『魔進戦隊キラメイジャー』最終回・総括・後半評 ~「仲間」を賞揚しつつも「孤高」「変わらないこと」をも肯定!
『魔進戦隊キラメイジャー』序盤総括 ~王道戦隊のようでも異端の文化系レッドが敵幹部とも因縁!
『魔進戦隊キラメイジャー エピソードZERO』 ~劇場先行お披露目で戦隊の起死回生は成功するのか!?
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映画『機界戦隊ゼンカイジャーVSキラメイジャーVSセンパイジャー』(22年)が公開記念! とカコつけて……。『魔進戦隊キラメイジャー』(20年)中盤合評をアップ!
『魔進戦隊キラメイジャー』中盤合評 ~キラメイシルバー&ヨドンナ登場、オラディン王復活! 安定のクオリティー!
『魔進戦隊キラメイジャー』中盤評1 ~みんなが「キラキラ」できる世界を目指して
(文・J.SATAKE)
『魔進戦隊キラメイジャー』(20)中盤は6番目の戦士の登場をメインエポックとして、さらなる物語の発展・キャラクター描写の深化・バトルアクションの激化・本作独自の世界観の浸透がしっかりと感じられる。
新加入の6番目の戦士はキラメイシルバー!
「貫きシャイニング!」のキャッチフレーズ通りシルバーのスーツにオレンジの差し色、額に装備されたゴーグルが特徴だ。
彼専用の得物は「削岩機」をモチーフにしたシャイニングブレイカー! 壁や大地を鋭く貫いて突き進むパワーファイトを得意とするが、このスタイルが変身前のキャラクターにも反映されている。
キラメイシルバーに変身する青年・クリスタリア宝路(くりすたりあ・たかみち)は、「ワンダーなお宝」である輝石を探し求める冒険家として設定されている。
手掛かりとなる手帳の謎に悩む宝路と、それに新たな視点でヒントを与えるキラメイピンク=大治小夜(おおはる・さよ)。宝石状の生命体・キラメイストーンを通して巡り会った彼らはキラメイジャーとして早々に意気投合する。
対ヨドンヘイム防衛組織・CARAT(カラット)本部を訪れた宝路を、「兄(にぃ)に」と懐かしそうに迎えるお笑い芸人・古坂大魔王(こさか・だいまおう)が演じるCARATの博多南無鈴(はかたみなみ・むりょう)代表! どう見ても20歳代の宝路を「兄」と呼ぶ彼にギョッとする戦隊メンバー。そこにはある事件が関与していた……。
30数年前、輝石(きせき)を求めて世界を巡っていた宇宙の彼方にある宝石の国・クリスタリアのオラディン王。地球を訪れた彼は宝路と出会う。そして、ともに輝石を探索していたが、キラメイストーンの力とは相反する、パワーを暴走させる邪石・モンストーンが宝路の身体を犯してしまった!
オラディン王によってキラメイストーンを体内に取り込むことで一命をとりとめる宝路だが、その容姿は成長が止まって若いままとなってしまったのだ。
そして、若き日の兄をオラディン王に預けた無鈴の方も、「来たるべく日」のために努力と学びを深め、対ヨドンヘイム防衛組織・CARATを設立するまでになったのだ。
つまり、異文明とのコンタクトで人生を変えた男が無鈴以外にもいて、なおかつ王さまの養子にもなっており、そしてクリスタリア滅亡を回避できなかったというかたちで、ポッと出の新キャラではなく、出自設定の時点で因縁と動機を担保させているのだ!
オラディン王の養子となってマブシーナ姫にも優しく頼もしい義兄として慕われた宝路。しかし、王が記した「輝石の記録」に魅入られて探索にのめりこんだ彼は、ヨドン軍の侵攻を前にクリスタリアとオラディン王の危機を救うことができなかった……。
強く信頼していたが故に、いっしょにいてほしい時に姿を現さなかった宝路をどうしても許せないというかたちで、亡国の姫にして魔進戦隊のオブサーバー・マブシーナ姫にも、新キャラ・宝路ともすでに旧知どころか義兄妹ということにして因縁を持たせている。
一方、宝路はオラディン王と交わした約束のために行動していた。実はオラディン王にはかつての戦いでヨドン軍・淀みの海の魔女ヌマージョによる呪いがかけられていたのだ。
そして、当人ではなく彼が愛する者に降りかかってしまうというこの呪いによって、オラディン王の妻であるマバユイネ王妃は命を落としてしていた!
ヌマージョは王と宝路が打ち破ったものの、その呪いがマブシーナ姫にも及ぶと危惧した宝路は、奇跡の力を秘めた4つのカナエマストーンを手にするために奔走していたのだ。
お互いを思う気持ちが強いために、真相を明かせずにスレ違ってしまっていた切ない悲劇……。
さらに、宝路は叔父でもある後年の敵幹部・ガルザにそそのかされ、ひとりで行動するほうが実力を出せると信じ込んでいた。熾烈な戦いと妹を救うための困難な輝石探し。
秘密を抱える彼にキラメイジャーの変身者の資質として必要な精神力・キラメンタルと対をなすガルザの邪悪なジャメンタルが打ち込まれて、身体内の邪石・モンストーンが活性化!
「闇落ち」した宝路は「邪悪シルバー」となってしまう!!――ここでも光に背を向けたガルザが暗躍していたことで敵役としての因縁を強調している!――
この危機を救ったのはキラメイレッド=熱田充瑠(あつた・じゅうる)たちのチームワーク。カナエマストーンの奇跡の力にのみ頼ることなく、なんとタイムトラベルで過去に飛ぶという大イベント編が配置される! そして、マブシーナ姫の呪いを解く手掛かりを得る!
そして、マブシーナ姫は宝路の心に訴える。私にだけでなく皆のヒーローになってほしい! 国民が輝けることを一番に考えてきたオラディン王。それを間近に見ていた姫だからこそ、兄にも同じ理想を追いかけてほしい……。
お約束だが、愛する妹と信頼できる仲間たちの支えを受けて、ジャメンタルの呪縛を打ち破る宝路!
充瑠たち5人と宝路、そしてマブシーナ姫。互いの関係が深まる過程が、バトルアクションとキャラの心情交歓を同時進行で見せてゆく見事な構成。チームで協力することで大きな困難に立ち向かう力を得るスーパー戦隊シリーズの魅力、そしてメインとサブキャラの交流をしっかりと描くことで醸成する雰囲気が「魔進戦隊」のカラーを明確にする。
ヒーロー側の強化とセットで、メカ=魔進(マシン)も新登場! なんと既存の魔進戦隊5人とは異なり、身体内の輝石を用いて自らが巨大なキラメイストーンに変化してしまうキラメイシルバーというかたちで、巨大化戦での在り方を差別化!
無鈴が独自に開発した魔進・ドリジャンと合体することで完成するのが、3つのドリルと作業アームを装備した巨大ロボ・ギガントドリラーだ!
人間サイズのシルバーと同じくドリルでの強大な突破力を地底を舞台とした戦いで披露し、その魅力をアピールしてくれた。
敵幹部・ガルザの操る蒸気機関車モチーフの魔進ジョーキーと合体することで実力を発揮していた魔進エクスプレス。
ジョーキーの参戦減少に伴い、それに代わる魔進が登場! 同じく列車モチーフである新幹線とサメを組み合わせた魔進ザビューン(笑)だ。ボディカラーを白で統一。ジョーキーの黒との対比が明確に。
そして、合体ロボ・キングエクスプレスザビューンはサメの探知器官を応用して敵の弱点を特定し、超特急で攻撃を仕掛ける!
6番目の戦士が登場したことで、敵側にもボリュームを増すためにヨドン軍にも新幹部が設定される……。
お宝探しに目をキラキラさせる宝路&充瑠をクールに観察していた美女の巫女さんに一目惚れしてしまうキラメイイエロー=射水為朝(いみず・ためとも)。
その正体こそヨドン皇帝直属秘書官・ヨドンナ! 人間の感情を理解せず、笑顔の代わりに舌をダランとさらけだすのがキメ顔のサディスティックウーマンだ!
ムチを振るって雑兵ベチャットや邪面師をその命と引き替えに強化する力を持っている、部下を使い捨てにする冷酷な幹部なのだ!
新敵幹部の非人間性を強調するために、人間がチームで協力する姿を弱者が群れているだけだと見下してくるヨドンナに、激しく憤(いきどお)る為朝! ここでも善悪の対立の構図をしっかりと見せて、両者のライバル関係も強調していく。
雑兵もパワーアップする事態を受けて、カナエマストーンの力を借りようとするメンバーたち。しかし限界を破って無理をすれば命の危険が……。
充瑠は「不死鳥伝説」の伝わる神社を訪れる。子供時代からそこで絵を描いて見せていた宮司・ヌシカンさんと再会し、彼もオラディン王と旧知の仲であったことを知る!
王が弓の手ほどきを受けていたという話から、ただ強く弓を引いては壊れるだけ。集中して一瞬に最高の力を発現させることが重要だと教えられた充瑠。そこで「ひらめき~~ぐ!」したのが、「制限時間」つきで能力を引き出す不死鳥の弓=キラフルゴーアローだ!
キラメイレッドが空に放った矢で魔進戦隊5人が変身するとキラメイジャーは胸のキラメイストーンの位置が変わったプロテクターを装備する。
そして、一点集中の一撃! 多勢に向けての一斉射! 目にも止まらぬ素早い斬撃! など、ひとつのキラフルゴーアローをバトンパスするようにつないでゆき、それぞれのバトルスタイルで敵を討ち倒してゆく爽快なバトルアクションを展開する!
ここで登場した不死鳥がキラメイジャーのさらなる危機を救うシンボルとなる。
本作における巨大怪獣こと邪面獣によって力を封じられた魔進ファイアたち。力を取り戻すにはキラメイストーンの聖地・アタマルドに行くしかない。それにはオラディン王を幼少から見守ってきたという設定の魔進ハコブーの協力が不可欠なのだが、王を守れなかった彼は地球で隠遁者となっていた……。
要はクリスマス商戦合わせの新メカ登場の一環なのだが、その名の通り、ただの運搬メカにも個性的な性格と出自を与えることで、視聴者の印象に残るドラマ性を与えているのだ。偶然にも我らが地球で隠遁していたのは、この手の番組特有のご都合主義なのだが(笑)。
心を閉ざしていたハコブーを魔法戦隊の面々はエンターテイメントの力で目覚めさせようとする! キラメイブルー=押切時雨(おしきり・しぐる)は充瑠との漫才、弾き語りなどを披露するも撃沈……。しかし、自分の力不足に涙する彼の姿に感動して、ハコブーは立ち上がる!!
