『ウルトラマンメビウス』#16「宇宙の剣豪」 〜シルバーシャークG登場!
『ウルトラマンエース』#27「復活! ウルトラの父」 ~ヒーロー客演&共闘はドーあるべきなのか!?
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『ウルトラマンエース』39話「セブンの命! エースの命!」 〜TACの新兵器・シルバーシャークも登場!
(脚本・田口成光 監督・山際永三 特殊技術・高野宏一)
(文・久保達也)
正月を前にしたある日、北斗から少し遅目のクリスマスプレゼントをもらったダン少年は、以前死んだはずの叔父が今日帰ってくるんだと嬉しそうに北斗に告げる。マンションの階段手すりから転落した子供を北斗とともに間一髪で助けた男こそ、ダンの叔父である梅津三郎であった。
一方、TAC(タック)は新兵器・シルバーシャーク開発の警護のために、警戒を強化する。しかし、特殊車両・タックパンサーで夜間パトロール中の山中隊員と美川隊員が、謎の敵から車両妨害を受けた末に銃撃を受ける。
銃声を聞きつけた北斗隊員と今野隊員も加わって、山中で激しい銃撃戦が繰り広げられる。
こんな新兵器破壊やTAC基地破壊を狙う侵略者との攻防戦は、本作では、
●第3話『燃えろ! 超獣地獄』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20060521/p1)
●第6話『変身超獣の謎を追え!』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20060611/p1)
●第11話『超獣は10人の女?』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20060731/p1)
●第17話『怪談 ほたるケ原の鬼女(きじょ)』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20060904/p1)
●第22話『復讐鬼ヤプール』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20061010/p1)
●第25話『ピラミッドは超獣の巣だ!』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20061021/p1)
●第32話『ウルトラの星に祈りをこめて』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20061210/p1)
など、ひんぱんに見られる。ここが他のウルトラシリーズとは異彩を放つところである。これは当然アクション面の強化となり、スリルも加わって見ごたえのある本編場面の仕上がりとなっている。
敵が落とした腕輪から正体がすぐに梅津三郎であることが北斗隊員によって判明してしまうのだが(笑)。
リアル志向の人々などは「侵略者がそんなわかりやすい目印を身につけるか!」などと批判するであろうが、『仮面ライダー』(71年)第92話『凶悪! にせ仮面ライダー』なども、ニセ仮面ライダー1号のマフラーや手袋・ブーツが黄色なのに、誰もニセモノであることに気がつかない(爆)。そこは欠点なのだが、両作品ともにそんな重箱の隅をつついているヒマがないほど、見せ場連続の娯楽色重視の作品なのである。
一方で、竜隊長と吉村隊員がシルバーシャークをジープを使って公道で輸送するという、ミリタリズム的にはリアリティにあふれるディテールも見られる。どうせリアル志向にこだわるなら、こういう部分にこそ目を向けるべきであろう。
また、本話ではシルバーシャーク開発中の秘密研究所を警護するため、本部を離れた竜隊長に代わって山中隊員が指揮をとる! 平成ウルトラ三部作(96〜98年)や『ウルトラマンコスモス』(01年)で慣例となった「副隊長」的役割を果たしており、TACの統率力の高さを浮き彫りにしている。次作『ウルトラマンタロウ』(73年・(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20071202/p1)に登場する防衛組織・ZAT(ザット)の荒垣副隊長同様に、実はこれらミリタリー的魅力の一端は第2期ウルトラが先駆けであることを忘れてはならないだろう。
北斗とダン少年が住むアパートで早朝に待ち伏せしていた北斗隊員は、脚をひきずって外出してきた梅津三郎を尋問。当然シラを切るが、傷跡を指摘されたことで逃走する。
貨物列車の車両場での攻防のあと、駆けつけたTAC隊員たちに挟み撃ちにあった三郎は、侵略宇宙人としての本性を現し(いかにも凶悪なメイクもそうだが、ヘアスタイルまで豹変!)、火炎超獣ファイヤーモンスを出現させる。
30分もの作品の後半Bパートの冒頭で、早くも北斗はウルトラマンエースに変身!
本作に登場する超獣は火炎攻撃を武器にする奴が目立つ。このファイヤーモンスは三郎の正体である火炎人ファイヤー星人に「炎の剣」を授けられる。そして、それを振り回してエースに迫る!
ただでさえ、ファイヤーモンスの着ぐるみは口バシがやたらと出っぱっていて、オトナの年長マニア的には火が燃え移らないかと心配になってくるが(笑)。
しかし、攻防の応酬の果てに、剣がエースの右肩に当たったり(アクデントではなく演出だと思われるが)、エースの必殺技・メタリウム光線を剣で受けてもかわしてしまったり、最後はなんとファイヤーモンスは火がついたままの剣をエースの胸に突き刺してしまうのであった!
