁ」


ヒカリ「僕は……逃げたりはしません」


マルメ「よく云うよ」


ヒカリ「マルメ隊員、取消してください。たとえ先輩だろうと……僕は」


マルメ「(ソファから立ち上がり)面白え。やるか!」


ムツミ「お願い、止めて!」


マルメ「(怒りがおさまらない)」


ヒカリ「(うつむいて、席を外す)」


トベ「つまらん口喧嘩など、男のやることじゃない。云いたいことがあるならヒカリ、行動で示せ!」


ナレーション「その言葉がヒカリには一番つらかった。ウルトラマンとなっていくら活躍しても、ヒカリ自身の苦労はだれにもわかってはもらえないのだから」


 ウルトラマンと合体している隊員が、他の隊員たちから見れば肝心なときにはいつもいなくなる。今までの実写特撮のウルトラシリーズにおいては、それは乱戦のさなかでの混乱ということで解釈ができた。
 60年代の第1期ウルトラシリーズではほとんどスルーされ、70年代前半の第2期ウルトラシリーズでは作り手も多少は気になったか、各話のラストシーンの多くで言い訳的に、「オーーイ!」「オーーイ、○○隊員! 無事だったか!」と明るく作劇的に処されてきた。
 もちろん、ここにツッコミを入れて基本設定のムリを表面化させてしまっては、『ウルトラマン』という作品の基本構造が成り立たなくなってしまうがためでもある。


 が、本作では、#15「君がウルトラマンだ」(脚本・吉川惣司)にて、ついにそれを反転させて、タブー領域に踏みこんだ!
 「肝心なときに主人公隊員がいつも戦闘現場にはいない……――ウルトラマンに変身して戦っているから!――」というシチュエーション自体への、作品自体による自己言及的なアプローチ。敵前逃亡とはいわずとも、重要任務の放棄とも取られかねない、他の隊員たちから見れば腑に落ちない事象。


 そこにスポットを当てて、そのようなシチュエーションに遭遇した際に、他の隊員たちが当然のようにいだくであろう心理・感情・疑問を合理的に想像してみれば、主人公隊員が他の隊員たちから責められる展開も重ねてむべなるかな、しごく論理的にして当然な状況ドラマともなりうる。


 しかも主人公個人の心理ドラマとしても、人間たちがウルトラマンに依存心ベッタリになることを避けるためにも、ひたすらに隠した方がイイという、要は「ウソも方便」。
 つまり、「ウソはいけませんヨ」という「小学生レベルの道徳」を超えた、より高次なる「善」を体現するための理由がある正当な――自身の正体のヒミツを隠すための――「ウソ」。
 ヒトを騙(だま)して陥(おとしい)れるための低次な「ウソ」ではないとはいえ、神ならぬ身のただの人間の若者にとっては、とてつもなくキツくてキビシくて、たとえ誤解を招いても本当の理由の弁明もままならないシビアな感情ドラマを、本作は達成しえたのだ。
――付け加えるならば、小学校の道徳の授業では教わらないような高次な人情の機微でも、『鶴の恩返し』などの民話などで異界や異類の者が正体を隠すためのその「ウソ」を、それなりの限定条件付きとはいえ正当なものであると直観でも無意識で悟るからこそ、子供たちも主人公隊員の正体隠しという「ウソ」を、アタマもカタく融通も利かせずに形式主義官僚主義的に「ウソつきだ!」と糾弾(笑)するような愚劣な事態に陥ることもなく、了承ができてしまう次第なのであろう――


 ただし、先の#15においては、この状況に言及しつつも、根源的な解決が与えられたワケでは決してなかった。
 その展開は、ヒカリ隊員が他人に自分の功績を自慢気に語るような軽々しい人格ではなく、驕ることなく高ぶることなく、時に自身の正体を隠す都合での齟齬から生じるトラブルで滅入ったとしても、それを精神的に乗り越えてみせる、あるいは乗り越えないまでも耐え忍んでみせることができ、そしてウルトラマンとしてだけでなく人間として出来ることを日々淡々と務め上げていく、キマジメ誠実ストイックで高潔(こうけつ)な人格であることを描いてみせていた。
 そして、そんな彼を合体の拠り代(よりしろ)として選んだウルトラマンジョーニアスが、彼のことを誇りに思うことに転嫁・転化することで――しかもそれをヒカリ隊員の内心の秘かな誇りとすることで――、根本解決ではなくとも一時的な解決がほどこされてきた。