――感動の思いをとうとうと語るハコブーを尻目に、実はすべてが演技プランであったことを充瑠に明かす時雨! そんな展開でよいのか!? しかし、確かに演技力はスゴかったことになるが、人生の先輩の話はきちんと聞きなさい(笑)――
魔進ハコブーはこれまでで最大の翼竜型魔進だ。その黄金色の機体を180度回転させて、魔進ファイアたち5体のキラメイストーンを搭載するカーゴモードも実装。そのお歳のせいか人生の先輩は昔話が大好きで、とにかく話が長いのが困りものだと描写されている(笑)。
聖地・アタマルドは人間とクリスタリア人が共存する世界を創造したオラディン王の理想郷。王があっての世界だとハコブーは忠告するが、これまで幾度もオラディン王と夢の中で邂逅した充瑠はその導きを信じて出立する。
ヨドン軍に拘束されたオラディン王はジャメンタルによって邪石に封じ込められたが、その精神の一部を聖地・アタマルドの輝石に飛ばしていたのだ! 邪石は今まさに崩れ去る時。王を救い出す最後のチャンスなのだ。
聖地・アタマルドで王を探している為朝たちの前にいくつもの扉が現れる。一度しか使えない鍵で扉をくぐる小夜たちだったが、たどりついたのは襲い掛かる自身たちの影だった!
そして、充瑠は鍵穴のない扉に、自らの手で鍵穴を描き込むことで(笑)、自身の思いの強さを証明し、オラディン王と相まみえた!
手を取り合ってジャメンタルの呪縛から逃れ、光溢れる世界へと飛び出すふたり。夢の中で逢瀬を重ねた彼らの解放!
これをBL(ボーイズ・ラヴ)的だと見る向きもあるようだが、ソウルメイト(魂の仲間)という言葉もあるように、個人間の恋情ではなく種族を越えて深く結びついた仲間の素晴らしい姿を表現した演出だと筆者は見ている。
オラディン王は解放された精神をスカイキラメイストーンに込めることで、自身が魔進オラディンとなった!
全身がクリスタルブルーの不死鳥は神々しさをそなえ、魔進ハコブーと合体することで巨大ロボ・グレイトフルフェニックスが完成!
全身のレッド・ゴールド・クリアブルーのきらびやかなカラーリングが映える。大型の斧=ゴールデンアックスが得物で、このふたつを組み合わせたハルバードに太陽のエネルギーを集約して斬撃に込めるグレイトフルプロビデンスは威風堂々の必殺技だ。
スーパー戦隊シリーズの原点の魅力を見せてくれる本作。これまでの作品で取り上げていたモチーフをピックアップして魔進戦隊なりに解題するエピソードも魅力を放っている。
映画『魔進戦隊キラメイジャー エピソードZERO』(20)で描かれた高校生としての充瑠。その中でかわいい見た目とは程遠い、おどろおどろしい自画像を描かれた女子高生クラスメイト・柿原瑞希(かきはら・みずき)さん。
彼女が再登場して、本作における敵怪人こと邪面師によって充瑠とくっついて離れられない事態を一緒に乗り越えることで互いをさらに知り、友情が生まれるのがエピソード20『あぶないペア』だ――刑事ものなどでもよくある、手錠でつながった犯人と刑事が諸事情で同道するパターンの援用でもある――。
シリーズ第29作『魔法戦隊マジレンジャー』(05・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20110228/p1)マジレッド=小津 魁(おづ・かい)は高校生で、サッカー部マネージャー=山崎由佳に思いを寄せていた。魁は正体を伏せてヒーローと学生をこなしながら、マジレッドに憧れる彼女との恋愛を自身がマジレッドと知らせずに成就させられるかが注目ポイントとなっていた。
キャラが違えば状況も変わる。教師や大人の前では「よい子」を演じる瑞希は、誰の前でも変わることなく絵画の中の想像の世界で自由に羽ばたく充瑠に苛立ちキツくあたる。
しかし、そんな彼女の心苦しさを自らも恥じていることを充瑠は感じとっていた。よい子を演じるズルさも毎日をがんばる強さの現れ=「ズルパワフル」(笑)を発揮できるスゴいことだと瑞希を認める充瑠!
さらにキラメイレッドであることを彼女に明かし(!)、邪面師を倒すために協力しあうことに。おとりとなって攻撃をかわし続け、反撃の時間をつくるのだ。
キラメイジャー独特の名乗りアクションのようにキラメイレッドとJK(女子高生)瑞希のペアダンスが華麗にしなやかに展開し、邪面師の攻撃を避け続ける!
戦いのなかでもキラキラしたトキメキが生まれた瞬間であった。
戦いに勝利し、平和なクラスの日常。変わらずスケッチブックに向かう充瑠と、彼に優しい視線を送る瑞希。良い意味で人の評価を気にすることなく、自分らしさを解放した彼女。今後もキラメイジャーのよき理解者としてクライマックスにも参加してほしいし、充瑠との関係もさらなる発展を期待したい。
歴代のスーパー戦隊とのクロスオーバーも定着して久しいイベントとなった。
キラメイグリーン=速見瀬奈(はやみ・せな)が所属する陸上チームをサポートする企業は「スクラッチ」であり、これはシリーズ第31作『獣拳戦隊ゲキレンジャー』(07・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20080817/p1)で獣拳戦隊を支援する防衛組織でもあった。そして、『獣拳戦隊ゲキレンジャー』のキャラクターとの競演がついに実現!
スクラッチが開発したサポートギアにヨドンナが罠を仕掛け、走り続けなければ爆発する危機に陥った瀬奈。スクラッチの真咲美希(演・伊藤かずえ)とその娘=なつめ(演・桑江咲菜)が獣拳戦隊の力の源である精神=ジャン語を通して瀬奈と交歓し、勝利を手にするまでを描くのがエピソード27『大ピンチランナー』だ。
サブキャラクターがその戦隊の精神を伝えるかたちのため、新旧2大戦隊が共演する毎年恒例の映画『スーパー戦隊VSシリーズ』のようにガッチリ競演を期待するファンとしては残念であったかもしれない。しかし過去の映像を用いて獣拳戦隊のメインキャラ構成や魅力の一端を紹介するシーンが盛り込まれ、美咲となつめが彼らをしっかりと支えていたことをアピール。
少女だったなつめがスクラッチのスタッフとなり、美咲女史は激獣レオパルド拳の使い手としてヨドンナに戦いを挑むなど、現在の頼もしい姿をしっかりと見せることで、彼女たちも戦う仲間であることを認めさせた。
さらに、ゲキレッド=ジャンが使っていた「ニキニキ」「ゾワゾワ」「モラモラ」といったジャン語の理解に苦しむ瀬奈が、罠を打ち破るキーワードとして使われることで本質を学び取る。獣拳戦隊に初めて触れた子供たちにも良く伝わる展開になっていたと思う。
これまで魔進戦隊を支えてきた博多南無鈴代表にスポットを当てたエピソード30『誇り高き超戦士』も登場。
オラディン王は復活したが、聖地・アタマルドに留まっているために、簡単に呼び出すわけにはいかない。激しくなる戦いに向けて7番目の戦士を待望する雰囲気が……。
宝路には何か予感があるようだ。そして無鈴が立ち上がる! キラフルゴーアローを強化すると研究室にこもる無鈴の決意に7番目の戦士・キラメイゴールド誕生を確信する宝路!
かつてモンストーンに犯されて宝石の星・クリスタリアへと運ばれるとき、宝路は「君こそ戦士だ!」と無鈴を讃えるオラディン王の言葉を聞いていたのだ。その力を信じて堪え忍ぶ宝路……。
だが、充瑠は無鈴の別の力に注目していた。それは「人への気遣(きづか)い」だ。異文化の星へ渡る宝路のために、王家への手みやげと宝路の愛読書を王に献上する無鈴。
そんな心配りができる人物が後ろから支えてくれるから、矢面(やおもて)に立って戦うことができる。これも戦い方のひとつだと王は認めているからこそ「君こそ戦士だ!」という言葉をかけたのだと。そして充瑠もそれを確信するから無鈴を待つ!
果たして、到着したキラフルゴーアローには通信機能が追加され、聖地・アタマルドへのホットラインが開通していた! キラフルゴーアローの力と、魔進オラディン&ハコブー=グレイトフルフェニックスによって敵を撃退するキラメイジャー。
キラメイゴールドのスーツも登場して本当に無鈴が7番目の戦士?! と思わせる前半の展開と、ややコミカルに寄せつつも戦士をサポートする仲間の大切さをアピールするハートフルな落とし方はお見事であった。
作品を放送するうえでキャラクター玩具の商品展開は欠かせない。近年はスタッフが製作した撮影用のプロップと併用してバンダイが販売する玩具も撮影に使われているようだ。その玩具がふんだんに登場したのがエピソード31『おもちゃ』だ。
邪面獣の能力で縮小化してしまった充瑠=1号ロボ・キラメイジンと宝路=ギガントドリラー!
ただの猫が猛獣になってしまった事態にあわてふためく魔進たち!(笑) さらに通りかかった少年・龍生(たつお)に持ち去られてしまう! 日用品で作られた山あり谷ありのフィールドで思う存分ヒーローになりきり、ごっこ遊び=「ブンドド」する龍生。これはいまキラメイジャーのおもちゃを持っている子供たちの家で毎日展開しているリアルな光景でもあるのだ(笑)。
とんだ災難だと早々に逃げだそうとする宝路と魔進たちだが、充瑠は龍生が心の底からキラキラしていないことが気掛かりで……。
母親が大好きだからこそ、ちょっと甘えたくても本当の気持ちを隠してしまう子供。仕事の忙しさと子供なりの「やさしさ」に心の機微を見逃してしまう親。まさにかつてマブシーナ姫と宝路がたどった心のスレ違いと同じ悲劇だ。
充瑠は素直な気持ちを母に伝えることが大事だと龍生を諭(さと)す。相手を思いやる心は大切だが、無理を続けると元気を失い病んでしまう。子供が甘えたいのは当然だし、子供の気持ちを受け止めて応えてあげるのが親のつとめだ。
ヨドン軍との戦いは魔進戦隊の任務だが、目の前の子供の幸せを守るのも大切なことだ。リアルな戦争を考えたら、終始戦闘や警戒に従事している軍人にはこの両者は両立できないことなのだが、そこは子供向けのヒーローものである。この両者は両立できるし、子供の願いも犠牲にしないようにと務めてみせるのが、子供番組の作りとしてはベターだろう。
このように中盤はメインとサブキャラの関係も深く描写することで物語に厚みを持たせ、視聴者の感情移入度を上げてさらに引き込む。作劇の基本ではあるが、そこがしっかりしている作品はやはり面白く観られるのだ。
近年は素顔のヒーローたちがキャラクターソングを歌ったアルバムも発表しているが、本作ではシリーズ後半ではエンディング歌曲として毎週放送される趣向も試みられた。このへんは我々年長マニアの方が喜んで、やや背伸び盛りをしたいようなマニア予備軍タイプの子供たちには気恥ずかしさを覚える趣向かもしれないが、一般的な子供たちにはキャラクターを浸透させることに貢献していると思う。
そして、コロナウイルス感染拡大防止のため、ロケ場所も限られているであろう現在、東映の大泉撮影所内でも見立てで代替できる箇所はそこで撮影を済ますなど、苦心して選定していることもうかがえるなか、スタッフの挑戦は続いている。
円谷プロの『ウルトラマンZ』(20・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200723/p1)では定番となっている、ミニチュアセットによる市街地が崩壊していく細やかなシーン。『キラメイジャー』では東映も巨大怪獣に相当する邪面獣が巻き起こす突風で屋根が吹き飛ぶ家屋のカットを投入し、その臨場感を演出!
