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鉄のラインバレル 〜正義が大好きキャラ総登場ロボアニメ・最終回!


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(文・T.SATO)

鉄のラインバレル 〜前半評

(08年12月執筆)


 「あなた……、最低です!!」


 女のコにこんなこと、云われてみた……くはないネ(汗)。
 (大昔に云われたことがあるよーな気もするが、忘れとこう・笑)


 正義の味方に憧れる、現実は非力で不良グループのパシリに使われる少年主人公。
 いっしょにいたならスクールカースト&自分のお株も下がりそうな彼に、小学校ならともかく中3にもなって構ってくれる幼なじみ少女、不良からかばってくれる腕力&胆力を正義にいかしてくれる男友達の存在が、真にリアルかは別にして。


 もちろんそこをリアルにツッコミだしたらドラマ(活劇・群像劇)にならないし、仮にリアルにして、他人と対人関係を構築するはるか以前、内心ひとりで自問自答・懊悩・逡巡しているだけの作劇だったら、『NHKにようこそ!』や佐藤友哉の小説になってしまう(笑)。


 空から巨大ロボと美少女が降ってきた! というベタベタな導入。
 ついでに神秘の力で身体能力まで向上! ロボ召還には当の美少女の胸にふれることが必要……。
 と鬱屈した思春期童貞オタ少年の欲望を全開にしたような作品。


 ……だけなら陳腐だが、この少年は我々オタ(特に特撮変身ヒーローオタ)のダークサイドの結晶!


 我々は、「正義」や「道徳」に「利他」や「自己犠牲」が大スキで(笑)、街で遊んでる享楽&粗暴タイプのアンちゃんが大の苦手。


 戦前の日本ならびに戦後の全共闘(60〜70年代の学生運動)のような、「公」への奉仕を前面に押し出し、「個人」「私」に犠牲を強いて圧殺してくる「大文字の正義」への反発か、80年代以降に頻発した――近年でならば平成仮面ライダーシリーズなどで活躍するアニメ・特撮ジャンルの脚本家・井上敏樹氏に代表される――身の回りのヒトや好きなヒトのために戦う「等身大の正義」というテーゼには、一理や二理はあるけれど公共的にはドーなんだ? と思ってしまうクチ。


 ゆえに、行き過ぎた「等身大の正義」のミーイズム・利己主義にはたしかに我々は陥らない。
 が、この作品が提示した陥穽・落とし穴には大いに我々オタはハマりそうだ!?


 強大な力を手に入れても、世界を征服しよう! とはならないが、この力を持つことは自分の器量にとって分不相応(ぶんふそうおう)かも?
 などと戸惑いもせずに、イザとなれば力を振るえる能力が嬉しくってたまらずに、その顔面に下卑たニヤけた笑みを浮かべてしまうという弊に。


 我々は『ウルトラマンメビウス』(06年)で美保純(女優)に憑依した、「世界平和のために……」と善人面したサーペント星人みたいな侵略宇宙人が来たら、自ら進んで易々と合体、よろこんで身体を貸しちゃうようなケーソツな輩(やから)なんだヨ!(笑)


 自分は禁欲的で公平で「正義」がスキなタイプだと自認していても、それは単に気力&体力&ルックスのウラ付けがなくって、ご近所の子供グループ・学級などの集団内で不公平、損な役回りばかりを引き受けてきて自分の思いを押し出せなかったルサンチマン(怨恨)ゆえの、受動的に発生した付け焼刃な考え・美意識にすぎないのであって、決して元から天然で正義感が強かったり、強固な自己抑制力があったワケではナイとゆー。


 本当に心の底から真の意味で謙虚なのではなく、「正義の味方」なり一応の大物なり一角(ひとかど)の人物として注目されたり扱ってもらいたい、実はチヤホヤされていたい、という気持ちも否めないとゆー。
 もちろん筆者とて、俗物であり例外ではないのだが。
 (まぁそれを自覚していて隠したり抑制してみせるか、それとも他人に云ってもらうのならばともかく、ベタに自分で外に出して自慢げに吹聴せずにはおれないというところで差異は出てくるものだとは思うけど……でも本質的には両者に大差はない?・汗)。


 その解毒に、やはりパーフェクトではなくとも、「等身大の正義」や平成ライダーシリーズの白倉伸一郎プロデューサー&井上敏樹脚本路線のような作品群(https://katoku99.hatenablog.com/archive/category/%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%80%E3%83%BC)も、世には必要だと思われる(笑)。


 本作でも、少年主人公は強大な力を得た全能感・万能感を味わいたくって不良グループをノシ返し、ナゾの敵ロボ集団との戦いにも嬉々として赴いて、街や湾岸コンビナートを必要以上に破壊に巻き込むことにまったく躊躇や反省ナシ!


