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コードギアス 反逆のルルーシュR2 〜最終回・総括・粗もあったが奇天烈傑作!


[アニメ] 〜全記事見出し一覧


(文・T.SATO)
 黒髪美少年主役&親友ライバル美少年の対立と、お目めパッチリキャラデザは、『機動戦士ガンダムSEED』(02年)系。
 制限ルール付き超能力は、『デスノート』(03年)。
 大英帝国占領下の日本は、911同時多発テロ〜『新ゴーマニズム宣言戦争論2』(01年・ISBN:4344001311)で勃発した、論壇の親米保守(≒新自由主義)VS反米保守(≒新保守主義)。


 ライバル日本人は名誉白人として体制内改革を、黒仮面のゼロとして日本独立ゲリラの重鎮に納まる主役の真の正体は、母を殺した父に復讐せんとする帝国第11皇子というネジレた構図!


 互いの正体を知らない主役&親友&ハーフのゲリラ少女は、1930年代上海(シャンハイ)チックな租界の高校・生徒会メンバーで学園モノ。
 ジェットコースタームービー展開にメカロボで、女子&エンタメ流行&批評オタ全方位ウケをねらいまくり!


 このテーマならやらなきゃウソな、気まぐれ皇女のご慈悲で実現する日本人だと名乗ることが許される五族協和な行政特区・日本。
 軍閥馬賊が跋扈する荒野より、満洲国や陥落後の南京の人口が増えた歴史が証すように、貧乏でも「自由」か服従でも「安全」かで、庶民は何を選択しゼロこと主役はどう出るか!?


 ポーカーフェイスだが内心は自信満々、天才的な知略・戦略眼で勝利しまくり、反体制運動の頭目にのし上る、しかし劇中内での絶対正義としては描かれないエキセントリックな主役。


 『デスノート』のようにモテの力で女を利用せず、意外とウブで盲目車椅子の妹を守るあたりの描写はオタの反発よけか(汗)。


 本作が深夜ワクではなく土6ワクで女子層にも大ヒットしてたら、批評オタらは反発覚えて『SEED』同様批判しまくったろうとの疑念もあるし(笑)、弱肉強食・新自由主義バンバンザイなベタなセリフを発して哄笑する大魔王のごとき皇帝など特撮変身モノの悪役的で、リアルとはいえんだろとも思うが、物語的なメリハリは立っているし、筆者個人の総合評価も高い。


 今春再開された『R2』も、よくネタが尽きずに毎回急展開を盛り込むナと感心。
 大使館の一室までならともかく、30分で百万人のゼロが国外退去で人工島に日本国を樹立。30分で中華連邦を占拠・同盟。
 15分(笑)で帝国に反発する47ヶ国の超合集国(世界連邦)が成立。……ンなアホな!


 『沈黙の艦隊』(89年・ISBN:4061026925)か小沢一郎日本改造計画』(93年・ISBN:4062064820)か、薩長土肥の各国は国軍を官軍ならぬ国連軍(黒の騎士団)に委譲。主役はCEO(笑)に就任。
 確かにスジとしては、国際社会に上位調停組織を作って国際慣習法を洗練させていくしかないんですよ。500年1000年後ならともかく100年200年じゃムリだろうが。


 ……って、日本独立の物語を超えてるよ!
 日中印ビルマも黒の騎士団に参加は、列強に対抗するため西洋化ではないオルタナティブな近代化をめざす明治期の大亜細亜主義か、昭和期の大東亜共栄圏に、石原莞爾『世界最終戦論』(1940年・最後の大戦争は日米決戦の趣旨・ISBN:4122038987)も掛けてるのか?
 分割して統治する西洋に前回はしてやられたが、印独立派ボースの求めに律儀に応じてインパール作戦で餓死者を出しませんように。


 帝国に拮抗する勢力を築いて終盤の準備は万端。でも合集国は実権のない亡命政府も混じってて実力的には大丈夫?


