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『スーパー戦隊』映画評 〜見出し詳細一覧
平行宇宙をまたにかける『仮面ライダーディケイド』(09年)に、なんとついに『侍(さむらい)戦隊シンケンジャー』(09年)までもが登場記念!
……とカコつけて(笑)、『侍戦隊シンケンジャー』〜序盤合評をUP!
同じ小林靖子脚本の『ディケイド』「電王の世界」編よりも、なめらかでドラマっぽくまとまってると思ったけれど。
いや、「電王の世界」編(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090503/p1)もドラマというよりイベント連打と人物組み合わせの羅列の妙で、それはそれで個人的には面白かったんですけどね(笑)。
侍戦隊シンケンジャー 〜序盤評1
現代侍の心意気はいかに?
(文・J.SATAKE)
我々の身の回りに潜む、暗い闇に通じる様々な隙間。
そこから現れ人間を脅かす魑魅魍魎(ちみもうりょう)。その名は外道衆(げどうしゅう)!
しかし奴等から人々を守る侍(さむらい)たちがいた!
代々受け継がれてきた力・モヂカラを操り闘う五人、それが侍戦隊シンケンジャーなのだ!
最近、スポーツ界では全日本代表チームのキャッチコピーに「サムライ」をつけることが多いようだが、国内外ともに日本の印象・精神を伝える言葉として浸透しているようだ。
その侍や、日本古来の事象を取り入れたスーパー戦隊シリーズ第三十三作目の今作。
注目の幕開けはシンケンレッドの大立ち回りから!
化け物たちに昔ながらの口上(三百年に渡り闘ってきた志葉家云々(うんぬん)や、殿の刀の錆(さび)になりたくなくば……云々)を語る和装の男を、
「長い……」
と遮(さえぎ)り、斬り込んでいくレッド!
往年の『仮面ライダーアマゾン』(74・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090809/p1)第1話(監督・塚田正煕 脚本・大門勲(=平山亨&長石多可男))冒頭のように、オープニング主題歌の映像がそのまま主題歌前の冒頭のドラマの続きの映像にもなっている小洒落たサプライズ!
「♪ チャンバラバラ、チャンバラ〜」
のフレーズや、三味線が小気味良い主題歌(ASIN:B001PM0CHS・『特捜戦隊デカレンジャー』(04・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20041106/p1)の主題歌(ASIN:B00019JS6C)も担当したサイキックラバーが得意とする、サビで転調するメロディーが今回も心地よく響く!!)が流れるなか、あざやかに雑兵を討ち倒していく剣技を披露してくれた!
今年はこんなヒーローなんですよ! という石垣広文アクション監督のアピールがビシッと伝わるオープニングであった!
第一幕『伊達姿五侍(だてすがた ごさむらい)』は五人の侍が集結し、初めての敵・カゲカムロを倒すまでを描き、第二幕『極付粋合体(きわめつきいきながったい)』はオオツムジとの闘いで浮かび上がるメンバーの意識の違い、巨大ロボ・シンケンオーの活躍と、基本設定の説明を含みながら、各キャラの個性とぶつかり合いのドラマ、特撮、活劇を盛り込むという課題を、脚本・小林靖子氏――『未来戦隊タイムレンジャー』(00・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20001102/p1)や『仮面ライダー電王』(07・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20080217/p1)などキャラに厚みを持たせる描写には定評あり!――と、監督・中澤祥二郎氏――『獣拳戦隊ゲキレンジャー』(07)でもパイロット版(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070624/p1)、劇場版(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20080803/p1)を担当した気鋭がずしりと重みのある侍戦隊を撮る!――が見事にまとめ上げて、これからの展開にも期待できる予感を与えてくれた。
生死の境にあると言われる三途の川。そこに浮かぶ六門船を住処にするのが、外道衆の御大将・血祭ドウコク。
三味線を奏でる薄皮太夫(うすかわだゆう)、知恵者の老人・骨のシタリとともに、化け物たち・アヤカシを使い、人間世界に攻め込もうとする。
天も地も川の水も、血を思わせるように真っ赤に染められ、おどろおどろしい雰囲気が充満した、近年稀に見る凶悪な集団のようだ。
悪役もどこか憎めない部分を持っていて、人間と通じあえることもある作品がしばらく続いた感があったが、以前の闘いで深手を負わされたドウコクは、人間への復讐心に燃えている。相容れない厳しい闘いの予感……。
この激しい対立に飛び込むのが五人の若者たち。
シンケンレッド・志葉丈瑠(しばたける)。侍戦隊を束ねる志葉家十八代目当主。侍の宿命を受け入れながら、家臣を集わせようという爺の進言を拒否したり、古めかしい格式を疎(うと)ましく感じている様子もあるようだ。
シンケンブルー・池波流ノ介(いけなみりゅうのすけ)。歌舞伎役者を目指していた。両親の教えを守り、殿様への忠誠心も強いのだが、それが空回りして仇になることも……。
シンケンピンク・白石茉子(しらいしまこ)。子供好きで幼稚園でバイトをしていた。性格は姉御肌だが、周囲の状況を察知する機敏さも持っている。
シンケングリーン・谷千明(たにちあき)。一番の現代っ子。両親と確執があるようで、昔気質の主従関係など馬鹿馬鹿しいと感じている。
シンケンイエロー・花織ことは(はなおりことは)。体の弱い姉に代わりシンケンジャーとなった。その純粋で素朴な性格で皆のマスコット的存在。
そして志葉家に仕え、幼くして両親を失った丈瑠を育てたのが爺・日下部彦馬(くさかべひこま)。演じるのは伊吹 吾郎氏!
