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ウルトラマンエース50話「東京大混乱! 狂った信号」 ~意外な快作バトル編!

『ウルトラマンエース』#47「山椒魚の呪い!」 ~再三、村外れの世捨て人を描いた石堂脚本回の地味でも妙味!
『ウルトラマンエース』#49「空飛ぶクラゲ」 ~山村・女神風の少女降臨・宇宙電気クラゲ・宗教!
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『ウルトラマンエース』50話「東京大混乱! 狂った信号」 ~意外な快作バトル編!

(脚本・石堂淑朗 監督・深沢清澄 特殊技術・神沢信一)
(文・久保達也)


 パトロール中の北斗隊員と山中隊員が乗る防衛組織TAC(タック)の特殊車両・タックパンサーが、八百屋(やおや)を営むユキが乗る軽トラックと衝突事故を起こす。


 双方ともに「青信号だから進んだ」と主張する。しかし、駆けつけた警官はろくに事情も聞かないうちに、ユキに非があると判断してしまう(汗)。


 それはまぁ、警官も天下のTACの隊員たちが、そんな小賢しい自己保身的なウソをついたり、信号無視をするとも思わないだろう。あるいは、仮にそうであったとした場合が問題である。警官も必ずしも弱者の味方ではなく、権威の強い方に味方することもある、といった実態を如実に象徴する風刺性のある描写にもなる。しかし、枕詞(まくら・ことば)程度のこのシーンに、もちろんそんなに深刻な社会派ぶった風刺性があるわけもない(笑)。八百屋のユキに悲劇性は感じられない、カラッとした人物造形ともあいまって、ここでは不条理な「滑稽味」の方を主眼としているのだ。


 ちなみに、山中隊員がユキを指して語った「一姫二トラ三ダンプ」なる言葉は、1960年代後半に「トヨタカローラ」や「日産サニー」の登場で、「自動車」がようやく日本の大衆のものになりだしたころ、大挙として出現した悪質運転のドライバーを表現する際に使われたらしい。要するに「カミナリ族」や「暴走族」などと同義語なのであった。



 だが、北斗隊員はユキが真剣に無実を訴える様子を見て、ウソを云っているようには思えなくなった。ひそかにユキの軽トラを尾行する。しかし、交通違反をするような御仁だとは思えないような、安全運転であったのだ。


 また、彼女は女手ひとつで八百屋を切り盛りしている。北斗隊員や山中隊員に喰ってかかるような男まさりである反面、早くに両親を亡くしたのか、ひとりで二人の幼い弟を育てている。彼らに対しては実に優しく接している様子を見て、北斗はユキよりもむしろ「信号機」の方に疑念を抱くのであった。



 それは見事に的中した! 東京都内の「信号機」がいっせいに狂い出し、各地で衝突事故が多発したのだ!


 それはミニチュアと実際の車を併用して、何十台も衝突させ、爆発炎上させることによって再現されている。加えて、小競り合いをするおおぜいのエキストラの採用という手間をかけて、一大パニックが見事に描写されている。人件費はいくらかかったのだろう(汗)。


 そして、空に浮かんだ不気味な繭(まゆ)から


「レボ〜〜〜〜〜〜ル」


 という不気味な声が響いてきた。


「人間よ、東京を立ち去れ!!」


 人間を東京から追い出すために、宇宙怪人レボール星人は彼らが「守護神」と呼ぶ、信号超獣シグナリオンを使って東京中の信号機を狂わせていたのだ!


 ……怪獣(超獣)のことを「守護神」と呼ぶのは、70年代~80年代前半当時には原始的・前近代的に思えて違和感があったものだが、80年代中盤以降の再放送では、むしろ新鮮で伝奇的に思えてきて、カッコよく思えてくるようにも、その感慨は変化してきたものだ。しかし、70年代のジャンル作品ではあまり例がない伝奇的発想なのであった。



 すぐさまTACが出動し、不気味な繭を攻撃する!


 しかし、レボール星人は警告を無視したとして、またしても「信号機」を凶器に使った!


 「赤信号」からは「高熱光線」!


 「青信号」から「血液蒸発光線」!


 そして、「黄信号」からは「発狂光線」!(70年代後半以降は、放送禁止用語・汗)


 人間たちを地獄の底にたたき込むのだ! カメラのレンズの前に付与したのであろう、それぞれの色の「カラーフィルター」越しに苦悶する人間たちの描写がまた、まさに壮絶である。


 テレビシリーズ作品の範疇を超えたスペクタクル描写ともなっている。ここでの阿鼻叫喚のるつぼは、少なくともそれまでのウルトラシリーズでは例がないほどの迫真性に満ちあふれたものなのだ。


 TACの吉村隊員によって光線を出している信号機の地下にある下水道に、レボール星人の基地があることが判明する!


 吉村隊員もけっこう活躍しているのですよ、皆さま(笑)。


 マンホールから潜入した北斗隊員と山中隊員は、怪しい機械を操っている数名の工事の作業員を発見!


 レボール星人が化けた作業員の役で、前作『帰ってきたウルトラマン』(71年)で帰ってきたウルトラマンことウルトラマンジャックのスーツアクターとして活躍した菊池英一もこれまた素顔を見せている。レボール星人の声も氏が担当したそうだ。
 しかし、この時代の作品の通例で、端役であるからか、オープニング映像には氏の名前がクレジットされていない。ずいぶんと失礼な話である!