 さらにはウソのない世界をめざし(笑)、超能力や超古代文明の源らしき異空間の上空に浮かぶ巨大な木星みたいな神さま(?)の「神さま殺し」をもくろむ父皇帝。


 何だコリャ。まぁ国際政治話だけじゃ生グサすぎだし、SF要素で中和してケムに巻く終局装置だろうが、作品世界が相当キシんで既に1/4ほど空中分解している観もある。


 もちろん世界情勢の絵解きがあるからスゴいとは云わない。
 一昔前のリアルロボ(?)アニメ『ガサラキ』(98年)終盤で、「反米保守」論を物語としてなじませず、セリフのみで解説・展開していたような作劇なぞは最悪だ。
 一部の批評系マニア受けのみに走らずに、サイレントマジョリティのマニア(笑)への接点・間口も忘れずに、たとえ人間関係が狭かろうとも高校・学園での男女が付いた離れたなどのドタバタや恋情描写などのミクロとの往復運動も忘れずに、各陣営に複数キャラを配してリアルかはともかく、アヤトリの糸のような対角線的な因縁関係を複数持たせて駆動する作劇こそが、この作品に生命を与えている。


 コレは必ずしも批判ではないけれど、リアリズムよりも世界&歴史の象徴・寓意、さらにそれ以上に毎回の急展開のサプライズ(驚き)の方こそを優先する本作。
 それゆえアメリカがなければ日本に維新はなかったとか(アジア的停滞にあった中韓じゃあるまいに列強が近海に出没してたのに開国近代化しなかったワケがない!)、英国の架空の近代史云々のウラ設定を語ることなぞは二次的なことであって、この作品の内実を真に語ったことにはならないとも思うけど、本作の特色としては、作品アングルの外側の要素で逆転・変転を多用する確信犯作劇があることは指摘したい。


 訓練した形跡もないのに新機能でメカロボが空を飛んで大活躍! 海底のメタンガスが大誘爆! 中華各地で暴動発生! 百万人のゼロ!(服と仮面はドコから調達?・笑)
 コレらの描写をリアル系のキャラデザや実写でやったら嘘クサさがきっと際立つゾ。
 なぜかロボ乗りライバル少年が艦隊を総指揮、車椅子の妹が占領下日本の新総督になって行政特区日本を再構築、川に落ちて死んだと思いきや大丈夫な副指令、敵だった没落貴族の味方化、などなど相当ムチャもある。
 超能力キャンセラーで主役少年の正体の記憶が甦ってしまった女子生徒のあまりにも早い退場など、ヒイてジラして盛り上げるサスペンスは放棄して、キャラが展開のためのコマと化している面もある。
 そこは弱点だと認めるが、私的には許容範囲だし感情的には結構スキだ(笑)。


 ライバル専用の中型ロボットは核兵器(?)も搭載。彼にも主役同様、大量殺傷の罪を負わすのか? 作り手はライバルをも日常に帰す気まるでない?


 それじゃあ主要キャラではなく『新機動戦記ガンダムW(ウイング)』(95年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19990805/p1)みたいに、妹総督や天子に天皇ら無垢な少女キャラらに世界を禅譲するしかオチがナイのじゃあ(汗)。


 ……エリアイレブンこと植民地日本は、チベット・新疆ウイグル内モンゴルなど21世紀の現実にも存在するワケで、事実はアニメよりも奇なり。


(了)
(初出・オールジャンル同人誌『SHOUT!』VOL.45(08年8月15日発行))


コードギアス反逆のルルーシュR2 〜終盤・完結! 〜コードギアス総論

 以上、08年8月上旬放映分までの感想。
 その後、わずか2ヶ月弱の8〜9月の8話分ほどの間でも紆余曲折がまだまだ続いて、ドーなることやらと思いつつも、最終的には見事に完結!