等身大アクションではキラメイジャーと雑兵ベチャットたちが屋外から建物内へ追いつ追われつ展開するアクションを、ひとつのカメラが捉え続ける長回しのワンカット映像に挑戦! こちらも緊張感溢れるバトルシーンでワクワクとさせてくれた!
昭和からスタートしたスーパー戦隊。長い歴史のなかで培った特徴を捉え直して、令和の時代にマッチした語り口で仲間たちと協力する「チームワーク」の素晴らしさをアピールする本作。いかなる展開で終盤を迎え、どのような成果を獲得するのか。これからも注目し続けたい作品だ。
『魔進戦隊キラメイジャー』中盤評2
(文・宮城のトーマス)
『魔進戦隊キラメイジャー』(20)は、シリーズ序盤(https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200712/p1)を見ていると(映画『魔進戦隊キラメイジャー エピソードZERO(ゼロ)』(20)も含む)、設定の説明とキャラクターの描き方がよくできているというのが感想(特にレッドの充瑠とイエローの為朝)。
と書きながらも、ブルー(時雨)・ピンク(小夜)・グリーン(瀬奈)の3人も、「職業」設定を組み込ませることでキャラクターが明確になって、キャラクターの立ちが巧(うま)く描けている。
この作品の特徴としては、伏線(と布石)の描き方と回収の巧さということが挙げられる。
この作品らしい例を挙げれば、2号ロボのキングエキスプレス。まず、機体の下部分を構成させる幹部のガルザの操縦するスモッグジョーキー(魔進ジョーキー)を最初に登場。視聴者にはキラメイジャー達のロボのライバルロボと思わせながら、番組が展開しながらも、ちゃんとキングエキスプレスの「布石」や「伏線」は張っている。
キングエキスプレスとキングエキスプレスの機体の上部分を構成する魔進エキスプレス登場の前後編。レッド(充瑠)の特訓回と思わせながら、ちゃんと幻で魔進エキスプレスを登場させる。
そして、スモッグジョーキー&邪面獣のバトルで1号ロボ・キラメイジンがピンチに(ここらへんで敵幹部・ガルザの狡猾さも描写できていて見事!)。
充瑠の夢の中でのオラディン王とのやり取りで、オラディン王の充瑠に対する「お前ならやれる」的な台詞が、今後の展開(キングエキスプレス&魔進エキスプレスも含めて)を予想させる。
少なからずも、この前後編で主人公・充瑠が本作の「重要人物」になったわけだ(敵幹部・ガルザとのライバル的な関係も含めて)。ガルザも充瑠がオラディン王と同じクリエイティブな能力を持ってるだけにその存在を軽視はできなくなる(ガルザは本作品のシリアス部分を受け持つキャラクターだが、その次エピソードの「百人一首」編とのギャップが・笑)。
※充瑠は、彼自身の持つ特殊能力で、すでに宝石の国・クリスタニアでのクーデター・滅亡劇を知っていることは、映画『エピソードZERO』を観賞している人は分かるはず。この場面も本作では重要な部分でもある。
地球防衛組織・CARAT(民間企業がベースになっているために防衛「軍」ではない)の関連施設での、マブシーナ姫(本作の影の主人公といえる)を交えた充瑠(キラメイレッド)対ガルザの一戦。
そして、マブシーナが地球に来た際に乗ってきたホワイトキラメイストーン(ここらへんも『エピソードZERO』で描かれている)が魔進エクスプレスに進化する。
『エピソードZERO』と序盤のエピソード群が伏線を巧く貼っているため、この作品は「こんな小ネタも伏線だったのか?」といった感じで巧く伏線として作っていて、しかもその多くがきちんと回収されている。
特に瀬奈の陸上のスポンサーが『獣拳戦隊ゲキレンジャー』(07)に登場したスポーツ用品会社・スクラッチ社だという設定は、劇中にゲキレンジャー関係者のスクラッチ社の重鎮である真咲美希・なつめ親子がまさかのかたちで再登場して『キラメイジャー』とクロスオーバー!
「設定」を巧く「伏線」に転じた『キラメイジャー』スタッフの機転の巧さと、マニアの観たいものを見せてくれるサービス精神と、かつての出演者たちへの出演交渉といった努力の発露だ。
本作はメカ生命体でもある魔進(マシン)たちも含めると、多数の爆竜を含む『爆竜戦隊アバレンジャー』(03・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20110613/p1)や多数の炎神(エンジン)を含んだ『炎神戦隊ゴーオンジャー』(08・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20080824/p1)のような、かなりの「大所帯なヒーローグループで構成されている。ヒーロー+意思を持つメカ+支援者! よって、キラメイジャーや魔進を交えたドラマ展開も面白いものがある(第5話の為朝と魔進ショベローのエピソードが良い例だ)。
劇中で魔進が合体した巨大ロボについては、あくまでもロボ「単体」の魅力やカッコよさを追求したかたちになっていて(この部分は玩具会社・BANDAIの社員の方もそういう意図だったと言及している)、純粋に単体のロボの合体・変形・モチーフの良さを活かした作りになっている。
特に、1号ロボのキラメイジンの「合体ロボ」としての魅力を突き詰めたカッコよさは、よく考えこまれているなぁと痛感する。キラメイジンの各ロボについては、また別の機会に書いてみたいとすら思う。
本作の中盤から最終章についてもいずれつづってみたい。『魔進戦隊キラメイジャー』は何だかんだ言いながら面白い作品だと思う。
『魔進戦隊キラメイジャー』中盤評3
(文・戸島竹三)
まず、ヴィラン(欧米での悪役に対する歴史もある総称)である途中参加の新女幹部「ヨドンナ」のネーミングセンス(「淀む」と「女」を掛けたもの)に座布団10枚をあげたい!
(ちなみに、ヨドンナ役の彼女と『ウルトラマンZ』(20)オオタ・ユカ役の黒木ひかり、さらには『仮面ライダーセイバー』(20・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20220116/p1)の新登場キャラ役の女性も同じ所属事務所らしい・笑)
キャラクターソングの中では作詞・阿木曜子&作曲・宇崎竜童コンビによるキラメイシルバー・宝路(たかみち)の楽曲が、昭和テイスト満載でイカす!(『仮面ライダーブラック』(87年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20001015/p2)主題歌を歌唱した倉田てつをを思わせる歌唱力も含めて・笑)
2020年11月21日現在での最新のエピソードである第31話『おもちゃ』は、『キラメイジャー』の玩具自体がそのままのサイズで、実物がミクロ化したという設定で本編に登場して大活躍! 正しい玩具販売促進が行われていて楽しかった。
ただゲストの少年は、キラメイジャーの存在を知らなかったようだが(巨大ロボに架空のネーミングをしていた)、そこは無理がある。毎回あれほど堂々と市街戦をしているのだから、ある程度の知識はある描写にしてもよかったのでは?
『魔進戦隊キラメイジャー』中盤評4
(文・久保達也)
*作品の「タテ糸」となっている「6番目の新戦士」!
久々に「王道」のスーパー戦隊としてスタートしたものの、新型コロナウィルスの影響で5週も新作の放映を休止する憂(う)き目にあった『魔進(ましん)戦隊キラメイジャー』(20年)は、2020年6月21日放映のエピソード11『時がクルリと』から無事に放映再開となった。
「あの人の予感がする」
すべてが宝石のように美しく輝いていた国・クリスタリアの王女なのに、青くてごっつい大理石がそのまま顔となった石頭の大仏さまのような造形になってしまったマブシーナ姫のことを、筆者も多くの特撮マニア諸氏と同様に当初は全然かわいくないと思ってしまった(笑)。せめて、お目めを少女漫画や美少女アニメ的にもっと誇張してタテ長に大きくしてくれればよかったのに……
だが、声を演じる人気アイドル声優・水瀬いのり(みなせ・いのり)のかわいい声質もあってか最近はすっかり慣れた感がある。
エピソード11のラストでマブシーナ姫が先述のようにつぶやくや、宝石の輝きのようなキラキラとした背景に謎の人物のシルエットが示される。
そして、つづくエピソード12『ワンダードリルの快男児』からは、スーパー戦隊シリーズ恒例(こうれい)の「6番目の新戦士」が登場した!
黒髪ロン毛で頭にゴーグルをはめたかなり高身長のガッシリ体型に銀のダウンジャケットを着用する、見た目は20歳前後に見える青年であり、「昭和」のスーパー戦隊に主演した男優たちのごとく、近年では珍しくかなり濃い目の顔をしたクリスタリア宝路(くりすたりあ・たかみち)=キラメイシルバーこそ『キラメイジャー』の「6番目の新戦士」だ。
この宝路が登場して以降、『キラメイジャー』は多数のキャラの思惑(おもわく)が複雑に交錯する「大河(たいが)ドラマ」的な一大群像劇として、以前にも増して連続ものとしての様相を呈(てい)することとなっている。
映画『魔進戦隊キラメイジャー エピソードZERO(ゼロ)』(20年・東映・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20200322/p1)で前日譚(ぜんじつたん)として描かれたように、先述したクリスタリアは美しい星を次々と侵略する闇の帝国・ヨドンヘイムによってすでに滅ぼされてしまった。
クリスタリアの王女・マブシーナと意志を持つ宝石たち・キラメイストーンは次にヨドン軍が侵攻すると思われた地球に来訪し、5人の若者たちを次々にスカウトすることでキラメイジャーが誕生したのだ。
ヨドン軍のクリスタリア制圧を成功させたのはクリスタリアの王・オラディンの弟であり、マブシーナ姫にとっては叔父(おじ)にあたるガルザの裏切りだった。
のちにヨドン軍の幹部にまで登り詰めた、故郷の星と父の仇(かたき)でもあるガルザを、マブシーナ姫は激しく憎悪(ぞうお)する。
ガルザもまた兄のオラディン王と考えや言動が重なるのみならず、王と同様に魔進を生みだす能力までを持つようになった地球の男子高校生・熱田充瑠(あつた・じゅうる)=キラメイレッドの打倒に執念(しゅうねん)を燃やす因縁(いんねん)対決が、『キラメイジャー』では序盤から描かれることになった。
クリスタリア宝路という名字がクリスタリアになっている名前が象徴するように、『キラメイジャー』の「6番目の新戦士」はクリスタリアと地球をまたいだ深い因縁で対立するヨドン軍とキラメイジャーの双方に、彼らの物語がはじまる以前から深いつながりがあったことが、回を重ねるごとに小出しで明かされてきたのだ。
*「6番目の戦士」は「男のコが大好き」なドリルの戦士にしてネタキャラ!