――何かで成功したり、下請け仕事したり、著名人・業界人とのコネができると、ヒトに云ってもらうのならばともかく自分で云わずにはおれない、賢(さか)しらに思わせぶりに吹聴(ふいちょう)して、自身を他人よりも高く見せたくてたまらない、カーストまで作らんとするかのような(…)、筆者の身の回りの特撮評論同人ライター多数にも、爪の垢でも煎じて飲ませたいものだ。……アッ、云っちゃった!(笑) 気持ちはわかるけど、黙っていればイイものを……(云うにしても、せめて機知と諧謔に包んでさえくれていれば)。もちろん筆者とて、ヒカリ隊員の高潔さとは程遠い内面はドロドロの俗人の典型で、ヒトのことをとやかく云える資格はナイのだが(汗)。最善ではなく次善でも、せめて形から入って身を処して節度を身につけ心を整えたいものだ――


 余談だが、ヒカリ隊員の「マルメ隊員、取消してください。たとえ先輩だろうと……僕は」との怒気をはらんだこのセリフ。
 それは、ヒカリ隊員がいかにキマジメ誠実ストイックな人格・性格ではあっても、彼とて些事にはともかく不当や侮辱と思えることに対して怒りを覚えて反論や取消しを求める程度には、適度にイイ意味での誇り・プライドを持つ人物でもあり、単に柔和なだけであったり卑屈なだけの人格ではないことをも示している。
 原始キリスト教新約聖書)におけるイエスの言葉、「右の頬(ほほ)を叩かれたら、左の頬を差し出せ」「七度の七十度(無限に)許せ」「汝(なんじ)の敵を愛せよ」、あるいは仏教における同等の意味である「慈悲忍辱(じひにんにく)」という、それはそれで崇高かもしれない人格の在り方とは異なった方向において、ヒカリ隊員の人格が高潔であることを描写している点にも留意したい。


 閑話休題。もちろん子供向け娯楽活劇作品であるからには#15以降、「肝心なときに主人公隊員がいつも戦闘現場にはいない」という重たい話題に毎回ふれてきたワケでは決してない。
 毎回ふれていないということ自体も、エンターテイメント作品は基本的には人々に爽快感を供与することが主目的であることに立ち返れば正解なのだし、作品世界の土台を崩壊させかねない、作風もクラくなりかねないネタであるからには、毎回言及すべきネタでもまたナイであろう。
 しかし、まったくふれないというのも偽善であり欺瞞であるかもしれない――逆に云うと、明朗かつコミカルな志向を持つ単発エピソードの場合には、意図的にふれないのが正解だとも思う――。


 とまれともあれ本作では、本話たる#46「よみがえれムツミ」を筆頭に#47〜50(最終回)最終章4部作において、#15にて浮上した根源的な問題に対する係り結びともいえる回答をついに与えていく、かつてない展開となっていくのだ!



 ヒカリ隊員とマルメ隊員の諍(いさか)いから数日後。


 メカ怪獣ゲドンが大都市に出現、破壊活動を開始した!


 メカ怪獣ゲドンは両脚がなく、巨大なキャタピラで走行する戦車型の下部、両腕の3本指はいわゆるマシンガンアームとなっていて機銃掃射! 小さな頭部は半球型の透明ガラスに包まれて中に桃色円球の小型メカがあり、単眼に見える赤で縁取られた射出口から、ガラス越しに黄色いレーザーを発射する!


 怪獣原案は斉藤誠一氏。
 だが、2008年に買うだけ買って未開封であった本作DVDボックスを、本作#37以降のレビュー執筆開始後の本年2010年1月にはじめて開封して(汗)、ライナーノーツを参照したところ、メカ怪獣のアニメ作画用の設定画のフィニッシュデザイン(決定稿)は、本作における他の怪獣たちのようにキャラクターデザイナー兼・作画監修であったタツノコプロ出身の二宮常雄氏の筆によるものではなく、本作後半のメカニックデザイナー河森正治(かわもり・しょうじ)氏の筆によるものなのだそうである。
 本作後半の戦艦や宇宙船などのメカデザイン群とは異なり、元デザインありきゆえか、怪獣の場合は動きも多いから作画が煩雑になることを憂慮したゆえか、特に線を増やしてディテールアップさせたような形跡や、河森デザインっぽい要素を見出すこともできないが(笑)。
 鳴き声にメカっぽさはなく、いわゆる典型的な二足歩行の動物的な怪獣の鳴き声であるあたりは賛否あるやもしれないけど、適度なB級っぽさ、かつメカ怪獣っぽいルックスで、筆者個人はそれなりにスキだ。


 陸上の戦車隊が全滅したあと、到着した地球防衛軍・極東ゾーン・科学警備隊は、飛行中の巨大戦闘艦ウルトリアからヒカリ・ムツミ・トベ・マルメが駆る小型戦闘機バーディ4機を出撃させて、メカ怪獣ゲドンと交戦する。
 後ろにも眼があるかのごとき、俊敏な動作で反撃を仕掛けてくるゲドン。


 ゲドンのレーザー攻撃が近接したのか、機内外が一瞬閃光に包まれて、電子装置の故障か操縦ができなくなるムツミ隊員のバーディ!


