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ウルトラマンエース38話「復活! ウルトラの父」

ファミリー劇場ウルトラマンA』放映・連動連載!)


「ウルトラマンエース」総論
「ウルトラマンA 再評価・全話評!」 〜全記事見出し一覧


(脚本・石堂淑朗 監督・山際永三 特殊技術・高野宏一)
(文・久保達也)
 クリスマスムード一色の渋谷の道玄坂でショッピングを楽しむ北斗・ダン少年・香代子。彼らは養護施設を慰問するためにたくさんのプレゼントを買い込んでいたのだ。
 施設で子供たちが用意したささやかなクリスマスパーティを楽しむ3人だが、施設の庭に置かれた巨大な雪だるまが突然割れ、中から雪超獣スノーギランが出現! フラッシュ光線を発して若い女の先生の目を失明させてしまう。


 スノーギランはクリスマスに浮かれた街を口からの冷気で襲い、人々を次々に失明させた。それを操っていたのは秋田県男鹿(おが)半島に古くから伝わる伝説怪人のナマハゲだった!


 出刃包丁を振り回し、


 「日本古来の八百万(やおよろず)の神々を祀(まつ)らず、異国の神を崇(あが)める者たちを踏み潰せ!」


 「西洋かぶれを踏み潰せ!」


 と怪気炎をあげる……



 若いころ、クリスマスにまったく良い想い出がなかった筆者のような人間からすればこんなに小気味良いものはないのだが(笑)、子供だったころ、クリスマスといえば一大イベントだったはずだ。
 地域の子供会では公民館を利用して毎年クリスマス会が行われ、町内会が用意したケーキやゲームを楽しんだものだ。そして小学校低学年まではサンタクロースの存在を信じ、12月24日の夜は枕元に靴下を用意してプレゼントを待った*1。そんなささやかな人々の楽しみを奪って良いはずがない!


 スノーギラン出現直後、ダン少年は窓の外の天空からサンタクロースが舞い降りてくるのを目撃する(ここは特撮班担当のミニチュア)。
 北斗は怪事件の直後であることから彼をあやしいとにらむが、施設にスノーギランが迫り、失明した先生を気遣って施設から避難しようとしない子供たちを見て、山中はじめTAC(タック)の隊員たちがおとりになろうとしたとき、サンタは「待ちなさい!」と制止する。
 ダンが彼に「おじさんはいい人なの? 悪い人なの?」と問いかけると、サンタは「君は、どう思うかね?」と問い返し、施設の外に出て巨大化した!


 巨大化したサンタを見上げ、ダンは


 「あっ、ウルトラの父だ!」


 と叫ぶ……


 この時点ではその姿はまだサンタクロースのままなのである。ウルトラの星を見ることができる能力を備えたダンだからこそその正体を知ることができたのであろう。だが実はもうひとり、サンタの正体が見えた人間がいた!
 足を負傷し、隊員たちに「私にかまわず、人々を助けるんだ!」と踏み留まっていた竜隊長もまた、サンタを見上げ、


 「ウルトラの父だ!」


 と叫んだのである。


 救護班の人間が
 「あれはサンタクロースですよ。隊長、頭を打ちましたか?」
 と否定するが(コレがまたギャグにもなっていて笑える)、やはり竜隊長は「いや、ウルトラの父だ……」とつぶやいたのだ。


 第27話『奇跡! ウルトラの父』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061105/p1)において、竜隊長は地獄星人ヒッポリト星人に父を殺された姉弟を親身になって世話をしており、ラストシーンでヒッポリト星人に倒されて星になったウルトラの父姉弟とともに感慨深く見上げていた。
 作家は異なるものの(第27話の脚本は田口成光)、こうした背景をきちんと踏まえたなかなか嬉しい配慮である。石堂はよく他人の脚本や設定を読まないと豪語して、それを真に受けているマニアも多いが、本心というより偽悪・韜晦(とうかい)としての物言いの側面も強いだろう〜その2。その1は、第33話『あの気球船を撃て!』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061218/p1)評。その3は、第45話『大ピンチ! エースを救え!』評(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070310/p1)にて(笑)。


 第27話同様、サンタクロースはスノーギランに倒されたエースにエネルギーを注入した。ヒッポリト星人を葬った必殺のメタリウム光線でスノーギランは爆発四散!
 地団駄踏んでくやしがるナマハゲ。するとサンタクロースはマントを翻し、遂にウルトラの父の正体を現した!
 すかさず


 「祟(たた)りをする神など神ではない!」


 とばかりに、両腕をL字型に組んで放つファザー光線(正式名称・ファザーショット)でナマハゲは最期(さいご)を迎える。
 正直最初からサンタの正体はバレバレだが、あえて散々勿体ぶり、「ここぞ!」というときに爽走と姿を見せるこの演出はあまりに決まっていて実にカッコイイ!