さいとう・たかをの劇画が原作の名作TV時代劇『無用ノ介』(69)主人公、「必殺」シリーズ第15作『必殺仕事人』第1作目(79)の仕事人・畷左門(なわてさもん)、『水戸黄門』(69)の格さんこと渥美格之進(伊吹氏は83年からの出演)役など、時代劇での活躍が認知されている氏が侍戦隊を鍛え上げるお目付け役に据えられたことで、自然と画面も引き締まる!
更に忘れてならないのが黒子(くろこ)たち!! 皆の身の回りの世話から情報収集の密偵役までこなす彼等。シンケンジャーが闘えるのも裏方としての家臣の働きがあったればこそなのだ!
侍たちの力の源は文字。心を込めた文字をショドウフォン(筆+携帯の変身アイテム!)で書くことで様々な力を発揮させる。
シンケンレッド・火、ブルー・水、ピンク・天、グリーン・木、イエロー・土。それぞれのマスクのデザインも文字!
スーツには着物を思わせるライン(女性は右前のはずだが全員左前で統一なのね)も入って、より特徴を際立たせる。
変身後の名乗りのシーンも、
「シンケンレッド・志葉 丈瑠!」
のようにキメポーズとともにフルネームを告げる形だ。
これもなかなか新鮮で、顔と名前を浸透させるには良い方法だし、形式を重んじる侍らしいとも言えるか。
武器はもちろん、日本刀・シンケンマル。
更に鍔にあたるところに秘伝ディスクをセット(これを回転させると、獅子が走る姿が鏡状のパーツに写りこんで見られるギミックを搭載!!)することでパワーアップ。そして各々(おのおの)専用の大型武器(剣、弓、扇、槍、手裏剣)も使うことが出来る。
身の丈はあろうかという大剣・烈火大斬刀で雑兵を薙ぎ払い突撃するレッドのアクションには思わず声が出た。以前では実現困難だった造型物の軽量化の賜物で、コミックやゲームのようなシーンも実写化できた。スタッフの頑張りに拍手!
火や水など、五人それぞれの必殺技も属性・色の特色を盛り込んだスピード感のあるきらびやかな特撮・合成シーンになっていて、佛田洋特撮監督の手堅さと挑戦的な魅力を改めて実感!
シンケンジャーが巨大戦で操るのが折神(おりがみ)。
普段は掌(てのひら)サイズの立方体だが、「大」のモヂカラで巨大化し、獅子、龍、亀、熊、猿となって闘う。
動物がモチーフだと、デザインは曲線を意識しがちになるが今作は名前の通り、折り紙を取り込んでいるので直線的ラインでまとめられている。
「合」のモヂカラで完成するのが、侍巨人・シンケンオー。しかしその初登場は……大爆笑ものであった!
普通ならビシッと格好良くキメるシーンを「おでん」にする(見逃した方、ぜひご覧あれ!!)とは……。
ガチガチの硬派だけでなく、こうしたユーモラスさを戦闘シーンに盛り込む挑戦はこれからも続けて欲しい!
