假面特攻隊の一寸先は闇!読みにくいブログ(笑)

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ウルトラマンジード序盤評 〜クライシス・インパクト! 平行宇宙のひとつが壊滅&修復! その原理とは!?


『ウルトラマンジード』最終回 〜クライシスインパクト・幼年期放射・カレラン分子・分解酵素・時空修復方法はこう描けば!?
『ウルトラファイトオーブ』完結評 〜『オーブ』と『ジード』の間隙ほかを繋ぐ年代記的物語!
『ウルトラマンオーブ』最終回「さすらいの太陽」 〜田口清隆監督の特撮で魅せる最終回・ジャグラス改心の是非・『オーブ』総括!
『怪獣倶楽部〜空想特撮青春記』に想う オタク第1世代よりも下の世代のオタはいかに生くべきか!?
『パワーレンジャーFOREVER RED』 〜坂本浩一監督作品・戦隊を逆照射!
『シン・ゴジラ』 〜震災・原発・安保法制! そも反戦反核作品か!? 世界情勢・理想の外交・徳義国家ニッポン!
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ウルトラマンジード』序盤評

(文・T.SATO)
(17年8月11日脱稿)

ジード』初登場の特撮演出&港湾の海特撮!


 夜のビル街に新たなるウルトラマンウルトラマンジードがすっくと出現。ノソリノソリと歩き出す姿は、その巨大な青白い釣り目とも相まって、ねらっているのであろうが、ロートルマニア的には初代『ウルトラマン』(66年)#18「遊星から来た兄弟」に登場したサラブ星人が化けた偽ウルトラマンをも彷彿(ほうふつ)とさせる。
 そこに流れ出すBGMは、映画『ウルトラマンゼロ THE MOVIE(ザ・ムービー) 超決戦!ベリアル銀河帝国』(10年)以来、使用され続けている悪の黒いウルトラマンウルトラマンベリアル専用テーマのアレンジ楽曲! ナンという不穏なフインキ!
 加えて、人間の視点で上方を見上げたアングルで、左右のあまたのビル群に挟まれた大通りの上方の細長い夜空を、ウルトラマンジードの巨体が悠然と走り幅跳びしていくサマがカッコいい!
 そして怪獣レッドキングと怪獣ゴモラが合体した新怪獣スカルゴモラウルトラマンジードとの激闘が、坂本浩一カントクらしからぬスピーディーなバトル演出ではなく、重厚なスローモーション映像で描かれる!


 あげくの果てに、ゴージャスにも怪獣との激闘は、コンクリの港湾に面した浅い海にまでなだれこみ、水しぶきをあげつつバトルが繰り広げられる。
 コレはまぁ『ウルトラマンレオ』(74年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20090405/p1)#1〜2前後編の水没した東京の再現なのだろう。しかし、恐らく作り手は意識していないだろうが、特撮美術セットの配置的にも、筆者としては『ウルトラマンエース』(72年)#18「鳩を返せ!」(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060907/p1)ラストにおける港湾&海特撮との酷似も想起する。


――余談だが、『エース』の特撮は、テロップに表示される面子を見ても判る通り、東宝に下請け・丸投げされており、そのアウェイの場に登板した円谷プロ生粋(きっすい)の高野宏一特撮カントクが、恐らく往時の縄張り意識も強かったであろう、撮影現場の東宝特撮陣にナメられないようにとキバって張り合ってか、特に#24「見よ! 真夜中の大変身」(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20061015/p1)なども同様だが、ドデカく高い天井を持つ東宝の巨大ステージで、あの時代には珍しくワイヤーでウルトラマンと怪獣を吊り上げて空中で激突させたり、アクションの一挙手一投足が凝っていたり、カット割りが異様に細かかったり、アイデア満載で現場スタッフには無茶ブリ全開の演出(笑)を披露しているので、同好のマニア諸氏はぜひともその観点からも再注目を!――


幻の企画書『ウルトラマンデーモン』との酷似!


