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マクロスF第1話 〜先行放映版とも比較!

『マクロスF』最終回「アナタノオト」 〜キワどい最終回を擁護!
『マクロスΔ』&『劇場版マクロスΔ 激情のワルキューレ』 ~昨今のアイドルアニメを真正面から内破すべきだった!?
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 TVアニメ『マクロスF(フロンティア)』(08年)完結記念! 超々ご都合主義のつるべ打ち! あげくの果てに、シェリル嬢の死に至る脳内細菌が腸内に瞬時に移動する超展開! 胃カメラ急降下映像も!!(爆) ……それでも、『マクロスF』最終回(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20091122/p1)を肯定しますよワタクシは。否定派の御仁を論理的に反駁・説得する自信はまったくナイけれど(笑)。……とカコつけて、『マクロスF』#1評と、『マクロス』シリーズ評&河森正治(かわもり・しょうじ)監督作品評を、過去日付の記事にUP!


マクロスF(フロンティア)』#1「クロース・エンカウンター」評

(文・T.SATO)
(2008年4月執筆)


 『機動戦士ガンダム』(79年)の映画化(81年)大ヒットに端を発した80年代初頭のリアルロボアニメの大ブーム。それに乗った『太陽の牙ダグラム』(81年)、『戦闘メカ ザブングル』(82年)に次いで現れたのが、元祖の『超時空要塞マクロス』(82年)だった。


 現用機そっくりの戦闘機が人型やその中間形態の脚付き滑走型に変型し、超巨大宇宙戦艦の内部には街があって民間人も生活し、主人公はアイドル歌手や年上女性とも恋愛するラブコメで。果てはアイドルの存在&歌で、異星人との戦争に勝利する!


 アニメがネクラ・オタク趣味だと劣位に置かれる直前の時期。小賢しい批評的言辞を知らない、まだ純朴だったローティーンの筆者(汗)と級友大多数たちは夢中で本作に見入っていたのも美しい記憶……。


 そんなこんなで25年! 少年老い易く学成り難し。紅顔の美少年(?)はムクつけき中年親父に成り果てて、いまだオタ趣味を卒業できず。……イイ歳の取り方してないな。もう卒業も真当な人生も送れそうにナイけどナ(汗) ……テメェらもアッという間にそーなるんだよ!!(笑)。


 『マクロス』は元祖のあとも、映画化や続編に前日談の映像作品が制作され続けてきたことはご存じの通り。筆者個人としては、世評はともかく続編の『マクロスプラス』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19990904/p1)と『マクロス7(セブン)』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19990906/p1)(共に94年)に対して、初作よりも高く評価する。



 で、昨07年末の深夜に放映された#1長尺版の先行放映の印象をまず。
 ウ〜ムム。『マクロス』&河森監督ファンとはいえ、党派性で物を云ったり、ムリやり擁護するダッサい趣味は毛頭ナイので、忌憚(きたん)なく云わせてもらえば、何か上がり目のなさそうなツカミに弱い曖昧模糊とした話を見せられてしまったようで……。正直ガックリ。


 歌姫も主人公青年も印象がウスくてキャラが立ってない。キャラデザもリアル系でシャープで、木陰などの照明が当たってない箇所では顔の陰影も強くて、それゆえ背景美術に埋もれている印象。
 そして何より『マクロス』といえば歌と歌姫で、初作ならベタでも80年代初頭のアイドルブーム。『7』では90年前後の『イカ天三宅裕司いかすバンド天国)』(89年)に象徴されるバンドブームや歌謡ロック(あんなのロックじゃない? ロック至上主義なんてSF至上主義並に形式主義でウザいぜ!・笑)、端的には当時も製作者が証言していた通り、今や懐かし男女ツインボーカルバービーボーイズを模したそれであったが、本作の歌姫はいったい何?


 歌姫と作品自体に、現代性というか今2008年という時代との接点、キッチュ(通俗)な蜜月(みつげつ)がない!