 そのまま超高空へと上昇していってしまうムツミ隊員機!
 そこで、ムツミ隊員は三方にカギ爪が伸びたかのようないつものヘラー軍団の円盤を1機目撃した!


 それがメカ怪獣の司令塔であることを察知したムツミ隊員は、さっそく通信で報告を開始するも、通信の途中で敵機の攻撃を受けて被弾! 操縦席のパネルも破裂する衝撃演出!
 気絶して、あわや山腹に激突という直前、煤煙の中で目覚めたムツミ隊員は、機体から脱出する!
 パラシュートが開くも、バーディの爆発した破片の一欠片(かけら)が、小さな穴を空ける! 「ハッ!」とそれに気付くムツミ隊員。
 落下スピードがさして衰えないままに森林に落ちていく!


 それを目撃するヒカリ隊員のバーディ!


 大きな杉の木の枝にひっかかり、パラシュートが裂けながらも、地上に高速で激突することは避けられて、地上スレスレで宙吊りになって急止の衝撃に見舞われるムツミ隊員!
 ムツミのヘルメットだけが地面に落下することで不穏感もいだかせる……


 自身が操縦するバーディを滑走着陸させ、すぐ近くに駆けつけたヒカリ隊員は赤十字のマークが入った医療器具箱をかかえて走り寄り、ムツミ隊員をパラシュートの拘束具から外して、近くに横たわせる。
 医療器具箱を開くと中身はメカニックとパネルになっており、電線を苦しげなムツミ隊員につけて心電図の波形を見るや、心音が弱っていて息もたえだえの状態!


 腕時計型の通信機にゴンドウからの連絡が入るや、その旨を説明し、医療班の出動も要請するヒカリ隊員。
 「よし、ヒカリ、おまえはそこに居てやれ!」とのゴンドウの通信での命令に、それでは戦闘現場に赴けずウルトラマンにも変身できないことがつい脳裏によぎってか、「でも……」と躊躇をしてしまう。


トベ「(通信)ヒカリ、おまえだけが頼りだ!」
ゴンドウ「(通信)怪獣は俺たちが何とかする! 絶対ムツミを死なせるんじゃないぞ!」


 体育座りして膝をかかえて待つしかないヒカリ隊員。
 遠方で起こる爆発が時折、頭に包帯を巻かれたムツミと彼を照らし出す。
 焦りからか堪らず立ち上がり、


「こちらヒカリ、医療班まだですか!」


 と通信で催促するヒカリ!


(医療班「ただいま準備が整いました」)


ヒカリ「早く来てください!」


 このへんのムツミ隊員の生死に関わる重大時と、メカ怪獣の侵攻とで生じる二重の危機の中で何もできないヒカリ隊員の焦燥感が、名声優・富山敬(とみやま・けい)氏の声の演技で見事に表現されていて、緊迫の度合いもさらにいや増す。


 ついには、爆発物がヒカリとムツミの近くにまで飛んできて、ヒカリは横たわるムツミの身体を覆って守る!


 巨大戦闘艦ウルトリアが敵怪獣のビームを艦底に次々と浴びて高度を下げるのを、森林の奥に目撃したヒカリ隊員は、「ごめんよ、ムツミ隊員。今はウルトリアを救わなくては……」とつぶやいて、ムツミ隊員をその場に残してついにウルトラマンに変身した!


 今までいくつかの怪獣にトドメを刺してきた巨大戦闘艦ウルトリアが、地に膝を着いてしまうことで、怪獣の強大さもアピール! と評したいところだが、作り手の意図としては仮にそうでも、映像的・作画的にはそこまでの絶望感・危機感・強大感は残念ながら感じられない。


 ビームを避けたウルトラマンは怪獣ゲドンにキックを喰らわし、ゲドンが倒れそうになる前に胴体をかかえ直して放り投げる!
 ゲドンも投げ飛ばされながらの空中逆さま体勢で、右指からマシンガンを連射!
 辛(から)くも避けたウルトラマンは低空に浮遊し、必殺ワザ・プラニウム光線を発射!
 このへんの技の応酬が続くアクション演出は、作画的にはともかく凝っていてよい。


 高空の円盤で見守る円盤内にて、ウルトラの星・U40(ユーフォーティ)の反逆者・ヘラー軍団おそろいの鎧(ヨロイ)で全身を包んだ一般兵士と、特別にエリ首の立った赤味がかった鎧の中堅幹部は、「テストとしては上々だ」と余裕を見せて、プラニウム光線を浴びても特に爆発はしなかったメカ怪獣ゲドンのタンク部の両脇左右からロケットを噴射させて、回収のために上空へと垂直に飛ばす。姿を消すゲドン。


 1回戦目はここで終了。



 戦闘終了直後、ムツミ隊員の不時着現場にバーディで駆けつけたトベ隊員とマルメ隊員。
 

トベ「ムツミーー!」
マルメ「(あたりを見回し)ヒカリがいない……。(怒気は微かに)あの野郎」


マルメ「(トベに)どうだい、様子は! ……どうしたんだ、なんとか云え!」
トベ「(衝撃ブリッジBGMとともに)し、死んでる」


 無情にも波ではなく一条の線となってしまった心電図のアップでダメ押し演出!