 事前にマスコミ発表されて読者諸兄もご存じだった通り、今度のウルトラマンは悪のウルトラマンウルトラマンベリアルの息子と来たもんだ! ナンという驚き! ナンという変化球!
 コレはもうゼロからドラマを逐一描かなくても、この基本設定自体が劇的なドラマ性をハラんでいる! 何も描かなくても、その設定一発で視聴者の側に、悪人の父の血を引いた我が身の呪わしさとそこから離脱しようとする葛藤、それでも見ず知らずの父に対する微かな改心への期待や叶わないときの落胆などのもろもろが勝手に想像されてしまうワケだ。ズルい設定だぞ、コンチクショー!(笑)
 とはいえ、70年代の子供番組ならばともかく、そのへんを掘り下げすぎて苦悩させすぎても、現今の子供番組としてはクラくなりすぎてしまうことを危惧してか、実際に出来上がった作品に登場するベリアルの息子・ジードこと浅倉リクくん自身は、過剰に悩むことはなく明るくおバカな感じだが。
 もちろんシリーズ後半では、父親・ベリアルとの対峙や自身の出自との葛藤がメインとなるのだろう。


 コレもまた単純比較はできないものの、70年代前半の国民的な「変身ブーム」(第2次怪獣ブーム)の時代の4年連続放映を超えて、2010年代の『ウルトラマン』のTVシリーズが連続5年目に突入できたからこその変化球なのであろう。個人的には「5年目だから」という前提は付けるけど、この変化球の試み自体は肯定したいし、個人的な好悪を云わせてもらえば、大好物なネタだ(笑)。


 と同時に、もう20年も前の体色が変わることでタイプチェンジする初のウルトラマンこと『ウルトラマンティガ』(96年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19961201/p1)の放映時に、怪獣画伯こと開田裕治センセイが主宰する同人誌『特撮が来た』で明かされた、ベテラン特撮ライター・小林晋一郎センセイが70年代に次のウルトラシリーズの新作アイデアとして、当時まだ円谷プロに在籍していた特撮ライターの故・竹内博センセイに手渡したという企画書『ウルトラマンデーモン』の記憶もよみがえリ、その企画内容との類似も想起する。
 該当の同人誌を発掘する時間がなくて、記憶で書くので間違っていたらご容赦願いたいのだが、その内容は『レオ』#38〜39のババルウ星人前後編で言及された、ウルトラセブンが幼いころに目撃したという、ウルトラの父がウルトラの星の自立軌道を司るウルトラキーを銃器として用い、引き金をひいて発した光線で爆砕した悪魔の星・デモス1等星にカラめたものであった。
 そして、東京都心のシックな喫茶店で、その正体はウルトラマンキング――本体そのものではなく分身?――とおぼしき老人のマスターに育てられたという、ウルトラ一族と悪の宇宙人との混血児が、ウルトラマンへと変身し、青い体色のときは悪魔のような戦いぶりを披露するけど、赤い体色のときにはスマートに活躍する! といった内容であったと思う。


 第1期ウルトラ至上主義者でありウルトラ兄弟の設定に否定的であるとおぼしき小林センセイが、こんな変化球の企画を上梓していたことには意外の念を強くしたことを思い出す。ちなみに、この企画書に登場する怪獣の名前は、後年の『ウルトラマン80(エイティ)』(80年)#1(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20100502/p1)に登場する怪獣の名前と同じくクレッセントであった。


 本作の序盤放映時点での特撮雑誌『宇宙船』最新号における、本作のシリーズ構成・乙一(おついち=安達寛高)こと、もはや昭和ウルトラ直撃世代ですらなく、平成ウルトラ3部作の時点でもハイティーンであった、小林晋一郎センセイの20歳以上も下の間隙の世代である1978年生まれの氏のインタビューを読むかぎり、彼は特撮ヒーローマニアではなく(爆)、自身の幼い息子さんが一昨年の『ウルトラマンX(エックス)』(15年)にドハマりしたことから、お勉強しだしたニワカのようである。
 乙一を招聘した鶴田プロデューサーもまだまだお若そうだから、このふた昔も前の往年の同人誌の記述に影響を受けて、本作を着想したようなことはまったくなさそうだ。とはいえ、才能のあるニワカは才能のない馬齢を重ねたベテランに勝ることを痛感してしまう。今ではなまじのマニアよりも、氏はウルトラシリーズの世界観にくわしいんじゃねーの!?
 TV特撮の脚本に初挑戦とは思えないような、バックボーンの基本設定には凝りつつも、それをマニアックに前面に出したり、ふた昔前のリアル&シリアス至上主義にも陥らないような、主人公少年にしろ彼の幼なじみのニコニコ保険セールスもとい星人を追う女性捜査官(笑)にシャッター商店街(汗)の駄菓子屋のオヤジといい、現今の子供番組にふさわしいコント番組的なコミカルさをもまぶしているあたり、周囲のスタッフのアドバイスもあるのだろうけど、子供向けエンタメとして非常にバランスが取れているどころか、その文芸的な仕上がりにはブレたり頼りない感じもなく盤石な感すらある。


平行宇宙のひとつが消滅&修復という大風呂敷!


