(ファミリー劇場『ウルトラマンA』放映・連動連載!)
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『ウルトラマンエース』43話「冬の怪奇シリーズ 怪談 雪男の叫び!」 〜ダン少年編・終了! 身勝手な大衆に批判の視点!
(脚本・石堂淑朗 監督・上野英隆 特殊技術・高野宏一)
(文・久保達也)
前話に引き続いてスキーを楽しんでいた北斗隊員・ダン少年・その姉の香代子。付近の山に20年以上も住みつき、その風貌から「仙人」と地元民に呼ばれて、バカにされている男の存在を知った。「仙人」とはいうが、要は村外れに追いやられた奇人変人の偏屈者でもある(汗)。
人々に恨みを募らせていたその男は、吹雪超獣フブギララにその怨念を利用されてしまう!
獅子座第三星で生まれた超獣フブギララは寒冷地にしか生息できないため、男の恨みと肉体を借りて、自分の半径2キロメートル以内に猛吹雪を巻き起こしながら進撃し、村人たちやスキー客を氷漬けにしてしまう……
●第38話『復活! ウルトラの父』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20070121/p1)
●第41話『怪談! 獅子太鼓』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20070209/p1)
●そして、本話こと第43話『怪談 雪男の叫び!』。
石堂淑朗(いしどう・としろう)氏が執筆した作品であり、本話も含めて3本連続して「怨念」をエネルギーとして暴れ回る超獣が登場している。
当時の氏はよほど個人的に面白くないことが多かったのか? などといった邪推は冗談なのだが、決してそんな軽率な動機からではないだろう。
第4話『3億年超獣出現!』(脚本・市川森一 https://katoku99.hatenablog.com/entry/20060528/p1)においては、人間の欲望・妄想・執念が超獣にエネルギーを与えることがすでに語られていたのだ。逆に云ってしまうと、この設定は本作の第1クールのメインライターを務めた市川森一(いちかわ・しんいち)独自のものだったといった、俗耳に入りやすいまことしやかな説がマニア間でも流通している。
しかし、市川氏が人間の欲望・妄想・執念から超獣が実体化するようなエピソードを描いていたのは、実はこの第4話くらいのものであった(笑)。市川氏が描いた、
●第1話『輝け!ウルトラ五兄弟』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20060514/p1)
●第7話『怪獣対超獣対宇宙人』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20060618/p1)
●第9話『超獣10万匹! 奇襲計画』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20060708/p1)
●第14話『銀河に散った5つの星』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20060805/p1)
にしろ、もっと科学的・物理的でゲーム的な良い意味で乾いた、決して人間ドラマ寄りにはならないエンタメ的な攻防劇の方を、市川氏は描いていたのだ。
むしろ、人間または人外の存在の欲望・妄想・執念が超獣にエネルギーを与えるパターンを描いていたのは、
●上原正三(うえはら・しょうぞう)氏が執筆した、第17話『怪談 ほたるヶ原の鬼女(きじょ)』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20060904/p1)
●真船禎(まふね・ただし)監督が執筆した、第23話『逆転! ゾフィ只今参上』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20061012/p1)
●田口成光(たぐち・しげみつ)氏が執筆した、第15話『黒い蟹(かに)の呪い』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20060828/p1)
●石堂氏が執筆した、第16話『怪談・牛神男(うしがみ・おとこ)』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20060903/p1)
であったりもするのだ!
そして、石堂氏は、第33話『あの気球船を撃て!』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20061218/p1)を皮切りにして、『A』においては10話近くを執筆しているが、そのうちの1~2本を除いたすべてが、人間または人外の存在の欲望・妄想・執念を描いているのだ! その意味では、この路線の正統後継者は石堂氏でもあったのだ!(都会人の「孤独」のような洗練されたものではなく、ややドロくさいものではあったけれども・笑)
怪獣博士タイプの少年であった特撮マニア諸氏であれば、無心な幼児のころはともかくとしても小学生のころになれば、第23話『逆転! ゾフィ只今参上』のラストで、シリーズ前半の宿敵・異次元人ヤプールがその断末魔に「ヤプール死すとも超獣死なず! 怨念となって必ずや復讐せん!」との名セリフを残していたこととも結びつけて、第24話もとい第25話もとい第29話『ウルトラ6番目の弟』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20061120/p1)以降にも登場しつづけた、一見はヤプールが関与していない「超獣」たちは、世界各地いや宇宙全体に飛び散った――第24話『見よ! 真夜中の大変身』(脚本・平野一夫&真船禎 https://katoku99.hatenablog.com/entry/20061015/p1)のナレーションでもそう明言している!――「ヤプールの破片」から生まれいでた存在であったり、あるいは、その無念の情を継承して、ヤプール同様に怨念を燃やす人間や侵略宇宙人たちに取り憑いていたのだろうとも!