 彼らとの格闘の最中に、彼らはついにレボール星人としての正体を現した!


 赤・青・黄とめまぐるしく変わる照明!


 トランポリン・アクションや細かいカット割りで、『仮面ライダー』(71年)の必殺技・ライダーキックばりの軽快なアクションを駆使してくるレボール星人!


 北斗・山中隊員もスピーディなバトルを展開し、射撃の腕前も発揮する!


 本話がウルトラシリーズ初参加の深沢清澄演出はカタルシス満点! 後年のカット割りも細かくてテンポもよい本編演出は、この時点でその片鱗どころか、全開になっていたのでもあった。巨大バトルの前哨戦として、等身大時のバトルが展開されるさまは、戦隊シリーズの先駆けであるともいえるだろう!


 深沢清澄監督も、ヌルいマニア連中たちからはあまり言及されていない。マニア論壇においては、ワリを喰っている印象が強い。しかし、スピーディーなテンポのよいカット割りが得意な御仁で、以後の円谷プロ作品を多数支え続けるのだ。



 レボール星人が滅ぶことによって、視聴者には一見、事件が解決したかに見せかける。北斗・山中隊員とユキが和解し談笑して、空気も弛緩(しかん)する。


 しかし、それをさえぎるかのように、超獣シグナリオンを突如暴れさせる描写がこれまた絶妙!!


 『帰ってきたウルトラマン』(71年)で、ウルトラマンピンチの描写によく使われたBGMの流用がまた、いつもとは少々異なる変則的な危機感もあおりたててくる音楽演出でもあるのだ!


 「信号」をモチーフとした怪獣としては、『スペクトルマン』(71年)第23話『交通事故怪獣クルマニクラス!!』、および第24話『危うし!! クルマニクラス』に登場したクルマニクラスが先輩格である。戦隊シリーズの怪人はともかく、こうした「無機物」をモチーフにしたユニークな怪獣が、近頃はめっきり少なくなってしまいましたねえ……



 超獣シグナリオンが三色の光線でビルを破壊する!


 そればかりではなく、爆発によって巻き上がる噴煙までにも、赤・青・黄の色をつけている!


 これまた、特撮監督デビューの神沢信一特撮監督による、色彩設計面におけるイメージの統一が実に素晴らしい!


 特撮班の助監督を務めてきた神沢信一氏が、ついに本話で特撮監督デビュー! 演出も実に凝っている。以後、神沢氏は「平成ウルトラ」に至るまで、特撮監督や本編監督でも活躍し続けるのはご承知のとおりである。名義は“沢”の字が“澤”に変更されて、神澤信一名義になっている。



 そして、北斗隊員がウルトラマンエースに変身を遂げる!!


 エース登場〜バトル前半戦に至るシーンでは、本作主題歌のテレビサイズの使用が、音楽演出面での勇ましさを増さしめていた。



 事件解決後、ユキの弟たちが「ただいま〜!」と元気に学校から帰ってくる。しかし、あれだけの「東京大混乱!」だったのだから、学校などは休校になっているハズなのでは?(爆) それどころか、「ねえちゃん、今日大きな地震があったんだってね」ってオイオイ!(笑)



 同じく石堂脚本による、第45話『大ピンチ! エースを救え!』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20070310/p1)と並ぶ、第4クールを代表する屈指の爽快な娯楽活劇編として仕上がっているのだ。もっと、評価されてしかるべき逸品だとも思うのだ。



<こだわりコーナー>


*警官役で、『仮面ライダー』(71年)のショッカー怪人の声を数多く担当した辻村真人(つじむら・まひと)が素顔で出演している。ショッカー怪人のかまきり男・ムササビードル・ウニドグマ・クモライオン・カナリコブラなどの役で、持ち前の憎々しげな声を披露していたが、ご本人はいたって瓢々とした風貌の持ち主であった。『超人バロム・1(ワン)』(72年)第7話『変化魔人アンゴルゲ』でも、アンゴルゲにされてしまう先生役で出演している(アンゴルゲの声も氏が担当)。NHK教育テレビの番組においても、かつては「おにいさん」として出演していたという未確認の情報がある。


*特撮同人誌『夢倶楽部VOL.8 輝け!ウルトラマンエース』(94年12月25日発行)によれば、レボール星人をTACガンで全滅させたあとの山中の「チェッ、死んでから何ができるんだよ、馬鹿!」のセリフは脚本にはないそうだ。


 また、超獣シグナリオンとレボール星人は、それぞれ第46話『タイムマシンを乗り越えろ!』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20070319/p1)に登場したタイム超獣ダイダラホーシと、シリーズ前半のレギュラー敵であった異次元人ヤプールの着ぐるみの改造だとのことだ。


*シグナリオンが街を破壊し始めた際、北斗は「あの八百屋だけは壊させない!」と叫んでシグナリオンを攻撃するが、オイオイ、ほかのもんはどうなってもええんか!?(笑)


*視聴率16.2%


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2007年号』(06年12月30日発行)『ウルトラマンA』再評価・全話評大特集より抜粋)



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