 とはいえ、白眉はやはり#1冒頭だろう。
 アバンタイトルの1分30秒ほどの間に、夜空にあまたの星が浮かぶ遠宇宙のドコかの惑星や、紅蓮の炎に焼け出された夜のビル街で、ウルトラマンゼロはじめ歴代ウルトラマンや一般のウルトラ兵士たち数十名が、悪の黒いウルトラマンことウルトラマンベリアルと大バトル! あげくの果てに地球が(宇宙ごと?)大爆発!!
 ……だけれども、ウルトラマンキングが即座に地球を修復!(汗) そこに掛かり出す明朗な楽曲は、新番組『ウルトラマンジード』(17年)の主題歌!(笑)


 地球滅亡という一大事なのに悲壮感はなくなって、エンタメ作品としてのスケール壮大感だけは残るといった、生命や大自然の大切さを粗末にしつつも、安直に復活させるデタラメ&超ご都合主義で、偽善と欺瞞に満ち満ちた(笑)、もとい人生の厳しさ・辛さ・不条理を提示することに対して過度にイヤがる(汗)昨今の子供番組(&その受け手)の作り方としては、実に綱渡りかつクレバーな、大破局に片足だけ踏み込んでみせるも即座に戻して、過剰に重たいイヤ〜ンな感じはさせずにオイシいトコ取りだけする取捨選択の作劇で……。


 オッサンオタクたちの全員とはいわずその多くは、昭和の『仮面ライダー』シリーズのいくつかの作品の終盤のように、昭和の第2期&第3期ウルトラシリーズ各作の終盤でも、ルーティンのいつもの対怪獣バトルではなく、歴代ウルトラ兄弟たちが徐々に客演・参戦して、最終的に世界各国の首都で同時並行で怪獣と戦うようなスケール雄大な作品を観てみたい! と妄想したことがあるだろう。
 さらには、第2次怪獣ブーム時代の学年誌『小学二年生』に連載された内山まもる先生のコミカライズ『ウルトラマンタロウ』(73年)最終回(ISBN:4835447638ISBN:4091083757)で、ウルトラ6兄弟やウルトラ一族の一般兵士たちが南極大陸で超巨大怪獣と激戦を繰り広げるような、あるいは第3次怪獣ブーム終焉期の『ウルトラマン80』放映終了直後から、児童誌「てれびくん」にて長期連載された名作漫画『ウルトラ超伝説』(81〜86年・ISBN:4886531067ISBN:4886533647)#1で、東京の広大なビル街に歴代ウルトラ兄弟が集結して異次元超人エースキラーと対峙してみせたようなパノラミックな映像を、TV本編でもいつの日にか観てみたい! と妄想してきたことだろう。


 前者については、苦節ウン十年、近年の映画『劇場版ウルトラマンX きたぞ!われらのウルトラマン』(16年)にてようやく果たされた。しかし、後者については、その夢が果たされることはなかなか困難であろうと思われた。
 それが! それが! それが! アッという間に、本作#1冒頭にて、まがりなりにもアッサリ実現してしまうとは! あー、生きてて良かった(笑)。


ウルトラセブン「(はやるウルトラマンゼロを制して)行くな! この宇宙はもう保たない!」


 「この宇宙」? 映画『ウルトラマンゼロ THE MOVIE』以来、ウルトラシリーズにはマルチバース(多元宇宙・並行世界)の概念が導入され、次元を違えたパラレル・ワールドの「地球」や「宇宙」がいくつも登場可能となった。つまりは「この宇宙の地球」も、「我らが昭和ウルトラシリーズの世界とは異なる宇宙の地球」であり、悪のウルトラマンことベリアルの悪事を防ぐべく、昭和世界のウルトラマンたちが次元の壁を超えて出張してきた! ということになる。
 まぁたしかに昭和の歴代ウルトラ兄弟たちが守ってきた我らの地球が爆発してしまったら、長年の苦労が水の泡だヨ! というビミョーにイヤ〜ンな気持ちになるだろう。だから、「この宇宙の地球」にはお気の毒だけれども、「昭和ウルトラの地球」の代わりに犠牲になってもらいましょう(汗)。そして、「昭和ウルトラの宇宙」とは「別の宇宙」という設定を導入することで、単なるひとつの「宇宙」での物語の規模を超えたSF的なスケール雄大感をも醸すことができるのだから一石二鳥!