いやもちろん、第25話『ピラミットは超獣の巣だ!』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20061021/p1)に登場した、1万3千年前から暗躍していたオリオン星人が操る古代超獣スフィンクスや、第28話『さようなら夕子よ、月の妹よ』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20061111/p1)に登場した、地球の衛星・月にかつて存在していた文明を滅ぼしたという満月超獣ルナチクスなどついてはこれだけでは説明ができない。しかし、太古のむかしから宇宙の各所でヤプールが侵略活動を開始していた、もしくは侵略宇宙人にその「魂」と引き換えに「超獣」を譲渡や貸与していたと考えれば無問題なのだ。
そう考えれば、本話に登場する獅子座第三星で生まれた超獣フブギララにも説明がつく! 最終回『明日(あす)のエースは君だ!』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20070429/p1)で判明する、ヤプールによるサイモン星侵略の件も説明がつくのだ!(ナゼにTACがサイモン星侵略のことを知っていたのか!? といった疑問も生じるが、劇中では描かれなかった、どこかの善意の宇宙人か、遭難した本物のサイモン星人などから聞いたのだろうといったように、好意的に脳内補完をしようではないか!・笑)
超獣フブギララの猛攻に、TACはいったんホテルのロビーに退却する。しかし、先に待避していたスキー客や村人たちから、
「TACが来たから超獣が出たんだ!」
「おまえたちは我々を守るのが任務だろ! なぜ逃げてきたんだ!」
などと非難をされてしまうのだ! そして、追い出されてしまうシーンが、いかにも現実にもありそうな、シビアさと大衆の身勝手さでなかなかにリアルでもあるのだ。
『機動戦士ガンダム』(79年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/19990801/p1)の富野喜幸(とみの・よしゆき)監督による、元祖リアルロボアニメであった合体ロボアニメ『無敵超人ザンボット3(スリー)』(77年)などでの同種の描写をさかのぼること、約5年も前にこのような描写がすでにあったのだ!
そんな彼らを守るために、TACは超獣フブギララをホテルから遠ざけようとおとりになる!
だが、隙をついてフブギララはホテルを襲撃する!
そして、人々は皆、氷漬けになってしまう!!
「仙人」をバカにしたり、自分だけが助かりたいと願う者たちがこんな目に遭ってしまう場面は正直、小気味良い。どうせ「人類批判」をやるのならば「戦争反対!」だの「環境破壊反対!」だのといった責任の所在が曖昧なものをテーマにするよりも、こうしたかたちで、そういったものの根源ですらある、生身の人間のエゴイズムをハッキリと視聴者に呈示しなければ、メッセージも深刻度を持って伝わらないのではなかろうか!?
だが、もちろんそんな愚かな人類を守るためにもTACは戦うのだ!
通常兵器ではかなわぬと見た竜隊長は、大型戦闘機・タックファルコンから今野・美川隊員とともに脱出! ファルコンをフブギララに激突させるという特攻を敢行する!
そして、吉村・北斗隊員が乗るタックスペースもまたフブギララに特攻!
意外にも、悲愴な総力戦の様相を呈してくるのだ。
脱出した北斗隊員はここでウルトラマンエースへと変身!!
第36話『この超獣10,000ホーン?』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20070109/p1)でも使用された、コール・ゼールが歌うアップテンポのカバーバージョンが流れるなかで、スピード感あふれる肉弾戦が展開!
フブギララの頭部や胸から発する光線に苦しみ、口からの凍結ガスでエースは氷漬けになってしまう!
しかし、一瞬の静寂のあとで復活を遂げた!