 30分もの後半Bパート冒頭、パニクって取り乱して泣きじゃくっているマルメ隊員のもとに、ゴンドウキャップもついに駆けつけた!
 ゴンドウはまだムツミの身体が暖かいからと機転を利かせて、バーディの配電基板から極太の電源コードを伸ばしてきて、ムツミの隊員服の前をはだけて胸もあらわにするわ、電気ショック療法で蘇生を試みた!
 衝撃で一瞬だけ、両眼を見開くムツミ隊員! 心電図も動き出す!


 良くも悪くもごくごく一部で下世話な都市伝説と化しているのがこのシーンだが、本来はこのようにとても深刻でシャレにならない状況下でのシーンであったのだ。
 別にリアルに胸のふくらみや谷間が描かれたり、乳首が露出したりするワケでもない、そちらの方向に向いた作画や演出ではなかったのである。
――でも実写作品であれば不可能か、もしくは胸をはだけずに電気ショックを加えるところだろう。21世紀の今ならば、街中で心筋梗塞で倒れたヒト用に各所に設置されている「AED(自動体外式除細動器)」を用いて、電気ショックを試みるところだろうが、本作放映当時には「AED」という機器などは影も形もなかったのだ――


マルメ「やった〜〜〜!! キャップ〜〜!」


 固唾を飲んで見守っていたマルメ隊員が、うしろからゴンドウキャップの両肩に思わず抱きつく。
 マルメ・ゴンドウ・トベの安堵の笑顔と思わず漏れる笑い声。


 ちょうどそこに駆けつけてきて、不穏な風景に「ムツミ隊員に……、なにか?」とたずねるヒカリ隊員。


 腕を組んで立っているゴンドウ。


 「ムツミは今、生き返ったところだ!」と、静かに……しかし厳しく語るトベ隊員。


 直情径行のマルメ隊員は立ち上がって歩を進めて、歯をムキだして怒りもあらわに、


「この野郎!」


 と顔面にゲンコツを喰らわせる。続けてマルメ隊員の右膝蹴りに、右拳の突きで、仰向けに吹っ飛ばされるヒカリ隊員。


「あれほど云ったのに、テメエってヤツはぁ! (上半身を起こしたヒカリ隊員に)卑怯者ォ!!(ともう一発パンチを喰らわせる) もうオメエとはこれっきりだァァ!!」


 倒れたまま、起き上がる気力すらもなく、顔をそむけてつい眼に涙を浮かべてしまうヒカリ隊員。やっと上空に飛来した医療班のヘリコプターに気付いて安堵の表情を少し浮かべつつ……


 地球防衛軍・極東ゾーン基地。
 意識が戻らず、酸素マスクを付けられて、透明の無菌シートで包まれたムツミ隊員のベッドの前で、見舞っていたヒカリ隊員はその苦境の心情をついにたまらず、自身に合体・寄生しているウルトラマンジョーニアスに内心で吐露してしまう。


ヒカリ「(ウルトラマンジョーニアス、僕と、あなたの秘密を、みんなに話してしまいたい)」
ジョーニアス「(早口で)それはいけない」
ヒカリ「(こんなことになってもですか? (右拳をにぎり天を仰いで)みんなが僕のことを知っていれば、何もかもうまく行くはずなんだ。(ムリであることを半分判ってかうつむいて)そうでしょ」
ジョーニアス「そのときはいつか来る。だが、今はいかん」


 ヒカリ隊員が科学警備隊の隊員として活動するにあたっての絶対の急所から来る解決しがたき苦悩。
 しかして、正体を明かすべきときはいつか来る……という発言が、ジョーニアスとしては単に慰めの言葉にすぎなかったのかもしれないけど、物語的には来たるべき最終章に向けての伏線であり、クライマックスともなるのであろうことが暗示されもするこのセリフ。


 一方で、科学警備隊の司令室では、ムツミ隊員のバーディ機が高空で撃墜される直前の通信を、ボイスレコーダーから音声を再生して分析を試みているところだった。
――中でオープンリールの巨大テープが回っているらしきボイスレコーダー。やたらと外壁のディテールが細かいので、河森デザインによるものではないのか? と勝手に憶測(汗)――


 ムツミが語る「実体」とは何かがわからず、意識不明でもあるために彼女に聞くこともあたわない隊員たち。
 とにかく出来ることを、とウルトリアの修理を急がせるゴンドウキャップに、それまでずっとうしろを向いていたマルメ隊員が、ここぞとばかりに振り返る。


