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ウルトラマンエース45話「大ピンチ! エースを救え!」 〜終盤の隠れた名作バトル編!

(ファミリー劇場『ウルトラマンA』放映・連動連載!)
『ウルトラマンエース』#39「セブンの命! エースの命!」 〜TACの新兵器・シルバーシャークも登場!
『ウルトラマンエース』#44「節分怪談! 光る豆」 ~TACの新兵器・ゴールデンホーク! M78星雲・光の国も初登場!
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「ウルトラマンA 再評価・全話評!」 〜全記事見出し一覧
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『ウルトラマンエース』45話「大ピンチ! エースを救え!」 〜終盤の隠れた名作バトル編!

(脚本・石堂淑朗 監督・筧正典 特殊技術・佐川和夫)
(文・久保達也)


 防衛組織・TAC(タック)の観測衛星ジュピター2号が突如消息を絶った。地球への落下が心配される中、手製の天体望遠鏡で毎晩星を観測し、「星バカ」と級友からからかわれている少年・ユタカが、ガスタンク群の中にジュピター2号が落下するのを目撃する。


 ジュピター2号はガスタンクと同じような形状に変化を遂げ、夜の闇の中で赤く妖しげに明滅した。守衛の父親とともに警察に通報するユタカだが、周囲のガスタンクとまったく区別がつかないために信用してもらえない。TACによってジュピター2号は宇宙空間でガス超獣ガスゲゴンに取り憑かれたことが判明。TACはガスゲゴンがエネルギー源とするガスをタンクから抜き取り、超獣の脅威から街を守ろうとするが……



 人工衛星を隠れ蓑として宇宙から襲来する怪獣としては、すでに『帰ってきたウルトラマン』(71年)第29話『次郎くん怪獣にのる』に登場した、やどかり怪獣ヤドカリンがMAT(マット)の無人観測ステーション№5(ナンバーファイブ)に住みついて地球に来た前例があった。その後、実際の現実世界においても、制御不能となった人工衛星が地球に落下する事件が何件も起きている。現実感をともなった恐怖が先見の明をもってして描かれているとも云えて、これまた行き過ぎた科学の発展に対して警鐘を鳴らしているとも見てとれよう。


 というのはキレイごとのタテマエであって、人工衛星がガスタンクそっくりに化けているといった設定は、やっぱりムリがあるだろう。超獣の超能力でガスタンクの中に乗り移ってしまったのだ! くらいにしておけばよかったのに(笑)。


 工場の守衛を務める父とふたり暮らしのユタカ少年の茶目っ気ぶりと、狭い住処ながらも楽しい生活臭が、戦闘色豊かな本話の中での彩りになっている。第12話『サボテン地獄の赤い花』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20060801/p1)(脚本・上原正三)のサボテン売りの東京下町の父子ふたり暮らしと双璧でもある、『A』のベスト親子だ!


 ユタカ少年を演じたのは『トリプルファイター』(72年)で大野あつし役でレギュラー出演していた石井秀人だ。同作品で万能ロボット・ブルコンの声を演じていた石山克己も、本話では工場主の役として素顔で出演している。


 第38話『復活! ウルトラの父』では冒頭、孤児院の明るく元気で乱暴な男の子たちが雪だるまを棒で叩きまくっていたり、木の上からホースで水を浴びせるイタズラをしていたが、本話でもユタカの友人たちが「星バカ!」「星バカ〜!」と散々にからかって去っていく。ひとりだけ、彼らが去ったあとになって(汗)「イヤな奴らだよな」とかばってはくれてはいるものの…… 遅いよ!(笑)
 とはいえ、彼らが去る前にかばってしまっては、彼もまたイジメのターゲットにされてしまうであろうことは、小学生でも、あるいは小学生だからこそ直観的にわかることでもある(汗)。その意味では、仕方がないことだし、リアルでもあるのだ(汗)。他愛のないシーンなのだが、子供たちの残酷な真実を一方では表していて、こういったあたりは、ウルトラシリーズの石堂脚本回ではよく見られる子供描写なのだ。



 TACが行方不明のジュピター2号をいつどこに落ちるかわからないと焦燥感をつのらせながら捜索したり、ガスタンク群の中で超獣の卵を攻撃するのが危険と判断。タンクからガスを静かに抜いていき、それを不安そうに見守る守衛の親子……と、いつ超獣が出現し、タンク群が炎に包まれるかもしれないといった、迫り来る恐怖がAパートでは静かに、そしてサスペンスたっぷりに描かれている。


 その中でTACの隊員たちが、適材適所に実にうまく配置されている。


 「地球に落下する前に燃え尽きてしまったのかもしれない」と判断する美川のり子隊員に対し、「いや、燃え尽きてしまうにはエネルギーが大きすぎる」と主張する山中隊員。超獣の卵に接近しようとする北斗隊員を制止して、ガイガーカウンターを向けて静かに近づいていく吉村隊員。ガス抜きの作業を買って出る今野隊員。各キャラの個性・持味がいかんなく発揮されているのが、実によい。


 そして、Bパートに突入するや、その不気味な静寂は突如として打ち破られる。タンクから抜かれたはずのガスを超獣の卵が吸収し、超獣ガスゲゴンとして巨大化したのだ!


