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ウルトラマンエース13話「死刑! ウルトラ5兄弟」

「ウルトラマンエース」総論
「ウルトラマンA 再評価・全話評!」 〜全記事見出し一覧


ファミリー劇場ウルトラマンA』放映開始記念・連動連載!)
(脚本・田口成光 監督・吉野安雄 特殊技術・佐川和夫)
(文・久保達也)
 ウルトラ5兄弟が顔見せではなしに勢ぞろいをして、遂にドラマにも絡んだ大イベント編。
 ゴルゴダ星で十字架にかけられたウルトラ4兄弟の映像は、それまでの『ウルトラ』シリーズのイベント編のインパクトをも凌駕し、当時の子供や後続の世代の子供たちに、鮮烈な印象を残した。


 『A』二度目の前後編だが、今回も前編を田口成光(たぐち・しげみつ)、後編を市川森一(いちかわ・しんいち)が書くという分業制がとられている。ウルトラシリーズに限らず珍しい試みであり、作家性の違いに注目して観るのも面白いであろう。


 一部の回を除き、徹底的なイベント指向と子供を中心に据えた明快な作風を持つ田口は次作『ウルトラマンタロウ』(73年)でメインライターとなり、その真骨頂を発揮するが、今回もその持味を余すところなく発揮している。
 ニセのウルトラサインによってゴルゴダ星にウルトラ兄弟を集め、その間に放射能の雨に守られた殺し屋超獣(!)バラバを地球で暴れさせるヤプールの壮大な侵略計画に敢然と戦いを挑むエースとTACの活躍には誰もが魅せられるところであろうが、リアル志向の方々やそもそもウルトラ兄弟という設定自体に異を唱える人々にとってはウルトラマンの「擬人化」として我慢ができないであろう描写が出てくる。


 地球の危機を察知しながらもヤプールによって絶対零度の冷気を浴びせられ、地球に急行することができないエースに対し、初代ウルトラマンが「兄弟のエネルギーをおまえに与えよう」とエースに進言するも、「そんなことをしたら兄さんたちが死んでしまう」と拒絶するや、初代マンがエースに平手打ちを食らわすシーンである。
 今回の前後編はリアルタイムで幼児期に視聴した際の記憶が結構残っているのだが、特にこのシーンはかなり鮮明に覚えているのだ。放映後、近所の友人たちと『ウルトラマンA』ごっこをやった際にこの回がネタになり、こんなときに限って筆者がエース役になってしまい、初代マン役の奴に本気で殴られた(爆)痛い経験があるから余計にそうなのかもしれないが、小学館『小学二年生』に当時掲載された内山まもるのコミカライズ作品でもこのシーンはちゃんと描かれており、結構重要なポイントだと思うのだ。


 『タロウ』第33話『ウルトラの国 大爆発5秒前!』(脚本・佐々木守)において、極悪宇宙人テンペラー星人に単身立ち向かって徹底的に痛めつけられるタロウを見ていられずに何度も助けようとする新マンやエースを初代マンとセブンは「まあ待て、待つんだ」「タロウひとりでやらせるんだ!」などと制止し、かなり冷たい印象を新マンとエースのみならず視聴者にも与えるが、これはもちろん強い兄弟愛があったからこそタロウに試練を与えているわけであり、今回の平手打ちはそれを最もストレートに表現しているわけである。
 小学館学年誌編集部が考案し、誌面で独自に展開していた「ウルトラ兄弟」なる設定も、本作第1話『輝け! ウルトラ五兄弟』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060514/p1)によって当時は完全に公式設定となっていたのだから、こうした人間くさい芝居が演じられるのも至極当然の成り行きだったわけなのだ。


 とはいえウルトラマンがその神秘性を完全に喪失してしまったわけではなく、少なくともイエス=キリストが磔(はりつけ)にされたゴルゴダの丘からネーミングされたゴルゴダ星にてウルトラ兄弟が磔にされる黄昏(たそがれ)た場面は、ウルトラマンを「神」として崇める人々にとっても、そんな「擬人化」の印象なんぞ吹き飛んでしまうほどに神々しくてたまらないハズなのだが……


 ちなみに小学館学年誌*1では磔にされたウルトラ兄弟が十字架の上で感じた想いを掲載していた。採録しておくのでウルトラ兄弟のエースと地球に対する熱い想いを感じてほしい。


ゾフィー)長男の私がヤプール人の罠を見破れず、弟たちまでこんな目に遭わせてしまった。
      私はどうなってもよい。せめて弟たちよ、ここを飛び出し、宇宙の平和を守ってくれ。
(初代マン)しまった。なんということだ。4人とも十字架にかけられるなんて。
      ぼくは昔ゼットンにやられかけた。それがまたヤプール人のためにやられてしまった。ぼくがもっと強ければ抜け出せるんだが。
(セブン)エースひとりに戦わせてはいられない。えい、この十字架の鎖を破って早くエースのもとに行かなければ……。
     ああ、身体が冷たくなってくる。くそっ、負けるものか。
(新マン)エースの代わりにぼくが地球へ行って戦いたかったんだ。
     でも5人の中で生き残るとすればいちばん若いエースが生きるべきなんだ。頑張れよエース、私の分まで戦ってくれ。