近年の「6番目の新戦士」がほぼそうであったように、宝路もまた当初からカッコよさは当然として、若干(じゃっかん)コミカルな印象を感じさせる演出が施(ほどこ)されている。
「細足乙女(ほそあし・おとめ)の山怒らせ」という、山の女神さまが登山してきた細足乙女に嫉妬して災(わざわ)いを起こすという宝石の国・クリスタリアでのことわざ(笑)どおり、遭難者の救護に来て自身が遭難してしまった美人すぎる女医・大治小夜(おおはる・さよ)=キラメイピンク。
彼女を見かけるも、宝路は「ワンダーキュート!」と喜んで応急処置をするのみで、「時間がない!」と小夜を放置したままその場を離れようとしたほどだった(笑)。
通りすがりの風来坊的な初登場の場面で、『海賊戦隊ゴーカイジャー』(11年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20111107/p1)のごとく「お宝」探しの旅をしていると自身を語った宝路は、「お宝」の位置を示す地図が描かれた手帳を手に、変身アイテムと兼用する腕時計型で青い球形の高性能レーダーを備えたシャイニーキラメイチェンジャーで「お宝」を探し当てる。
そして、小型の削岩(さくがん)ドリル・シャイニーブレイカーを大地に突き立て、工事現場の作業員のごとく掘り進めて大穴をあけるのだ。
そのシャイニーブレイカーは宝路の呼びかけでリュックから飛び出て林の中を高速で駆け抜けて、それにつかまった宝路が空を飛行する(!)なんていうカッコいい描写まであるのだ!
そして、男子が大好きなドリル型の武器はこれだけではない。エピソード13『地底大戦争』で初登場するキラメイシルバーの専用メカは、宝石のようなクリスタル状の3つのドリル(!)で地底を100メートル1分で掘り進むというオレンジ色のドリル戦車・魔進ドリジャンである!
そのドリジャンは4話あとのエピソード17『洋館の奇石』で、巨大ロボ・ギガントドリラーに変型! 必殺ワザは3つのドリルでヨドン軍が放つ巨大怪獣・邪面獣に突進する「ギガントクラッシュ!」だ!
しかも、キラメイシルバーは「ワンダーチェンジ!」として自分自身がシャイニングキラメイストーンなる巨大な宝石に変身し(!)、ドリジャンと合体することで巨大ロボ・ギガントドリラー誕生となるのだ。
ドリジャンがほかの魔進たちとは違って意志を持たず、自ら話すことがないのは――音声ガイダンスは流れる――設定の不統一ともいえるが、キラメイシルバーの「宝石変身!」を印象強く描くための差別化としてだろう。
なお、キラメイシルバーのスーツアクターを務める高田将司(たかだ・まさし)は並行してギガントドリラーも演じている。このキャスティングはシルバー自身が変型してメカと合体するという設定を効果的に描くためにはまさに打ってつけなのだ。ちなみに氏は、
・『特命戦隊ゴーバスターズ』(12年)のブルーバスター
・『獣電戦隊キョウリュウジャー』(13年)のキョウリュウブルー
・『烈車(れっしゃ)戦隊トッキュウジャー』(14年)のトッキュウ2号(ブルー)
・『手裏剣(しゅりけん)戦隊ニンニンジャー』(15年)のスターニンジャー(6番目の新戦士)
・『動物戦隊ジュウオウジャー』(16年)のジュウオウザワールド(6番目の新戦士)
・『宇宙戦隊キュウレンジャー』(17年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20180310/p1)のシシレッド
・『快盗戦隊ルパンレンジャーVS(ブイエス)警察戦隊パトレンジャー』(18年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20190402/p1)のパトレン1号(レッド)
・『騎士竜戦隊リュウソウジャー』(19年・https://katoku99.hatenablog.com/entry/20191102/p1)のリュウソウブルー
と、ブルー→6番目の新戦士→レッド→ブルーといった主役と副主役の遍歴をたどってきた、1989(平成元)年生まれの若手ながらもすでに大ベテランなのだ!
「貫(つらぬ)きシャイニング! キラメイシルバー!!」
ほかのキラメイジャーたちと同じ「キラメイチェンジ!」の掛け声とともに、シャイニーキラメイチェンジャーの球型レーダー下部にあるディスク部分を回転させるや
「Oh(オー)! シャイニング!」
という音声ガイダンスが流れて、太陽光の輝きのもとで全身のシルバーからキラめきを放つキラメイシルバーがアオリでとらえられる初変身の演出は、視聴者が待ちに待った「6番目の新戦士」のカッコよさを存分に描き尽くしていた。
驚き・驚嘆(きょうたん)・不可思議などの意味を示す「ワンダー」が口グセであるキラメイシルバーは、ヨドン軍の怪人・インセキ(隕石)邪面と戦闘員・ベチャットの集団を、自称「ワンダー極まりない力」(笑)で蹴散らしていく! ただし、
・シルバーをつぶそうとベチャットが走らせた複数のダンプトラックの間に両足を広げて停車させ、腕組みしたシルバーが「どんなもんだい!」と豪語する、スーパー戦隊の元祖『秘密戦隊ゴレンジャー』(75年)の初代キレンジャーの口グセ「どんなもんじゃい!」を彷彿(ほうふつ)とさせるアクション演出とか、
・シルバーがインセキ邪面に対し、「インセキだけに、引責(いんせき)辞任しやがれ!」と口走ったり、
・シルバーがシャイニーブレイカーから光線ワザを放つ際の音声ガイダンスが「ビーム一丁! 喜んで!」と、某(ぼう)有名居酒屋チェーンの接客マニュアルのモロパクリだとか(爆)、
・爆死したインセキ邪面からわきあがる炎を背景に勝利のポーズをキメるカタルシスあふれる定番描写で、シルバーがキラメイジャーよりもほとんど視聴者に向けて「まぶしいだろ」と口にしたりとか、
・シルバーがピンクを抱いて山間部を飛行する華(はな)のある描写で「ワンダ~~~だっこ!」と叫ぶとか(爆)、
もう完全にユカイなネタキャラ扱いだった(笑)。
90年代以降のスーパー戦隊シリーズではともかく、ウルトラマンシリーズや仮面ライダーシリーズで90年代から2000年代前半当時にこのようなコミカルな描写を入れたならば、特撮論壇で「ふざけるな!」と徹底的にたたかれたかと思えるほどに(汗)、キラメイシルバー初の大活躍はカッコよさと面白さを絶妙に兼ね備えて描かれたのだ。
ただ、近年は深夜枠のアニメですらも、たとえば『キラメイジャー』と同じく高校生男子が主人公の戦隊ヒーロー作品『ド級編隊エグゼロス』(20年)や、特殊能力を持つ若者たちを主人公の女子高生が容赦(ようしゃ)なく殺害していく『無能なナナ』(20年)なども、ジャンル的なカテゴリーでは純粋なギャグものだとは云いがたいのに、初見では学園を舞台にしたドタバタ・ラブコメディかとカン違いしてしまうほどに、ほぼ全編がコミカル演出にあふれていたりする。
ひたすら陰鬱(いんうつ)な作風だったりバイオレンス描写ばかりが目立つようなジャンル作品はもはや皆無に近いと云ってよく、むしろそうした印象を軽減するための効果的な手段としてコミカル演出を積極的に導入する作品こそが、すでにリアル至上主義を脱している今の若いオタクたちにも支持されているのだともいえよう。
まぁ、遭難したのを助けてくれた約束として、事件解決後に宝路と小夜がキスをやらかす描写は双方のファンにとっては見たくなかったかとは思えるのだが(笑)。
初登場作品のサブタイトルどおりに「ワンダードリルの快男児」としての姿を存分に示した一方で、山で遭難した小夜を結局、助けた宝路はシャイニーブレイカーが入ったリュックを置いて、小夜を背負って険(けわ)しい山道を進んだが、その際に小夜は宝路のことをこう呼んだ。
「ユカイ ツーカイ 怪力くん」(爆)
「昭和」の世代ならばすぐにピンと来ただろう。これは藤子不二雄A(ふじこ・ふじお・エー)先生原作のギャグ漫画のアニメ化『怪物くん』のリメイク版(80年・シンエイ動画 テレビ朝日)の主題歌『ユカイツーカイ怪物くん』が元ネタなのである――のちにジャニーズ事務所のアイドルグループ・嵐(あらし)の大野智(おおの・さとし)が主人公の怪物くんを演じた実写ドラマ版の『怪物くん』(10年・日本テレビ)でも挿入歌として氏の歌唱でカバーされていた。ちなみに『怪物くん』の一番最初のテレビアニメはモノクロ作品(!)であり50年以上も前の1968年に放映されたものである――。
単にカッコいいばかりではなく、この「ユカイツーカイ」=愉快・痛快なるフレーズがピッタリと来るような要素を持ち合わせているキャラこそが、今の時代に最も受け入れられるヒーロー像ではないのだろうか?
そして、小夜が「ユカイツーカイ怪力くん」なる「昭和」を思わせるフレーズを使ったのは、その後に真相が語られる宝路の出自をにおわせるものでもあったのだ。
*再会できた兄妹に、対立構図を導入することで予定調和とはせずに興味を喚起!
従来の「6番目の新戦士」は登場当初は主人公戦隊とは敵対する関係として描かれることが多く、両者が心の変遷を重ねた末にその関係性が変化をとげて、「6番目の新戦士」が正式な仲間入りを果たして「みんな仲良し」(笑)となるのが通例であった。
『キラメイジャー』でもたとえばエピソード14『孤高のエース』では、「e(イー)スポーツ」界のNo.1プレイヤー・射水為朝(いずみ・ためとも)=キラメイイエローが宝路を指して、
「ホントに協調性のないヤツ」
とボヤく描写がある――序盤から充瑠と対比させてコミュニケーション能力バツグンのキャラとして描かれてきた為朝が、いかにも口にしそうなセリフだ(爆)――
先述したエピソード17では、為朝が宝路に、
「アンタの胸のカギもすっかり開いたみたいだな」
と語りかけるに至る係り結び的な展開があり、その象徴としてドリルロボット・ギガントドリラーの誕生が描かれていた。
「心を開ける仲間を得たオレは変われる! 変わる! 変わりたい!」
この「変われる! 変わる! 変わりたい!」は、エピソード1『魔進誕生!』でレッドキラメイストーン=魔進ファイヤにスカウトされた充瑠の心の叫びを反復させたものであり、「ヒーロー誕生!」の演出としては絶妙にすぎるだろう。
ギガントドリラーの初バトルを「お手並み拝見」と、先輩合体ロボのキラメイジンが高見の見物をするのはいいとして、あぐらをかいていたのはメチャかわいかったが(爆)。
ただ、宝路は初登場の当初からキラメイジャーを「後輩諸君!」と呼んで、インセキ邪面との共闘で「ワンダーサンキュー!」と謝意を示したり、キラメイジャーの本拠である地球防衛組織・CARAT(カラット)に現れた宝路を、キラメイストーンたちが皆「宝路さま!」と呼んで敬語で語りかけたりもするのだ。
――ところで、CARATという名称も、もちろん『キラメイジャー』を陽性で「カラッと」した作風にしたいといったねらいの現われだろう――
つまり、宝路は当初からキラメイジャーの先輩戦士・年長格として明確に設定されて描かれているために、激しく対立したレッドとシルバーがガチンコ対決! なんていう表立った敵対関係は描かれないワケである。
むしろ、「宝路との対立」が描かれたのはキラメイジャー側ではなく、ある意味では『キラメイジャー』の真のメインヒロインといっても過言ではないマブシーナ姫だったのだ。
「何もかもお兄さまのせいです!」
「おおっ、ひさしぶり~!」と両腕を広げて抱き寄せようとした宝路にマブシーナ姫は平手打ちを喰らわし、ヨドン軍侵攻の際に宝路が不在だったからこそ故郷のクリスタリアと王のオラディンが失われたのだと、その責任を激しく責め立てた!