気を取り直し、再び合体! きちんと兜を被り、緒を締める芸細(げいこま)な描写があり、これは……と思っていると、早くも第五幕『兜折神(かぶとおりがみ)』にてカブトムシ型折神が登場! 兜を交換することでパワーアップを図るシステムになっていた。
過去の闘いで散逸した秘伝ディスクを見つけることで折神も増える。これにも注目していきたい。
巻頭を派手に盛り上げるパイロット版(一、二話)は巨大戦でも様々な挑戦(『ゲキレンジャー』での獣拳巨神ゲキトージャの激しい水上アクションが記憶に新しいところか……)がされてきたが、今作では時代劇でもお馴染みの集団戦を見せてくれた!
巨大化したアヤカシだけでなく、巨大化した雑兵・ナナシ連中も現れ、鎖でがんじがらめにされるシンケンオー。
しかし臆することなくナナシ連中を投げ飛ばし、居並ぶ敵をバッタバッタと斬り捨てる! 集団戦ならではの爽快感!!
アヤカシ・オオツムジは必殺剣・ダイシンケン侍斬りで一刀両断!! 見事な太刀捌きを披露して、
「これにて一件落着!!」
最後の見栄もしっかり決まって天下御免の侍戦隊をアピールだ!!
今作では現代の侍として運命づけられた五人が、いかに立ち向かうのかを主眼に据えて描いていく。
殿様として心技体を鍛え、外道衆と闘い続けてきた丈瑠。闘いでは常に殿として冷静に対処しようとするため、経験の浅い四人と噛み合わないことも……。
攻撃を受け立ち上がれないことはに、その程度では侍戦隊には必要ない、と言い切る丈瑠。
それに反発する流ノ介、茉子、千明。頑張っているのに、それはないだろうという気持ちからなのだが、ことはは丈瑠の言葉を真摯に受け止める。
これは命を賭けた闘いなのだ。勝利しなければ人々を、自分を守ることもできない。女の子を庇いながら、オオツムジの攻撃を刀で防ぎ、尚且つ反撃に転ずる丈瑠!
口先ではなく、自ら闘い抜いて理想を示す。
あれだけの闘いぶりを見せられたら、四人も(TVの前の我々も)殿に従わざるを得ないだろう。
しかしそれ以降も微妙な溝はなかなか埋まらない。
第三幕『腕退治腕比(うでたいじうでくらべ)』では、千明の増長から親友が闘いに巻き込まれ、侍の覚悟や丈瑠との力の差を思い知らされる。
侍としての教えを受け継いできたとはいえ、世が安泰ならば自分の夢を叶える暮らしを続けていた四人。
殿として皆を引っ張り闘い続けるには、他のメンバーに弱音は吐けない、弱気も見せられない丈瑠。
これにはやせ我慢が過ぎる、という意見もあるかもしれない(第五幕での、爺と昔話をすることでガス抜きをしている場面は和みましたよ……)。
が、序盤で千明との経験値の違いを見せ、更に兜折神を使いこなすために一人でボロボロになるまでの修行に打ち込む姿をきっちり描くことで、殿様の使命の重みや、丈瑠のリーダーとしての資質を裏打ちさせている。
しかし一人の青年・丈瑠としての心の内が見えにくいのが、千明たちには溝と感じるのだろう。不言実行では伝わらないこともあるのだ。多くを語らない丈瑠。過去に一体何があったのか……。
主従関係を少々疎ましく思いつつも、昔から続く忠義・信頼関係を築く方法を体現していく丈瑠。彼に対して各々のやり方で向き合う流ノ介、茉子、千明、ことは。
それぞれの思いを持つ面々がこの闘いを通して結束し、侍戦隊を形作る過程をじっくりと描く姿勢にとても好感を持って見ている。
学校や職場でも新たに集められた人たちがまとまっていくには色々な問題も出てくる。
リーダーを経験した方なら丈瑠に共感を覚えたり、流ノ介、茉子、千明、ことは、それぞれが見せるリアクションに身近な人を重ね合わせることで、感情移入もすんなりできるのではないだろうか。
そしてコミュニケーションとはどういうことか、そんな思いが浮かんでくる。
人と繋がるために様々な道具が生まれ、便利になったのかと思えば、隣に座る人とも画面を通して会話する現代。
ネットによる言葉の暴力の問題も増えるなか、改めて顔を付き合わせて言葉を交わし、相手を知ることが大切だと思わされる(便利なツールを全否定するわけではありません。こうした意見を書けるのも様々なツールのおかげですから)。
自分も正直、人付き合いが不得手なので、こうして人がぶつかりなからも結束していくドラマを憧れの目で見ているのだが、人の普遍的な悩みに光を射し込ませ、爽快な活劇とともに元気をもらえる物語はやはり気持ちがいい!