 イタイ、イタすぎる!(物語としてはイタ気持ちイイ)


 コレは、未開拓だった分野に一歩踏み込んだ作品の出現か!? とチョット期待したのだけれど……
 (脚本か演出の不備か、空回りしていてドラマとしては狙いがうまく作品に定着していないとも思ったが)。


 初期数話で、今までかばってくれたカッコよくって男気ある幼なじみの長身黒髪ロン毛の男友達への愛憎・嫉妬・卑下が入り混じった少年主人公の激白、逆に男友達も主人公への意外な本心を吐露して、その他いろいろの末に決着を経て、主人公はアッサリと改心。


 そのあとは、ナゾの(というワリにはクダケた)オモテ向きは医療器会社である巨大ロボ組織のハイテクビルに所属・寄宿して、上司や同世代が中心のいかにも記号的アニメキャラな男女ロボ乗りたちとの交流や、お約束反復ギャグにお風呂場なお色気シーンや鼻血ブー(死語・汗)を描く、アリガチなオタ向けロボアニメになってしまう……。ウ〜ム。


 まぁそーいうキャラ萌えやお色気のニーズが若いマニアに一定数確実にあるならば、民主主義(笑)としてそれはそれで別に構わないのだけれども、主人公の早い改心がとても残念。


 どうせ深夜アニメでビクター(JVC・fliyng DOG)で半年も放映できるなら、今さら云っても詮ないけど、このイタイ主人公をもっと執拗にイジワルに半年間ずっと描いてほしかったナ(汗)。


 ライトノベル涼宮ハルヒの憂鬱』(03年・06年TVアニメ化)のヒロイン・ハルヒが現実にいて、少しだけ気が弱かったりルックス的カリスマに恵まれていなかったら、彼女は奇矯な言動をイタがられて学校で孤立してうつむいていたろう……とか、
 萌え4コマ『らき☆すた』(04年・07年TVアニメ化)後の柊かがみが高校卒業後、進学先の大学でひとりぼっちになってるスレ(笑)とか、
 若いオタは全員「動物化」して陽だまりでマッタリまどろんでるのかと思いきや、一部でメタ的・批評的(笑)にイタ悲しさを満喫する妄想が隆盛なのを見るにつけ、本作『ラインバレル』のオタに近似したイジメられっコ・パシリ上がりの少年主人公が、それだけで善であるということではなしに、そこから脱しても今度は悪気はなくともヤボで世間知がないばかりに奇矯な発言・愚行や悲劇をジェットコースタームービーのように惹起、次は何をやらかすか!? 的な、『コードギアス 反逆のルルーシュ』(06年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20081005/p1)主人公や昼ドラ的半笑いネタ感&マジメなテーマを同時に両立する作品になっていれば、潜在ニーズに応えて次なる時代の鉱脈に昇華する可能性も、本作にはあったのではなかろうか?
 ネット上のフリー百科事典ほかを参照するに、原作マンガの設定を#1からしてチョコチョコ改変しているみたいだし、ならばなおさらのことアニメ独自の展開で……。


 中盤で優れた身体能力を失ってしまって、学校でまた底辺に置かれる主人公の残酷物語……なんてなイタイ展開もあってもイイだろうに。
 小説『野ブタ。をプロデュース』(04年・05年TVドラマ化)やフジ土曜深夜にTV化(07年)された少女漫画『ライフ』(02年)など、00年代に小説・漫画・ドラマでは登場するも、アニメでは未登場だったスクールカーストものも本作では描けたハズだ。