 そしてクリスマスプレゼントはこれだけでは終わらないのだ。等身大のサンタの姿に戻ったウルトラの父はTACから失明した人々の目を元に戻せないかと相談を受ける。
 そこでサンタが呼び寄せたのが、第28話『さようなら夕子よ、月の妹よ』(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061111/p1)で満月超獣ルナチクスを倒して故郷の月(厳密には冥王星)に帰っていった南夕子なのだ!
 夕子は白のロングドレスを身にまとい、トナカイがひくソリに乗って現れる。夕子が天空から失明した人々に手をかざすと、幻想的な眩い光が発射され、人々の目が元に戻るなど、全ての演出があまりにロマンチックである。
 TACの隊員服姿よりも個人的には今回の夕子の方が優しい微笑みが印象的で女性らしくて好きである(圧倒的な批判は覚悟の上!)。ただ残念なのがセリフが一言もないことである。せめて「星児さん、ただいま」くらいは云ってほしかったなあ(笑)。


 子供たちが歌う『きよしこの夜』に見送られ、ウルトラの父は夕子とともにソリに乗り、宇宙へと帰っていった。


 クリスマス会で子供たちが演じる貧しい少女やサンタ(実は悪い宇宙人・笑)やエースが次々登場して観客の子供がスカートめくりまでしてしまうデタラメな寸劇や、お菓子をついばみながら大笑いしつつそれを見る半ば醜いくらいに意図的に描写されている子供たちの顔のUPの連続、「1972クリスマスおめでとう」という看板の前で主題歌を合唱する子供たちなど、年をとってから観ると忘れていた何かを思い起こし、なんとも暖かい気持ちにさせてくれる名編である。やはりこれだけは春・夏・秋ではなく、ぜひクリスマスの時期に観てほしい。『ウルトラマンタロウ』(73年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20071202/p1)第38話『ウルトラのクリスマスツリー』とともに、ウルトラが贈る絶好のクリスマスプレゼントなのだから。


 ただ両作とも一応表向きはクリスマスという題材を扱ったファンタジーでありながら、ヒーロー作品本来のバトルのカタルシスは忘れられることなくキチンと押さえられていた。これが『ウルトラマンマックス』(05年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060311/p1)第26話『クリスマスのエリー』になると……太田愛先生、また伝承話ですか?(笑)



<こだわりコーナー>
*施設の子供たちはけっこう明るく元気なんだ、と劇中人物たちが世間の偏見を取り除こうとする啓蒙セリフを発している。
*冬でも雪がめったに降らない東京で、施設に雪だるまがあるという状況にムリがあるのを判ってか、あるいは撮影の準備も大変のためだろう、雪だるまは劇中でも「なんだ発砲スチロールか」とすぐに判明しているのには、ある種のヒネったリアリティがある。
 しかしそれがまたフェイントで、実は結局そこに等身大の超獣が潜んでいたというのも上手い。
*施設の明るく元気で乱暴な男の子たちがこの雪だるまを棒で叩きまくっていたり、木の上からホースで水を浴びせるイタズラをしていたり、ある意味で子供の真実を表していてリアリティがあるが(笑)。
 施設のクリスマス会で、TAC隊員服に着替えてステージで紹介された北斗隊員は子供たちに歓喜の声で迎えられる。同時に登場した梅津ダンくんは紹介されても……、シーーンとされてしまう(笑)。このへんの一端外したギャグ描写も石堂脚本の醍醐味だ。


*北斗が超獣出現の報に接して施設から出撃するときに、サンタは「北斗!……くん」と呼び捨てから「くん」付けに直しているあたりも人物描写面でポイント高い。北斗は気付いてなくても、サンタは北斗の正体を最初から見抜いている卓越性があるわけだ。
小学館学習雑誌の当時の記事によれば、第27話で死んだはずのウルトラの父が生き返ったのは光の国の科学者たちが人工カラータイマーをつくって移植手術を施したからだそうである。光の国の人たちは生まれつきああいうものが胸に付いているというわけだ(笑)。