今を生きる若者が見せる「侍」の心意気や如何に!? これからも期待していきたい!!
侍戦隊シンケンジャー 〜序盤評2
(文・T.SATO)
レッドの名字の志葉は歴史小説家・司馬遼太郎(しば・りょうたろう)、ブルーの池波は時代小説家・池波正太郎から取ったもので(?)、すわ今年の戦隊メンバーのネーミングは、歴史小説家・時代小説家の大家の名前からの引用か!? と思いきや、全然そんなことはなく……(笑)。
もしも他のメンバーにも名字が引用されていたら誰だっただろうか? 吉川英治か山本周五郎か山岡宗八か海音寺潮五郎か、近年でなら(それでも故人だが)藤沢周平か隆慶一郎か?
(後日付記:ネット上のフリー百科事典Wikipediaなどを参照すると、司馬・池波以外の3人のネーミングにも元ネタはあるようだ。無学をさらしてお恥ずかしながら、2名は全然知らない御仁だったが。それと、80年代エロ&バイオレンス伝奇小説の谷センセイを歴史・時代小説作家と捉えてイイのか?・笑)
ウ〜〜ム、映像面をふくめてちょっと作風がクラすぎるんじゃないのかなぁ。
『戦隊』としてはマジメすぎるんじゃないのかなぁ。とにかく「笑い」の要素が少ない。
まぁだからこそマジメ志向、シリアスドラマ志向の一般的なマニアのみなさんには好意的に受け止められるだろうとも思うのだけれども、幼児・児童向け番組としてはその受容のされ方に危惧を覚えてしまう。
粗とかはほとんどなくて、ソツなく出来てるとは思う。もちろんそこは認める。
いやまぁたしかに本作と同じく小林靖子がメインライターを担当した『星獣戦隊ギンガマン』(98年)、『未来戦隊タイムレンジャー』(00年)も大雑把に云えば、こんな感じで非常にマジメな作りではあったけど。
本作を観るにつけ、最近の明朗系ジャンル作品の大ヒット作『仮面ライダー電王』(07年)の正義のイマジン怪人モモタロスたちの大漫才大会を肉付けしたのは、メインライター・小林靖子女史であることにまちがいはないものの、人間に契約を迫る漫画『デスノート』の死神の存在からインスパイアされたとおぼしき設定や方向付けに、『仮面ライダーカブト』(06年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20070107/p1)の性格異常者ライダーたち(笑)がごとき毎回の彼らの決めゼリフについては、やはり東映の敏腕プロデューサー・白倉伸一郎の意向&センスが大だったのではないかと思ってしまうのだが……、真相はいかに?
映画『パイレーツ・オブ・カリビアン』(03年)シリーズの海賊船で見たようなイカ(タコ?)の怪人のごとき敵幹部怪人ほかが鎮座まします、三途の川の幽霊船(六門船)の中の映像。
実験的にあえてやっているのはわかるけど、暗い赤の照明だけで照らしていて、幹部怪人たちの本当の色彩がよくわからないのもドンなものなのか?
『戦隊』はもっと安っぽい奥行きのない平面的な(笑)照明ではあっても、子供にパターン認識させやすくてわかりやすい映像の方がよいと思うのだけれども……。
いやまぁ5色の原色ケバケバヒーローさえ大活躍してくれれば充分に満足で、敵幹部のシーンのわかりにくい照明なんて子供は気にしてないから問題ナイよ! と返されたら、その通りだとも思うけど(笑)。
(以上、序盤時点での感想。6人目の戦士、チャキチャキの江戸っ子の屋台引きのお寿司屋さん、シンケンゴールド・梅盛源太の登場で先の印象はくつがえっている(笑)。彼の存在は、作品を明朗に活性化させてくれそうで大歓迎!)