 最終回ラストがあまりに決まりすぎているトコを見るにつけ、こりゃもう本作第1期の時点ではともかく、今期『R2』のシリーズ構成の構想を行なった時点で、谷口悟朗監督やら脚本家陣ら主要スタッフの間では、最終回ラストの決着が絵的な構図に至るまで、そして途中途中のもろもろのイベントについても、時期的な配分が相当細かくできていたのでしょうナ。


 もちろんそれが悪いというのではナイ。けれどもそれゆえ、遊びの余地や視聴者のリアルタイムの反響、時代の空気を数ヶ月のタイムラグはあっても(笑)多少は組み込んで変形・反映・化けさせていくようなライブ感には乏しかったともいえ、それゆえに作品に良く出来た作り物めいたハコ庭感覚も多少はある。
 けれども、それは致命的な欠陥ということではなく、これはこれでイイし、ココまで作りこまれている作品もめったにないことを思えば、本作にコレ以上を望むのはゼイタクにすぎる要望かナとも思う。
 個人的に云うならば、そーいう欠点や感慨を抱かせても、それでも本作がスキではあるのだし……。


 とはいえ、あばたもえくぼ、信者的に持ち上げるのも趣味じゃないので、8月以降の展開に即して欠点も指摘していきたい。

 


 まず、日本・中華を主体とした超合衆国の軍隊と化した黒の騎士団による大英帝国占領下の日本奪回、第二次東京決戦でついに炸裂してしまう大英帝国核兵器(?)フレイア。


 主要キャラ中の学園の生徒会メンバーの眼鏡っ娘が作っちゃうのも世界が狭い気がするが、まあそのへんはドコまで行ってもフィクション・マンガだし、いきなりポッと出の第三者の新キャラが出てきて苦悩ドラマをやられても煩雑だし作品への求心力も下がるので、コレもコレでイイと思う。
 てか、眼鏡っ娘ニーナの名字はアインシュタインだったのかよ!?(笑)


 事前に核実験があってメカロボにも搭載されたからには、物語的には使用フラグが立って、まず間違いなくドコかで実戦使用されてしまうだろうことは、よほどのウブな十代初心者マニアならばともかく誰でも想像がつくところ。
 実際に戦線投入されて、その戦果を見るや敵味方ともに、コレはもう戦争ですらない、ある一線を超えた反則だ! 一方的な虐殺だ! との感慨をいだかしめるのは、TVアニメ『天空のエスカフローネ』(96年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19990911/p1)終盤の新型爆弾(これも核?)のくだりを思い出す。


 てか、それは現実世界の60余年前でも同じであって、だから世界中の多くの人々は、大量破壊兵器たる核兵器の登場と第2次大戦終了直後の厭戦気分で、もう新たな戦争はコレ以上できないだろうと思ってたら、すぐに冷戦体制化で核競争がはじまって、その状況にも慣れちゃって……(汗)。
 でも、以後の60余年は、核実験はともかく一度も実戦投入されたことはなかったのだともいえ、そのかぎりで人類には自制心があるともいえるのだが。


 で、作品をサカナにそーいうウンチク話を心置きなくしたいところだけど、実際には作品における爆心地や被害描写がオカシイので、そーもいかない(汗)。
 多分わかっていてあえて確信犯でやっているのだろうけど、あるいは深夜ワクではなく日曜夕方という時間帯を考慮した制作スタッフ連による自主規制なのだろうけど、崩壊した建物や被災した人々の群れに血や膿や死体や服装ボロボロといったものがほとんど描かれない。
 (本作第1期(06年)終盤では、行政特区日本の式典に集まった日本人多数に対する虐殺描写が描かれていたというのに……・汗)


 誰もが違和感をいだくと思うが、一次被害で2500万人が死んだという話だって、広島・長崎でも10万人単位なのに、『コードギアス』世界における日本と東京租界の人口は知らないが、別に大きく変える意味も必然性もないだろうから(笑)ほぼ同等だと考えると、東京都民が1千万人だとしても関東一円が全滅するくらいでないと辻褄が合わない。


 それにしちゃあグラウンド・ゼロこと爆心地のクレーターの直径は1キロもなさそうだし、環状の山手線圏内とおぼしき東京租界にある学園でさえも残ってる(汗)。
 セリフで半壊したといわれるワリには瓦礫も描かれず(だよね?)、残存校舎の外装もキレイに残っていたりする……。
 元・生徒会長少女にして、アナウンサー(お天気お姉さん?)に出世したミレイ嬢も服が汚れてないので、命からがら学園にたどりついたという風もない。