マルメ「(クールな抑えた声で)何か忘れちゃいませんか?」


マルメ「あのバカ野郎のことです。アイツをクビにしてください、キャップゥ!! あんなヤツとは二度と戦いたくはありません! ゼッタイにィ!」


 「ヤツの処分は最高会議で決まる」とのゴンドウの発言に対して、


マルメ「最高会議はともかく、キャップの気持ちはどうなんです!?」


 自動ドアを開けて廊下に出たゴンドウは、


「クビにするつもりだ……(!)。(廊下で傍聴していて真横にいたヒカリに気付きつつ)しかし、ヤツが特に役立つ働きを見せるなら、このかぎりではない」


 沈痛な面持ちで、司令室内に入ることもできないヒカリ隊員。


ヒカリ「(内心の声)ウルトラマンジョーニアス、僕はもう……ダメです」


 冒頭でのマルメ隊員からの侮辱、それを行動で覆そうにも重篤のムツミ隊員から離れて死なせてしまった大失態、さらにここに来ての隊員たちの糾弾による、都合三度にも渡る念押し・ダメ押しを重ねる、主役が窮地に陥る容赦のないイジワルな作劇の極北!
 かわいそうでワリに合わない、あまりにも損な役回りの主人公の描写だが、こーいう描写をていねいにクドいくらいに積み重ねていくことが、のちの急展開においてはメリハリのある対比の妙となって効いてくるのだ。


 ウルトラマンと合体した人間主人公、あるいはウルトラマン自身が人間に擬態変身した主人公をはじめ、その特殊能力で洞察できてしまった人間界の常識を超えた事象を、自分の正体をバラさずに合理的に説明することは困難であるために、歴代の主人公たちは、おそらく『ウルトラセブン』(67年)#4「マックス号応答せよ」反重力宇宙人ゴドラ星人編あたりを皮切りに、特に悩める未熟な発展途上の青年たちを主人公にすえた第2期ウルトラシリーズ帰ってきたウルトラマン』(71年)・『ウルトラマンエース』(72年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070430/p1)・『ウルトラマンタロウ』(73年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20071202/p1)・『ウルトラマンレオ』(74年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090405/p1)に至っては頻繁に、防衛チーム内にて孤立してしまったり際どい窮地に立ってきた。
 もちろんそれは、特殊能力によるものばかりではなく、若者の短慮ゆえの過ちであることもあったのだが。
 余談だが、その筆頭に筆者個人としては、『ウルトラマンエース』第3クール前半、特にその#30である「きみにも見えるウルトラの星」(脚本・田口成光 http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061125/p1)を挙げておきたい。


 それらの重たいイヤな感じも少し残す展開&ドラマは、子供番組としては諸刃の剣(もろはのつるぎ)であったといえるかもしれない。
――主にシリーズ後半で散発的にやるならばまだしも、『エース』第3クール前半や『レオ』前半などは苦境話が連発してしまい、それはそれでニガ味嗜好のマニアにとっては大いに魅力的ではあるものの(筆者も長じてからはそれらがスキだ)、一般的な子供番組として評価した場合には、シリーズ構成面ではうまくなかったところもあったとは思う――


 そのヤリすぎともいえる重たいドラマ性が、第2期ウルトラ作品群をもってして、――コレは悪口・批判ではなく云うのだが――ドラマ性よりも娯楽アクション性・爽快感をより重視した同時期の第1期『仮面ライダー』シリーズ(71〜75年)や近代的な巨大ロボアニメの始祖『マジンガーZ』(72年)などとも比すれば、視聴率・人気の面においては若干劣らせ後塵を拝せしめてしまった原因であることも否めない。
 長年の前世代のマニアによる低評価に甘んじてきた第2期ウルトラ作品の再評価にも邁進したい筆者としても、その評価の在り方を第1期ウルトラ至上主義の安直反転として、ヒステリック・ファナティック(狂信的)にガナりたいワケでは決してなく、諸刃の剣の一長一短、逆説・背理に満ち満ちた多面的な複雑玄妙さにも目配せして言語化し、左右に長い両てんびんを持ってバランスを取りつつ綱渡りをするようにデリケートに多角的に物事を語っていきたいものだと常々思っている。


――だからといって、足して2で割って毒にも薬にもならない無難なキレイ事を主張したいワケでは決してない。その逆に、云い過ぎてしまって失礼の域に達している(執筆者だけがイキがったりワルぶったりして一時的に自己陶酔して弛緩(しかん)して、それが客観的にも傍から見ていて痛々しい)ものでも意味がない。
 しかしそれらの中間の、無礼になる・ならないの瀬戸際・境界線・臨界点のかぼそい渕に、イイ意味での緊張感を保って爪先立ちして、節度ある範疇ではあるもピリリと微量のスパイスも政治的に織り交ぜて、長年ワリを喰ってきた第2期・3期ウルトラ作品群を論理のみならずレトリックも効かせて、一日の長がある箇所はメリハリある刺激的な表現で擁護することも充分にアリだとは思うのだ――