再会できた兄弟にも、肉体年齢逆転(笑)や対立まで行かなくてもスレ違い構図は導入!
エピソード12のラストで宝路がマブシーナの兄との衝撃の事実が明かされたのにつづいて、エピソード13では誰がどう見ても地球人にしか見えない宝路がナゼ? と疑問を呈したキラメイジャーに、ふだんは
「テンションMAX(マックス)! めっちゃメラメラだぁ~!」
が口グセである熱血キャラ・レッドキラメイストーンが真相を語り聞かせる。
――本作の序盤評でも記したが、この「めっちゃメラメラ」は往年の海外アニメ『スーパースリー』(67年)や『宇宙忍者ゴームズ』(69年・原題はマーベル社のアメコミヒーロー『ファンタスティック・フォー』!)などで吹き替えを担当したコメディアンの故・関敬六(せき・けいろく)が劇中で散々口走り、のちにお笑いグループのダチョウ倶楽部(くらぶ)も引用してネタにしていた「ムッシュムラムラ」が語源である(笑)――
「地球人だよ。養子に迎えたんだ」
今から30数年前、強い力を持つ石の存在を感じて地球を訪れたオラディン王は宝路の父と出会い、ともにその石を捜索した。
当時は高校生だった宝路もそれに同行するが、その最中(さなか)に生物に憑依(ひょうい)して怪物化する石・モンストーンが宝路の体内に入ってしまい、オラディン王は治療のために宝路をクリスタリアに連れていき、その体内にキラメイストーンを埋めこんだ。
一命をとりとめた宝路はそのままオラディン王の養子となったというのだ。
魔進ファイヤのふだんとはまったく異なる沈痛な語り口が実に説得力にあふれており、ファイヤの声を演じる鈴村健一の硬軟を自在に演じわけた名演技の賜物(たまもの)といえるだろう。
また、前回のエピソード12でモンストーン自体はインセキ邪面をパワーアップさせるオレンジ色のヒトデ型の石怪人として伏線的に登場していたし(!)、先述したように宝路が自ら宝石に変身可能なのは体内にキラメイストーンがあるためだとの理由もここで語られており、それらの見せ場は宝路の複雑な出自を活(い)かすかたちで高いドラマ性を持って描かれていた。
そして、やはりエピソード12で見られた、CARAT(カラット)の設立者としてキラメイジャーを支援する、日頃はラッパーみたいなファンキー口調の中年オヤジ・博多南無鈴(はかたみなみ・むりょう)が神妙な顔つきで画面奥に進む後ろ姿を画面左側に、堂々とした表情の宝路が手前に進むさまを画面右側に配置した分割画面の演出もまた、そのものズバリの兄弟同士の「スレ違い」の関係性を端的に示す伏線となりえていたのだ!
エピソード13のラストで博多南は宝路のことを「にいに」と呼び(笑)、「せめて兄貴と呼べ!」と返される。
博多南によれば、彼が15歳のときに2歳上の宝路はクリスタリアに養子に行ったのであり、宝路は若く見えるが実はバリバリの「昭和」世代で「49歳」なのだとか(汗)。
なにせ、エピソード16『マシュマロワイアル』では宝路が高校生時代から引きずっていた恋の古傷を30数年後に決着させる話だったのだから(爆)――『烈車戦隊トッキュウジャー』にもケーキ職人役でゲスト出演し、今回の宝路の初恋相手を演じた中原果南(なかはら・かなん)も2020年で「49歳」だそうだ――。
これにはおもわず、『仮面ライダーゼロワン』(19年・)で終盤近くまで敵キャラ&ネタキャラとして描かれていた、ホントは45歳なのに「永遠の24歳」(笑)を自称していた天津垓(あまつ・がい)社長=仮面ライダーサウザーを彷彿としてしまった(笑)。
ただ、オラディン王によってキラメイストーンを体内に埋められたために宝路が年をとりにくいという理由は、少なくともサウザーこと垓社長のアンチエイジング美容よりかは一応の説得力、そして神秘性をも感じられるというものだろう(笑)。
まぁ、メインライターで『鳥人戦隊ジェットマン』(91年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20110905/p1)以来、30年にも渡って(!)スーパー戦隊の脚本を手がけてきた荒川稔久(あらかわ・なるひさ)は作品内に「昭和ネタ」を散りばめるのが大好きなので、それをやらかしても違和感のないキャラとして宝路の出自を考案したという面もあったのかもしれない。
宝路がさっそくエピソード13のラストで「カゼひくなよ」「お風呂入れよ」「また来週!」とやらかすのは、昭和の子供たちに大人気だったお笑いグループのザ・ドリフターズがホストを務めていた大人気バラエティ番組『8時だョ! 全員集合』(69~85年・TBS)のエンディングでメンバーの加藤茶(かとう・ちゃ)が視聴者に対して呼びかけていたものだった。
ただ、荒川がやはりメインライターを務めた『特捜戦隊デカレンジャー』(04年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20041112/p1)で礼紋茉莉花(れいもん・まりか)=デカイエローが昭和の流行語や人気番組のネタを口にしていた当時は、メインターゲットの子供たちの親は皆「昭和」世代だっただろうから親世代にもウケただろうが、『キラメイジャー』を視聴する子供たちの親の世代の中には平成生まれが占める割合も結構高いのではなかろうか?(汗)
「何? ジュークボックスって?」
エピソード24『バンドしちゃうぞ!』で邪面獣ジュークボックスヒルドンが出現した際、レッド=充瑠は仲間にそうたずねていたが、まぁテレビの前の子供たちはわからないときはおじいちゃんかおばあちゃんに聞いてくださいね(爆)。
*「ひとりで戦うか?」「仲間と戦うか?」で、キラメイシルバー登場序盤のドラマをつくる!
映画『エピソードZERO』では、地球に来訪したマブシーナ姫が頼ることとなった博多南は、オラディン王の古くからの知り合い程度としか語られてはいなかった。
だが、宝路がマブシーナ姫の兄のみならず博多南の兄でもある(!)と明かされたことで、当初からクリスタリア国の王族同士の因縁対決を強調して描いてきた『キラメイジャー』の人物相関図はさらなる拡大と混迷を極めることになり、視聴者を1週たりとも見逃すまいとの気にさせるには充分にすぎる効果を上げているのだ。
「地底へGO(ゴー) GO GO!」
メインライターの荒川氏は昭和ネタとともにウルトラマンシリーズに対するオマージュも好んで作品内で描いている。エピソード13で魔進ファイヤが前述のように叫んだのは、キラメイシルバーのドリル戦車・魔進ドリジャンのような防衛組織・ウルトラ警備隊のドリルメカ・マグマライザーが大活躍した『ウルトラセブン』(67年)第17話『地底GO! GO! GO!』が元ネタだ。
「ひさしぶりだな、宝路」
「叔父上、ずいぶんイメチェンしたな」
このエピソード13にて、敵幹部である叔父=ガルザと甥(おい)=宝路は地底世界で因縁の対面を果たす。
三日月とそれに吠(ほ)えるオオカミをモチーフとして融合させたかのように耳元まで口が裂けた暗黒のマスクをガルザが脱いで、オラディン王やマブシーナ姫の顔面頭部と同系統の意匠を施された紫の宝石のような素顔を宝路に見せる演出がニクい。ガルザはこの鎧(よろい)はおまえの最期(さいご)を見届けるための礼服だと豪語する。
心理的に宝路にゆさぶりをかける描写としては絶妙であり、地底世界内でキラメイジャーに倒されたハエジゴク型の邪面獣が爆炎を上げるのを背景に、剣の代わりにシャイニーブレイカーを手にしたキラメイシルバーがガルザに飛びかかるさまをシルエットとしてロング(引き)でとらえたカットは、その因縁対決を実にカッコよく描いた名演出に仕上がっている!
「ヨドンヘイムはいいぞ」という宝路への誘い文句を残して、ガルザは地底世界から姿を消した。
「仲間になんかなりません。あの人(宝路)はお宝探しにしか興味ありませんから!」
かつてはモノスゴくかわいがってくれた「お兄さま」で「みんなの笑顔があれば何もいらない」と云っていたほどだったのに、「お宝」が「お兄さま」をダメにしてしまった……
マブシーナ姫がそう充瑠に嘆(なげ)いてみせたように、宝路は当初からキラメイジャーと共闘する姿勢は一応は示しており、キラメイジャーや市民が危機に陥(おちい)ると颯爽(さっそう)と駆けつけてくれるものの、あくまでその目的は「お宝探し」であって、
「だから、すぐ帰る。さらばだ!」(爆)
などと、用が済んだらサッサと「お宝探し」に戻ってしまっていた(笑)。
先述した『海賊戦隊ゴーカイジャー』の主人公戦隊・ゴーカイジャーの行動の動機は、歴代スーパー戦隊の「おおいなる力」をすべて手に入れるという「お宝探し」だった。
『キラメイジャー』では第2クール以降、「お宝探し」をキーワードに兄・宝路と叔父・ガルザ、そして妹・マブシーナとの因縁を主軸にした展開がなされ、それらにまつわる数々の真相を小出しに明かすことで宝路のみならず各キャラの掘り下げや心の変遷による関係性の変化、さらにそれらのドラマのシンボリックな具現化としての新たなキラメイストーンや新メカ・新ロボの登場にパワーアップなどを描く、まさに「王道」的なストーリー展開がなされてきた。
たとえばエピソード14『孤高(ここう)のエース』では、宝路が単独行動を好むこととなった理由が、宝石の星・クリスタリアでの叔父・ガルザとのちょっとした逸話であったことを回想として描いて、往時の真のねらいにようやく気づいた宝路がガルザに反旗(はんき)を翻(ひるがえ)してキラメイジャーの仲間入りを果たすまでの過程が描かれることとなっていた。
「できないヤツにつきあう必要はない。おまえはすべてひとりでできる。その方がおまえは輝く」
重たい石像を苦労して運んでいたマブシーナ姫を手伝う宝路にかつてガルザがそう語りかけたことが、宝路が常に単独行動をとる契機となっていたのだ。
だが、ガルザの先のホメ言葉は、クリスタリアの侵略を容易にするために宝路を単身にさせて、クリスタリアから遠ざけることが目的だったことが発覚する!