 本作#3「サラリーマンゼロ」冒頭では再度、神に近きウルトラマンノアの力に由来する、次元の壁を超える力を持つ左腕のブレスレットから出現するヨロイ、ウルティメイト・イージスの能力で次元の壁を突破して、「この宇宙」に久しぶりに飛来したというウルトラマンゼロが登場。
 そこでゼロが目撃するのは、NHK深夜の人気コント番組『サラリーマンNEO(ネオ)』(06年)ならぬ(笑)、怪獣出現の余波で落下するビルの瓦礫から少年を守ろうとするも、バナナの皮(汗)でスベってトラックにハネられて、病院の待合室の長イスに寝かされて死線(?)をさまようグレーの背広姿で黒縁メガネの冴えないサラリーマンであった!
 ロートルならばご存じ、コレは往年の「帰ってきたウルトラマン』(71年)#1へのオマージュでもある。ダメ出しで、ごていねいにも同エピソードにおける、黒バックで仰向けで画面水平に寝込む人間の足許に、垂直にスックと立った等身大のウルトラマンが前のめりに倒れ込むように合体・憑依する合成映像までをも再現! ウルトラマンが憑依することで、瀕死の人間の肉体をも回復させることができるという超常的な力をも説明する。そして、そこにさらに重ねるかたちで、やはり神にも近しいウルトラ一族の長老・ウルトラマンキングの偉業も語られる。
 ナンと! キングは単に「この宇宙」の「地球」だけを修復したのではなかった! スケールこそ格段に異なるも、ゼロが合体して「死に瀕した人間」を回復させたのと相似形の行為として、キングは「この宇宙」の「地球」だけではなく、超広大な「死に瀕したこの宇宙」そのものに合体・憑依することで(!)、ベリアルが起爆した「超時空消滅爆弾」によって、今まさに爆砕・消滅しようとしていた「この宇宙」自体を「修復」したことが明かされる!
 ナ、ナンだってェェェェェ!!! キング、ドコまでチート能力の持ち主なんだヨ! 一時はウルトラマンノアの方が格上かと思ったけど、キングの爺さんの方がコレでまた格上になったヨ!
 いやまぁたしかに#1冒頭の映像だけだと、爆発した「地球」を修復はしてたけど、その直前に爆発の光芒に巻き込まれて消滅していく太陽系の星々! といった映像があったので、そっちはドーなんだよ!? まぁ特撮ジャンルにアリがちな昔ながらのテキトー映像かヨ!?(笑) というツッコミの余地のある隙はあったのだけれども……。
 キチンと説明してくれるどころか、コチラの予想をはるかに上回る設定で(爆)。キングは「この宇宙」そのものと合体して拡散・希釈化するかたちで、あの事件から6年後の今も「この宇宙」そのものを今まさに「修復」中であるらしい!?


 とはいえ、「この宇宙」や「地球」の「修復」とはドーいうことなのであろうか? 全人類も宇宙の藻屑として四散して滅びたけど、「時間」自体も半ば、「超時空消滅爆弾」起動前かベリアルによる地球襲撃途中に「巻き戻る」か、「時間の流れが局所的に1回転する」感じで「修復」したのであろうか? とはいえ、キングの超絶能力による「時空」自体の「修復」はムリやり強引なものでもあろうから、地球の人々の6年前当時の記憶もアイマイとなっており――つーか、その当時の「時空」や因果関係自体もアイマイ・デタラメとなっているから――、紙媒体や電子媒体による記録自体もアイマイなものとなっているのであろうか?
 そのへんの不毛な深読みは卒業したつもりのオッサンなのに、イイ歳こいて若造のSF青年のころのように、おそらく厳密なイミでの正解のない事象に、SF的な深読みをついついしてしまう(笑)。


幼児向けルーティンと大人向けの狭間をねらえ!