 本作主人公のイタイ性格設定は、しばらく他作で使えないであろうことを思うと非常に勿体ない。


(了)
(初出・オールジャンル同人誌『SHOUT!』VOL.46(08年12月28日発行))

鉄のラインバレル 〜後半評

(09年3月21日(土)執筆)


 ……などと、前段の「前半評」で散々にケチをつけてしまったが(汗)。


 ロボアニメ『鉄のラインバレル』も2クール半年の放映をもって無事に完結。


 正直、「もうイイカゲン視聴を打ち切ろうか」と何度思ったことやら(笑)。シリーズ前半、1クール目中後盤での感慨だけれども。


 もちろん筆者個人が望んでいた「理想」とは異なる展開だったから、という「無いものねだり」からの理由ではなくって……。


 が、関東近郊の残業ダメサラリーマンで、金曜は特に終電まで残業して自宅に午前さま1時半に帰宅する人間にとっては(汗)、関東キー局・金曜深夜の『ゴルゴ13(サーティーン)』や『マクロスF(フロンティア)』に本作『ラインバレル』やら、tvkテレビ神奈川)や東京MXテレビなどの深夜1〜2時台放映のアニメは生活リズム的にとても見やすい。


 ついつい全話を最終回まで視聴。


 途中、特に12月放映分の、死んだ男友達の自宅での例年変わらぬクリスマスパーティーを直前に控えた、敵に占拠された米軍の衛星レーザー兵器の成層圏での狙撃作戦・前後編あたりからは、違和感なく安心して観ていられるようになってきた。
 ベタな王道展開だけれども、個人的に感じていたそれまでの空回り感もなくなって、ドタバタで漫画チックではあっても、ウェルメイドなバトル作戦遂行ものの群像劇として。
 大スキということはナイけれど。思想的に特別に深い! ということもナイけれど。


 無意味な難解さや高尚ブリっコはまったくない、かといってオタク受けする美少女ハーレム的な要素も、今時の作品にしては美麗とは程遠い(笑)ラフで崩れたキャラデザ&作画のせいか、あまりベタついてはいない作風にも、まぁまぁの好感を持つようになっていく。
 (逆に云うと、それゆえそっち方面のオタク層にとってはキャッチーじゃなくなる懸念もあるけれど)


 主人公も初期編でのイタさはドコへやら、そのあとはけっこうイイ奴で……。
 というかフツーに根はスナオなイイ奴でありつつも、老成してしまったワケではなく、ミドルティーンの少年相応に血気に逸(はや)る熱血バカでもあって、作風にカラッとした乾いた明朗さを増している。
 むしろ少年マンガの主人公の王道っぽい。


 ついでに、学校でもかつてのイジメっコ不良のひとりや、のちに戦場でもロボ乗りとして活躍するプチ・ヤンキー(不良)な金髪新キャラ、幼なじみ少女に、ロボ組織の美少女ヒロインもジャンルのお約束で学校に転入してきて(笑)、「早瀬軍団」なぞという集団や子分・舎弟までをも従えて……。
 というか自分から望んで作った集団ではないので、正確には祭り上げられて……(自分で望んで派閥を作ったらつくづくイヤなヤツだけど)。


 そんなヤンキー要素が入ってきてしまう作品なぞ、繊細ナイーブなオタ向け生粋(きっすい)の美少女アニメでは考えにくい、そもそもアリエナイはずの展開だ。


 そのへんは最初からのメディアミックス作品ではなく(?)、オタ寄りの媒体とはいえ、角川・電撃系のようなそのものスバリのどストライク層を狙ったベタな媒体ではない、月刊「チャンピオンRED(レッド)」掲載の連載マンガ(04年)が原作のゆえか?


