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未来戦隊タイムレンジャー最終回 〜小林靖子メイン脚本! 時間SF成功作!


スーパー戦隊シリーズ 〜全記事見出し一覧

未来戦隊タイムレンジャー1 〜錯綜する時間SF成功作!

(文・T.SATO)
(本作放映途中の00年8月執筆)
 20世紀に逃亡した犯罪者ドン・ドルネロ一味を追う30世紀のタイムパトロール隊員4人。
 それに偶然から協力することとなった現代人の若者ひとり。
 20世紀における犯罪阻止、ひいては時間・歴史を守るために戦うことになった5人の若者たちの物語。


 はじまって見れば、古今東西の過去未来を守るタイムパトロール隊ではなく、現代を舞台とするいつもの『戦隊』シリーズ作品であった『未来戦隊タイムレンジャー』(00年)(……いつもの『戦隊』作品であったことが悪いというのではなく)。


 しかし中盤以降、シリーズ・イン・シリーズ、本格的なタテ糸の要素が布石された(当初からの予定?)。
 シリーズ初の本格“SF”『戦隊』になるやもしれない。そんな予感がしている。


 ……予感なんつー非合理的な物言いをするのもナンだし、アレなので言い直すけど、うまくやれば“SFマインド”の点でも成功してくれる、そんな『戦隊』になる可能性が非常に高い。


 特撮マニア中でもある程度の人気は保ちつつ、しかして初期東宝・円谷系のハイブロウ志向マニアからは黙殺とまでは云わずとも、その認識が遠かった『戦隊』シリーズ。
 (実は筆者自身も10数年前(80年代)まではその例外ではなかった・汗)


 かつては、特に特撮マニア第1世代から、軽薄・低俗・マンネリのそしりを受けていた本シリーズも、長い歴史の上ですでに多くの成果を勝ち得ている。
 ドラマ性・テーマ性・パターン破り・特異あるいはリアルな人物造形・シリアス本格志向・連続もの的大河ドラマ性。
 そしてそれらが反転してひっくり返って再発見されたところの、高度な自覚的作為による幼児性・コミカル性等々。
 ついには成熟の果てに、それらシリアスやコミカルを優劣ではなくバリエーションとして認識、自由闊達に配置する。


 もちろん『戦隊』シリーズは、そしていわゆる変身ヒーローものも、広いイミでの“SF”ではある(“SF”自体の定義も広くて曖昧なものではあるけれど)。
 『戦隊』もシリーズ初作から、そしてストーリーの舞台が(設定的には)宇宙規模で拡大した『電子戦隊デンジマン』(80年)以降から、浅いイミでの“SF性”(SF風味)はすでに実現していたともいえる。
 ただそれらはあくまで上辺にただよう風味であって、奇想天外な着想・決着・センスオブワンダー・SFマインドといった感覚が、シッカリと腑に落ちてくるといった性格のものではなかった。
 この点で、『戦隊』は子供番組でありつつも、そのテの嗜好があるマニア層(中でも背伸び盛りのティーン層マニア)に架橋してキャッチするという点では不利であったかもしれない(自身の経験からもそー思う)。


 もちろん、かといって、筆者は“SF至上主義”にも与(くみ)する気は毛頭ない。たとえて云えば、いわゆる“純SF”・“本格SF”・“ハードSF至上主義的”な風潮には、よくも日本におけるSF状況を、狭く小さくツマラナイ状態なものにしてくれたなーとの不快の念をいだいている。


 ――日本における“SF”退潮はもっと複合した理由によるものであり、前述の“SF至上”の言説は一因に過ぎないこともわかっていてあえて云う(笑)。
 もちろん見方を変えれば、現代日本の娯楽作品(マンガ・実写のTVドラマ・映画)全般に、つまりは一般層にも“SFマインド”は広く浅いかたちで実は普及しているともいえる。
 しかし中核にいわゆるイヤ〜ンな『SFマガジン』的(註:00年当時)コアな読者はいるのかもしれないが(笑)、若年層オタク向けというターゲット限定のジュブナイル小説のそのまた一部を除けば、それと一般層とを架橋する中間地帯たる良いイミでのヌルい広義のSF小説ジャンルは衰退の極みだ――


 話は戻るが、もしも『戦隊』シリーズ初期の段階(たとえば1980年前後)において、子供層ではなく当時の第3次怪獣ブームでのマニア層による、『ゴジラ』や『ウルトラマン』再評価における文脈。
 あるいは、当時のSF洋画ブームやSFアニメブームを、本格派志向・SF志向にて正当化・擁護する論理に合致した文脈で、子供層から黎明期のマニア層までをも包含して、当時の『機動戦士ガンダム』(79年・81年に劇場アニメ化・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19990801/p1)のように特大ヒット・一大ムーブメントを巻き起こしたような特撮作品が、しかも『戦隊』シリーズ作品において万々が一、出現していたと仮定した場合には、以後の日本特撮界の歴史はドーなっていたであろうか?