 よって、主人公が窮地に陥るような作劇を手放しで絶賛したいワケでも、子供番組かくあるべし、タブーにも侵犯するシビアでリアル(笑)な作劇をこそ、特撮ジャンル作品は採用すべきなのだ! などと筆者が単純に思っているワケでは毛頭なく、マンネリ時代劇のように斬られても血ノリが出ないお約束様式美の世界も否定すべきではないと思っていることは重々強調しておくけど、その前提の上においても、なおかつ本話は傑作・名作であり、『エース』#30における主人公の窮地描写に匹敵し、または超えてさえいるとも確信するものなのだ。


ジョーニアス「(いや、キャップは最後の望みを君に残してくれたのだ、ヒカリ)」


 ウラ側に隠されたヒトの真意をも見通す、卓越した人間通ぶりを示す老成した人格者でもあるジョーニアス。


ヒカリ「(しかし)」


 しかし、この大失態や正体を隠さねばならない事情から生じた、職業人としての適性に対する周囲からの疑問符や、致命的なまでにコジレてしまった職場の人間関係の絶望的悪化といった絶対の危地を、どうすれば挽回できるというのか!?


 極東ゾーン基地の施設屋上で、ひとり寝転び夜空を見上げるヒカリ隊員。


ヒカリ「(内心の声)ウルトラマンとしてでなく、僕自身としてなにかやれること。僕自身として……。ハッ(翻然と悟る)、それは。ムツミ隊員はたしか!」


 ウルトラマンに変身せずに、ウルトラマンに頼らずに、人間としての知恵・工夫・才覚・努力でできることをする。
 それはゴンドウキャップの意向と同じでもあるが、先取りして云ってしまえば、このセリフは本作最終回のメインテーマとしても、より大きなスケールで再度反復されることになる。


 しかし、基地の真上・上空から敵怪獣が空襲のように接近してきた! なんと、敵は都市破壊ではなく、ついに極東ゾーン基地を直接に攻撃してきたのだ!


――防衛軍基地を直接に攻略する作品というと、筆者のような腐れウルトラオタクは、大自然から誕生した怪獣ではなく異次元からの侵略者ヤプールとの攻防を描いて、敵が頻繁に基地施設にスパイ活動や直接攻撃を仕掛けきた『ウルトラマンエース』(#3「燃えろ! 超獣地獄」(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060521/p1)、#6「変身超獣の謎を追え!」(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060611/p1)、#11「超獣は10人の女?」(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060731/p1)、#17「怪談 ほたるケ原の鬼女(きじょ)」(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060904/p1)、#22「復讐鬼ヤプール」(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061010/p1)、#25「ピラミッドは超獣の巣だ!」(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061021/p1)、#32「ウルトラの星に祈りをこめて」(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061210/p1)、#39「セブンの命! エースの命!」(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070129/p1)など)をついつい連想もしてしまうのだが(汗)――


 両腕の指から銃弾と頭部からレーザーを撒き散らしながら高空から降下して、ついに近くの荒野に着陸したメカ怪獣ゲドンは、やはり巨大戦闘艦ウルトリアに集中的に銃弾を連射していく!
 発進は間に合わないからと、着艦した状態のままでの反撃を命じる切迫したウルトリア艦橋・司令室内のゴンドウキャップ。


 一方、極東ゾーン基地内にて、ムツミ隊員の容態を心配して病室内に入ってきた科学警備隊のロボット・ピグは、謹慎を喰らっていたのか居残っていたヒカリ隊員が無菌シートの中に入り込み、ベッドの上にかぶさるようにしている怪しい姿を目撃する!


 驚くピグを尻目に、ヒカリ隊員は「ピグ、ムツミ隊員をしっかり見てろよ」という、“お前が云うな!”的なセリフを残して、大急ぎで病室を出て行き、ウルトラマンに変身!


 ウルトラマンジョーニアス対ゲドン戦は第1回戦のように、ゲドンのレーザー攻撃をウルトラマンがハイジャンプして避けて、高空からキックを見舞うところからスタート!
 このジャンプの際にウルトラマンが空中前転をくりかえすシーンのみ、やたらと作画がよくて動きもよいけど、初期編あたりのバンクセル画の流用でもあろうか?(未確認)
 背後にまわったウルトラマンは豪快なパンチの連打をお見舞い! 背部であっても振り向かずに発射が可能な頭部からのレーザー攻撃を予期して、身をかがめて避けてみせもする!
 両腕のパワーリフトでゲドンを頭上に持ち上げるや、放り投げる! 横倒しに投げ落とされたゲドンも、その体勢ですかざす両腕のマシンガンアームを掃射する!