 やはりコレでは違和感が先に立ってしまって、切実感を持って観ていくことができないなあ。
 『マクロス』シリーズで有名な河森正治(かわもり・しょうじ)カントクの90年代以降の作品だと、自身の発言通り、良く云えばメタフィクション、悪く云えば楽屋オチ、作品世界を台無しにしかねない思わず失笑させてしまう描写を(『エスカフローネ』で皇帝ドルンカークが主人公少女と少年の付いた離れたを天体望遠鏡で覗き見して、不確定要素の行動にイチイチ驚嘆の声をあげたりするというような・笑)、コレは所詮はフィクション・物語ですよ〜という告知のイミで確信犯で入れているが、今回の核兵器・フレイアによる被災描写は、そーいう意図から来たものではないだろう(?)。


 


 で、イロイロあって、ゼロの正体が第11皇子ルルーシュであり、しかも催眠超能力で人心を操っていたことが、ゼロ率いる黒の騎士団幹部にもバレて、ゼロことルルーシュはすべてを失うも、太平洋上の神根島にある超古代遺跡で何事かたくらむ父皇帝だけにはせめて復讐せんがために、現地へと向かう。
 遺跡の中に潜入するや、以前も中華連邦領内にあったギアス嚮団(きょうだん)を壊滅させた際にも潜入した異次元世界、巨大な木星(?)が頭上に浮かぶ「C(シー)の世界」にまたまた到着。
 (Cといっても、日本共産党の志位…………。なんでもない・汗)

 
 父皇帝と息子ルルーシュとの最終対決の舞台となるかと思われた「Cの世界」、皇帝いわく「神殺し」のもくろみも、オーラス前に早々決着!
 「神殺し」というのがよくわからないが(笑)、超古代遺跡から潜入できる異次元世界・Cの世界の中空に浮かぶ巨大な木星(?)。
 アレが要は神であり、同時に心理学者ユング云うところの人間の集合無意識でもあるらしい。


 それを「Cの世界」の大地からせり上がるネジレた巨大な針だか槍(やり)でブッ刺すことが、「ラグナレクの接続」とかで、生きている人間同士ではペルソナ(仮面)なしの誤解の余地なしでコミュニケーションができて、死んだ御仁(この場合はルルーシュの母でもあるマリアンヌ)とも意思疎通が、あるいは肉体が保存されていれば復活すらもができるらしい。
 ということは、『新世紀エヴァンゲリオン』(95年)終盤の人類補完計画とは異なり、肉体は残ったままでの自他宥和ということだよネ?
 でも、それって集合無意識に直結するということで、集合無意識自体(神)を殺したワケじゃないじゃん、とかツッコミたくなるが、まあイイか。


 が、皇帝とルルーシュとの禅問答の果てに、ルルがそれは人間の時間の歩みを止めることであると喝破! 木星に対して(!)ギアス超能力をかけたんだか単に祈り願ったのか、左の目ん玉から羽ばたく鳥が飛び出す超能力イメージ図はなかった気もするし、木星にルルの眼を見る目玉もないとは思うのだが(笑)、願いを聞き入れたのか、ネジレた巨大槍は崩壊。
 さらには、計画が頓挫するや、理想的でもナンでもない正体はロクでもなかった母ちゃんと父皇帝は、光の粒子になってご退場。


 このへんも、初見で視聴しているときはともかく、あとから理性的になって考えると、けっこうご都合で、計画が頓挫するまでのくだりはともかく、失敗するや皇帝まで消失しちゃう(集合無意識の意志により吸収された?)のが、なぜだかはまったく判らない(笑)。
 映像演出的には、とりあえずそーいうことになっているのだろう的に有無を云わさず強引にナットクさせられるし(演出の勝利!)、もちろんそこで煩雑なことをやられてまだまだ引きずったならばアレなので、シリーズ構成的には残りの展開で他に描くべきこともあるのだろうから、このへんでご退場を願ってもイイのだろう!?