*サンタクロースを演じたのは『シルバー仮面』(71年)で春日(かすが)兄妹に厄介者扱いされる嫌な嫌な嫌な叔父の大原道男を演じた玉川伊佐男である。氏は『シルバー』と同じく日本現代企画(円谷プロの分派)が手がけた『スーパーロボット レッドバロン』(73年)でもコメディリリーフの自転車刑事・熊野一平としてレギュラー出演。1922年生まれなので氏は当時50歳。2004年に逝去。
 なお同じく『シルバー仮面』後半で少女・津山リカを演じていた北村佳子も施設の子供たちの中のひとりとして出演しているが、ナゼかオープニングにはクレジットされていない。
*年に1、2度は施設に寄るというレギュラー梅津香代子の友人という設定である、失明した施設の女先生を演じたのは『ガメラ対宇宙怪獣バイラス』(68年・大映)、『ガメラ対大魔獣ジャイガー』(70年・大映)と大映ガメラシリーズに二度出演した経歴を持つ八代順子。のちに東映変身ヒーロー『イナズマンF(フラッシュ)』(74年)にも二度ゲスト出演している。
 失明した彼女が、失明したがゆえに、サンタクロースは雪だるまを届けた人間の声とは違い、またサンタクロースの人は悪い人ではないと心眼で喝破させるあたり、ゲストにも華を持たせていて気持ちよい。
*雪だるまを届けた人間は誰か? ヤプールの残党の変身か? ヤプールかナマハゲに一時的に洗脳された人間か? などと正解がないことをわかっていてあえて妄想するのもマニアの醍醐味(笑)。
*そしてナマハゲの声を演じたのは沢りつお。氏独特のしわがれ声とコミカルな味わいは土俗的なキャラクターであるナマハゲにピッタリとマッチしている。


*子供たちの寸劇の中で現在バンダイから発売されている各種変身スーツのようなエースのコスプレをしている子供が登場するが、筆者の記憶では当時そうした商品はまだ市販されていなかったような? 今回のために特注されたものであろうか?
*第27話同様、ウルトラの父にエネルギーを与えられたエースの決め技はやはりメタリウム光線であったが、ウ〜ン、もっとそれらしい新技がほしかったような気も……
*失明した人々を指して「めくら」というセリフが何度も出てくるが、現在では放送禁止用語であり、再放送では音声カットの対象になるはずである。
 (編:2010年3月14日(日)の東京MXの再放送では、音声カットされませんでした)
 同様に失明した人々が、両目尻から血が細く短く垂れている描写は、いかにも70年代の描写で今では最初から自粛する類いの描写だろう。
*「1972クリスマスおめでとう」という看板の前で主題歌を合唱する子供たち。幼児ならばともかく児童ならばもうツッコむと思うが、「♪ 今だ! 変身! 北斗と南〜」と歌ってしまう! 当然撮影現場でもどうするかを議論したうえでの決着だとは思うが、でもやっぱり歌詞を変えるとかしてゴマカシてほしかったところ(笑)。


*劇中でナマハゲとナレーションは、「スノーギラン」を音を伸ばさず「スノギラン」と呼んでいる。同じくナレーションでは雪超獣ではなく雪だるま超獣と呼称している。
*徐々に吹雪を激しくしていく冬の夜の都心の特撮バトルも本話の見所。北斗はパラシュートで降下中というパターン破りでお決まりのポーズを取って変身!


*視聴率20.8%


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2007年号』(06年12月30日発行)『ウルトラマンA』再評価・全話評大特集より抜粋)


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「ウルトラマンA 再評価・全話評!」 〜全記事見出し一覧


*1:ある年のクリスマス・イブの夜、紙袋がゴソゴソいう音に思わず目を覚ますとオヤジが枕元にプレゼントを置く姿を目撃してしまった(爆)。以来サンタクロースの存在を信じていない筆者であるが、近頃は幼少のころから信じていない子供の方が圧倒的に多いようである。
 ただそうした迷信を信じさせてでも子供に夢を与えようとする大人たちを必ずしも否定することはないであろう。小さいころからリアル&ハード路線のヒーロー作品を観せられ、子供らしい夢も抱かずに妙に現実的に育てられることにより、想像力が欠如して成長してから弊害が生み出される場合も存在すると思われる。今回のような純然たるファンタジー作品をなかなか観せてはくれない最近の若いスタッフたちは、やはり子供に夢を与えようとする気がないのであろうか?

 (ヤボな編註:「近頃は幼少のころから信じていない子供の方が圧倒的に多いようである」。そんなことない、むしろ増える一方でしょ(笑)。サンタによるプレゼントだと子供に信じ込ませる風習自体が、日本では第1期・2期ウルトラ放映中の60〜70年代、昭和40年代以降の当時のニューファミリー層にボチボチ普及しだしたものだと思われ。ちなみに編者の家では両親にそんなシャレっ気がなく、編者もおもちゃ屋の前で泣き喚いて玩具をせしめて「じゃあコレがクリスマスプレゼントだよ」と説明されてたし、科学少年でもあったので日本家屋に巨大な煙突もないのに忍び込めるワケねーだろ! と幼児のころからサンタの実在を信じずにいて(笑)。けど……年末のサンタの風習やウキウキする祭り気分にサンタの物語自体はとてもスキで、仮にサンタが世界中の子供に一晩でプレゼントを配布するなら、北極上空に浮遊するサンタの国の街には数千人のサンタがいて……とワクワクしながら楽しく妄想を展開し。って我ながら当時からネジクレたイヤ〜ンなガキだったんだナ・汗)