 (似たようなIF(イフ)は、大昔の円谷プロの空中戦艦を題材にした大人向け1時間ものの連続TV特撮『マイティジャック』(68年)などでも嘆息とともに古いマニアには仮想されてきたが……)


 その成功自体は幸福なものになったかもしれない。
 しかし、『戦隊』シリーズの継続という長期的観点で見た場合、ブーム後の低調・低落(質ではなく人気の面での)が相対的に過剰に際立って見えてしまい、スポンサーサイド・視聴者サイドからも過剰に古クサい印象を持たれて、そしてシリーズは短命の打ち切りの憂き目にあっていたのではないかと予想する。


 そう考えると、70年代中盤における『戦隊』シリーズ初作『秘密戦隊ゴレンジャー』(75年)の大ヒットはともかく、マニア文化勃興期の80年前後(=第3次怪獣ブーム)において、70年代後半のいわゆる“特撮冬の時代”を乗り越えて、本格的な巨大戦特撮もあるTV特撮の先駆けのうちの1本として再開された『戦隊』シリーズ(『バトルフィーバーJ』(79年)以降の諸作品)が、子供層でのほどほどのヒットにとどまったことは、『戦隊』シリースの長期化と、そのチープさやチャイルディッシュさ・コミカルさをも特撮ジャンルの魅力のひとつとして根付かせたという点で、そして日本子供文化やマニア文化への浸透・土壌・肥やしになったという意味では善きことであったといえなくもない。
 というか、むしろ積極的に善きことであったと強調すべきであるだろう。


 前述したとおり、『戦隊』シリーズにおいて“SF性”を至上の価値に置く気は毛頭ないという断りを入れた上で、『戦隊』シリーズにおける“SFマインド”を語っていこう。
 ――余談だが、“SFマインド”に似た感慨をもよおすものとしてはいわゆる“伝奇性”という要素もあり、コレは90年代前半の『戦隊』が主に獲得していった成果だが、“SFマインド”と時に隣接・連続しつつも、ここでは“伝奇性”は別のものとしておく――


 個人的には近年の『戦隊』で、“SFマインド”の可能性を感じさせてくれたシリーズに、『超力(ちょうりき)戦隊オーレンジャー』(95年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20110926/p1)における未知のパワーであり戦隊組織や戦隊ヒーローのパワーの源でもある“超力(ちょうりき)”があった。
 もちろん可能性だけであって、そのSF的リクツ付けによる味わいや感慨・快感の実現可能性は低く、ほとんどナシに見積もってはいたが(笑)。
 この6億年前の現生人類以前の超古代文明が生み出したというナゾの力・“超力”(および超古代文明)のナゾ解きや因縁をタテ糸に、オーレンジャーと機械帝国バラノイアの戦いをつづってほしいと個人的には夢想したものだ。


 現実には“超力”をめぐるナゾ解きやSF的リクツ付けは基本的にはなされずに、特殊な鉱物やクリスタル由来の力と思われていた“超力”が、最終回近辺において、唐突にそれは天上世界・精神世界とも通ずるような精神にも由来する力であったことになってしまう。
 前作『忍者戦隊カクレンジャー』(94年)における“忍者パワー”や前々作『五星(ごせい)戦隊ダイレンジャー』(93年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20111010/p1)における“気力”と大差がない(笑)。
 ただもちろん、単なる物理的なエネルギーが正体であってもつまらないので、この結論それ自体は筆者個人は最終的には否定すべきものでもないとは思うのだが、シリーズを通してのナゾ解きの小出しによる重層的な肉付け、およびそれによる説得力には明らかに欠けていた。


 『オーレンジャー』は70年代からつづく吉川進・鈴木武幸(すずき・たけゆき)PD(プロデューサー)による最後のプロデュース作品である。
 また彼らと同世代(昭和10年代の戦中派〜昭和20年代の戦後直後の団塊世代)の脚本家がメインで参加していた最後のシリーズでもある(上原正三(うえはら・しょうぞう)・高久進(たかく・すすむ)・曽田博久(そだ・ひろひさ)・杉村升(すぎむら・のぼる))といった歴代『戦隊』メインライターを全員投入!)。