 「ウソのない世界」をめざすという、何かイキナシ思春期の中二病少年のようなことをのたまう父皇帝。
 要は、「お互いに誤解しあうことがない世界」ということで、そのために世の中や人間関係における諍(いさか)いの原因のひとつであるペルソナ(仮面)をなくしてしまおうということだ。


 まぁこの歳になるとアニメから何かを教えてもらおうとは思わなくなるし、ウス汚れてしまった筆者なぞは、他人をダマし陥(おとしい)れるためのウソではこまるけど、性善性悪あい半ば拮抗するのが人間なのだから、ウソなしに本心をさらしてもそれが毒であったり悪であったりする可能性もあるのだから、フィルターにかけたり潤滑油や社交辞令、いたわりや思いやりとしてのウソなんかはドンドン付けばイイと思っているくらいなのだけど(笑)。


 「ウソのない世界」という概念に、共感や敵側の一理や深みを見ている思春期の少年少女もいるやもしれないので、頭からバカにしたらマズいかな?
 なにか土6アニメ『天保異聞 妖奇士(あやかしあやし)』(06年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070317/p1)中盤でも、中米アステカの末裔無口少女アトルの潔癖症から、ペルソナをキラうお面の妖怪話で、TPOに応じて付ける多数の仮面をオトナとして肯定せよと結論付けた話を思い出したり……。


 とはいえ大きな欠点としては、第1期の新自由主義・弱肉強食バンバンザイなセリフを発していた父皇帝の人物像とは同一人物とは思えない。ストレートにつながらないあたりは指摘したい。
 だいたい皇帝の座をゲットするのに自身もウソや権謀術数を弄してきて、以後も皇帝という役割の仮面をかぶってきたハズで、しかもそれで成功したのなら自身の方法論に執着して、勝利すればウソもオッケー! 的な信念の持主になっていると考えるのがナチュラルな流れだと思うのだが(笑)。
 一応、若いころの皇族間での権力闘争に嫌気が差したとのことだが、本編中での動機的説得力には欠けていて、取って付けた感は否めない。


 でもまあ面白かったといえば面白かったけど、ヨコ道にそれたといえばそーも云える。
 とりあえずはアニメ史的にも、『新世紀エヴァンゲリオン』(95年)終盤の「人類補完計画」(の否定)、自他融解・合体よりも個であることを肯定する! という文脈を押さえてみました。カスってみました。
 さらには個であることを再選択した先にはハッピーエンドではなく、やはり現実世界の自己と他者との間に残る、あるいは社会と社会の間に残る闘争・紛争に向かい合ってみました。だからひょっとしたら『エヴァ』の先を描いてみたトコもあるやもしれません。
 よって、批評オタのみなさん、分析・後付けリクツをよろしくお願いいたします! 的な作劇なのだろう(そうか!?)。


 まぁこのへんもジャンル史的には『エヴァ』の「人類補完計画」が超メジャーではあっても、直接的な影響下にないものや変化球、拡張したところで母胎回帰や群体に全体主義への隠喩や批判も含めれば、バリエーションはイロイロあるだろう。
 『エスカフローネ』での“絶対幸運圏”とか、『妖奇士』におけるある種の人々がその心を惹かれてしまう“異界”とか、海外SF『新スタートレック』(87年)の機械生命集合体のボーグとか、それを引用したところもあると思われる国産アニメ『マクロスF(フロンティア)』(08年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20080930/p1)の甲虫型宇宙生物バジュラの群れなども。


 これらはだいたい、全体主義や自他融解を否定して、個として屹立することを賞揚するというのがオチだ。
 個であるからこそすばらしい。淋しいから他人を求めて愛さずにはいられない、とかいうリクツは一理も二理もあるけれど、個人的にはもう耳にタコ、そんな全体主義個人主義かのデジタルな二元論に陥らずに、その中間とかでそろそろ違ったことを云え! と思わないでもない。


 近代的個人として屹立したからって、個だけでも生きられない、血縁・地縁・職場・趣味の共同体(仮想的なものも含む)・国家等のコミュニティから疎外されてて、家族や友や仕事や社会との接点がなければ、精神を病んできちゃうとか、孤独に押しつぶされて互助もなくて、カミさん子供を養っていない我々独身オタク族のように、最期(さいご)は団地で孤独死だネ! なんてなこともありうるワケだから(笑)。