エースが光線エネルギーを刃物状にして放ったバーチカルギロチンで、フブギララを真っ二つに切り裂くさまは、爽快感あふれる特撮演出であった。
フブギララの体内から救い出された「仙人」は村人たちに散髪をしてもらうことになる。「仙人」を演じた故・大泉滉(おおいずみ・あきら)はチョビヒゲが印象的な俳優だったが、その自慢のヒゲもこの際、サッパリと剃られてしまうのだ!(笑)
彼の怨念も無事に溶けて、「仙人」だった男は山岳救助隊の一員に加わることになったと語られて、まさにヒゲ剃りのあとのように爽やかな幕引きとなった(笑)。
大泉滉のウルトラシリーズゲスト出演履歴は、『A』第30話『きみにも見えるウルトラの星』評(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20061125/p1)を参照されたし!
石堂氏が執筆していた、円谷プロ製作の『怪奇大作戦』(68年)第23話『呪いの壷』や、『帰ってきたウルトラマン』(71年)第34話『許されざるいのち』の青年科学者・水野などは、純文学的な青年期の苦悩といったものが描かれていた。
しかし、本作『ウルトラマンA』では、第16話『怪談・牛神男(うしがみおとこ)』のヒッピー青年・高井や、本話の「仙人」に、第47話『山椒魚(さんしょううお)の呪い!』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20070324/p1)などになってくると、青年期の苦悩などではなく、中年期(笑)に達している世間から外れたゲストキャラを描くようになっていた。
そして、本話や第47話を最後に、以後のウルトラシリーズでの脚本回では、日常生活へと着地している「お父さん」と「その子供」がゲストであるエピソードを描くようにもなっていく。石堂先生の青年期、もしくは青年期の残り香が終わって、家庭人としてのアイデンティティの発揚をここに見るのは深読みであろうか?
ダン少年とその姉・香代子は、本話が『A』での最終出演となった。特撮マニア諸氏も、あるいは子供であっても想像がつくところであろうが、ダン少年の「ウルトラ6番目の弟」という設定が、約2ヶ月後に開始を控えていた次作『ウルトラマンタロウ』(73年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20071202/p1)の設定とダブるがゆえのフェードアウトなのであろう。ダン少年に対して特別な人間ドラマ的な決着を与えていないあたりが、この時代の特撮作品一般のアバウトさ・欠点でもあるのだが……
<こだわりコーナー>
*フブギララに襲われたハンターを介抱する際に、ダン少年は子供のくせに年長者に対して「しっかりしろ!」とナゼかタメ口をきいている(笑)。
*第10話『決戦! エース対郷秀樹』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20060709/p1)で、ニセ郷秀樹ことアンチラ星人が持参したオーバーテクノロジーの銃器・ウルトラレーザーは、第13話『死刑! ウルトラ5兄弟』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20060803/p1)では戦闘機・タックアローの機首に搭載されて、超獣バラバ攻撃に使用されていた! 本話である第43話『怪談 雪男の叫び!』や第47話『山椒魚の呪い!』でも、このウルトラレーザーはTAC隊員に携行されて使用されているのだ!(単に本編美術班だか小道具班だかが深く考えずに、撮影にあたって勝手に判断して、せっかくつくったのだからと、持参してきて役者さんに持たせただけに過ぎないのかもしれないが・笑)
*視聴率16.7%
後日編註:
『ウルトラマンメビウス』(06年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20070506/p1)第36話『ミライの妹』にて、遠まわしにウルトラマンエースとウルトラ6番目の弟・ダン少年との特別な関係に言及がなされていた。このことがウルトラ一族の間に深い感銘を与えて、「兄弟」という言葉に特別な意味が付与されるようになった……といった、いささか屈折・変型したかたちではあったものの、またその当該エピソードでのサブ的位置付けではあったものの、エースとダン少年の交流に、一応の決着が与えられる日が来ることにもなろうとは!
ただし、『メビウス』でのあのエピソードでの逸話は、エースとダン少年の交流で、はじめてウルトラ一族が「兄弟」という概念を知ったかのようにも受け取れる(笑)。だが、すでに「ウルトラ兄弟」なるチームを結成し、親子関係なども持っているヒト型宇宙人種族でもあるウルトラ一族が、ダン少年との交流によって「兄弟」の存在を初めて知った! などといったことがあろうはずもない!(笑)
これは異星人・異文化の民同士で、「義兄弟」関係を結んだことへの「感嘆」であるのだろうと、好意的に脳内補完をすることにしておこう(笑)。
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