「オレはひとりで何やってるんだ。今も、クリスタリアがやられたときも……」
「オレひとりなら、勝てたっていうのにな」といった自身の姿勢こそがクリスタリアを陥落(かんらく)させてしまったのだと、宝路を自責の念に至らせたガルザはまさに「知恵ある悪魔」といったところであり、闇将軍として軍事力だけではなく心理戦にも長(た)けた一面が絶妙に描かれた。
だが、そんな宝路のもとに、
魔進ショベロー「宝路さま、為朝から云われて来ましたぞ!」
魔進マッハ「宝路さま、(速見)瀬奈――はやみ・せな=キラメイグリーン――お嬢さまに云われて参りました!」
などと、黄色いショベルカー型の魔進ショベローや緑のスポーツカー型の魔進マッハ、そしてこのエピソードの冒頭で宝路が発掘したものの「そんなヒヨっこ」とバカにしていたネイビー色のキラメイストーンが変型したゴミ収集車型の魔進ダストンらのメカが大挙して駆けつけてきた!
そして、スーパー戦隊マニアであれば誰もが思ったであろう、『秘密戦隊ゴレンジャー』第46話『黒い超特急! 機関車仮面大暴走』に登場した仮面怪人・機関車仮面の再来としかいいようがない邪面師・SL(エスエル)邪面(笑)が破壊した銭湯の瓦礫(がれき)に埋もれてしまった、宝路の変身アイテム・シャイニーキラメイチェンジャーを掘り当ててくれたのだ!!
――SL邪面の「ワシの時代は終わった!」ならぬ「ワシの時代は終わっていたのか!?」なる断末魔のセリフどころか、キラメイジャーがボールのパスを繰り出すあたりもゴレンジャーの必殺ワザ「ゴレンジャーストーム!」の再現であった(笑)――
宝路を危機に陥れた「孤高」と対比させるかたちで、多くの「仲間」たちがワイワイガヤガヤと実ににぎやかに駆けつけてきてくれるという作劇。
駆けつけてきたのはメカ(魔進)たちなのだが、「為朝から云われて」「瀬奈お嬢さまに云われて」などと、その背後にいる「仲間」の存在もしっかりと語られていることも実に秀逸(しゅういつ)なところだ。
ちなみに、クライマックスの巨大戦でもこれと同様に、キラメイシルバー=宝路が「オレは5人の仲間を得た!」と力強く主張するや、「仲間は5人だけか!?」「オレたちを忘れちゃ困るぜ!」などと魔進たちがいっせいに駆けつけてくるテーマの反復・強調描写があった。
「ひとりでいいと思ってきたが、そうでもなかったぜ!」
……まぁ、現実世界ではひとりでできることもたくさんあるだろうし、イチイチ慣れ合ってみんなでやらずにひとりでやった方がよいこともたくさんあるだろう(爆)。そうも思うし、時にひとりで進むことこそ賞揚すべきだろうとも思うのだが、そこは集団ヒーローを題材としているスーパー戦隊シリーズなので、そうもいかないのだ。また、そうするべきでもないのだろう(笑)。
かつてのあやまちを悔(く)やんで終始、思い悩んでいるという役者さんの陰鬱な芝居だけで描いていくようなストーリーもよいのだが、日曜朝に放映されている子供向け作品としては、こうしてワリとアッサリと心変わりをしてしまうようなストーリー展開の方がよいだろう。
そして、その心変わりもそもそもの原点とその変節が最低限、きちんと描かれているので、少なくともこのエピソード単独では納得して観ていくことができるのだ――逆に云うと、話数が進んでしまうと、そういう変節があったこと自体を忘れてしまいそうだが(笑)――。
キラメイシルバーは、
「例のアレをいっしょにやらせてくれ」
と今回、キラメイジャーに加わっての初の戦隊ヒーロー恒例の「名乗り」を披露した!
シルバーが戦隊メンバーといっしょに「名乗り」を上げる行為までも、かつては仲間は不要だとの信念を持っていて、しかしその信念を変節させた結果だとして描くことで、単なる「名乗り」に一応のドラマ性を与えてカタルシスを増量させることができているのだ!
*「わたくしのヒーロー」から「みなさまのヒーローへ」!
また、エピソード17のラストで宝路は、勾玉(まがたま)状の石で4種類が存在してすべてを集めるとなんでも願いがかなうと云われている8個のドラゴンボール(笑)ならぬ究極の秘宝・カナエマストーンについて、キラメイジャーにこう語っている。
「オレが願うのはただひとつ。妹を助けたいだけだ」
エピソード21『釣れ、ときどき達人』の冒頭では、マブシーナ姫の青い右目に突然、ヨドン軍の紫色の紋章が輝いて苦しみだし、一同を唖然とさせる。そして、魔進ファイヤからその真相が明かされたのだ。
かつてクリスタリアに呪いをかけようとしたために、オラディン王の王妃(おうひ)のマバユイネ・宝路・魔進ファイヤ・魔進アクアの4人で結成された選抜部隊に討伐されたヨドン軍の魔女・ヌマージョ。
彼女は死する寸前にオラディン王ではなく、オラディン王が最も愛する女性に呪いをかけたのだ。そのためにマバユイネ妃は呪いが発症して7日目には砂となって崩れ去ってしまったのだが、その呪いが実はマブシーナ姫にもかけられていたのだ!
エピソード17で宝路が伏線的に語った「妹を助けたい」とは、マブシーナ姫を魔女ヌマージョの呪いから救うことであった。そして、そのためのなんでも願いをかなえてくれるカナエマストーンの捜索への執着こそが、宝路がマブシーナ姫に嫌われる発端(ほったん)となった「お宝探し」の真実だったのだ!
こうした真相が明かされるまで、たとえばエピソード15『きけ、宝路の声』などで、
「距離を埋めたいなら、相手の心に寄り添えばいい」
とのイケメンアクション俳優・押切時雨(おしきり・しぐる)=キラメイブルーのアドバイスを受けた宝路が、
「むかしはこうやって、よく内緒話をしたな」
などとテレパシーでマブシーナ姫に呼びかけたことが事件の解決につながっていくのみならず、シリーズ序盤から使われていたマブシーナ姫の笑いの感情を表現する音を引きだしたことで、時雨が兄妹の深い絆(きずな)を再確認できたと実感するに至るなど、まだ感情のスレ違いを残しながらも徐々に関係性が変化していくさまをていねいに描いてきたのだ。
こうした伏線があったからこそ、その衝撃の強さをより高める効果を上げていたのだ。
オモテ向きは宝路に冷たい態度をとりながらも、宝路にかわいがられていた幼いころの髪型のように、マブシーナ姫が金髪の三つ編みにして鼻歌まじりに街を散策する描写なども、マブシーナ姫の宝路に対するホントウの想いを端的に象徴できていた。
だが、エピソード18『闇落ち』ではガルザが宝路の体内に残るモンストーンを邪悪化させるジャメンタルを撃ちこんだことで、宝路はヨドンチェンジャー(!)で変身する悪の戦士・邪悪シルバーと化してしまう!
「本当の兄妹でなくても、むかしのお兄さまじゃなくても、お兄さまは私に笑顔をくれた輝く道しるべなんです!」
宝路に最大の危機が訪れたことで、マブシーナ姫はようやく兄への本心を打ち明ける! 先述した幼いころの金髪の三つ編みの再現は、やはりこの真情の吐露(とろ)の伏線としての機能を充分に果たしていたのだ。
「オレはどうなってもいい。マブシーナが助かるなら」
邪悪シルバーとなっても時折、正気に戻る宝路は先述したカナエマストーンで最初に発掘されたオレンジ色の石であり、破壊を司(つかさど)る秘宝とされているデストリアを使ってマブシーナ姫を呪いから解放してくれるように充瑠に頼みこむ。
だが、闇落ちした宝路を救うことを強く願ったレッド=充瑠が、デストリアで宝路の体内のモンストーンを破壊したために、デストリアは願いをかなえる効力を失ってしまうのだ!
「結局、どちらか(宝路かマブシーナ姫)が悲しむなら、オレはどっちも選べない!!」
いかにも充瑠らしいこの博愛的な言動により、宝路にとっての最大の「お宝」が自分だと気づかされたマブシーナ姫が、
「むかしのお兄さまと同じ!!」
と感激して、宝路と抱き合う感動的な場面を観せられた視聴者は、ついに呪いが発動してしまったマブシーナ姫におおいなる悲劇性を感じずにはいられなくなるのだ!
このエピソード21~エピソード22『覚悟はいいかそこの魔女』は、マブシーナ姫にかけられたヌマージョの呪いを解くために、ツリザオ邪面が悪用していたカナエマストーンの一種でありカラフルなボーダー模様の石・リバーシアの時間逆行の力で、充瑠・為朝・瀬奈が過去の世界へと飛ばされて、ヌマージョの毒液を手に入れようとする一大冒険譚でもあった。
やはり、『ゴレンジャー』のゲスト怪人たちのように、頭部がモーターボートそのままの形状(笑)をした邪面獣モーターボートバスラは、CGで都心のビル街を高速で走り抜けて、実景の歩道橋を破壊したり、合体ロボ・キラメイジンとの格闘をミニチュアセットのガード下からのアングルでとらえるなど特撮演出は実に冴(さ)え渡っていた。
だが、この迫力あふれる都市破壊描写もまた、宝路とマブシーナ姫との関係性のさらなる劇的な変化を導きだすためには不可欠なものだったのだ!
「街が大変なことになっているのですよ」
マブシーナ姫の病状を案じて戦いには出ず、ずっとそばで見守っていた宝路を、マブシーナ姫は「やさしいお兄さま」と称した一方でこうも呼びかけた。
「わたくしのヒーローではなく、みなさまのヒーローでいてください!」
宝石の国・クリスタリアの過去の時間世界での、
・キラメイレッドVSヌマージョ
現在の地球における、
・水しぶきをあげて再度地上に侵攻したモーターボートバスラを、空中から特急列車型の魔進エクスプレスで攻撃するキラメイピンクらの戦い
それらと並行して、
・マブシーナ姫の願いをかなえるために、因縁の敵・ガルザとのガチンコ対決
・ギガントドリラーに搭乗して邪面獣と巨大戦を展開するキラメイシルバー=宝路
などの姿が描かれる!
「街の人を見捨てたら、マブシーナは笑顔にならない」
巨大戦はもちろんのこと、レッドVSヌマージョやシルバーVSガルザといった等身大バトルをもローアングルからアオリでとらえ、360度の全方位から見せてしまうアクション演出!
そして俯瞰(ふかん)撮影された実景の都心のビル街にCGで描きこまれた魔進エクスプレスと、それに向けてモーターボートバスラから発射された大量のミサイルが華麗に宙を舞う特撮演出!