 まぁこのへんも、本作『コードギアス』の主眼テーマではないので、許容範囲というか我ながらドーでもいいイジワルなツッコミにすぎないが。
 とにかく個人的には、「Cの世界」なんてドーでもイイから、世界地図を盤上・ゲーム盤に見立てて、大英帝国VSルルーシュ率いる黒の騎士団(超合集国)が、盗りつ盗られつの国盗り合戦するところを見たかったというのもあるけれど。
 などという発言をすると、オタ第3世代セカイ系ならぬ典型的なオタ第2世代シャカイ派としてレッテル・マッピングされてしまいそうだが(笑)。



 紳士的な切れ者の金髪ハンサム第2皇子シュナイゼルの配下に一度は付き、皇帝暗殺のために超古代遺跡に潜入した親友スザクは、ルルと皇帝の対決の一部始終を目撃。ルルの真意を悟ったスザクは、以後はルルと意気投合。
 その手を血で汚してきたルルと、核兵器フレイアの発射で大量殺傷の大罪を背負ってしまったスザクが、自らに対する落とし前として決着を付けるために敢行する「ゼロ・レクイエム」で、私的には終盤は大いに盛り返してくれた。


 まぁ常識的に考えて、いかに理由や大義があろうとも、目的のためには手段を選ばず、人心を操りあまたの人命をも奪ってきたキャラクターが、その過程においては背徳的な快感が登場人物・視聴者ともにあったとしても、最後の最後に至るまでをも倫理的なおとがめなしに、ヌケヌケと生き残っていたりするのは、一般的には釈然としないし後味も悪い。
 よって、『デスノート』主人公のように最後には死の報いがあるだろうと、ある程度スレたマニアならば誰もが予想をするだろう。


 ただ、それが亡き父皇帝のあとに、次代の少年皇帝となって大英帝国の頂点に登りつめ、超合集国にも強引に参画して掌握しようとし、しかして第2皇子シュナイゼルの残存勢力の横ヤリが入って、ルル率いる大英帝国VSシュナイゼル軍&黒の騎士団(超合集国)連合軍!
 

 それをも打ち負かして、ついには世界の頂点に立って、敵軍の首謀者どもを市中引き回しの上、打ち首獄門にするTV生中継パレードのさなか、世界中の人々の怨嗟の的になったところで、ゼロの扮装をさせた親友に自らを討たせる主人公!
 そこに駆けつけて人質を解放する残存勢力! 世界の憎悪を十字架として一身に引き受けて殺されることでせめてもの贖罪として、逆説的に世界を安堵と歓喜に導く主人公!
 となっていく展開は、終盤に入れば主役&親友の屈折した意図が見えてはくるものの、本作中途までには想像だにしないオチではあった。


 ……いやもう男子の本懐ですよ。世界はその真相を知らなくとも、親友や近辺のシンパは知っていてくれる。一時は敵対したにしてもその真意を瞬時に察してくれる人間も何人かはいてくれれば、たしかにもう思い残すことはない。
 まぁイジワルに見れば、カッコつけやがって最後に自己陶酔しながら死んでいったんだろう! とのケチもつけられるが、それくらいの甘美を味わうことは許してあげて然るべき(笑)。
 てか、凡人はここまでの大事を成し遂げることができず、フツーは建業の志なかばにしてブザマに敗退して散っていくのが関の山ですが。


 一応の巨悪の役回りに徹することで、統一なり結束なりに世界を導いていくというネジレたポリシーは、まずは巨大な脅威をもたらし世界が統一された暁には、自身の私的武装組織が敗退しても構わないと設立者の科学バカ爺さんが考えていたとおぼしき『機動戦士ガンダム00(ダブルオー)』(07年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20080330/p1)にも通じるものがある。
 まぁ『北斗の拳』(83年)の宿敵・拳王ラオウでも、『仮面ライダー剣ブレイド)』(04年)終盤でも、童話『泣いた赤鬼』(1933年・ISBN:4039635906)の青鬼でも何でもイイけれど(笑)。