エースの活動限界を示す、胸の中央にあるカラータイマーの音も、途切れ途切れとなっていく。
まさに命がけであるが、ここまでして我々を魅了しようとする高野宏一特撮監督をはじめとする特撮スタッフの熱意と、アクション演出のセンスには敬服するばかりである。
そして、倒れたエースのもとにウルトラセブンが駆けつける!
当時の小学館の学習雑誌では「レッド族」という武族階級の熱血感あふれるキャラとして扱われていた。それだけに、世代人としてはこの回へのゲスト出演はまさにセブンが適役であったようには思えるのだ。
セブンの声はおそらく前述の『仮面ライダー』第92話で、にせ仮面ライダー1号を演じていた池水通洋(いけみず・みちひろ)であろうか? 氏は『仮面ライダー』初作や『変身忍者 嵐』(72年)の初期話数で変身後のヒーローの声を演じていた。第2期ウルトラシリーズ作品では、ゲスト出演するウルトラ兄弟の声なども演じている。
それにしても、前回の「ウルトラの父」に続いて、今回がウルトラセブンがゲスト出演! 2005年現在(執筆時点)放映中の『ウルトラマンマックス』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20060311/p1)では、ウルトラ兄弟の共演はやってくれないようである。それが個人的には実にツマラないのだ(汗)。
だが、本話でも、セブンは
「ひとりで生きていくのはつらいことだ。だがエース、負けてはならない。命の炎を燃やすのだ!」
などといった、道徳的な説教クサいメッセージを残すのみであった(汗)。新たな技や武器を与えたり、エースと共闘するわけでもなく、即座にウルトラの星へと去ってしまうのだ(汗)。エースの身体に手をあてているので、エネルギーを与えていたり、傷を癒してあげているのかもしれないが。
しかも、現実での出来事なのか、エース(北斗)の夢なのかもわからない、幻想的な演出がなされている。今風に云うならば、魂だけを飛ばして精神世界で遭遇していたのだろうか? それはそれでカッコいいのだが。まぁ、これには正直、筆者としても不満がないわけではない(汗)。
北斗隊員はTAC隊員たちが見守るなか、ダン少年の呼びかけで病室で目覚める。
全編アクションの一大娯楽活劇巨編となった本話だが、病室で目覚めた北斗隊員が、梅津三郎の正体が宇宙人であることをダン少年に伝えたか? と山中隊員に聞いて「否」だと確認したうえで、真相を梅津姉弟に伝えるシーン。
唯一の肉親の真の正体を、どうしても信じられないという姉弟の衝撃!
彼らの申し出で、仕方なく戦場まで連れていく件(くだ)りなど、ポイント的な点描ではあったものの、そこは1970年代前半の第2期ウルトラシリーズ作品らしく、例え少量でも「ドラマ面」ではピリリとスパイスを効かせてはいる。
再びファイヤーモンスが出現! 隊員たちは出撃し、北斗もあとを追う! TACと超獣との大激闘!
北斗はウルトラマンエースへと再び変身!
再度のピンチに陥る。
しかし、開発が完了して輸送途中であったTACの新兵器・シルバーシャークの2連装の砲口からのビームが、なんとファイヤーモンスを木っ端微塵に粉砕てしまうのだ!!
ちなみに、このシルバーシャークは、第45話『大ピンチ! エースを救え!』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20070310/p1)にも登場している。加えて、第44話『節分怪談! 光る豆』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20070304/p1)には新兵器・ゴールデンホークも登場。ネーミングルールが統一されてもいたのだ!
第17話『怪談 ほたるケ原の鬼女』では、「V7(ブイセブン)ミサイル」が登場していた。第25話『ピラミッドは超獣の巣だ!』でも「V9(ブイナイン)ミサイルへの言及があった。
第10話『決戦! エース対郷秀樹』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20060709/p1)でニセ郷秀樹ことアンチラ星人が持参したオーバーテクノロジーの銃器・ウルトラレーザーは、第13話『死刑! ウルトラ5兄弟』(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20060803/p1)では戦闘機・タックアローの機首に搭載されて、超獣バラバ攻撃に使用されていた!
長らく偏見にさらされてきた第2期ウルトラシリーズ作品の低評価による弊害で、こうしたマニアックな試みそれ自体は、特撮評論同人界などの先鋭的な場所では80年代から了解されてはいたものの、平均的なマニア層には公平・正当に認識されて、それらに評価の光が当たることはほとんどなかった(爆)。本項にて、あらためて『A』のミリタリックな魅力や試みについても強く主張をしておきたいものだ。
全編にわたってTACに活躍の場を与えて、最後までその魅力を強調している。そこまで至れり尽くせりで立ててあげているのであれば、ゲストであるウルトラセブンにもおいしいところを見せてあげてほしかったとは思ったものの。
そして、巨大化したファイヤー星人がやはり振り回す「炎の剣」に対し、エースは自分の足元に当たってショートした送電線の鉄塔を剣の代わりにしてこれに対抗!