 世代的なものゆえであろう。それが悪いということでは決してないのだが、SFマインドを感じさせるストーリーテリングに限定すれば、彼らはそのセンスには概(おおむ)ね欠けていたように思える(もちろんそれ以外の要素ですばらしいものがあったことを認めるのにやぶさかではないのだが)。
 幼少時からのジャンル作品鑑賞で、SF的センスを呼吸して育った世代(オタク第1世代・1960年(昭和35年)前後生まれ)が、東映特撮でプロデューサー・脚本ともに本格的に活躍しだすのは『オーレン』の次作『激走戦隊カーレンジャー』(96年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20110521/p1)からだ。


 『タイムレンジャー』の話題に届く前に誌面が尽きてしまったので(笑・註:掲載当時の同人誌の誌面での話〜汗)、結論を大急ぎで……。


 大事は歴史に影響するけれど、小事(たとえば石ころを蹴るくらい)では歴史は変わらないとする、ベクトル的時間流によるタイムパラドックス観(それもひとつの時間観ではある)を採用。
 タイムリーパーの犯罪者(本作における敵一味や未来の刑務所に収監されていた敵怪人)に対して、同時代にタイムレンジャーを配置することで、歴史のバランスも取れるとの一応のSF的言い訳をして、あとは心置きなくいつもの『戦隊』的等身大戦や巨大ロボ戦といった攻防戦を展開する本作。


 それがマニアの欲求と子供番組のバランス的にもウマいと思っている。
 唯一の現代人レギュラー・タイムレッド竜也(たつや)が、未来のタイムパトロール隊隊長リュウヤの先祖であることはキャスティングからもミエミエであるにしても、そこいらへんの要素を小出しにふくらませ、ウマく軟着陸もさせてSF的妙味をも感じさせる作劇を、今年の『戦隊』こそは実現してみせてくれるかもしれない。


 しかも2号ロボ・タイムシャドウ登場編前後からは、時間を守るばかりではなく、歴史に異変が生じつつあるかもしれないとのSF的危機感をも煽り出した。
 このあたり、スケール雄大感を出しつつも、時間がまっすぐに進まずに逆行したり、輪・螺旋を描いたりして納まってみせたり、人為的な努力自体が実は歴史的必然・運命でもあったとする逆説・パラドックスをもドラマに織り込んでみせるか?
 いっそのこと、歴史自体を大局的には守りつつも微妙には変えてみせるか!?


 その料理の方法・見せ方には、大いに……というほどでもないが(笑)けっこう注目していきたい。ほどほどにはウマくやってくれるのではないのかな?



(本作終了後の01年3月執筆)
 本作への否定派・懐疑派のみなさん、ゴメンなさい。
 肯定派……というより本作が単にお気に入りの筆者としては(ふだんの主張とはムジュンするけど、ロジカルではなく感覚的な支持でスンマソン・笑)、やっぱり本作の最終展開もカンドーしたり涙せられたりして楽しんでしまいました。


 小林靖子氏が初メインライターを務めた『星獣戦隊ギンガマン』(98年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19981229/p1)では、個人的には3クール目の途中で、それまでの初回からの高いテンションの作劇が多少ユルんだという印象を持ったものだが(それでも一般的には充分に高い、ドラマ的張り・テンション・密度だったけれども)、本作『タイムレンジャー』ではそれを最終回の最後まで維持してくれていた。


 ただ、1000年先の未来を守るためのタイムパラドックスうんぬんで、初の本格的SF戦隊になるかというキョーミは、
 ――それも、「アレッ、もう実は未来変わっちゃっていたのかな!?」「終盤で1000年先の未来から超過去に密かに送られていた巨大ロボ・Gゾードによって歴史自体がすでに変化していたらしい」「どれが正しい未来なのかもう判らない(笑)」とか錯綜していてよかったんだけれども――
 二次的・三次的な関心事項に退いていって、5人の戦隊キャラクターたちとその周辺の人間模様の去就の方こそが気になって気になって……(笑)。


 歴史を守ることと、個人の人生を切り拓(ひら)くこととの相克(そうこく)・葛藤。
 単発・短編であればあるほど、シチュエーションSFとしてのセンスオブワンダーの感慨をもよおすことに徹底できるものだ。
 つまりは、人間の生々しさを描くということよりもそれは後景に退かせて、“SF性”や“SF的イベント”によるサプライズ(驚き)をより純化・強化することができる。