侍戦隊シンケンジャー 〜序盤評3 ことはの姉 と 薄皮太夫
(文・T.INUDUKA)
(09年2月執筆)
『侍戦隊シンケンジャー』(09)のパイロット版(1・2話)を観終えた時点で今後の展開を期待を込めて予想してみたい。
まず、1番気になっているのがシンケンイエロー=花織ことはの姉にまつわる展開。
「本来の後継者だが病弱ゆえ、妹にその使命を託した」という設定は実にドラマチックで、シリーズ前半の核とも呼べるストーリーになるのではと期待している。
姉の登場は初の「ことは篇」からだろうか。20代前半くらいの落ち着いた感じの女優のキャスティングを期待したい。
そうなると期待は更にもう一歩進む。全快した姉が前作『炎神(エンジン)戦隊ゴーオンジャー』(08・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20080824/p1)のゴーオンシルバー=須塔美羽(すとう・みう)のように女性追加メンバーとしてシンケンジャーに加わる可能性だ。いや、いっそ病弱なまま追加メンバーとなり、足手まといになりながらも健気に戦う方が萌えるかも。
そしてもう1人変身してほしいのが、伊吹吾郎演じる日下部彦馬(ジイ)。若僧にはマネの出来ないケレン味たっぷりのヒーローを演じてくれそう。
“侍”なんだからやっぱりメンバーは“7人”だよね。
と、なると、敵の外道衆3人(体)がなんだかこぢんまりして見えるが、オープニングの映像では早くも新幹部が姿を現している。こちらもどうやら「七」に関係してくるようだ。
『シンケンジャー』の今後の展開から目が離せない。
(09年4月執筆)
女敵幹部・薄皮太夫(うすかわだゆう)の謎、それは第三幕「腕退治腕比(うでたいじ うでくらべ)」から始まった。
三途の川から六門船(外道衆の乗る船。三途の川の渡し賃、六文銭から取ったと思われる)へと上がってきた敵怪人アヤカシ・ロクロネリはシンケンジャーを倒すと息巻く。
薄皮太夫「シンケンジャーの前でもその大口を叩ければいいけど」
ロクロネリ「へっ、口の利き方に気をつけろよ。御大将の引き立てが無けりゃお前ごときは賽の河原でのたれ死んでおるのだ。」
薄皮太夫「口の利き方に気をつけるのはお前だ。本当ならお前みたいに卑しい奴、わちきの前に立てるはずもない。」
ロクロネリ「相変わらずの姫様ぶり、哀れだな、薄皮太夫よ。」
何やらアヤカシと折り合いの悪い薄皮太夫は、第五幕「兜折神(かぶとおりがみ)」でも一触即発となる。
シンケンジャーに傷を負わされ、敵幹部・骨のシタリに三途の川の水をかけてもらうヤナスダレ。
ヤナスダレ「ムダだなぁ、こんなことはムダだ。」
骨のシタリ「いゃそんなこと言ったってねぇ、あたし達は三途の川の水から離れちゃ生きていけないんだよ。」
薄皮太夫「放っておけ、そいつには何もかもムダなんだから。きっと自分が生きていることもムダなんだろ。」
ヤナスダレ「お前ほどではない。」
薄皮太夫「なんだと……」
続く第六幕「悪口王(わるくちおう)」では、薄皮太夫が精神的ダメージを受けた直後の六門船内シーンから始まる。
薄皮太夫「貴様、今、何と言った。」
ズボシメシ「ん? ん〜」
薄皮太夫「もう一度言ってみろ!」
骨のシタリ「おぃおぃ太夫、こんなところで暴れないでおくれ。」
ズボシメシ「ワシの目が狂った訳ではないな、言われて痛い言葉ははっきり見える。ちぇっ、何故あのシンケンジャーの女は……」
薄皮太夫「わちきをバカにしているのか。」
一体、薄皮太夫は何を言われたのだろうか。
第八幕「花嫁神隠(はなよめ かみかくし)」では花嫁の繭で打ち掛けを作ると聞いたシタリが
骨のシタリ「打ち掛けとは未練じゃないか。昔を忘れられないってことだろう。」
と、同情している。
どうやら昔、姫だったらしい、女の業を捨てきれていない薄皮太夫の物語は今後、どのように展開していくのだろうか。
こちらも視聴者を萌えさせてくれそうだ。
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(近日中にUP予定)
『侍戦隊シンケンジャー』 〜後半賛否合評
(近日中にUP予定)
侍戦隊シンケンジャー銀幕版 天下分け目の戦 〜初3D賛否合評 20分の尺でドラマは可能か?
女シンケンレッド志葉薫姫・スーツアクター大研究! 〜80年代戦隊ヒロイン蜂須賀祐一×戦隊ヒロイン3年目シンケンピンク人見早苗!
http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20110502/p1