 まぁ我々オタのように生来からの恵まれていない非モテ属性で、生まれたときから地ベタの底をノタ打ち回っているような人種はともかく(笑)、たしかにオタ層と一般層との中間・境界層に位置するような人種にとっては、多少はルックスや身体能力にモテ趣味や話芸いずれかに恵まれていた場合に、背中を押してあげれば、それらの属性を鍛錬・伸長できて、思春期のころの中学デビュー・高校デビュー・進級デビューに成功したりすることもあるワケで。
 さらには、同性・異性を問わずに一般ピープルとの交友範囲を拡げて、その人脈を自動的に転がしていきつつ就職もできて、一応の人並みでまっとうな人生を送れてしまえたりもするワケで。


 この世で一般的に大多数にも必要とされる属性や能力に恵まれていれば、世間にもそう評されて、適度な自信も持てて、頼もしさも出てきて、それを足場に対人コミュニケーションにも踏み出しやすくなりドンドン場数も踏めて、善なる循環もはじまって、複数の女のコにチヤホヤされることも、この世はホントに不平等だが、たしかにあるにはある。
 (てか、筆者も人生の途上でそーいう転向者、裏切り者(笑)もとい成功者も幾人か見てきたような気もするが……。思い出さないでおこう・涙)


 別に本作が、あるいは以下に挙げるエピソードがそーいう意図でもって作劇されていたとはつゆ思わない。
 けれども、早瀬軍団が劇中舞台である神奈川県三浦市の街のカラオケボックスで、スペシャルコスプレカラオケ大会(笑)を開催した折(#17「機械じかけの呪い」・2009年1月放映分)、U字型ソファーの中央に陣取り、ダブル・トリプルヒロイン連に囲まれ色目を使われて、ヒロインたちはテーブルの下で互いを牽制し(汗)。
 そこはともかく、乾杯の音頭をふられて、一度はヤル気なさげに流しつつも、結局はキッチリとそれを務め上げてしまうあたりの主人公の余裕あふれてる描写、そのあともほどほどに楽しんでいるまでに成長(?)した描写、今どきの若者風に一応如才なくサバけてふるまえるようになっているあたり、異論もあるやもしれないけれど、ごく個人的にはまぁまぁさもありなんだとも思う。
 彼はそれ以前と比したら随分と生きやすくなったことであろう(……そんなことを云ってる筆者自身がドーなのかは、棚に上げておく・汗)。


 アニメの神さまのイタズラか、似たようなカラオケボックスのシチュエーションでも、30分まるまるをカラオケ歌唱とヒロインの他愛ない角逐に費やしてアキさせない「いるいる・あるある」度も高い職人芸脚本&演出の、08年秋季の美少女アニメかんなぎ』#10「カラオケ戦士 マイク貴子(たかこ)」(2008年12月放映分)における、場慣れしてなくてシャイでしどろもどろでヘタクソで、店員が配達に来ると照れが頂点に達して小声になってしまう少年主人公の描写とはどエライ違いだ(笑)。
 (作品やエピソードの狙いや意味もちがうので、安直に優劣を付けようというのではナイ)


 まぁこのへんは、本作のキャッチコピー・宣伝文句である、


 「『正義の味方』に、なりたかったのに」 「あなた、最低です!」


 が看板倒れになっていて、JARO(ジャロ)に訴えてやろうかと思わないでもなかったが(笑)。



 本作後半のストーリー展開としては、我ながらベタでボキャ貧な形容だが(汗)、いわゆる次から次へと事件が起きて、次回へのヒキも強くしていく怒涛の展開。そのへんはやはりクサっても、今時のゼロ年代の作品だナと。


 クールでスマートなメガネのカッコいい先輩成人ロボ乗りが組織を裏切って、ナゾの敵ロボ集団・加藤機関に移籍。
 加藤機関ほかによる日本の占領と、のちには世界各国とも講和を結び、主人公側組織をテロ組織扱いして弾圧。
 初期編で死亡したハズの、イジメられっコ主人公をかばってくれてきた幼なじみのロン毛の男友達のなぜかの復活(!)と、その彼が主人公とほぼ同格のロボ乗り資格者に変貌していて、それは何故? という顛末。


 そのワリには、一度は占拠された基地の奪還でセキュリティシステムを突破していくのに、それが往年の『アメリカ横断ウルトラクイズ』的なしょうもない出題100回のコテコテなギャグ描写になっていたり、自分たちが凶悪なテロリストでないことを示すために、ハリセン漫才番組やカラオケ大会を世界中に中継放送していたり(笑)。