 ただしこの過程で、欲のない英明なシュナイゼル殿下が、記号的・図式的な権力悪・政治悪・軍事悪的な存在に寄ってしまうのは多少釈然としないし、個人的にはチョット残念。
 まず、国や民族や神話・物語に頼ることの半ばのコッケイさと半ばの必要悪を自覚して、それを演じてふるまうような聡明な彼ならば、ルルの「ゼロ・レクイエム」というもくろみをも最後で見抜いてしまいそうだ。
 次に、伝統的・穏健な一応の正統性ある「権威」でなしに、核兵器の「脅威」でもって世界を平和に導くような強引でヤボ・下品なことを彼みたいなタイプがするだろうか? という疑問やキャラ的不整合も感じる。


 父皇帝が過去に囚(とら)われていて、兄殿下が現在のみを見ていて、弟ルルは未来の変化に賭けていて、という3項対比も図式的にすぎてホントかよ!?
 留保や自己懐疑なき進歩主義バンバンザイじゃマズいだろ! 温故知新だってあるだろ! 現代で立ち向かわずに未来に問題を先送りにしているとの批判も可能だよ! とのプチツッコミも少ししたくなる。


 ……が、そこまで云い出すと、終盤クライマックスでの主要キャラの対立・対比や動機の明快化、大スケール大バトル大団円の舞台立て、という娯楽活劇作品としての作劇が成り立たなくなるので、アレもアレでよしとしよう!(笑)



 まぁこのシュナイゼルの描写にかぎらず、『マクロスF』最終回並みにご都合主義なところは、本作にもやはりあった。


 爆心地近辺にいたにも関わらず、盲目車椅子の妹が実は生きていた! とか、最終回で黒の騎士団のエースたるハーフ少女・紅月カレン駆るロボットが、親友スザクのロボットを貫いて大爆発したのに生きていた! とか(……まぁジャンル作品のお約束で、アソコで死んだとは当方も思ってはいなかったけど・笑)。
 ルルが事前にビデオで想定問答を録画して、それを兄殿下との会話でナマ通信のフリして流していた! なんてあたりもそーとーキワドイ。
 それとコレは、展開の意外性やサプライズ、敵味方の戦力バランスを考えてのことだと思うが、ゼロの正体を第11皇子と知ったイカレた没落貴族オレンジことジェレミアが以後、アソコまでルルに忠誠を尽くして紳士で騎士道なイイ人になってしまうのは、やはりご都合にすぎて、作り物めいた感はある。
 大英帝国(神聖ブリタニア帝国)なのに、シャルルやマリアンヌはフランス人名だとか、ビスマルクはドイツ人名だろとか、そーいうあたりのマンガっぽさはベツにイイんだけれども。


 それと、ルルーシュが死んだあと、世界に平和がホントに訪れるのか? という疑問符もある。とはいえ当然、以前よりかは相対的にマトモな世の中なのだろう。
 もちろん『新機動戦記ガンダムW』の不肖の続編OVA『〜Endless Waltz(エンドレスワルツ)』(97年)ラストのように以後、世界から戦争は根絶された……などと語られてしまっても、ウソ付け! 的に幻滅してしまうけど(笑)。


 フツーに考えれば、しばらくしたらまた国家間の紛争なり2大国の冷戦体制が樹立されてしまうのでは? とも思ってしまうのだが、もちろんそこまでを描く必要はさらさらなく、ミクロの次元の個々の人物・人間関係に立ち返って、圧制の重しが取れて安堵しているハッピーエンドの図の方が、物語としてはキレイで美しくてイイと思う。



 などとココまで散々に大文字の話をしてきたが、やはり兄の真意を最後の最後になって悟って、その死にひとり号泣する悲劇の役回りをふられた妹ナナリー演じる名塚佳織の嗚咽・泣きの芝居には、コチラもつられてひたすら滂沱の涙……。


 というワケで、歪(いびつ)なところも多々あったことは指摘しておきたいし、信者的に持ち上げる気はないけれど、トータルではやはり本作を高く評価しておきたい。
 つーか、前例のないとてつもない作品だよ……。


(了)


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