 しかし、長編連続ドラマにおける“時間SF的整合性”は、自由選択を旨(むね)とする人間ドラマに対しては枷(かせ)になりかねない。
 要は人間の行動が、SF的ガジェット(小道具)によって制限した範疇に収められたしまう箱庭感・窮屈さが表面化してしまいかねない。


 しかし本作では、“時間SF”をさらにアクロバティックに1回転させることで、“SF性”と“人間ドラマ”をともに両立させることに成功した作品だったともいえるだろう。
 (もちろん各回の等身大バトル・巨大戦バトルのカタルシスは確保して、幼児層にも最低限の訴求を果たしたうえでのことは大前提!)


 ……タイムレンジャー、本当に1年間どうもありがとう!
 〜ヒネクレ者の筆者としては珍しいシメ(笑)〜


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2002年号』(01年12月30日発行)『未来戦隊タイムレンジャー』合評1より抜粋)


後日付記:コレだけホメといてナニだけど、幼児から観たら『タイムレンジャー』よりも、翌年のチャイルディッシュな『百獣戦隊ガオレンジャー』(01年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20011113/p1)の方が面白いだろうということも忘れちゃイケナイと思う。


未来戦隊タイムレンジャー2  拒絶、そして……高評価 〜タイムレンジャー評〜

(文・内山和正)
 前から疑問に思っていることがある…… 『未来戦隊タイムレンジャー』(2000)の出自についてである。


 周知のように『スーパー戦隊シリーズ』は以前のシリーズ内作品のリメイク的な題材に新しい要素を加えて作られるものが大半を占める。
 しかしシリーズ外作品の要素を題材とするものや、それらとリメイクを加えたものもいくらか見られる。


 妖怪・忍者・浦沢義雄氏風味の三要素を導入した『忍者戦隊カクレンジャー』(1994)。
 浦沢氏御本人を招致し『高速戦隊ターボレンジャー』(89)以来の自動車モチーフと組み合わせた『激走戦隊カーレンジャー』(96)。
 東映メタルヒーローの「レスキューポリスシリーズ」(90〜92)と『地球戦隊ファイブマン』(90)以来の兄弟ものを組み合わせた『救急戦隊ゴーゴーファイブ』(99・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20110725/p1)。
 (オールドファンには周知のことと思うが近年のファンはご存じないようなのでふれておくと『ゴーゴーV』という名は、『大戦隊ゴーグルV(ファイブ)』(82)のNGタイトルだったもの)
 『鳥人戦隊ジェットマン』(91・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/20110905/p1)も、タツノコプロの名作アニメ『科学忍者隊ガッチャマン』(72)がモチーフだと噂されていた。


 そしてこの『タイムレンジャー』もフジテレビのゴールデンタイムのTVドラマ『木曜の怪談ファイナル タイムキーパーズ』(97)が着想の根底のひとつにあったのではないか?


 実のところこの連想はごく一般的なものなのではないかと思っていた。わざわざ指摘しては恥ずかしいのではないかとさえ考えた。
 けれど筆者の目に入ったかぎりでは商業誌でも同人誌でも誰もふれてはおられなかった。最近になって本誌2002年準備号(夏コミ号)において(今2002年号(冬コミ号)にも再録されているはずだが)、T氏が両作を比較されていたのがはじめてである。
 けれど氏は他の特撮同人誌『年刊ボイス』において、『タイムキーパーズ』を別の作品と類似していると語っておられるので、『タイムレンジャー』との比較は両作が未来からの犯罪者をとらえにきた未来からの捜査官ものとして共通しているから較べたのにすぎないのかもしれない。


 歴史を変えないことが大前提の『タイムキーパーズ』と、大きい未来は変えられなくても自分たちの明日くらいは変えてやると初期編で宣言する『タイムレンジャー』では逆だとも言えるのだが両作の類似点は多い。


 まず、


・チームが複数の未来人と一人の現代人で構成されていること
・チームのリーダー格が有能ではあるがつきあいにくい人物であること
 (『キーパーズ』で東幹久氏演じるリョウは本質的には悪い人間ではないが、あまりにも使命やルールに厳格で融通がきかない)
・メンバーに少年がいること
・捕らえた犯罪者をかたやタイムケージという時間の存在しない牢獄へ隔離し、かたや圧縮冷凍で人形大に縮小して眠らせておくという現代人の目で見れば人権無視のような残酷な処置をほどこすこと
・本来のリーダーをなくしていること
 (これは記憶違いかもしれないが『キーパーズ』では時間旅行船の事故で死亡、『タイムレンジャー』第1話では隊長・リュウヤが敵の化けた偽者だった)
・隊長が悪であったこと


 ……である。となれば終始別行動を取る途中参加の現代人である6人目(?)の戦士・タイムファイヤーこと滝沢直人の姓も、『キーパーズ』の主演者・ジャニーズの滝沢秀明氏から来ているのではないか?