 まぁそーいうユルい世界観で、非リアルなコミカル描写が許容される作品だったということですネ。


 その果てに、巨大ロボから降りて殴り合いをはじめたり、先輩も男友達も、敵の加藤機関との対立でさえも、「性善説」が勝利していき、周辺キャラも死亡しそうで結局は死亡しないで終わるハッピーエンドな物語。


 幾人かの主要敵味方キャラがこだわっていた、それぞれに一理や二理はありつつも、先輩ロボ乗りが少年時代に不良たちとケンカすることで実現しようとしていた未熟で不穏な「正義」観、敵組織のあまりに犠牲を強いる権謀術数・マキャベリズム全開過ぎな、司馬遼太郎描くところの西郷隆盛のごとく、一度焦土化してから全日本人を背筋の伸びたサムライ→近代的国民として立ち上がらせようとするような大局すぎる「正義」観。
 それであれば、「正義」があまたあってそれぞれに和合のしようがない、あるいは最後に和解するにしても、「正義」の解釈の多様さをめぐる価値観対立軸のせめぎあい・鍔ぜりあいをギリギリまでに描くのかと思いきや。
 全然無かったとは云わないけれども、突き詰めて描いて、何か少しでも今までに無かった、盲点だった新しい「正義」観に少しでも抵触してみせたということも特に無く(……無かったよね?・汗)。


 「高蓋然性世界(こうがいぜんせいせかい)」なる、要はパラレルワールド・平行世界(異世界)の地球から来たという敵。
 さらなる究極の和合・調和をめざして機械とネット的に融合して、感情と個性をDNAのゆらぎのレベルで保持しつつもほぼ喪失した人間たちという、往年のリアルロボアニメ『機甲界ガリアン』(84年)最終回のようなデジャブ(既視感)あふれる(王道ともいう・笑)設定の、敵&敵メカ巨大母艦。
 そのワリにはテンガロンハットをかぶったカウボーイスタイルで、クールでもそれなりにキャラが立っていて充分に個性も人格も意志もあるように見える(笑)敵の青年ロボ乗りが一応のラスボスとしてふるまって、主人公と「正義」に関する禅問答をくりひろげながらラストバトルを展開する!


 まぁこーいう一理ありつつも、ある意味で判りやすい理念の敵キャラの場合には、全体主義や20世紀前半の警察国家に対する批判のように、人々を守りたいからだ! という少年主人公の絶叫の方に「理」がやどってしまうのは当然でもあるワケで。


 (個人的には、先輩やら加藤機関の首魁らと、もっと込み入ったシチ面倒くさい「正義」問答をやらかして、犠牲が出ても割り切れなくても判っていて敢えてする「小悪」を含んだ、その冷徹な論理・プラグマティズム実用主義)・現実主義に釈然としなくても気圧される、というような描写が見たかったものだけど……)


 果ては、主人公の感情的爆発と連動して、ロボットも無限にパワーアップしてしまう精神主義的世界観。
 それに主要キャラたちのパワーが集約・合体していって、めいっぱい演出的にも盛り上げてくれて、超必殺ワザでお約束の大勝利!!


 それでも、『ウルトラマンダイナ』(97年)最終回(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971211/p1)みたいに、次元の狭間に落ちてそのまま帰ってこなかった! というようなラストになるのかと少しはプチフェイク的に思わせておきながらも、でもやっぱり……という展開で。



 半分バカにしたような書き方を散々してきたけれども、ここまでベタベタに開き直っていると、コレはコレでイイんじゃないですか? と実は思わされてしまった自分(笑)。


 物足りないヒトには物足りないのだろうし、本作の作劇をイヤがるヒトを説得する言葉も持ち合わせていないけど、筆者個人はけっこう本作とその後半の展開、および最終回が気に入ったのでありやした……。