 爆音と衝撃で目覚めるムツミ隊員。「ここは?」と場所を聞き、見舞っていたピグから状況も聞き出すや、病室内のモニターTVを傍らに持ってこさせて、ウルトラマンとゲドンの戦いを注視する。


 思わずムツミ隊員は、ウルトラマンに「敵(の本体)は上空よ!」と語りかけてしまう!


 その声が通じたのか、ウルトラマンをしばし空を見上げて、上空めざして飛び上がっていった!
 軽快でも勇ましい主題歌アレンジBGMも響き出して、反撃タイムも開始!
 ウルトラマンは高空に浮遊する巨大なヘラー軍団の円盤の中心部を、左パンチで貫通! プラニウム光線を浴びせてコレを爆砕する!


 コントロールを失い、右往左往ジタバタしだしたゲドンに、ウルトリア内のゴンドウキャップは、マルメ隊員に攻撃を命じる!
 ウルトリアの全砲門の艦砲射撃が連発する。ズタズタボロボロになったゲドンに対して、降下してきたウルトラマンのプラニウム光線がドドメを刺した!



 病室内にて寝巻き姿で、ヒカリを除く隊員たちの見舞いを受けているムツミ隊員。
 喜ぶ隊員たち。あれ以来、姿を見せないなぁとイヤミを云うマルメ隊員に、彼を責めないでとやさしくのたまうムツミ隊員は、ウルトラマンにムツミの声が届いたのは、冒頭でウルトラマンと交信しようとした通信機を、ヒカリ隊員が傍らに置いていってくれたからだと明かすのだ。


 釈然としないのかと思いきや、「なるほど」とナットクしてしまう単純なマルメ隊員(笑)の発言で、事態の不条理さを一旦ソフトにあいまい化。
 直後のトベ隊員による「(通信機が)改良されてる」発言で不条理さは再浮上するも、ゴンドウキャップの「これは俺が預かる」との発言で、事態の真相にいくらか接近しそうになっていたところを、チャカしでなく云うのだけど、まだ最終回ではないこともあろうか、物語的にはイイところで寸止め・棚上げにされてしまう。
 ゴンドウの意味深な「それから今度だけはヤツを許してやろうと思う。イイな」との発言とともに。
 「で、で、で、でも……」を肩を落とすマルメ隊員。「ウフフ……」ととても明るく微笑(ほほえ)むムツミ隊員。


 ゴンドウもまた、隊員たちの手許から通信機を回収したということは、ウルトラマンに依存しないという一点でスジを通しつつも、通信機での交信が荒唐無稽ではないかもしれない、そしてそれをヒカリ隊員がムツミ隊員のベッドに設置したという現実に、三段論法で一縷(いちる)の可能性を察知したということか?


 本話のクロージング。いつもと変わらず、ジョギングトレーニングを続けるヒカリ隊員。


 それを基地施設のベランダから眺めていたのか、パジャマ姿のムツミ隊員といっしょにいた隊員服姿のマルメ隊員は、明るい表情でノンキにいつもの疑問をまた口にする。


マルメ「わからねえのは、肝心なときにアイツ、どうしていないのか? ってゆうことよ〜」


ムツミ「わたし、わかるような気がするわ。(遠くを見るような眼になって)なにか、絶対に云えない大切なことがあるんだわ」


マルメ「そ、それはどういうことだい?」


 ムツミ、晴れやかな顔が一瞬だけ曇るも、すぐに笑顔になって、明るく「さぁ」。


ムツミ「あまりにも突飛で、わたしも口に出して云えないわ」


 ムツミ隊員を演じる島本須美(しまもと・すみ)氏の声色(こわいろ)による多彩な表情付けともあいまって、ダブルミーニング・トリプルミーニングをも感じさせる演技もとてもイイ。


 周辺事情・状況証拠を合理的に考えれば、ムツミ隊員が半ば以上の確信を持って――確証はないけれど――、真相を察知したであろうことは、幼児はともかく小学生の視聴者でもわかるだろうことだから、筆者もここで文字にしてヤボ天にも文章化をする気はない。


 べつにヒカリ隊員は報酬や賞賛を求めているワケではないだろう。
 しかしヒカリ隊員の苦悩と心労を、確証はなくとも察知して判ってくれている人間が、この世界にひとりでもいることを、一視聴者の分際ではあるものの、うれしくかつ心強く思うのみである。


 ひとりでも理解してくれる事実をもってして、世界全体を敵に廻してもよいというワケではナイ。そのような極端な逆説なども、ついつい筆者のようなヘリクツオタクは連想もしてしまう。
 だが、そのような悪徳に陥らないかぎりは、心を強く持つべきだとはいっても、なんだかんだと心の弱い凡俗の人間である我々には、それは苦しいことである。
 眼に見えてわかりやすい、絶対的かはともかくある程度は客観的な尺度だともいえる報酬や賞賛がないような苦境のときには、身近に(遠くかもしれないけど)少数、いやたとえひとりでも理解者がいてくれれば、それだけで救われることもある。やりすごすこともできる。
――もちろん仮に誰ひとりとして理解者がいなかった場合でも、絶望したり荒(すさ)んだりはせずに、気をたしかに持って、ひとりでも強く生きていくべきだとは思うのだが――


