(ファミリー劇場『ザ★ウルトラマン』放映「全話評」連動連載!)
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『ザ・ウルトラマン』第12話「怪獣とピグだけの不思議な会話」 ~怪獣レクイエム・泣かせる超名編!
同居怪獣オプト登場
(同居怪獣チョウ・ジン・サン登場)
(作・平野靖司 演出・石田昌久 絵コンテ・寺田和男 怪獣原案・鯨井実)
(視聴率:関東10.1% 中部11.4% 関西8.2%。
以上、ビデオリサーチ。以下、ニールセン 関東11.5%)
#12『怪獣とピグだけの不思議な会話』 ~合評1
(文・内山和正)
(1997年執筆)
巨大船舶同士の衝突事故が起こるが、その後の海面には存在すべき漂流物が何も見当たらなかった。この事件を調査に向かった科学警備隊は、海底に沈んだ船の破片を見つけるが、それは何者かに噛まれていた。
近くを航行中の船が怪獣たちに襲われるが、怪獣たちには意見の相違があり襲撃を取り止め引き上げて行った。やがて怪獣たちは東京湾の埋め立て地へ上陸、一つの貝に三匹が同居している怪獣であることが判る。
科学警備隊のロボット・ピグは彼らの会話に独特の波長があることに気づき、三匹の中の末弟であるサンと言葉を交わす。
「兄怪獣のチョウとジンは人間の自然破壊による海の汚染と食料不足に怒り、荒れた性格になってしまったが、元々は穏和な生物である。説得して海へ帰るから兄たちに手を出すのはやめてくれ」
とサンは言う。しかしチョウとジンはサンに従わず、サンを貝から追い出して破壊活動を続ける。サンは衰弱した体で兄たちを追うが……。
(以上、ストーリー)
私的なことを言って申し訳ないが、近年の例でいうと「飛騨からくり屋敷殺人事件」(ISBN:4063719693・ISBN:406334357X・ASIN:B00005GP57)を読めただけでも漫画『金田一少年の事件簿』を読んで良かったと思ったことや、『スターダスト殺人物語』(90年・光文社・ISBN:4334028896)に巡り会えただけでも推理作家・吉村達也を読むことにして良かったことと同様、この回を観られただけでも『ザ・ウルトラマン』を視聴していて良かったと放送当時の筆者は幸せであった。
この回は再放送時(81年)に友人が撮ってくれたビデオでも(10数年前だが)観ているし、この度も3度ほど観たから少なくとも6〜7回は観ていると思う。この番組中では最も多く観たエピソードである。昔ほど手放しで誉めるわけにはいかないし、大した作品ではないと主張する人を説得するほどの自信もないが、自分にとって大切な愛しい作品である気持ちは変わらなかった。
一つの貝殻の中に三匹の兄弟怪獣が同居しているという設定・デザインがまず新鮮さを持っている(チョウ・ジン・サンという名前はもちろん長男・次男・三男から来ているのだろう)。そしてサンが兄たちの栄養を分け与えられて生きている弱い存在であるとの設定が心に訴える。
圧巻はサンの最期(さいご)だろう。オプトの不幸な境遇だけであったら人間の環境破壊批判というテーマが常套的であるため、感動が風化しただろうと思う。
兄たちをウルトラマンに殺されたサンは怒りで恐ろしい形相の怪獣に変身! 初登場のBGM「怪獣レクイエム」が流れるなかウルトラマンに挑むが、衰弱していただけに戦うこともなく息を引き取る。
この悲劇が泣かせるのだ。個人的には傑作であると思う。しかし、その良さの根幹である兄たちに栄養を分け与えられているということはどういうシステムになっているのかよく判らないし、サンの突然の変身はリアルではなくそういう部分を非難されたら返答できない。
だが、ともかく、ピグとともにサンの死を悼(いた)むことのできる人にとってこの作品は痛みであり、また至福でもあるのは間違いない。衰弱した体で兄たちを追うサンを止めようとして転び、泥だらけの顔でサンの名を呼ぶピグ……といったところも心に残った。
さて、今回観直してみたら、前半は正当的な怪獣ものとして作られていることに気づいた。
タンカー海難事故で怪獣の存在をほのめかして始まり(怪獣に襲われての事故ではなく怪獣を避けようとしての事故なのがリアル)、科学警備隊が不思議な現象を調査するかたちで謎めかせ、そこで真打ち登場という感じに怪獣が出現し新たな謎を与える。
防衛軍は埋め立て地に対策本部を設置して、リアルな軍事兵器を備え付け迎撃の準備を固める。防衛軍の言うことを聞かない漁師の背後に怪獣出現、軍の攻撃に応戦して進む怪獣…… とオーソドックスな怪獣もののパターンを露骨なまでに踏襲しているように見える。とすると自然破壊による怪獣出現にしたのも、その一環としての意味もあったのかもしれない。
個人的には自衛隊のようなリアルな軍事組織が怪獣と戦うのは夢がないように思われて好きではないのだが、その手のファンの方たちは喜ばれたのだろうか? あるいはアニメではチャチくてシラケられたか?
クサいほどのこの前半が、後半の非リアルな情の展開に説得力を与えるためのものなのか、意外性の効果を狙ってのものなのか、単に正統派をやりたかったのか、何も意識していないのかは判らないが、後半と溶け込んでいて不思議と違和感はない。観ている間はクサいとも思わなかったし、イヤでもなかった。
◎本編の平野靖司(現・平野靖士)氏は、後年『電光超人グリッドマン』(93年・円谷プロ)でメインライターを務めたが、平均的にはパッとせず印象に残ったのはヒロインを生かした平野美枝さんと、作品に厚みを持たせた右田昌万(みぎた・まさかず)氏の方だった。
しかし、右田氏も序盤のメインを務めた『ウルトラマンティガ』(96年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19961201/p1)ではあまり光らず、メインの座も小中千昭(こなか・ちあき)氏に移行してしまった。そのときの制作状況や体調などもあるだろうが、本作や『グリッドマン』を愛する者としては虚しく感じる。
※:製作No.12『咆哮は消えず』
シナリオでは、別名は「三体同居怪獣」名義。
#12『怪獣とピグだけの不思議な会話』 ~合評2
(文・久保達也)
(2019年10月20日脱稿)
アンチテーゼ編をやりたいならこうやるべきという見本のような、第1クールの最高傑作といっても過言ではない名作回。挿入歌『怪獣レクイエム』はこの回のためにある曲だ!
編集者付記:
CS放送ファミリー劇場『ウルトラ情報局』2009年7月号(6月第3週〜7月第2週放映)に、本話の脚本家であり、リアルロボアニメ『銀河漂流バイファム』(83年)で頭角を現し、90年代児童向け合体ロボアニメ「勇者」シリーズ初期3部作(『勇者エクスカイザー』(90年)・『炎の勇者ファイバード』(91年)・『伝説の勇者ダ・ガーン』(92年))のメインライターを務め、同じタカラが提供した円谷プロの『電光超人グリッドマン』(93年)でもメインライターを担当。本年2009年でもTV特撮『トミカヒーロー レスキューファイアー』(09年)で健筆をふるう平野靖士氏がゲスト出演! もちろんそのトークの内容は、名作である本話が中心となり、そのシナリオ執筆時における作劇過程の変遷が明瞭に明かされた。
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(関東・中部・関西の全話平均・クール平均視聴率も加筆!)
http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971117/p1
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