もちろんそれらに視聴者が目を奪われるのは当然だし、それこそが特撮ヒーロー作品最大の魅力であることに疑いの余地はない。
ただ、すでに「みなさまのヒーロー」となりえているキラメイジャーのカッコいい大活躍と並行して描かれたキラメイシルバーの戦いには、品性下劣な女であれば自分だけを守ってくれるようなチョイ悪な男が好きなのだろうけど(爆)、マブシーナ姫は男にチヤホヤされたいだけの私的快楽至上主義の人物ではないのだと描いているのだ。
そして、それはキラメイシルバー自身もまた「私」よりも「公」といったモラルがある人物であることをも意味させているのだ!
充瑠が過去の世界で入手したヌマージョの毒を分析して解毒剤をつくったことで、呪いを浄化する力を持つアクアキラメイストーンが復活!
そのアクアキラメイストーンがサメと特急列車が融合したメカ・魔進ザビューンとして変身も果たす!
さらに加えて、魔進エクスプレスと合体して新合体ロボ・キングエクスプレスザビューンが誕生した!
東映特撮ヒーローマニアであれば若い方々でも、このネーミングとサメをモチーフにしたデザインには、日本妖怪と戦う特撮ヒーローだった往年の『超神(ちょうじん)ビビューン』(76年・東映 NET→現テレビ朝日)の主人公ヒーロートリオのひとり・超神バシャーンを連想することだろう(笑)。
だが、魔進ザビューンの力でマブシーナ姫にかかっていた呪いも解け、宝路とマブシーナ姫の誤解も解けて和解をとげたことの象徴としての新合体ロボの登場となることは、キラメイシルバー=宝路が「わたくしのヒーロー」から「みなさまのヒーロー」へと転生を果たした瞬間であり、さまざまな確執の末にようやくここに至った宝路とマブシーナの象徴としても実に感慨深い演出となりえていたのだ。
つづくエピソード23『マブシーナの母』では、そのザビューンから石に魂を移す能力によってマバユイネ妃が今も生きていると語られる――このへんも甘いストーリー展開なのだが、子供番組なのだからやはり母親も実は生きていたというハッピーな展開にした方がよいだろう(笑)――。しかも、それはマブシーナ姫が母の形見として所有する冠に付いていた青い石だったと明かされる!
おもいっきりの「灯台もと暗し」であり、探していたものが実は身近にあったという点では作家・メーテルリンクの『青い鳥』(1907年)でもある。物事の本質を見とおして無機物も含む万物の魂とも会話ができる装置であったチルチル&ミチル兄妹の帽子の額に付いていたダイヤモンドのことも掛けているのだろう。
ちなみに、魔進たちを「アータたち」と呼ぶ意外に軽いマバユイネ妃の声は、往年の『宇宙戦艦ヤマト』(74年)のタイトルをパロった宇宙SFアニメ『機動戦艦ナデシコ』(96年)の主人公ヒロインであるミスマル・ユリカ艦長がロートル世代には印象深いであろう、今ではベテラン声優の域に達している桑島法子(くわしま・ほうこ)が担当!
復活したかと思いきや、マバユイネ妃はまたすぐに長い眠りについてしまったが、にぎやかな「アータたち」の大騒ぎに「静かになさい!」と目を覚ますこともあるだろう(笑)。
――桑島法子といえば、オタク第1世代のオタク評論家・大塚英志(おおつか・えいじ)と事実婚状態にあるフェミニンでポエミーな作風を有する漫画家・白倉由美が、自立した女性志向であった桑島法子のことが苦手であったのか(?)、20世紀のむかしにラジオ番組で「桑島法子、大キライ」と発言したそうで……(以下略・汗)――
*おもいっきりオタ受けしそうな、新女幹部・ヨドンナ参戦!
さて、エピソード25『可愛いあの巫女(かわいいあのみこ)』の冒頭では、「マブシーナ姫がヌマージョの呪いから解き放たれた今、自身にとっての願いはクリスタリアの再興になったのであり、そのときはおまえが女王だ」(大意)と宝路が語ってみせる。
それに対して喜びの表情を浮かべるマブシーナ姫の描写によって、兄妹が完全に和解したことが改めて念押し的に示されるのだ。
まぁ、大仏さまみたいな造形のマブシーナは表情演技ができないのだが(笑)、そこは声を演じるいのりチャンと着ぐるみを演じる野川瑞穂(のがわ・みずほ)の名演から感じとれるというかたちであって、この手の作品では裏方がキャラクターに生命力を与えていることが、マニア的には実によくわかる趣向にもなっている。
――野川もかつては、『海賊戦隊ゴーカイジャー』のゴーカイピンク、『獣電戦隊キョウリュウジャー』のキョウリュウピンク、『烈車戦隊トッキュウジャー』のトッキュウ5号(ピンク)などを務めて、近年は『宇宙戦隊キュウレンジャー』の女幹部怪人マーダッコ、『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』のマスコットメカ=ジム・カーターなどを担当していた――。
そしてこの回から、これまで先述してきた鬼将軍・ガルザとコミカルな作戦参謀・クランチュラの二大幹部体制だったヨドン軍に新幹部が加わった!
「ひと目会ったその日から、恋の花咲くこともある」
昭和世代のロートル特撮オタクであればご存じであろう、視聴者参加型の恋愛バラエティ番組『パンチDE(で)デート』(73~84年・関西テレビ)のキャッチフレーズである。
このテレビ番組をおそらく観ていた(笑)のであろう宝路が語ったように、残るカナエマストーンの捜索のために「不死鳥伝説」が残る由緒ある神社をたずねた宝路・充瑠・為朝は、弓を射(い)ている茶髪のショートヘアでネコ目の美しい巫女を見かけて、宝路も「ワンダーキュート!」と大喜びしたのだが、それ以上に為朝がその巫女にすっかり夢中になってしまうのである。
一人称を「ボク」とする、オタク用語で云うところの「ボクっ娘(こ)」であるその巫女に、充瑠が「ボクっコ巫女さん」と名づけてしまうそのセンスは、やはり文化系の充瑠もオタク系文化に染まったオタク少年だったということなのだろうか?(爆)
「人間は、願いがかなったら笑うんだ?」
3つ目のカナエマストーンで星のキラメキのような模様が散りばめられた、力を強化する青い石・エネルギアを発掘できて、おおげさに「バンザーイ!」を繰り返して喜んでいる宝路たちにそう冷淡に放った描写で、この巫女さんには笑いの感情が理解できないことが示された。
美しい緑に鳥のさえずりや川のせせらぎが聞こえてくる、神聖なパワースポットとしては絶好のロケ地の風景が相乗効果を発揮することで、「ボクっコ巫女さん」は実に神秘性にあふれるキャラとして演出されてきたのだが……
ユダヤ教に伝わるゴーレム伝説のごとく、為朝の眼前で泥をこねて宝路のシャイニーキラメイチェンジャーとほぼ同じ形状の腕時計型変身アイテムをつくりだした巫女はそれを使って敵幹部クランチュラに通信を送って、為朝を唖然とさせた!
「ヨドンチェンジ」(!)
そして、巫女は茶髪からグレー髪――もちろん実際にはウィッグ(かつら)――に変化した頭に、ツノの付いた冠をかぶり、肩にカラスの装飾のある青い鎧に全身を包んで、背中にはやはりカラスのような銀の翼を生やし、左の頬にヨドン軍の紋章が浮かんだヨドン皇帝直属の秘書官・ヨドンナへと変身したのだ!
ヨドンナの名は「淀んだ」と「マドンナ」をもじったものだろう。作戦の失敗がつづいているクランチュラに「そのうち皇帝の逆鱗(げきりん)に触れるぞ」とガルザが忠告する短い描写が伏線となっていたように、ヨドンナは、
「ボクの命令はヨドン皇帝の命令だ、ボケ~~~!!」
とクランチュラを激しく叱責(しっせき)する!
クランチュラがガルザにヨドンナのことを「我々にとっても危険な存在」だと語ることで、今後はヨドン軍での内部紛争が勃発して、敵が味方に、味方が敵にという立ち位置シャッフルでシリーズ後半がさらに盛り上がるのでは? というストーリー展開に対する期待感も生まれてくるのだ。
思えば、2010年代のスーパー戦隊ではギャラの節約のためか、敵組織の女幹部はそれ以前とちがって着ぐるみ怪人ばかりとなった。『特命戦隊ゴーバスターズ』の中盤から登場したグラビアアイドル出身の水崎綾女(みさき・あやめ)が演じた二丁拳銃を使うエスケイプが唯一(ゆいいつ)の例外だっただけに、2020年代早々に女優が演じる女幹部が復活したのは、熱心な戦隊マニアにはかなりの衝撃を与えたのではなかろうか?
ちなみに、ヨドンナを演じる桃月なしこ(ももつき・なしこ)は本職の美容クリニックの准(じゅん)看護師と並行して、芸能事務所にも所属して人前にも立っているコスプレイヤーでもあることから多少は芝居心もあったようで、勝ち誇ったセリフを放った際にいやらしく舌を出してなめまわす演技も実に板についている!
まぁ、そんな目鼻顔立ちもキリッとした美人かわいい系のヨドンナに、多くの特撮マニア諸氏同様に久々に熱を上げてしまった筆者もまた相当に淀んでいるのだろうが(爆)。
ヨドンヘイムと地球を結ぶワープトンネルを開通させて、地球に邪面獣の大軍勢を送りこむのが目的だと語ったヨドンナは、戦闘員のベチャットをSMの女王さまのようにムチでしばくことでパワーアップさせて(笑)、キラメイジャーを絶体絶命の危機に追いつめる!
新武器登場編では、「公」と「私」の両立と、精神主義ではなく合理的な努力を賞揚!
そして、エピソード26『アローな武器にしてくれ』では、そのヨドンナと充瑠を絶妙に対比させることでさらなる新展開が生まれたのだ。
強い力を得ることを願うキラメイジャーは前話で入手したばかりの強い力を与えてくれる石・エネルギアを使おうとするが……
「ベチャットみたいになりたいの!?」
ヨドンナのムチで強化されたベチャットはキラメイジャーを窮地に追いつめはしたものの、そこまででパワーアップの副作用でその生命を失って皆が消滅してしまっていたのだ。
ヨドンナは「使い捨てだもん、当然だろ」と冷淡に云いきった。しかし、充瑠はキラメイジャーもそうなることを恐れたのだ。
それでも「地球を蹂躙(じゅうりん)されるよりは……」と、あくまでもエネルギアの使用を断固主張するキラメイジャーの自己犠牲・滅私奉公(めっしほうこう)の精神にはたしかに胸を打たれるものがあったのだが……
「オレは地球の平和もみんなの未来も、どっちも守りたいんだ!」
子供のころからツラいことがあるといつも通って絵を描いていたという、先述した「不死鳥伝説」が残る神社におもわず来てしまった充瑠は、旧知の間柄の神主(かんぬし)さんに実は自身がキラメイジャーだと明かすや(!)、神主は充瑠に「あのキラキラの宇宙人の話」を語り聞かせてくれたのだ。
かつてこの神社に強い力を感じたオラディン王は、ここに伝わる「不死鳥伝説」にいたく感動し、神主が得意だったという弓の勝負をする中で、
「限界は超えないためにある」
という教訓を得て、喜んで帰っていったのだと云うのだ。
その教訓を活かすかたちで、充瑠がエネルギアから「ひらめき~~んぐ!」で生みだした弓矢・キラフルゴーアローが宙に浮かんで、キラメイジャーにそれぞれのシンボルカラーの光を照射するや、パワーアップを最も象徴する鎧がキラメイジャー各々に装着される!