 ただし、ムツミ隊員のそんな想いが音声となってヒカリ隊員にも直接ハッキリ伝わって、ヒカリがそれによって癒(いや)されたワケでは決してないのは重々承知しつつも、そんなことをも想起させ、少しく感動して涙をカルく眼に浮かべてしまう筆者なのであった。


 しかし、ヘラー軍団との最終決戦は、もうすぐそこにまで迫っていることをナレーションでも語りつつ……。



 本話の絵コンテ担当・横山裕一郎氏は、本作の#14以降のチーフディレクレター(いわゆる総監督)である神田武幸(かんだ・たけゆき)氏のペンネーム。
 本作では他に、#31「ウルトラの女戦士」・#38「ウルトラ大戦争!! 巨大戦闘艦ウルトリア出撃」(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100123/p1)という、本話と同様にメインライター・吉川惣司氏が執筆した重要回の絵コンテも担当している。
 神田武幸氏は、氏の世代のスタッフには多い、漫画家・手塚治虫(てづか・おさむ)大先生が設立した虫プロ出身で、80年代のリアルロボアニメ『太陽の牙ダグラム』(81年)の共同監督や、同じくリアルロボアニメ『機甲戦記ドラグナー』(87年)の監督としても有名。
 しかし氏の代表作は、本作にも関わった脚本家・平野靖司氏が、現在も称している「靖士」名義にて、4話に1回程度のローテーション参加も果たしたリアルロボアニメ『銀河漂流バイファム』(83年)であるだろう。
 ビデオアニメ『機動戦士ガンダム 第08(ゼロハチ)MS小隊』(96年)を製作途中に逝去され、遺作となった――そのむかし、96年末に秋葉原の石丸電器で、本作『ザ☆ウル』のLD−BOX(レーザーディスク・ボックス)を購入した際にレジ前で待機していたとき、『第08MS小隊』を購入中の若年オタクに「そんなの買うヤツいるのか」的に怪訝そうな顔をされてしまったが……。同じ監督の作品だヨ!(笑)――。


 本話は登場人物たちの表情の細かい変化、立ち位置や立ち居姿、アングルや演技にはこだわっているように感じられる。
 作画の筆頭名義(多分、作画監督に相当)は、#23「超音速の対決」(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20091017/p1)で初参加し、特に#38以降はほぼ2話に1回、作画の筆頭名義に名前を連ねて、本作終盤を作画面にて支えつづけた水野真一氏。氏のくわしい前歴などは不明(どなたかのペンネームか?)。
 ただ、大変申し訳ないけれども正直、氏が参加した回の作画のクオリティはさほどに高くないという印象も持つのだが――とはいえ氏担当以外でもさらにクオリティの低い作画回はある――、本話においては絵コンテの指示もあるのだろうか、表情芝居はよくできている。
 しかし強いてケチを付けるとすれば、致命的な弱点ではないことは念押ししておくけど、男性隊員たちの作画においては問題ないけれども、ムツミ隊員の表情演技は悪くはないものの、画調的には少しカタくなっているかもしれないところが少し残念かもしれない。


◎奇跡ではなく人事を尽くす。電気ショックと心臓マッサージで多少ニュアンスはちがうかもしれないけど、後年の『ウルトラマンマックス』(05年)#39(最終回)「つかみとれ! 未来」(脚本・小中千昭 http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060503/p1)で、主人公カイト隊員が紅一点・ミズキ隊員に心臓マッサージをほどこすシーン。
 腐れウルトラオタクであれば、本話「よみがえれムツミ」をつい連想してしまったことだろう。


◎「肝心なときに主人公隊員がいつも戦闘現場にはいない」。このシビアな問題設定も、実は本作が史上初ということではない。厳密には過去にも先例がある。ピープロの特撮ヒーロー『鉄人タイガーセブン』(73年)がそれである。おそるべし、本邦ジャンル作品(汗)。


(了)


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ザ☆ウルトラマン最終回 #49「ウルトラの星へ!! 第3部 U(ウルトラ)艦隊大激戦」 ~大幅加筆!

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100411/p1

ザ☆ウルトラマン最終回 #50「ウルトラの星へ!! 完結編 平和への勝利」 ~40年目の『ザ☆ウル』総括!

  https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200508/p1


ザ・ウルトラマン総論 〜ザ☆ウルトラマンの時代・埋もれた大スケールSF名作! 第3次怪獣ブームの猛威! 70’s末の熱い夏!

 (関東・中部・関西の全話平均・クール平均視聴率も加筆!)
  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971117/p1



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