 『タイムレンジャー』は筆者にとって、意欲作だとの高評価はしてもけして好きにはなれない戦隊だった。
 子供向けヒーロー番組としての華がほとんどなく、お坊ちゃまとしての人生を抜け出そうと格闘する主人公タイムレッド・浅見竜也(あさみ・たつや)、貧乏からのしあがろうとするライバル・滝沢直人(彼の生き方を嫌いにはなれても一部をのぞき否定はできない描き方がされている)の姿が、幼児向けの作品の枠の中では見せてほしくないような表現で語られ、未来の医学でさえ治せないという未来人タイムブルー・アヤセをむしばむ病魔の絶望感や、子役を安易にからませにくい若者たちの「大人の物語」であることなど時に興味をひかれはしても、子供向けヒーロー番組としては観ていて高揚しない。


 詳しいことはわからぬままタイムレンジャーの一員になってしまい不安定な状態におかれた主人公・竜也、しかしほかの4人も彼をフォローできる余裕はない。
 第1話のそんなラストが印象的だったが、それにあらわされているようにこれまでの戦隊では最も現実の社会の中にある(不安定な存在である)人間描写に近づいた作品といえるだろう(あくまで一面であって誇張や都合の良さなどが色々あるのだが)。


 メインライターの小林靖子さんはすぐれた脚本家だがその筆致は硬すぎる。以前メインをつとめられた『星獣戦隊ギンガマン』(98)は筆者にとって好きな戦隊だったが、はじめのころは生硬すぎて精神的余裕が感じられなかった。
 脚本家・武上純希(たけがみ・じゅんき)氏が参加されて良くも悪くも軽妙さを持ち込んでから、小林さんの作品にもゆとりがうまれ彼女の巧(うま)さがよりひきたったと思う。逆に武上氏や軟質系のライターが参加されなかったせいか、『タイムレンジャー』はシリーズを通して作風がほぼ変化しなかった。
 だが結果的にはそれが良かったのだろう。気楽にたのしめなかった世界だけにそれを貫き得たからこそ許される結末が待っていた。


 その年の戦隊と前年の戦隊を共演させるオリジナルビデオが毎年製作されるようになってから『鳥人戦隊ジェットマン』や『五星戦隊ダイレンジャー』(93)のような異色の結末をつくれなくなった状況下では6人目の戦士・タイムファイヤー直人の死は充分健闘していたといえる。
 (マニア誌におけるインタビューでの「直人は変わらない」との小林さんの言葉はこういう意味だったのか! と納得したが、でも直人の心は充分変わってはいたと思う)。


 6人目の戦士の死は既にその初代(ゲストは別勘定として)、緑色の戦士ドラゴンレンジャー(『恐竜戦隊ジュウレンジャー』92)でなされているし、変化球もくわえれば黒騎士(『ギンガマン』)の本体=ブルブラックもあるがなんとなく盲点になってしまっていた。
 今回の趣向はまだまだ戦士の死も衝撃の結末も可能であると教えてくれた。まあ、6人目の戦士とはいえ仲間感覚の薄い直人だったから死なせることもできたのだろうが。 


 もちろん結末の衝撃性はそのことだけではない。30世紀の人間のリュウヤ隊長の扱いがある。


 人間の多くが(筆者のように子孫を残すことに自信がなかったりする者はともかく)子孫に希望を持っているであろうことからすれば、主人公・竜也の子孫をかなりひどい人間に描いたり、みじめな末路を見せつけたりすることは子供番組では避けたいところだろう(やるとしても主人公に諭(さと)されて改心して感動の結末をむかえるとか)。


 現実的に考えればリュウヤ隊長は竜也の子孫のホンのひとりに過ぎないのかもしれず、彼が死のうと大した問題ではなく、どんな人間の家系にも悪い奴はいると突き放せるだろうが、あえてドラマとしてそれをやれるのは通常の「幼児番組」の作風を避け続けてきたからだろう。