 キャラ分けがなんとも見事であるが、こうしたセリフがなくとも『ウルトラセブン』(67年)第39話『セブン暗殺計画(前編)』同様、ヒーローを磔にしたままのエンディングは最大の危機感を煽り、視聴者の関心を次週に繋ぎとめるには十分に過ぎ、その間クラスの話題としては最高のネタになるに違いない。
 この手法は近年では連続ものとなった平成『ライダー』諸作品(https://katoku99.hatenablog.com/archive/category/%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%80%E3%83%BC)や『ウルトラマンネクサス』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060308/p1)で有効に用いられてきたが、05年現在放映中の『ウルトラマンマックス』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060311/p1)でも前後編をやる際にはぜひ活かしてほしいものである。(執筆は05年)



<こだわりコーナー>
*今回のエースの声は第1話と同じ納谷悟朗。それはいいのだが初代マンの声は当時『仮面ライダー』(71年)でショッカー怪人の声を多く担当し、本作でも第25話『ピラミッドは超獣の巣だ!』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061021/p1)で古代星人オリオン星人の声を演じた辻村真人(つじむら・まひと)かと思われる。なんかジジくさい声で(笑)正直ミスキャストではないかと。せめて池水通洋(いけみず・みちひろ)を起用できなかったものか(本話ではセブンの声を担当した模様)。ちなみにゾフィーの声は市川治。こちらの方がはるかに若々しい声だ(笑)。
*本作が放映されたのは72年6月30日。その翌日である7月1日放映の『仮面ライダー』は第66話『ショッカー墓場よみがえる怪人たち』。さらに翌7月2日放映の『超人バロム・1』(72年)は第14話『魔人アリゲルゲと13のドルゲ魔人』であった。つまり当時の子供たちは3日連続でヒーローや怪人が大挙出演する作品を見せられていたのである。
 まあ筆者もその恩恵にあずかった世代であるわけだが、やはり現在の子供たちにもそんな体験を味あわせてあげたいものだ。改編期の特番みたいな感覚で、やはり70年代の東映作品のように1クールごとにこうした再生怪人軍団編やヒーロー共演編などのイベント編を派手にやってほしいと思う。だから05年現在、『ウルトラマンマックス』にはやはり期待。今度こそ『セブン』NGシナリオである『宇宙人15+怪獣35』(脚本・川崎高(実相寺昭雄)と上原正三の共作)(バルタン星人、レッドキングピグモンなど『ウルトラQ』『ウルトラマン』『ウルトラセブン』の怪獣が大挙登場する)的な作品を……ムリか???


ゴルゴダ星はマイナス宇宙にあり、肉眼では見えないが、特殊な電波でその姿を捉えることができた。命名はTACによるものであり、その由来はキリストの最期の地・ゴルゴダの丘に拠ったものであることは、劇中でも梶研究員によって説明されている。
*マイナス宇宙は劇中での説明通り、空間的に「裏側の宇宙」ということであり、反物質宇宙ということではないだろう。マイナス宇宙に移行するため、エースは宇宙空間を光速を超える(!)スピードで飛行した(数年後の『宇宙戦艦ヤマト』(74年)のワープ航法以前にこの描写!)。その際、荘厳な光の奔流を割っていくかのように前進していく。マイナス宇宙といい超光速といいあるいは絶対零度といい、SF性よりも人間ドラマ性が重視された第2期ウルトラではあるが、決してSF性・擬似科学性がなくなってしまったわけではなく、先端的なSFマインドを感じさせる要素や映像も本話のようにあったのだ。
*5兄弟の十字架が設置されたゴルゴダ星のゴルゴタの丘の美術セットのデカさ・広大さ・センスの見事さにもまた注目。十字架の尖頭には、各ウルトラマンの名前のウルトラサインも刻まれていた(各自の名前のサインもこれがフィルム初出である)。ちなみに前話末尾の本話予告では、ウルトラサインをウルトラシグナルと呼称していた。
ウルトラマンたちが低温に弱いという設定は、かつて『ウルトラセブン』第25話『零下140度の対決』で描かれた描写を踏襲したもの。異次元人ヤプールの策謀で、冷気を浴びせられ光と熱を奪われたウルトラ4兄弟はその身を犠牲にして、「お前の使命は地球を守ることだ」と四方から囲んで自身たちの残り少ないエネルギーを同心円状の光輪のかたちで中心にいるエースに分け与えた。名づけてウルトラチャージ。