 とはいえ、今のように物事が多様化・細分化した時代に、ひとりの歌姫に時代やシンボルを体現させるのも出来ない相談。口幅ったいことを承知で云えば、08年に『マクロス』で歌姫を造形するなら、筆者のように芸能・音楽に疎(うと)い人間でさえも知っているビッグネームの浜崎あゆみ宇多田ヒカル倖田來未(こうだ・くみ)、モーニング娘などをモデルにしたモドキキャラ。しかも複数の歌姫を登場させて、多種多様な女のコの内面・実存諸相ネタをやるべきではなかろうか?


 モー娘だって、電線泥棒で捕まった出来の悪い弟に悩むゴマキ。喫煙騒動で解雇されリストカットまでしちゃった加護ちゃん。それを横目で見てウルトラマンコスモス杉浦太陽とのデキちゃった結婚に逃げた辻ちゃん。プロデューサーつんくで、アイドルマスター育成ネタ。その周辺ではオーディションを受け続けて落ち続ける無数の娘たちの角逐と天性の理不尽に挫折や、美と賞賛への執着!(ダイエットに、『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』(04年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060324/p1)のニセ歌姫でもやってた美容整形なんてのも!)


 ストーリーパターンを考え出すと結構ネタの宝庫で、女のコたちの共感も呼びそうで、今後10年の新たなオタ向けドラマ・物語の鉱脈になりそうな気もするのだけれど……。それとの対比でオタ女まで出せば、「今」という時代を全的にカバーできるやも。『となりの801(やおい)ちゃん』(06年・ISBN:4776793024)や『妄想少女オタク系』(06年・ISBN:4575832251)で、ハァハァしてる腐女子にハァハァしだした一部オタ男子たち(誰だよ?・笑)の需要も見込めるゾ!?



 で、08年4月より放映開始された#1を観る。


 アレ? 随分と印象が違う。短縮版のテンポゆえか、ボクらの坂本真綾(さかもと・まあや)のノリのイイ主題歌と、それにカブるポップでライトな女性キャラいっぱいの映像が作品カラーを規定し直すゆえか?(坂本真綾のような甘〜い母胎回帰的メルヘン声は、今時の一般女性はイヤがるという説も一部にあるけれど・笑)


 てか、アラスジは同じでも追加は多数。


 主人公が女性みたいと評されてイラ立つシーンやOP(オープニング)歌曲のワンカットに、彼の歌舞伎の女形(おやま)姿が一瞬挿入されたことで、コレほどまでに作品とキャラの見晴らしがよくなるとは……。彼にかかる歌舞伎一族の家系の重圧と鬱屈と反発が看て取れる。まさにエイゼンシュタイン(20世紀前半のロシアの映画監督)のモンタージュ理論の成功例!?


 歌姫のライブも「こんなシーンあったっけ?」状態。


 ライブと並行して謎の敵生物の群れとの宇宙戦をカットバックしてただけの#1長尺版が、主人公青年たち航空科の高校生たちが飛行可能なパワードスーツで、ライブの余興で宙を乱舞するシーンに差替え。
 果ては勇み足主人公のアクシデントで、歌姫がステージから落下。降下中を主人公に救われるや、抱きかかえられたまま宙でライブを続行する歌姫の機転と肝っ玉! 主人公&歌姫の性格と技量、そして絵になる見せ場の鼎立(ていりつ)!


 この#1はたしかに個人的には面白かった。しかし#1長尺版の出来を思うに、今後に不安も残る。


(了)
(初出・オールジャンル同人誌『SHOUT!』VOL.44(08年4月20日発行))


(後日付記:#2以降も面白かったです・笑)


[関連記事]

マクロスF(フロンティア)』(08年)最終回「アナタノオト」 〜キワどい最終回を擁護!

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[関連記事] ~「マクロス」シリーズ作品評

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地球少女アルジュナ』(01年)

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『地球防衛家族』(01年)

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