 タイムイエロー・ドモンが未来へ帰ったあと20世紀で良い仲になっていたホナミのお腹に彼の子が宿ったという結末もそうだ。個人的には子供番組ではやってほしくないことだが、その気持ちと矛盾するものの意義は感じる(子供番組でないのならありがちな結末だが)。
 ビデオ作品『真・仮面ライダー 序章(プロローグ)』(92)のようにヒーロー作品の中で裸身の男女を泳がせて性関係を暗示させるなどという手法よりもスマートだろうし…… まあ、視聴者の子供たちにどうしてホナミがおかあさんになったのか質問された親たちは困ってしまうだろうが。


 それらの衝撃の結末、仲間たちとの別れを越えて竜也が一人生きていくラストも(4人が未来へ戻らねばならぬ展開はやや強引でパターンどおりという以上の説得力には欠ける気がするが)感動的だったと思う。


付記

 なお敵の怪人としてさまざまな罪状の未来の犯罪者を用意しながらも、子供番組枠に遠慮してか一部をのぞき各犯罪の個性を出せなかったのが残念。


 タイムグリーン・シオン役に子役出身の倉貫匡弘(くらぬき・まさひろ)氏が選ばれ懐かしかった。
 氏はジャニーズ中居正広氏主演の進学塾ドラマ『勝利の女神』(96・フジテレビ)のころ、結構人気のある子役だった。たしか神経を病んで手を洗ってばかりいる小学生の役だったと思う(?)。
 その後、両親のいない多人数兄弟の貧乏生活に記者のヒロインがかかわっていくという昼帯ドラマ・「花王 愛の劇場」『おひさまがいっぱい』(96)で足に障害をもちながら家族の料理を司(つかさど)る中学生を演じているが、シオンに通じるけなげ系の役がやはり氏には合うのだろう。
 『勝利の女神』のスタッフがつくった三上博史主演のTVドラマ・水曜劇場『それが答えだ!』(97・フジテレビ)では異なるタイプの役ですっかり人気もなくなっていたが。
 タイムピンク・ユウリ役の勝村美香さんも子役出身だとのことだが詳細を知らないのでコメントはできない。

 
 現役の子役たちについては前述のように本作にはあまりゲスト出演せず、女の子に限ってはある程度の出番があったのは3人ほどだったか?


 そのなかに近年注目されている大津綾香ちゃんがふくまれていたのは、『ギンガマン』における田島穂菜美ちゃん、『ゴーゴーV』における野村知沙ちゃんと並ぶ子役マニアたちへのサービス企画か?
 一部で注目されるきっかけとなったCM『ミツカン五目ちらし 〜しゃもじdeピンポン〜』(01)での、ボーイフレンドのおかあさん(七瀬なつみ演じる)に対して幼女(幼稚園児)にして嫁姑的な対抗心をはげしく燃やすというキャラクターはすさまじい表情と彼女独特の声があまりにも強烈だった。
 その後も土9ドラマ『フードファイト』(00・日本テレビ)でのうそつき少女や、対照的な役である『怖い日曜日』(99・日本テレビ 〜ジャニーズJr.がナビゲートする日曜昼前の20分ドラマ)での、死してなお好きだった少年の成長を見守りつづけ少年のつきあいだした「彼女」が少年を託すのにふさわしいかを確かめて去っていく少女霊のせつないまでの優しさなど印象的な役は多い。
 それだけに引っ越していく滝沢直人から鳥をもらう近所(同じアパート?)の幼女というだけの役柄は物足りなかった。少ない時間で直人の一面を表わそうとしてのキャラクターで、役割的にはそれで充分なのだろうが唐突な印象は否めない。


(了)
(初出・特撮同人誌『仮面特攻隊2002年号』(01年12月30日発行)『タイムレンジャー』合評5より抜粋)



『假面特攻隊2002年号』「未来戦隊タイムレンジャー」関係記事の縮小コピー収録一覧
・読売新聞 2000年2月28日(月) タイムピンク・ユウリ役の勝村美香19歳インタビュー



未来戦隊タイムレンジャー』平均視聴率:関東7.1%・中部10.6%・関西7.7%
 (平均視聴率EXCEL表計算:森川由浩)


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未来戦隊タイムレンジャー(5) [DVD]

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未来戦隊タイムレンジャー(3) [DVD](#21〜30)
未来戦隊タイムレンジャー(2) [DVD](#11〜20)
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