追伸
 もちろん道理が通っていた場合には、一応の「正義」の遂行が重要・大切であることは云うまでもない。
 けれども、ミクロな人間関係・男女関係の中においては、特にそれが「正義」に対して潔癖な理想を持つマジメな良いヒトである人間であればあるほど、自分の真情を過剰に抑えて、場合によってはそれゆえに性格や行動が次第に歪んでいったり、他人に対してすらも寛容ではなくなり厳しい自戒的な態度を過剰に要求する弊は、たしかにありうることだとは思う。
 だから、この作品は「正義」を唱えつつも、同時に「(自分自身が)どうしたいか?」をハッキリさせろ、と劇中でも執拗に何度も各キャラに問い詰める。
 それも正しい難詰だとは思うけど、でもイジワルに見てしまえば、この作品での各キャラの「(自分自身が)どうしたいか?」は、男女関係のことを除けば、元々が根っこが善人な人間ばかりなので、「正義」と「(自分自身が)どうしたいか?」がお互いに相互に相反したり矛盾したりせずに、幸福な一致を見ていたり、見ていなくても「(自分自身が)どうしたいか?」ということの内容が反社会的であったり、エゴイスティックなものには偶然なっていなかっただけだ! とも云えなくもない。
 そんなワケで、別にお仕事としてあるいは義務として淡々粛々と、「(自分自身が)どうしたいか?」ではなく、本作劇中では分が悪く描かれた「どうすればいいか?」にももっと「理」を認めてやってくれよ! と思わないでもない。


 さらにヘリクツを云わせてもらえば、本作にかぎらないけれど、それらはあまりにも儒教的な「心情・動機至上主義」であって、動機は至純でも智恵がなければ失敗して多大な犠牲を伴い「悪」になることもある「結果主義的」な考え方も必要なんじゃねーの!? とツッコミたいところもあるのだが。
 まぁ十代の少年がメインターゲットであろうジュブナイルの本作に、そーいう夢も希望もなくなる批判はヤボだよナ。そのへんは歴史小説でも読んでカバーすればよいのだし……。
 まずは「夢」をいだいて、とりあえずはがんばろう!(笑)


 未成年の清くて(笑)定まっていない男女関係であれば、「(自分自身が)どうしたいか?」という理念や行動にも「理」はあると思う。
 けど、ある程度定まっている関係のふたりの恋路を邪魔したり、不倫や略奪愛をされてもこまってしまうワケで。
 ヘタに中二病的にロマンチックになって告白して相手に負担をかけたりせずに、胸に内にしまって花にしておけ! ……とかまだまだツッコミたいところもあるのだが。
 若いうちから頭デッカチになって、達観ばかりして行動しないヤツに成り下がってもナニなので止めておく(汗)。


 あと、「正義」をめぐる禅問答がイマイチだったと散々のたまったけれども、#18「メメント・モリ」において、
 「むかしの映画(註:『第三の男』・49年・アメリカ)にあったネ。ボルジア家30年の圧制は、ミケランジェロダ・ヴィンチルネサンスを産んだ。が、スイス500年の平和と民主主義は、鳩時計だけを産んだだけだ」。
 「『創造』を産むには何が必要か? 『抑圧』だ。『抑圧』から解放されようとあがくことが、『創造』を産む」。
 ……とかいうセリフは、もっとよりスレた人間から見たら青クサい議論に思えるのかもしれないけれども、こーいう現実世界&歴史は逆説と背理に満ち満ちている……といった箴言(しんげん)めいたセリフには、個人的にはシビれるというかやっぱりスキだな(笑)。


 なんだかんだ云っても本作は(本作にかぎらないけれど)、「正義」を遂行するのに必要な、割り切れない汚れ仕事は周囲の主要なオトナキャラたちが引き受けてあげて、事後はまぁまぁ汚れていない少年主人公に託した……というアリガチな作劇構造を持っていたとの腑分けも可能だ。
 よって、父殺し・親越えのような要素はあまり包含していない(だからダメだというのではなく)。


 あぁでも、心の中にトゲのように刺さっていた、幼なじみのロン毛の男友達を越えることはできた、という作劇はあったなぁとひとりツッコミ……。
 あまりオチてませんが、このへんで……。 


追伸2
 最終回、次元の狭間に主人公の巨大ロボが落ちたときにスレちがった、まったく見知らぬ別の巨大ロボとその搭乗者の少年少女の描写の意味が判らなかった。判らなくてもまったく問題なかったが。
 ネットで検索すれば、きっとすぐに判るのだろうけど、メンドウなのでそれはしない(笑)。


(了)


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コードギアス 反逆のルルーシュR2 〜総括・粗もあったが奇天烈傑作!

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