 ガスゲゴンは右の頬(ほほ)に濃縮ガスを、左の頬に液体ガスを貯蔵し(あくまでも設定であって、劇中では説明されていないので念のため)、口の中でそれらを混ぜ合わせ、猛烈な火炎を吐きながら暴れ回る!


 ガスで充満したガスゲゴンをうかつに攻撃できるはずもない。TACをあざ笑うかのように、果てしなく繰り広げられる破壊絵巻が迫力満点である。


 ガスタンク群は徹底的に破壊され、守衛の親子も我が家を焼かれてまった。工場主も、大切な望遠鏡を失ったユタカも、


「何をやってるんだ! TACが来たせいだ!」


などとTACを非難する。第43話『怪談 雪男の叫び!』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20070224/p1)同様に、石堂先生が好んで描く、愛すべきと同時に、理不尽でもある大衆の身勝手さだ(笑)。


 だが、TACだってこの事態をだまって手をこまねいて見ているわけではない。珍しく本部にひとり残された山中隊員が戦闘機・タックスペースで駆けつけ、ガス爆発の危険ゆえに火力を使えない敵に対して、冷凍弾を頭上からガスゲゴンに浴びせる!


 しかし、あまりに熱を帯びたガスゲゴンはしばらくすると解凍し、タックスペースは撃墜されてしまう!


 一方、いったん退却した竜隊長と山中以外の隊員たちはガス中和剤を詰め込んで戦闘機・タックファルコンで出撃!


 第39話『セブンの命! エースの命!』で火炎超獣ファイヤーモンスを倒したTACの新兵器・シルバーシャークが、なんと本話でも投入されたが使用されずに終わっている。第39話とも同様に、ジープに2連装の砲口を持つビーム兵器・シルバーシャークが搭載されいてる。
 石堂はよく他人の脚本や設定を読まないと豪語して、それを真(ま)に受けているマニアも多いが、本心というより偽悪・韜晦(とうかい)としての物言いの側面も強いだろう〜その3。その2は、第38話『復活! ウルトラの父』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20070121/p1)評。その4は、第47話『山椒魚(さんしょううお)の呪い!』評にて(笑)。



 ウルトラマンエースも登場するが、ガス噴射と火炎のダブル攻撃にムチ状にしなる両腕に苦しめられ、さしものエースも大ピンチ!


 そこへタックスペースを撃墜されたことで脱出し、TACガンを二丁拳銃にした山中隊員が駆けつけて、ガスゲゴンの気をそらした!


 エースとガスゲゴンの手前を合成された山中隊員が横切って、TACガンから超獣ガスゲゴンに向かって、さらに光線までもが合成されている特撮カットが良い味を出している!


 それを見た竜隊長も、タックファルコンでガスゲゴンの注意を引きつける!


 そして、ユタカが掛けた言葉、


「地上で攻撃できないんなら、超獣を空高く運んで爆発させればいいじゃないか」


を実践せんとばかりに、エースは超獣ガスゲゴンを抱えて宇宙へと飛ぶ!!


 それを追って、宇宙に飛び出すタックファルコン!


 エースはガスゲゴンを離した!


 それに向かってタックファルコンは機首からレーザー光線を放った!


 宇宙空間で爆発四散するガスゲゴン!!


 またしてもエースとTACの華麗なる連係プレーの炸裂だ!


 そして今回は、TACが超獣にトドメを刺してみせたパターン破りだ!



 まさに『大ピンチ! エースを救え!』のサブタイトルに恥じない、スリル満点の第4クールにおける屈指の娯楽作品であった。前兆 → 事件発生 → 怪獣出現 → 防衛チームの攻撃 → ウルトラマン登場 → 大バトル! の図式にのっとった正統派であるわけだ。あの初代『ウルトラマン』(66年)もそうであった、怪獣もの、あるいはヒーローもの本来の作劇になっているのだ! 「原点回帰」を掲げるような特撮変身ヒーローものであれば、まずこういった路線を目指すべきだろう!



<こだわりコーナー>


*後年の『ウルトラマンティガ』(96年)第4話『サ・ヨ・ナ・ラ地球』(脚本・宮沢秀則 https://katoku99.hatenablog.com/entry/19961201/p1)にも、人工衛星ジュピター2号ならぬ有人宇宙探査船ジュピター3号が登場するが、本話へのオマージュ……ということは絶対にないだろうな、たぶん。


*本話に限って、ラストにブルーバックに白い細いゴジック体の文字で「このドラマはフィクションであり 登場する人物・団体等の 名称はすべて架空のものです」とのテロップの画面が出てくる。何か不都合な内容があったのだろうか? ガズタンクの爆発ネタがよろしくないであろうとエクスキューズ的に入れた字幕なのであろうか? それとも、単に間違って尺でも切り過ぎてしまって、その帳尻合わせでこのカットを追加したものであろうか?(笑)


*視聴率19.2%


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2007年号』(06年12月30日発行)『ウルトラマンA』再評価・全話評大特集より抜粋)



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