 もちろんこのへんの要素は、幼児・未就学児童には理解ができない設定でもあるだろう。
 ところで我々の世代も、ウルトラシリーズのアンテテーゼ編や異色作や社会派テーマ作品や滋味ある複雑玄妙な人間ドラマなどは、中高生以上になってからの再放送の視聴でようやく理解できるようになったものだ。
 しかし、小学校中学年以上ともなれば、『宇宙戦艦ヤマト』(74年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20101207/p1)の再放送などでは、そのSF的な内容を充分に理解できてワクワクもしていた。むしろ、初期スーパー戦隊シリーズのような1話完結形式のルーティンバトルが延々と続くような作品にはタイクツしてしまい、小バカにしていたものである(爆)。
 ということは、幼児をタイクツさせないように留意しつつも、子供たちがこのテの番組から卒業することを遅延させるためには、対怪獣バトルのみならず、背景部分でこのテのSF的なスケール雄大な大風呂敷を広げて、お話を引っ張ったり子供たちの関心も持続させるべきではなかろうか?
 子供たちを子供番組から卒業させないためには、中高生以上にならないと理解ができないような、マニア連中に神格視されている第1期ウルトラの佐々木守脚本&実相寺昭雄監督コンビのアンチテーゼ編や、第2期ウルトラのような社会派テーマ編・人間ドラマ編に、平成ウルトラ3部作における太田愛脚本的な異色作を盛り込んだり、往年のベテランスタッフを登板させて有り難がることではなく、幼児と中高生の中間地点の児童層の知的好奇心・ジャンク知識収集癖を刺激するような、本作『ウルトラマンジード』のような試みの作劇&基本設定の作品の登場こそがもっとも適切ではないのかと思うのだ。


――平成ウルトラ3部作の時点で、それらの目論みが果たされていたと主張する御仁も多かろうが、筆者個人はその大勢の見解には同意しない。『ウルトラマンティガ』における超古代文明や超古代怪獣にしろ、『ウルトラマンダイナ』(97年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971211/p1)における宇宙から飛来する人類の進歩を妨害する銀玉スフィアにしろ、『ウルトラマンガイア』(98年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19981206/p1)における根源的破滅招来体にしろ、散発的な登場&描写に留まりシリーズのタテ糸として掘り下げられて成功していたとは思わない。それならば、80年代中盤の東映スーパー戦隊超電子バイオマン』(84年)や『電撃戦隊チェンジマン』(85年)の方がはるかに連続性や大河ドラマ性を考慮して構築されて当時も話題になっている(往時の東宝・円谷至上主義者はコレらの東映特撮がアウトオブ眼中であったワケだけど・汗)――


 まぁ今の子供向け特撮ヒーロー番組に、小学校中学年以上の視聴者たちという「畑」があるのか!? という、また別の問題もあるけれど(笑)、タネはこれからでも蒔かなきゃ稔らない!


SF作家・伏井出とウルトラマンベリアルの関係


 最終的には「この宇宙」の「修復」が、以前の姿と完全にイコールではないにせよ、ほぼ完了すればウルトラマンキングも「この宇宙」から分離・復活して、「昭和ウルトラの宇宙」へと帰還することになって、それが本作のラストにもなるのだろうか?
 ロートル的には、『ウルトラQ』(66年)第28話(最終回)「あけてくれ!」に登場したSF作家・友野(演・天本英世)も少し想起させる、粗暴なウルトラマンベリアルとは性格が異なるものの、冗談で取られることを承知で編集者相手に「宇宙のとある場所に心のひとかけらを置いている」「目を瞑ればそこにいる神と対話できる」と語り、おそらく自身の精神体=魂の一部を分離させてそれを宇宙へ飛ばし、そこでベリアルともコンタクトを取っているのか、それとも力だけを借りているのかは不明なれども、黒スーツ姿の壮年男性にして、自らもベリアル&レッドキングゴモラと合体した新怪獣スカルゴモラ、ベリアル&エレキングエースキラーと合体した新怪獣サンダーキラーに変身して、ウルトラマンジードと直接対決しているクールなSF作家・伏井出(ふくいで)の去就も気になる。
 ベリアルの単純な下僕ということではなく、あのベリアルとも喰えない交渉をしてくれるような老獪さ・大物ぶりを期待したいのだが……。6年ぶりに地球に飛来したウルトラマンゼロを指して、「気の合わない相手と久しぶりに会うかもしれない」と発言するのを見ると、昭和の第2期ウルトラ作品や21世紀のウルトラマンヒカリのように、地球人としての意識とウルトラ人としての意識が別人格ではなく半ば融合・混濁してしまっているようでもあり……。コレまたナンとも思わせぶりで、イイ意味での小学生の怪獣博士レベル(笑)の深読み=知的好奇心をも喚起させてくれる描写でもある。
 つまりは、ウルトラマンキングが「修復」中の「この宇宙」のドコかに、恐らくキングが封印した諸悪の根源・ウルトラマンベリアルも、肉体込みだか魂のみだかは不明なれども、何らかのかたちで潜んでいそうだから、キングとベリアルの復活も一筋縄ではいかなさそうで、実に楽しみだ。