ヤプール放射能の雨に守られた超獣バラバは負けるはずがない。フハハハハハハハ」。
 戦闘機タックアローが果敢に立ち向かうもミサイル攻撃は通じない。そこで披露するのがウルトラレーザー!
 脚本家が同じことから、第10話『決戦! エース対郷秀樹』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060709/p1)でアンチラ星人が化けたニセ郷秀樹が所持していたオーバーテクノロジーの銃器ウルトラレーザーを解析して転用、タックアローに搭載したものであろう。


*超獣バラバが都心で暴れる特撮シーンは豪雨。TAC隊員たちが超獣バラバを攻撃するシーンは晴天。DVD『ウルトラマンA』Vol.5(asin:B00024JJHE・04年8月27日発売)解説書でのインタビューによれば、この事情を当時は特撮班の助監督であった川北紘一氏は以下のように証言している。


 「吉野さんが監督した『銀河に散った5つの星』(原文ママ)で、バラバっていう超獣が出て来てたんだけど、特撮班のほうは、雨を降らせる、風が吹く、砂嵐になる、そんなシチュエーションを考えた中で、「雷鳴で雨を降らしたら、バラバっていう超獣が生きる」とどんどん雨を降らしてね。ゴルゴダの星の磔にされたウルトラ兄弟たちのシチュエーションと相まって、異様な感じに仕上がって良かったんだけれど、本編の方はデイシーンで撮っているわけなんで、雨が降る条件ではない。曇りでもないわけで、どピーカンの中で撮っていたんだよね(笑)。そしたら誰のアイデアかは解らないけど、ラッシュで「この超獣バラバは放射能の雨に守られている」というナレーションが付いていた。このナレーション一発で、バラバがいるエリアだけで雨が降っているっていうのが成立した。上手いこと言うなってそれはとても関心した。それを許した吉野さんって監督もやっぱり凄いなぁと。それがすごく印象ある。」


 要は、佐川和男特撮監督の暴走だったのである。バラバの周囲だけが豪雨であるというのも超獣の超能力らしくてカッコいいし、そういう設定なのだと好意的に納得してあげても良いのだけれど……。でもやっぱりちょっとムリがある(笑)。


 しかし、続く前後編の後編・第14話『銀河に散った5つの星』で、放射能の雨を浴びた北斗と南は、TAC基地内で人工太陽光線を浴びることで治癒されている。雨と太陽(雨を太陽で乾かす)。これも結果的に偶然に符合してしまったに過ぎなかったのか……


*その吉野安雄監督は、『忍者部隊 月光』(64年)にも参加していた古株の監督。次作『ウルトラマンタロウ』(73年)第4話『大海亀怪獣東京を襲う!』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20071223/p1)、第5話『親星子星一番星』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20071230/p1)の前後編の監督も担当している。


*ラストシーンは、ヤプールが中空にウルトラ4兄弟の磔の映像を浮かばせて地球人を威圧しつつ、その手前で瓦礫の中で向かい合って倒れている北斗と南の映像である。その画は、第1話冒頭で一度死んだ(?)ときの北斗と南の映像の構図と同じだ。
*兄を超獣に殺され、幼い弟がパチンコで超獣に復讐しようとする描写はベタかもしれないし、我々のようなオタクタイプ・負け犬タイプの人間はリアリティ的にムチャを感じがちだが、プロレスラーや格闘家が『ウルトラマン』のようなヒーローものやヒーローの敗北描写に影響を受けて奮起するように、普通のやんちゃな男の子は敵わずとも一矢報いんと思うものかもしれない、と歳を取ってみるとオタクの自分の感性の方こそが例外だったのかしれないと相対化されてきたりもして(笑)。


*視聴率18.0%。以後、ウルトラ兄弟が客演する度に視聴率は上昇し、秋口の3ヶ月間に20%超えを連発しつづける萌芽とも本話はなった。


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2006年号』(05年12月30日発行)『ウルトラマンA』再評価・全話評大特集より抜粋)


[関連記事] 〜エース全話評・主要記事!

ウルトラマンA 再評価・全話評!」 〜序文

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ウルトラマンエース#13「死刑! ウルトラ5兄弟」

  (当該記事)

ウルトラマンエース#14「銀河に散った5つの星」

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〈DVD付きフォトブック〉「ウルトラマンA 1972」レビュー

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『エース』同人誌の歴史1 〜『A』再評価の端緒を築いた伝説の名同人誌『全員脱出!』

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ウルトラマンエース最終回「明日のエースは君だ!」

  http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070429/p1

*1:デジタルウルトラプロジェクト発売の『ウルトラマンA』DVD(asin:B00024JIU2)初回特典として本作放映当時の小学館学年誌の記事を復刻した小冊子が頒布されたが、出典が一切記載されていないため、『小学○年生』の何月号掲載だったのかが定かではない。ご了承願いたい。