第8話『太陽の命 エースの命』((https://katoku99.hatenablog.com/entry/20060624/p1)や第25話『ピラミッドは超獣の巣だ!』で使用した、エースブレード(剣)についてはこの際、忘れておこう(笑)。
実は『仮面ライダー』初作でも、ライダーとショッカー戦闘員の格闘に、大方のイメージとは異なり、実はすでに敵味方の「剣劇」がひんぱんに見られてはいた。しかし、『ウルトラ』ではこれが初であり、特撮面でも本編同様に魅力あふれる剣劇を展開している!
エースはファイヤー星人から奪い取ったその剣を、ファイヤー星人の頭部に突き刺した! しかも、火がついたままの剣をだ!
そして、必殺のメタリウム光線で吹き飛ばした!
その『仮面ライダー』の「にせ仮面ライダー編」(第92〜94話)3部作や、『アイアンキング』(72年)第12話『東京非常事態宣言』〜第13話『地下要塞攻撃命令』前後編、『サンダーマスク』(72年)第12話『残酷! サンダーマスク死刑』〜第13話『はるかなる銀河の果て』前後編など、当時の年末に放映されていた特撮変身ヒーロー作品では、ヒーローの大ピンチを描くような前後編や3部作が放映されていた。
ますます過熱する「変身ブーム」の渦中において、競合作品の中で勝ち残ろうとせんと、さまざまな工夫を凝らしていたのだ。そして、この「変身ブーム」は翌1973年へと続いていき、新たな局面を迎えるのであった。
超獣に勝利したエースは、なんと「逆立ち」と「バック転」を披露する!
冒頭ではダン少年が逆立ちができないことを、近所の子供たちにからかわれていた。そのなかの果物屋の息子は、逆立ちどころかバック転まで披露していた(笑)。そんなダン少年に対する、ウルトラマンエースの励ましのエールでもあった。セブンがエースに「負けてはいけない」とのメッセージを送ったように……
正義の味方のヒーローでもあり、多くの人々のために、地球の平和といった「公共」のために戦うはずのウルトラマンエースが、一介の知り合いの少年のためだけに、いわば「私」的な意味あいで、逆立ちとバック転をするなんて公私混同だ! ダン少年もエースを私物化している! などと潔癖なマニアやマニア予備軍の子供たちは不快に思うかもしれない。筆者も小学生の時分の再放送では、そのような反発を抱いたものだ(笑)。その意味では、この描写には問題がないワケでもない。少なくとも手放しでは絶賛はできない。
しかし、長じてからは、そこまでの反発はおぼえない。むしろ、本当に大の大人であればエースがひとりの少年相手に、たかだか1分にも満たない数十秒程度の「逆立ち」を見せてあげるくらいの一瞬のサービスをしてあげたくらいで、いちいち目くじらを立てる必要もなかろうと…… 逆に、話のわかる愛嬌もあるヒーローだとしてポイントも上がるくらいなのだ。だから、許してあげましょうよ(やや苦しいけど・笑)。
ひとりの少年に「バック転」を披露するウルトラマンエースというシチュエーションは、後年の映画『ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟』(06年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20070128/p1)において、ひとりの少年に「Vサイン」を披露して約束を守ったウルトラマンメビウスという図に踏襲された……のかもしれない……!?
夕焼けに染まる川岸で、子供たちにせかされたダン少年は立派に「逆立ち」ができるようになった。「ダンが逆立ちできたら、店のミカンを全部やる」と豪語していた果物屋の息子は、ジャンパーから手持ちの大量のミカンを全部渡して、「これで勘弁してくれ」と逃げてしまう(笑)。それを子供たちにひとつずつ分け、北斗隊員と梅津香代子とともにダンがミカンを食べるという爽やかなラストシーンも印象的だ。
北斗が「来年も頑張るぞ!」と締めくくるのをはじめ、香代子とダン姉弟の部屋の正月飾りや、叔父の三郎に「正月はいっしょに過ごそうよ」とダンがせがんだりなど、全編アクション面を強化した作品ながらも、放映時(72年12月29日放映)の季節感をもキチンと押さえている点も好感が持てるのだ。
<こだわりコーナー>
*特撮同人誌『夢倶楽部VOL.8 輝け!ウルトラマンエース』(94年12月25日発行)によれば、ダン少年の叔父・梅津三郎を演じた片岡五郎は、円谷プロの『戦え! マイティジャック』(68年)最終回の新隊員役や、同じく円谷プロの『電光超人グリッドマン』(93年)にも出演しているのだとのことだ。
*視聴率19.3%
(編:本話の2連装の砲口を持つビーム兵器・シルバーシャークの後継発展兵器か、あるいは往年の戦歴にあやかった名称のみの別系列の兵器なのかは知らないが、はるか後年の『ウルトラマンメビウス』(06年)#16「宇宙の剣豪」(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20060928/p1)にも、「シルバーシャークG」という大型レーザー兵器が登場することになろうとは!(怪獣要撃衛星と地上基地それぞれに配備されていて、しかも同じく2連装の砲口だ!))