潘めぐみ三森すずこアイドル声優登板!(笑)


 ウルトラマンジードこと浅倉リク少年の相棒として、『ウルトラセブン』(67年)#6に登場したペガッサ星人の同族の未成年体・ペガも登場。古びた小さな天文台の下にあるヒミツ基地を拠点とする。『ウルトラマンX』の防衛組織・Xio(ジオ)に所属していた『ウルトラマンメビウス』(06年)#7(http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20060705/p1)初出のファントン星人の同族とも同趣向であり、地球人よりも文明が進んだ宇宙人としてのアドバンテージで、いろいろと超科学的な説明をしてくれるので、お話の展開も早くできるし便利である(笑)。
 何より少々マイルドに可愛く小型にアレンジ造形されており、お話がロクに理解できない幼児にも、NHK教育テレビの幼児向け番組のように、着ぐるみキャラクターが画面をウロチョロしているだけで、眼&関心がそこに行くだろうから、いまだに「ウルトラ」は子供ダマシではイケナイ! 本格SFでなければイケナイ! と信じる御仁は激怒するやもしれないけど(笑)、筆者は近年では子供番組にはこーいうキャラはもっと積極的に――もちろん絶妙なサジ加減でチャチくもならないように!――投入した方がイイとも考えているので大カンゲイ!
 ……なぞと思っていたら、乙一氏もインタビューで同趣旨のねらいを語っていた(汗)。恐るべし! 乙一氏。


 そのペガの声を演じるのは、『手裏剣戦隊ニンニンジャー』(15年)でも着ぐるみの美少年敵幹部怪人の声を演じて、顔出しで7人目の戦士ミドニンジャーにも変身した潘めぐみ! そして、ヒミツ基地の人工知能・レムの声を演じるのは、ブシロード製作の特撮プロレスヒーロー『ファイヤーレオン』(13年)でも主人公青年のお姉さん役でレギュラー出演していた、笑顔が顔面に貼りついたような(笑)三森すずこ
 本作の製作発表記者会見では、このふたりがメインキャストともども登板! ナンでやねん。いやまぁよ〜くわかるのですけどネ。ルックスにも恵まれたアイドル声優も記者会見に登場させて華を出し、そっち方面にも少しでもウイングを伸ばそうという計算でしょう。なりふり構わず、いろいろやるのは個人的にはイイことだとは思います。
 ブシロード系の声優事務所・響(ひびき)に所属する「みもりん」の起用から、筆者はてっきり本作はブシロード提供で、「月刊ブシロード」でも漫画連載か!? と思ってしまいましたけど――スミマセン、最後はボケてみたけど、マジでそれくらいやってもよかったと思います――。


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2018年準備号』(17年8月12日発行)〜『仮面特攻隊2018年号』(17年12月30日発行)所収『ウルトラマンジード』序盤合評1より抜粋)


『假面特攻隊2018年準備号』「ウルトラマンジード」関係記事の縮小コピー収録一覧
・各話視聴率:関東・中部・関西。各クール平均・全話平均視聴率
・スポーツ報知 2017年4月27日(木) 16歳濱田龍臣最年少変身 ウルトラマン“最凶”ベリアルの息子
夕刊フジ 2017年4月14日(金) さらばウルトラの母 追悼・ペギー葉山さん
・スポーツ報知 2017年7月9日(日) ウルトラマンVS渡辺邦斗(伏井出ケイ)「21世紀の裕次郎準グランプリ」 10年に石原プロから移籍 悪役初挑戦
・スポーツ報知 2017年7月4日(火) ウルトラマンスペシャトークショー アリオ鳳1200人大集合(ギンガ根岸&ビクトリー宇治)
日刊ゲンダイ 2017年7月22日(土) またパクリ!? 中国版ウルトラマン円谷プロ抗議
・神奈川新聞 2017年7月1日(土) 時代の正体 沖縄考 ウルトラマンシリーズ脚本家 上原正三さん語る<中> 正義を疑い「自由」うたう


ウルトラマンジード』直前スペシャル&#1〜2平均視聴率:関東1.7%・中部1.1%・関西0.7%


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