この手のヒーローものや少年漫画は、精神主義で頑張れば限界を超えられる! とするストーリー展開が一般的なのであり、それもまたカタルシスがあるのも事実ではある。
しかし、本作ではそこはヒネって、限界を超えてしまったらば壊れてしまうから、そうではない寸止めにしたかたちでパワーを発揮するといった変化球の作劇がなされている。
そんな限界を超えないために課せられた100秒の制限時間内にて、キラメイジャーはキラフルゴーアローを次々にパスして光線技を放った末に、レッドにエネルギーを集中させて放つ必殺技「スパークリングフェニックス!」で邪面師にトドメを刺す!!
キラフルゴーアローの実に神秘性にあふれる出自や、画面の右下にカウントダウンの数字を表示することで視聴者にタイムリミットを意識させる演出も常套的(じょうとうてき)だが面白い。
もちろん、好例の秋~クリスマス商戦にかけての販促(販売促進)展開ではある。ただ、単なるノルマの消化にとどめずに、そこに少しでも劇中内での必然性を与えるため、このキラフルゴーアローはキラメイジャー・オラディン・ヨドンナらと充瑠の関係性を描いた「人間ドラマ」の結晶としても描いているのだ。
それによって、この必殺ワザのシーンもより盛り上がって観えてくることで、ますます販促にも貢献ができているのだ。販促とドラマ性は両立が可能なのである!
*王妃のみならず結局、オラディン王も生きていた!(笑)
さて、エピソード25&26でキラメイジャーの大ピンチと華麗なる大逆転劇が描かれたのにつづいて、エピソード28『時雨泣き』&エピソード29『まぼろしのアタマルド』では、魔進たちがその輝きを失ってしまう危機が描かれた。
不死鳥の絵を描いているオラディン王に出くわした充瑠に、「次はここではない場所で会いたいな」とオラディン王が語りかけてくるという充瑠が見た夢。
夢の中ではしょっちゅうオラディン王に会っている充瑠を「ズルい」とし、「夢でいいからお父さまに会いたい」と願うマブシーナ姫。
ヨドンヘイムにて「見せたいものがある」と、敵幹部ガルザに砂の固まりとなったオラディン王の体(!)を示して、「ここにあるかぎり、復活はありえない」と語るヨドンナ。
こんな描写を畳みかけられたら、実はオラディン王は生きていた! という伏線なのだろうと、よほどの素人ならばともかく、年長マニアであれば、あるいは小学校中学年以上にでもなれば大方はそう思ってしまっただろうが、案の定そうであった(笑)。
都心のビル街が突然に崩壊し、マブシーナ姫があのとき(=クリスタリア陥落)と同じだと語ることで、危機感をあおる絶妙な導入部で開幕したエピソード28で、出撃した魔進たちは透明な何かの攻撃によって重傷を負って、その輝きが淀んでしまうのだ。
その治療のためには時空を超えた先にある聖地・アタマルドにワープ飛行で行かねばならず、それが可能なのはゴールドキラメイストーンが変型するジェット輸送機型の魔進ハコブーしかいない。
ハコブーは王子のころは泣き虫だったというオラディン王の教育係を務めていた。しかし、地球でバカンスを楽しんでいた間にクリスタリアが陥落したことに絶望して、その自責の念から感情を失ってしまったのだという。
その感情を取り戻すために、充瑠とともに魔進ザビューンでハコブーが住む島に出向いて、漫才やら大道芸やらでなんとか笑わせようとする時雨は、クールなキャラどころかもはや完全にネタキャラと化している(笑)。
もっとも、当初は充瑠と時雨の依頼を威圧感のある声で断っていたハコブーもまた、感情を取り戻した際には、
「ビエえええ~~~ん」
と子供のように泣きだすようなネタキャラとして描かれていたのだが(笑)。
そして、エピソード29でクリスタリア人と人間が共存する(!)聖地・アタマルドにたどり着いたキラメイジャーはオラディン王の魂を捜索し、草原にズラリと並んだ多数の白い扉に各自が選んで入ったものの、オラディン王の魂どころかそれぞれのキラメイジャーの姿をした闇の戦士たちに襲われる!
夢の中で出会ったオラディン王から1本のカギを受け取っていた充瑠は、どの扉にもカギ穴がないことを不審に思うも、
「キラメキこそがわたしに通じる!」
とのオラディン王の言葉を思い出して、
「カギ穴がなければ描けばいいんだ!」
と、選んだ扉にカギ穴を描きこむ(笑)。
その瞬間、ヨドンヘイムにあったオラディン王の砂の像がガラガラと音を立てて崩れ去っていく。それと同時に聖地・アタマルドではすべての病を治すことが可能なミラクルストーンに魂を移したオラディン王が青空色のスカイキラメイストーンへと転生、さらに不死鳥型の魔進オラディンへと変型した!
「クリスタリアの王・オラディン、ここに復活!」
なんと、王さままでが魔進になってしまったのだ!(笑)
エピソード19『相棒』では、
・為朝の「器用さ」
・時雨の「あこがれの対象」
・小夜の「癒(いや)し」
・瀬奈の「勢い」
といった特性に対して、「全部、オレにはムリ!」と文科系の充瑠が嘆いている描写があった(笑)。
だが、エピソード13では博多南代表が宝路に充瑠のことを、不器用で恥ずかしがり屋で人づきあいが苦手だが、ハートが燃えると誰よりも強くなる(!)と紹介していた。
また、エピソード14では超マイペース人間の宝路を仲間入りさせることに成功した充瑠を、マブシーナ姫に対して「充瑠くんはスゴいよ!」とホメたたえていたのだ。
「ともに叫ぼう! ひらめキ~~~ング!!」
スカイキラメイストーンの中に入った充瑠とオラディン王がクリスタリアの全景を背景に合体するイメージにつづいて、魔進オラディンと魔進ハコブーが合体した巨大ロボ・グレイトフルフェニックスが誕生する!!
想像力をかたちにする充瑠の唯一の「キラメキ」こそが、ここに至るまでに数々の奇跡を劇的に生みだしてきた『キラメイジャー』の展開には、子供ながらに自分は凡人で体力や覇気(はき)にも劣っていることを自覚して「キラメキ」などないと思っているような子供たちにも希望を与えることができているのではなかろうか!?
――まぁ思春期に入ると、きっとまた世知辛い現実にブツかって挫折するだろうけど(爆)、そのときはそのときである。それまでは夢や希望を与えて背中も押してあげて、来たるべき危機のときに備えて(?)、子供のときでも少しでも経験値なりコミュ力なり知識なりをできるだけ蓄積しておいた方がよいと思うぞ~(笑)――
*性悪なゲスト女子高生が再登場! 彼女にも子供番組的に救いを与えてみせる作劇的決着とは!?
「あつた(熱田)ぁぁぁぁぁ~~~~~!!」(爆)
映画『エピソードZERO』では充瑠を乱暴に恫喝(どうかつ・汗)していた黒髪ロングヘアの表向きは優等生だが、実は腹黒(はらぐろ)な同級生の女子高生・柿原瑞希(かきはら・みずき)が、エピソード20『あぶないペア』にて久々に再登場した。
よりによってセッチャクザイ邪面に充瑠と手をくっつけられてしまった瑞希が、キラメイジャーが邪面師を倒したことでその効力がとうに失われていたにもかかわらず、充瑠がキラメイレッドに変身して以降もその手を決して離さない!
坂本浩一監督のアクション演出によく見られるような男女のペアダンスアクション(笑)でレッドと共闘した瑞希は、そのまま巨大ロボ・キラメイジンの操縦席にまでレッドとともに乗りこんでしまうのだ!
宝路「ワンダーアベックの誕生だな」
時雨「アオハル(青春)だな」(笑)
ここまで瑞希に心の変遷をとげさせるに至った充瑠の「武器」として、映画『エピソードZERO』にて充瑠が瑞希を描いた天才画家・ピカソの『泣く女』を『怒る女』(爆)にしたかのようなあまりにシュールな絵画を係り結び的に使った演出が実に光っていた。
充瑠は「ズル賢くてパワフル」(汗)な瑞希をそのままに描いた(爆)と主張して一度は瑞希を怒らせるものの(笑)、一方で充瑠はそれを「オレが持っていない武器だから、カッコいい!」と賞賛してみせたのであった!――ちょっと頓智遊び・言葉遊び的な屁理屈でのストーリー展開ではあるけど、子供向けヒーロー番組としてはOKだろう!(笑)――
*スクラッチ社つながりで期待に応えて、『獣拳戦隊ゲキレンジャー』のキャラも再登場!
エピソード27『大ピンチランナー』では、『獣拳(じゅうけん)戦隊ゲキレンジャー』(07年)の主人公戦隊ではなく、ゲキレンジャーをサポートしていたスクラッチ社の特別開発室室長・真咲美希(まさき・みき)とその娘・真咲なつめが登場してしまうというおもいっきりのサプライズがあった。
――このサブタイトルはアイドルグループ・モーニング娘。の主演映画『ピンチランナー』(00年・東映)が元ネタだろう。実は『キラメイジャー』のサブタイトルはすべて、かつて東映が製作した劇場映画をもじって付けられているそうだ――
しかも、美希は人質キャラとしてではなく、かつて『ゲキレンジャー』でも披露していた「激獣・レオパルド拳!」を再現しての、ガルザを相手にしたアクションまでも披露して、幹部級の敵とも一度は善戦してみせるのだ!
――美希を演じた伊藤かずえは、ロートル特撮世代であれば、『高校聖夫婦』(83年・大映テレビ TBS)、『不良少女とよばれて』(84年・大映テレビ TBS)、『スクール☆ウォーズ』(84年・大映テレビ TBS)といった一連の大映ドラマ作品での印象がやはり強く、実は宝路の「49歳」よりも年上なのである(汗)――
リアルタイム世代やスーパー戦隊マニアたちを狂喜させること必至のイベント編や、『キラメイジャー』と『ゲキレンジャー』の世界をつなげることで視聴者にスーパー戦隊全体への興味を誘発する手法はおおいに賞賛すべきところだろう。
そして、本話を観ながら、筆者はキラメイジャーも未来に放映されるスーパー戦隊にこんなかたちでゲスト出演を果たさせて、今の子供たちが将来に大喜びしてくれることをおもわず夢想してしまった。
そんな未来が訪れるように、『キラメイジャー』が今後も製作されつづけるスーパー戦隊の「輝くみちしるべ」となることを願いたいものだ。
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#スーパー戦隊 #魔進戦隊 #キラメイ #キラメイジャー #魔進戦隊キラメイジャー